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JP5163597B2 - ノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブル - Google Patents

ノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブル Download PDF

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Description

本発明は、動的架橋技術を用いて、オレフィン系樹脂マトリックス中に分散相を形成するノンハロゲン難燃性樹脂組成物に係り、特に分散相としてシラン架橋したエチレン−酢酸ビニル共重合体を、連続相にエチレン−エチルアクリレート共重合体を用い、難燃剤を高充填することによって得られるノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブルに関するものである。
環境問題に対する意識は世界的に高まりつつあり、電線被覆材料においても燃焼時に有害なガスを発生せず、マテリアルリサイクル可能なノンハロゲン難燃性樹脂が普及しつつある。
これまでノンハロゲン難燃性樹脂は様々な開発が行われており、例えば特許文献1、2に示されるように、動的架橋技術を用いることで流動成分であるオレフィン系樹脂をマトリックスとし、そのマトリックス中にオレフィン系ゴム等を分散させる技術がある。
一般的に電線・ケーブルの絶縁材に用いるノンハロゲン高難燃性樹脂は、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどをはじめとする金属水酸化物を高充填する必要がある。
特開平11−228750号公報 特開2008−31354号公報
しかしながら、金属水酸化物を高充填させたノンハロゲン難燃性樹脂は、溶融流れ性が悪いため押出加工時に高いトルクがかかり、高速押出が困難となる。そればかりか、伸びが著しく低下する。また、機器用電線などの耐熱性が要求される用途においては、電子線で架橋して耐加熱変形性やカットスルー性等を向上させる必要があるが、電子線で架橋したものはリサイクル性に劣る。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、動的架橋技術を用いてオレフィン系樹脂マトリックス中に分散相を形成する際に、分散相としてシラン架橋したエチレン−酢酸ビニル共重合体を、連続相としてエチレン−エチルアクリレート共重合体を用いることで、電子線で架橋せずとも高い機械的強度及び耐熱性を有し、かつ難燃剤を高充填しても高速押出可能でかつ、良好な伸びを示すノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブルを提供するものである。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜80質量部、(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体60〜20質量部、(C)金属水酸化物を(A)と(B)の合計100質量部に対して20〜300質量部からなり、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)がシラン架橋されていることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物である。
請求項2の発明は、上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の相が、(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の相中に分散していることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物である。
請求項3の発明は、上記(C)金属水酸化物が、水酸化マグネシウムであり、シラン系カップリング剤で表面処理されている請求項1又は2記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物である。
請求項4の発明は、上記(C)金属水酸化物が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、200〜300質量部である請求項1又は2記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物である。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物を製造する方法において、上記シラン架橋されたエチレン−酢酸ビニル共重合体が、シラン化合物をグラフト共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体と金属水酸化物およびシラノール縮合触媒を混練することによって形成されることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物の製造方法である。
請求項6の発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体にシラン化合物をグラフト共重合させた後、エチレン−エチルアクリレート共重合体と金属水酸化物を加える請求項5記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項1〜4いずれか記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物を、絶縁体またはシースに用いたことを特徴とする電線・ケーブルである。
本発明によれば、ケーブル成形後に電子線で架橋することなく、高い機械的強度及び耐熱性を有し、かつ難燃剤を高充填しても高速押出可能でかつ、良好な伸びを示すノンハロゲン難燃性樹脂組成物を得ることができという優れた効果を発揮するものである。また、電子線で架橋していないためリサイクル性に優れる。
本発明が適用される電線・ケーブルの詳細断面図である。 本発明が適用される電線・ケーブルの詳細断面図である。 本発明に係る電線・ケーブルの製造方法に用いる製造装置の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
先ず、図1、図2により本発明が適用される電線・ケーブルを説明する。
図1において、銅導体1に、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁体2を被覆して電線5とし、この電線5を3本撚り合わせ、その外周に、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシース3を充実押出して形成した電線・ケーブル4を示している。
また、図2は、3本撚り合わせた電線5の外周に、シース3をチューブ状に押出して形成した電線・ケーブル4を示している。
図3は、銅導体1に絶縁体2を押し出して電線5を製造、或いは電線5を複数本撚り合わせたケーブルコア12にシース3を押し出して電線・ケーブル4を形成する製造装置を示したものである。
図において、巻き出し機11から銅導体1や撚り合わせた電線5からなるケーブルコア12が、押出しダイス13に送出され、他方押出機10から本発明のノンハロゲン難燃性樹脂組成物が押出しダイス13に押し出されて、銅導体1やケーブルコア12に被覆されて電線5又は電線・ケーブル4とされ、冷却水槽14で冷却された後、巻き取り機15に巻き取られて、電線5又は電線・ケーブル4が製造される。
本発明は、ノンハロゲン難燃性樹脂組成物として、動的架橋技術を用いてオレフィン系樹脂マトリックス中に分散相を形成する際に、分散相としてシラン架橋したエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を、連続相として融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体(B)を用い、かつ難燃剤の(C)金属水酸化物を高充填することで、電子線で架橋することなく、高い機械的強度及び耐熱性を有し、かつ難燃剤を高充填しても高速押出可能でかつ、良好な伸びを示すノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブルとするものである。
本発明で規定する(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、分子量、溶融粘度等に特に限定はなく任意のものが使用できる。
また上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体には、シラン架橋させるためにシラン化合物が共重合される。シラン化合物には、ポリマーと反応可能な基とシラノール縮合により架橋を形成するアルコシキ基をともに有していることが要求され、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン化合物、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィドシラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物などを挙げることができる。
シラン化合物をグラフト共重合させるには既知の一般的手法、すなわちベースのエチレン−酢酸ビニル共重合体に所定量のシラン化合物、遊離ラジカル発生剤を混合し、80〜200℃の温度で溶融混練する方法を用いることができる。
遊離ラジカル発生剤としては、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が主として使用できる。
シラン化合物の添加量は、特に規定しないが良好な物性を得るためにはエチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.5〜10質量部が好適である。0.5質量部より少ないと十分な架橋効果が得られず、組成物の強度、耐熱性が劣る。10質量部を超えると加工性が著しく低下する。
また、遊離ラジカル発生剤である有機過酸化物の最適な量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.001〜3質量部である。0.001質量部より少ないとシラン化合物が十分にグラフト共重合せず十分な架橋効果が得られない。3質量部を超えるとエチレン−酢酸ビニル共重合体のスコーチが起きやすくなる。
(B)融点(Tm)が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体としては、既知のものが使用できる。ここで、融点(Tm)が100℃未満のエチレン−エチルアクリレート共重合体では、100℃における加熱収縮率が大きくなり、良好な特性が得られないため好ましくない。
本発明は、融点(Tm)が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体を用いることにより、100℃以上での耐加熱収縮性が要求されるケーブルに好適に用いることができるとともに、溶融流れ性が良好であり、電線に加工しやすい。
本発明において、上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の配合割合は、両者の合計100質量部に対し、(A)が40〜80質量部、(B)が60〜20質量部である、(A)成分が80質量部を超えると、引張強さの著しい低下がみられる。また、(A)成分が40質量部より少ないと、伸び特性の著しい低下が見られ、また良好な可とう性が得られない。
本発明で用いる(C)金属水酸化物は、組成中に難燃性を付与するものであるとともに、シラン化合物をグラフト共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋をシラノール縮合触媒とともに促進させ、混練中に架橋を可能にするものである。
架橋を促進させる機構としては、詳細は不明であるが、金属水酸化物のもつ水分がアルコキル基の加水分解を促進させ、シラノール縮合触媒がシラノール基の脱水縮合を促進するものと推測している。
このような金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、中でも難燃効果の最も高い水酸化マグネシウムが好適である。金属水酸化物は分散性の親点から表面処理されていることが望ましい。
表面処理剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸または脂肪酸金属塩等が使用でき、中でも樹脂と金属水酸化物の密着性を高める点でシラン系カップリング剤が望ましい。
使用できるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン化合物、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィドシラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物などを挙げることができる。
これらの表面処理剤を金属水酸化物に処理させる方法としては湿式法、乾式法、直接混練法などの既知のものを用いてよい。
表面処理量は、特に規定しないが、金属水酸化物に対して、0.1〜5mass%の範囲であることが望ましく、表面処理量が0.1mass%より少ないと樹脂組成物の強度が低下し、5mass%より多いと加工性が悪くなる。
また金属水酸化物の平均粒子径は、機械的特性、分散性、難燃性の点から4μm以下のものがより好適である。
(C)金属水酸化物の添加量は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の合計100質量部に対して、20〜300質量部である。20質量部より少ないと難燃効果が得られないが、20質量部以上では難燃性試験(1)の60度傾斜燃焼試験の特性を、200質量部以上では更に高難燃レベルの高い難燃性試験(2)のVW−1の特性を満たすことが出来る。300質量部を超えると成形性が著しく低下し、混練が不可となる。
本発明では上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の一部、または(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の一部に、不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−エチルアクリレート共重合体を用いることが可能である。すなわち、(C)金属水酸化物と不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−エチルアクリレート共重合体を用いることが可能である。これにより(C)金属水酸化物と不飽和カルボン酸またはその誘導体の間で反応が起き、密着性が高まることによって組成物の機械的強度が向上する。ここでのエチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−エチルアクリレート共重合体については、前述したものがそのまま使用できる。不飽和カルボン酸またはその誘導体については特に限定しないが、無水マレイン酸が好適である。また置き換える量は任意であるが、0.5質量部〜10質量部が望ましい。0.5質量部より少ないと強度向上の効果は得られず、10質量部を超えると加工性が著しく低下する。
また、本発明において用いることのできるシラノール縮合触媒は、シブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第1錫、カプリル酸第1錫、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト等があり、その添加量は触媒の種類によるが(A)と(B)の合計100質量部当たり0.001〜0.1質量部に設定される。
添加方法としては、そのまま添加する方法以外に(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体や(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体に予め混ぜたマスターバッチを使用する方法などがある。
上記以外にも必要に応じてプロセス油、加工助剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加物を加えることも可能である。
本発明の組成物を製造する装置に限定はないが、ニーダー、バンバリミキサー、ロール、二軸押出機などの汎用のものが使用できる。
以下、本発明の実施例1〜9と比較例1〜7について、表1と共に説明する。
Figure 0005163597
実施例1〜9と比較例1〜7は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に、シラン化合物をグラフト共重合させた後、エチレン−エチルアクリレート共重合体(実施例1〜7、比較例1〜4、比較例6)或いはポリオレフィン系樹脂(比較例5,6)を混練する工程および、前記混練物、金属水酸化物、シラノール縮合触媒等の配合剤を混練し、エチレン−酢酸ビニル共重合体をシラン架橋させる工程によって作製した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体にシラン化合物をグラフト共重合させた後、エチレン−エチルアクリレート共重合体やポリオレフィン系樹脂を混練する工程では、原料の(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量VA、42mass%)30〜90質量部、ビニルトリメトキシシラン3.5質量部、ジクミルパーオキサイド0.02質量部、エチレン−エチルアクリレート共重合体或いはポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン)10〜70質量部の範囲で、206℃に設定した40mmの二軸押出機(L/D=60)に投入した。
エチレン−エチルアクリレート共重合体又はポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のシラン化合物によるグラフト反応が進んだ後にサイドから投入する。
次に、(C)金属水酸化物と、シラノール縮合触媒(ジブチル錫ラウレート)と、酸化防止剤とを、表1に示した配合比となるように各成分をワンダーニーダ(55L)に投入することで混練し、混練中にグラフト共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋させることで混練物を作製した。
チャンバ温度は120℃から160℃とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体にシラン化合物をグラフト共重合させた後、エチレン−エチルアクリレート共重合体を混練する工程で作製された混練物、金属水酸化物を一括してワンダーニーダに投入する。金属水酸化物の投入は一括の他に、分割して投入しても差し支えない。またポリメチルメタクリレートなどの活剤やメラミンシアヌレートなどの他の難燃剤を投入する場合も金属水酸化物と同時に投入する。十分混練・分散した後、樹脂温度が140℃から150℃に到達した段階で、シラノール縮合触媒を投入・混練し、エチレン−酢酸ビニル共重合体をシラン架橋させ、樹脂温度が180℃から190℃に達した段階でこれをペレット化し、ケーブル作製用の材料とした。
電線・ケーブルは180℃に予熱した40mm押出機(L/D=24)を用い、ケーブルコアに厚さ1.5mmで押出被覆して作製した。ケーブルコアとして、外径2mmの銅導体にポリエチレンを厚さ0.8mmで被覆したものを、介在と共に3芯撚合わせ、クラフト紙テープにより抑え巻きを施したものを使用した。
上記手順で作製した電線・ケーブルを次に示す方法で評価した。
巻付加熱は、電線・ケーブル径の倍の管に電線・ケーブルを6回巻き付け121℃で1時間保持した後、外観観察でクラックが無いことを確認した後、交流1000Vの課電試験を行い絶縁破壊がないものを合格とした。
低温巻付は、ケーブル径の倍の管にケーブルを6回巻き付けマイナス10℃で4時間保持した後、ケーブル外観にクラックが無いものを合格とした。
機械的強度、耐熱性、耐油性、難燃性はJIS C3005に準拠して評価した。引張強さ8.27MPa以上、破断伸び100%以上を合格とした。
加熱変形は、加熱変形試験(75℃、荷重10N)により評価し、厚さ減少率50%以下を合格とした。
加熱収縮は、作製した電線・ケーブルを1mの長さに切り取り、100℃で2時間保持した後、シースより突き出した絶縁体の長さを測定し、絶縁体の突き出し量が両端とも3mm以下を合格とした。
耐熱性は、136℃で168時間保持した後、引張強さの残率が75%以上であるものを合格とした。
難燃性評価には、難燃性試験(1)60度傾斜燃焼試験とより高難燃レベルの高い難燃性試験(2)VW−1試験を行った。
(1)60度傾斜燃焼試験では、炎を取り去った後の延焼時間を測定し、60秒以内に自然消火したものを合格とした。
(2)VW−1試験では、ケーブルを垂直にたて、メタンガスを用いてケーブル下部に15秒間炎をあて、60秒後に引火点より50cm上部に設置したフラッグに炎が到達せずかつ自然消化したものを5回繰り返し、5回とも60以内に自然消化及びフラッグに炎が到達していないものを合格とした。
以上において、表1に示すように、実施例1〜9は、いずれの特性も良好である。
比較例1は、(C)金属水酸化物の含有量が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の合計100質量部に対して、10質量部の場合であり、難燃効果が得られないが、実施例3では、(C)金属水酸化物の含有量が20質量部では難燃性(2)のVW−1の特性は、不合格であるものの、難燃性(1)の60度領斜燃焼試験で合格となる。よって、(C)金属水酸化物の含有量は、20質量部以上がよい。
また実施例4〜6は、(C)金属水酸化物の含有量を100、200、300質量部と増量したものであるが、200〜300質量部とすることで、難燃性(2)のVW−1の特性が合格となる。特に実施例6は、(C)金属水酸化物の含有量を300質量部としても混練でき、難燃性(1)の60度領斜燃焼試験、(2)のVW−1の特性を満たすことが出来るが、比較例2は、(C)金属水酸化物の含有量が350質量部であり、混練不可となり、(C)金属水酸化物が、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体中に十分に分散・混練出来ずに成形性が著しく低下する。
よって(C)金属水酸化物は、20質量部以上、300質量部以下、電線・ケーブルに、より難燃性を必要とする場合には、200〜300質量部がよい。
次に(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体の混合割合について、比較例3は(A)が30質量部、(B)が70質量部で、特性のうち伸びと加熱変形が悪いが、実施例1は、(A)が40質量部、(B)が60質量部で、伸びと加熱変形は規定を満足している、よって(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体は40質量部以上がよい。
また比較例4は(A)が90質量部、(B)が10質量部で、特性のうち、引張強さが規定を満足しなが、実施例2は(A)が80質量部、(B)が20質量部で、引張強さが規定を満足している。
よって(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、40質量部以上、80重量部以下がよい。
次に、実施例7,8は、(C)金属水酸化物として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムを用いた例であるが、いずれの特性も満足している。また、実施例9は、活剤としてポリメチルメタクリレートを5質量部加えたものであり、金属水酸化物の添加量の少ない実施例3、4と同程度の高速押出性が得られた。
実施例1〜9では、(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体の融点を104℃と100℃を用いた例であるのに対して、比較例7は、融点95℃と、100℃未満のエチレン−エチルアクリレート共重合体を用いた例であり、100℃における加熱収縮が大きくなり、熱変形が大きくなる。
よって、(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体の融点は100℃以上がよい。
また、比較例5,6は、(B)エチレン−エチルアクリレート共重合体の代わりに、ポリプロピレンと直鎖状低密度ポリエチレンを用いた例であるが、いずれも高速押出性の指標となる伸び、加熱収縮が悪く、比較例5は、巻付加熱、低温巻付が不合格、また金属水酸化物を200質量部添加していても、(2)VW−1が不合格となった。
以上本発明の各組成について説明したが、上述した本発明に係る樹脂組成物の組成以外にも、必要に応じてプロセス油、加工助剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加物を加えることも可能である。
また、難燃効果を更に向上させるために、メラミンシアヌレートなどの難燃剤を混練することやリン系難燃剤を(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体または(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体にグラフト反応することも可能である。
混練中の混練機のモータ負荷を低減させるために、実施例9に示したように、ポリメチルメタクリレートなどの活剤を混練することも可能である。ポリメチルメタクリレートについては特に限定しないが、平均粒子径は、機械的特性、分散性の観点から10μm以下のパウダー状のものがより好適であり、ポリメチルメタクリレートの添加量は、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体と(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が適している。
1 銅導体
2 絶縁体
3 シース
4 電線・ケーブル
5 電線

Claims (7)

  1. (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜80質量部、(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体60〜20質量部、(C)金属水酸化物を(A)と(B)の合計100質量部に対して20〜300質量部からなり、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)がシラン架橋されていることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
  2. 上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の相が、(B)融点が100℃以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体の相中に分散していることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
  3. 上記(C)金属水酸化物が、水酸化マグネシウムであり、シラン系カップリング剤で表面処理されている請求項1又は2記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
  4. 上記(C)金属水酸化物が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、200〜300質量部である請求項1又は2記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物を製造する方法において、上記シラン架橋されたエチレン−酢酸ビニル共重合体が、シラン化合物をグラフト共重合させたエチレン−酢酸ビニル共重合体と金属水酸化物およびシラノール縮合触媒を混練することによって形成されることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物の製造方法。
  6. エチレン−酢酸ビニル共重合体にシラン化合物をグラフト共重合させた後、エチレン−エチルアクリレート共重合体と金属水酸化物を加える請求項5記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜4いずれか記載のノンハロゲン難燃性樹脂組成物を、絶縁体またはシースに用いたことを特徴とする電線・ケーブル。
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