JP5148589B2 - 振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法 - Google Patents
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Description
(1)橋梁の川底が洗い流される場所の環境条件(例えば、洗い流された箇所の深さ及び水深)が測定対象であり、この環境条件により、構造の安定レベルの間接的な条件を分析するが、このような環境条件のリアルタイム情報を把握するだけでは、橋梁構造自体の安全性を迅速かつ正確に知ることができなかった。
(2)上述の装置は、実際に使用する際、測定装置の安全性及び耐久性に問題が発生する虞があった。即ち、装置を水中や川底に設置する必要があるため、川の勾配が急な急流では石や漂木などが多く含まれ、川底が大規模に洗い流される場合、容易に損壊し、災害時に有効に測定することができなくなる虞があった。
(3)測定対象が環境条件であるため、橋梁構造の長期的な変化を把握することができず、橋梁構造に災害が複数回発生し、橋梁構造の実際の臨界状況が発生した場合、有効に対応することができなかった。
(a)橋梁を走行する軌道車両又は車両(道路類)を振動源として用い、橋梁構造の振動を測定し、橋梁構造の機能を評価する。
(b)橋脚、橋面などの構造部材に対し、上述の振動源が進行方向、進行方向に対して垂直な方向及び重力方向に発生させる振動を三次元の振動測定装置により測定する。
(c)橋梁の設計及び建造データを参考にし、橋梁の現況測定結果と、温度などの環境データとにより、橋梁構造モデルを構築し、橋梁構造の基本モード及び臨界状況モードを分析する。
(d)振動測定結果の分析は、測定信号自体の振動モードの比較以外に、構造モデルの分析結果と比較し、橋梁構造の安全性及び構造の安定状況を評価する。
(e)上述の測定と分析結果を利用し、橋梁構造の臨界状況(例えば、臨界洗い流し深さ、構造健全度など)と、橋梁構造の振動周波数との関係を構築する。橋梁の洗い流し状況の評価及び監視・警告に応用し、橋梁構造の長期的な監視及び安全性の評価と、軌道構造の異常状況の判定及び評価とに応用する。
(f)上述の独特な発明技術は、橋梁の川底が洗い流されたときにリアルタイムで警告し、長期的に構造の検診・評価を行うことができる装置を開発する。本発明の主な概念は、マイクロコンピュータチップへ(e)の内容の評価ロジック及び基準を構築し、水位計、加速度計、温度計及び傾斜計と合わせてインテリジェント型監視システムを構築することにある。このインテリジェント型監視システムは、橋梁構造の振動モードを主に測定し、橋梁の安定レベルをリアルタイムで判定し、橋梁が危険な状態にある場合に警告する。
(a)振動測定を行う際の振動の規模又はエネルギが不足する上、操作安定性の維持が困難であるという従来技術の問題点を走行する車両を振動源にすることにより解決することができる。
(b)リアルタイムの反応について
1.振動信号が安定し、フィルタ分析作業が容易であり、タイミング分析、周波数分析などを行うことができる。
2.インテリジェント型監視システムを有するため、同時に多種類の装置の測定結果を得て構造分析と比較し、信号の判断効率を大幅に向上させることができる。
3.水位、洗い流しなどの間接的な環境監視装置と異なり、本発明の装置は直接的に構造体自身の構造安定度を監視することができる。
(c)耐久性について
1.大量の水、泥砂、石又は漂流物などにより損壊されることを防ぐために、橋脚の杭キャップ上又は橋面上で、振動測定及び装置の監視を行い、設備の耐久性及び計測の正確度を大幅に向上させることができる。
2.装置の精密度が高く、品質を制御することができるため、他のシステムより保守作業を容易かつ安全に行うことができる。
(d)応用範囲が広い
橋梁構造の安全性評価に測定結果を直接応用することができる。
1.橋梁の平時の環境変化及び構造の安定性監視に応用することができる。
2.台風、豪雨の状況下で使用することができるため、リアルタイムで監視及び警報を行うシステムに応用することができる。
3.災害が発生した後の構造安定度が回復したか否かの判定に応用することができる。
4.橋梁構造の修復・補強の認証に応用することができる。
5.橋梁構造の長期的な監視・評価、保守及び管理に応用することができる。
本発明の方法を説明する前に、橋梁の各部位について説明する。図1を参照する。図1に示すように、橋梁は、車両が通過する橋面10を含む。橋面10下には、、土に埋まった橋脚基礎14にそれぞれ連結する複数の橋脚12が設けられている。図4に示すように、橋脚基礎14は、杭キャップ16及び杭18を含む。橋脚基礎14は、主に杭キャップ16及び杭18のそれぞれが土中に埋まった構造(1)と、杭18だけが土中に埋まり、杭キャップ16が土の上に出ている構造(2)とに分けられる。杭18だけが土中に埋まり、杭キャップ16が土の上に出ている構造(1)では、設計する際、一般に荷重及び横方向の力が考慮されていない。そのため、橋脚基礎14の土壌が洗い流されて流失した場合、杭キャップ16及び杭18のそれぞれが土中に埋まっている構造が受ける荷重及び横方向の力に対する影響は、杭18だけが土中に埋まり、杭キャップ16が土の上に出ている構造(2)よりも大きい。
(1)ターゲットとなる橋梁の基本データを取得し、橋梁構造の分析モデルを構築する。橋梁の基本データは、橋梁の構造形式、橋脚の基礎形式、橋脚形式などを含む。橋梁の基本データを利用して橋梁を分析する際、基本構造の振動モード、力を受けている状況、損壊が発生する臨界状況を含み、橋梁構造の分析モデルを構築する。
(2)初期振動を測定し、現地で橋梁を実際に測定し、構造モデルの分析結果と比較分析する。
(3)モデルを修正し、仮の判定基準を調整し、橋梁基礎の川底が洗い流された深度と、橋脚の振動周波数との関係を構築することにより、橋梁の警戒値を推定する。
(4)インテリジェント型橋梁監視システムを設置する。
(5)橋梁を長期間監視してデータを累積してフィードバックし、安全性の判定及び推定基準を修正し、ステップ(4)及び(5)を繰り返す。
(1)橋梁の基本データ及び環境パラメータを取得し、橋梁構造モデルを構築する:
橋梁の地理位置、川が属する川系、橋梁の竣工図、地質ボーリング調査結果のデータ、水文資料、分析パラメータなどを主に含む橋梁の基本データを収集する。橋梁の地理位置とは、橋梁の所在地区を基に、当該橋梁の重要性及び等級を判断する。川が属する川系とは、川底の洗い流し特性を理解するために用い、様々な特性に基づいて分析を行う。橋梁の竣工図とは、橋梁の構造形式又は橋脚の基礎形式を理解するために用いる。橋脚形式には、構造分析モデルに用いる橋脚高さ、基礎の土中部分の深さ、上部構造形式、単径間又は複数径間の違いなどが含まれる。地質土壌パラメータを取得する目的は、基礎の分析模式に用いることと、橋梁の基本構造モデルの構築とにある。水文資料からは、橋梁付近の環境変化を知り、雨量の大きさにより川の高低の変化を推定することができる。
振動試験は、橋梁上で実際に行わなければならない。振動測定の目的は、振動源が橋面を通過するときに、異なる長さの橋脚に発生する振動周波数を測定することにある。即ち、橋梁を振動源が通過するときに、橋梁基礎(長い橋脚及び短い橋脚を含む)の振動周波数を測定する。
W橋を実際に振動測定する方法及び結果は以下の通りである。
(1)測定対象:長い橋脚(高さ:10m、ケーソンの深さ10m)及び短い橋脚(高さ:7m、ケーソンの深さ10m)の2つのケーソン基礎橋脚。
(2)振動源:測定車両1台(重量32トン)。
(3)振動発生方式:測定車両を時速30、45、60kmでそれぞれ橋面を通過させる。
(4)速度計の設置箇所:長い橋脚及び短い橋脚にそれぞれ2箇所設置する。各橋脚には、それぞれ4つの測定点(橋面の2箇所、杭キャップ及び杭底部)が設けられる。
(5)測定回数:異なる速度でそれぞれ2回測定する。分析するときは、微振動(amb)、車両の進行(force)、車両の通過(free)の3つの時間点で分析を行う。
(1)平時の橋梁の環境変化及び構造安定性を監視する。
(2)台風や豪雨のときに、橋梁をリアルタイムで監視し、危険と判断したときに警告する。
(3)災害が発生した後の構造安定度が回復したか否かを判定する。
(4)橋梁構造の修復・補強の認証。
(5)橋梁構造の長期的な監視及び評価。
Claims (11)
- 橋梁の基本データを取得して橋梁構造モデルを構築し、所定の速度で前記橋梁を通過する振動源を利用する振動試験を行い、前記橋梁上の橋脚、橋面、または橋梁基礎の振動を記録するステップと、
前記振動試験の結果を利用し、前記橋梁構造モデルを修正し、橋梁構造の安全性と前記橋脚の振動周波数との関係を構築し、前記橋梁構造を損壊可能な値である警戒値を推定するステップと、を含むことを特徴とする振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。 - 前記橋脚の前記基本データは、前記橋梁の構造形式、前記橋脚の基礎形式及び前記橋脚の形式を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記橋脚および前記橋脚と接触している物の物理量を含む環境パラメータを取得するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記橋脚の構造の分析モデルを構築するステップは、前記橋脚の長さを変えてモード分析を行い、前記橋梁の異なるモードの形状関数と、前記橋梁の異なるモードの前記振動周波数とを構築することを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記橋梁構造の安全性は、洗い流しの臨界深さと前記橋脚の前記振動周波数との関係を構築する前記洗い流しの深さを含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記橋梁構造の安全性は、前記橋梁構造の健全度と前記橋脚の前記振動周波数との関係を構築する構造健全度を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記振動試験の前記振動源は、前記橋脚を所定速度で通過する車両であることを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記振動試験の前記振動源は、前記橋脚を所定速度で通過する軌道車両であることを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記振動試験では、前記振動源が前記橋脚を異なる速度で通過するときの振動を記録することを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁の安全性を評価する方法。
- 前記振動試験の前記橋梁の振動を測定する位置は、橋面、前記橋脚の頂端近くの箇所及び前記橋脚の底端近くの箇所を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁構造の安全性を評価する方法。
- 前記振動試験の前記橋梁の振動を測定する時間は、前記振動源が前記橋梁を通過する前の時間と、前記振動源が前記橋梁を通過中の時間と、前記振動源が前記橋梁を通過した後の時間と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動測定により橋梁の安全性を評価する方法。
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