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JP5143214B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、半導体発光素子に関する。
半導体発光素子として窒化物半導体が用いられる。このような半導体発光素子においては、電極から半導体層に注入される電流は、横方向へ広がり難い。このため、電極直下の半導体層に主に電流が注入される。電極が遮光性である場合には、電極直下の発光層で発光した光が電極によって遮られる。
正極電極として透明電極を用いることで、発光した光を、正極電極を透過させて取り出すことができる。透明電極にはITO(In−SnO)などの導電材料が用いられる。光取り出し効率を高くするために透明電極の透過率を高くすると、半導体層と透明電極との接触抵抗が増大し、駆動電圧が上昇する。
一方、例えば、約1.5μmの突起を半導体層に設けることで、実質的な臨界角を広げて、光取り出し効率を向上させる構成がある。
特開2005−277374号公報
本発明の実施形態は、駆動電圧が低い半導体発光素子を提供する。
本発明の実施形態によれば、n形半導体層と、電極と、前記n形半導体層と前記電極との間に設けられ、前記電極に接するp側コンタクト層を含むp形半導体層と、前記n形半導体層と前記p形半導体層との間に設けられた発光層と、を備え、前記p側コンタクト層は、前記n形半導体層から前記p形半導体層に向かう第1方向に向かって突出した複数の突起部を含み、前記複数の突起部の先端部分の前記第1方向に対して垂直な平面で切断した径は、前記複数の突起部の前記先端部分とは反対側の部分の径よりも小さく、前記突起部は錐状であり、前記複数の突起部の前記第1方向に沿った高さは、前記発光層から放出される光の主波長の1/4の長さよりも小さく、50ナノメートル以下であり、前記複数の突起部の密度は、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下であり、前記複数の突起部に含まれるMgの濃度は、前記突起部以外の部分に含まれるMgの濃度よりも高い半導体発光素子が提供される。
実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。 実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を示す模式図である。 図5(a)及び図5(b)は、参考例の半導体発光素子の特性を示す模式図である。 図6(a)及び図6(b)は、半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。 半導体発光素子の特性を示すグラフである。 図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を示す模式図である。 図9(a)〜図9(d)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を示す模式図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(実施の形態)
図1は、実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、実施形態に係る半導体発光素子110は、n形半導体層20と、電極(p側電極80)と、p形半導体層50と、発光層40と、を備える。
さらに、半導体発光素子110は、n側電極70を備える。さらに、本具体例では、半導体発光素子110は、多層積層体30と、基板10と、バッファ層11と、を備えている。多層積層体30、基板10及びバッファ層11は、必要に応じて設けられ、省略しても良い。
n形半導体層20、p形半導体層50及び発光層40には、例えば窒化物半導体が用いられる。
p形半導体層50は、n形半導体層20とp側電極80との間に設けられる。p形半導体層50は、p側電極80に接するp側コンタクト層54を含む。すなわち、p形半導体層50は、p側電極80に接する。
本具体例では、p形半導体層50は、第1p形層51と、第2p形層52と、第3p形層53と、をさらに含む。第1p形層51は、p側コンタクト層54と発光層40との間に設けられる。第2p形層52は、p側コンタクト層54と第1p形層51との間に設けられる。第3p形層53は、p側コンタクト層54と第2p形層52との間に設けられる。
第1p形層51には、例えばp形AlGaN層が用いられる。第1p形層51は、例えば電子オーバーフロー抑制層(電子オーバーフロー防止層)として機能することができる。
第2p形層52には、例えばp形GaN層が用いられる。
第3p形層53には、例えばp形GaN層が用いられる。第3p形層53に含まれるp形不純物濃度は、例えば、第2p形層52に含まれるp形不純物濃度よりも高い。第3p形層53は、コンタクト層として機能することができる。
p側コンタクト層54には、例えばp形GaN層が用いられる。p側コンタクト層54におけるp形不純物濃度は、第3p形層53に含まれるp形不純物濃度よりも高い。このように、半導体発光素子110においては、コンタクト層として、第3p形層53とp側コンタクト層54との2層の構成が用いられている。
実施形態はこれに限らず、第3p形層53は、省略しても良い。すなわち、実施形態において、第1p形層51、第2p形層52及び第3p形層53は必要に応じて設けられ、これらの構成は任意である。
p形不純物として、例えばMg(マグネシウム)が用いられる。
n形半導体層20は、下地層21と、n側コンタクト層22と、を含む。n側コンタクト層22は、下地層21と発光層40との間に設けられる。下地層21には、例えばGaN層が用いられる。n側コンタクト層22には、n形の不純物を含むGaN層が用いられる。
n形不純物として、例えばSi(シリコン)が用いられる。
このように、本具体例では、n形半導体層20、発光層40及びp形半導体層50を含む積層構造体10sが設けられている。n形半導体層20からp形半導体層に向かう方向をZ軸方向(第1方向、積層方向)とする。積層構造体10sは、p形半導体層50の側の第1主面10aと、n形半導体層20の側の第2主面10bと、を有している。なお、Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向に対して垂直でX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
本具体例では、積層構造体10sの第1主面10aの側の一部が選択的に除去されている。これにより、第1主面10aの側にn形半導体層20の一部が露出している。この露出している部分にn側電極70が設けられている。n側電極70は、n形半導体層20に接する。実施形態はこれに限らず、n側電極70は、n形半導体層20の第2主面10bの側に設けられても良い。
n側電極70としては、例えば、チタン−白金−金(Ti/Pt/Au)の複合膜が用いられる。例えば、Ti膜の厚さは0.05マイクロメートル(μm)程度であり、Pt膜の厚さは0.05μm程度であり、Au膜の厚さは1.0μm程度である。
p側電極80は、p形半導体層50に接する。具体的には、p側電極80は、p側コンタクト層54に接する。p側電極80には、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)などが用いられる。ITOをp側電極80に用いる際には、p側電極80の厚さは、例えば、0.25μmである。実施形態はこれに限らず、p側電極80には、ニッケル−金(Ni/Au)などの複合膜を用いることができる。また、p側電極80の上にパッド電極となる金属層を設けることができる。
多層積層体30は、交互に積層された複数の第1層(図示しない)及び複数第2層(図示しない)を含む。第1層は、例えばGaN層である、第1層の厚さは、例えば3ナノメートル(nm)である。第2層は、例えばInGaN層である。第2層の厚さは、例えば1nmである。第1層の数は、例えば21層であり、第2層の数は例えば20層である。多層積層体30は、例えば超格子層である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、これらの図は、発光層40の構成の例を示している。
図2(a)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子110aにおいては、発光層40は、複数の障壁層(第1障壁層BL1及びp側障壁層BLp)と、複数の障壁層の間に設けられた井戸層(第1井戸層WL1)と、を含む。この例では、井戸層が1つである。すなわち、発光層40は、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造を有することができる。
図2(b)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子110においては、発光層40は、複数の障壁層(第1障壁層BL1〜第n障壁層BLn及びp側障壁層BLp)と、複数の障壁層の間に設けられた井戸層(第1井戸層WL1〜第n井戸層WLn)と、を含む。ここで「n」は、2以上の整数である。この例では、井戸層の数が複数である。すなわち、発光層40は、多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を有することができる。「n」は、例えば8である。
障壁層には、アンドープのGaN層が用いられる。障壁層の厚さは、例えば10nmとされる。井戸層には、例えば、アンドープのIn0.15Ga0.85N層が用いられる。井戸層の厚さは、例えば2.5nmとされる。
但し、実施形態において、発光層40の構成は任意である。
障壁層及び井戸層には、窒化物半導体が用いられる。井戸層には、インジウム(In)を含む窒化物半導体が用いられる。障壁層のバンドギャップエネルギーは、井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きい。例えば、障壁層がInを含む場合、障壁層におけるInの濃度は、井戸層におけるInの濃度よりも低い。
なお、障壁層及び井戸層は、発光層40からの放出される光の波長が所望の値になるように設計される。発光層40から放出される光の主波長は、例えば380nm以上650nm以下である。ここで、主波長は、発光層40から放出される光のスペクトルの内で強度が最も高い波長である。例えば、室温における発光層40のフォトルミネッセンスの波長は450nmである。
以下では、発光層40がMQW構造を有する半導体発光素子110に関して説明する。 基板10には、例えばサファイアが用いられる。基板10の上にバッファ層11が形成される。バッファ層11には、例えばGaN層が用いられる。バッファ層11の上に、n形半導体層20、多層積層体30、発光層40及びp形半導体層50が順次形成される。バッファ層11の上に上記の半導体層を形成した後に、基板10を除去しても良い。
図1に表したように、実施形態に係る半導体発光素子110においては、p側コンタクト層54は、平坦部54aと、複数の突起部54bと、を有する。複数の突起部54bは、平坦部54aとp側電極80との間に設けられる。複数の突起部54bは、平坦部54aからp側電極80に向かって突出している。複数の突起部54bの側面及び上部は、p側電極80に取り囲まれている。
図3は、実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。 すなわち、同図は、p側コンタクト層54の構成の例を示している。
図3に表したように、平坦部54aは、Z軸方向に対して垂直な平面(例えばX−Y平面に対して平行な面)を有する。すなわち、平坦部54aは、Z軸方向に対して垂直な平面内に延在する層である。突起部54bは、平坦部54aからp側電極80に向かって突出する。
複数の突起部54bのZ軸方向に沿った高さh1は、発光層40から放出される光の波長の1/4の長さよりも小さい。
そして、複数の突起部54bのZ軸方向に対して垂直な平面内における密度は、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下である。
これにより、半導体発光素子における駆動電圧を低減できる。
上記の構成により、p側コンタクト層54とp側電極80との接触抵抗を低減できる。
なお、複数の突起部54bの密度は、後述するように、例えば、p側コンタクト層54の表面を原子間力顕微鏡により撮像し、その撮像結果をデータ処理することで得られる。
突起部54bは、錐状である。突起部54bは、例えば多角錐状である。突起部54bの先端の太さは、突起部54bの基部の太さよりも細い。すなわち、複数の突起部54bのそれぞれの先端部分をZ軸方向に対して垂直な平面で切断した径d1は、複数の突起部54bの平坦部54aの側の部分の径d2よりも小さい。
複数の突起部54bの平坦部54aの側の部分の径d2は、例えば400nm以下である。
高さh1は、例えば50nm以下である。さらに具体的には、高さh1は、20nm以下である。
径d2の大きさが400nmよりも大きくなると、高濃度にMgをドープした場合、Mg濃度が高い部分が一様に形成されることと実質的に同じ状態となり、この状態においては、結晶の欠陥が発生し易く、接触抵抗Rが増大しやすい。
高さh1が50nmよりも大きくなると、高濃度にMgをドープした場合、結晶の欠陥が発生し易く、接触抵抗Rが増大しやすい。
このような突起部54bを設けることで接触抵抗が低減でき駆動電圧が低下できることは、発明者が行った独自の実験により見出された。以下、この実験について説明する。すなわち、作製した試料及びその評価結果について説明する。
まず、基板10(サファイア基板)を有機洗浄及び酸洗浄によって処理した。その後、基板10を、MOCVD装置の反応室内に導入し、トリメチルガリウム(TMG)及びアンモニア(NH)を用い、バッファ層11となるGaN層を形成した。バッファ層11の厚さは、20nmである。
次に、キャリアガスとして窒素及び水素を用い、TMG及びNHを用い、1120℃で、下地層21となるアンドープGaN層を形成した。下地層21の厚さは、2μmである。
続いて、キャリアガスとして窒素及び水素を用い、TMG、NH及びシラン(SiH)を用い、1120℃で、n側コンタクト層22となるn形GaN層を形成した。n側コンタクト層22の厚さは、4μmである。SiHが、n形不純物の原料となる。
次に、窒素雰囲気にて、TMG及びNHを用いて、800℃で、アンドープのGaN層を形成し、続いて、800℃で、さらにトリメチルインジウム(TMI)を追加し、アンドープのIn0.07Ga0.93N層を形成した。アンドープのGaN層が、第1層となる。第1層の厚さは、3nmである。アンドープのIn0.07Ga0.93N層が第2層となる。第2層の厚さは、1nmである。その後、上記の第1層の形成及び第2層の形成を繰り返した。第1層の形成及び第2層の形成の実施回数は、合計でそれぞれ20回である。そして、最後に、第1層をさらに形成した。これにより、多層積層体30が形成される。
次に、窒素雰囲気にて、TMG及びNHを用い、障壁層となるアンドープのGaN層を形成した。障壁層の厚さは5nmである。続いて、TMG、TMI及びNHを用い、井戸層となるアンドープのIn0.15Ga0.85N層を形成した。井戸層の厚さは2.5nmである。上記の障壁層の形成及び井戸層の形成を繰り返した。障壁層の形成及び井戸層の形成の実施回数は、合計でそれぞれ8回である。さらに、最後に、障壁層を形成した。これにより、発光層40が形成される。
次に、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMA、TMG、NH及びビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いて、1000℃で、第1p形層51となるp形AlGaN層を形成した。CpMgが、p形不純物の原料となる。第1p形層51の厚さは、10nmである。
さらに、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMG、NH及びCpMgを用いて、第2p形層52となるp型GaN層を形成した。第2p形層52の厚さは、80nmである。
次に、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMG、NH及びCpMgを用いて、第3p形層53となるp型GaN層を形成した。第3p形層53の厚さは、5nmである。
さらに、窒素、水素及びアンモニアの供給比を変化させるとともに、CpMgの供給量を増加させ、p側コンタクト層54となるp型GaN層を形成した。p側コンタクト層54の厚さは、平均で5nmである。
p側コンタクト層54は、平坦部54aと突起部54bとを有している。平坦部54aの厚さが、例えば4nm程度であり、突起部54bの高さが5nm程度である。突起部54bの密度を勘案すると、平坦部54aと突起部54bとを合計し平均したときのp側コンタクト層54の厚さは、5nm程度となる。
上記の結晶成長の後、温度を室温まで下げた。
上記のようにして得られた積層構造体10sの一部を、n側コンタクト層22の一部に達するまでドライエッチングによって除去した。これにより露出したn側コンタクト層22に、n側電極70となるTi/Pt/Auの積層膜を形成した。また、p側コンタクト層54の上には、p側電極80となるITO膜を形成した。
これにより、半導体発光素子が得られる。
実験においては、p側コンタクト層54となるp型GaN層の形成条件を変えて半導体発光素子を形成した。そして、p側コンタクト層54の表面状態を評価した。
図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示する模式図である。
図5(a)及び図5(b)は、参考例の半導体発光素子の特性を例示する模式図である。
すなわち、図4(a)及び図5(a)は、p側コンタクト層54となるp型GaN層の表面の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)像である。これらの像は、10μm四方の領域を示している。高さスケールは5nmである。
図4(b)及び図5(b)は、図4(a)及び図5(a)からそれぞれ得られるp側コンタクト層54の断面プロファイルである。図4(b)及び図5(b)の横軸は、X軸方向における位置である。縦軸は、Z軸方向に沿った表面の高さhである。図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る半導体発光素子110に対応し、図5(a)及び図5(b)は、参考例の半導体発光素子119に対応する。
半導体発光素子110と半導体発光素子119とでは、p側コンタクト層54となるp型GaN層の形成条件が異なる。具体的には、p側コンタクト層54となるp型GaN層の形成において、半導体発光素子110におけるp形不純物の供給量は、半導体発光素子119におけるp形不純物の供給量よりも多い。
図4(a)に表したように、半導体発光素子110においては、p側コンタクト層54に、突起部54bが形成されている。突起部54bは、多角錐台状である。
図4(b)に表したように、突起部54bの高さh1は0.5nm〜1nm程度である。複数の突起部54bの平坦部54aの側の部分の径d2は、約400nmである。この表面の二乗平均面粗さ(RMS)は、0.34nmである。
このように突起部54bを有する半導体発光素子110においては、接触抵抗は1.7×10−3Ωcmであった。
一方、図5(a)及び図5(b)に表したように、参考例の半導体発光素子119においては、p側コンタクト層54に明確な突起部が観察されない。この表面のRMSは、0.24nmであった。すなわち、p側コンタクト層54には突起部が形成されない。
なお、半導体発光素子119においては、接触抵抗は、5.0×10−2Ωcmであった。
このように、半導体発光素子110と半導体発光素子119とにおいて、突起部54bに差があり、接触抵抗にも差があった。
実施形態においては、p側コンタクト層54の表面の二乗平均面粗さ(RMS)は、0.3以上である。
このように、p側コンタクト層54となるp型GaN層の形成条件によって、p側コンタクト層54に突起部54bが形成される場合と、されない場合と、があることが分かった。p側コンタクト層54となるp型GaN層の形成条件を変えて試料を作製し、突起部54bの密度の変化を評価した。さらに、このときの接触抵抗及び駆動電圧を評価した。
図6(a)及び図6(b)は、半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
すなわち、図6(a)は接触抵抗を示し、図6(b)は駆動電圧を示す。これらの図の横軸は、突起部54bの密度Cp(Z軸方向に対して垂直な平面における突起部54bの密度)である。図6(a)の縦軸は、p側コンタクト層54とp側電極80との接触抵抗Rである。図6(b)の縦軸は、半導体発光素子の駆動電圧Vfである。駆動電圧Vfは、電流が20ミリアンペア(mA)のときの駆動電圧である。
図6(a)に表したように、突起部54bの密度Cpが0のとき、すなわち、突起部54bが形成さないときには、接触抵抗Rは、5×10−2Ωcmと大きい。この条件は、参考例の半導体発光素子119に相当する。突起部54bの密度Cpが高くなるに従って接触抵抗Rは低下する。しかしながら、密度Cpが1.5×10−8個/cmを超えると、接触抵抗Rは上昇する。このように、密度Cpが特定の値の範囲であるときに、接触抵抗Rは低減する。
密度Cpが高くなるに従って接触抵抗Rが低下するのは、密度Cpが高くなるに従ってp側コンタクト層54とp側電極80との接触面積が増大するためであると考えられる。密度Cpが高くなり過ぎると、例えば、Mgの偏析が生じ、p側コンタクト層54の結晶品質が低下し易い。このため、密度Cpが高くなり過ぎると、接触抵抗Rが上昇するものと考えられる。
図6(a)から、突起部54bの密度Cpが、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下であるときに、接触抵抗Rが低下することが分かる。すなわち、この範囲において、接触抵抗Rの低減の効果が実用的に得られる。
図6(b)に表したように、駆動電圧Vfは、突起部54bの密度が所定の範囲のときに低下する。特に、突起部54bの密度Cpが、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下であるときに、駆動電圧Vfが低い。
突起部54bの密度は、例えばAFM像を基に、一定の面積(例えば10μm四方など)あたりの突起部54bの数を計測することにより求められる。
実施形態に係る半導体発光素子110においては、突起部54bの密度Cpを上記の範囲に設定することで、接触抵抗Rを低減する。これにより、電流を増加しても発熱量が増大し難い。このため、発熱による発光特性の低下や信頼性の低下が抑制できる。すなわち、大電流を印加する高出力の半導体発光素子において、発光特性が向上でき、信頼性が向上できる。
突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成条件により変化することが分かった。例えば、突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成の際にp側コンタクト層54に導入するMg元素の濃度(平均の濃度)により変化する。
図7は、半導体発光素子の特性を例示するグラフである。
すなわち、同図は、p側コンタクト層54におけるMgの濃度Cmと、突起部54bの密度Cpと、の関係を示している。Mgの濃度Cmは、p側コンタクト層54を二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)法により分析した結果である。この分析においては、分析の面積は例えば200μm程度である。この分析においては、p形コンタクト層54における深さ方向と層面方向との両方における平均のMgの濃度が得られる。
図7に表したように、p側コンタクト層54におけるMgの濃度Cmが大きくなると、突起部54bの密度Cpは増大する。
例えば、Mgの濃度Cmが5×1019/cmのときは、突起部54bの密度Cpは、1×10個/cmである。例えば、Mgの濃度Cmが3×1020/cmのときは、突起部54bの密度Cpは、1.5×10個/cmに急激に増大する。そして、Mgの濃度Cmが3×1020/cmよりも高い範囲においては、突起部54bの密度Cpの変化は緩やかになる。
なお、Mgの濃度Cmが3×1020/cm〜1×1021/cmの範囲においては、Mgの濃度Cmが高くなると、突起部54bの大きさ(径d2)が増大する傾向があった。
Mgの濃度Cmが1×1020/cm以上1×1021/cm以下のときに、突起部54bの密度Cpは5×10個/cm以上、2×10個/cm以下である。
図7に例示した実験結果から、Mgの濃度Cmが1×1020/cm以上5×1021/cm以下のときに、突起部54bの密度Cpを5×10個/cm以上、2×10個/cm以下にできることが分かった。
従って、実施形態においては、p側コンタクト層54に含まれるMgの濃度(例えば平均の濃度)は、1×1020/cm以上、5×1021/cm以下にすることが望ましい。
さらに、具体的には、Mgの濃度(例えば平均の濃度)を1×1020/cm以上、1×1021/cm以下にすることが望ましい。
p側コンタクト層54に含まれるMgの濃度が1×1020/cmよりも低いと、p側コンタクト層54におけるMgの活性化が不十分となる。このため、p側コンタクト層54とp側電極80との間の接触抵抗Rが増大する。また、p側コンタクト層54に含まれるMgの濃度が5×1021/cmよりも高い場合、p側コンタクト層54における結晶品質が低下し、やはり、接触抵抗Rが増大する。
一般に、Mgを1×1020/cm以上の濃度でドープすると、結晶欠陥や極性反転が生じ、結晶品質が低下する。しかしながら、p側コンタクト層54に突起部54bを設けることで、高濃度でMgをドープしても欠陥や極性反転による劣化が生じ難くなる。これにより、Mgの高濃度ドーピングが可能となる。そのため、結晶品質が高い高濃度のp側コンタクト層54の形成が可能になる。
図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示する模式図である。
すなわち、図8(a)は、半導体発光素子110のp側コンタクト層54におけるMg元素の分布を3次元アトムプローブにより評価した結果の例を模式的に表す図である。この図の横方向はX軸方向(X軸方向の位置Xp)であり、縦方向はY軸方向(Y軸方向の位置Yp)である。これらの図において、画像の濃度が高い部分はMg元素の濃度が高い部分に対応し、画像の濃度が低い部分はMg元素の濃度が低い部分に対応する。
図8(b)は、半導体発光素子110のp側コンタクト層54に含まれるMgの濃度Cm1のX軸方向に沿った分布を示している。図8(a)の横軸は、X軸方向における位置である。図8(b)に示された位置X1及びX2は、図8(a)に示された位置X1及びX2にそれぞれ対応する。図8(b)の縦軸は、Mgの濃度Cm1である。濃度Cm1は、原子百分率で示されている。
図8(a)に表したように、p側コンタクト層54において、Mg元素の濃度が高い領域が形成されている。すなわち、Mg濃度が低い領域の中に、Mg元素の濃度が高い複数の領域が分散されている。このように、p側コンタクト層54は、Z軸方向に対して垂直な平面(X−Y平面)内に設けられた第1領域R1と、X−Y平面内において、第1領域R1内に分散された複数の第2領域R2と、を有している。第2領域R2に含まれるMgの濃度は、第1領域R1に含まれるMgの濃度よりも高い。
図8(b)に表したように、第1領域R1におけるMgの濃度Cm1は、約1原子パーセントである。第2領域R2におけるMgの濃度Cm1は、2.5〜3原子パーセントである。第2領域R2におけるMgの濃度Cm1は、第1領域R1におけるMgの濃度Cm1の2倍以上である。
このように、実施形態に係る半導体発光素子110においては、p側コンタクト層54において、Mg濃度が高い複数の第2領域R2が、分散されて形成されていることが分かった。
このように、Mg濃度にゆらぎが形成されることで、Mgを高濃度でドープしても極性反転が抑制されると考えられる。そして、Mg濃度にゆらぎが形成されることで、Mgを高濃度でドープしても欠陥の形成が抑制されると考えられる。これにより、高濃度でMgをドープでき、これにより、p側コンタクト層54とp側電極80との接触抵抗Rが低減でき、駆動電圧Vfが低下できると考えられる。
Mg濃度が高い複数の第2領域R2は、突起部54bに対応する。
すなわち、複数の突起部54bに含まれるMgの濃度は、平坦部54aに含まれるMgの濃度よりも高い。例えば、複数の突起部54bに含まれるMgの濃度は、平坦部54aに含まれるMgの濃度の2倍以上である。例えば、複数の突起部54bに含まれるMgの濃度は1原子パーセント程度であり、平坦部54aに含まれるMgの濃度は2.5〜3原子パーセントである。
本実施形態においては、p側コンタクト層54に複数の突起部54bを設けることで、この突起部54bにおけるMg濃度を局所的に高めている。すなわち、Mg濃度が低い領域(第1領域R1であり、平坦部54a)と、局所的にMg濃度が高い領域(第2領域R2であり、突起部54b)と、が形成される。
突起部54bの密度が高くなりすぎると、Mg濃度が高い領域の分布が実質的に平均化される。すなわち、p側コンタクト層54にMg濃度が高い部分が一様に形成されることに相当する。このため、この状態においては、結晶の欠陥が発生し易く、欠陥が拡大し易い。このため接触抵抗Rが増大する。
これに対し、実施形態においては、Mg濃度が高い領域(第2領域R2)の密度を適切に制御することで、極性反転が抑制でき、欠陥の発生が抑制できる。すなわち、実施形態においては、Mg濃度が高い領域(第2領域R2)のX−Y平面(Z軸方向に対して垂直な平面)における密度は、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下とされる。これにより、接触抵抗Rを低減できる。そして、駆動電圧Vfを低減できる。
すなわち、Mg濃度の高い領域を局在させることで、高濃度ドープによる結晶品質の低下が抑制される。これにより、従来に比べ高濃度のドーピングが可能となり、接触抵抗Rの大幅な低減が可能となる。
なお、上記は、p形不純物としてMgを用いた場合について説明したが、実施形態はこれに限らない。p形不純物として、Mg、Zn及びCなどの種々の元素を用いることができる。この場合においても、p形不純物の高い領域を局在させることで、高濃度ドープによる結晶品質の低下が抑制される。
すなわち、第2領域R2に含まれるp形不純物の濃度は、第1領域R1に含まれるp形不純物の濃度よりも高い。そして、複数の突起部54bに含まれるp形不純物の濃度は、平坦部54aに含まれるp形不純物の濃度よりも高い。
図9(a)〜図9(d)は、実施形態に係る半導体発光素子の特性を例示する模式図である。
すなわち、これらの図は、p側コンタクト層54に種々の処理を施した後のp側コンタクト層54の表面の凹凸形状を示している。これらの図は、p側コンタクト層54の表面を原子間力顕微鏡で評価した結果から求められている。図9(a)はp側コンタクト層54を形成した直後の状態に対応している。図9(b)は、エタノール(3分間)及び水(10分間)の処理後の状態に対応している。図9(c)は、NHF(3分間)及び水(10分間)の処理後の状態に対応している。図9(d)は、HCl(+HO)(20分間)及び水(10分間)の処理後の状態に対応している。
図9(a)に表したように、p側コンタクト層54を形成した直後においては、突起部54bの高さ(高さh1)は、1.8nmであり、径d2は190nmである。このときのRMSは、0.54nmである。
図9(b)に表したように、エタノール及び水の処理後においては、突起部54bの高さh1は、2.8nmであり、径d2は380nmである。このときのRMSは、0.45nmである。
図9(c)に表したように、NHF及び水の処理後においては、突起部54bの高さh1は、3nmであり、径d2は250nmである。このときのRMSは、0.45nmである。
図9(d)に表したように、HCl(+HO)及び水の処理後においては、突起部54bの高さh1は、2.5nmであり、径d2は250nmである。このときのRMSは、0.41nmである。
このように、p側コンタクト層54に種々の薬液による処理を施しても、突起部54bの構造は実質的に変化しない。
なお、p側コンタクト層54の表面に極性反転層が形成されると、例えば上記のような薬液による処理により極性反転層がエッチングされる。このため、この場合には、上記のような薬液による処理によって、表面の凹凸のプロファイルは大きく変化する。
実施形態においては、極性反転層が形成されておらず、種々の薬液の処理を実施しても、p側コンタクト層54の表面の凹凸(突起部54b)のプロファイルは安定である。
既に説明したように、突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成の際にp側コンタクト層54に導入するMg元素の濃度により変化する。さらに、突起部54bの密度Cpは、他の条件にも依存する。例えば、突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成の際の成長速度にも依存する。実験によると、成長速度が遅いと密度Cpが増大する傾向がある。また、突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成の際の温度にも依存する。実験によると、成長温度が高いと密度Cpが増大する傾向がある。また、突起部54bの密度Cpは、p側コンタクト層54の形成の際のキャリアガスにも依存する。実験によると、成長雰囲気中の窒素分圧が大きいと密度Cpが増大する傾向がある。
実施形態において、p側電極80として、金属酸化物などの透明電極を用いた場合に、接触抵抗Rの低下、及び、駆動電圧Vfの低減の効果は、大きくなる。すなわち、p側電極80として、NiやAuなどの金属を用いた場合には、p形半導体層50との接触抵抗は比較的低い。しかしながら、p側電極80として、ITOなどの金属酸化物を用いた場合には、接触抵抗が高くなりやすい。このため、実施形態の構成を金属酸化物に基づくp側電極80と組み合わせることで、接触抵抗の低下及び駆動電圧の低減の効果が特に高く発揮される。p側電極80として、金属酸化物に基づく透明電極を用いることで、発光層40から放出された光を効率良く取り出すことができる。
このように、半導体発光素子110においては、p側電極80は、発光層40から放出される光に対して透光性を有することが望ましい。そして、p側電極80は金属酸化物を含むことが望ましい。
ところで、半導体層に凹凸を設け、発光光の光路を変化させて、光取り出し効率を向上する構成がある。例えば、半導体層に、選択成長によって突起部を形成する方法がある。このときの突起部の高さは約1.5μmである。また、半導体層として、ウエットエッチングにより形成された凹凸を有する極性反転層を用いる構成もある。この場合において、極性反転層の望ましい厚さは、0.1μm以上(さらに望ましくは0.3μm以上)である。
このように、凹凸によって発光光の光路を変化させる場合には、発光光の波長程度の大きさの凹凸が用いられる。すなわち、発光光の波長よりも著しく小さい凹凸においては、発光光の光路を実質的に変化させない。例えば、発光光の波長の1/4以下の大きさの凹凸においては、光路を変化させる効果が小さい。
実施形態に係る半導体発光素子110においては、複数の突起部54bのZ軸方向に沿った高さ(高さh1)は、発光層40から放出される光の主波長の1/4の長さよりも小さい。実施形態においては、突起部54bによって、光路の変化の効果を得るのではなく、接触抵抗Rを低減する効果を得る。
一方、リソグラフィとエッチングを用いた選択成長により六角錐の周期的な構造を形成する方法もある。
これに対し、実施形態は、選択成長を用いずにp側コンタクト層54の突起部54bを形成する。このため、突起部54bは、平坦部54aの上の任意の位置にランダムに形成される。そして、選択成長法を用いないため、製造が簡便である。
なお、実施形態に係る半導体発光素子110(及び110a)の構成の例及び製造条件の例について説明する。ただし、以下は一例であり、種々の変形が可能である。
基板10には、サファイア、GaN、SiC、Si及びGaAsなどの各種の材料を用いることができる。n形不純物として、Si、Ge、Te及びSnなどの種々の元素を用いることができる。
下地層21の厚さは、例えば2μmである。下地層21にはn形不純物をドープしても良い。n側コンタクト層22の厚さは、例えば4μmである。n側コンタクト層22におけるSiのドーピング量は、例えば、2×1018/cm程度とされる。なお、下地層21及びn側コンタクト層22の成長温度は、いずれも1000℃以上1200℃以下とされる。また、n側コンタクト層22として、GaN層ではなく、厚さが4μm程度のIn0.01Ga0.99Nを用いても良い。In0.01Ga0.99Nを用いる場合の成長温度は、700℃以上900℃以下である。
多層積層体30の第1層及び第2層の成長温度は、700℃以上900℃以下である。第1層及び第2層の少なくともいずれかには、Siなどのn形不純物をドープしても良い。
井戸層の成長温度は、例えば600℃以上900℃以下である。障壁層の成長温度は、井戸層の成長温度以上である。障壁層の成長温度は、例えば、600℃〜1100℃である。このように、井戸層よりも高い温度で障壁層を形成することで発光層40の結晶欠陥を低減することができる。
発光層40には、Siなどのn形不純物や、Mgなどのp形不純物をドープしても良い。これらの不純物は、井戸層及び障壁層の両方にドープしても良く、井戸層及び障壁層の少なくとも一部のみにドープしても良い。
第1p形層51には、p形不純物がドープされたAl0.2Ga0.8Nが用いられる。第1p形層51の厚さは、例えば10nm程度である。第1p形層51におけるMgの濃度は、例えば1×1019/cm程度とされる。第1p形層51の成長温度は、例えば900℃以上1100℃以下である。
第2p形層52の厚さは、例えば100nm程度である。第2p形層52におけるMgの濃度は、例えば1×1019/cm程度とされる。第2p形層52の成長温度は、例えば900℃以上〜1100℃である。
第3p形層53の厚さは、例えば5nmである。第3p形層53におけるMgの濃度は、例えば1×1020/cm程度である。
p側コンタクト層54の厚さは、例えば5nmである。p側コンタクト層54におけるMgの濃度は、第3p形層53におけるMgの濃度よりも高い。
半導体発光素子110における半導体層の結晶成長においては、例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)または分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などが用いられる。
上記において、半導体発光素子110(及び110a)は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。LEDの発光波長は、紫外、紫色、青色、青緑色、緑色または赤色とすることができる。さらに、実施形態は、紫外、紫色、青色、青緑色、緑色または赤色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などに応用できる。
実施形態によれば、駆動電圧が低い半導体発光素子が提供される。
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれるn形半導体層、p形半導体層、発光層及び電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…基板、 10a…第1主面、 10b…第2主面、 10s…積層構造体、 11…バッファ層、 20…n形半導体層、 21…下地層、 22…n側コンタクト層、 30…多層積層体、 40…発光層、 50…p形半導体層、 51…第1p形層、 52…第2p形層、 53…第3p形層、 54…p側コンタクト層、 54a…平坦部、 54b…突起部、 70…n側電極、 80…p側電極(電極)、 110、110a、119…半導体発光素子、 BL1〜BLn、BLp…障壁層、 Cm…濃度、 Cm1…濃度、 Cp…密度、 R…接触抵抗、 R1、R2…第1及び第2領域、 Vf…駆動電圧、 WL1〜WLn…井戸層、 X1、X2、Xp…位置、 Yp…位置、 d1、d2…径、 h1…高さ

Claims (5)

  1. n形半導体層と、
    電極と、
    前記n形半導体層と前記電極との間に設けられ、前記電極に接するp側コンタクト層を含むp形半導体層と、
    前記n形半導体層と前記p形半導体層との間に設けられた発光層と、
    を備え、
    前記p側コンタクト層は、前記n形半導体層から前記p形半導体層に向かう第1方向に向かって突出した複数の突起部を含み、
    前記複数の突起部の先端部分の前記第1方向に対して垂直な平面で切断した径は、前記複数の突起部の前記先端部分とは反対側の部分の径よりも小さく、前記突起部は錐状であり、
    前記複数の突起部の前記第1方向に沿った高さは、前記発光層から放出される光の主波長の1/4の長さよりも小さく、50ナノメートル以下であり、
    前記複数の突起部の密度は、5×10個/cm以上、2×10個/cm以下であり、
    前記複数の突起部に含まれるMgの濃度は、前記突起部以外の部分に含まれるMgの濃度よりも高いことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記p側コンタクト層に含まれるMgの濃度は、1×1020/cm以上、5×1021/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記電極は、前記発光層から放出される光に対して透光性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記電極は金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
  5. 前記突起部は多角状であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
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