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JP5004946B2 - 背面投射アレイ・システムを用いた薄型大画面ディスプレイ - Google Patents

背面投射アレイ・システムを用いた薄型大画面ディスプレイ Download PDF

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Description

本発明は、薄型大画面ディジタル背面投射ディスプレイ装置を製造するための方法、装置、システムに関する。
ディジタル高精細度(HD)ビデオ・テクノロジの出現によって、画面サイズの大きい(対角線サイズが50”を超える画面)を備えたHDテレビジョンに対する驚異的な需要が喚起されている。プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)を含み、さらに、ディジタル・マイクロ・ミラー・デバイス(DMD)またはシリコン基板に載せた反射型液晶(LCOS)デバイスを利用する高精細表示デバイス・ベースの背面投射(RP)ディスプレイ装置を含む、いくつかのテクノロジがこの需要に対処する態勢を整えている。これら競合するテクノロジのそれぞれには、(1)所定の画面対角線サイズに対して、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイは、一般に、背面投射ディスプレイよりも高価である、(2)PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイは、一般に、背面投射ディスプレイよりはるかに薄い、(3)PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイは、一般に、壁に取り付けるのに十分なほど薄いが、こうしたディスプレイは、壁への取付けが困難になりかねないほど重くなりがちである、(4)背面投射ディスプレイは、一般に、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイよりもコスト有効度が高い、(5)背面投射ディスプレイでは、薄型の形状因子が得られず、結果として、室内において占めるスペースが大きくなりすぎる可能性があり、背面投射ディスプレイが大画面ディスプレイとして選択されるディスプレイではないといった、長所と欠点がある。
この背景の論考の目的に対して、各種ディスプレイ・テクノロジの形状因子の定量比較するために下記のパラメータを用いる。
− 奥行対画面の対角線比であるR1
− 全高対画面の高さ比であるR2。
PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイは、形状因子比R1が0.12〜0.15の範囲内であり、R2が1.05〜1.07の範囲内である。比べて、典型的な背面投射ディスプレイは、形状因子比R1が0.4〜0.5の範囲内であり、R2が1.3〜1.5の範囲内である。以下での背景の論考において、ディスプレイ装置は、その形状因子比R1が0.15以下の範囲内で、形状因子比R2が1.07以下の範囲内である場合、薄型とみなされる。
図1には、典型的な先行技術の背面投射ディスプレイ装置が例示されている。一般に、背面投射ディスプレイ装置100は、投射光学エンジン110と、フォールディング・ミラー120、125と、スクリーン130を備えている。投射光学エンジン110は、さらに、投射光学素子111と、カラー・ホイール112と、光源ランプ113と、冷却ファン114と、さらに光学エンジン110のシャーシに取り付けられる、フォーマッタ基板117上のマイクロ・ディスプレイ・デバイス駆動電子回路と共に、取り付けられる冷却フィン118を備えたマイクロ・ディスプレイ・デバイス115(DMDまたはLCOSデバイスのような)を備えている。投射光学エンジン110によって、表示すべき映像が発生し、この映像がさらにフォールディング・ミラー120、125によってスクリーン130に向けられる。光学エンジンは、光がカラー・ホイール112の赤、緑、青のセグメントを透過した後、ピクセル・グレースケール入力を備えた、マイクロ・ディスプレイ・デバイス115を利用して、光源ランプ113によって発生する光を変調して、投射すべき映像を生成する。フォーマッタ基板117上の電子回路によって、マイクロ・ディスプレイ・デバイスの動作とカラー・ホイール112の赤(R)、緑(G)、青(B)セグメントの順番との同期がとられる。背面投射ディスプレイ装置100の奥行は、その投射スクリーン130の対角線サイズ、投射光学素子111の投射距離比特性(投射距離対スクリーンの対角線サイズの比として定義される)、用いられるフォールディング・ミラー120、125の数によって決まる。単一フォールディング・ミラーと、投射距離比が0.45の光学エンジンを利用する、スクリーンの対角線サイズが50”の現在市販されている背面投射装置は、奥行が15”で、スクリーンの下の高さが7.5”であり、その形状因子比がR1=0.3及びR2=1.37になる。
光源ランプ113の輝度入力に対するスクリーンにおける輝度出力の観点からすると、現在市販されている背面投射ディスプレイ装置の効率は、一般に9%〜12%の範囲内である。背面投射ディスプレイ装置のこの輝度効率不足は、主として、カラー・ホイール112が光源によって発生する輝度の少なくとも2/3を遮るという事実に起因する。光源ランプ113自体の効率と相俟って、背面投射ディスプレイ装置の輝度効率不足は、一般に少なくとも1つの冷却ファン114と追加の冷却フィン11を必要とする温度管理問題を生じる一因となる。この温度管理問題は、利用可能な光源ランプ113の輝度に制限を課すことになりがちであり、従って、拡散コンポーネントとフレネル・コンポーネントを備えた投射スクリーン130用いて、投射出力を平行にする必要を指示するものである。スクリーン130にフレネル・コンポーネントを追加すると、コストが増大し、視角に応じてスクリーンの明るさを変動させることになる。大画面投射に十分な輝度を生じさせるために必要な光源ランプ113として一般に用いられる高圧アーク灯は、一般に効率不足であるだけでなく、極めて寿命も短く、信頼性も劣る。こうした信頼性の低さは、モータ駆動によるカラー・ホイールと冷却ファンに固有の信頼性の乏しさと相俟って、図1の大型スクリーン背面投射装置の信頼性全体をいっそう悪化させることになる。
奥行が12”の範囲内の、スクリーン対角線サイズの大きい薄型背面投射ディスプレイ装置が開発されている。しかしながら、こうした薄くなった背面投射ディスプレイ装置は、一般に非球面鏡の利用に依存するが、非球面鏡は製造が困難で、アライメントをとるのが困難であり、その結果、こうしたディスプレイは高価になる(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。図2には、非球面鏡の利用を克服したもう1つの先行技術による薄い背面投射ディスプレイ装置200が例示されている(例えば、特許文献5、6、7参照)。図2に例示のこの薄型背面投射ディスプレイ装置200には、映像を投射するための広角光学エンジン210と、複数のフォールディング・ミラー220〜230と、投射映像を表示するだけではなく、フォールディング・リフレクタの働きもするように設計されたスクリーン240が含まれている。スクリーン240のフレネル・コンポーネントには、1つの角度からスクリーンに入射する光を反射し、もう1つの角度からスクリーンに入射する光を透過するように構成された複数の角度オフセット反射素子250が含まれている。薄型背面投射ディスプレイ装置200は、典型的な投射距離比が0.12の範囲内の広角光学エンジンの利用と、投射光円錐の複数のフォールディングに依存して、その薄い奥行を実現する。前者の技法は、投射光学素子を極めて高価なものにしがちであり、一方、後者の技法は、スクリーン領域の下に必要とされる高さを大幅に増すことになりがちである。図2の薄型背面投射ディスプレイ装置200は、0.15の範囲内の奥行対スクリーン対角線サイズ比R1を実現することが可能であるが、その全高対スクリーン高比R2は1.57の範囲内になる可能性がある。事実上、図2の薄型背面投射ディスプレイ装置200の奥行は、背面投射ディスプレイのコスト及びその全高対スクリーン高比R2の大幅な増大を代償にして薄くなる。さらに、用いられる複数の光円錐フォールディングは、光円錐のアライメントを極めて複雑にする傾向があるので、背面投射ディスプレイ装置の製造が困難になり、従って、いっそうコストを増すことになる。さらに、特殊なフレネル設計の利用と複数の光円錐フォールディングの利用とが相俟って、ディスプレイ装置の輝度効率をいっそう劣化させることになりがちであり、このため、その明るさ性能が不足することになる。広角光学エンジン、複雑なフレネル設計を施した二重目的スクリーン、及び、複数の光円錐フォールディングを利用すると、図2の薄型背面投射ディスプレイ装置200は、図1に例示の背面投射ディスプレイ装置100よりもはるかに高価なものになる。さらに、図2の薄型背面投射ディスプレイ装置200は、図1に例示の背面投射ディスプレイ装置100と同じ信頼度性能不足という欠点がある。
図3には、信頼性を向上させる先行技術による投射ディスプレイ装置300のアプローチが例示されている(例えば、特許文献8参照)。先行技術による投射ディスプレイ装置300は、投射装置における光源として一般に用いられる高圧アーク灯の代わりに、光源として発光ダイオード(LED)素子を用いることによって信頼性の向上を達成している。先行技術による投射ディスプレイ装置300には、電源320によって電力供給される赤(R)、緑(G)、青(B)のLED素子310のアレイと、LEDアレイを冷却するためのファン330と、アレイ・カバー・プレート315と、LEDアレイによって発生するRGB光を光インテグレータ350にガイドする光ファイバ束340と、発生した光をマイクロ・ディスプレイ・デバイス370に向ける光路レンズ群360と、マイクロ・ディスプレイ・デバイス370によって発生した映像を投射する投射光学素子群380と、ディスプレイ・コントローラ390とが含まれている。ディスプレイ・コントローラ390は、外部ソースからカラー映像データを受信すると、その映像データを、赤、緑、青の順次フレーム映像データに処理し、その順次フレームが、電源320に送られる信号と適正に同期してマイクロ・ディスプレイ・デバイス370に伝達され、対応するカラーの発光をするLED素子310のアレイを作動させる。先行技術による投射ディスプレイ装置300の場合、ディスプレイ装置100、200のような投射ディスプレイ装置に一般に用いられる高圧アーク灯とカラー・ホイールが、その発光カラーがディスプレイ・コントローラ390によって順序づけられるLEDアレイ310に置き換えられている。そのようにする主たる動機は、高圧アーク灯とカラー・ホイールに関連した非効率、温度管理、信頼性の問題を一掃しようとすることであろうが、先行技術による投射ディスプレイ装置300の場合、LED素子は比較的近接して配置されており、そのため、とりわけ、LED素子の接合部温度が過度に上昇すると、その性能がかなり劣化し、温度管理に慎重な考慮が必要となる問題として再浮上する。さらに、先行技術による投射ディスプレイ装置300では、光源アセンブリの集積化が極めて面倒で、複雑なものになり、従って、複雑でコストのかかるディスプレイ装置を生じることになる、LEDアレイ310、アレイ・カバー・プレート315、光ファイバ束340、光インテグレータ350、光路レンズ群360から構成される複雑なシステムを利用することによって、そのアパーチャと輝度出力の観点から、光源として文字通り高圧アーク灯に取って代わるものものとしてLEDアレイ310が用いられる。さらに、先行技術による投射ディスプレイ装置300には、赤色、緑色、青色LED素子の性能が異なる率で劣化し、経時的に及び温度変化につれてカラー・シフトを生じるため、LED素子は色定点を維持することがほとんど不可能であるという事実を補償するための対策が取り入れられていない。さらに、先行技術による投射ディスプレイ装置300には、固定されたカラーポイント投射出力の維持にとって重大な、LED素子の色と明るさの出力を検知して、制御する対策も取り入れられていない。前述の弱点のため、先行技術による投射ディスプレイ装置300に用いられる光源としてLED素子を利用するためのアプローチは、スクリーン・サイズの大きい背面投射ディスプレイ装置に用いるのには実行可能ではないであろう。
以下の詳細な説明から明らかになるように、本発明のスクリーン・サイズが大きい薄型の背面投射ディスプレイは、それぞれ、一緒にタイリングされて、シームレスな合成映像を生成する出力部分映像の一部を投射するマイクロプロジェクタのアレイを利用する。その構成セグメントをタイリングすることによって映像を生成するディスプレイに関連した多くの先行技術が存在する。例えば、コスト有効度が高くスクリーン・サイズの大きいLCDディスプレイを製造するため、米国特許第5,563,470号明細書には、より小さいサイズのLCDパネルをタイリングすることによって、大画面のLCDディスプレイを作り上げるためのアプローチの記載がある。Lowe他、「A Novel Approach to Tiled Displays」、Society for Information Display(SID) Digest 2000、Needham、「Case study:Building the Market for aTiled Display Solution」、Information Display、2003年10月、Krusius他、「Seamless Tiling Technology for Large Direct−View Color AMLCD’s」、Society for Information Display(SID) Digest 2000、及び、Krusius他、「Seamless Tiling of AMLCD’s for Large Area Displays」、Society for Information Display(SID) Digest 2002には、全て、LCDディスプレイ・パネルの継目全体にわたる視覚的連続性を実現するための技法の記載がある。米国特許第6,690,337号明細書には、視覚的連続性を実現するためにディスプレイ・パネルを傾斜させた状態で、継目の見える複数のタイリングされたデスクトップ・ディスプレイ・パネルを利用するビデオ・ディスプレイ・システムの記載がある。複数のフルサイズの背面投射ディスプレイのタイリングを利用した大会場壁面ディスプレイが、継目が見えるが、いくつかの供給業者から市販されており、例えば、スタック可能なディスプレイ・キューブがサムソンや三菱から市販されている。米国特許第6,254,239号には、フルサイズの背面投射ディスプレイ・システムのタイリングを利用して、シームレスな合成映像を生成する大会場壁面ディスプレイ用の装置の記載がある。米国特許第4,974,073号明細書、米国特許第5,136,390号明細書、米国特許第6,115,022号明細書、米国特許第6,760,075号明細書には、複数のタイリングされたビデオ・プロジェクタによって生じる映像をシームレスにまとめるためのルックアップ・テーブルをベースにしたエッジ・ブレンディング法の記載がある。米国特許第4,974,073号明細書、米国特許第5,136,390号明細書、米国特許第6,115,022号明細書、米国特許第6,254,239号明細書、米国特許第6,760,075号明細書には、複数のプロジェクタをシームレスにタイリングするための方法の記載があるが、これらの方法では、用いられる複数のプロジェクタにわたって色と輝度の均一性を保つという重大な問題に対処することができない。米国特許第6,568,816号明細書では、単一光源ランプによって発生する光を複数のプロジェクタ・ヘッドに対して分散させる複数の光ビーム・スプリッタを備えた、単一光源ランプを用いることによって、複数プロジェクタにわたる均一な色と輝度の問題に対処している。事実上、米国特許第6,568,816号明細書に記載の方法によれば、スプリッタにおける光損失に起因する輝度効率の深刻な劣化を代償にして、複数プロジェクタにわたる色と輝度の均一性が実現されるであろう。一般に、米国特許第4,974,073号明細書、米国特許第5,136,390号明細書、米国特許第6,115,022号明細書、米国特許第6,254,239号明細書、米国特許第6,568,816号明細書、米国特許第6,760,075号明細書に記載の装置及び方法は、大会場壁面ディスプレイには適するであろうが、その結果得られる実施例は、かさばったものになり、従って、消費者に望ましいサイズ及び形状因数の大型スクリーン背面投射ディスプレイ装置の製造には適さない。
セグメントをタイリングすることによって映像を生成するディスプレイに関連した多くの既存の先行技術にもかかわらず、その構成要素である部分映像セグメントをタイリングすることによって得られるシームレスな合成映像を生成する、一体型で消費者に望ましいサイズと形状因数の大型スクリーン(50”以上のスクリーン対角線サイズ)の背面投射ディスプレイ装置について記載したものは見当たらない。
各種ディスプレイ・テクノロジの長所と欠点を比較検討する場合に、消費者には、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイによって得られる薄型形状因子に惹かれるが、一般にこうしたディスプレイのより高くなるコストに対処するため、より小さいスクリーン・サイズを選択する傾向がある。こうした傾向や、現在入手可能なディスプレイの前述の弱点に鑑みて、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイに匹敵する薄型形状因子を備える信頼性の高い大きいスクリーン対角線サイズであるが、現行の背面投射ディスプレイに匹敵する価格の背面投射ディスプレイが、かなりの市場価値を有しているのは確実である。
同様の参照番号が同様の構成要素を表わす添付の図面の図には、本発明が、制限のためではなく、例証のために例示されている。
本発明の望ましい実施形態によれば、薄型の形状因子と高信頼性を備える、コスト有効度の高い大型スクリーン背面投射ディスプレイのための装置、方法、システムが提供される。この目的は、大型スクリーン・ディスプレイ装置を形成するように空間的に配列されたマイクロ・プロジェクタ・アレイを利用する新規の独創的な方法、装置、システムを用いることによって達成される。大型スクリーン投射光円錐をより小さい光円錐に空間的に分割することによって、形状因子比R1が0.15の範囲内で、R2が1.05の範囲内の薄型ディスプレイを製造することが可能になる。投射光円錐を小さくするには、単一LED素子によって発生することが可能な輝度範囲内に十分に収まる、より輝度の弱い光源が必要になる。さらに、マイクロ・プロジェクタ・アレイ全域にわたるLED素子の広い空間配置が、効率の良い温度管理に役立つ。さらに、各マイクロ・プロジェクタによって投射されることが必要な映像ピクセル数が少なくなるので、光学部品が小さくなり、より重要なことには、マイクロ・ディスプレイ・デバイスのダイ・サイズも小さくなり、そのため、アレイに用いられるマイクロ・プロジェクタのコスト有効度が高くなる。閉ループ・フィードバック・システムを用いて、投射アレイ全体にわたる明るさと色の均一性が維持され、温度に応じた、及び、経時的なLED素子の明るさと色のドリフトとが補償される。結果得られる背面投射アレイ・ディスプレイ装置は、コスト有効度が高く、薄型の形状因子を有し、高い信頼性を示す。
本発明の各種態様のさらなる目的及び利点については、添付の図面に関連して進められる、その望ましい実施形態に関する下記の詳細説明から明らかになる。それに関して、下記の本発明の詳細説明における「1つの実施形態」または「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載の特定の特徴、構造、または、特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを表わしている。この詳細説明のさまざまな場所に現れる「1つの実施形態」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。
ここでは、薄型背面投射ディスプレイ・システムについて述べる。以下の説明において、解説を目的とし、本発明の完全な理解が得られるようにするため、多くの具体的細部にわたって説明がなされる。しかし、当該技術者には明らかなように、具体的細部が異なっても、本発明を実施することが可能である。他の事例については、本発明を曖昧にすることがないように、構造及び装置がブロック図の形態で示される。
「背面投射アレイ・ディスプレイ」と呼ばれる、本明細書に記載の薄型背面投射ディスプレイ装置には、複数のマイクロ・プロジェクタが含まれている。背面投射アレイ・ディスプレイを構成する複数のマイクロ・プロジェクタは、グリッドの頂点に沿ったアレイとして配列されていて、マイクロ・プロジェクタ・アレイによって生じる集合的投射部分映像から構成される、均一でシームレスな映像を協働で投射する。アレイ・コントローラは、各マイクロ・プロジェクタ毎に、投射すべき映像の一部を提供し、投射映像全体にわたって明るさと色の均一性を維持するための制御信号を供給する。
図4には、本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の断面図が例示されている。背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、背板402に取り付けられ、ディスプレイ・シャーシ403の内側背面に取り付けられている複数のマイクロ・プロジェクタ401と、各マイクロ・プロジェクタ401の背面毎に1つずつに取り付けられて、ディスプレイ・シャーシ403の背面の開口を通って外部に突き出している複数の冷却フィン404と、ディスプレイ・シャーシ403の正面開口部内に組み付けられたセパレータ405と、さらにディスプレイ・シャーシ403の正面開口部に組み付けられている、ベゼル407のアパーチャ縁の裏側に取り付けられた投射スクリーン406と、さらに背板402に取り付けられている、電子回路ボックス409内に収容されたアレイ・コントローラ基板408を備えている。
背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の図4の断面図において、セパレータ405が、マイクロ・プロジェクタ401の投射光円錐を閉じ込め、光漏洩を阻止するために利用されている。また、投射光円錐間及びディスプレイ・シャーシ403の外囲構造内において背板402に取り付けられた電子回路ボックス409が、アレイ・コントローラ基板408やディスプレイ電源410を収容するために用いられ、電磁干渉(EMI)シールドとしての働きもしている。電子回路ボックス409は、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400を薄型背面投射テレビジョン(RPTV)にするために追加されるであろう、ビデオ基板やオーディオ基板といった他の電子回路基板411の収容に利用することも可能である。
図4に例示の本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置の実施形態は、12のマイクロ・プロジェクタからなるアレイを用いることによって高精細度(16:9のアスペクト比)の大画面投射が実現されることを示している。1つの事例として、図4の背面投射アレイ装置のスクリーンの対角線サイズが50”の場合、アレイをなすマイクロ・プロジェクタ401のそれぞれによって投射される映像セグメントの対角線サイズは13.6”になる。この事例の場合、投射距離比が0.4のマイクロ・プロジェクタ401は、5.45”の投射距離で必要な映像セグメントの対角線サイズを生成することになるが、これによって、本発明のスクリーンの対角線サイズが50”の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、マイクロ・プロジェクタ401の背後に余分な1”の奥行を割り振った後の全奥行が6.5”未満になる。この事例の場合、図4に例示された本発明のスクリーンの対角線サイズが50”の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、奥行が6.5”で、全高が26”になるが、これは、形状因子比R1=0.13及びR2=1.06と同じである。この事例の同じマイクロ・プロジェクタ仕様を用いると、図4に例示された本発明のスクリーンの対角線サイズが60”の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、奥行が7.5”で、全高が31”になるが、これは、形状因子比R1=0.125及びR2=1.06と同じである。当該技術者には明らかなように、投射距離比が上記事例において用いられる0.4未満のマイクロ・プロジェクタ401を用いると、R1比がより小さい背面投射アレイ・ディスプレイ装置を得ることができる。
図4に例示された本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の実施形態は、12のマイクロ・プロジェクタからなるアレイを用いることによって高精細度(16:9のアスペクト比)の大画面投射が実現されることを示している。当該技術者には明らかなように、図4に例示のものとは異なる数のマイクロ・プロジェクタ401を利用した、多様な構成の背面投射ディスプレイ装置400が可能である。1つの事例として、図4の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の解像度が1280×720ピクセル(720pのHD解像度)の場合、アレイをなすマイクロ・プロジェクタ401のそれぞれによって投射される映像セグメントは、320×240ピクセルになる。図4の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の解像度が1920×1080ピクセル(1080pのHD解像度)の場合、アレイをなすマイクロ・プロジェクタ401のそれぞれによって投射される映像セグメントは、480×360ピクセルになる。これらの事例において、各マイクロ・プロジェクタ401によって投射される映像セグメントの生成に用いられるマイクロ・ディスプレイ・デバイス416のダイ・サイズは、匹敵する解像度の背面投射ディスプレイ装置のダイ・サイズの1/12になる。半導体素子の製造歩留まりは一般にそのダイ・サイズに反比例するので、この1/12というマイクロ・ディスプレイ・ダイ・サイズの縮小は、結果として、マイクロ・ディスプレイ・デバイスの製造歩留まりを少なくとも12倍に高めることになり、さらに、結果として、もっと大幅にコストを低下させることができる。
図4に例示された本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の実施形態は、12のマイクロ・プロジェクタ401のアレイからなるアレイを用いることによって高精細度(16:9のアスペクト比)の大画面投射が実現されることを示している。1つの事例として、図4の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400のスクリーンの対角線サイズが50”の場合、150ワットの高圧アーク灯で照明される、スクリーンの対角線サイズが同じ従来の背面投射ディスプレイ装置100に匹敵する明るさ性能になるようにするのに必要な投射出力光束は、450ルーメンの範囲内になる。図4に例示された背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の12の映像セグメント(部分映像)間で必要な450ルーメンを分割すると、アレイに用いられるマイクロ・プロジェクタ401のそれぞれの出力光束は、37.5ルーメンの範囲内になるが、これは、光学効率が0.4のマイクロ・プロジェクタ401によって、光束出力が83ルーメンの範囲内のLED素子を用いて実現させることができる。現在市販されている高光束LED素子412は、3ワット未満の電力消費でこのレベルの輝度出力を発生させることが可能であり、照明装置によって生じる、この事例の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の電力消費は、合計で36ワット未満ということになる。照明装置(光源)の電力消費のこの1/4を超える節減により、とりわけ、図4に例示のような、マイクロ・プロジェクタ401内へのLED素子の配置及び背板402全体にわたるその空間的に分散した配置と、高圧アーク灯に比べた場合のLED素子のはるかに高い信頼性を考慮すると(図1、2)、温度管理の仕組みがかなり容易になり、信頼性が大幅に向上する。
LED素子テクノロジの急速な進歩によって、50−80ルーメン/ワットを超える光束効率をもたらすLED素子が、既に市販可能になり始めている。3ワット駆動レベルの前述の事例にこうした高光束LED素子を利用すると、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、視角に関係なく、800−1200ルーメン出力の範囲内の輝度で映像を生成することができる。先行技術による背面投射ディスプレイ装置100、200(図1、2)の場合、こうした輝度出力性能には、250ワットを超える光源ランプ113が必要になるが、これは、その輝度効率の悪さ及び結果生じる温度管理と信頼性の問題に鑑みて実現不可能であろう。さらに、50−80ルーメン/ワットのLED素子を用いて実現することが可能なこの輝度出力レベルによって、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、フレネル・スクリーン・コンポーネントを利用する必要がなくなり、さらに、そのコスト削減に寄与することになる。
従来の背面投射ディスプレイ装置100、200と比較すると、スクリーンの対角線サイズが50”を超える場合、図4の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の形状因子比は、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイ装置に匹敵する。さらに、図4の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、背面投射ディスプレイ装置100、200に対してはるかに向上した信頼性を獲得することになるし、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイ装置が抱えるピクセルのバーンアウト問題に悩ませられることがないので、PDPディスプレイ装置やLCDディスプレイ装置に対してさえ向上した信頼性を獲得することができる。さらに、スクリーンの対角線サイズが50”を超える場合、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400のコストは、背面投射ディスプレイ装置100のコストとほぼ同程度であるが、同じスクリーン・サイズのPDPディスプレイ装置やLCDディスプレイ装置のコストよりはかなり低くなる。さらに、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、背面投射ディスプレイ装置100、200の場合のようにサイズの大きいフォールディング・ミラーを利用しないので、より丈夫である。最後に、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の解像度は、その構成要素であるマイクロ・プロジェクタ401内で用いられているマイクロ・ディスプレイ・デバイスに関して、大幅な製造歩留まりの低下を生じることなく、高めることが可能であり、従って、あまりコストを増大させることなく、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の解像度を高めることが可能になる。
本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の基本的構成について解説してきたが、以下の説明ではその構成要素について詳述される。図5A、5Bには、それぞれ、同様の参照番号が同様の要素を表わす、本発明のマイクロ・プロジェクタ・デバイス401の断面図とブロック図が例示されている。マイクロ・プロジェクタ401は、アレイ・コントローラ408によって発生し、インターフェイス・ドライバ413とパワー・ドライバ414を介して結合され、入力光制御信号によって順次制御される赤色(R)、緑色(G)、青色(B)光を発生するLED素子412と、光インテグレータ415とLED素子412とによって発生する光をまとめてマイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子417に向ける光路光学素子416を含む光コリメーション光学素子428と、光インテグレータ415に結合された光センサ418と、アレイ・コントローラ408によって発生し、インターフェイス・ドライバ413を介して結合されるピクセル・グレースケール信号を用いて、光を変調するマイクロ・ディスプレイ・デバイス419と、そのマイクロ・ディスプレイ・デバイス419によって反射される光を投射光学素子421に向ける1組のリレー光学素子420とを備えている。
光コリメーション光学素子428、すなわち、光インテグレータ415と光路光学素子416、マイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子417、リレー光学素子420、投射光学素子421を含む光学部品は、マイクロ・プロジェクタ・エンクロージャ422内に一緒に保持されている。底面が約38×78mmで、高さが57mmあるマイクロ・プロジェクタ・エンクロージャ422は、一般に、アルミニウム/マグネシウム合金ダイキャストまたは精密射出成形ポリカーボネート・プラスチックを用いて製作される。LED素子412、マイクロ・ディスプレイ・デバイス419、インターフェイス・ドライバ413、パワー・ドライバ414は、プリント回路基板423上に組み付けられる。光学部品415、416、417、420、421が単一サブアセンブリとして組み付けられたマイクロ・プロジェクタ・エンクロージャ422は、LED素子412の発光面と、マイクロ・ディスプレイ・デバイス419の反射面領域とのそれぞれのアライメントがとれるようにして、プリント回路基板423上に実装される。約51×108mmの寸法があるプリント回路基板423は、上述のマイクロ・プロジェクタ401・アセンブリ全体を背板402に取り付けるための複数のネジ穴を備えている。
LED素子412は、一般に、その下側に、LEDダイによって生じた熱をプリント回路基板423の裏面に取り付けられた冷却フィン424に伝達する放熱スラグを含んでいる単一コンポーネント・パッケージ内に組み付けられた、R(625nmの波長)、G(525nmの波長)、B(464nmの波長)のランベルト発光体薄膜LEDダイを備えている。LED素子412の輝度効率は、一般に、各色毎に少なくとも35ルーメン/ワットになり、その発光面は、一般に、OSRAMからのOSTAR LED素子のように、3×3mm未満になる。
光インテグレータ415は、少なくともLED素子412の発光面積と同じ大きさの入力端断面積を有している。光インテグレータ415は、一般に、全内反射に依存して、それを介した光の転送を行い、その出力端に均一な照明場を生じさせる固体ガラス・ロッドから構成される細長いトンネル・タイプである。光インテグレータ415には、内反射を閉じ込めるのに役立つクラッド側壁または反射鏡側壁を含むのが望ましい。光インテグレータ415の入力端は、LED素子412の発光面領域に光学的に結合されている。光センサ418は、光学接着剤を用いて光インテグレータ415の側壁に直接接着され、プリント回路基板423に電気的に結合されている。一般に光結合面積が3×3mm未満になる光センサ418には、R、G、Bフィルタがコーティングされた、複数のフォトダイオードが含まれる。光センサ418は、アジレント社製のHDJD−S831とすることが可能である。
光インテグレータ415の出力端は、レンズ群425と、マイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子417に光を向ける方向転換ミラー426を含む光路光学素子416に結合されている。当該技術者には、光路光学素子416の詳細な設計態様は既知であろう。
マイクロ・ディスプレイ・デバイス419は、ディジタル・マイクロ・ミラー(DMD)・デバイスまたはシリコン基板に載せた反射型液晶(LCOS)デバイスとすることが可能である。いずれにせよ、マイクロ・ディスプレイ・デバイス419の反射アパーチャ表面積は、3×4mm(対角線が5mm)未満で、複数のピクセルを含むことになり、そのため、各ピクセルのグレースケールは、アレイ・コントローラ408によって生じる入力信号に基づいて、オンとオフ(オン/オフ)状態間で時間的に変調することが可能である。現在では、例えば、テキサス・インスツルメント社のHD−2、HD−3、HD−4マイクロ・ミラー・デバイスのように、3×4mmの表面積において、100,000ピクセルを超えるピクセル密度のマイクロ・ディスプレイ・デバイスを製造することが可能である。マイクロ・ディスプレイ・デバイス419のピクセルのグレースケール変調は、照明光学素子417からピクセルに入射する光を投射光学素子421に向けるか、または、プリント回路基板423を介して冷却フィン424に熱的に結合された吸光面427に向けることによって実現される。マイクロ・ディスプレイ・デバイス419の複数の反射ピクセルは、その下側に、複数のピクセルによって生じた熱をプリント回路基板423の裏面に取り付けられた冷却フィン424に伝達する放熱スラグを含んでいる、単一コンポーネント・パッケージ内に組み付けられている。
マイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子417は、LED素子によって生じ、光コリメーション光学素子428によって送られる光をマイクロ・ディスプレイ・デバイス419に向ける。リレー光学素子420は、マイクロ・ディスプレイ・デバイスによって反射された光を投射光学素子421に向ける。背面投射アレイ400の奥行は、主として投射光学素子421の投射距離比特性によって決まる。投射距離比が0.4の中程度の複雑さの投射光学素子421を備えた、12のマイクロプロジェクタ401からなるアレイは、結果として、奥行が6.5”未満の場合、スクリーンの対角線サイズが50”の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400を生じ、奥行が7.5”未満の場合、スクリーンの対角線サイズが60”の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400を生じる。当該技術者には、照明光学素子417、マイクロ・ディスプレイ・デバイス419、リレー光学素子420の間における光結合の詳細な設計態様と、マイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子417、リレー光学素子420、投射光学素子421の詳細な設計態様とは既知であろう。
図6Aには、マイクロ・プロジェクタ401のアレイとアレイ・コントローラ408の間の結合が例示されている。図5Bを参照すると、アレイをなす各マイクロ・プロジェクタ401のピクセル・グレースケール制御信号、色制御信号、同期信号、センサ・フィードバック信号、パワー信号が、図6Aに例示のアレイ・コントローラ基板408に送られる。図6Bには、各信号がインターフェイスする機能素子を示す、アレイ・コントローラ408の機能ブロック図が例示されている。図6Bに例示のように、マイクロ・プロジェクタ・アレイ・コントローラ408は、映像処理機能430、制御&同期機能431、アレイ均一性制御機能432、それぞれが背面投射アレイ・ディスプレイ装置400に用いられる複数のマイクロ・プロジェクタ401に対応する複数の部分映像処理機能433から構成される。
図6Bに例示のように、映像処理機能430は、色空間変換ブロック434、ガンマ補正ブロック435、映像スケーリング・ブロック429、映像逆多重化ブロック436を備えている。色空間変換ブロック434は、ディジタル・ビデオ入力が輝度と色差符号化(例えば、Y、CR、CB)で供給されると、ディジタル・ビデオ入力をRGBフォーマットに変換する。ガンマ補正ブロック435は、ディジタル・ビデオ入力に付加された非線形色応答を除去して、陰極線管(CRT)に固有の非線形性を補償するが、CRTとは異なり、マイクロ・ディスプレイ・デバイス419は線形性である。映像スケーリング・ブロック429は、映像のアスペクト比を維持し、入力ビデオ・データのサイズ変更を行って、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の解像度に合わせる。
各マイクロ・プロジェクタ401内のマイクロ・ディスプレイ・デバイス419の反射アパーチャ内におけるピクセル総数は、部分映像ピクセル数に少なくとも5%の幅を持たせた値に等しくなる。これによって、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400内の各マイクロ・プロジェクタ401は、その特定部分映像に加えて、部分映像境界の周囲に少なくとも5%の余裕を持たせた追加ピクセルを投射することが可能になる。各マイクロ・プロジェクタ401によって投射可能なピクセル全体のうち、特定部分映像の投射に用いられるピクセル全体は、「アクティブ・ピクセル」と呼ばれる。映像逆多重化ブロック436は、制御&同期機能431から受信するアクティブ・ピクセル座標入力に基づいて、投射すべき入力映像を構成するピクセルのRGBグレースケール・データを、各マイクロ・プロジェクタ401によって投射すべき部分映像に対応するピクセルのRGBグレースケール・データに逆多重化し、部分映像処理機能433のそれぞれについて部分映像ピクセルのRGBグレースケール・データ入力を生成する。
図6Bに例示のように、制御&同期機能431は、制御ブロック437、同期ブロック438、較正ブロック439、メモリ・ブロック440を備えている。制御ブロック437は、マイクロ・プロジェクタ401のそれぞれに対して、例えば、パワーアップ・モード、パワーダウン・モード、工場試験&較正モード、実行モードといった、マイクロ・プロジェクタ401の動作モードを制御するために用いられる制御信号を発生する。同期ブロック438は、ピクセル・グレースケールと光制御信号とに関連した同期信号を発生する。同期ブロックによって生じる同期信号の詳細な構造に関するさらなる詳細については、本発明の詳細な説明の後続部分において示される。
較正ブロック439は、制御ブロック437の制御下において、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の組立て後、工場で実施される試験中と較正中に実行する。図7に例示の較正ブロック439の流れには、部分映像のコーナにマーキングを施して、そのカラーポイントを測定するための部分映像マーキング&測定手順441と、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400のスクリーン・アパーチャ内において各マイクロ・プロジェクタ401によって投射される部分映像の座標を決定する部分映像アライメント手順442と、投射される部分映像の実測カラーポイントに対して各マイクロ・プロジェクタ401内に組み込まれた光センサ418を較正するカラーポイント較正手順443とが含まれている。
図7に例示のように、マーキング&測定手順441には、(1)背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の投射スクリーン・アパーチャのコーナに位置する各マイクロ・プロジェクタ401毎に、工場試験オペレータが位置決めするカーソルを利用して、投射スクリーン・アパーチャのコーナに対するマーキングを行い、制御ブロック437によってその座標をメモリ・ブロック440にロードするステップと、(2)各マイクロ・プロジェクタ401毎に、工場試験オペレータが位置決めするカーソルを利用して、そのマイクロ・プロジェクタ401によって投射される部分映像のコーナ位置にマーキングを施し、制御ブロック437によってその座標をメモリ・ブロック440にロードするステップと、(3)各マイクロ・プロジェクタ401毎に、測色計を用いて、各マイクロ・プロジェクタ401のカラーポイントと残留光漏洩とを測定し、工場試験オペレータがその値をメモリ・ブロック440に記憶するステップが含まれている。残留光漏洩は、そのピクセルの全てがオフ状態にある場合の、各マイクロ・プロジェクタ401の測定輝度出力である。
部分映像アライメント手順442の目的は、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400やその構成サブアセンブリの製造と組み立て公差によって生じるであろう、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の投射スクリーン・アパーチャに対するマイクロ・プロジェクタ401によって投射される部分映像のミスアライメントを割り出すことにある。基準フレームとして背面投射アレイ・ディスプレイ装置400のスクリーン・アパーチャのマーキングされたコーナを利用することによって、部分映像アライメント手順442で、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400のスクリーン・アパーチャに対する各マイクロ・プロジェクタ401によって生じる各部分映像の座標とアライメントを決め、さらに垂直オーバラップ領域の各列内のピクセル数と水平オーバラップ領域の各行内のピクセル数とを決める。部分映像アライメント手順442の結果は、その境界(エッジ)に沿った隣接部分映像とのオーバラップ領域を含む各マイクロ・プロジェクタ401の「アクティブ・ピクセル」の座標とアライメントである。図8Aに例示のように、アクティブ・ピクセルは、そのオーバラップ領域を含む各マイクロ・プロジェクタ401によって投射されるピクセルである。オーバラップ領域内に位置する部分映像のピクセルは、「境界ピクセル」と呼ばれる。各マイクロ・プロジェクタ401の部分映像の結果得られる座標、アライメント、境界ピクセルの行数と列数が、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の実行モード中に用いられるメモリ・ブロック440にロードされる。図8Aが理想的状況(部分映像の完全なアライメント)を表わしているという点に留意されたい。境界ピクセルは、必要に応じて部分映像の相対的シフトと回転を行うためのピクセル空間を設けることによって、ミスアライメントに備える。望ましい実施形態の場合、境界ピクセルの外側エッジは、マイクロ・プロジェクタの限界によって定まり、セパレータ405(図4)の等価フットプリントは、マイクロ・プロジェクタによって投射される各部分映像よりもかなり大きい。
カラーポイント較正手順443では、各マイクロ・プロジェクタ401の測定カラーポイントとその組み込み光源418との間のバイアスが決定される。カラーポイント較正手順443では、さらに、各マイクロ・プロジェクタ401の最低グレースケール・レベルがその測定残留光漏洩の少なくとも4倍に相当する値に設定される。その所望のカラーポイントと共に、各マイクロ・プロジェクタ401の較正カラーポイント・バイアスと最低グレースケール・レベルとを利用して、較正カラーポイントが生成され、これが、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の実行モード中に用いられるメモリ・ブロック440にロードされる。
図7を参照すると、アレイ均一性制御機能432によって実施される処理の目的は、マイクロ・プロジェクタ401によって投射される部分映像の色(色度)と明るさ(輝度)の均一性を維持することにある。背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の実行モード中に実行されるアレイ均一性制御機能432では、各マイクロ・プロジェクタ401の光センサ418からのフィードバック信号に処理を施し、メモリ・ブロック440に記憶されている対応する較正カラーポイントと比較して、精密色補正値と概略色補正値が生成されるが、これらの値はさらに部分映像処理機能433に供給される。各マイクロ・プロジェクタ401の光センサ418の出力は、引き続き詳述される色制御スロットと同期して、順次サンプリングされる。マイクロ・プロジェクタ401のそれぞれについて、光センサ418によって測定されるR、G、Bの明るさが、アナログ・ディジタル変換器(A/D)451によって各色毎に8ビット値に変換されるが、これら測定されたRGBの明るさは「測定カラーポイント」と呼ばれる。各マイクロ・プロジェクタ401毎に、アレイ色&明るさ均一性ブロック452では、そのアレイ色&明るさ均一性ブロック452によって維持される、測定カラーポイントと制御&同期機能431によって供給される較正カラーポイントとの偏差が計算され、計算されたカラーポイント偏差は、さらに、低域ループ・フィルタによって処理されて、その後、精密色制御範囲の設定値と比較される。カラーポイント偏差が精密色制御範囲の設定値内であれば、カラーポイント偏差が精密色補正ブロック446に対して出力される。マイクロ・プロジェクタ401の測定カラーポイント偏差が、精密色制御範囲の設定値外であるが、概略色制御範囲の設定値内にある場合、その値は、概略色制御範囲と比較されて、カラーポイント偏差が概略色制御ブロック447に対して出力される。マイクロ・プロジェクタ401の測定カラーポイント偏差が、概略色制御範囲の設定値外であれば、較正カラーポイントの値は、測定カラーポイント偏差が概略色制御範囲内に収まるように調整される。次に、較正カラーポイントの調整値が、制御&同期機能431に供給され、その後、組をなすマイクロ・プロジェクタ401全体の色の明るさを設定するために利用される。概略色制御範囲及び精密色制御範囲の値は、工場較正中に、LED素子418に関する明るさ制御のダイナミック・レンジ内に納まるように設定される。
図7に例示のように、マイクロ・プロジェクタ401のそれぞれに対して、部分映像処理機能433の1つが関連しており、各部分映像処理機能は、(図6B)部分映像スケーリング・ブロック444、部分映像境界拡散ブロック445、精密色補正ブロック446、概略色補正ブロック447、グレースケールPWM変換ブロック448、光PWM変換ブロック449を備えている。制御&同期機能432からのアクティブ・ピクセル・アライメント入力に基づいて、部分映像スケーリング・ブロック444では、部分映像アクティブ・ピクセルに適合するように、映像処理機能430から受信した部分映像ピクセル・グレースケール・データを割り当てることによって、部分映像アライメントを維持する。部分映像スケーリング・ブロック444では、部分映像アライメント手順442によって測定された残留傾斜と回転ミスアライメントを補償するため、部分映像アスペクトを幾何学的に補正し、部分映像アライメント手順442によって測定された部分映像アクティブ・ピクセル座標に基づいて、映像処理機能430から受信した部分映像ピクセル・グレースケール・データを適正なマイクロ・プロジェクタ401のピクセル・アドレスに割り当てる。
部分映像境界拡散ブロック445の目的は、それぞれの部分映像境界のオーバラップ境界に沿って隣接するマイクロ・プロジェクタ401によって投射されるピクセルのグレースケールを漸減させ、拡散させることにある。これが、背面投射アレイ・ディスプレイ装置400の投射スクリーン・アパーチャに対して可能性のあるミスアライメントのため、マイクロ・プロジェクタ401のアレイによって投射される映像に現れる可能性のある不自然な結果を分散させるのに役立つ。図9に例示の部分映像境界拡散ブロック445の流れには、漸減&拡散アルゴリズム450が含まれており、その結果が図8Bに例示されている。図9を参照すると、部分映像境界ピクセルのグレースケール値は、漸減&拡散アルゴリズム450によって下記のように処理される。
補正境界ピクセル・グレースケール:
n=1、2、3、...、Nの場合、Gn’(m)=An n(m)+R(m)、
mが投射される部分映像内のピクセル・アドレスを表わす場合、Nは、部分映像の垂直境界オーバラップ領域のそれぞれの行内、または、水平境界オーバラップ領域のそれぞれの列内におけるピクセル数を表わし、nはピクセル境界の索引を表わしているが、この索引は、部分映像の垂直境界領域の行内または水平境界領域の列内における各ピクセルの索引であり、オーバラップ境界領域の内側エッジのピクセルは、n=1の索引を有し、オーバラップ境界領域の外側エッジのピクセルは、n=Nの索引を有している。Gn(m)とGn’(m)は、それぞれ、もとのピクセル・グレースケール値と漸減及び拡散値を表わし、Anは、漸減率を表わし、R(m)は、後述するピクセル・グレースケール値に適用される拡散率を表わしている。漸減率は、一般に、
n=1、2、3、...、Nで、|α|≦1/2πの場合、
n={1−n/(N+1)}+αsin{2π(1−n/(N+1)}
のようなエッジ相補漸減(オーバラップ境界領域のいずれかの方向における漸次減衰が最終的に1になることを意味する)を可能にする値、または、
n=1、2、3、...の場合、
n=0.5{1+cos(πn/(N+1)}
のような任意の代替エッジのエッジ相補漸減率となる。
ピクセル・グレースケールGn(m)は、一般に8ビット値として漸減&拡散アルゴリズム450に提供され、一方、Gn’(m)は、一般に16ビット値として処理される。Gn’(m)の最下位ビットは、「オーバフロー」と呼ばれる。漸減&拡散アルゴリズム450において、結果得られるGn’(m)値は、その最上位8ビットに切り捨てられて、8ビット値として出力され、一方、その最下位8ビットのオーバフローは累算される。累算されたオーバフローが最大限の値に達すると(ロール・オーバすると)、漸減&拡散アルゴリズム450は、その最下位ビットが値1に設定され、アドレスm’が処理されるピクセルに隣接したピクセルのアドレス集合からランダムに選択された、8ビット拡散率R(m’)を出力する。換言すれば、部分映像境界領域内のアドレスがmで境界索引がnの各ピクセル毎に、漸減&拡散アルゴリズム450は、入力Gn(m)とR(m)の対を処理し、処理されるピクセルの漸減及び拡散グレースケール値Gn’(m)を生成し、かつアドレスがm’のピクセルの拡散率を生成する。図9に示すように4つのコーナのオーバラップ領域の適切な漸減を確保するため、漸減&拡散アルゴリズム450は、まず、部分映像の垂直境界領域内に位置するピクセル行に適用され、次に、部分映像の水平境界領域内に位置するピクセル列に適用される。当該技術者には明らかなように、本明細書に記載の漸減&拡散法は、上述のものとは異なる漸減率Anで実施することも可能である。いずれにせよ、各水平方向(垂直方向)に隣接する部分映像の各列(行)内の境界ピクセルにそれぞれの漸減率を適用し、引き続き、各垂直方向に(水平方向に)隣接する部分映像の各行(列)にそれぞれの漸減率を適用することによって、各部分映像のコーナにある多くのピクセルに漸減率を2回適用するのは明らかである。しかしながら、隣接する部分映像のコーナにおけるように3つまたは4つのピクセルがオーバラップするか、他の場所におけるように2つのピクセルがオーバラップするかにかかわらず、任意のオーバラップするピクセルに適用される漸減率の和は、やはり1になる。
漸減&拡散アルゴリズム450が最低レベルのグレースケールで所望の効果を発揮するためには、十分なグレースケールのダイナミック・レンジが存在しなければならない。マイクロ・プロジェクタ401の全てのピクセルがオフ状態にある場合に、「残留光漏洩」と呼ばれる少量の光出力が残存する。グレースケールのダイナミック・レンジが、それぞれのピクセルの全てがオフ状態にある場合に、マイクロ・プロジェクタ401によって生じる残留輝度に設定されていると、境界領域のピクセルのグレースケールを漸減させることができない。結果として、境界オーバラップ領域にあるピクセルが、オーバラップ境界領域にまたがる映像の最も暗い領域において、あるいは、スクリーンが最も暗い時に、かすかに見えるような感じになる。この最低グレースケール・レベルの不均一性を克服するため、グレースケールのダイナミック・レンジの最低値は、カラーポイント較正手順443中に、マイクロ・プロジェクタ401の残留光漏洩レベルの4倍に相当する値に設定される。そのようにする場合、4つのコーナのオーバラップ境界領域における漸減ピクセルのグレースケールの追加が、映像における残りのピクセルの最低グレースケールを超えることはない。
部分映像境界拡散ブロック445のピクセル・グレースケール出力値は、精密色補正ブロック446に供給され、アレイ均一性制御機能431によって生じる精密色補正値と共に処理される。精密色補正ブロック446では、アレイ均一性制御機能431によって生じる精密色補正値に基づいて、原色のそれぞれ並びに白色に関する部分映像ピクセルの色座標が調整される。精密色補正ブロック446の色補正された部分映像ピクセルのグレースケール出力は、グレースケールPWM変換ブロック448に供給され、R、G、Bグレースケールに関するそれぞれ8ビットから構成されるピクセル・フレームから、R、G、Bグレースケールに関する1ビットから構成されるピクセル・フレームに変換される。R、G、Bに関するこの1ビット・ピクセル・フレームは、その後、対応するマイクロ・プロジェクタ401に供給されて、その部分映像ピクセルのそれぞれに関するオン/オフ状態が制御される。この並列・直列変換技法は、パルス幅変調(PWM)変換として当該技術者には既知のところである。
アレイ均一性制御機能431によって生じる概略色補正値が、概略色補正ブロック447に供給され、制御&同期ブロック432によって供給される較正カラーポイント値と組み合わせられて、LED素子412のRGB色制御値になる。概略色補正ブロック447によって生じるRGB色制御値は、一般に8ビット値として表現される。これらの8ビット色制御値は、概略色補正ブロック447によって生じる色補正を反映するように、LED素子412によって生じるRGB光のオン/オフ・デューティ・サイクルを調整するために利用される。光PWM変換ブロック449では、パルス幅変調(PWM)技法を用いて概略色補正ブロック447によって生じるLED素子412に関する8ビットRGB色制御値を直列ビット・ストリームに変換することによって、このタスクを遂行する。
図10には、LED素子412の色とマイクロ・ディスプレイ・デバイス419のピクセルグレースケールとを制御するためのフレーム構造が例示されている。マイクロ・プロジェクタ401の部分映像内にある全てのアクティブ・ピクセルのグレースケールの更新率が、持続時間が16.67msecのフレームとして例示されている。図10に例示のフレーム構造は、60Hzの映像フレーム率のディジタル・ビデオ入力に対応するが、当該技術者には明らかなように、図10に例示のフレーム構造は、任意の所望の映像フレーム率に対応するように容易に修正することが可能である。図10に示すように、このピクセル更新映像フレームは、フリッカを防止するため、それぞれ、持続時間が1,041.67μsec(960Hz)の16のピクセル/カラー・スロットに分割することが可能であり、このスロットは、さらに、持続時間が4.085μsec(244,800Hz)のPWMビットに分割される。図10に示す映像フレーム、ピクセル/カラー・スロット、PWMビット同期信号が、ディジタル・ビデオ入力によって供給される映像フレーム同期信号に基づいて、制御&同期機能432によって発生する。映像フレーム、ピクセル/カラー・スロット、PWMビット同期信号は、部分映像処理機能443とマイクロ・プロジェクタ401のそれぞれに供給される。概略色補正ブロック447によって生じるLED素子412の8ビットRGB色制御値が、光PWM変換ブロック449によって28−1=255の直列PWMビットに変換され、制御&同期機能432によって生じるスロットとビット同期信号に同期して出力される。
図10に示す16のカラー・スロットのそれぞれは、各色に必要な最大の明るさが得られるように、R、G、または、Bに割り当てることが可能であり、必要な明るさは、概略色補正ブロック447によって生じる8ビット色制御値によって設定されるそのオン/オフ・デューティ・サイクルによって制御される。R、G、または、Bに割り当てられる映像フレーム内のカラー・スロット数は、概略色補正ブロック447によって生じる色補正値によって較正カラーポイントを実現するように設定され、制御される。カラー・スロットに対するこのR、G、または、Bの割り当ては、それぞれの処理と出力とをスロット・カラー割り当てに同期させるため、部分映像スケーリング・ブロック444、アレイ境界拡散ブロック445、精密色補正ブロック446、グレースケールPWM変換ブロック448を含む処理連鎖に供給される。
一般に、映像処理機能430に供給されるディジタル・ビデオ入力は、RGBフォーマットか、または、輝度及び色差符号化フォーマットのいずれかであり、色空間変換ブロック434によってRGBフォーマットに変換される。色空間変換ブロック434が、ディジタル・ビデオ入力を、例えば、RGBに加えて、黄(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、白(W)といったように、R、G、Bより多くの色に変換することが可能な場合、R、G、Bにカラー・スロットを同時に割り当て、概略色補正ブロック447によって生成された8ビット色制御値を用いて、そのカラー・スロット内に所望の色が生じるように、RGB LEDの明るさを調整することによって、図10に例示のLED制御構造で、これらの色を発生することが可能である。
光センサ418、アレイ均一性機能432、精密色補正ブロック446、概略色補正ブロック447から構成されるフィードバック制御ループは、マイクロ・プロジェクタ401によって生成される部分映像全体にわたって色と明るさの均一性を維持する働きをし、また、温度変化や時間経過につれて生じる可能性のあるLED素子の色と明るさの変動を補償する働きもする。
要約すると、本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、他のディスプレイの弱点を克服し、さらに、下記のいくつかの利点を示す。
1.スクリーン下の高さを伸ばすことなく、それぞれ、投射距離の短いマイクロ・プロジェクタ401からなるアレイを利用しているので、薄型の形状因子を有している。
2.光源として、空間的に分散した、温度管理の効率が良く、輝度効率の高いLED素子412を利用し、カラー・ホイールや冷却ファンを排除することができるので、信頼性が大幅に向上する。
3.複数のより小さいダイ・サイズのマイクロ・ディスプレイ・デバイスを利用し、より小さいサイズの光学部品を利用し、フレネル・コンポーネント及び複数の大きくて高価なフォールディング・ミラーを排除し、組立てと較正がより容易であるため、コストが低下する。
上記詳細な説明において、本発明の説明はその具体的な実施形態に関連して行われた。しかし、本発明のより一般的な精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができるのは明らかである。従って、設計の細部及び図面は、制限を意味するものではなく、例示を意味するものとみなすべきである。当該技術者には明らかなように、本発明のいくつかの部分は、望ましい実施形態に関して上述の実施例とは別様に実施することが可能である。例えば、当該技術者には明らかなように、本発明の背面投射アレイ・ディスプレイ装置400は、用いられるマイクロ・プロジェクタ401の数、マイクロ・プロジェクタ401の特定の設計細部、工場較正手順の特定の細部、マイクロ・プロジェクタ401の部分映像拡散アルゴリズムの特定の設計細部、アレイの色&明るさ均一性制御の特定の設計細部、色&明るさフィードバック制御ループの特定の設計細部、色制御フレーム構造に多様な変更を加えて実施することが可能である。当該技術者には明らかなように、その基本となる原理から逸脱することなく、本発明の前述の実施形態の細部に多くの変更を加えることが可能である。従って、本発明の範囲は付属の請求項によってのみ判断すべきである。
先行技術による背面投射ディスプレイの構成を例示した図である。 先行技術による薄型背面投射ディスプレイの構成を例示した図である。 信頼性を向上させる先行技術による背面投射ディスプレイの構成を例示した図である。 背面投射アレイ・ディスプレイ装置の断面図である。 マイクロ・プロジェクタ・デバイスの断面図である。 マイクロ・プロジェクタ・デバイスのブロック図である。 マイクロ・プロジェクタ・アレイとアレイ・コントローラとのインターフェイスを例示した図である。 アレイ・コントローラのブロック図である。 マイクロ・プロジェクタ・アレイ・ディスプレイの工場較正手順の流れ図である。 マイクロ・プロジェクタの部分映像領域を例示した図(A)とマイクロ・プロジェクタの部分映像境界拡散結果を例示した図(B)である。 部分映像境界拡散処理の流れ図である。 マイクロ・ディスプレイ・デバイスとLED素子の制御フレームを例示した図である。
符号の説明
400 背面投射アレイ・ディスプレイ装置、401 マイクロ・プロジェクタ、402 背板、403 ディスプレイ・シャーシ、404 冷却フィン、405 セパレータ、406 投射スクリーン、407 ベゼル、408 アレイ/コントローラ基板、409 電子回路ボックス、410 ディスプレイ電源、412 LED素子、413 インターフェイス・ドライバ、414 パワー・ドライブ、415 光インテグレータ、416 光路光学素子、417 マイクロ・ディスプレイ・デバイス照明光学素子、418 光センサ、419 マイクロ・ディスプレイ・デバイス、420 リレー光学素子、421 投射光学素子、422 マイクロ・プロジェクタ・エンクロージャ、423 プリント回路基板、424 冷却フィン、426 方向転換ミラー、427 吸光面、428 光コリメーション光学素子、430 映像処理機能、431 制御&同期機能、432 アレイ均一性制御機能、433 部分映像処理機能

Claims (22)

  1. 映像を表示するための背面投射ディスプレイ装置であって、
    投射スクリーンと、
    2次元アレイに配列され、より大きい映像を形成するために、それぞれがタイリングされる部分映像を前記投射スクリーンに投射する複数のマイクロ・プロジェクタであって、それぞれが、
    複数の色の光を制御可能に発生するLED光源、
    前記LED光源からの光をコリメートするために配置された光コリメーション光学素子、
    前記LED光源からの各色の色を検知するように、前記光コリメーション光学素子に配置された光センサ、
    前記光コリメーション光学素子からの光によって照明されるように配置されたマイクロ・ディスプレイ・デバイス、
    前記マイクロ・ディスプレイ・デバイスからの映像をそれぞれの部分映像として前記投射スクリーンに投射するように配置された投射光学素子を具備している、前記複数のマイクロ・プロジェクタと、
    映像データと前記光センサのフィードバックを受信し、前記光センサの出力に応答して、明るさと色の均一性を実現するように前記LED光源の明るさとカラー・シフトが補正され、前記部分映像のシームレスなタイリングによって前記背面投射映像を形成するようにスケーリングを施された、それぞれの部分映像データを各マイクロ・プロジェクタに供給するためのアレイ・コントローラと
    を含み、
    前記光センサの出力に応答するアレイ・コントローラが、隣接するマイクロ・プロジェクタに供給される部分映像データとオーバラップする部分映像データを含む部分映像データを各マイクロ・プロジェクタに供給し、前記マイクロ・プロジェクタが、隣接する部分映像とオーバラップするそれぞれの部分映像を投射するように配列されており、前記アレイ・コントローラが、個々の部分映像の明るさを制御して、それぞれの部分映像オーバラップ領域と非オーバラップ領域全体にわたって均一な明るさとし、隣接する部分映像全体にわたって均一な明るさとするように構成され、
    前記光センサの出力に応答するアレイ・コントローラが、非オーバラップ・ピクセルに隣接する最大値からオーバラップ・ピクセルのエッジにおける最小値までの範囲にわたって、各部分映像の前記オーバラップ領域のピクセルの明るさを低下させる
    装置。
  2. 前記アレイ・コントローラが、前記アレイの第1の方向において隣接する映像間のオーバラップ領域に漸減率を適用し、その後、前記アレイの第2の方向において隣接する映像間のオーバラップ領域に漸減率を適用することによって、各部分映像のオーバラップ領域内にある各ピクセルの色成分の明るさを低下させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 各部分映像のピクセルの明るさが、前記投射スクリーン上の前記それぞれのピクセルの色成分が照明される相対持続時間を制御することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 前記アレイ・コントローラが、表示部分映像のグレースケールのダイナミック・レンジの最低レベルを、各マイクロ・プロジェクタの残留光漏洩の少なくとも4倍に相当する値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
  5. さらに、前記マイクロ・プロジェクタと前記投射スクリーンの間にセパレータが含まれ、前記セパレータが、それぞれのマイクロ・プロジェクタが照射する投射スクリーンの各領域の輪郭を描くことを特徴とする請求項3に記載の装置。
  6. 前記光コリメーション光学素子に光インテグレータと光路光学素子が含まれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  7. 前記LED光源が、赤色、緑色、青色光の色を制御可能に発することが可能なLED光源が含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  8. 前記背面投射映像がビデオ映像であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 前記アレイ・コントローラが、前記LED光源の色のそれぞれのオン/オフ状態を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  10. 光センサが、前記LED光源からの光の各色を検知するために配置され、前記アレイ・コントローラが、各ピクセルの色成分のグレースケール値を同時に調整し、それぞれのマイクロ・プロジェクタの前記LED光源のそれぞれの色の明るさを調整することによって、前記投射スクリーンに投射される映像の各ピクセルにおける各色の明るさを制御するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  11. 前記アレイ・コントローラが、前記投射スクリーンに投射される映像内の各ピクセルにおける各色の明るさを、そのピクセルについてその色が投射スクリーンに投射される持続時間を調整することによって制御するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  12. 前記アレイ・コントローラが、前記それぞれのマイクロ・プロジェクタの前記LED光源の色の明るさを調整することによって、前記投射スクリーンに投射される映像内の各ピクセルにおける各色の明るさを制御するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  13. 前記マイクロ・ディスプレイ・デバイスに複数の反射ピクセルが含まれることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  14. 前記アレイ・コントローラが、前記LED光源の各色のオン/オフ状態と同期して、前記マイクロ・ディスプレイ・デバイスの各ピクセルのオン/オフ状態を制御するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. さらに、前記マイクロ・プロジェクタと前記投射スクリーンの間にセパレータが含まれ、前記セパレータが、それぞれのマイクロ・プロジェクタが照射する投射スクリーンの各領域の輪郭を描くことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  16. 背面投射スクリーンと、
    それぞれが、前記カラー映像のそれぞれの部分を形成する部分映像を前記背面投射スクリーンに投射し、それぞれが、赤色、青色、及び、緑色光を制御可能に発生することが可能なLED光源、前記LED光源によって照明されるように配置されて、オン時には、前記LED光源からの光を前記投射スクリーン上のそれぞれのピクセルに対して制御可能に反射し、オフ時には、前記投射スクリーンに対して光を反射しない複数の反射ピクセルを備えているマイクロ・ディスプレイ・デバイスを具備する、2次元アレイとなるように配列された複数のマイクロ・プロジェクタとを有した装置において、カラー映像の背面投射方法であって、
    映像データを受信し、部分映像データとして、前記映像データのそれぞれの部分を各マイクロ・プロジェクタに関連づけるステップと、
    明るさと色の均一性を得るために各マイクロ・プロジェクタに関連づけられた前記部分映像データを補正し、前記カラー映像を形成するために、前記部分映像のシームレスなタイリングを行うために、前記部分映像データにスケーリングを施すステップであって、前記補正が前記LED光源によって発生された赤色、青色及び緑色光の各色の色を示すフィードバックを各マイクロプロジェクタに配置された光センサから受けて前記LED光源の各色のカラー・シフトと明るさを補正することを含む、ステップと、
    前記部分映像のシームレスなタイリングによって前記カラー映像を形成するために、それぞれのマイクロ・プロジェクタによってそれぞれの補正部分映像データに対応する各部分映像を前記背面投射スクリーンに投射するステップと、
    各マイクロ・プロジェクタに関連づけられた前記部分映像データが、隣接するマイクロ・プロジェクタに関連づけられた前記部分映像データにオーバラップし、さらに、前記部分映像のオーバラップ領域内のピクセルに漸減率を適用して、前記オーバラップ領域と非オーバラップ領域内の個々の部分映像の明るさを制御し、隣接する部分映像全体を均一な明るさとするステップであって、この明るさの制御が前記LED光源の光を検知する各マイクロプロジェクタに配置された光センサの出力に基づくものである、ステップと
    を含む方法。
  17. さらに、投射される各部分映像の各色の明るさを制御して、前記背面投射映像に均一な明るさとするステップが含まれることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 投射される各部分映像における各色の明るさが、前記それぞれの部分映像における前記それぞれの色のデューティ・サイクルを調整することによって制御されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 投射される各部分映像における各色の明るさが、前記それぞれのLED光源からの前記それぞれの色の明るさを制御することによって制御されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  20. 各部分映像の前記オーバラップ領域におけるピクセルの明るさが、非オーバラップ・ピクセルに隣接する最大値からオーバラップ・ピクセルのエッジにおける最小値の範囲で制御され、各部分映像のピクセルの最低の明るさが、各マイクロ・プロジェクタの残留光漏洩の少なくとも4倍に相当する値に設定されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 各部分映像の前記オーバラップ領域におけるピクセルの明るさが、前記アレイの第1の方向において隣接する映像間のオーバラップ領域に漸減率を適用し、その後、前記アレイの第2の方向において隣接する映像間のオーバラップ領域に漸減率を適用することによって制御されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. ある特定の色に関する前記部分映像の明るさが、前記LED光源のオン/オフ状態を調整して、赤色、緑色、青色LED光源の任意の組み合わせを同時にオン状態にできるようにすることによって制御されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
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