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JP5077985B2 - 窒化物半導体層の形成方法 - Google Patents

窒化物半導体層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は窒化物半導体層の形成方法に関し、特に無極性窒化物半導体層の形成方法の改善に関する。
III族窒化物半導体は、直接遷移型半導体であって高い発光効率を有する材料である。したがって、III族窒化物半導体を利用した発光デバイスの研究開発が盛んに行われている。そのような発光デバイスの例として、紫外光から可視光までの波長領域内で発光し得る発光ダイオード(LED)および半導体レーザ素子(LD)が存在する。
より具体的には、III族窒化物半導体としては、BN、AlN、GaN、InN、およびそれらの混晶であるAlGaN、InGaN、AlInN、AlGaInNなどが含まれる。しかし、主に商品化されている発光デバイスは、結晶学的(0001)面(いわゆるc面)に平行な主面を有するGaN層(以下、c面に平行な主面を有する層をc面層とも略称する)上に複数のIII族窒化物半導体層を積層して作製されている。ここで、III族窒化物半導体は、結晶構造として六方晶系のウルツ鉱構造を有し、分極性を有する材料である。
図1は、III族窒化物半導体の結晶構造の一例として、GaNの結晶構造を模式的な斜視図で図解している。この図において、異種原子間を結ぶ実線は最近接のGa原子とN原子との結合を表している。他方、破線は、GaNが有する六方晶構造の単位格子を表している。すなわち、結晶軸a1とa2は互いに120度の角度をなし、c軸はそれらの結晶軸a1とa2に対して垂直の関係にある。
図1におけるGaN結晶構造の図解から、c軸方向に直交するc面に平行な原子面として、Ga原子のみを含むGa原子面とN原子のみを含むN原子面とが交互に積層されていることがわかる。このような結晶構造において、Ga原子とN原子が互いに異なる電気陰性度を有し、Ga原子面はわずかにプラスに帯電し、N原子面はわずかにマイナスに帯電し、その結果としてc軸方向には自発分極が発生する。すなわち、GaN結晶はc軸方向に一軸異方性を有する分極性物質である。
さらに、GaN結晶のc面上に異種半導体層を結晶成長させてヘテロ接合を形成した場合には、格子定数差に基づいてGaN結晶に圧縮歪または引っ張り歪が生じ、GaN結晶内でc軸方向に圧電分極(ピエゾ分極)が発生する。たとえば、発光素子中の多重量子井戸(MQW)発光層に含まれるc面に平行なGaN障壁層上にInGaN量子井戸層を結晶成長させた場合、GaNとInGaNとの格子定数差に起因して歪応力が生じ、c軸方向にピエゾ分極(圧電分極)が発生する。
したがって、障壁層と量子井戸層との界面には、GaN結晶とInGaN結晶との自発分極差により生じた固定電荷およびピエゾ分極により生じた固定電荷の双方が存在する。その結果、自発分極による内部電場に加えてピエゾ分極による内部電場が重畳されて、井戸層面に垂直なc軸方向に大きな分極電場が発生することになる。このような分極電場においては、InGaN中のIn組成比が大きくなるほど、自発分極に比べてピエゾ分極の影響が優勢になる。
上述のような分極電場の影響によって、c面に平行な発光層(c面発光層)を含むGaN系発光デバイスにおいては、発光効率の低下や、必要な注入電流の増大にともなう発光のピーク波長シフトなどの問題が生じる。これらの問題が生じるメカニズムとしては、分極電場に起因して量子井戸層中の電子と正孔の波動関数が空間的に分離されて発光確率が激減する量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)が考えられている。
そこで、近年では、III族窒化物半導体を利用する発光デバイスのさらなる発光効率の向上のために、分極電場の影響を回避し得る無極性面に平行なIII族窒化物半導体層(以下、無極性面に平行な層を無極性層とも略称する)を利用することが期待されている。たとえば、GaN結晶の極性面であるc面に直交する無極性面である(11−20)面(いわゆるa面)または(1−100)面(いわゆるm面)上に歪量子井戸層を形成し、それによって、極性面であるGaNのc面に起因する分極電場の影響を回避する方法が検討されている。すなわち、GaN結晶のa面上またはm面上に結晶成長させられるIII族窒化物半導体層(a面層またはm面層)においては、その厚さ方向に平行な成長軸方向とc軸とが垂直になるので、その成長軸方向(厚さ方向)には分極電場が発生しない。
Applied Physics Letters,Vol.81,(2002),pp.469−471および特表2005−522889号公報は、(1−102)面(いわゆるr面)に平行な主面を有するサファイア基板(以下、r面サファイア基板とも称す)上に平滑な表面を有するa面GaN層を結晶成長させる方法を開示している。その方法では、MOVPE(有機金属気相成長)によって、r面サファイア基板上に比較的低温でGaNバッファ層(低温バッファ層)を形成した後に、高温でa面GaN層を成長させる。その際に、低温GaNバッファ層の成長温度は400℃〜900℃の範囲内であり、その厚さは1〜100nmの範囲内である。
特表2005−522889号公報 Applied Physics Letters,Vol.81,(2002),pp.469−471
しかしながら、特許文献1または非特許文献1の方法によって高品質のa面窒化物半導体層を形成するためには、低温バッファ層の成長条件を厳密に管理する必要がある。より具体的には、低温バッファ層の最適な成長条件の範囲は非常に狭く、その成長温度に関して許容される変動範囲は±10℃以内であって、最適な層厚に関して許容される変動範囲は±5nm以内である。したがって、そのような低温バッファ層は、再現性および生産性の観点から問題がある。
上述のような先行技術の状況に鑑み、本発明は、サファイア基板と窒化物半導体層との間に低温バッファ層を介在させることなく、平坦で高品質の無極性窒化物半導体層を得ることを目的としている。
本発明によるMOVPE(有機金属気相成長)法を用いた窒化物系半導体層の形成方法では、サファイア基板の一主面を窒化処理して、その窒化処理された基板面上に窒化物半導体層を結晶成長させ場合に、サファイア基板の主面は(1−102)面に平行であり、 ガス雰囲気中においてサファイア基板の表面を熱クリーニングし、サファイア基板の窒化処理はNH ガスの供給を開始して1100℃から1200℃の範囲内の温度において1分以上30分以下の処理時間で行われ、窒化物半導体層は(11−20)面に平行なGaN層であることを特徴としている。
なお、MOPVPE(有機金属気相成長法において、GaN層の堆積時に反応室内に導入されるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は152〜736の範囲内にあることが好ましい。
サファイア基板の窒化処理は、実質的に約1150℃において1分以上30分以下の処理時間で行われることが好ましい。また、その窒化処理は、1100℃から1200℃の範囲内の温度において実質的に約10分の処理時間で行われてもよい。
以上のような本発明によれば、良質の窒化物半導体層を結晶成長させるために、低温バッファ層が不要であり、窒化物半導体層の高温における成長条件を管理するだけでよい。より具体的には、サファイア基板の表面を窒化処理することによって高品質の窒化物半導体層を結晶成長させることができる。
以下においては、本発明を実施するための種々の形態に関する種々の条件についてより詳細に説明する。
(無極性のIII族窒化物半導体層の形成方法)
まず、本発明の一実施形態による無極性のIII族窒化物半導体層の形成方法について説明する。より具体的には、常圧MOVPE(有機金属気相成長)法によって、r面サファイア基板上に無極性のa面GaN層を形成する方法について説明する。なお、本発明におけるa面GaN層とは、とくに断らない限りr面サファイア基板上に成長させたa面GaN層を意味する。なお、GaN層を成長させるためには、周知のように、V族元素原料ガスとしてのNH3(アンモニア)、III族元素原料ガスとしてのTMGa(トリメチルガリウム)、およびキャリアガスとしてのH2ガスとN2ガスが用いられ得る。
図2は、サファイア基板の単位格子を模式的な斜視図で図解している。この図中でハッチングが施された面が、サファイア結晶のr面を表している。このr面に平行な主面を有するr面サファイア基板上に、本発明にしたがってGaN層を結晶成長させれば、無極性のa面GaN層を成長させることができる。
図3の模式的斜視図においては、r面サファイア基板102上に成長するa面GaN層101の結晶軸方向[0001]GaN、[1−100]GaN、および[11−20]GaNとそのサファイア基板の結晶軸方向[0001]Sapphireとの関係が図解されている。r面サファイア基板の主面に関する面加工精度は、r面に対するずれ角が±2°以下の範囲内であることが望まれる。
図4の模式的グラフは、本発明においてMOVPE法によってa面GaN層を結晶成長させる温度プロファイルの一例を示している。すなわち、このグラフの横軸は成長時間を表し、縦軸は成長温度を表している。このグラフの下部において横軸に沿って挿入されているタイミングチャートは、原料ガスであるTMGaとNH3およびキャリアガスであるH2ガスをそれぞれ供給するタイミングを示している。すなわち、それらのタイミングチャートの高レベルはガスの供給を表し、低レベルはガスの供給の停止を表している。なお、図4においてはキャリアガスに含まれ得るN2ガスの供給に関するタイミングチャートが示されていないが、キャリアガスはGaN層成長過程のいずれの時点においてN2ガスを含んでいてもよい。
a面GaN層を結晶成長させる具体的例示として、図4に示されているように、まずMOVPE反応室内において基板温度を室温から1150℃まで昇温させる。基板温度が1150℃に安定した後に反応室内へH2ガスの供給を開始して、H2ガス雰囲気中においてサファイア基板の表面を10分間で熱クリーニングする。次に、NH3ガスの供給を開始して、サファイア基板の表面を窒化処理する。この窒化処理中において、例えば基板温度は1150℃、処理時間は10分間、そしてNH3ガスの供給量は1分間に5Lであることが好ましい。
サファイア基板の窒化処理の終了後に、TMGaの供給を開始して、所望の厚さのa面GaN層を結晶成長させる。この結晶成長時において、例えば基板温度は1150℃、TMGaの供給量は毎分250マイクロモル(μmol)、NH3ガスの供給量は1分間に0.85L、そしてV族元素/III族元素(以下、V/IIIと略称する)の供給モル比は152であることが好ましい。a面GaN層の成長が終了すれば、TMGaと水素ガスの供給を停止して、N2ガスとNH3ガスの混合雰囲気中で基板温度の降下を開始させる。基板温度が500℃まで下がった時点でNH3の供給を停止し、N2ガス雰囲気中で基板を室温まで降温させる。
(窒化物半導体層の特性)
上述のように窒化処理されたサファイア基板上に直接結晶成長した窒化物半導体層(以下、ダイレクト窒化物半導体層とも称す)の表面は、きわめて平坦でありかつ鏡面であり得る。より具体的には、ダイレクト窒化物半導体層の光学顕微鏡による観察からその表面の優れた平坦性を確認することができ、その表面にはピットおよびクラックの発生がみられない。さらに、その表面の原子間力顕微鏡(AFM)による自乗平均粗さ(Rms)は縦10μmで横10μmの測定領域において5nm以下であり得て、原子レベルでも極めて平坦な表面の得られることが確認され得る。
得られる窒化物半導体層の結晶性の評価では、X線回折(XRD)による解析においてa面GaN層の(11−20)面反射に関するロッキングカーブの半値全幅が、例えば681arcsec程度に小さくなり得る。もちろん、X線回折ピークの半値全幅が小さいほど、結晶性が良好であることを表している。なお、このX線測定の際のX線入射方向は、a面GaN層の<1−100>方向(いわゆるm軸方向)に平行である。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察の結果では、サファイア基板とダイレクト窒化物半導体層との界面には多数の小さな空隙が存在していることを認識することができる。
(窒化物半導体層の成長の初期過程)
次に、サファイア基板上におけるGaN層の結晶成長の初期過程について説明する。より具体的には、異なる面方位の主面を有する2種類のサファイア基板を用いて、それらの基板面方位とGaN層の成長初期過程との関係を調査した結果について詳細に説明する。この調査において用いられた2種類の基板は、c面サファイア基板とr面サファイア基板である。
なお、この場合にサファイア基板上にGaN層を成長させるMOVPEにおける成長温度プロファイルとガス供給のタイミングは、図4に示された条件と同じである。すなわち、c面サファイア基板とr面サファイア基板のいずれもが窒化処理される。しかし、ガスの供給量に関しては、c面サファイア基板上にGaN層を成長させる場合に最適な条件が採用される。より具体的には、TMGa供給量は88μmol/min、NH3供給量は5L/min、V/IIIモル比は2500、そしてキャリアガスはH2ガスとN2ガスである。上述の条件においてc面サファイア基板およびr面サファイア基板上にそれぞれ厚さ20nmのGaN層を成長させ、両サファイア基板上に生じるGaN層の成長初期過程が比較された。
図6は、このような比較の一例におけるAFM像を示している。すなわち、図6(a)と図6(b)は、それぞれr面サファイア基板上とc面サファイア基板上において厚さ20nmに成長したGaN層の表面のAFM像を示している。図6(a)から、r面サファイア基板上には高密度かつ均一なGaN結晶成長核の生じることがわかる。他方、図6(b)からわかるように、c面サファイア基板上においては、結晶成長核の発生密度が小さく、結晶成長核のサイズも不均一である。すなわち、サファイア基板面の方位が異なれば、GaN層の結晶成長初期過程に違いの生じることがわかる。
さらに、r面サファイア基板上とc面サファイア基板上において十分に厚く成長させたGaN層の表面状態が比較された。すなわち、この場合のGaN層の厚さは10μmに増大されている。この比較において、r面サファイア基板上のGaN層は、平坦かつ鏡面である良好な表面を有し得る(このような平坦な鏡面は、光学顕微鏡においてノーコントラストの面として観察される)。すなわち、r面サファイア基板上においては、バッファ層を介さずとも平坦かつ鏡面である表面を有するGaN層を得ることができる。他方、c面サファイア基板上のGaN層においては、その表面に無数のピットの発生が観察され、白濁した外観の表面を呈する。サファイア基板面の方位の相違に依存するGaN層の表面状態におけるこのような相違は、GaN層の結晶成長初期における結晶核生成の様相の違いに起因していると考えられる。
(窒化処理時間とGaN層の結晶性との関係)
以下においては、サファイア基板の窒化処理時間とGaN層の結晶性との関係について調査した結果を説明する。この調査において、r面サファイア基板の窒化処理は図4に示す温度プロファイルによって行われた。すなわち、基板の窒化処理温度は1150℃である。
他方、基板の窒化処理を行わないで形成されるGaN層(以下、ノン窒化GaN層とも称す)は、図4に類似した図5のグラフに示す温度プロファイルにて成長させた。すなわち、ノン窒化GaN層は、1150℃における基板のH2クリーニング後に、その基板の窒化処理を行わずにGaN層を成長させたサンプルである。
ここで、GaN層の成長条件はすべてのサンプルおいて同一であり、基板温度は1150℃、TMGa供給量は88μmol/min、NH3供給量は5L/min、V/IIIモル比は2500、そしてキャリアガスはH2ガスとN2ガスである。成長させられるGaN層の最終的厚さは、5μmに設定された。以上のような調査の結果、得られたGaN層の表面状態には基板の窒化処理時間による違いはほとんど見られず、その表面には多数のピットが発生していた。
図7のグラフは、この調査に関するXRD解析におけるGaN層の(11−20)面反射のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)の結果を示している。このときのX線の入射方向は、GaN層のm軸に沿った<1−100>方向である。すなわち、図7のグラフの横軸はサファイア基板の窒化処理時間[min]を表し、縦軸はFWHM[arcsec]を表している。
この図7から明らかなように、基板の窒化処理時間に依存して、GaN層におけるX線回折ピークの半値全幅に変化がみられる。より具体的には、ノン窒化GaN層(すなわち、基板の窒化処理時間が0分の場合)におけるX線回折ピークの半値全幅は1755arcsecであるのに対して、窒化処理時間が1分の場合のGaN層における半値全幅は880arcsecであって劇的に減少している。もちろん、前述のように、X線回折ピークの半値全幅の値が小さいほど、結晶性がよいことを表している。すなわち、基板の窒化処理を行うことによって、GaN層の結晶性の向上することがわかる。他方、基板の窒化処理時間が30分より長くなれば、GaN層におけるX線回折ピークの半値全幅が漸増する。したがって、基板の窒化処理温度が1150℃の場合には、窒化処理時間は30分以下であることが好ましい。
(窒化処理温度とGaN層の結晶性との関係)
さらに、サファイア基板の窒化処理温度とGaN層の結晶性との関係について調査した結果を説明する。この場合も、基板の窒化処理は、図4に示す温度プロファイルにしたがって行われた。ただし、窒化処理時間は、10分間に設定された。他方、GaN層の成長条件はすべてのサンプルにおいて同一であり、基板温度は1150℃、TMGa供給量は88μmol/min、NH3供給量は5L/min、V/IIIモル比は2500、そしてキャリアガスはH2ガスとN2ガスである。成長させられるGaN層の最終的厚さは、5μmに設定された。
この調査の結果、得られたGaN層の表面状態には基板の窒化処理時間による違いがほとんど見られず、その表面には多数のピットが発生していた。
図8のグラフは、この調査に関するXRD解析におけるGaN層の(11−20)面反射のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)の結果を示している。このときのX線の入射方向は、GaN層のm軸に沿った<1−100>方向である。すなわち、図8のグラフの横軸はサファイア基板の窒化処理温度[℃]を表し、縦軸はFWHM[arcsec]を表している。
この図8から明らかなように、基板の窒化処理温度に依存して、GaN層におけるX線回折ピークの半値全幅に変化がみられる。より具体的には、基板の窒化処理温度が800℃の場合にGaN層におけるX線回折ピークの半値全幅は1533arcsecであるのに対して、窒化処理温度が1150℃の場合のGaN層における半値全幅は850arcsecである。また、図8から明らかなように、窒化処理温度が800℃から1150℃までの範囲では、その温度の上昇とともにX線回折ピークの半値全幅の値が小さくなっている。他方、窒化処理温度を1200℃まで上げれば、その半値全幅は872arcsecとなり、1150℃の場合に比べてわずかに大きくなっている。したがって、窒化処理時間が10分の場合には、サファイア基板の窒化処理温度は800℃から1200℃の範囲内にあることが好ましい。
(TMGa供給量とGaN層の表面平坦性との関係)
以下においては、MOVPEにおけるTMGa供給量とGaN層の表面平坦性との関係について調査した結果を説明する。この調査においても、MOVPEにおける温度プロファイルは、図4に示されたものと同じである。ただし、GaN層の成長に関しては、TMGa供給量を44、88、126、152、250μmol/minに変化させて5種類のサンプルを作製した。NH3供給量は、すべてのサンプルにおいて2.5L/minである。したがって、TMGa供給量が44、88、126、152、250μmol/minのときに、V/III供給モル比はそれぞれ2537、1268、883、736、446に対応する。すなわち、V/III供給モル比は、III族元素原料であるTMGa供給量に反比例する。
ここで、GaN層の表面の平坦性を評価する指標として、サファイア基板面の全表面積に対する平坦なGaN層が成長した面積の割合を「平坦なGaN面の面積占有率」と定義する。その面積の測定は、光学顕微鏡像から算出した。
図9のグラフは、V/III供給モル比と平坦なGaN面の面積占有率[%]との関係を示している。このグラフにおいて、V/III供給モル比が736から2537までの範囲では、V/III供給モル比の減少にともなって平坦なGaN面の面積占有率が増加している。他方、V/III供給モル比が736よりも小さい範囲では、平坦なGaN面の面積占有率が減少傾向を示している。このことは、NH3供給量が2.5L/minの場合、V/III供給モル比を736より小さくしても(すなわち、TMGa供給量を増やしても)、平坦なGaN面の面積占有率のさらなる増大を図ることができないことを意味している。
図10のグラフは、XRD解析によるa面GaN層の(11−20)面反射に関するロッキングカーブの半値全幅(FWHM)に及ぼすV/III供給モル比の影響を示している。この場合のX線の入射方向は、GaN層のm軸に平行な<1−100>方向である。図10のグラフに示されているように、X線回折ピークの半値全幅は、TMGa供給量が44、88、126、152、250μmol/minのときに、それぞれ977、864、726、745、600arcsecであった。このことは、TMGa供給量の増加とともにGaN層の結晶性が向上していることを意味している。
したがって、平坦かつ結晶性のよいGaN層を得るためには、V/III供給モル比を736より小さくすることに加えて、NH3供給量を最適化することも望まれる。
(NH3供給量とGaN層の表面平坦性との関係)
以下においては、NH3供給量とGaN層の表面平坦性との関係について調査した結果を説明する。この調査においても、基板温度プロファイルは図4の場合と同じである。ただし、GaN層の成長に関しては、NH3供給量を0.45、0.85、1.75、2.50、4.10L/minに変化させて5つのサンプルを作製した。TMGa供給量は、すべてのサンプルにおいて250μmol/minである。したがって、NH3供給量が0.45、0.85、1.75、2.50、4.10L/minのとき、V/III供給モル比はそれぞれ80、152、313、446、732となる。
ここでも、GaN層表面の平坦性を評価する指標として、基板の全表面積に対する平坦なGaN層が成長した面積の割合を「平坦なGaN面の面積占有率」と定義する。その面積の測定は、光学顕微鏡像から算出した。
図11のグラフは、NH3供給量と平坦なGaN面の面積占有率[%]との関係を示している。このグラフから、V/III供給モル比が152から732までの範囲では、V/III供給モル比が少ないほど平坦なGaN面の面積占有率も増加することがわかる。他方、V/III供給モル比が152よりも少なくなれば、逆に平坦なGaN面の面積占有率が減少している。
図12のグラフは、XRD解析によるa面GaN層の(11−20)面反射に関するロッキングカーブの半値全幅(FWHM)に対するV/III供給モル比の影響を示している。この場合のX線の入射方向も、GaN層のm軸に沿った<1−100>方向である。この図12に示されているように、X線回折ピークの半値全幅は、V/III供給モル比が80、152、313、446、732のときに、それぞれ774、681、624、600、577arcsecであった。すなわち、V/III供給モル比が152から732範囲では、NH3供給量の変化による半値全幅の変化が小さくて約600arcsecである。他方、V/III供給モル比が小さい80の場合には、半値全幅が顕著に大きくなっていることがわかる。
したがって、平坦かつ結晶性のよいGaN層を得るためには、V/III供給モル比を152より大きくすることが好ましい。
なお、以上の例示ではa面GaN層の成長について説明されたが、前述のように窒化物半導体層における無極性面にはa面のほかにm面もあり、半極性面には{11−22}面や{10−11}面などがある。本発明は、a面窒化物系半導体層の成長のみならずm面窒化物系半導体層の成長にも適用可能であり、望まれる場合には半極性窒化物半導体層の成長にも適用可能である。
従来では、高品質の窒化物半導体層を形成するためには、サファイア基板上の低温バッファ層の成長条件を厳密に管理する必要があった。しかし、以上のような本発明によれば、低温バッファ層を介在させることなく、平坦で高品質の窒化物半導体層を得ることができ、その高品質の窒化物半導体層の再現性および生産性が向上する。
GaNの結晶構造を示す模式的斜視図である。 サファイアの結晶構造を示す模式的斜視図である。 r面サファイア基板とその上に成長するGaN層との結晶方位関係を示す模式的斜視図である。 本発明によるGaN層の成長に適用される成長温度プロファイルの一例を示す模式的グラフである。 サファイア基板の窒化処理のない場合においてGaN層の成長に適用される成長温度プロファイルの一例を示す模式的グラフである。 (a)はr面サファイア基板上に成長したGaN層の成長初期状態を示すAFM像であり、(b)はc面サファイア基板上に成長したGaN層の成長初期状態を示すAFM像である。 サファイア基板の窒化処理時間とGaN層のX線回折ピークの半値全幅との関係を示すグラフである。 サファイア基板の窒化処理温度とGaN層のX線回折ピークの半値全幅との関係を示すグラフである。 TMGa供給量と平坦なGaN面の面積占有率との関係を示すグラフである。 TMGa供給量とGaN層のX線回折ピークの半値全幅との関係を示すグラフである。 NH3供給量と平坦なGaN面の面積占有率との関係を示すグラフである。 NH3供給量とGaN層のX線回折ピークの半値全幅との関係を示すグラフである。
符号の説明
101 a面GaN層、102 r面サファイア基板。

Claims (4)

  1. MOVPE(有機金属気相成長)法を用いた窒化物半導体層の形成方法であって、
    サファイア基板の一主面を窒化処理し、
    前記窒化処理された前記主面上に窒化物半導体層を結晶成長させる窒化物半導体層の形成方法であって、
    前記サファイア基板の前記主面は(1−102)面に平行であり、
    ガス雰囲気中において前記サファイア基板の表面を熱クリーニングし、
    前記窒化処理はNH ガスの供給を開始して1100℃から1200℃の範囲内の温度において1分以上30分以下の処理時間で行われ、
    前記窒化物半導体層は(11−20)面に平行なGaN層であることを特徴とする窒化物半導体層の形成方法。
  2. 前記MOVPE(有機金属気相成長法において前記GaN層の堆積時に反応室内に導入されるトリメチルガリウムガスに対するアンモニアガスの体積比は152〜736の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体層の形成方法。
  3. 前記窒化処理は実質的に1150℃の温度において1分以上30分以下の処理時間で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体層の形成方法。
  4. 前記窒化処理は1100℃から1200℃の範囲内の温度において実質的に10分の処理時間で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体層の形成方法。
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