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JP5076497B2 - 露光装置、液体の供給方法及び回収方法、露光方法、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置、液体の供給方法及び回収方法、露光方法、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して基板を露光する露光装置、液体の供給方法及び回収方法、露光方法、並びにデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2004年2月20日に出願された特願2004−45102号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k・λ/NA … (1)
δ=±k・λ/NA … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k、kはプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
国際公開第99/49504号パンフレット
ところで、液浸露光においては液体の液浸領域を良好に形成することが重要である。例えば投影光学系の像面側先端部と基板との間に液体の液浸領域が良好に形成されていないと、基板上にパターン像を形成するための露光光が基板上に到達しない、あるいは基板上にパターン像を形成するための露光光が基板上の所望の位置に到達しないなどの現象が生じ、露光精度の劣化を招く。また、液浸領域の液体を介した計測処理を行う構成も考えられるが、その場合においても、液浸領域が良好に形成されていないと、計測光が計測器に到達しない、あるいは計測光が所望の位置に到達しないなどの現象が生じ、計測精度の劣化を招く。そこで、液浸領域が良好に形成されてかどうかを判断し、適切な処置を施すことが重要である。
また、液体の液浸領域を使って露光処理や計測処理を行った後、その液体を良好に回収することも重要である。液体を十分に回収できないと、残留した液体が基板や基板ステージの外側に流出する可能性があり、周辺機器や周辺部材に影響を及ぼす。また、残留した液体を長時間放置しておくと、その液体が乾燥したときに基板ステージ上の計測部材や投影光学系の像面側先端部などに付着跡(所謂ウォーターマーク)が形成されたり、異物が付着して露光精度や計測精度の劣化を招く。また、基板上の液体を回収しきれていない状態でその基板を基板ステージからアンロードすると、搬送経路上に液体が飛散し、搬送経路上の機器や部材に影響を及ぼす。そこで、液体を良好に回収できたかどうかを判断し、適切な処置を施すことが重要である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、露光精度及び計測精度の劣化を防止できる露光装置、液体の供給方法及び回収方法、並びにデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図7に対応付けした以下の構成を採用している。なお、本発明を判りやすく説明するために、一実施形態を示す図中の符号を対応する構成に付したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間に液体(LQ)を供給する液体供給機構(10)と、液体供給機構(10)による液体供給が開始されてからの時間を計測するタイマー(60)と、タイマー(60)の計測結果に基づいて、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の少なくとも露光光(EL)の光路を含む空間(SP)が液体(LQ)で満たされたか否かを判断する制御装置(CONT)とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体供給機構による液体供給が開始されてからの時間をタイマーを使って計測することで、例えば予め設定されている所定時間とタイマーの計測結果とに基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間が液体で満たされたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が満たされたか否かを容易に判断することができる。そして、前記空間が液体で満たされた後に液体を介した露光処理や計測処理を行うことができるので、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間に液体(LQ)を供給する液体供給機構(10)と、液体供給機構(10)による液体供給が停止されてからの時間を計測するタイマー(60)と、液体供給機構(10)による液体供給中、及び液体供給が停止された後も液体(LQ)を回収する液体回収機構(20)と、タイマー(60)の計測結果に基づいて、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)から液体(LQ)が回収されたか否かを判断する制御装置(CONT)とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体供給機構による液体供給が停止されてからの時間をタイマーを使って計測することで、例えば予め設定されている所定時間とタイマーの計測結果とに基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間から液体が回収されたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が回収されたか否かを容易に判断することができる。
そして、液体を回収した後に基板の搬出や液体を介さない計測処理などの所定の処理を行うことができ、液体の飛散などの不都合の発生を防止して、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間に液体(LQ)を供給する液体供給機構(10)と、液体(LQ)を回収する液体回収機構(20)と、液体供給機構(10)による液体供給量を計測する第1計測器(16)と、液体回収機構(20)による液体回収量を計測する第2計測器(26)と、第1計測器(16)及び第2計測器(26)の計測結果に基づいて、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の少なくとも露光光(EL)の光路を含む空間(SP)が液体(LQ)で満たされたか否かを判断する制御装置(CONT)とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体供給量及び液体回収量を第1及び第2計測器を使って計測することで、例えばそれら計測結果の差に基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間が液体で満たされたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が満たされたか否かを容易に判断することができる。そして、前記空間が液体で満たされた後に液体を介した露光処理や計測処理を行うことができるので、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)に液体(LQ)を供給する液体供給機構(10)と、液体(LQ)を回収する液体回収機構(20)と、液体供給機構(10)による液体供給が停止された後、液体回収機構(20)による液体回収量を計測する計測器(26)と、計測器(26)の計測結果に基づいて、空間(SP)から液体(LQ)が回収されたか否かを判断する制御装置(CONT)とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体供給を停止した後の液体回収量を計測器を使って計測することで、その計測結果に基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間から液体が回収されたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が回収されたか否かを容易に判断することができる。そして、液体を回収した後に基板の搬出や液体を介さない計測処理などの所定の処理を行うことができ、液体の飛散などの不都合の発生を防止して、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の供給方法は、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)に液体(LQ)を供給する供給方法において、空間(SP)に液体(LQ)を供給するステップと、供給開始後の経過時間を計測するステップと、経過時間が所定時間を超えた時点で空間(SP)が液体(LQ)によって満たされたと判断するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、液体供給開始後の経過時間を計測することで、その計測した経過時間が例えば予め設定されている所定時間を越えた時点で、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間が液体で満たされたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が満たされたか否かを容易に判断することができる。そして、前記空間が液体で満たされた後に液体を介した露光処理や計測処理を行うことができるので、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の供給方法は、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)に液体(LQ)を供給する供給方法において、空間(SP)への液体(LQ)の供給と空間(SP)からの液体(LQ)の回収とを同時に行うステップと、単位時間あたりの液体(LQ)の供給量と回収量とを計測するステップと、供給量と回収量との差が所定値より小さくなった時点、または供給量と回収量との差が所定値より小さくなってから所定時間経過した時点のいずれか一方の時点で、空間(SP)が液体(LQ)によって満たされたと判断するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、液体供給量及び液体回収量を計測することで、例えばそれら計測結果の差に基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間が液体で満たされたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が満たされたか否かを容易に判断することができる。そして、前記空間が液体で満たされた後に液体を介した露光処理や計測処理を行うことができるので、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の回収方法は、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)に満たされた液体(LQ)を回収する回収方法において、空間(SP)への液体(LQ)の供給と空間(SP)からの液体(LQ)の回収とを同時に行うステップと、液体(LQ)の供給を停止するステップと、停止後の経過時間を計測するステップと、経過時間が所定時間を超えた時点で空間(SP)を満たしていた液体(LQ)の回収が完了したと判断するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、液体供給停止後の経過時間を計測することで、その計測した経過時間が例えば予め設定されている所定時間を越えた時点で、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間から液体が回収されたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が回収されたか否かを容易に判断することができる。そして、液体を回収した後に基板の搬出や液体を介さない計測処理などの所定の処理を行うことができ、液体の飛散などの不都合の発生を防止して、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の回収方法は、投影光学系(PL)の像面側先端部(2)と該先端部(2)に対向する物体(P、PST、300、400、500、600など)との間の空間(SP)に満たされた液体(LQ)を回収する回収方法において、空間(SP)への液体(LQ)の供給と空間(SP)からの液体(LQ)の回収とを同時に行うステップと、単位時間あたりの液体(LQ)の供給量と回収量とを計測するステップと、液体(LQ)の供給を停止するステップと、回収量が所定量よりも小さくなった時点、または回収量が所定値よりも小さくなってから所定時間経過した時点のいずれか一方の時点で、空間(SP)を満たしていた液体(LQ)の回収が完了したと判断するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、液体供給を停止した後の液体回収量を計測することで、その計測結果に基づいて、投影光学系の像面側先端部と物体との間の空間から液体が回収されたか否かを判断することができる。したがって、前記空間の液体を検知するためのシステムを構築することなく、比較的簡易な構成で、液体が回収されたか否かを容易に判断することができる。そして、液体を回収した後に基板の搬出や液体を介さない計測処理などの所定の処理を行うことができ、液体の飛散などの不都合の発生を防止して、露光精度及び計測精度を維持することができる。
本発明の露光方法は、投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給し、該液体を介して前記物体を露光する露光方法であって、上記記載の供給方法を用いて液体を供給するステップを含むことを特徴とする。これによれば、比較的簡易な構成で液体の供給が完了したか否かを容易に判断して露光を行なうことができる。
本発明の露光方法は、投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給し、該液体を介して前記物体を露光する露光方法であって、上記記載の回収方法を用いて液体を回収するステップを含むことを特徴とする。これによれば、比較的簡易な構成で液体の回収が完了したか否かを容易に判断することができ、速やかに後続の処理を実行することができる。
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置(EX)を用いることを特徴とする。本発明によれば、露光精度及び計測精度を良好に維持した状態でデバイスを製造できるので、所望の性能を発揮するデバイスを製造できる。
本発明によれば、露光精度及び計測精度を良好に維持することができる。
本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。 基板ステージを上方から見た平面図である。 本発明に係る露光方法の一実施形態を示すフローチャート図である。 本発明に係る露光方法の別の実施形態を示すフローチャート図である。 空間に液体を満たすときの供給量及び回収量を模式的に示した図である。 空間から液体を回収するときの供給量及び回収量を模式的に示した図である。 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
2…光学素子(先端部)、10…液体供給機構、12…供給口、13…供給管(流路)、15…バルブ、16…第1流量計(第1計測器)、20…液体回収機構、26…第2流量計(第2計測器)、30…フォーカス検出系(検出器)、60…タイマー、CONT…制御装置、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、P…基板(物体)、PL…投影光学系、PST…基板ステージ(物体)、SP…空間
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、時間計測を行うタイマー60と、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTと、制御装置CONTに接続され、露光処理に関する各種情報を記憶した記憶装置MRYとを備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、液体供給機構10により、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2とその光学素子2に対向する基板P表面(露光面)との間の空間SPに液体LQを供給する。そして、露光装置EXは、前記空間SPのうち少なくとも露光光ELの光路を含む空間に液体LQを満たした状態で、投影光学系PL及び前記空間SPの液体LQを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡40が設けられている。また、移動鏡40に対向する位置にはレーザ干渉計41が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計41によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計41の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられている。また、先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。これにより、金属からなる鏡筒PKの腐蝕等が防止されている。
光学素子2は蛍石で形成されている。蛍石は純水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面(端面)2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2は水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
基板ステージPSTは、基板Pを基板ホルダPHを介して保持するZステージ52と、Zステージ52を支持するXYステージ53とを備えている。XYステージ53はベース54上に支持されている。基板ステージPSTはリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。Zステージ52は基板ホルダPHに保持されている基板PをZ軸方向、及びθX、θY方向(傾斜方向)に移動可能である。XYステージ53は基板ホルダPHに保持されている基板PをZステージ52を介してXY方向(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向)、及びθZ方向に移動可能である。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
基板ステージPST上には凹部55が設けられており、基板ホルダPHは凹部55に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部55以外の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面51を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた平坦面(上面)51との間には0.1〜2mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pの周縁近傍を露光する場合にも、平坦面51により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
基板ステージPST(Zステージ52)上には移動鏡42が設けられている。また、移動鏡42に対向する位置にはレーザ干渉計43が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計43によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計43の計測結果に基づいて、レーザ干渉計43で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介してXYステージ53を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、露光装置EXは、基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス検出系30を有している。フォーカス検出系30は、投射部30Aと受光部30Bとを有し、投射部30Aから液体LQを介して基板P表面(露光面)に斜め方向から検出光Laを投射するとともに、その基板Pからの反射光を液体LQを介して受光部30Bで受光することによって、基板P表面の面位置情報を検出する。制御装置CONTは、フォーカス検出系30の動作を制御するとともに、受光部30Bの受光結果に基づいて、所定基準面(像面)に対する基板P表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)を検出する。また、基板P表面における複数の各点での各フォーカス位置を求めることにより、フォーカス検出系30は基板Pの傾斜方向の姿勢を求めることもできる。なお、フォーカス検出系30の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。
制御装置CONTは基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTのZステージ52を駆動することにより、Zステージ52に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、Zステージ52は、フォーカス検出系30の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
投影光学系PLの先端近傍には、基板P上のアライメントマーク1あるいはZステージ52上に設けられた基準部材300上の基板側基準マークPFMを検出する基板アライメント系350が設けられている。なお本実施形態の基板アライメント系350では、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような、基板ステージPSTを静止させてマーク上にハロゲンランプからの白色光等の照明光を照射して、得られたマークの画像を撮像素子により所定の撮像視野内で撮像し、画像処理によってマークの位置を計測するFIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式が採用されている。
また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介してZステージ52上に設けられた基準部材300上のマスク側基準マークMFMを検出するマスクアライメント系360が設けられている。なお本実施形態のマスクアライメント系360では、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような、マークに対して光を照射し、CCDカメラ等で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式が採用されている。
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側先端部と基板Pとの間の空間SPに供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続し、他端部を後述するノズル部材70の供給口12(12A、12B)に接続した供給管13(13A、13B)とを備えている。供給管13は液体LQを流すための流路を有している。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを基板P上に供給する。
供給管13A、13Bの途中には、供給管13A、13Bの流路の開閉を行うためのバルブ15A、15Bがそれぞれ設けられている。バルブ15(15A、15B)の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。制御装置CONTは、バルブ15によって供給管13の流路を閉じることで、液体供給機構10による液体供給を停止することができる。一方、制御装置CONTは、バルブ15によって供給管13の流路を開けることで、液体供給機構10による液体供給を開始することができる。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13A、13Bの流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
タイマー60はバルブ15(15A、15B)に接続されており、バルブ15の開いている時間及び閉じている時間を計測可能である。また、タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を閉じているか否かを検知可能である。タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を開けたことを検知したときに、時間計測を開始する。また、タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を閉じたことを検知したときにも、時間計測を開始することができる。
タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を開けたときからの経過時間、すなわち、液体供給機構10による液体供給が開始されてからの経過時間を計測することができる。タイマー60によって計測された前記経過時間に関する情報は制御装置CONTに出力される。また、タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を閉じたことを検知したとき、時間計測動作を停止するとともに、計測時間をリセットする(零に戻す)。
また、タイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を閉じたときからの経過時間、すなわち、液体供給機構10による液体供給が停止されてからの経過時間を計測することができる。タイマー60によって計測された前記経過時間に関する情報は制御装置CONTに出力される。またタイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を開けたことを検知したとき、時間計測動作を停止するとともに、計測時間をリセットする(零に戻す)。
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続し、他端部を後述するノズル部材70の回収口22(22A、22B)に接続した回収管23(23A、23B)とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
回収管23A、23Bの途中には、回収管23A、23Bの流路の開閉を行うためのバルブ25A、25Bがそれぞれ設けられている。バルブ25(25A、25B)の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。制御装置CONTは、バルブ25によって回収管23の流路を閉じることで、液体回収機構20による液体回収を停止することができる。一方、制御装置CONTは、バルブ25によって回収管23の流路を開けることで、液体回収機構20による液体回収を開始することができる。
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。
ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体供給口12(12A、12B)を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの液体供給口12A、12Bを有している。液体供給口12A、12Bはノズル部材70の下面70Aに設けられている。
また、ノズル部材70は、その内部に液体供給口12A、12Bに対応した供給流路を有している。また、液体供給口12A、12B及び供給流路に対応するように複数(2つ)の供給管13A、13Bが設けられている。そして、供給流路の一端部は供給管13A、13Bを介して液体供給部11にそれぞれ接続され、他端部は液体供給口12A、12Bにそれぞれ接続されている。
また、2つの供給管13A、13Bのそれぞれの途中には、液体供給部11から送出され、供給管13A、13Bの流路を流れる液体LQの単位時間当たりの流量を計測する第1流量計16(16A、16B)が設けられている。供給管13を流れる液体LQの流量を計測することで、第1流量計16は、液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量を計測することができる。第1流量計16の計測結果は制御装置CONTに出力される。
また、制御装置CONTは、第1流量計16の計測結果に基づいて、液体供給機構10によって供給管13を介した液体供給が行われているか否かを判断することができる。つまり、第1流量計16の計測結果に基づいて、供給管13の流路に液体LQが流れていないと判断したとき、制御装置CONTは、液体供給機構10からの液体供給が停止していると判断することができる。一方、第1流量計16の計測結果に基づいて、供給管13の流路に液体LQが流れていると判断したとき、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給が行われていると判断することができる。
また、不図示ではあるが、供給管13A、13Bのそれぞれの途中には、液体供給部11から送出され、液体供給口12A、12Bのそれぞれに対する単位時間あたりの液体供給量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器が設けられている。流量制御器による液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号の下で行われる。
更に、ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体回収口22(22A、22B)を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの液体回収口22A、22Bを有している。液体回収口22A、22Bはノズル部材70の下面70Aに設けられている。
また、ノズル部材70は、その内部に液体回収口22A、22Bに対応した回収流路を有している。また、液体回収口22A、22B及び回収流路に対応するように複数(2つ)の回収管23A、23Bが設けられている。そして、回収流路の一端部は回収管23A、23Bを介して液体回収部21にそれぞれ接続され、他端部は液体回収口22A、22Bにそれぞれ接続されている。
また、2つの回収管23A、23Bのそれぞれの途中には、液体回収口22A、22Bを介して投影光学系PLの像面側から回収され、回収管23A、23Bの流路を流れる液体LQの単位時間当たりの流量を計測する第2流量計26(26A、26B)が設けられている。回収管23を流れる液体LQの流量を計測することで、第2流量計26は、液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量を計測することができる。第2流量計26の計測結果は制御装置CONTに出力される。
また、制御装置CONTは、第2流量計26の計測結果に基づいて、液体回収機構20によって回収管23を介した液体回収が行われているか否かを判断することができる。つまり、第2流量計26の計測結果に基づいて、回収管23の流路に液体LQが流れていないと判断したとき、制御装置CONTは、液体回収機構20による液体回収が停止していると判断することができる。一方、第2流量計26の計測結果に基づいて、回収管23の流路に液体LQが流れていると判断したとき、制御装置CONTは、液体回収機構20による液体回収が行われていると判断することができる。
本実施形態において、ノズル部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。そして、液体供給機構10を構成する液体供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられており、液体回収機構20を構成する液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。なお、本実施形態における投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
液体供給部11及び前記流量制御器の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13A、13B、及び供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12A、12Bより基板P上に液体LQを供給する。このとき、液体供給口12A、12Bは投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、その液体供給口12A、12Bを介して、投影領域AR1の両側から液体LQを供給可能である。また、液体供給口12A、12Bのそれぞれから基板P上に供給される液体LQの単位時間あたりの量は、供給管13A、13Bのそれぞれに設けられた流量制御器により個別に制御可能である。
液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた液体回収口22A、22Bから回収された基板P上の液体LQは、ノズル部材70の回収流路、及び回収管23A、23Bを介して液体回収部21に回収される。
なお、本実施形態において、供給管13A、13Bは1つの液体供給部11に接続されているが、供給管の数に対応した液体供給部11を複数(ここでは2つ)設け、供給管13A、13Bのそれぞれを前記複数の液体供給部11のそれぞれに接続するようにしてもよい。また、回収管23A、23Bは、1つの液体回収部21に接続されているが、回収管の数に対応した液体回収部21を複数(ここでは2つ)設け、回収管23A、23Bのそれぞれを前記複数の液体回収部21のそれぞれに接続するようにしてもよい。
また、供給管13を1つとし、その途中に、バルブ15及び流量計16を設けるようにしてもよい。なお供給管13を1つとした場合には、その一端部を液体供給部11に接続し、他端部を途中から分岐させて供給口12A、12Bに接続するようにしてもよい。
投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A、及びノズル部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2及びノズル部材70の液体接触面に対して親液処理が施されており、その親液処理によって光学素子2及びノズル部材70の液体接触面が親液性となっている。換言すれば、基板ステージPSTに保持された基板Pの被露光面(表面)と対向する部材の表面のうち少なくとも液体接触面は親液性となっている。本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液処理(親水処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、この光学素子2やノズル部材70の液体接触面に親水性を付与する。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記液体接触面に設ける処理が望ましい。あるいは、MgF、Al、SiOなどの親液性材料を前記液体接触面に設けてもよい。
ノズル部材70の下面(基板P側を向く面)70Aはほぼ平坦面であり、光学素子2の下面(液体接触面)2Aも平坦面となっており、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、広い範囲で液浸領域AR2を良好に形成することができる。
また、基板ステージPSTの上面51は平坦面(平坦部)となっており、撥液化処理されて撥液性を有している。上面51の撥液化処理としては、例えばフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。なお、上面51を含む基板ステージPST全体又は一部を例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂をはじめとする撥液性を有する材料で形成してもよい。
図2は、Zステージ52(基板ステージPST)を上方から見た平面図である。基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、基準部材300が配置されている。基準部材300には、基板アライメント系350により液体LQを介さずに検出される基準マークPFMと、マスクアライメント系360により液体LQを介して検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面はほぼ平坦面(平坦部)となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。基準部材300の上面は、フォーカス検出系30の基準面としての役割も果たすことができる。また、基板アライメント系350は、基板P上の複数のショット領域S1〜S24に付随して形成されたアライメントマーク1も検出する。
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400が配置されている。照度ムラセンサ400は、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられた平坦面(平坦部)を有する上板401を有している。また、基板ステージPST内部(上板の下)には照度ムラセンサ400を構成する受光素子(ディテクタ)が埋設されており、前記上板401上に形成された液浸領域の液体LQを介して露光光ELを受光する。
同様に、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500が設けられている。空間像計測センサ500も、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられた平坦面(平坦部)を有する上板501を有している。また、基板ステージPST上には、例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)600も設けられており、その照射量センサ600の上板601の上面は基板ステージPSTに保持された基板P表面や基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。なお、上述した計測用センサはいずれもその上板の上に形成された液浸領域の液体LQを介して光を受光し、各種の計測を行うものである。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について、図3のフローチャート図を参照しながら説明する。
なお、基板Pの露光を開始する前に、基板アライメント系350の検出基準位置とマスクMのパターン像の投影位置との位置関係(ベースライン量)は、基板アライメント系350、マスクアライメント系360、基準部材300等を使って既に計測されているものとする。また、基板ステージPSTに搭載されている各種センサによる計測も既に完了し、その計測結果に基づく補正などの処置が施されているものとする。
まず、露光処理対象である基板Pが搬送系(ローダ装置)によって基板ステージPST上に搬入(ロード)される。次に、制御装置CONTは、基板Pに対して重ね合わせ露光をするために、基板P上の複数のショット領域のそれぞれに付随して形成されているアライメントマーク1を基板アライメント系350を使って計測する。基板アライメント系350がアライメントマーク1を計測しているときの基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計43によって計測されている。制御装置CONTは、基板P上に液体LQの液浸領域を形成しない状態で(非液浸状態で)、アライメントマーク1を計測する。制御装置CONTは、アライメントマーク1の検出結果に基づいて、基板アライメント系350の検出基準位置に対するショット領域の位置情報を求め、その位置情報と先に計測していたベースライン量とに基づいて基板ステージPSTを移動することで、マスクMのパターン像の投影位置とそのショット領域とを位置合わせする。
上記基板Pのロード時や、アライメントマーク1を計測している間、制御装置CONTはバルブ15を駆動して液体供給機構10の供給管13の流路を閉じている。
次に、制御装置CONTは、液浸露光開始の指令信号を出力する。制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板Pを含む基板ステージPST上の所定領域とを対向した状態で、バルブ15を駆動して供給管13の流路を開け、液体供給機構10による液体供給を開始する。タイマー60は、供給管13の流路が開いたことを検知して、計測時間をリセットする(零に戻す)とともに、時間計測を開始する(ステップSA1)。
すなわちタイマー60は、バルブ15によって供給管13の流路が開けられたことを検知して、その時点を基準とした、供給管13の流路が開けられている時間の計測、すなわち液体供給機構10による液体供給が開始されてからの経過時間を計測する。制御装置CONTはタイマー60の計測結果をモニタしており、タイマー60の計測結果は制御装置CONTに出力される。
また、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給の開始とほぼ同時に、液体回収機構20による液体回収を開始する。(ステップSA2)。ここで、液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量、及び液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量はほぼ一定値である。
なお、液体回収機構20による液体回収動作(吸引動作)は、液体供給機構10による液体供給が開始される前から(液体供給が停止されている状態においても)行うことができる。
なお、基板Pの露光前に液浸領域AR2を形成する動作は、液浸領域AR2を形成した後に続く動作に応じて、液浸領域AR2の形成を基板ステージPST上の特定の位置で行うのが望ましく、投影光学系PLの光学素子2と基板Pとが対向する位置で行ってもよいし、投影光学系PLの光学素子2と基板ステージPSTの例えば上面51とが対向する位置で行ってもよい。例えば、基板P上の第1露光領域の露光開始位置で液浸領域AR2の形成を行ってもよいし、液浸領域内の気体部分の検出(ステップSA5、詳細後述)を行うのに好適な基準部材300と対向する位置で行ってもよい。光学素子2と上面51とが対向した位置で液体LQの供給及び回収を行って上面51上に液浸領域AR2を形成したときは、基板Pを液浸露光するときに、基板ステージPSTをXY方向に移動して基板P上に液浸領域AR2を移動させればよい。
制御装置CONTは、タイマー60の計測結果に基づいて、液体供給機構10による液体供給が開始されてからの経過時間が、所定時間を超えたか否かを判別する(ステップSA3)。
ここで、所定時間とは、液体供給機構10による液体供給が開始されてから、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPが液体LQで満たされるまでの時間であって、例えば予め実験やシミュレーションによって求められている。また、空間SPを液体LQで満たした直後は、直径100μm以下の所謂マイクロバブルが残存している場合がある。そのため、所定時間は、このマイクロバブルが消えるまでの待ち時間を加算した時間としてもよい。そして、この所定時間に関する情報は記憶装置MRYに記憶されている。
液体供給機構10の液体供給部11より送出された液体LQは、供給管13を流れた後、供給口12より空間SPに供給されて、その空間SPを満たす構成である。したがって、液体供給部11より液体供給を開始した後、空間SPが液体LQで満たされるまでに所定時間を要する。そして、その所定時間は、単位時間あたりの液体流量(供給量)、供給管13及び供給口12を含む供給流路の容積、及び空間SPの容積(液浸領域AR2の容積)などに応じて変化する。そこで、前記所定時間に関する情報を、例えば実験やシミュレーションなどによって予め求めておくことにより、制御装置CONTは、前記所定時間とタイマー60の計測結果とに基づいて、空間SPが液体LQで満たされたか否かを判断することができる。
前記経過時間が前記所定時間に達したと判断したとき、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPが液体LQで満たされて液浸状態になったと判断する(ステップSA4)。液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量及び液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量はほぼ一定であり、制御装置CONTは、予め求められている所定時間と、タイマー60の計測結果である経過時間とに基づいて、空間SPが液浸状態になったか否かを判断することができる。
一方、前記経過時間が前記所定時間に達していないと判断したとき、制御装置CONTは、空間SPは未だ液浸状態ではないと判断する(ステップSA11)。そして、前記経過時間が前記所定時間に達するまで、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を継続する。
なおここでは、制御装置CONTがタイマー60をモニタし、タイマー60の計測結果に基づいて、液体供給が開始されてからの経過時間が、記憶装置MRYに記憶されている所定時間を超えたか否かを判別する構成であるが、タイマー60に前記所定時間に関する情報を記憶しておき、前記経過時間が前記所定時間を超えたときに、タイマー60が、前記経過時間が前記所定時間を超えた旨の信号を制御装置CONTに出力するようにしてもよい。
制御装置CONTは、空間SPが液体LQで満たされて液浸状態になったと判断した後、フォーカス検出系30を使って、空間SPを満たした液体LQ中の気体部分を検出する(ステップSA5)。
ここで、気体部分とは、液体LQ中を浮遊している気泡や、基板P(基板ステージPST)上に付着している気泡を含む。あるいは、気体部分としては、例えば基板Pの移動に伴う液体LQの剥離や液体供給機構10の動作不良などによって、液浸領域AR2の液体LQが基板P(基板ステージPST)表面や光学素子2の端面に密着しないことに起因して生成される気体部分を含む。
フォーカス検出系30を使って気体部分を検出するときは、制御装置CONTは、投射部30Aより空間SPに検出光Laを投射する。空間SPの液体LQ中に気泡などがある場合、気泡に当たった検出光Laは散乱や屈折などを生じる。したがって、気泡に当たった検出光Laは、受光部30Bに光量を低下した状態で受光されるか、あるいはその光路を変化させるため受光されない。つまり、液体LQ中に気泡(気体部分)がある場合、受光部30Bに受光される光強度が変化(低下)する。したがって、フォーカス検出系30は、受光部30Bの出力に基づいて、空間SPに配置されている液体LQ中に存在する気泡(気体部分)を光学的に検出することができる。
なお、液体LQ中の気体部分の検出は、フォーカス検出系30に代えて、専用の検出系を使って検出するようにしてもよい。例えば、所定の照射部より空間SPの液体LQに対して基板Pの表面とほぼ平行にレーザビームを照射し、レーザビームに対して所定の位置関係に配置された受光部によって液体LQを介したレーザビームを受光し、その受光結果に基づいて、気体部分を光学的に検出するようにしてもよい。気体部分がある場合には、照射したレーザービームは散乱などして受光部に受光される光強度を変化させるので、気体部分を光学的に検出することができる。
制御装置CONTは、タイマー60の計測結果に基づいて、空間SPが液体LQで満たされたと判断するとともに、フォーカス検出系30の検出結果に基づいて空間SPの液体LQ中に気体部分(気泡)がないことを確認した後、投影光学系PLの光学素子2と基板Pとを対向させる。そして、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら露光光ELを照射し、マスクMのパターン像を投影光学系PL及び空間SPの液体LQを介して基板P上に投影露光する(ステップSA6)。
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、バルブ15を駆動して供給管13の流路を閉じ、液体供給機構10による液体供給を停止する。タイマー60は、供給管13の流路が閉じたことを検知して、計測時間をリセットする(零に戻す)とともに、時間計測を開始する(ステップSA7)。
すなわちタイマー60は、バルブ15が供給管13の流路を閉じたことを検知して、その時点を基準とした、供給管13の流路が閉じられている時間の計測、すなわち液体供給機構10による液体供給が停止されてからの経過時間を計測する。制御装置CONTはタイマー60の計測結果をモニタしており、タイマー60の計測結果は制御装置CONTに出力される。
ここで、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給が停止された後も、所定時間だけ液体回収機構20によって液体LQを回収する。液体LQを回収するとき、制御装置CONTは、液体回収機構20の液体回収口22に対して基板ステージPSTをXY方向に相対移動しつつ、基板P上や基板ステージPST(上面51)上に残留する液体LQを回収する。これにより、基板P及び基板ステージPST上の広い範囲において残留した液体LQを回収することができる。なお、基板P上や基板ステージPST上の液体LQを回収するとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTをZ軸方向に移動し、基板P(基板ステージPST)と回収口22とを近づけた状態で液体回収を行うようにしてもよい。
制御装置CONTは、タイマー60の計測結果に基づいて、液体供給機構10による液体供給が停止されてからの経過時間が、所定時間を超えたか否かを判別する(ステップSA8)。
ここで、所定時間とは、液体供給機構10による液体供給が停止されてから、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPを満たしていた液体LQが回収されるまでの時間であって、例えば実験やシミュレーションなどによって予め求められている。そして、この所定時間に関する情報は記憶装置MRYに記憶されている。
前記経過時間が前記所定時間に達したと判断したとき、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPを満たしていた液体LQの回収が完了して、非液浸状態になったと判断する(ステップSA9)。
一方、前記経過時間が前記所定時間に達していないと判断したとき、制御装置CONTは、空間SPは未だ非液浸状態ではないと判断する(ステップSA12)。そして、前記経過時間が前記所定時間に達するまで、液体回収機構20による液体LQの回収を継続する。
なおこの場合においても、タイマー60に前記所定時間に関する情報を記憶しておき、前記経過時間が前記所定時間を超えたときに、タイマー60が、前記経過時間が前記所定時間を超えた旨の信号を制御装置CONTに出力するようにしてもよい。
基板P及び基板ステージPST上の液体LQの回収が完了して非液浸状態になったと判断した後、制御装置CONTは、基板ステージPSTを、投影光学系PLに対して離れた位置にあるアンロード位置に移動する。そして、アンロード位置において、基板ステージPST上の露光済みの基板Pが搬送系(アンローダ装置)によって搬出(アンロード)される(ステップSA10)。
なお、図3を参照して説明した実施形態においては、基板Pを液浸露光するときに、基板P上や上面51上に液体LQを配置する場合を例にして説明したが、計測部材300や計測センサ400、500、600上など、基板ステージPST上の所定の平坦部上に液体LQを配置した状態で計測処理を行う場合にも適用可能である。例えば計測センサ400上に液体LQを配置して計測処理を行う場合には、投影光学系PLの光学素子2と計測センサ400の上板401とを対向した状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を行う。そして、光学素子2と上板401との間の空間が液体LQで満たされたか否かを判断するときは、制御装置CONTは、タイマー60の計測結果に基づいて、前記判断を行うことができる。また、計測処理が終了した後、液体回収を行う場合には、制御装置CONTは、タイマー60の計測結果に基づいて、液体LQが回収されたか否かを判断することができる。
以上説明したように、液体供給が開始されてからの経過時間に基づいて、投影光学系PLと基板Pとの間の空間SPが液体LQで満たされたか否かを判断することができる。したがって、空間SPが液体LQが満たされたか否かを検知するためのシステムを新たに構築することなく、比較的簡易な構成で液体LQが満たされたか否かを容易に判別することができる。そして、空間SPが液体LQで満たされた後に液体LQを介した露光処理や計測処理を行うことができるので、露光精度及び計測精度を維持することができる。
また、液体供給が停止されてからの経過時間に基づいて、投影光学系PLと基板Pとの間の空間SPから液体LQが回収されたか否かを判断することもできる。したがって、空間SPの液体LQを検知するためのシステムを新たに構築することなく、比較的簡易な構成で、液体LQが回収されたか否かを容易に判断することができる。そして、液体LQを回収した後に基板Pの搬出や液体LQを介さない計測処理などの所定の処理を行うことができ、液体LQの飛散などの不都合の発生を防止して、露光精度及び計測精度を維持することができる。
なお、上述した実施形態においては、バルブ15の動作に基づいて、液体供給機構10による液体供給の開始又は停止を判断しているが、上述したように、第1流量計16の計測結果に基づいて、液体供給の開始又は停止を判断することもできる。したがって、液体供給機構10による液体供給の開始又は停止を行ったときは、制御装置CONTは、第1流量計16の計測結果に基づいて、タイマー60による時間計測を開始するようにしてもよい。
また、供給管13に設けられている第1流量計16で計測された流量が所定量よりも多くなったときを基準として、液体供給が開始されてからの時間計測を開始してもよい。同様に、供給管13に設けられている第1流量計16で計測された流量が所定量よりも少なくなったときを基準として、液体供給が停止されてからの時間計測を開始してもよい。
また投影光学系PLの光学素子2の像面側の液体の有無を検知するセンサを搭載し、そのセンサの検出結果に基づいて、タイマー60による時間計測を開始するようにしてもよい。例えば前記センサが、液体LQの存在を検知したときを基準として、液体供給が開始されてからの時間計測を開始することができる。また前記センサが、液体LQが無いことを検知したときを基準として、液体供給が停止されてからの時間計測を開始することができる。このようなセンサとしてフォーカス検出系30を用いることができる。フォーカス検出系30の検出光(反射光)は投影光学系PLの像面側を通過しており、投影光学系PLの像面側、すなわち検出光(反射光)の光路に液体LQがなくなってしまうとフォーカス検出系30に検出エラーが生じるため、その検出エラーをモニタすることで、投影光学系PLの光学素子2の像面側の液体の有無を検知できる。
また上述したような、液体供給機構10からの液体供給が開始又は停止されたことや、空間SPが液浸状態か否かを検知するための機構を複数用意しておき、それらを適宜組み合わせてタイマー60の時間計測を開始するようにしてもよい。
次に、本発明の別の実施形態について図4のフローチャート図を参照しながら説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板Pを含む基板ステージPST上の所定領域とを対向した状態で、バルブ15を駆動して供給管13の流路を開け、液体供給機構10による液体供給を開始する。また、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を開始したとほぼ同時に、液体回収機構20による液体回収を開始する。(ステップSB1)。
制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収の開始と同時に(または所定時間経過後に)、第1流量計16及び第2流量計26を使って、単位時間あたりの液体供給量及び液体回収量の計測を開始する(ステップB2)。
第1流量計16及び第2流量計26の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、第1流量計16及び第2流量計26の計測結果に基づいて、液体供給量と液体回収量との差が所定値よりも小さくなったか否かを判別する(ステップSB3)。
ここで、図5を参照しながら上記所定値について説明する。図5は、液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量及び液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量と時間との関係を示すグラフ図であり、横軸は時間、縦軸は流量である。図5において、液体供給機構10により液体供給を開始した時点はt、液体回収機構20により液体回収を開始した時点はtであり、液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量、及び液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量は一定であるとする。また、流量は第1流量計16及び第2流量計26で計測された値である。時点tと時点tとの間の時間差ΔTは、液体供給部11から送出された液体LQが第1流量計16を通過する時点と、その液体LQが空間SPを満たした後第2流量計26を通過する時点との間の時間差であり、第1流量計16から第2流量計26までの間の流路の体積に起因するものである。そして、空間SPが液体LQで満たされて液浸領域AR2が良好に形成されている状態は、液体供給量(すなわち第1流量計16の計測結果)と、液体回収量(すなわち第2流量計26の計測結果)とがほぼ等しい状態である。そこで、制御装置CONTは、液体供給量と液体回収量とがバランスし、第1流量計16の計測結果と第2流量計26の計測結果との差がほぼ無くなった時点で、空間SPが液体LQで満たされて液浸領域AR2が良好に形成されたと判断する。すなわち図5においては、第1流量計16の計測結果Fと第2流量計26の計測結果Fとの差がほぼなくなり、その差が所定値ΔF以下となった時点tで、制御装置CONTは、空間SPが液体LQで満たされたと判断する。
そして、この所定値ΔFに関する情報は、例えば実験やシミュレーションなどによって予め求められており、記憶装置MRYに記憶されている。
第1流量計16の計測結果と第2流量計26の計測結果との差が所定値ΔF以下になったと判断したとき、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPが液体LQで満たされて液浸状態になったと判断する(ステップSB4)。
ここで、前記差が所定値ΔF以下になっていない場合、制御装置CONTは、空間SPは未だ液浸状態ではないと判断する(ステップSB11)。そして、予め設定された制限時間を経過したかどうかを判断する(ステップSB13)。該制限時間を経過していない場合、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を継続する。
一方、前記制限時間を経過している場合、制御装置CONTは、露光装置EXに異常が生じたと判断し、所定の処置を施す(ステップSB14)。例えば、前記制限時間を経過した時点において、液体供給量の値が大きくて前記差がΔF以下にならない場合、制御装置CONTは、液体供給量が過剰であると判断し、基板P(基板ステージPST)上からの液体LQの流出などの不具合を防止するために、例えばバルブ15を閉じて液体供給を停止したり、不図示の警報装置(アラーム音、警告灯など)を駆動するなどの適切な処置を施す。一方、液体回収量の値が大きくて前記差がΔF以下にならない場合、制御装置CONTは、液体回収量が過剰であると判断し、液浸領域AR2の枯渇などの不都合を防止するために、例えば液体供給量を多くするなどの適切な処置を施す。このように、制御装置CONTは、第1流量計16の計測結果と第2流量計26の計測結果とに基づいて、露光装置EXに異常が生じたか否かを判断することもできる。
制御装置CONTは、空間SPが液体LQで満たされて液浸状態になったと判断した後、フォーカス検出系30を使って、空間SPを満たした液体LQ中の気体部分を検出する(ステップSB5)。制御装置CONTは、液浸状態になったと判断した後、マイクロバブル消滅のための待ち時間の経過を待ってから気体部分の検出を実行するようにしてもよい。
制御装置CONTは、第1流量計16及び第2流量計26の計測結果に基づいて、空間SPが液体LQで満たされたと判断するとともに、フォーカス検出系30の検出結果に基づいて空間SPの液体LQ中に気体部分(気泡)がないことを確認した後、投影光学系PLの光学素子2と基板Pとを対向させる。そして、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら露光光ELを照射し、マスクMのパターン像を投影光学系PL及び空間SPの液体LQを介して基板P上に投影露光する(ステップSB6)。
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、バルブ15を駆動して供給管13の流路を閉じ、液体供給機構10による液体供給を停止する。一方、制御装置CONTは、液体回収機構20による液体回収を継続する。第2流量計26は、液体供給機構10による液体供給が停止された後、液体回収機構20による液体回収量を計測する(ステップSB7)。
制御装置CONTは、第2流量計26の計測結果に基づいて、液体回収機構20による液体回収量が、所定値よりも小さくなったか否かを判別する(ステップSB8)。
ここで、図6を参照しながら上記所定値について説明する。図6は、液体供給機構10による単位時間あたりの液体供給量及び液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量と時間との関係を示すグラフ図であり、横軸は時間、縦軸は流量である。図6において、液体供給機構10の液体供給を停止した時点はtである。また、流量は第1流量計16及び第2流量計26で計測された値である。液体供給機構10による液体供給を停止することで、第1流量計16の計測結果は急速に零に近づく。一方、液体回収機構20は、液体供給機構10による液体供給の停止後、基板P(基板ステージPST)上の液体LQの回収を徐々に行うため、第2流量計26の計測結果はなだらかに零に近づく。そして、空間SPに満たされた液体LQが良好に回収される状態は、液体回収量(すなわち第2流量計26の計測結果)がほぼ零になる状態である。そこで、制御装置CONTは、第2流量計26の計測結果が、予め設定された所定値F以下(ほぼ零)になった時点tで、空間SPを満たしていた液体LQの回収が完了したと判断する。そして、この所定値Fに関する情報は記憶装置MRYに記憶されている。
第2流量計26の計測結果が前記所定値F以下になったと判断したとき、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPを満たしていた液体LQの回収が完了して非液浸状態になったと判断する(ステップSB9)。
ここで、前記第2流量計26の計測結果が前記所定値F以下になっていないと判断したとき、制御装置CONTは、空間SPは未だ非液浸状態ではないと判断する(ステップSB12)。そして、予め設定された制限時間を経過したかどうかを判断する(ステップSB15)。該制限時間を経過していない場合、制御装置CONTは、液体回収機構20による液体LQの回収を継続する。
一方、前記制限時間を経過している場合、制御装置CONTは、露光装置EXに異常が生じたと判断し、所定の処置を施す(ステップSB16)。例えば、前記制限時間を経過した時点においても、第2流量計26の計測結果が所定値F以下にならない場合、液体供給機構10による液体供給が停止されていなかったり、あるいは供給管13の途中などから液体LQが漏洩している可能性があるため、制御装置CONTは、液体LQの漏出を防止するために、例えばバルブ15を閉じて液体供給を停止したり、あるいは露光装置EX全体の動作を停止したり、不図示の警報装置(アラーム音、警告灯など)を駆動するなどの処置を施す。このように、制御装置CONTは、第2流量計26の計測結果に基づいて、露光装置EXに異常が生じたか否かを判断することもできる。
基板P及び基板ステージPST上の液体LQの回収が完了して非液浸状態になったと判断した後、制御装置CONTは、基板ステージPSTを、投影光学系PLに対して離れた位置にあるアンロード位置に移動する。そして、アンロード位置において、基板ステージPST上の露光済みの基板Pが搬送系(アンローダ装置)によって搬出(アンロード)される(ステップSB10)。
なお上記ステップSB4において、第1流量計16の計測結果と第2流量計26の計測結果との差が所定値ΔF以下になったと判断したとき、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板P(あるいは基板ステージPST)表面との間の空間SPが液体LQで満たされたと判断している。一方で、第1流量計16及び第2流量計26とタイマー60とを併用し、前記差が所定値ΔFよりも小さくなった時点tから所定時間経過した時点t(図5参照)で、制御装置CONTは、空間SPが液体LQで満たされたと判断するようにしてもよい。こうすることにより、液浸領域AR2が安定化するのを待ってから、露光処理を行うことができる。例えば図5の符号F’で示すように、前記差が一旦ΔF以下になったにもかかわらず、回収側流量がオーバーシュートして一定期間だけΔF以上になってしまう可能性がある。その状態で、基板ステージPSTを移動しながら基板Pの液浸露光を開始すると、液浸領域AR2が枯渇したり、逆に液体LQが流出する可能性が高くなるなどの不具合が生じる。そこで、前記差が所定値ΔFよりも小さくなってから、液体供給量及び液体回収量の安定化のために所定時間経過した時点tで、空間SPが液体LQで満たされたと判断することで、上記不具合の発生を防止することができる。
また、上記ステップSB9においては、第2流量計26の計測結果が所定値F以下になったと判断したとき、制御装置CONTは、液体回収が完了したと判断しているが、この場合においても、第1流量計16及び第2流量計26とタイマー60とを併用し、第2流量計26の計測結果が所定値F以下になった時点tから所定時間経過した時点t(図6参照)で、液体回収が完了したと判断するようにしてもよい。こうすることにより、液体LQが残存する可能性を更に低減することができ、液体回収を良好に行うことができる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、本実施形態では、投影光学系PLの先端の光学部材(光学素子2)の射出側の光路空間を液体LQで満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの光学素子2の入射側の光路空間も液体LQで満たすようにしてもよい。この場合、光学素子2の入射側の光路空間への液体LQの供給、および該空間からの液体LQの回収に対しても本発明を適用することができる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはFレーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報(対応米国特許6,341,007号、6,400,441号、6,549,269号及び6,590,634号)、特表2000−505958号公報(対応米国特許5,969,441号)あるいは米国特許6,208,407号などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平11−135400号公報に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
なお、上述の各実施形態では露光動作中における液体LQの供給、回収について説明したが、これに限られない。たとえば、メンテナンス時や制御装置CONTのリセット時において、液体回収動作および液体供給動作を単独で行なう場合にも適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。

Claims (28)

  1. 基板上に局所的に形成される液浸領域の液体と投影光学系とを介して前記基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間に液体を供給する液体供給機構と、
    前記液体供給機構による液体供給が開始されてからの時間を計測するタイマーと、
    前記タイマーの計測結果に基づいて、前記投影光学系の像面側先端部と前記物体との間の少なくとも前記露光光の光路を含む空間が前記液体で満たされたか否かを判断する制御装置とを備えたことを特徴とする露光装置。
  2. 前記制御装置は、前記タイマーの計測結果に基づいて、前記液体供給が開始されてからの時間が所定時間に達したときに前記空間が前記液体で満たされたと判断することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  3. 前記液体供給機構は、液体を供給する供給口と、前記供給口に接続する流路を開閉するバルブとを有し、
    前記タイマーは、前記バルブが前記流路を開けたとき、時間計測を開始することを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
  4. 液体中の気体部分を検出する検出器を備え、
    前記制御装置は、前記空間が前記液体で満たされたと判断した後、前記空間を満たした前記液体中の気体部分を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
  5. 前記タイマーは、前記液体供給機構による液体供給が停止されてからの時間を計測し、
    前記制御装置は、前記空間から前記液体が回収されたか否かを判断することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の露光装置。
  6. 基板上に局所的に形成される液浸領域の液体と投影光学系とを介して前記基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間に液体を供給する液体供給機構と、
    前記液体供給機構による液体供給が停止されてからの時間を計測するタイマーと、
    前記液体供給機構による液体供給中、及び液体供給が停止された後も液体を回収する液体回収機構と、
    前記タイマーの計測結果に基づいて、前記投影光学系の像面側先端部と前記物体との間の空間から前記液体が回収されたか否かを判断する制御装置とを備えたことを特徴とする露光装置。
  7. 前記制御装置は、前記タイマーの計測結果に基づいて、前記液体供給が停止されてからの時間が所定時間に達したときに前記空間から前記液体が回収されたと判断することを特徴とする請求項6記載の露光装置。
  8. 前記液体供給機構は、液体を供給する供給口と、前記供給口に接続する流路を開閉するバルブとを有し、
    前記タイマーは、前記バルブが前記流路を閉じたとき、時間計測を開始することを特徴とする請求項6又は7記載の露光装置。
  9. 基板上に局所的に形成される液浸領域の液体と投影光学系とを介して前記基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間に液体を供給する液体供給機構と、
    前記液体を回収する液体回収機構と、
    前記液体供給機構による液体供給量を計測する第1計測器と、
    前記液体回収機構による液体回収量を計測する第2計測器と、
    前記第1計測器及び第2計測器の計測結果に基づいて、前記投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の少なくとも前記露光光の光路を含む空間が前記液体で満たされたか否かを判断する制御装置とを備えたことを特徴とする露光装置。
  10. 前記制御装置は、前記第1計測器の計測結果と前記第2計測器の計測結果との差が所定値以下になったとき、前記空間が前記液体で満たされたと判断することを特徴とする請求項9記載の露光装置。
  11. 前記制御装置は、前記第1計測器の計測結果と前記第2計測器の計測結果との差に基づいて、異常が生じたか否かを判断することを特徴とする請求項9又は10記載の露光装置。
  12. 前記制御装置は、前記空間が前記液体で満たされたと判断した後、前記露光光を照射することを特徴とする請求項5、9〜11のいずれか一項記載の露光装置。
  13. 基板上に局所的に形成される液浸領域の液体と投影光学系とを介して前記基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
    前記投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給する液体供給機構と、
    前記液体を回収する液体回収機構と、
    前記液体供給機構による液体供給が停止された後、前記液体回収機構による液体回収量を計測する計測器と、
    前記計測器の計測結果に基づいて、前記空間から前記液体が回収されたか否かを判断する制御装置とを備えたことを特徴とする露光装置。
  14. 前記液体回収機構の回収口と前記物体とを相対移動しつつ、液体回収を行うことを特徴とする請求項13記載の露光装置。
  15. 前記物体は、前記基板もしくは前記基板を保持して移動可能な基板ステージを含み、
    前記基板もしくは前記基板ステージ上の所定領域と前記投影光学系との間に液体が満たされることを特徴とする請求項13又は14項記載の露光装置。
  16. 基板との間に局所的に液浸領域が形成される投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給する供給方法において、
    前記空間に液体を供給するステップと、
    前記供給開始後の経過時間を計測するステップと、
    前記経過時間が所定時間を超えた時点で前記空間が前記液体によって満たされたと判断するステップとを有することを特徴とする供給方法。
  17. 基板との間に局所的に液浸領域が形成される投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給する供給方法において、
    前記空間への液体の供給と前記空間からの液体の回収とを同時に行うステップと、
    単位時間あたりの液体の供給量と回収量とを計測するステップと、
    前記供給量と前記回収量との差が所定値より小さくなった時点、または前記供給量と前記回収量との差が所定値より小さくなってから所定時間経過した時点のいずれか一方の時点で、前記空間が前記液体によって満たされたと判断するステップとを有することを特徴とする供給方法。
  18. 前記空間が前記液体によって満たされたと判断した後、投影光学系と前記液体とを介して基板に露光光を照射し、前記基板を露光するステップを有することを特徴とする請求項16又は17記載の供給方法。
  19. 基板との間に局所的に液浸領域が形成される投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に満たされた液体を回収する回収方法において、
    前記空間への液体の供給と前記空間からの液体の回収とを同時に行うステップと、
    前記液体の供給を停止するステップと、
    前記停止後の経過時間を計測するステップと、
    前記経過時間が所定時間を超えた時点で前記空間を満たしていた液体の回収が完了したと判断するステップとを有することを特徴とする回収方法。
  20. 基板との間に局所的に液浸領域が形成される投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に満たされた液体を回収する回収方法において、
    前記空間への液体の供給と前記空間からの液体の回収とを同時に行うステップと、
    単位時間あたりの液体の供給量と回収量とを計測するステップと、
    前記液体の供給を停止するステップと、
    前記回収量が所定量よりも小さくなった時点、または前記回収量が所定値よりも小さくなってから所定時間経過した時点のいずれか一方の時点で、前記空間を満たしていた液体の回収が完了したと判断するステップとを有することを特徴とする回収方法。
  21. 前記液体供給の停止に先立って、前記投影光学系と前記液体とを介して基板に露光光を照射して前記基板を露光するステップと、
    前記空間を満たしていた液体の回収が完了したと判断した後、前記基板を搬出するステップとを有することを特徴とする請求項19又は20記載の回収方法。
  22. 投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給し、該液体を介して前記物体を露光する露光方法において、
    請求項16〜18のいずれか一項記載の供給方法を用いて液体を供給するステップを含むことを特徴とする露光方法。
  23. 投影光学系の像面側先端部と該先端部に対向する物体との間の空間に液体を供給し、該液体を介して前記物体を露光する露光方法において、
    請求項19〜21のいずれか一項記載の回収方法を用いて液体を回収するステップを含むことを特徴とする露光方法。
  24. 請求項1〜15のいずれか一項記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
  25. 前記液体供給機構による液体供給中に液体を回収する液体回収機構を備え、
    前記制御装置は、前記タイマーの計測結果および前記液体回収機構からの情報に基づいて、前記空間が前記液体で満たされたか否かを判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
  26. 前記タイマーの計測結果は、前記液体供給が開始されてからの時間を含むことを特徴とする請求項25記載の露光装置。
  27. 前記液体回収機構からの情報は、前記液体供給機構による単位時間あたりの液体の回収量を含むことを特徴とする請求項25又は26に記載の露光装置。
  28. 前記液体供給機構による液体供給中に液体を回収する液体回収機構を備え、
    前記制御装置は、前記液体供給が開始されてから定められた時間が経過した後に前記前記液体回収機構による液体回収量が予め設定された量に至らない場合に、警告を発することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
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