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JP5076145B2 - 地上に設置されるマグロの養殖池 - Google Patents

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JP5076145B2 JP2007244420A JP2007244420A JP5076145B2 JP 5076145 B2 JP5076145 B2 JP 5076145B2 JP 2007244420 A JP2007244420 A JP 2007244420A JP 2007244420 A JP2007244420 A JP 2007244420A JP 5076145 B2 JP5076145 B2 JP 5076145B2
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Description

本発明は、地上に設置されるマグロの養殖池、すなわち地上にマグロ牧場を設けるもので、とくに池水を一定の方向に流す養殖池に関する。ただし、本明細書においてマグロ牧場に相当する養殖池は、マグロを大きくするためのみではなく、マグロを一時的に畜養する池を含む意味に使用する。
本発明者は、地上に設置して池水を一定の方向に流す魚の養殖池を開発した。(特許文献1参照)この養殖池は、図1に示すように、複数列のリング壁92の間に、複数列のリング池91を同心に配置している。この養殖池は、各々のリング池91の池水を矢印で示すように流している。この養殖池は、リング池91の池水の流れに逆らうように魚を泳がせながら、回遊魚のマグロを養殖できる。全体のリング池91を連結するために、リング壁92には、一部に開口部93を設けて、この開口部93を通水性区画材94で塞いでいる。通水性区画材94は、池水を通過させて魚を通過させない網目の網材を使用している。
実開昭63−119357号公報
図1に示す養殖池は、マグロ等の魚を流れに逆らって遊泳させることから、自然の海に近い環境で魚を生育できる。とくに、この養殖池は、魚を流れに逆らって泳がせることから、魚を勢いよく泳がせながら、魚とリング壁との相対速度を小さくできる。このことは、魚がリング池に接触して受ける損傷を少なくすることに効果がある。しかしながら、この構造の養殖池においても、速く泳ぐマグロを養殖すると、擦り傷を受ける弊害がある。マグロの擦り傷は、網材の通水性区画材に接触して発生する。マグロは擦り傷を受けると、魚肉の品質が著しく低下するばかりでなく、これが原因で死滅することもある。
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、速く泳ぐマグロを、擦り傷を極減しながら元気に養殖できる地上に設置されるマグロの養殖池を提供することにある。
本発明の地上に設置されるマグロの養殖池は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
マグロの養殖池は、地上に設置されるマグロの養殖池であって、所定の幅を有する環状のリング池1を同心に複数列に設けるリング壁2と、このリング壁2の開口部3を、隣接するリング池1の池水を通過させてマグロを通過させないように塞いでいる通水性区画材4と、リング壁2の間に設けられる各々のリング池1の池水を強制的に流動させる強制流動器15とを備え、この強制流動器15でもって、リング池1の池水を回転するように流している。通水性区画材4は、水平面内においてリング壁2に沿う方向に変形されてなる複数の水平ロッド31を上下に離して連結してなる格子30である。この格子30を構成する水平ロッド31の間隔は、池水を通過させてマグロを通過させない隙間としている。マグロの養殖池は、この格子30の通水性区画材4でもって、リング壁2の開口部3を、池水を通過させてマグロを通過しないように塞いでいる。
本発明の請求項2の地上に設置されるマグロの養殖池は、リング壁2に沿う方向に変形している水平ロッド31を、水平面内において、通水性区画材4を連結しているリング壁2と同じ曲率半径に湾曲している。
本発明の請求項3の地上に設置されるマグロの養殖池は、通水性区画材4である格子30の水平ロッド31を丸パイプとしている。
本発明の請求項4の地上に設置されるマグロの養殖池は、通水性区画材4である格子30が、水平ロッド31を上下ロッド32で連結している。
本発明の請求項5の地上に設置されるマグロの養殖池は、通水性区画材4の上下ロッド32が、その表面を回転パイプ37でカバーしている。
本発明の請求項6の地上に設置されるマグロの養殖池は、通水性区画材4の回転パイプ37の外径を、水平ロッド31の外径よりも小さくしている。
本発明の請求項7の地上に設置されるマグロの養殖池は、通水性区画材4が、格子30を構成する水平ロッド31の両端を、溝形連結材38の溝内に挿入して、この溝形連結材38を介して連結している。
本発明の請求項8の地上に設置されるマグロの養殖池は、格子30の溝形連結材38を介して格子30の片側を水平面内で傾動できるように、リング壁2の開口部3の一方の側縁3Aに連結している。
本発明の地上に設置される養殖池は、速く泳ぐマグロの擦り傷を極減して、元気に養殖できる特徴がある。それは、本発明の養殖池が、従来の養殖池においてマグロに擦り傷を与えていた通水性区画材の網材を独特の構造とするからである。すなわち、本発明は、通水性区画材を水平面内においてリング壁に沿う方向に変形している複数の水平ロッドを上下に離して連結してなる格子とし、この格子を構成する水平ロッドの間隔を、池水を通過させてマグロを通過させない隙間とし、この格子の通水性区画材でもって、リング壁の開口部を、池水を通過させてマグロを通過しないように塞いでいるからである。
とくに、本発明の請求項2の養殖池は、リング壁に沿う方向に変形している水平ロッドを、水平面内において、通水性区画材を連結しているリング壁と同じ曲率半径に湾曲している。この養殖池は、マグロの擦り傷をより少なくできる。それは、格子の水平ロッドをリング壁と同じ曲率半径で湾曲するからである。リング壁と同じように湾曲する水平ロッドは、リング壁に沿って遊泳するマグロが接触することがなく、マグロの擦り傷をさらに少なくできる。
また、本発明の請求項3の養殖池は、格子の水平ロッドを丸パイプとする。この格子は、全体を軽くできると共に、丸パイプによって角がなくなることから、マグロが接触して発生する擦り傷をより少なくできる。
さらに、本発明の請求項4の養殖池は、格子の水平ロッドを上下ロッドで連結しているので、細長い水平ロッドを間隔が変化しないように連結できる。とくに、請求項5の養殖池は、上下ロッドの表面を回転パイプでカバーしている。この上下ロッドは、仮にマグロが接触しても回転パイプが回転して、マグロの擦り傷を防止する。また、本発明の請求項6の養殖池は、回転パイプの外径を、水平ロッドの外径よりも小さくしてるので、回転パイプが水平ロッドの表面から突出することがなく、これにマグロが接触して発生する擦り傷を少なくできる。
さらに、本発明の請求項7のマグロの養殖池は、格子を構成する水平ロッドの両端を、溝形連結材の溝内に挿入して、この溝形連結材を介して連結している。この構造の格子は、多数の水平ロッドの両端を簡単な構造でしっかりと連結できる。とくに、本発明の請求項8の養殖池は、水平ロッドの両端を連結している溝形連結材を介して、格子の片側を、水平面内で傾動できるように、リング壁の開口部の一方の側縁に連結している。この構造は、格子の通水性区画材をリング壁にしっかりと連結しながら、スムーズに傾動できる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地上に設置されるマグロの養殖池を例示するものであって、本発明は養殖池を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図2ないし図5に示すマグロの養殖池は、地上に設置されて、所定の幅を有する環状のリング池1を同心に複数列に設けるリング壁2と、このリング壁2の開口部3を、隣接するリング池1の池水を通過させてマグロを通過させないように塞いでいる通水性区画材4と、リング壁2の間に設けられる各々のリング池1の池水を強制的に流動させる強制流動器15とを備える。
リング池1は、所定の幅と高さを有する溝形で上方を開口している。図の養殖池は、3列のリング池1を同心に設けている。3列のリング池1は、最内周リング池1Aと最外周リング池1Cとの間に中間リング池1Bを設けて、各々のリング池1の幅を外側に向かって次第に広くしている。リング池1は、たとえば、最内周リング池1Aの幅を1.5m、中間リング池1Bの幅を2m、最外周リング池1Cの幅を2.5mとする。また、リング池1を構成するリング壁2の高さは、たとえば3.6mとする。ただし、本発明の養殖池は、リング池1の幅とリング壁2の高さを特定するものではない。リング池1の幅と深さは、養殖し、あるいは畜養するマグロの種類や大きさを考慮して最適値に設計される。たとえば、リング池1の幅は1m〜5m、リング壁2の高さは50cm〜5mとすることができる。さらに、以上の養殖池は3列のリング池1を設けているが、本発明の養殖池は3列以上又は2列のリング池を設けることができる。
図の養殖池は、地面に円形のリング壁2を垂直に固定して、リング壁2の間にリング池1を設けている。図4と図5の養殖池は、地面に土間コンクリート23を打設し、この土間コンクリート23の上にプラスチック板からなる底板24を固定している。さらに、底板24の上に、リング壁2となる円形のプラスチック板を接着又は溶着して垂直に固定して、リング壁2の間にリング池1を設けている。土間コンクリート23は、たとえば厚さを20cmとし、プラスチック板は5mm厚のポリエチレン板を使用する。ただ、土間コンクリートとプラスチック板は厚くして強固にできるので、リング池の大きさによって最適値とする。さらに、図4と図5の養殖池は、最外周のリング壁2の外側にはコンクリート25を固定して補強している。
隣接するリング池1の間のリング壁2は、一部に開口部3を設けている。この開口部3は、池水を通過できる通水性区画材4でマグロが通過しないように塞いでいる。通水性区画材4は、図6に示すように、複数の水平ロッド31を上下に離して連結している格子30である。格子30の水平ロッド31は、水平面内においてリング壁2に沿う方向に変形している。格子30を構成する水平ロッド31の間隔は、池水を通過させてマグロを通過させない隙間、たとえば、1cmないし5cmとしている。格子30の通水性区画材4は、リング壁2の開口部3を、池水を通過させてマグロを通過しないように塞いでいる。
格子30の通水性区画材4は、リング壁2に沿う方向に変形している水平ロッド31を、水平面内において、通水性区画材4を連結しているリング壁2と同じ曲率半径に湾曲している。この養殖池は、リング壁2と格子30をひとつの円周上に配置して、リング池1に沿って遊泳するマグロが格子30に接触するのを有効に防止できる。水平ロッド31は、ステンレス等の金属製の丸パイプである。ただ、水平ロッドは、必ずしもパイプとする必要はなく、ステンレス等の丸棒も使用できる。また、水平ロッドは、必ずしも丸パイプや丸棒とする必要はなく、たとえば断面を楕円形とし、あるいは多角形とすることもできる。
通水性区画材4の格子30は、図7と図8に示すように、水平ロッド31を上下ロッド32で連結している。上下ロッド32は、水平ロッド31の中間の複数カ所を連結して、水平ロッド31の間隔を一定に保持している。上下ロッド32は、水平ロッド31を貫通して一定の間隔に連結する。上下ロッド32は、水平ロッド31を一定の間隔に保持するスペーサ筒33に挿通している。スペーサ筒33は、上下の水平ロッド31に挟着されて、水平ロッド31の間に固定される。上下ロッド32は一端に鍔34を有し、他端に雄ネジ35を設けており、この雄ネジ35にナット36をねじ込んで、水平ロッド31を固定している。さらに、図の通水性区画材4の格子30は、スペーサ筒33の表面を回転パイプ37でカバーしている。回転パイプ37は、スペーサ筒33の表面を回転できるようにカバーする。したがって、回転パイプ37はその内径をスペーサ筒33の外径よりも大きく、かつ全長をスペーサ筒33よりも短くしている。回転パイプ37はステンレス等の金属パイプである。
さらに、通水性区画材4の格子30は、水平ロッド31の両端を、溝形連結材38の溝内に挿入して、この溝形連結材38を介して連結している。溝形連結材38もステンレス等の金属製の溝形鋼である。この格子30は、溝形連結材38と水平ロッド31を貫通するように止ネジ39で固定している。止ネジ39は、水平ロッド31を直径方向に貫通するように、溝形連結材38と水平ロッド31を貫通して、水平ロッド31を溝形連結材38に固定している。水平ロッド31と溝形連結材38は、図示しないが、止ネジによらずリベットで連結することができ、また溶接して連結することもできる。
以上に示す格子30の通水性区画材4は、水平ロッド31や回転パイプ37や溝形連結材38をステンレス等の金属製としている。金属製の格子30である通水性区画材4は、全体を強固にできる特徴がある。ただ、格子の通水性区画材は、水平ロッドや回転パイプや溝形連結材を、プラスチック製とすることもできる。プラスチック製の格子は、たとえば、ポリ塩化ビニルやポリエチレン等のプラスチックで製作される。このように、プラスチックで製作される通水性区画材は、全体を軽くしながら、低コストに製造できる。
格子30の通水性区画材4は、溝形連結材38を介して格子30の片側を水平面内で傾動できるように、リング壁2の開口部3の一方の側縁3Aに連結している。図9の拡大断面図に示すように、格子30は、溝形連結材38とリング壁2の開口部3の内面に固定している蝶番40を介して傾動できるようにリング壁2に連結している。格子30の通水性区画材4は、蝶番40と反対側の側縁を脱着部4Aとして、開口部3の他方の側縁3Bに脱着できるように連結している。さらに、図6に示す通水性区画材4は、水平面内でスムーズに傾動できるように、脱着部4Aである溝形連結材38の下端にローラー41を設けている。この通水性区画材4は、リング池1の底面に沿ってローラー41を回転させて、スムーズに傾動できる。
以上の格子30の通水性区画材4は、脱着部4Aを外して内側のリング壁2に連結して、マグロを内側のリング池1から外側のリング池1に移送する。図示しないが、通水性区画材は、脱着部を外側のリング壁に連結して、外側のマグロを内側に移送することもできる。図2と図3に示す通水性区画材4は、リング池1の幅よりも広くして、内側又は外側のリング壁2に連結する状態で、リング壁2に対して傾斜する姿勢としている。この通水性区画材4は、マグロをスムーズに隣のリング池1に移送できる。
さらに、図2と図3の養殖池は、最も外側の最外周リング池1Cの外側に沿って取上池5を設けている。取上池5は、通水性区画材4を介して最外周リング池1Cに連結している。図の養殖池は、取上池5の両端部を通水性区画材4で最外周リング池1Cに連結している。この通水性区画材4は、最外周リング池1Cの外側壁から内側壁に移動できるように連結しており、通水性区画材4を最外周リング池1Cの内側壁に連結して、最外周リング池1Cのマグロを取上池5に移動できるようにしている。図3において、取上池5の右端に連結している通水性区画材4は、図の細線で示す位置(図2において矢印Aで示す方向)に移動して、最外周リング池1Cのマグロを取上池5に移送する。通水性区画材4を太線位置に連結して、最外周リング池1Cのマグロを取上池5に移送することなく、最外周リング池1Cに遊泳させる。さらに、図3において取上池5の左上端部に連結している通水性区画材4は、図の細線で示す位置(図2において矢印Bで示す方向)に移動して、取上池5に移したマグロを最外周リング池1Cに戻すことができる。最外周リング池1Cに取上池5を連結して、通水性区画材4で最外周リング池1Cのマグロを取上池5に移送できる養殖池は、マグロを取上池5に入れて簡単に取り出しできる。また、取上池5に移動して取り出ししないマグロは、通水性区画材4を操作して、取上池5から最外周リング池1Cに簡単に移動できる。このため、取り出しするマグロを選別しながら能率よくマグロを養殖池から取り出しできる。
リング池1の池水は、強制流動器15で同じ方向に回転するように流動される。図2ないし図5の強制流動器15は、ポンプ16と、このポンプ16で加圧して排出される池水を噴射するノズル18を固定している給水パイプ17とからなる。図2ないし図4の養殖池は、対向する位置に給水パイプ17を配置している。図において左側に配置される給水パイプ17に池水を供給するポンプ16は水中ポンプで、池水を吸入し、これを加圧して給水パイプ17に供給する。図3と図4において右側に配置される給水パイプ17に池水を供給するポンプ16は、後述する浄化槽28で浄化された水を吸入し、これを加圧して給水パイプ17に供給する。給水パイプ17は、リング池1の液面から上方に離れて配置される。この給水パイプ17は、リング池1を遊泳するマグロが衝突することがない。給水パイプ17は、所定の間隔で複数のノズル18を固定している。ノズル18は、ポンプ16から供給される池水をリング池1の水面に噴射して、リング池1の池水を加速して、リング池1に沿って回転させる。ノズル18は、リング池1の池水を流す方向に傾斜して、リング池1の水面に池水を噴射する。養殖池の対向する位置に配置される両方の給水パイプ17は、ノズル18から噴射する池水で、池水を同じ方向に回転させる。給水パイプ17は、リング池1に直交するように配置される。この構造の強制流動器15は、リング池1の池水を一定の方向に流れるように加速しながら、池水に酸素を補給できる。ただ、本発明の養殖池は、強制流動器15を以上の構造には特定しない。強制流動器には、リング池の池水を一定の方向に加速して流すことができる全ての構造にできるからである。
強制流動器15でリング池1に沿って回転するように流される池水は、最内周リング池1Aの内側に異物を集積させる。ここに集められる異物をリング池1から排出するために、最内周リング池1Aの池底の内側に、池水を流入させる排水開口6を設けて、この排水開口6に排水管7を連結している。図3の養殖池は、最内周リング池1Aの池底の内側に沿って排水リング8を設けて、この排水リング8に排水開口6を設けている。図10は、排水リング8を示す斜視図である。この図の排水リング8は、上方を開口する溝形として排水開口6を設けている。さらに、この図の排水リング8は、複数のリングユニット8Aに分割されて、分割されたリングユニット8Aを連結具9で連結している。この構造の排水リング8は、同じ形状のリングユニット8Aをプラスチックで成形し、これを連結具9で連結して簡単に施工できる。リングユニット8Aは、最内周リング池1Aの内側に沿う曲率半径に湾曲する形状であって、上方を開口する溝形に成形される。さらに、リングユニット8Aは、連結具9に挿入して連結される連結部8aを筒状とし、この連結部8aを筒状の連結具9に挿入して簡単に連結できる。とくに、リングユニット8Aと連結具9をプラスチックで成形し、これを接着剤で接着して簡単に連結できる。この構造の排水リング8は、3つのロッドをT字状に連結しているチーズを連結具9に使用し、この連結具9にリングユニット8Aと排水管7を連結して、排水リング8に排水管7を簡単に連結できる。
溝形の排水リング8で上方を排水開口6とする構造は、最内周リング池1Aの内側に集められる異物を速やかに外部に排出できる。ただし、本発明の養殖池は、最内周リング池に設ける排水開口をこの構造には特定しない。たとえば、最内周リング池の底部内周に沿って複数の排水開口を設け、各々の排水開口に排水管を連結する構造、また排水リングを多数の貫通孔のあるロッドとすることもできる。また、最内周リング池の底面を内周に沿って溝のある形状に成形し、この溝に排水開口を設けて排水管を連結する構造とすることもできる。
排水開口6を大きく開口する構造は、最内周リング池1Aの内側に集められる異物を速やかに排出できる。ただ、畜養されるマグロが排水開口に対して小さいと、マグロが排水開口に侵入し、あるいは、排水開口で傷つくおそれがある。したがって、養殖池は、図4の一部拡大断面図に鎖線で示すように、排水開口6に網材19を配置して、畜養されるマグロが排水開口6に侵入するのを防止することができる。この網材19には、集められる異物を通過できるが、畜養されるマグロが通過できない網目のものを使用する。また、排水リングを多数の貫通孔のあるロッドとする構造は、ロッドに開口される貫通孔の大きさを、異物を通過できるがマグロが通過できない大きさとしてマグロの侵入を防止できる。
排水管7は、図5に示すように、リング池1の底に埋設されて外部に引き出され、外部の引出部に立上部7Aを設けている。立上部7Aは、上端開口部7aから池水を排水して、池水の水面レベルをコントロールする。池水の水面レベルは、立上部7Aの上端開口部7aのレベルにほぼ等しくなるので、立上部7Aの上端開口部7aの上下位置を調整してリング池1の水面レベルをコントロールできる。
図に示す立上部7Aは、池水の水面レベルをコントロールする調整部29を設けて、上端開口部7aの高さを調整できる構造としている。図の調整部29は、立上部7Aの上端部に連結してなる連結筒29Aと、この連結筒29Aの上側に、脱着自在に連結される調整筒29Bとからなる。この構造の調整部29は、連結筒29Aに連結される調整筒29Bの長さで上端開口部7aの高さを調整できる。すなわち、この調整部29は、連結筒29Aに連結する調整筒29Bの長さを短くして、上端開口部7aを低く、すなわち、池水の水面レベルを低くでき、また、連結筒29Aに連結する調整筒29Bの長さを長くして、上端開口部7aを高く、すなわち、池水の水面レベルを高くできる。この構造の調整部29は、極めて簡単な構造で、池水の水面レベルを自由に調整できる。ただ、立上部は、図示しないが、伸縮できる二重筒構造として、上端開口部の高さを自由に調整することもできる。
排水管7から排水される池水は、排水槽26に蓄えられる。排水管7の上端開口部7aは排水槽26の内部にあって、ここから排水する池水を排水槽26に蓄える。排水管7から排水槽26に流入される池水は、ポンプ27で浄化槽28に供給される。浄化槽28は、ポンプ27から供給される池水を物理濾過し、さらに生物濾過して清澄な池水とする。浄化槽28で清澄になった池水は、さらにポンプ16に吸入されて給水パイプ17に送られる。給水パイプ17は、供給される池水をノズル18から勢いよく噴射して、リング池1に沿って強制的に流動させる。図の養殖池は、リング池1の池水を、最内周リング池1Aの池底の内側に設けた排水開口6→排水管7→排水槽26→ポンプ27→浄化槽28→ポンプ16→供給パイプ17→リング池1に循環して、清澄に保持する。また、循環させる池水をノズル18から噴射して、池水を強制的に流動させている。ただし、本発明のマグロの養殖池は、排水管から排水される池水を循環することなく外部に排水することで浄化槽を設けない構造とすることもでき、また、浄化槽で清澄になった池水をノズルから噴射することなく、リング池に循環することもできる。
図2ないし図4の養殖池は、リング池1の上方に、各々のリング池1に交差するように、すなわち、リング池1に橋渡しするように交差材20を配置している。図の交差材20は、作業用の歩み板21と、リング池1に水を噴射して池水を加速して流動させる強制流動器15の給水パイプ17である。交差材20は、これらの部材に特定するものでないが、用途を問わず交差材20があると、リング池1のマグロに損傷を与える。リング池1の流れに逆らって遊泳するマグロが水面から飛び上がって衝突するからである。交差材20は、ここに衝突したほとんどのマグロを死滅させる。
以上の弊害を解消するために、図2と図3に鎖線で示すように、交差材20の下面から下流方向に延長して帯状の軟質材22を配置している。図に示す帯状の軟質材22は、マグロが衝突しても損傷しない可撓性シート22Aである。可撓性シート22Aは、図14に示すように、一端を交差材20の上流側の下面に固定すると共に、他端部を交差材20の下流方向に延長して水面上に浮設している。この可撓性シート22Aは、図14に示すように、下流側の先端部が池水の流れの方向に向かって流されて水面上に浮設される。さらに、給水パイプ17である交差材20に配設される可撓性シート22Aは、ノズル18から噴射される池水が上面に供給されて、池水を一定の方向に流れるように加速して同じ方向に回転させる。マグロはリング池1の流れに逆らって泳ぐので、水面に飛び上がるマグロは、図14において右側から左側に飛び跳ねようとする。このとき、可撓性シート22Aの下側において、水面に飛び上がろうとするマグロは、図の矢印Aで示すように、可撓性シート22Aの下面に衝突して水中に落下して、交差材20に衝突するのが阻止される。また、可撓性シート22Aの下流側において、水面に沿って飛び跳ねるマグロは、図の矢印Bで示すように、可撓性シート22Aの上面に落下するが、このマグロは、図15に示すように、可撓性シート22Aに設けたスリット22aを通過して水中に戻り、あるいは、強制流動器15のノズル18から噴射される水圧で下流方向に押し流されて水中に戻る。このため、流れに逆らって飛び上がるマグロが交差材20に衝突して損傷するのが阻止される。
図15の可撓性シート22Aは、池水の流れに沿ってリング池1に浮設できるように、両側をリング壁2の内面に沿う湾曲形状としている。さらに、図の可撓性シート22Aは、上面に乗り上げたマグロを水中に戻すために、下流側の端部から中間部にかけて、複数列のスリット22aを開口して設けている。このスリット22aは、上面にマグロが乗り上げた状態では、図の鎖線で示すように拡開して、可撓性シート22Aの上面から下面にマグロを通過させて水中に戻す。ただ、図示しないが、このスリットは、下流側の端縁まで延長して開口して、可撓性シートの全体形状をのれん状とすることもできる。可撓性シート22Aは、水面から飛び上がるマグロが公差材20に衝突するのを阻止できるように、飛び跳ねたマグロが水面上を前進する距離よりも長く、たとえば、マグロの体長の2〜5倍の長さとして、先端部を池水の流れに沿って浮設している。
本発明者が先に開発した魚の養殖池の平面図である。 本発明の一実施例にかかる地上に設置されるマグロの養殖池の斜視図である。 図2に示す地上に設置されるマグロの養殖池の概略平面図である。 図3に示すマグロの養殖池のA−A線断面図である。 図3に示すマグロの養殖池のB−B線断面図である。 図2に示すマグロの養殖池の通水性区画材を示す斜視図である。 図6に示す通水性区画材の分解斜視図である。 図6に示す通水性区画材の垂直断面図である。 リング壁の開口部と通水性区画材の連結構造を示す拡大断面図である。 排水リングの一例を示す斜視図である。 図2に示す養殖池の軟質材を示す断面図である。 図11に示す軟質材の平面図である。
符号の説明
1…リング池 1A…最内周リング池
1B…中間リング池
1C…最外周リング池
2…リング壁
3…開口部 3A…側縁
3B…側縁
4…通水性区画材 4A…脱着部
5…取出池
6…排水開口
7…排水管 7A…立上部
7a…開口部
8…排水リング 8A…リングユニット
8a…連結部
9…連結具
15…強制流動器
16…ポンプ
17…給水パイプ
18…ノズル
19…網材
20…交差材
21…歩み板
22…軟質材 22A…可撓性シート
22a…スリット
23…土間コンクリート
24…底板
25…コンクリート
26…排水槽
27…ポンプ
28…浄化槽
29…調整部 29A…連結筒
29B…調整筒
30…格子
31…水平ロッド
32…上下ロッド
33…スペーサ筒
34…鍔
35…雄ネジ
36…ナット
37…回転パイプ
38…溝形連結材
39…止ネジ
40…蝶番
41…ローラー
91…リング池
92…リング壁
93…開口部
94…通水性区画材

Claims (8)

  1. 地上に設置されて、所定の幅を有する環状のリング池(1)を同心に複数列に設けるリング壁(2)と、このリング壁(2)の開口部(3)を、隣接するリング池(1)の池水を通過させてマグロを通過させないように塞いでいる通水性区画材(4)と、リング壁(2)の間に設けられる各々のリング池(1)の池水を強制的に流動させる強制流動器(15)とを備え、この強制流動器(15)でもってリング池(1)の池水を回転するように流すようにしてなる地上に設置されるマグロの養殖池であって、
    前記通水性区画材(4)が、水平面内においてリング壁(2)に沿う方向に変形されてなる複数の水平ロッド(31)を上下に離して連結してなる格子(30)で、この格子(30)を構成する水平ロッド(31)の間隔は、池水を通過させてマグロを通過させない隙間としており、この格子(30)の通水性区画材(4)でもって、リング壁(2)の開口部(3)を、池水を通過させてマグロを通過しないように塞いでなることを特徴とする地上に設置されるマグロの養殖池。
  2. リング壁(2)に沿う方向に変形している水平ロッド(31)を、水平面内において、通水性区画材(4)を連結しているリング壁(2)と同じ曲率半径に湾曲している請求項1に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  3. 前記通水性区画材(4)である格子(30)の水平ロッド(31)が丸パイプである請求項1に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  4. 前記通水性区画材(4)である格子(30)が、水平ロッド(31)を上下ロッド(32)で連結している請求項1に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  5. 前記通水性区画材(4)の上下ロッド(32)が、その表面を回転パイプ(37)でカバーしている請求項4に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  6. 前記通水性区画材(4)の回転パイプ(37)の外径が、水平ロッド(31)の外径よりも小さい請求項5に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  7. 前記通水性区画材(4)が、格子(30)を構成する水平ロッド(31)の両端を、溝形連結材(38)の溝内に挿入して、この溝形連結材(38)を介して連結されてなる請求項1に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
  8. 前記格子(30)の溝形連結材(38)を介して格子(30)の片側を水平面内で傾動できるように、リング壁(2)の開口部(3)の一方の側縁(3A)に連結している請求項7に記載される地上に設置されるマグロの養殖池。
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