JP5064619B2 - 光伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は送信装置と受信装置の間の伝送路に光アンプを設けた光伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)は、伝送路ファイバの損失が少ない帯域である1.55μmで高出力、低雑音といった特性が得られることから、光ファイバ通信に於ける損失補償用の1R(Regeneration)リピータとしてこれまで広く使われてきている。また、最近は伝送容量拡大に対する要求から、信号光を複数の波長帯域で多重して伝送する波長多重(WDM)伝送技術が一般的であり、伝送路に配置されたEDFAに波長多重信号が伝送される事が多い。
【0003】
Point to Pointのシステムを想定した場合、両Point間にEDFAを配置して信号を伝送する際、通常、伝送路及びEDFAを通過する信号は、数(信号数)と波長帯域への配置(波長配置)が一定である。その為、通常、EDFAは伝送路を通過する全信号に対して最適な設計がなされ、出力、NF(Noise Figure)、増幅特性(利得偏差)などが、システムの要求に応じた範囲内におさまる動作となるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様に、Point to Pointのシステムで、両Point間にEDFAを配置して信号を伝送する際、通常、伝送路及びEDFAを通過する信号は信号数及び波長配置が一定である。然しながら、何らかの障害により信号帯域内のいくつかの信号が遮断した場合、又は、将来、XC(クロスコネクト)を用いたシステムのように、波長によって自由に経路が選択されるシステムが実現した場合、伝送路やEDFAを通過する信号数や波長配置は一定ではなくなる。特にXCにおいては信号の波長配置は時々刻々と変化する。
【0005】
EDFAは入力される信号数や波長配置により反転分布の形成状態が異なり、それによって出力、利得偏差、NF、増幅特性(利得偏差)などが著しく変化する。伝送する信号数が伝送路を通過する信号数の総和に対して、全波長域に渡って平均的に僅かに減少する場合は増幅特性に影響はないが、伝送路を通過する総和に対して半数以下の場合や、ある波長に偏在した場合、利得平坦性が維持できず、光伝送システムとして成立し得る利得偏差が許容範囲を超えて増加する。最悪の場合、信号パワーの超過する方は、伝送路ファイバの非線形光学効果が生じるパワーまで達し、逆に低下する方はSN劣化のために受信できなくなるなど、伝送品質に多大なる影響を生じさせる可能性がある。従来のEDFAや光通信システムは、前記のような事態の発生に対応していないため、その様な事態の発生時に憂慮される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
光アンプ、特にEDFAでは、増幅媒体であるEDF内の反転分布形成状態によって増幅動作が決定付けられるため、反転分布状態をある所望範囲内に一定に保つことができれば、一定の増福特性を得ることが可能である。本発明はこの原理に基づいて、光アンプの動作状態を、反転分布固定信号によってある範囲内にロックし、信号数や波長配置の変化に対して増幅特性(利得偏差)を一定の状態に保って、それら変化に対して柔軟な対応が可能な光伝送装置を提供することにある。
【0007】
本発明の光伝送装置は、波長の異なる複数の信号を送信する送信装置と受信装置の間の伝送路にEDFAを備えた光伝送装置のいずれかの機器や箇所に、EDFAの反転分布状態を固定するための反転分布固定信号を発生する反転分布固定信号光源を備えた光伝送装置であって、前記反転分布固定信号光源は、光増幅部を通過する信号帯域付近で且つEDFAの励起波長以外の複数波長であり、1530nm±3nm、1555nm+5/-10nmのそれぞれに1波長の反転分布固定信号を発生するものであり、それら反転分布固定信号のパワーを制御することによってEDFAの反転分布状態を固定できるものである。
【0008】
本発明の光伝送装置は、前記光伝送装置であって、反転分布固定信号の波長をEDFの利得係数のピーク付近に設定したものでもよい。
【0009】
本発明の光伝送装置は、前記光伝送装置であって、反転分布固定信号除去手段を有するものである。
【0010】
本発明の一例を次に記す。波長1528nm〜1563nm付近の領域を増幅するC-bandEDFAでは、例えば1530nm±3nm、1555nm+5/-10nmのいずれかに1ch、又は同時に2ch、及び、それぞれNch(N>1)の反転分布固定信号で、反転分布形成状態を固定することができる。この波長の反転分布固定信号を発生する反転分布固定信号光源をアンプ内、又は送信装置内、若しくは両者に備えることで、入力される信号数や波長配置が変化しても一定の増幅特性(利得偏差)を得ることが可能である。
【0011】
光アンプ、特にEDFAでは、上述した通り、反転分布の形成状態によってその増幅特性が決定付けられる。EDFAの場合、増幅媒体であるEDF内の反転分布の形成はEDF長、信号光パワー、励起光パワーによって定まる。また、増幅特性はアンプに入力する信号数や波長配置によって異なる。これはEDF固有の吸収断面積、放出断面積の波長依存性に起因するものである。図3に吸収断面積、放出断面積の一例を、図4にEDFのある微小断面に於ける利得係数を示す。
【0012】
一般に吸収断面積・放出断面積、及び反転分布形成状態から、以下の(1)式で算出される利得係数が大きい波長域に予め信号を入力すると、利得係数の少ない波長域に信号を入力した場合とか、これ以外の波長域に信号を追加した場合に比して、相対的に変化が少ないのは周知の事実である。
g(λ,z,T)=Γ[σe(λ,T)・N2(z)−σa(λ,T)・N1(z)] (1)
σe(λ,T):emission cross sections
σa(λ,T):absorption cross sections
atomic population densities N1(ground level)and N2(excited level)
【0013】
本発明の光伝送装置は、利得係数の大きい波長の反転分布固定信号を発生する反転分布固定信号光源を、光アンプや光通信システムに備えたシステムであるため、光アンプは反転分布が固定された(又はある範囲内におさめられた)状態となり、その後に増減する信号は、信号数や波長配置に拘らず所望の範囲に限定された動作をすることとなる。従って、信号数や波長配置が如何に変化しても、変化前に比べて利得偏差や出力に大差のない特性が得られる。
【0014】
上記説明では C-band を使用する場合を例としてあるが、L-bandに関しても同様な観点から反転分布固定信号の波長を選択し、その信号を発生する反転分布固定信号光源をアンプ内に設ければ同様の効果が期待できる。また、この反転分布固定信号光源は、必ずしもアンプ内に搭載する必要はなく、例えば、送信装置に設けて、それから光アンプに供給する構成としても動作上の差はない。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1に本発明の第一の実施例を示す。この実施例は伝送路中の2ステージEDFAに光アンプの入力側から反転分布固定信号光源を入力する例である。信号光の入力側から光合波手段1、前段増幅部2、後段増幅部3、反転分布固定信号除去手段4が設けられ、光合波手段1に反転分布固定信号光源5が接続されている。前段増幅部2には例えば前方励起EDFAなどが使用される。後段増幅部3には例えば双方向励起EDFAなどが使用される。前段増幅部2、後段増幅部3のブロック内にはEDFAの構成要素である、アイソレータ、TAPカプラ、WDM、EDF、PD、励起LD等が含まれる。反転分布固定信号除去手段4にはカプラなどが使用される。反転分布固定信号光源5には例えば、DFB−LDとLD駆動回路などが使用される。このブロック内には、温度安定化回路、駆動電流調整回路、これらのモニタ回路など、LDを駆動するための機能を備えた各種回路が含まれる。
【0016】
反転分布固定信号は光合波手段1後に接統される増幅部の増幅波長帯域によって波長が選択される。その波長は、通常は、当該増幅部を通過する信号帯域付近で、且つアンプの励起波長以外の波長である。例えばC-band用アンプでは1530nm±3nm、1555nm+5/-10nmのいずれかに1ch、又は同時に2ch、及びそれぞれNch(N>1)信号を備えた構成である。
【0017】
反転分布固定信号を光アンプへ導くための手段には、例えば、光カプラなどの光合波手段1を用いることができる。本実施例では2ステージEDFAの構成を示したが、本発明では、光アンプの構成はシングルスーテジはもとより、2ステージだけに限定されない。また、本発明は図1のように、光アンプの段間に光学部品が含まれた構成にも適用できる。この場合、前段増幅部2と後段増幅部3との間に、利得等化フィルタ、光アッテネータ、DCF、OADM、SMF等の光学部品6が挿入される。更に、本実施例では、反転分布固定信号をアンプの入力側から導いているが、反転分布固定信号はアンプの段間とか、アンプ内部から導くこともできる。
【0018】
(実施例2)
図2に本発明の第2の実施例を示す。これは送信装置内の第2の光合波手段1から反転分布固定信号を入力する例であり、波長の異なる複数の信号を送信する送信装置7、第1の光合波手段8、第2の光合波手段1の順に接続されている。通常、この先にはプリアンプまたは伝送路ファイバが接続されるが、図2ではこれらを示していない。送信装置7から送信される信号は、例えば、1550nm帯の信号や1580nm帯の信号、シリカ系ファイバの損失特性において比較的少ないロスを呈する波長の信号である。送信装置7のブロックには変調器、LD駆動回路など、一般的に送信機に必要な機能が含まれる。
【0019】
図2の第2の光合波手段1には反転分布固定信号光源5が接続される。反転分布固定信号の波長選択は実施例1と同様とし、反転分布固定信号を光アンプへ導くための手段(第2の光合波手段)には、例えば光カプラなどの光合波器を用いるが、第1の光合波手段8と同じもの若しくは、第1の光合波手段8の入力の一端に反転分布固定信号を接続したものを利用しても良い。第1の光合波手段8には、通常は、AWG、カプラなどが使用される。方式によっては温度調整機能も含まれる。反転分布固定信号は伝送路を通じて光アンプ内に導かれる。図2では第2の光合波手段1に反転分布固定信号を加えるようにしてあるが、反転分布固定信号を加える位置はこの位置に限定されることなく、伝送路に設けられた光アンプに反転分布固定信号を導入することができれば、構成は問わない。
【0020】
(実施例3)
実施例1、2では、光アンプの一例がEDFAの場合であるが、本発明の光アンプはEDFAに限定されず、EDFAと同様の光増幅をするか、同様の光増幅原理を備えた全ての光アンプを使用することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の光伝送装置は、光アンプの反転分布を固定するか、ある範囲内におさめるための反転分布固定信号を発生する反転分布固定信号光源を、光アンプや光通信システムに備えているため、光アンプは信号数や波長配置に拘らず所望範囲に限定された動作が行われ、信号数や波長配置がいかに変化しても、変化前に比べて利得偏差や出力に大差のない特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光通信システムの第1の実施例を示す説明図。
【図2】 本発明の光通信システムの第2の実施例を示す説明図。
【図3】 (a)はEDFの吸収断面積の一例を示した説明図、(b)はEDFの放出断面積の一例を示した説明図。
【図4】 EDFのある微小断面に於ける利得係数を示す説明図。
【符号の説明】
1 光合波手段
2 前段増幅部
3 後段増幅部
4 反転分布固定信号除去手段
5 反転分布固定信号光源
6 光学部品
7 送信装置
8 光合波手段
Claims (3)
- 波長の異なる複数の信号を送信する送信装置と受信装置の間の伝送路にEDFAを備えた光伝送装置のいずれかの機器や箇所に、EDFAの反転分布状態を固定するための反転分布固定信号を発生する反転分布固定信号光源を備えた光伝送装置であって、
前記反転分布固定信号光源は、光増幅部を通過する信号帯域付近で且つEDFAの励起波長以外の複数波長であり、1530nm±3nm、1555nm+5/-10nmのそれぞれに1波長の反転分布固定信号を発生するものであり、それら反転分布固定信号のパワーを制御することによってEDFAの反転分布状態を固定できるものであることを特徴とする光伝送装置。 - 請求項1記載の光伝送装置であって、
反転分布固定信号の波長をEDFの利得係数のピーク付近に設定したことを特徴とする光伝送装置。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の光伝送装置であって、
反転分布固定信号除去手段を有することを特徴とする光伝送装置。
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