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JP5059993B2 - 真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置、ターゲット装置および真空成膜方法 - Google Patents

真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置、ターゲット装置および真空成膜方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリング装置や化学蒸着(CVD)装置などの真空成膜装置に用いられる真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置、スパッタリング装置などに用いられるターゲット装置および真空成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体部品や液晶部品などにおいては、スパッタリング法やCVD法などの成膜方法を利用して各種の金属あるいは金属化合物よりなる各種組成の配線や電極を形成している。具体的には、シリコンウェハーなどの半導体基板やガラス基板などの被成膜基板上に、スパッタリング法やCVD法などを適用してアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンとタングステンの合金(Mo−W合金)などの導電性金属の薄膜、あるいはモリブデンシリサイド(MoSi)、タングステンシリサイド(WSi)、チタンシリサイド(TiSi)などの導電性金属化合物の薄膜を形成し、配線や電極として利用している。
【0003】
ところで、上記した配線や電極の形成に使用されるスパッタリング装置やCVD装置などの真空成膜装置では、シリコン(Si)基板やガラス基板上への成膜工程中に、装置内に配置されている各種部品にも成膜材料が付着、堆積することが避けられない。このような部品上に付着、堆積した成膜材料は、成膜工程中に部品から剥離することによって、ダスト(パーティクル)の発生原因となっている。このようなダストが成膜基板上の膜中に混入すると、配線形成後にショートやオープンなどの配線不良を引き起こし、製品歩留りの低下を招くことになる。
【0004】
このようなことから、従来の真空成膜装置においては、防着板やターゲットの固定部品などの装置構成部品を、成膜材料もしくはそれと熱膨張率が近い材料で構成する、あるいは装置構成部品の表面に成膜材料もしくはそれと熱膨張率が近い材料の被膜を形成し、部品と成膜材料との熱膨張差に基づく膜剥れを防止することが提案されている(例えば特開昭60-26659号公報、特開昭 63-161163号公報、特開昭 63-243269号公報参照)。
しかしながら、成膜装置の装置構成部品自体をターゲット材で形成した場合、部品強度の低下を招くおそれがあると共に、部品上に付着した成膜材料(付着膜)自体の応力によって、付着膜が剥れるという欠点がある。また、部品表面にターゲット材の被膜を形成した場合、その成膜方法によっては被膜自体が剥れやすいという欠点がある。
また、特開昭61-56277号公報には、部品表面にAlやMoの溶射膜を形成すると共に、溶射膜の表面粗さを200μm以上とし、この溶射膜の表面粗さにより部品上に付着した成膜材料の剥離を防止した成膜装置の構成部品が記載されている。さらに、溶射膜を利用した成膜装置の構成部品は特開平9-272965号公報にも記載されており、ここでは装置構成部品の表面に形成された溶射膜のガス残存量を10Torr・cc/g以下としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の溶射膜を適用した成膜装置の構成部品は、主として溶射膜の熱膨張係数を成膜材料と近似させること、あるいは溶射膜表面の大きな表面粗さに基づいて、部品表面に付着した成膜材料(付着膜)の剥離を防止しようとするものであり、付着膜の剥離防止に対してはある程度の効果を示している。しかしながら、溶射膜の表面粗さに起因して付着膜表面に大きな凹凸が生じ、この付着膜表面の大きな凹凸が逆に微細なダスト(パーティクル)の発生原因となっている。
【0006】
特に、最近の半導体素子においては、64M、256M、1Gというような高集積度を達成するために、配線幅を0.3μm、さらには0.18μmというように、極めて狭小化することが求められている。このように狭小化された配線においては、例えば直径0.2μm程度の極微小粒子(微小パーティクル)が混入しても配線不良を引起こすことになる。また、配線幅の狭小化は当然ながら配線密度の高密度化のためであり、このような高密度配線を有する半導体素子などの製造歩留りを高めるためには、パーティクルの発生量自体も大幅に低減する必要がある。
【0007】
このような極めて過酷な条件に対して、上述したような従来のダスト防止対策(パーティクル防止対策)では、高集積化された半導体素子などの製造歩留りを高めることが困難となってきている。このような問題は成膜装置の構成部品に限らず、スパッタリング法などの成膜源であるターゲット、あるいはターゲットを冷却保持するバッキングプレートのようなターゲット装置においても同様な問題が発生している。
【0008】
また、装置構成部品などの表面に単に溶射膜を形成しただけでは、溶射膜の内部に残留する応力によって、溶射膜自体が剥れやすいという問題もある。この場合にはクリーニングや部品の交換などが必要となることから、ダストの増加や成膜装置のランニングコストの上昇を招くことになる。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、成膜工程中に付着する真空成膜装置あるいはターゲット装置からのダストやパーティクルの発生を大幅に抑制すると共に、付着した膜自体の剥離を安定かつ有効に防止することを可能にした真空成膜装置用部品およびターゲット装置を提供することを目的としており、さらにはダストやパーティクルの混入を防止し、高集積化された半導体素子用の配線膜への対応を図ると共に、稼働率の改善により成膜コストの低減を図ることを可能にした真空成膜装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空成膜装置用部品は、請求項1に記載の通り、部品基体と、前記部品基体表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の真空成膜装置は、請求項4に記載の通り、真空容器と、前記真空容器に配置される被成膜試料保持部を有し、前記真空容器内に配置される真空成膜装置用部品の少なくとも1部品が、請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の真空成膜装置用部品を用いたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のターゲット装置は、請求項9に記載の通り、ターゲットと、前記ターゲットを保持するバッキングプレート本体と、前記バッキングプレート本体表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の真空成膜方法は、請求項10に記載の通り、真空容器内の前記真空容器に配置される被成膜試料保持部に、被成膜試料を配置し成膜する真空成膜方法において、前記真空容器内に配置される真空成膜装置用部品の少なくとも1部品は、部品基体と、前記部品基体表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有することを特徴とするものである。
【0014】
ここで、本発明者等は真空装置用部品の表面に形成される溶射膜として、従来の単組成での1層の溶射膜に対し、部品基体との間に中間層を設け、熱応力緩和層とする積層型の溶射膜を検討した。
この積層型の溶射膜とすることで、従来に比し効果を上げることは可能であった。
しかしながら、本発明者等は、本積層型の溶射膜では更なる膜剥れ防止の要求には不十分であることを見出した。
【0015】
すなわち、部品表面に付着した成膜材料(付着膜)の厚さが、厚くなるしたがい、溶射膜間の膜剥れの発生が増大するのである。特に、この膜剥れは、基板を加熱した状態でスパッタする高温スパッタの場合に顕著であった。
【0016】
このため、本発明においては、基本膜組成と他の基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を配置したのである。
このような傾斜組成を配置することにより、付着膜の膜厚が増大したとしても、基本膜組成と他の基本膜組成の間には、積層型の溶射膜のような膜組成が異なることによる界面は存在しないため、界面での剥れの発生を防止することができる。したがって、溶射膜間の界面からの溶射膜の剥離による付着膜粒子の脱落や付着膜の剥離を大幅に抑制することが可能となる。さらに粒子の脱落抑制(パーティクルの発生量の抑制)は、真空成膜装置で形成する各種膜、さらにはそれを用いた素子や部品などの製造歩留りの向上に大きく寄与する。また、付着膜の安定化(付着膜の剥離抑制)は装置のクリーニング回数の低減に繋がり、これにより装置稼働率の向上、ひいては成膜コストの削減に大きく寄与する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための断面の形態について説明する。
【0018】
図1および図2は、本発明の溶射膜の構成の一例を模式的に示したものである。
図中、1は溶射膜が形成された真空成膜装置用部品、2は部品基体、3(4,5,6)は溶射膜である。
図1は、基本膜組成が2種の場合であり、基体2表面部に隣接した基本膜組成Aおよび溶射膜3表面部の基本膜組成Bが存在し、その基本膜組成Aおよび基本膜組成Bの間4に基本膜組成AおよびBよりなる傾斜組成が存在する。また、図2は、基本膜組成が3種の場合であり、基体2表面部に隣接した基本膜組成A,溶射膜3表面部の基本膜組成Bおよび基本膜組成A,B間に基本膜組成Cが存在し、少なくとも隣り合う基本膜組成AおよびCの間6あるいはCおよびBの間5の少なくとも1部に傾斜組成が存在する。
【0019】
次に、本発明の溶射膜の傾斜組成の形態について図3乃至図10を用いて説明する。
これらの図面は、溶射膜3の基本膜組成の比率を模式的に示すものであり、縦軸が溶射膜3の厚さ方向を、横軸が基本膜組成の比率を表している。ここで、図3乃至図5は、基本膜組成が2種の場合であり、図6乃至図10は基本膜組成が3種の場合である。以下各図面について説明する。
【0020】
まず、図3は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成Aおよび溶射膜表面部の基本膜組成Bを有し、その基本膜組成Aから基本膜組成Bまでその組成比率が無段階に変化する溶射膜の厚さ方向全面が傾斜組成を有する例である。
【0021】
次に、図4は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成Aから溶射膜表面部の基本膜組成Bを有し、任意の厚さの基本膜組成A層,基本膜組成B層および基本膜組成A層と基本膜組成B層の間でその基本膜組成Aから基本膜組成Bまでその組成比率が無段階に変化する傾斜組成を有する例である。
【0022】
次に、図5は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成Aから溶射膜表面部の基本膜組成Bを有し、基本膜組成Aから基本膜組成Bまでその組成比率が部品基体表面部近傍および溶射膜表面部近傍において基本膜組成Bの比率が急激に増加する傾斜比率を変化した傾斜組成を有する例である。
【0023】
次に、図6は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成Aから溶射膜表面部の基本膜組成Bを有し、任意の厚さの基本膜組成B層および部品基体表面部と基本膜組成B層の間でその基本膜組成Aから基本膜組成Bまでその組成比率が部品基体表面部近傍は基本膜組成Bの組成比率が緩やかに増加し、基本膜組成B層に近づくに従い基本膜組成Bの組成比率が急激に増加する傾斜比率を変化した傾斜組成を有する例である。
【0024】
次に、図7は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成A,溶射膜表面部の基本膜組成Bおよびそれらの間に基本膜組成Cを有し、その基本膜組成Aから基本膜組成Cおよび基本膜組成Cから基本膜組成Bまでその組成比率が無段階に変化する溶射膜の厚さ方向全面が傾斜組成を有する例である。
【0025】
次に、図8は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成A,溶射膜表面部の基本膜組成Bおよびそれらの間に基本膜組成Cを有し、任意の厚さの基本膜組成A層,基本膜組成C層および基本膜組成B層、さらに基本膜組成A層と基本膜組成C層の間および基本膜組成C層と基本膜組成B層の間で、それぞれ基本膜組成Aから基本膜組成Cまでおよび基本膜組成Cから基本膜組成Bまでそれらの組成比率が無段階に変化する傾斜組成を有する例である。
【0026】
次に、図9は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成A,溶射膜表面部の基本膜組成Bおよびそれらの間に基本膜組成Cを有し、基本膜組成A層と基本膜組成C層の間で基本膜組成Aから基本膜組成Cまでその組成比率が無段階に変化する傾斜組成を有し、基本膜組成Cから基本膜組成Bまでは段階的にその組成比率が変化する例である。
【0027】
次に、図10は、溶射膜が、部品基体表面部に隣接した基本膜組成A,溶射膜表面部の基本膜組成Bおよびそれらの間に基本膜組成Cを有し、基本膜組成Aから基本膜組成Cまでおよび基本膜組成Cから基本膜組成Bまでその組成比率が、それぞれ部品基体表面部近傍および基本膜組成C近傍において基本膜組成Cの組成比率が、また基本膜組成C近傍および溶射膜表面部近傍において基本膜組成Bの組成比率が急激に増加する傾斜比率を変化した傾斜組成を有する例である。
【0028】
以上のように、本発明においては種々の形態を有する溶射膜を形成することが可能であり、その基本膜組成の組成、部品基体の材質、さらには真空成膜装置の成膜方法,条件等の種々の条件に適合するように適宜変更し形成することが可能である。
【0029】
本発明における溶射膜表面部の基本膜組成Bは、成膜材料との熱膨張率の差が10×10-6/K以下の材料で形成することが好ましい。この基本膜組成Bの熱膨脹係数と成膜材料との熱膨張係数の差を小さくすることにより、スパッタ時における真空成膜装置用部品表面に付着した膜の剥離を、効果的に防止することが可能となる。成膜材料との関係のみを考えた場合には、基本膜組成Bは成膜材料と同一材料、また成膜する膜が合金膜や化合物膜などの場合には、成膜材料(成膜源)を構成する少なくとも1種の金属材料を含むことが望ましい。
このような条件を満足させることによって、溶射膜3上に付着した成膜材料の熱膨張差に基づく剥離を防止することができる。この基本膜組成Bの成膜材料との熱膨張係数の差は、7×10-6/K以下が好ましく、さらには、5×10-6/K以下が好ましい。
【0030】
また、真空成膜装置の基体表面部に隣接した基本膜組成Aは、軟金属材料で形成することが好ましい。この基本膜組成Aは、付着膜が直接形成する基本膜組成Bの下地的効果を示すものである。さらに、付着膜の内部応力の緩和効果も向上することから、付着膜の剥離をより一層有効に抑制することができる。
【0031】
また、基本膜組成Aおよび基本膜組成Bの間に配置される基本膜組成(Cなど)は、基本膜組成Aおよび基本膜組成Bの各熱膨張係数の中間の熱膨張係数を有する材料で形成することが好ましい。この中間の熱膨張係数の材料を用いることにより、基本膜組成が2種類の場合以上に、より本発明の効果を得ることができる。
【0032】
本発明は、上記のような基本膜組成を使用し、それらの間隙の少なくとも1部に傾斜組成を設けることにより、基本膜組成間では溶射膜組成が異なることによる界面が存在しないため、基本膜組成間の界面での剥れの発生を防止することができるのである。したがって、溶射膜間の剥れによる付着膜からの粒子の脱落や付着膜の剥離を大幅に抑制することが可能となる。
【0033】
より具体的な基本膜組成は下記の通りである。
基本膜組成Bの構成材料は、成膜材料に応じて適宜選択するものであるが、特にビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のMo系溶射膜、およびビッカース硬度Hvが500以下のW系溶射膜から選ばれる被膜を適用することが好ましい。上述したような硬度を有する被膜(溶射膜)は、例えば溶射後にアニーリング処理を施して軟化させることにより得ることができる。
【0034】
さらに、基本膜組成Aは、軟金属材料からなる形成材料としてAlやCuを用いる場合には上述した被膜、すなわちビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜やビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜を適用することが好ましい。これによって、軟金属材料による応力緩和効果をより一層高めることが可能となる。
【0035】
また、基本膜組成Aおよび基本膜組成Bの間に配置される基本膜組成は、例えば、基本膜組成AがAlで基本膜組成BがTiの場合には、それらの中間の熱膨張係数を有するNiなどを使用することができる。
【0036】
なお、上述した被膜としての各金属溶射膜は、それぞれ単体金属膜に必ずしも限られるものではなく、各金属を主体とする合金膜も含むものである。溶射膜3の低硬度化のためのアニーリング処理は、溶射膜3の形成材料にもよるが、例えば基本膜組成あるいは傾斜組成の、いずれかの融点が低い方の材料の融点を考慮しでアニーリング処理を施す。
以下に、本発明の溶射膜を形成するための製造方法の一例を説明する。
まず、溶射膜を形成する一般的な真空成膜装置用部品(部品基体)に対し、後の溶射膜の密着性を向上させるために、溶射膜を形成すべき任意の箇所をブラストなどで粗面化する。この場合、溶射膜を形成しない箇所は、マスク治具あるいはテープなどでマスキングすることが好ましい。
【0037】
次に、前記粗面化された部品基体に対し、溶射膜を形成する。この溶射膜の形成は、部品本体2の構成材料や形状、使用される環境条件、溶射材料などに応じて、プラズマ溶射あるいは粉末式フレーム溶射などを適宜選択して使用することができる。
プラズマ溶射は、陰極と陽極ノズルの間に発生させた直流アークで作動ガス(Ar,N,Ar-N,H,He)を超高温に熱し、プラズマジェットとしてノズルから噴出させ、この中に溶射材料粉末を送り込み、加熱,加速して素材表面に吹き付けて被膜とするものであり、粉末式フレーム溶射は燃料ガス(アセチレン,プロパンなど)と酸素の燃焼の反応を溶射材料の加熱に用いるもので、溶射材料粉末をトーチ燃焼炎部へ送給し、空気ジェットで微粒子として素材表面に吹き付けて被膜とするものである。
そして、上記溶射法を用いて溶射する際に、溶射材料粉末として、2種以上の基本膜組成の粉末を用い、溶射時に溶射材料粉末の組成制御を任意に実施することにより、例えば、図3乃至図10に示すような構成の傾斜組成の溶射膜を形成することができる。
この本発明の溶射膜を形成する前に、ブラストでの付着物あるいは汚れなどを除去するために、任意に洗浄することが好ましい。
【0038】
溶射膜3による付着膜の剥離防止効果を得る上で、溶射膜3の膜厚を適度に調整することが好ましく、このような点から溶射膜3の膜厚は50〜500μmの範囲とすることが好ましい。溶射膜3は前述したように付着膜の内部応力を低減する効果を有しているが、この応力低減効果は厚さによりその程度が異なり、溶射膜3の厚さが50μm未満であると低硬度被膜を用いた場合においても応力低減効果が低下して付着膜が剥れやすくなる。一方、500μmを超えると溶射膜3自体に大きな内部応力が発生し、これにより溶射膜3自体の剥離が発生しやすくなる。溶射膜3の膜厚は、上記した効果がより良好に得られる100〜450μm、さらには300〜400μmの範囲とすることがさらに好ましい。
【0039】
次に、溶射時の脱落粒子や汚れを除去する洗浄を行ったのち、溶射膜内に含有されているガス成分を除去するための脱ガス処理を行う。
この脱ガス処理は、溶射膜内に水分,二酸化炭素,窒素,メタンなどのガス成分を除去するためであり、ガス成分を除去することにより、真空成膜装置内の真空度の向上,成膜時に放出されるガスによるウェハーなどの被成膜材上の膜質の劣化防止さらには溶射膜の剥離防止などの効果を得ることができる。
【0040】
以上のような製法により製造された真空成膜装置用部品は、スパッタリング装置やCVD装置などの真空成膜装置の構成部品として用いられるものであり、成膜工程中に成膜材料が付着する部品であれば種々の部品に対して適用可能である。具体的な構成については、以下の真空成膜装置の実施形態で説明する。
【0041】
また、上記した実施形態では真空成膜装置用部品について説明したが、上記内容はターゲット本体の非エロージョン領域に溶射膜を形成する場合、あるいはターゲットを保持するためのバッキングプレート本体の表面に溶射膜を形成する場合においても、同様に適用することができる。
すなわち、ターゲット本体と、このターゲット本体の非エロージョン領域に形成された溶射膜とを具備するターゲット装置においては、上記真空成膜装置用部品の実施形態で説明した溶射膜を、ターゲット本体の非エロージョン領域に形成される溶射膜に対して同様に適用可能である。また、ターゲットと、このターゲットを保持するバッキングプレート本体およびその表面に形成された溶射膜を有するパッキングプレートとを具備するターゲット装置においても、同様にバッキングプレート本体の表面に形成される溶射膜に対して適用可能である。
【0042】
ターゲットの外周部分は実質的にはスパッタされず、このような非エロージョン領域にもスパッタされた粒子が付着する。このようなターゲット外周部の付着物が剥離しても、他の部品からの付着物の剥離と同様に配線膜などの不良原因となる。従って、実質的にスパッタされないターゲットの非エロージョン領域に、上述した本発明による溶射膜を予め形成しておくことによって、付着物の剥離に伴う配線不良などが防止できる。バッキングプレートについても同様である。
【0043】
次に、本発明の真空成膜装置の実施形態について説明する。図11は本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した一実施形態の要部構成を示す図である。同図において、11はバッキングプレート12に固定されたスパッタリングターゲットである。この成膜源としてのスパッタリングターゲット11の外周部下方には、アースシールド13が設けられており、その下方にはさらに上部防着板14および下部防着板15が配置されている。
【0044】
被成膜試料である基板16は、スパッタリングターゲット11と対向配置するように、被成膜試料保持部であるプラテンリング17により保持されている。これらは図示を省略した真空容器内に配置されており、真空容器にはスパッタガスを導入するためのガス供給系(図示せず)と真空容器内を所定の真空状態まで排気する排気系(図示せず)とが接続されている。
【0045】
この実施形態のスパッタリング装置においては、アースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17を、上述した本発明の真空成膜装置用部品で構成している。
【0046】
さらに、この実施形態においては、スパッタリングターゲット11をその非エロージョン領域に同様な溶射膜3を設けたもので構成しており、バッキングプレート12についても同様な溶射膜3を設けたもので構成している。なお、溶射膜3はいずれもスパッタリングターゲット11からスパッタされた粒子が付着する面に形成している。
上述したスパッタリング装置においては、成膜工程中にアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15、プラテンリング17、スパッタリングターゲット11、バッキングプレート12などの表面にスパッタされた成膜材料(ターゲットの構成材料)が付着するが、この付着膜からの粒子の脱落や付着膜の剥離は部品表面の溶射膜3により安定かつ有効に防止される。
【0047】
これらによって、ダストおよびパーティクルの発生量、さらには基板16に形成される膜中への混入量を大幅に抑制することができる。従って、64M、256M、1Gというような高集積度の半導体素子の配線膜、すなわち配線幅が0.2μm以下というように狭小で、かつ高密度の配線網を形成する配線膜であっても、微小パーティクル(例えば直径0.2μm以上)の混入を大幅に抑制できることから、配線不良を大幅に低減することが可能となる。
【0048】
さらに、付着膜などの剥離を安定かつ有効に抑制することが可能であることから、装置のクリーニング回数を大幅に減らすことができる。この装置のクリーニング回数の低減に基づいて、スパッタリング装置の稼働率の向上を図ることができる。すなわち、スパッタリング装置のランニングコストを低減することができ、ひいては各種薄膜の成膜コストを削減することが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、アースシールド13、上部防着板14、下部防着板15、プラテンリング17、スパッタリングターゲット11、バッキングプレート12を本発明の部品で構成した例について説明したが、これら以外にターゲット外周押え(図示せず)、シャッタ(図示せず)などを本発明の真空成膜装置用部品で構成することも有効である。さらに、これら以外の部品についても、成膜工程中に成膜材料の付着が避けられない部品であれば、本発明の真空成膜装置用部品は有効に機能する。
【0050】
このように、本発明の真空成膜装置は被成膜試料保持部、成膜源保持部、防着部品などから選ばれる少なくとも1つを、本発明の真空成膜装置用部品で構成することによって、さらにはターゲットやバッキングプレートに本発明を適用することによって、上述したような優れた効果を示すものである。
【0051】
また、上記実施形態では本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した例について説明したが、これ以外に真空物理蒸着装置(イオンプレーティングやレーザーアブレーションなどを含む)、CVD装置などの真空成膜装置にも適用可能であり、上述したスパッタリング装置と同様な効果を得ることができる。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0053】
(実施例1)
図11に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17として、ステンレス(SUS 304)製部品基体の表面にプラズマ溶射法で基体表面部に隣接した基本膜組成をAl、溶射膜表面部の基本膜組成BをTiとして、図4に示す構成で溶射膜を形成した。溶射条件は、電流500A、電圧70Vとした。溶射は、Alを100μm溶射し、次に溶射原料粉末のTi比率を増加することでAl比率100%からTi比率100%の傾斜組成を200μm溶射し、さらにTiを50μm溶射することにより350μmの溶射膜を形成した。各部品にはTi溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて350℃×3hの加熱処理を行って、アニーリング処理および脱ガス処理を施した。
この得られた装置用部品の溶射膜の状態を確認するために、装置用部品を切断しEPMAで溶射膜の膜厚方向の組成比率を確認した。その結果、溶射膜組成は、図4と同等の形態を有するAl膜とTi膜の間にそれらの傾斜組成を有するものであった。
【0054】
このマグネトロンスパッタリング装置に高純度Tiターゲット11をセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、8インチウェハー上にTi薄膜を形成し、さらにその上にNガスを導入してTiN薄膜を形成した。
【0055】
このようにして得たTi/TiN薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル(ダスト)数を測定した。このような操作を連続して行い、8インチウェハー上の薄膜中のパーティクル数を測定した。
パーティクル数は、上記スパッタを連続的に実施し、20kwh(スパッタpower×スパッタ時間)実施毎100kwhまで1枚ずつウェハーを抜き取り、各ウェハー上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定し、得られたパーティクル数の平均値で求めた。その結果を表1に示す。
【0056】
また、本溶射膜を形成した各装置用部品の寿命を評価するために、上記スパッタを連続して行い、ウェハー上のパーティクルが急激に増加するまで、すなわち、装置用部品上の溶射膜が剥離することによる急激なパーティクルの増加を寿命として評価した。その結果を表1に併せて示す。寿命はスパッタpower×時間(kwh)で示している。
【0057】
比較として、傾斜組成を有さない2層の積層型の溶射膜としてAlを250μm溶射し、さらにTiを100μm溶射することにより350μmの溶射膜を形成した以外は、前述の本発明の装置用部品と同様の製法により真空装置用部品を製造した。
【0058】
得られた2層の積層型の溶射膜を有する装置用部品を、本発明の装置用部品と同様の方法によりパーティクル数と寿命を測定した。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0005059993
【0060】
上記結果より明らかなように、本発明の傾斜組成を有する溶射膜を形成した真空成膜装置用部品を用いることにより、積層型の溶射膜を形成した真空成膜装置用部品を用いたものに比較し、ウェハー上のパーティクルも減少し、さらに寿命も向上している。
【0061】
(実施例2)
実施例1と同様に図11に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17として、ステンレス(SUS 304)製部品基体の表面にプラズマ溶射法で基体表面部に隣接した基本膜組成をAl、溶射膜表面部の基本膜組成BをTiおよびそれら基本組成の間の基本膜組成CをNiとして、図8に示す構成で溶射膜を形成した。溶射条件は、電流500A、電圧90Vとした。溶射は、Alを100μm溶射し、次に溶射原料粉末のNi比率を増加することでAl比率100%からNi比率100%の傾斜組成を75μm溶射し、次にNiを50μm溶射し、次に溶射原料粉末のTi比率を増加することでNi比率100%からTi比率100%の傾斜組成を75μm溶射し、さらにTiを50μm溶射することにより350μmの溶射膜を形成した。各部品にはTi溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて350℃×3hの加熱処理を行って、アニーリング処理および脱ガス処理を施した。
【0062】
この得られた装置用部品の溶射膜の状態を確認するために、装置用部品を切断しEPMAで溶射膜の膜厚方向の組成比率を確認した。その結果、溶射膜組成は、図8と同等の形態を有するAl膜とNi膜およびNi膜とTi膜の間にそれらの傾斜組成を有するものであった。
【0063】
得られた本発明の溶射膜を有する装置用部品を、実施例1の装置用部品と同様の方法によりパーティクル数と寿命を測定した。その結果を表2に示す。
【0064】
比較として、傾斜組成を有さない3層の積層型の溶射膜としてAlを150μm溶射後、Niを100μm溶射し、さらにTiを100μm溶射することにより350μmの溶射膜を形成した以外は、前述の本発明の装置用部品と同様の製法により真空装置用部品を製造した。
得られた3層の積層型の溶射膜を有する装置用部品を、本発明の装置用部品と同様の方法によりパーティクル数と寿命を測定した。その結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
Figure 0005059993
【0066】
上記結果より明らかなように、本発明の傾斜組成を有する溶射膜を形成した真空成膜装置用部品を用いることにより、積層型の溶射膜を形成した真空成膜装置用部品を用いたものに比較し、ウエハー上のパーティクルも減少し、さらに寿命も向上している。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の真空成膜装置用部品およびターゲット装置によれば、溶射膜そのものの剥離、さらには成膜工程中に付着する成膜材料の剥離や粒子の脱落を安定かつ有効に防止できると共に、クリーニング回数を削減することが可能となる。従って、そのような真空成膜装置用部品を用いた本発明の真空成膜装置によれば、パーティクルの発生量を大幅に低減でき、配線膜などの不良発生原因となる膜中へのパーティクルの混入を抑制することが可能となると共に、稼働率の向上により成膜コストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 真空成膜装置用部品における溶射膜の具体的な構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】 真空成膜装置用部品における溶射膜の具体的な構成の他の例を模式的に示す断面図である。
【図3】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の1例を模式的に示す図である。
【図4】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図5】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図6】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図7】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図8】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図9】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図10】 本発明の溶射膜の膜厚方向の膜組成の他の1例を模式的に示す図である。
【図11】 本発明の真空成膜装置を適用したスパッタリング装置の一実施形態の要部構成を示す図である。
【符号の説明】
1・・・真空成膜装置用部品
2・・・部品本体(基体)
3・・・溶射膜
11・・・スパッタリングターゲット
12・・・バッキングプレート
13・・・アースシールド
14、15・・・防着板
16・・・被成膜基板
17・・・プラテンリング

Claims (12)

  1. 真空成膜装置の構成部品であって、部品基体と、前記部品基体表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有する溶射膜において、
    前記部品基体表面に形成される溶射膜が、ビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜または、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜からなり、
    前記溶射膜表面部がビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のMo系溶射膜、およびビッカース硬度Hvが500以下のW系溶射膜から選ばれる被膜であることを特徴とする真空成膜装置用部品。
  2. 溶射膜の傾斜組成は、隣り合う基本膜組成の一方の基本膜組成から他方の基本膜組成まで組成比率が変化するものであることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置用部品。
  3. 溶射膜の傾斜組成は、隣り合う基本膜組成の一方の基本膜組成から他方の基本膜組成まで組成比率が無段階に変化するものであることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置用部品。
  4. 真空容器と、前記真空容器に配置される被成膜試料保持部を有し、前記真空容器内に配置される真空成膜装置用部品の少なくとも1部品が、請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の真空成膜装置用部品を用いたことを特徴とする真空成膜装置。
  5. 請求項4記載の真空成膜装置は、スパッタリング装置,真空物理蒸着装置,化学蒸着装置,イオンプレーティング装置のいずれか1種であることを特徴とする真空成膜装置。
  6. 請求項5記載の真空成膜装置において、前記真空成膜装置用部品の表面に形成された溶射膜の表面部の基本膜組成は、真空成膜される膜を構成する少なくとも1種の金属材料を含むことを特徴とする真空成膜装置。
  7. 真空容器と、前記真空容器内に配置される被成膜試料保持部と、前記真空容器内に前記被成膜試料保持部と対向して配置される成膜源と、前記成膜源を保持する成膜源保持部と、前記被成膜試料保持部または成膜源保持部の周囲に配置された防着部品とを具備する真空成膜装置において、前記被成膜試料保持部、前記成膜源保持部および前記防着部品から選ばれる少なくとも1つが、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の真空成膜装置用部品からなることを特徴とする真空成膜装置。
  8. 請求項7記載の真空成膜装置において、前記真空成膜装置用部品の表面に形成された溶射膜の表面部の基本膜組成は、真空成膜される膜を構成する少なくとも1種の金属材料を含む被膜を有することを特徴とする真空成膜装置。
  9. ターゲットと、前記ターゲットを保持するバッキングプレート本体と、前記バッキングプレート本体表面またはターゲット表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有し、前記ターゲットと、前記バッキングプレート本体表面に形成される溶射膜が、ビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜または、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜からなり、
    前記溶射膜表面部がビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のMo系溶射膜、およびビッカース硬度Hvが500以下のW系溶射膜から選ばれる被膜であることを特徴とするターゲット装置。
  10. 真空容器内の前記真空容器に配置される被成膜試料保持部に、被成膜試料を配置し成膜する真空成膜方法において、前記真空容器内に配置される真空成膜装置用部品の少なくとも1部品は、部品基体と、前記部品基体表面に形成された溶射膜を有し、前記溶射膜は、その膜厚方向に二種以上の基本膜組成を有し、少なくとも1組の隣り合う基本膜組成の間隙の少なくとも1部に傾斜組成を有し、前記部品基体表面に形成される溶射膜が、ビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜または、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜からなり、
    前記溶射膜表面部がビッカース硬度Hvが30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬度Hvが100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬度Hvが300以下のMo系溶射膜、およびビッカース硬度Hvが500以下のW系溶射膜から選ばれる被膜であることを特徴とする真空成膜方法。
  11. 溶射膜の傾斜組成は、隣り合う基本膜組成の一方の基本膜組成から他方の基本膜組成まで組成比率が変化するものであることを特徴とする請求項10記載の真空成膜方法。
  12. 溶射膜の傾斜組成は、隣り合う基本膜組成の一方の基本膜組成から他方の基本膜組成まで組成比率が無段階に変化するものであることを特徴とする請求項10記載の真空成膜方法。
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