JP4962100B2 - 耐熱遮光フィルムとその製造方法、及び絞り、光量調整装置 - Google Patents
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Description
一方、プレゼンテーション、ホームシアターなどの映像観賞用の投影装置である液晶プロジェクタの光量調整用絞り羽根として使用される遮光フィルムにおいても、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラと同様な特性が求められ、特に耐熱性に関しては、カメラ以上の特性が求められている。
前記問題や軽量化の観点から、近年の遮光フィルムの構成は、金属薄板でなくプラスチックフィルムを基材に用いることが主流となってきている。更に、絶縁性のプラスチックフィルムを遮光羽根に用いると、静電気の帯電によるゴミ付着の問題が生じるため、プラスチック基材を用いた遮光フィルムには導電性も求められている。上記の事情から、遮光フィルムの必要特性は、高遮光性、耐熱性、低光沢性、摺動性、導電性、低発塵性であるとされている。このような遮光フィルムの特性を満足するために、従来からさまざまな材料、フィルム構造を用いたものが提案されている。
特許文献2では、樹脂フィルム表面上に、遮光性と導電性を有するカーボンブラックなどの黒色顔料や潤滑剤、艶消し剤を含有した熱硬化性樹脂層を塗布し、遮光性、導電性、潤滑性、低光沢性を付与した遮光フィルムが開示されている。
特許文献3では、アルミニウム合金などの金属製羽根材料の表面に硬質炭素膜を形成した遮光材が開示されている。
特許文献4では、遮光羽根の剛性を高めるためプラスチック基材の両面に炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂のプリプレグシートで強化した遮光羽根の構造が開示されている。
また、遮光フィルムで低光沢性や摺動性を発揮させるためにサンドブラスト法によるマット処理が行われている。この処理は、更に、入射光を散乱させ表面の光沢性を低下させ、視認性を向上させる効果がある。上記処理により、遮光フィルムが接触しても遮光フィルム同士の接触面積が大きくならず摺動性の低下も防止できるものと考えられる。
さらに、遮光フィルムの200℃以上での高熱環境下での熱変形が大きくなると、遮光フィルム同士の接触により、高速の動作ができなくなるなど摺動性が劣化し、前記表面に微細な凹凸構造を有する低光沢性遮光フィルムであっても、このような遮光フィルム同士の接触によって擦れる度合いが多くなると低光沢性の劣化が起こるなどして、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、液晶プロジェクタ本来の機能が得られなくなってしまう可能性もあった。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記金属膜(B)の膜厚が50〜250nmであり、また、前記酸化物膜(C)の膜厚が5〜240nmであることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記積層膜の表面抵抗値が7×105Ω/□以下であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4の発明において、前記積層膜の光反射率が、波長380〜780nmにおいて5%以下であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)の両面に、金属膜(B)と酸化物膜(C)からなる積層膜が形成されており、フィルム基板を中心として対称の構造であることを特徴とする耐熱遮光フィルム。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、樹脂フィルム基材(A)の両面に形成される金属膜(B)同士、及び酸化物膜(C)同士は、実質的に同じ金属元素組成であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、ガスバリア膜が、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、モリブデン、コバルト、二オブ、鉄、アルミニウム、珪素、及びニッケルからなる群より選ばれる1種類以上の元素を主成分とする酸化物膜であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、樹脂フィルム基材(A)の両面に形成されるガスバリア膜(D)同士、金属膜(B)同士、及び酸化物膜(C)同士は、実質的に同じ金属元素組成であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第8〜10のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)の両面に、ガスバリア膜(D)と金属膜(B)と酸化物膜(C)からなる積層膜が形成されており、フィルム基板を中心として対称の構造であることを特徴とする耐熱遮光フィルムが提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第12又は13の発明において、スパッタリング時の樹脂フィルム基材(A)の温度が、180℃以上であることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第15の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)の片面に前記金属膜(B)及び前記酸化物膜(C)が形成された耐熱遮光フィルムを、さらに、スパッタリング装置に裏返した状態で供給し、スパッタリングによって樹脂フィルム基材(A)の表面にチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)及びチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する酸化物膜(C)を順次形成することを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第12の発明において、片面もしくは両面の表面粗さが0.2〜0.8μm(算術平均高さRa)の凹凸表面を有する樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、ガスバリア膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリングにより樹脂フィルム基材(A)の凹凸表面上に、まずガスバリア膜(D)を形成した後、金属膜(B)及び前記酸化物膜(C)を順次形成することを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第17の発明によれば、第12〜16のいずれかの発明において、前記金属膜形成用ターゲットと前記酸化物膜形成用ターゲットが同一のものであることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第18の発明によれば、第16の発明において、前記ガスバリア膜形成用ターゲットと前記金属膜形成用ターゲットと前記酸化物膜形成用ターゲットが同一のものであることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第19の発明によれば、第12〜18のいずれかの発明において、樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第20の発明によれば、第12〜18のいずれかの発明において、成膜中の樹脂フィルム基材が冷却されずに、成膜室内でフローティングの状態でスパッタリング成膜されることを特徴とする耐熱遮光フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第22の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明の耐熱遮光フィルムを羽根材として用いてなる光量調整装置が提供される。
本発明の耐熱遮光フィルムは、最表面層となる酸化物膜の種類を選ぶことで黒色度が高くて低反射特性を有する耐熱性遮光フィルムが実現できる。つまり、最表面層に可視域での透過率の低い低反射性の酸化物膜(遷移金属の酸化物膜や酸素欠損を多く含む金属酸化物膜)を金属膜上に積層すると、金属膜の高い反射率を顕著に減少することができ、さらに積層膜の表面粗さが0.1〜0.7μm(算術平均高さRa)であることも寄与して、波長380〜780nmにおける光反射率は5%以下または3%以下の低反射(低光沢性)となり黒色を呈することができる。また逆に、最表面層に可視〜近赤外の透過率の高い酸化物膜を選ぶと、黒色度は劣るものの、金属膜の高反射特性を活かして、熱線を効果的に反射できる耐熱遮光フィルムが実現される。このような耐熱遮光フィルムは、例えば、プロジェクタなど絞り羽根材に用いると、強いランプ光が照射されても加熱が抑制されるため好都合である。
本発明の耐熱遮光フィルムは、従来の金属箔板に耐熱塗料を施した耐熱遮光フィルムを使用した遮光羽根に比べ、樹脂フィルムを基材として使用しているので軽量化され、絞り羽根等に搭載された時の摺動性が向上し、更には駆動モーターの小型化が可能となり、低コストに繋がる。
更に、樹脂フィルム基材の片面にのみ金属膜及び酸化物膜を形成し、金属膜及び酸化物膜が形成されていない樹脂フィルム面側に粘着材を塗布した耐熱遮光フィルムとして使用することも可能であり、カメラやプロジェクタなどの鏡筒などにおいて、低反射性や低光沢性が必要不可欠な部材の壁面に貼り付けることによって低反射面を形成することができる。
また、前記金属膜及び酸化物膜のスパッタリング成膜に際し、全く同じターゲットを使用することが可能なので、装置セッティング上のターゲット交換をする必要が無く、連続スパッタリングが可能であり、製造コストが安くなり、更に耐熱性樹脂フィルムを中心に対称型である膜構造とすることができ、成膜時の膜応力による遮光フィルムの変形を生じないので生産性に優れている。
また、本発明の遮光性の金属膜及び低反射性の酸化物膜のスパッタリング法による成膜条件を最適化すれば、前記膜を緻密で高密着な膜とすることができ、200℃程度の高熱環境下に晒されても前記膜は剥がれることはない。前記緻密で硬質な最表面の酸化物膜が覆われているので該耐熱遮光フィルムの動作時に膜の剥がれがない。基材フィルムのマット処理、具体的には、サンドブラスト法によるフィルム表面処理の際にショット材が除去できずにフィルム表面に残存していても、その上に高温下でも高密着性を維持できる上記の緻密な積層膜が覆われているので、高温下でもショット材の脱落や膜剥がれ等による粉塵は起こらない。
したがって、本発明の耐熱遮光フィルムは、耐熱性が求められている液晶プロジェクタの光量調整装置の絞り羽根材として特に有用であり、また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどのシャッター装置のシャッター羽根材としても使用できるため、工業的に極めて有用である。
さらに、本発明の耐熱遮光フィルムを絞り羽根材として用いた光量調整装置は、金属薄板を羽根材料に用いた従来の耐熱性光量調整装置と比べて、絞り羽根材が軽量であるため絞り羽根を駆動する際の消費電力の低減が実現できる。よって、駆動モーターの小型化が可能となり、光量調整装置自体の小型化を実現することができるなどのメリットも有するため、工業的に極めて有用といえる。
本発明の耐熱遮光フィルムは、200℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面にスパッタリング法で形成された50nm以上の膜厚を有するチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)、及び金属膜(B)上にスパッタリング法で形成された、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する低反射性の酸化物膜(C)の積層膜とからなり、かつ上記積層膜の表面粗さが0.1〜0.7μm(算術平均高さRa)であることを特徴とする。また、金属膜(B)に銅元素が含有される場合では、ポリイミドなどの樹脂フィルムとの密着性を向上させるために樹脂フィルム基材(A)と金属膜(B)の界面に、ニッケルを主成分として、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の添加元素を含有するNi系金属膜を形成することを特徴とする。
そして、その積層膜は、表面粗さが0.1〜0.7μm(算術平均高さRa)、より好ましくは、0.2〜0.7μm、最も好ましくは、0.3〜0.6μmである。積層膜の表面粗さが0.1μm未満であると低光沢性が得られず、また、積層膜の表面粗さが0.7μmを超えると積層膜の表面欠陥が付きやすく十分な遮光性(透過率0%)を得られないという点で好ましくない。
両面に形成される場合は、フィルム基板を中心として各面の金属膜同士及び酸化物膜同士の組成及び膜厚が対称の構造であることが、より好ましい。基板の上に形成された薄膜は、基板に対して応力を与えるため、変形の要因となる。応力による変形は成膜直後でも見られる場合があるが、特に200℃程度に加熱されると変形が大きくなり顕著となりやすい。しかし、上記のように基板の両面に形成する前記金属膜と低反射性の前記酸化物膜の材質を同じにして、基板を中心として対称の構造にすることで、加熱条件下でも応力のバランスが維持され、フラットな耐熱遮光フィルムを実現しやすい。
本発明の耐熱遮光フィルムの基材である樹脂フィルム(以下、透明基材ということがある)は、その表面に算術平均高さRaが0.2〜0.8μm、特に0.3〜0.7μmの微細な凹凸構造を有することが好ましい。算術平均高さとは、算術平均粗さとも言われ、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均した値である。Raが0.2μmより小さいと、フィルム表面に形成した金属膜の密着性が得られず、十分な低光沢性や低反射性も得られない。また、Raが0.8μmを超えると、フィルム表面の凹凸が大きすぎて凹部で金属膜の成膜ができず、フィルム表面を被覆し十分な遮光性を得ようとすれば金属膜の膜厚が厚くなってしまうためコスト高となり好ましくない。
本発明の耐熱遮光フィルムは、200℃の高熱環境下でも耐えうる耐熱性を有していることが特徴である。それは、スパッタリング法により上記温度以上で得た金属膜と低反射性の酸化物膜が高緻密性で耐酸化性が良く、フィルムと金属膜との密着性が良いことによる。
なお、金属膜の材料には上記の金属元素の他、炭素、窒素が含まれていても構わない。金属膜への炭素、窒素を導入するには、それぞれ、金属膜を成膜する時のスパッタリングガス中に炭化水素ガス、窒素ガスなどの炭素元素や窒素元素を含む添加ガスを導入してスパッタリング成膜することで可能であるが、上記のような添加ガスを用いなくても、ターゲット中に炭素、窒素を含有させることでも、これらの元素を導入することができる。特に上記金属膜に炭素、窒素が含まれると耐熱性を更に改善することができるため有用である。よって、本発明の耐熱遮光フィルムの金属膜材料には、上記の方法で作製された炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化ニオブ、炭化鉄、炭化銅、炭化アルミニウム、炭化珪素、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化ニオブ、窒化鉄、窒化銅、窒化アルミニウム、窒化珪素などの炭化物や窒化物も、十分な遮光性と耐熱性を発揮する金属膜材料であり、樹脂フィルムに対する高密着性も発揮するため含まれる。さらに本発明の耐熱遮光フィルムの金属膜材料には、これらの炭化物と窒化物の固溶体や化合物、これら炭化物および/または窒化物と上記金属元素との固溶体や化合物も同様の理由から含まれる。また、本発明の金属膜には、酸素はなるべく含まないほうが、樹脂フィルムとの高い密着性や高い遮光性を維持するためには好ましい。しかし、スパッタリングガス中に残留する酸素などが成膜時に金属膜の一部、或いは全体に中に取り込まれて含有しても、金属性や高い遮光性や樹脂フィルムとの高い密着性を損なわない程度であれば構わない。金属膜中の酸素の含有量は、樹脂フィルムとの密着性を維持するために、金属元素に対して5原子%以下、特に3原子%以下が望ましい。
また、本発明の耐熱遮光フィルムの金属膜は、組成(金属元素の含有量や種類、炭素含有量、窒素含有量、酸素含有量)の異なった複数種類の金属膜の積層膜で構成されていてもかまわない。
上記金属膜の膜厚は、50nm以上、好ましくは50〜250nmとすることができる。膜厚が50nm未満であると遮光性が不十分となり、またフィルムとの密着性が不十分になる場合があり、250nmを超えると、フィルムとの密着性や酸化物膜の積層性は十分なものとなるが経済性の面で好ましくない。
このような熱膨張差による膜剥離を回避するには、樹脂フィルム基材と膜の高密着性を維持する必要があるが、本発明の金属膜は、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜とすることが有効である。樹脂フィルムの表面は、酸素の官能基を有しており、本発明の金属膜中には適量のチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素などの酸素と結合しやすい元素が含まれており、フィルム表面の酸素の官能基と化学結合が生じて、フィルムと金属膜間の密着性が強化される。
なお、元素周期表の4族から12族の遷移金属元素の中で、銅やクロムやマンガンを主成分とする金属膜は、樹脂フィルム、特にポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムとの密着性が悪いので、フィルム上に直接形成すると好ましくないが、この場合は、銅以外の上記の金属膜に用いられる元素を主成分とする金属膜を密着強化膜として樹脂フィルムと銅やクロムやマンガンを主成分とする金属膜との間に形成することが望ましい。この場合は、遮光性の役割を担う膜は、銅系薄膜/密着強化膜の積層金属膜となり、密着強化膜が樹脂フィルム側に配置され、高密着化が実現できる。密着強化膜の膜厚は2〜50nmでよく、例えばニッケル系金属膜などが効果的である。密着強化膜として用いられるニッケルを主成分とする金属膜は、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の添加元素を含有されていてもかまわない。
また、スズやインジウム、ガリウムなどの金属材料は250℃以下で溶融化してしまうため、これらの元素を主成分とする金属膜は、本発明の耐熱遮光フィルムを構成する金属膜として利用することはできない。ただし、スズやインジウム、ガリウムなどの金属材料でも、他の元素を添加して、融点が300℃以上に上げた材料であれば、本発明の耐熱遮光フィルムの金属膜として利用することができる。
また、希土類金属やアルカリ金属、アルカリ土類金属など、200℃前後において酸素と結合して発熱をともなって反応する金属は、本発明の耐熱遮光フィルムにおいて遮光用の金属膜として使うことはできない。
また、鉛やカドミウム、水銀、ビスマスなどの人体や環境に対して著しく有害な金属材料は本発明の耐熱遮光フィルム材料の構成材料としては選択しない。
また、本発明の耐熱遮光フィルムは、低反射性の酸化物膜を有している。樹脂フィルム基材に形成された金属膜は反射率が高いが、金属膜の上に低反射性の酸化物膜を積層することで、耐熱遮光フィルムの波長380〜780nmにおける反射率を7%以下にまで減少させることができる。低反射性の酸化物膜は、単層でも酸素含有量や構成元素の種類及び含有量の異なる層で構成されても構わない。また、金属膜上に積層する低反射性の酸化物膜は、透明度の高いものでも、透明度が低くて着色したものでもよい。
具体的には、前記酸化物膜は、金属成分がチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類の元素のみからなる酸化物であってもよいが、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた2種類以上の元素を含有した酸化物膜であってもよい。また、これらの酸化物膜と金属膜との界面には、これら膜の成分の一部もしくは全てが含まれた化合物層が形成されても構わない。
この酸化物膜は、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有しており、これらの元素は不動態を形成しやすいため耐熱性の他、耐食性に優れているからである。また、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムなどの元素を含む酸化物膜は、耐熱性に優れているとともに、耐摩耗性、靭性が高いことから遮光羽根として動作する上でも利点がある。
前記酸化物膜には、上記の金属元素の他、炭素、窒素が含まれていても構わない。酸化物膜に炭素、窒素を含ませると屈折率を調整することができて低反射性を実現しやすくなる。また、前記酸化物膜には、遷移金属の酸化物膜や酸素欠損を多く含む金属酸化物膜のように可視域で透過率の低い(例えば単膜で透過率が10〜60%)膜を採用すると、低反射性を実現して黒色を呈した耐熱遮光フィルムを得ることができる。このような酸化物膜を用いた本発明の耐熱遮光フィルムは、光反射が波長380〜780nmにおいて2%以下、或いは1%以下とすることができる。前記酸化物膜には、組成(酸素含有量、炭素含有量、窒素含有量、金属元素の含有量や種類)の異なった複数種類の酸化物膜の積層膜で構成されていてもかまわない。組成が異なって屈折率と消衰係数の異なった酸化物膜の積層膜を用いることで、さらに強い反射防止効果が発現して、低反射性を実現し、黒色度の高い耐熱遮光フィルムとすることもできる。
また本発明の耐熱遮光フィルムは、熱線光の照射による温度上昇をなるべく回避させるために、熱線光の高反射特性を持たせることも可能である。この場合、前記酸化物膜には、上記とは逆に、可視域〜近赤外域の透過率がなるべく高い酸化物材質を使用して、酸化物膜内での熱線の吸収をなるべく抑制し、金属膜による熱線の高反射特性を利用するのである。また、そのような酸化物膜の屈折率を加味して、酸化物膜の膜厚を最適化し、酸化物膜/金属膜界面での近赤外の反射光と、外界/酸化物界面での近赤外の反射光が強め合って、高反射特性を実現させるとより好ましい。以上のような構成の熱線の高反射特性を持たせた耐熱遮光フィルムは、可視域での最大反射率が3〜7%と適度な反射率を示すことができる。反射率が高く10%以上であると、反射光が迷光となり悪影響を及ぼすため、7%以下が好ましい。このような構成の耐熱遮光フィルムは、黒色度は劣るが、反射光の波長バランスに応じて、例えば、赤色、紫色、青色、黄土色などを呈する。
前記酸化物膜の種類と前記金属膜の種類の組み合わせは特に限定されない。前記酸化物膜の材料は、その金属成分が金属膜と同じでなくともよいが、金属膜と同じ成分の酸化物膜であることが好ましい。酸化物膜は金属膜と同じ組成の金属のスパッタリングターゲットを用いて、酸素ガス導入下で反応性スパッタリング成膜することができるので、単一のカソードを有するスパッタリング装置で金属膜と低反射性の酸化物膜の両方を製造することができ、製造コストを低減することができるからである。また金属成分が金属膜と同じである酸化物膜を用いると、金属膜/酸化物膜の界面で強い化学結合が形成されるため高密着性が得られるという利点もある。
ここで、プラスチックフィルムは、一般に絶縁性のため静電気が発生しやすいが、仮に絶縁性の遮光フィルムを用いて遮光羽根として動作した場合には、静電気が発生して、羽根同士が静電吸着する場合がある。羽根同士が吸着しないためには、遮光フィルムに導電性が必要といえる。
本発明の耐熱遮光フィルムにおいては、金属膜上の最表面に、酸素欠損を有する酸化物や遷移金属の酸化物膜などの可視域での透過率の低い酸化物膜を採用することで、積層膜の光反射が、波長380〜780nmにおいて5%以下、或いは3%以下で黒色度の高い耐熱遮光フィルムを実現することができる。このような耐熱遮光フィルムは、光反射を極力抑制したい光学フィルム部材(例えばシャッター羽根など)として有用である。また、本発明の耐熱遮光フィルムにおいては、金属膜上の最表面に、可視〜近赤外域の透過率の高い酸化物膜を採用することで、黒色度は劣るが、強いランプ光が照射されても熱線を金属膜で効果的に反射して加熱温度上昇を効果的に避けるような特徴をもたせることができる。液晶プロジェクタのランプ光の側に配置される絞り羽根部材に用いられる耐熱遮光フィルムとして有用である。
通常、ポリイミドなどの樹脂フィルム基材には、酸素や水分が多く含まれる。ポリイミド中のこれらのガスは、成膜前に加熱処理等を行って除去する。しかし、十分に除去できずに、金属膜と酸化物膜を形成して製造された耐熱遮光フィルムは、250℃前後の高温環境下におかれると、樹脂フィルムから酸素や水分が放出されて金属膜内の一部に酸素が進入する。酸素が進入した金属膜は光学定数が異なるため、耐熱遮光フィルムの色味の変化が生じてしまう。また、成膜前に十分にガス抜きを行って製造された耐熱遮光フィルムでも、恒温恒湿試験(例えば、85℃、90%RH、1000時間)の環境下に耐熱遮光フィルムを配置すると、樹脂フィルムの側面から水や酸素が進入して、金属膜の樹脂フィルム側の一部に酸素が進入して、同様の要因で色味が変わってしまう。
このような色味変化を回避するため、本発明では、樹脂フィルム基材と前記金属膜の界面に、ガスバリア膜として金属酸化物膜をスパッタリング法で形成する。ガスバリア膜は、例えば、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、モリブデン、コバルト、二オブ、鉄、アルミニウム、珪素、ニッケルからなる群より選ばれる1種類以上の元素を主成分とする酸化物膜が有効である。これらのガスバリア膜は、化学量論組成よりも酸素欠損を有する膜の方が、膜の緻密性が高いため、フィルムから放出されるガスの通過を、より効果的に阻止できる。ガスバリア膜は5〜30nmほど形成されていれば効果的である。
本発明の耐熱遮光フィルムの製造方法は、片面もしくは両面の表面粗さが0.2〜0.8μm(算術平均高さRa)の凹凸表面を有する樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、金属膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリングにより樹脂フィルム基材(A)の凹凸表面上に、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)を形成し、次に、酸化物膜形成用ターゲットを用いて、酸素ガスを導入したスパッタリングガス雰囲気下、反応性スパッタリングにより、金属膜(B)上に、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する酸化物膜(C)を形成することを特徴とする。
前記金属膜上に、低反射性のチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する酸化物膜がスパッタリングで形成される。上記酸化物膜は、反射防止効果を発揮する膜厚に設定されるとより好ましい。すなわち耐熱遮光フィルムの表面に入射する可視光は、酸化物膜と空気との界面と、金属膜と酸化物膜の界面で反射するが、これらの反射光が大気に出たときに互いに干渉して打ち消しあうような位相差が生じるような酸化物膜の膜厚であると、著しく低反射性が実現するため好ましい。本発明では、前記金属膜および低反射性の前記酸化物膜がスパッタリング法で形成されるため、インクの塗布法や真空蒸着法と比べて膜の緻密性がよく、下地(基板や膜)との密着性が良好であるという特徴がある。
この性質は、耐熱遮光フィルムを200℃の高熱環境下で使用したときに顕著である。インクの塗布法や真空蒸着法で形成したときは、膜剥がれや、膜の酸化による色味の変化が見られるが、本発明のようにスパッタリング法で膜を形成した場合はこのような恐れがない。
ターゲットとしては、金属膜形成用ターゲットと酸化物膜形成用ターゲットとを用いる。金属膜形成用ターゲットとは、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属製ターゲットである。また金属膜中に炭素および/または窒素を含ませるために、金属膜形成用の金属製ターゲットには炭素および/または窒素を含ませても構わず、上記金属の炭化物や窒化物の金属製ターゲットを用いても構わない。一方、酸化物膜形成用ターゲットとは、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属製ターゲット又は酸化物製ターゲットである。また酸化物膜中に炭素および/または窒素を含ませるために、酸化物形成用の金属製ターゲットもしくは酸化物ターゲットには炭素および/または窒素を含ませてもよく、上記金属の炭化物や窒化物の金属ターゲットを用いても構わない。
これら金属膜形成用ターゲットと酸化物膜形成用ターゲットとは、別のものでもよいが、同一のものであってもよい(この場合に、酸化物形成用ターゲットは、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、二オブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属製ターゲットとなる)。同一のものとすれば、スパッタリング用ターゲットを変更しない(装置セッティング上のターゲット交換をしない)ので、連続したスパッタリングが可能であり、製造コストが安くなり、更に耐熱性の樹脂フィルム基材を中心に対称型の膜構造を形成できることから、成膜時の膜応力による遮光フィルムの変形を生じることもない。
さらに、成膜時の樹脂フィルム基材温度は、少なくとも180℃以上、特に180〜220℃とすることが望ましい。これにより200℃以上の耐熱性を有するフィルムとの密着性の優れた、緻密な膜質の耐熱遮光フィルムが得られる。成膜時の樹脂フィルム基材温度が180℃未満では、200℃以上での耐熱試験における金属膜と樹脂フィルムとの密着性が悪化するので好ましくない。ただし、このような耐熱性が要求されない場合には、金属膜を180℃未満で成膜できる。なお、金属膜の膜厚は、成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力で制御される。
また、成膜中には樹脂フィルム基材はプラズマから自然加熱される。ガス圧とターゲットへの投入電力やフィルム搬送速度を調整することで、自然加熱によって成膜中の基板の温度を180℃以上に維持することは容易である。ガス圧は低いほど、投入電力は高いほど、フィルム搬送速度は遅いほどプラズマからの自然加熱による加熱温度は高くなる。成膜中の基材の温度は、放射温度計で測定することも可能であり、また予めフィルム表面にサーモラベルを貼り付けておいて、成膜後にラベルの色の変化を見て達した温度を知ることができる。金属膜に銅元素を含有する場合においては、樹脂フィルム基材と金属膜の界面にニッケルを主成分として、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の添加元素を含有するNi系金属膜を密着強化膜として形成することが望ましい。Ni系金属膜は、Ni系金属膜形成用ターゲットを用いて、金属膜形成の場合と同じようにスパッタリング法で形成すればよい。これにより樹脂フィルム基材に銅系薄膜/密着強化膜の積層金属膜が形成される。
酸化物膜を成膜する時の成膜時のガス圧は、装置の種類などによっても異なるので一概に規定できないが、1.0Pa以下、例えば、0.2〜1.0Paにすることが好ましい。成膜時のガス圧が0.2Pa未満であると、ガス圧が低いためスパッタリング法でのアルゴンプラズマが不安定となり、成膜した膜の膜質が悪くなる。また、成膜時のガス圧が1.0Paを超えた場合では、酸化物膜の粒が粗くなり、高緻密な膜質でなくなるので金属膜との密着力が弱くなり、膜が剥がれてしまう。また、成膜時の樹脂フィルム基材温度は、少なくとも180℃以上、特に180〜220℃とすることが望ましい。これにより緻密な酸化物膜を有する耐熱遮光フィルムが得られる。樹脂フィルム基材温度が180℃未満では、緻密な酸化膜が形成できないので好ましくない。なお、酸化物膜の膜厚は、成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力で制御される。
これにより、基材フィルムの片面に金属膜と酸化物膜が形成された耐熱遮光フィルムを得ることができる。両面に、金属膜と酸化物膜が形成された耐熱遮光フィルムを得るには、さらに、上記スパッタリング装置に供給し、同様にして、スパッタリングによって樹脂フィルム基材の裏面に金属膜、及び酸化物膜を順次形成する。すなわち、樹脂フィルム基材(A)の片面に前記金属膜(B)及び前記酸化物膜(C)が形成された耐熱遮光フィルムを、裏返した状態でスパッタリング装置に供給し、スパッタリングによって樹脂フィルム基材(A)の表面に金属膜(B)及び酸化物膜(C)を順次形成する。
本発明の耐熱遮光フィルムは、デジタルカメラの絞りやシャッター装置の羽根、デジタルビデオカメラの絞りや光量調整装置(オートアイリス)の絞り羽根や、液晶プロジェクタの絞りや光量調整装置の絞り羽根として用いることができる。特に、耐熱性が要求されるプロジェクタ用途の絞りや光量調整装置(オートアイリス)の絞り羽根材として有用である。
耐熱遮光フィルムを絞りや光量調整装置(オートアイリス)の絞り羽根材とするには、端面クラックが生じない打ち抜き加工をすればよい。
絞りには、予め絞り開口径を規定した孔を設けた1枚の耐熱遮光板とし、この耐熱遮光板を投影光路に出入り自在に設けた機構のものとして用いることができる。
また、光量調整装置(オートアイリス)の絞り羽根には、複数の絞り羽根として用い、それらの絞り羽根を可動させ、絞り開口径を可変して光量の調整が可能となる機構のものとして用いることができる。
図3は、打ち抜き加工を施した耐熱遮光羽根12を搭載した光量調整装置の絞り機構を示す模式的な図である。耐熱遮光羽根12には、ガイド孔13、駆動モーターと係合するガイドピン14と遮光羽根の稼働位置を制御するピン15を設けた基板16に取り付けるための孔17を設けている。また、基板16の中央にはランプ光が通過する開口部18があるが、絞り装置の構造により遮光羽根は、さまざまな形状であってもよい。本発明の耐熱遮光フィルムは、樹脂フィルムを基材としているので、軽量化でき、遮光羽根を駆動する駆動部材の小型化と消費電力の低減が可能となる。
分光光度計を使用し、波長380nm〜780nmの可視光域の遮光性と反射率を測定した。遮光性は、分光光度計で測定される透過率(T)を用いて次式により換算した。
光学濃度=Log(1/T)
シャッター装置や光量調整装置の絞り羽根では光学濃度は4以上、最大反射率は5%以下であることが必要である。
(表面光沢度)
表面光沢度は、光沢度計を用いてJIS Z8741に基づき測定した。表面光沢度は、3%未満であれば光沢性が良好である。
(摩擦係数)
静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS D1894に基づき測定した。静摩擦係数及び動摩擦係数が0.3以下の場合は良好(○)とし、0.3を超えるものは不十分(×)とした。
(表面粗さ)
得られた耐熱遮光フィルムの算術平均高さRaを表面粗さ計で測定した。
(耐熱性)
得られた耐熱遮光フィルムの耐熱特性を以下の手順で評価した。220℃に加熱セットしたオーブン(アドバンテック社製)に、作製した耐熱遮光フィルムを24時間放置した後、取り出した。評価は、反りや膜の変色が無い場合は良好(○)とし、反りもしくは膜の変色がある場合は不十分(×)とした。
(密着性)
耐熱試験後の膜の密着性をJIS C0021に基づき評価した。評価は膜剥がれがない場合は良好(○)とし、膜剥がれがあるものは不十分(×)とした。
(導電性)
得られた耐熱遮光フィルムの表面抵抗値をJIS K6911に基づき測定した。
図2に示した巻き取り式スパッタリング装置を用いて遮光性の金属膜と低反射性の酸化物膜の成膜を行った。まず、冷却キャンロール7の表面の対向側にマグネトロンカソード9が設置された装置のカソードに膜の原料となるターゲット10を取り付けた。巻き出しロール4、冷却キャンロール7、巻き取りロール8などで構成されるフィルム搬送部は、隔壁11でマグネトロンカソード8と隔離されている。次に、ロール状の樹脂フィルム基材1を巻き出しロール4にセットした。ポリイミド(PI)フィルムは、サンドブラストによる表面加工を行い、算術平均高さRaが0.5μmとして、得られたポリイミド(PI)フィルムをスパッタリング前に200℃以上の温度で加熱し、乾燥した。
次に、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ5で真空槽6内を排気した後、冷却キャンロール7とカソード間で放電させて、樹脂フィルム基材1を冷却キャンロール表面に密着搬送しながら成膜を行った。
まず、Tiターゲットをカソードに設置し、このカソードから直流スパッタリング法で金属膜を成膜した。金属膜はスパッタリングガスに純アルゴンガス(純度99.999%)を用いて成膜を行った。成膜時のスパッタガス圧は、0.4〜1.0Paにて実施した。成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力を制御することで金属膜の膜厚を制御した。巻き出しロール4から搬出された樹脂フィルム基材1は、途中、冷却キャンロール7の表面を通って、巻き取りロール8で巻き取った。
次に、このTiターゲットをカソードに設置したまま、金属膜が形成された上記ロールをセットし、装置に供給し、このカソードから直流スパッタリング法で金属膜上に、低反射金属酸化物膜を成膜した。低反射性の酸化物膜はスパッタリングガスとして酸素ガスを2〜6%混合したアルゴンガスを用いて成膜を行った。成膜時のスパッタガス圧は、0.4〜1.0Paにて実施した。このような成膜条件において透明基材上に300nmの厚みで形成した酸化チタン膜の可視域透過率は35〜55%と低くて、着色膜であることが確認された。この酸化チタン膜の酸素欠損の多い膜である。成膜時のフィルムの搬送速度とターゲットへの投入電力を制御することで酸化物膜の膜厚を制御した。巻き出しロール4から搬出されたフィルム1は、途中、冷却キャンロール7の表面を通って、巻き取りロール8で巻き取った。
スパッタリング時のフィルムの表面温度を赤外線放射温度計で、巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると180〜220℃の温度であった。また、成膜前に予めフィルム表面に貼り付けてあったサーモラベル(アイビー技研製、型番:101−8−176)を用いて成膜中の最高加熱温度をチェックしても同様の結果であった。
得られた金属膜の組成は、ICP発光分析およびEPMA定量分析から、ターゲット組成とほぼ同じであることを確認した。また、低反射性の酸化物膜として、ターゲット金属の酸化物膜が得られていることを確認した。また金属膜、酸化物膜の膜厚は、断面TEM観察から測定し、所定の膜厚になっていることを確認した。
こうして厚み75μmのポリイミド(PI)フィルムの両面に、膜厚100nmの金属膜と膜厚50nmの酸化物膜を順に、スパッタリング成膜して、耐熱遮光フィルムを作製した。このポリイミド(PI)フィルムの表面は、所定の吐出時間、吐出圧力、搬送速度でサンドブラスト加工してあり、両面とも算術平均高さがRa0.5μmの微細な凹凸が形成されている。フィルムの片面ずつ両面にこのような成膜を実施して、ポリイミド(PI)フィルム基材を中心に対称構造の遮光フィルムを製造した。
次に、作製した耐熱遮光フィルムを前記の方法で評価した。この結果、光学濃度は4以上、最大反射率は1%以下であった。光沢度は、2%以下となり光沢性は良好であった。静摩擦係数及び動摩擦係数は、0.3以下となり、良好であった。また、表面抵抗値は、400Ω/□であり、表面の算術平均高さは、0.4μmであった。加熱後の耐熱遮光フィルムには、反りは発生せず、変色もなかった。また、膜剥がれはなく、良好であった。遮光性、反射特性、光沢度、摩擦係数も加熱前と変化なかった。また、JIS K5600−5−4に基づいて引っかき硬度試験(鉛筆法)を行ったところ、H以上と硬度は十分であった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
得られた耐熱遮光フィルムは、光学濃度、反射率、表面光沢度、耐熱性、摩擦係数、導電性のすべてについて良好であり、よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができることがわかる。
金属膜の膜厚のみを50nmに変えた以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、400Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.4μmであることを確認した。また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜の膜厚のみを150nmに変えた以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、300Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
ポリイミドフィルムのサンドブラストによる表面加工の条件のみを変えて遮光フィルムを作製した。すなわち、算術平均高さRaが0.2μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で、同じ膜構成の耐熱遮光フィルムを作製した。ただし、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。
その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、500Ω/□で、表面の算術平均高さRaは、0.1μmであることを確認した。また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した、算術平均高さRaが0.8μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。ただし、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、500Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.7μmであることを確認した。また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
フィルムの両面でなく片面にのみサンドブラスト処理を行って金属遮光膜と低反射金属酸化物膜を成膜した以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを作製した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率(成膜面)、光沢度(成膜面)などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値(成膜面)は、500Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.4μmであることを確認した。また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価を行ったが、膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。反りについては、加熱試験によって、若干生じており、5cm角に形状加工したサンプルを平坦な面に置いて、最大2mmの反りが生じていた。これは片面にのみ成膜したことによって生じた膜応力による影響であるが、この程度の反りであれば、絞りとして利用する際、支持基材に複数箇所、接着固定することで使用することができる。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表1にまとめた。
よって、このような遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、この耐熱遮光フィルムは、非成膜面側に粘着材を塗布しておけば、鏡筒などの低反射性・低光沢性が要求される光学部材の壁面に貼って、低反射・低光沢面を形成することができる。
金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Wターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性の金属タングステン膜と、低反射性の酸化タングステン膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて28〜45%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。膜厚については表1に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、400Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例7と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、400Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例7と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、600Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Alターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性の金属アルミニウム膜と、低反射性の酸化アルミニウム膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて36〜58%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。また酸化アルミニウム膜の成膜には高周波スパッタリング法を用いた。膜厚については表1に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、2×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例10と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、2×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例10と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、5×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Moターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性の金属モリブデン膜と、低反射性の酸化モリブデン膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて33〜55%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、200Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例13と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、200Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。なお、金属酸化物膜の膜厚を5nmに変えた場合でも、同様な効果が得られることを確認している。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例13と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、600Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜および低反射性の酸化物膜を成膜する際に、Siターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性の金属シリコン膜と、低反射性の酸化シリコン膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて31〜45%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。また酸化シリコン膜の成膜には高周波スパッタリング法を用いた。膜厚については表1に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率1%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、5×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を10nmに変えた以外は実施例16と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率7%、光沢度42%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、1×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、金属酸化物膜の膜厚を5nmに変えても、同じ特性の耐熱遮光フィルムを得ることができた。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例16と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率1%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また、実施例1と同条件の場合は、表面抵抗値は、7×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。また、220℃で24時間の加熱試験後に膜の密着性を評価したが、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Co−Mo系合金ターゲット(Co/Moモル比=5.0)を用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のCo−Mo系合金膜と、低反射性のCo−Mo−O系膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて34〜44%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。膜厚については表1に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、90Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例19と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、80Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例19と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、300Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.3μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Mo−Nb系合金ターゲット(Mo/Nbモル比=4)を用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のMo―Nb系合金膜と、低反射性のMo―Nb−O系膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて32〜45%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。膜厚については表1に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、500Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例22と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、500Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例22と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率3%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、1×103Ω/□以下であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜および低反射性の酸化物膜を作製する際に、Al−Ti系合金ターゲット(Al/Tiモル比=3)を用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のAl−Ti系合金膜と、低反射性のAl−Ti−O系膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて31〜54%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。膜厚については表2に示した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、2×103Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例25と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、1×103Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
また金属酸化物膜の膜厚を5nm、10nmに変えても同様の特性の耐熱遮光フィルムを得ることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例25と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、6×103Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
Tiターゲットを用いて、金属膜と酸化物膜の成膜時のガス圧のみを1.2Paとしたこと以外は実施例1と同様の条件、構成で耐熱遮光フィルムを作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて33〜56%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜200℃の温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は、400Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.3μmであったが、耐熱試験後の密着試験では膜がわずかに剥がれた。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、高熱環境下では使用しない多くの光学系用途に利用できるものの、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材としては不適であることがわかった。
この傾向は、金属膜と酸化物膜の成膜時のガス圧を0.2、0.5Pa、0.7Pa、又は1.0Paにしても同じであり、同等の特性の耐熱遮光フィルムを得ることができた。
樹脂フィルム基材を厚みが12.5μmのポリイミドフィルムに変えた以外は実施例25と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。ポリイミドフィルムの表面粗さは実施例25と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
その結果、得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、2×103Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
またポリイミドフィルムの厚みのみを、25μm、38μmに変えても、同等の特性の耐熱遮光フィルムを得ることがわかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
酸化物膜の成膜時のスパッタガス中への酸素導入量を15〜20%と多くして透過率の高い酸化チタン膜を用い以外は実施例1と同様の条件、構成で耐熱遮光フィルムを作製した。チタン金属膜の上に形成した酸化物膜を、透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて84〜93%と高く、酸素欠損の少ない高透過率膜であることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度であった。
実施例1と同等の方法、条件で評価した結果、光学濃度は4以上、可視域の最大反射率は7%、光沢度は32%以下であった。また、耐熱性などの諸特性は実施例1と同等のものが得られていた。また、表面抵抗値は1×103Ω/□と高抵抗であるが導電性を示し、表面の算術平均高さRaは、0.4μmであることを確認した。
この耐熱遮光フィルムに対してランプ照射試験を実施した。反射鏡付の200Wの超高圧水銀ランプ(UHEランプ)から20cm離れた位置に、光源に面して5cmφの耐熱遮光フィルムを配置し、1時間光照射した時の温度上昇を、放射温度計で測定したところ、実施例30の耐熱遮光フィルムは87℃まで加熱されていた。
同様の照射試験を実施例1〜3の耐熱遮光フィルムに対して行うと190〜200℃であり、実施例30の方が光照射による温度上昇が少ないことがわかった。これは、耐熱遮光フィルムの表面を覆っている酸化物膜での熱線吸収が少なく、金属膜での熱線光が効果的に反射したことにより、温度上昇を抑えているからである。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができ、特にランプ光源の側に配置される遮光部材として特に有効に利用することができる。
金属膜を作製する際にTaターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際にFe系ターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のタンタル膜と低反射性の酸化鉄を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて33〜48%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、40Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例31と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、40Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を140nmに変えた以外は実施例31と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、100Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜を作製する際にFe系ターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際に3%Ga添加ZnOターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のFe系膜と低反射性のガリウム添加酸化亜鉛膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて46〜55%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、10Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を20nmに変えた以外は実施例34と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、5Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属酸化物膜の膜厚を240nmに変えた以外は実施例34と同様の要領で、耐熱遮光フィルムを試作した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、3Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
金属膜を作製する際にVターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際にSiCターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、遮光性のバナジウム膜と低反射性の酸化炭化シリコン膜(Si−C−O膜)を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。酸化炭化シリコン膜は高周波スパッタ法で成膜を行ったが、酸素ガスをスパッタリングガスに導入した反応性スパッタリングにより作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて44〜52%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、6×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜と低反射性の酸化物膜を作製する際に炭化チタンターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚150nmの遮光性の炭化チタン膜(Ti―C)と、膜厚55nmの低反射性の炭素を含む酸化チタン膜(酸化炭化チタン膜、Ti−C−O膜)を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。炭化チタン膜は直流スパッタリング法で成膜したが、酸化炭化チタン膜は高周波スパッタ法で酸素ガスをスパッタリングガスに導入した反応性スパッタリングにより作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて43〜51%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは125μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、炭化チタン膜、酸化炭化チタン膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率4%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、7×104Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜と低反射性の酸化物膜を作製する際に窒化チタンターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚50nmの遮光性の窒化チタン膜(Ti―N)と、膜厚80nmの低反射性の窒素を含む酸化チタン膜(酸化窒化チタン膜、Ti−N−O膜)を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。窒化チタン膜は直流スパッタリング法で成膜したが、酸化窒化チタン膜は高周波スパッタ法で酸素ガスをスパッタリングガスに導入した反応性スパッタリングにより作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて44〜55%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは50μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、窒化チタン膜、酸化窒化チタン膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、4×103Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜を作製する際にTiターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際にITOターゲット(10wt%酸化スズ添加酸化インジウムターゲット)を用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚100nmの遮光性のチタン膜と、膜厚55nmの低反射性のITO膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。チタン膜およびITO膜は直流スパッタ法で成膜し、チタン膜はスパッタガスとしてアルゴンのみを用い、ITO膜はスパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いた。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて51〜57%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは75μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、チタン膜、ITO膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、2Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜を作製する際にTiターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際に酸化スズターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚100nmの遮光性のチタン膜と、膜厚55nmの低反射性の酸化スズ膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。チタン膜および酸化スズ膜は直流スパッタ法で成膜し、チタン膜はスパッタガスとしてアルゴンのみを用い、ITO膜はスパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いた。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて51〜56%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは75μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、チタン膜、酸化スズ膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、15Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、波長1000〜1500nmにおいて5.3%以上であり、近赤外光の反射が強い特徴を有する。よって、プロジェクタのランプ光を照射したときに近赤外光を効率よく反射するため、著しい加熱を抑制することができる。
遮光性の金属膜を作製する際にTiターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際に酸化ガリウムターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚100nmの遮光性のチタン膜と、膜厚55nmの低反射性の酸化ガリウム膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。チタン膜は直流スパッタ法で成膜し、酸化ガリウム膜は高周波スパッタリングで成膜した。チタン膜はスパッタガスとしてアルゴンのみを用い、酸化ガリウム膜はスパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いた。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて48〜57%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは75μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、チタン膜、酸化ガリウム膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、79Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、波長1000〜1500nmにおいて6%以上であり、近赤外光の反射が強い特徴を有する。よって、プロジェクタのランプ光を照射したときに近赤外光を効率よく反射するため、著しい加熱を抑制することができる。
遮光性の金属膜と低反射性の酸化物膜を作製する際に炭化珪素ターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚100nmの遮光性の炭化珪素膜(Si―C膜)と、膜厚55nmの低反射性の酸化炭化珪素膜(Si−C−O膜)を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。Si―C膜、Si―C―O膜は、何れも高周波スパッタ法で成膜した。SiC膜はスパッタガスとしてアルゴンのみを用いて、金属光沢のある遮光性金属膜を形成した。また、Si−C−O膜はスパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いて、金属光沢が無く、光透過性のある低反射性の薄膜を作製した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて45〜55%と低く、酸素欠損の多い低透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは75μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、炭化珪素膜、酸化炭化珪素膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率1.5%、光沢度2%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、5×105Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
遮光性の金属膜を作製する際にTiターゲットを用いて、低反射性の酸化物膜を作製する際に酸化セリウムターゲットを用いて、実施例1と同様の要領で、膜厚100nmの遮光性のチタン膜と、膜厚55nmの低反射性の酸化セリウム膜を両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。チタン膜は直流スパッタ法で成膜し、酸化セリウム膜は高周波スパッタ法で成膜した。チタン膜はスパッタガスとしてアルゴンのみを用い、酸化セリウム膜はスパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いた。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて75〜83%と高く、酸素欠損の少ない高透過率膜であることを確認した。フィルムの厚みは75μmのものを用いたが、フィルムの種類及びフィルムのマット処理条件は実施例1と同じである。
耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、チタン膜、酸化セリウム膜が得られていることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率7%、光沢度33%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、2Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、波長1000〜1500nmにおいて5.2%以上であり、近赤外光の反射が強い特徴を有する。よって、プロジェクタのランプ光を照射したときに近赤外光を効率よく反射するため、著しい加熱を抑制することができる。
この耐熱遮光フィルムに対してランプ照射試験を実施した。反射鏡付の200Wの超高圧水銀ランプ(UHEランプ)から20cm離れた位置に、光源に面して5cmφの耐熱遮光フィルムを配置し、1時間光照射した時の温度上昇を、放射温度計で測定したところ、実施例44の耐熱遮光フィルムは87℃まで加熱されていた。
同様の照射試験を実施例1〜3の耐熱遮光フィルムに対して行うと190〜200℃であり、実施例44の方が光照射による温度上昇が少ないことがわかった。これは、耐熱遮光フィルムの表面を覆っている酸化物膜での熱線吸収が少なく、金属膜での熱線光が効果的に反射したことにより、温度上昇を抑えているからである。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができ、特にランプ光源の側に配置される遮光部材として特に有効に利用することができる。
厚み、種類、表面粗さが実施例1と同じであるポリイミドフィルムを用い、遮光性の金属膜には、ニッケル系膜/銅膜の積層膜を用い、低反射性の酸化物膜には酸化銅膜を用いて耐熱遮光フィルムを試作した。なお、ニッケル系膜はポリイミドフィルムと銅膜との密着強化膜であり、ポリイミドフィルム側に用いた。ニッケル系膜/銅膜の積層膜作製には、2wt%Tiを含有するNiターゲットとCuターゲットを用いて、低反射性の酸化銅膜を作製する際には酸化銅ターゲットを用いて、実施例と同様にスパッタリング法で成膜した。まず、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング法で膜厚2nmのニッケル系膜を形成した。その後は、実施例1と同様の要領で、ニッケル系膜上に膜厚250nmの銅膜と、膜厚50nmの低反射性の酸化銅膜を、両面に成膜して耐熱遮光フィルムを試作した。耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、チタンが2wt%含有されたニッケル膜、銅膜、酸化銅膜が得られていることを確認した。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて45〜53%と低く、遷移金属酸化物の低透過率膜であることを確認した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、10Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
Ni系の密着強化膜を挿入せずに直接ポリイミドフィルム上に銅膜を積層した以外は実施例45と同等の方法で耐熱遮光フィルムを作製した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると140〜160℃の温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度は4以上、反射率は最大で2%、光沢度は3%以下を示した。また、表面抵抗値は、10Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.4μmであることを確認した。180℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、良好であり、180℃以下の環境下では利用できることがわかった。しかし、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、膜はがれが起きて膜の密着性は非常に悪い結果であり、220℃以上の環境下での利用は実施例45のように密着強化膜の挿入が有用である。
ポリイミドフィルムのサンドブラストによる表面加工の条件を変えて遮光フィルムを作製した。すなわち、算術平均高さRaが0.1μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で、同じ膜構成の耐熱遮光フィルムを作製した。ただし、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度は実施例1と同じ4以上のものが得られたが、波長380〜780nmにおける光反射率は最大で10%、光沢度は55%を示し、実施例1と比べて反射率と光沢度の大きい耐熱遮光フィルムであった。また、表面抵抗値は、500Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.1μm未満であることを確認した。220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、反りや膜剥がれはなかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表3にまとめた。
このような反射率や光沢度の値の大きい耐熱遮光フィルムを、シャッター羽根などに用いようとしても表面反射の影響を受けるため利用は困難である。
サンドブラストによる表面加工の条件を変えて作製した算術平均高さRaが1.0μmのポリイミドフィルムを使った以外は実施例1と全く同じ条件で同じ膜構成の耐熱遮光フィルムを作製した。ただし、ポリイミドの種類、厚みは実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、反射率は1%以下で光沢度は2%以下であり、実施例2と同じものが得られたが、光学濃度は2を示し、実施例1と比べて光学濃度の少ない耐熱遮光フィルムであった。また、表面抵抗値は、500Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.9μmであることを確認した。220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、反りや膜剥がれはなかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表3にまとめた。
よって、このような光学濃度の低い耐熱遮光フィルムは、実施例と比べてかなり光を通すため、液晶プロジェクタの絞りの部材だけでなく多くの光学系遮光用途に利用できない。
Tiターゲットを用いて、樹脂フィルムとしてPETフィルムをマット処理を行わずに使用した以外は実施例1と同様の条件、構成で遮光フィルムを作製した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムは、光学濃度は3、反射率は最大で15%、光沢度は90%となり、また、表面抵抗値は、400Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.5μmであることを確認した。
しかし、表面のうねり、しわが発生していた。これは成膜中のフィルム基材の表面が軟化点以上に高温となって変形したからである。よって、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶用プロジェクタの絞りなどの羽根部材としては不適であることがわかった。
また、樹脂フィルムとしてPENフィルムやPCフィルムを使用した場合も同様な結果であった。
成膜時のフィルム基材温度が180℃未満となるよう、成膜中のフィルム基材を冷却するキャンロールの冷却温度を50℃とし、ターゲットへの投入電力を実施例1の50%とした以外は実施例1と同等の方法、構造で耐熱遮光フィルムを作製した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると140〜160℃の温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、光学濃度は4以上、反射率は最大で1%、光沢度は2%以下を示した。また、表面抵抗値は、450Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは、0.5μmであることを確認した。
また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、反りやウネリが大きく、また膜の密着性は非常に悪い結果であった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表3にまとめた。
よって、このような高温時の膜の密着性の悪い耐熱遮光フィルムは、耐熱性が要求される液晶プロジェクタの絞りの部材に利用できない。
金属膜の膜厚を30nmに変えた以外は実施例1と全く同じ条件で耐熱遮光フィルムを試作した。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
作製した耐熱遮光フィルムの評価(光学特性、耐熱性)を実施例1と同様の方法、条件で実施した。その結果、反射率、光沢度などの特性は実施例1と同等のものが得られていた。しかし、光学濃度は2であり僅かに光を透過することを確認した。また、表面抵抗値は、400Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価でも、反りや膜剥がれはなく、実施例1と同等の耐熱特性を有していることがわかった。作製した耐熱遮光フィルムの構成、特性を表3にまとめた。なお、金属膜の膜厚を40nmに変えた場合でも、同様な効果が得られることを確認している。
よって、このような光学濃度の低い耐熱遮光フィルムは、僅かに光を通すため、液晶プロジェクタの絞りの部材としては利用することができない。
酸化物膜を形成せずに金属膜のみを形成した以外は実施例1と同様の方法で耐熱遮光フィルムを作製した。実施例1と同様に金属膜のスパッタリング時、フィルムの表面温度を赤外線放射温度計で巻き取り式スパッタリング装置の石英ガラスののぞき窓から測定すると180〜220℃の温度であった。
得られた耐熱遮光フィルムは、表面の算術平均高さRaは、0.4μmであり、光学濃度は4以上であり、表面抵抗値は100Ω/□であり、十分な遮光性と導電性を有していた。しかし、最大反射率は12%、光沢度は16%と高かった。これは、表面が高反射性の金属膜であるからである。反射率が高いため、レンズユニットの光学部材として利用すると反射光が迷光となり好ましくない。
また、JIS K5600−5−4に基づいて引っかき硬度試験(鉛筆法)を行ったところ、HBレベルであった。上述の全て実施例がH以上であったことから、実施例と比べて硬度は劣ることが分かった。比較例6では表面が金属膜であるが実施例では硬度のある酸化物膜であるからである。よって、光量調整装置やシャッターの羽根材として用いると、羽根材同士が擦れて膜に傷が入り、次第に遮光性が悪化する要因となる。
また、220℃で24時間加熱試験後の膜の密着性評価では、顕著に膜剥離が観察された。これは金属膜が酸化されたためである。膜剥離が生じた後の光学濃度は3であり、摩擦係数は不良であった。
このような耐熱遮光フィルムは、常温で使用する遮光部材としても利用できず、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶用プロジェクタの絞りなどの羽根部材としても、当然ながら不適である。
厚み、種類、表面粗さが実施例1と同じであるポリイミドフィルムを用い、ガスバリア膜として膜厚20nmの酸化チタン膜を形成し、その上に遮光性の金属膜として、膜厚120nmのチタン膜を形成し、さらに低反射性の酸化物膜には酸化チタン膜を用いて耐熱遮光フィルムを試作した。これらの膜は全てTiターゲットを用いて、ガスバリア膜と最表面の酸化チタン膜は、スパッタガス中に酸素を導入した反応性スパッタ法で成膜を行い、遮光性のチタン金属膜はアルゴンのみのスパッタガス中でスパッタ成膜を行った。金属膜の上に形成した酸化物膜を透明基材上に同じ条件で成膜すると、単膜の可視域透過率が膜厚300nmにおいて45〜53%と低く、遷移金属酸化物の低透過率膜であることを確認した。耐熱遮光フィルムの各膜の組成は、断面破片に加工した断面TEM観察を行いながら、EPMAとEDXで定量分析を行い、ガスバリア膜と最表面の酸化膜はO/Ti原子数比が1.2〜1.7、遮光性の金属膜は酸素が含まれないチタン膜となっていることがわかった。
実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度となり、実施例1と同等のフィルム温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、最小反射率1.5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、10Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
また、この耐熱遮光フィルムを、85℃、90%RHで1000時間の恒温恒湿試験を行ったが、色味の変化はなかった。波長380〜780nmでの分光測定を行うと、最大反射率、最小反射率はともに変化していなかった。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、この耐熱遮光フィルムを、85℃、90%RHで1000時間の恒温恒湿試験を行ったが、反射率、色味、表面抵抗は変化無かった。
樹脂フィルム基板と金属膜の間にガスバリア膜を未挿入にした以外は実施例47と同等の方法、構造で耐熱遮光フィルムを作製した。実施例1と同様の方法でスパッタリング時のフィルムの表面温度を測定すると180〜220℃の温度であった。
得られた遮光フィルムを実施例1と同様の方法で評価すると、光学濃度4以上、波長380〜780nmでの最大反射率2%、最小反射率1.5%、光沢度3%以下の遮光フィルムが得られていることがわかった。また耐熱性についても同様に評価を行ったが、実施例1と全く同じ結果であった。また、表面抵抗値は、10Ω/□であり、表面の算術平均高さRaは0.4μmであることを確認した。
よって、このような耐熱遮光フィルムは、200℃程度の高熱環境下で使用される液晶プロジェクタの絞りなどの部材として利用することができる。
また、この耐熱遮光フィルムを、85℃、90%RHで1000時間の恒温恒湿試験を行ったところ、若干の色味の変化がみられ、黒色から暗い濃紺色へ変化した。波長380〜780nmでの分光測定を行うと、最大反射率は5%まで上昇し、最小反射率は0.2%まで低下していることがわかった。試験後の耐熱遮光フィルムの断面TEM観察およびEDXによる局所組成分析をおこなうと、金属膜の樹脂フィルム側の一部の領域に酸素が3%ほど進入していることがわかった。このように金属膜が光学特性の異なる二層構造となっていることから上述のような反射率の変化がみられたものと考えられる。
この様な色味の変化があっても最大反射率は5%以下であり、十分に利用することができるが、色味変化を嫌うような用途としては実施例47に示したようにガスバリア膜を挿入することが有用である。
実施例47において挿入したガスバリア膜として、酸化シリコン膜(膜厚30nm)のスパッタ膜に変えて、耐熱遮光フィルムを試作し、85℃、90%RHで1000時間の恒温恒湿試験を実施したところ、色味や反射率の変化はなく、ガスバリア膜として有効に機能することがわかった。ガスバリア膜を酸化タンタル(膜厚10nm)、酸化タングステン(膜厚10nm)、酸化バナジウム(膜厚30nm)、酸化モリブデン(膜厚20nm)、酸化コバルト(膜厚10nm)、酸化ニオブ(膜厚10nm)、酸化鉄(膜厚10nm)、酸化アルミニウム(膜厚30nm)、酸化ニッケル膜(膜厚5nm、30nm)とした場合も同様であった。
実施例1〜45で作製した耐熱遮光フィルムに打ち抜き加工を施し、20mm×30mmの遮光羽根を作製した。遮光羽根1枚の重量は、0.007〜0.02gとなった。遮光羽根2枚を絞り装置に搭載し、耐久試験を行った。
耐久試験では、ランプ光を照射しながら遮光羽根の作動範囲での最大及び最小の開口径となる範囲を数万回繰り返して遮光羽根を稼動し、その時の遮光羽根の耐熱性、耐摩耗性を評価した。
試験による磨耗による遮光羽根の外観変化はなく、絞り装置内に磨耗による異物の付着は見られなかった。したがって、摩擦、磨耗や騒音が小さいこと、及び樹脂フィルムを基材とすることで軽量化され、遮光羽根を駆動するモーターの駆動トルクを小さくすることができ、摺動性が良好であった。
遮光羽根を、厚みが50μmの金属製のSUS薄板に変えた以外は、実施例50と同じように遮光フィルムを打ち抜き加工し、SUS薄板を基材とした20mm×30mmの遮光羽根を作製し、実施例50と同様の評価を実施した。遮光羽根の重量は、0.2〜0.6gであり、実施例50の本発明の耐熱遮光フィルムを用いた同一形状の遮光羽根の重量と比べて重かった。
試験による磨耗による遮光羽根の外観変化はなく、絞り装置内に磨耗による異物の付着は見られなかった。しかし、遮光羽根の重量が大きいので、遮光羽根を駆動するモーターの駆動トルクが大きくなり、摺動性が悪かった。厚みが75μm、150μmの金属製のSUS薄板に変えた場合も同様であった。
2 遮光性の金属膜
3 低反射性の酸化物膜
4 巻き出しロール
5 真空ポンプ
6 真空槽
7 冷却キャンロール
8 巻き取りロール
9 マグネトロンカソード
10 ターゲット
11 隔壁
12 耐熱遮光羽根
13 ガイド孔
14 ガイドピン
15 ピン
16 基板
17 孔
18 開口部
Claims (22)
- 200℃以上の耐熱性を有する樹脂フィルム基材(A)と、樹脂フィルム基材(A)の片面もしくは両面にスパッタリング法で形成された50nm以上の膜厚を有するチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)、及び金属膜(B)上にスパッタリング法で形成された、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する低反射性の酸化物膜(C)の積層膜とからなり、かつ積層膜の表面粗さが0.1〜0.7μm(算術平均高さRa)であることを特徴とする耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)が、ポリイミド、アラミド、ポリフェニレンサルファド、又はポリエーテルサルフォンから選ばれた1種類以上の有機樹脂で構成され、その表面粗さが0.2〜0.8μm(算術平均高さRa)であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱遮光フィルム。
- 前記金属膜(B)の膜厚が50〜250nmであり、また、前記酸化物膜(C)の膜厚が5〜240nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱遮光フィルム。
- 前記積層膜の表面抵抗値が7×105Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
- 前記積層膜の光反射率が、波長380〜780nmにおいて5%以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載の耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)の両面に、金属膜(B)と酸化物膜(C)からなる積層膜が形成されており、フィルム基板を中心として対称の構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)の両面に形成される金属膜(B)同士、及び酸化物膜(C)同士は、実質的に同じ金属元素組成であることを特徴とする請求項6に記載の耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)と前記金属膜(B)の界面に、スパッタリング法で形成された金属酸化物膜がガスバリア膜(D)として介在することを特徴とする請求項1〜7に記載の耐熱遮光フィルム。
- 前記ガスバリア膜(D)が、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、モリブデン、コバルト、二オブ、鉄、アルミニウム、珪素、及びニッケルからなる群より選ばれる1種類以上の元素を主成分とする酸化物膜であることを特徴とする請求項8に記載の耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)の両面に、ガスバリア膜(D)と金属膜(B)と酸化物膜(C)からなる積層膜が形成されており、フィルム基板を中心として対称の構造であることを特徴とする請求項8又は9に記載の耐熱遮光フィルム。
- 樹脂フィルム基材(A)の両面に形成されるガスバリア膜(D)同士、金属膜(B)同士、及び酸化物膜(C)同士は、実質的に同じ金属元素組成であることを特徴とする請求項10に記載の耐熱遮光フィルム。
- 片面もしくは両面の表面粗さが0.2〜0.8μm(算術平均高さRa)の凹凸表面を有する樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、金属膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリングにより樹脂フィルム基材(A)の凹凸表面上に、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)を形成し、次に、酸化物膜形成用ターゲットを用いて、酸素ガスを導入したスパッタリングガス雰囲気下、反応性スパッタリングにより、金属膜(B)上に、チタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する酸化物膜(C)を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- スパッタリングガス圧が、0.2〜1.0Paであることを特徴とする請求項12に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- スパッタリング時の樹脂フィルム基材(A)の温度が、180℃以上であることを特徴とする請求項12〜13に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 樹脂フィルム基材(A)の片面に前記金属膜(B)及び前記酸化物膜(C)が形成された耐熱遮光フィルムを、さらに、スパッタリング装置に裏返した状態で供給し、スパッタリングによって樹脂フィルム基材(A)の表面にチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及び珪素からなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する金属膜(B)及びチタン、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン、コバルト、ニオブ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、インジウム、ガリウム及びセリウムからなる群より選ばれた1種類以上の元素を含有する酸化物膜(C)を順次形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 片面もしくは両面の表面粗さが0.2〜0.8μm(算術平均高さRa)の凹凸表面を有する樹脂フィルム基材(A)をスパッタリング装置に供給し、ガスバリア膜形成用ターゲットを用いて、スパッタリングにより樹脂フィルム基材(A)の凹凸表面上に、まずガスバリア膜(D)を形成した後、金属膜(B)及び前記酸化物膜(C)を順次形成することを特徴とする請求項12に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 前記金属膜形成用ターゲットと前記酸化物膜形成用ターゲットが同一のものであることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 前記ガスバリア膜形成用ターゲットと前記金属膜形成用ターゲットと前記酸化物膜形成用ターゲットが同一のものであることを特徴とする請求項16に記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 樹脂フィルム基材(A)が、ロール状に巻き取られてスパッタリング装置のフィルム搬送部にセットされることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 成膜中の樹脂フィルム基材が冷却されずに、成膜室内でフローティングの状態でスパッタリング成膜されることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムの製造方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムを加工して製造された耐熱性に優れた絞り。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の耐熱遮光フィルムを羽根材として用いてなる光量調整装置。
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