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JP4953922B2 - 車両用前照灯 - Google Patents

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Description

本発明は自動車等の車両の前照灯(ヘッドランプ)に関し、特にLED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を光源とする複数のランプユニットを備え、これら複数のランプユニットの全部又は選択した灯具ユニットの合成光によって所望の配光パターンを得るようにした車両用前照灯に関するものである。
近年の自動車では低消費電力のLEDを光源に用いたヘッドランプが提案されている。LEDの光量は白熱灯や放電灯に比較すると低光量であるため、特許文献1では、LEDを光源としてリフレクタやレンズを組み合わせた集光型や拡散型の複数の灯具ユニット(ランプユニット)でヘッドランプを構成し、これらのランプユニットの全部または選択した一部を点灯し、点灯したランプユニットから出射した光を合成して所望の配光パターンを得ている。特に、集光性の高いランプユニットを点灯することでランプ光軸に近い領域の光度を高めたハイビーム配光パターンを得ており、拡散性の高いランプユニットを点灯することで自車の近傍領域を広く照明するロービーム配光パターンを得ている。
また、近年ではこれらハイビーム配光パターンとロービーム配光パターンの2つの配光パターンに加えて、自動車の走行状態に適合させた配光パターンが提案されている。例えば、中高速走行時にハイビーム配光パターンでは対向車を眩惑するおそれがある場合に対向車側の光度を落として自車走路側を高い光度で照明するミドルビーム配光パターン、雨天時に自車の照明光が路面で反射して対向車を眩惑することがないように自車直前の光度を低下した雨天配光パターン、昼間走行時に自車の存在を他車に確認させるためのDRL(昼間走行:Daytime Running Lamp)配光パターン等がある。
特開2004−95480号公報
このような種々の配光パターンに対処するためには、ヘッドランプを構成している複数のランプユニットをそれぞれ異なる配光特性のランプユニットとして構成した上で、これらランプユニットの組み合わせを相違させて点灯させることが行われている。例えば、特許文献1では11個のランプユニットで1つのヘッドランプを構成し、これらのランプユニットを選択して点灯させることでハイビーム配光パターンやロービーム配光パターンを形成する構成がとられている。そのため、前記したようにハイビーム配光パターンやロービーム配光パターンに加えてミドルビーム配光パターン、雨天配光パターン、DRL配光パターン等を実現するためには異なる配光特性のランプユニットを追加する必要があり、ランプユニットの数をさらに増やすことが必要となり、ヘッドランプが大型化、高コストなものになるという問題がある。
本発明の目的は、ランプユニットを最小限の数で構成する一方で種々の配光パターンを実現し、小型で低コストな車両用前照灯を提供するものである。
本発明は、LED等の半導体発光素子を光源とした集光ユニットと拡散光ユニットを含む複数のランプユニットを備える車両用前照灯であって、複数のランプユニットの少なくとも一部を選択して点灯するとともに、選択したランプユニットの一部の光量を制御する配光制御手段を備えており、配光制御手段は選択したランプユニットを消灯状態から最大光量の範囲で光量制御し、当該制御したランプユニットを含む複数のランプユニットの合成光により所望の配光パターンを形成する。その上で、配光制御手段は拡散光ユニットの一部と集光ユニットの一部とでハイビーム用配光パターンを形成し、このハイビーム用配光パターンにおける集光ユニットの光量を状況に応じて低光量から中間光量の間で制御して昼間走行配光パターンを形成することを特徴とする。ここで、集光ユニットの光量を低光量から中間光量の間で制御することとは集光ユニットが点灯している状態での光量の制御であり、消灯して光量が0になることは含まれない。
本発明によれば、ハイビーム配光パターンやロービーム配光パターン等を形成するためにヘッドランプに装備されている複数のランプユニットの一部を選択して点灯し、同時にその光量を制御することによりハイビーム配光パターンやロービーム配光パターン以外の配光パターンを形成することができ、ランプユニット数を増大することなく、すなわちヘッドランプを大型化、高コスト化することなく多様な配光パターンのヘッドランプを構成することができる。
本発明において、配光制御手段は、拡散光ユニットと集光ユニットの光量を共に低減して昼間走行配光パターンを形成してもよい。この場合、配光制御手段は、拡散光ユニットを中間光量に制御し、集光ユニットを低光量に制御して昼間走行配光パターンを形成することが好ましい。あるいは、本発明において、車両用前照灯は集光ユニットと拡散光ユニットとの中間の拡散配光特性の中拡散光ユニットを備えており、配光制御手段は中拡散光ユニットの光量を制御してDRL配光パターンに合成する。このように、本発明においては、DRL配光パターンを形成する際には、ハイビーム配光パターンやロービーム配光パターンを形成するための複数のランプユニットの少なくとも一部の光量を制御することによりDRL配光パターンを形成することができる。
次に、本発明を自動車のヘッドランプに適用した実施例1を説明する。図1は自動車の前部の左右に配置される左右のヘッドランプのうち、左ヘッドランプLHLの模式的な正面図である。左ヘッドランプLHLはランプハウジング1内に5つのランプユニットLUが所要の配列パターンで内装されている。ここでは5つのランプユニットLUは水平方向に横一列に配列されており、自動車のセンター側である図示左側からH2ランプユニットLUH2、H1ランプユニットLUH1、L2ランプユニットLUL2、L1ランプユニットLUL1、L3ランプユニットLUL3で構成される。H1及びH2の各ランプユニットLUH1,LUH2は主にハイビーム配光パターンを構成するためのランプユニットであり、L1,L2,L3の各ランプユニットLUL1,LUL2,LUL3は主にロービーム配光パターンを構成するためのランプユニットである。後述するようにこれら5つのランプユニットLUはいずれも白色光を発光するLEDを光源としており、各LEDで発光された光をリフレクタで反射し、レンズで集光し、又はそのまま照射することによってそれぞれ集光型或いは拡散型の配光特性のランプユニットとして構成されている。ここでは、前記5つのランプユニットのうち、H1ランプユニットLUH1とL1ランプユニットLUL1とL2ランプユニットLUL2は拡散型ランプユニットとして構成され、H2ランプユニットLUH2とL3ランプユニットLUL3は集光型ランプユニットとして構成されている。
図2(a)は集光型ランプユニットとしてH2ランプユニットLUH2で代表して示す図1のA−A線に沿う概略断面図である。L3ランプユニットLUL3についても略同じである。前記左ヘッドランプLHLのランプボディ2と透明な前面カバー3で構成された前記ランプハウジング1内に内装支持されたベース体11を有し、このベース体11には回転楕円の一部で構成される楕円面リフレクタ12と集光レンズ13とが支持されており、楕円面リフレクタ12の第1焦点位置に相当する位置のベース体11にLED14が配設されている。LED14から出射された光を楕円面リフレクタ12で反射して第2焦点位置に集光し、第2焦点位置に集光されてここから拡散されようとする光を集光レンズ13で集光して照射することで集光型の配光特性を得ている。ここで、H2及びL3の各ランプユニットLUH2,LUL3においては楕円面リフレクタ12の形状を相違させ、あるいは第2焦点位置に適宜なシェードを配置することで、図3(b),(e)にそれぞれ符号PH2,PL3で示すように異なる配光特性に設定している。なお、図3において、Hはヘッドランプの光軸を通る水平線、Vは同じく垂直線である。すなわち、PH2は光軸Axを含む比較的に狭い領域を高い光度で照明する配光特性であり、PL3は水平線Hよりも下方の領域の光軸Axの近傍の狭い領域を比較的に高い光度で照明する配光特性である。なお、ここではPL3の配光特性では、L3ランプユニットLUL3の第2焦点位置にシェードを配設し、いわゆるカットラインが生じる配光特性に設定している。
図2(b)は拡散型ランプユニットとしてH1ランプユニットLUH1で代表して示す図1のB−B線に沿う概略断面図である。L1ランプユニットLUL1とL2ランプユニットLUL2についても略同じである。前記したランプボディ2と前面カバー3とで構成されるランプハウジング1内に内装支持されたベース板15と、このベース板15と一体でベース板15の下側に沿って左右方向に延長された放物柱面の一部で構成される放物柱面リフレクタ16とを備えており、この放物柱面リフレクタ16の焦点近傍位置に相当するベース板15にLED14が配置されている。LED14で発光した光は放物柱面リフレクタ15で前方に向けて反射され、前記前面カバー3を透過して上下方向では平行光束に近い状態で、左右方向には拡散光束として照射される。ここで、H1,L1,L2の各ランプユニットLUH1,LUL1,LUL2は放物柱面リフレクタ16の反射面の形状や寸法、並びにLED14の配設位置をそれぞれ適切に設定することにより、図3(a),(c),(d)にそれぞれ符号PH1,PL1,PL2で示す配光特性に設定されている。すなわち、PH1は光軸Axを含み特に水平線Hよりも上方の領域を上下・左右に広く照明する配光特性であり、PL1は水平線Hよりも下方の領域を左右に極めて広く照明する配光特性であり、PL2はPL1よりも幾分上下・左右に狭い領域を照明する配光特性である。これら拡散領域の相対的な違いにより、特にH1ランプユニットLUH1とL2ランプユニットLUL2はL1ランプユニットLUL1に比較して拡散の程度が小さいため、これらを中拡散型ランプユニットと定義する。
図4は前記ヘッドランプの配光制御を行うための電気回路の概略構成図である。前記5つのランプユニットLUはそれぞれ独立して配光制御回路PCNTに接続されている。配光制御回路PCNTは各種の配光信号が入力される処理部CPUを備えている。また、前記5つのランプユニットLUはそれぞれ各点灯・光量制御部CH1,CH2,CL1,CL2,CL3を介して車載電源+Bに接続されており、これらの点灯・光量制御部CH1,CH2,CL1,CL2,CL3は前記処理部CPUによって制御され、各ランプユニットLUの点灯・消灯を制御するとともに、点灯時における各ランプユニットLUの光量(光度)を予め設定した最小光量から最大光量の範囲で任意に制御することができるようになっている。前記配光信号は、ここでは、ハイビーム配光信号、ロービーム配光信号、ミドルビーム配光信号、雨天配光信号、DRL配光信号が運転者の手操作によって入力されるようになっている。前記処理部CPUは入力された配光信号に基づいて前記各点灯・光量制御部CH1,CH2,CL1,CL2,CL3を個別に制御する。ここで、図5は前記処理部CPUにおける各点灯・光量制御部のマトリクス動作を示す表である。図5の左欄は各ランプユニットLUであり、上欄は配光パターンであり、○は各ランプユニットが予め設定されている全光量で点灯し、△は光量が若干ないし中間程度の光量に制御された状態で点灯し、▲は光量が中間程度よりも少ない低光量に制御された状態で点灯し、×は点灯しない(消灯)を示している。
以上の構成のヘッドランプの配光制御について図5を参照しながら各配光パターン毎に説明する。なお、図6〜図8において各配光パターンを点描しているが、便宜的にこの点描の密度で照明の明るさ(光度)の程度を示している。
(ハイビーム配光パターン)
点灯制御回路PCNTにハイビーム配光信号が入力されると、処理部CPUはH1点灯・光量制御部CH1とH2点灯・光量制御部CH2をオン状態とし、他のL1〜L3点灯・光量制御部CL1,CL2,CL3をオフ状態とする。このとき、H1とH2の各点灯・光量制御部CH1,CH2は光量を全光量、すなわち最大光量に制御する。これにより、H1ランプユニットLUH1とH2ランプユニットLUH2のみがそれぞれ全光量で点灯し、H1ランプユニットLUH1からの中拡散光とH2ランプユニットLUH2からの集光が合成されて照射される。図6(a)はその配光パターンを示しており、H2ランプユニットLUH2のPH2配光特性により水平線Hの上下領域で光軸Axの近傍の狭い領域を照明し、H1ランプユニットLUH1のPH1配光特性により水平線の上下領域で光軸Axを含む中程度に広い領域を照明し、これらが合成されることで自車の前方の特に光軸に沿った領域を照明し、ハイビーム配光パターンが形成される。
(ロービーム配光パターン)
点灯制御回路PCNTにロービーム配光信号が入力されると、処理部CPUはL1点灯・光量制御部CL1とL2点灯・光量制御部CL2とL3点灯・光量制御CL3をオン状態とし、他のH1及びH2点灯・光量制御部CH1,CH2をオフ状態とする。また、同時にL1ないしL3の各点灯・光量制御部CL1,CL2,CL3の光量を全光量に制御する。これにより、L1ランプユニットLUL1とL2ランプユニットLUL2とL3ランプユニットLUL3のみがそれぞれ全光量で点灯し、これらのランプユニットLUL1,LUL2,LUL3から出射される拡散光、中拡散光、集光が合成されて照射される。図6(b)はその配光パターンを示しており、L3ランプユニットLUL3のPL3配光特性により水平線Hの下領域で光軸Axの近傍の狭い領域を照明し、L2ランプユニットLUL2のPL2配光特性により水平線の下領域の中程度の広い領域を照明し、L1ランプユニットLUL1のPL1配光特性により水平線の下領域の広い領域を照明し、これらが合成されることで自車の前方の広い領域を照明し、ロービーム配光パターンが形成される。
(ミドルビーム配光パターン)
点灯制御回路PCNTにミドルビーム配光信号が入力されると、処理部CPUはH2点灯・光量制御部CH2とL2点灯・光量制御部CL2をオン状態とし、他のH1とL1とL3の各点灯・光量制御部CH1,CL1,CL3をオフ状態とする。また、H2点灯・光量制御部CH2の光量を全光量よりも少ない光量、例えば中間光量に制御し、L2点灯・光量制御部CL2の光量を全光量に制御する。これにより、H2ランプユニットLUH2とL2ランプユニットLUL2のみがそれぞれ点灯し、H2ランプユニットLUH2からの集光とL2ランプユニットLUL2からの中拡散光が合成されて照射される。図7(a)はその配光パターンを示しており、H2ランプユニットLUH2のPH2配光特性により水平線Hの上下領域で光軸Axの近傍の狭い領域を照明し、L2ランプユニットLUL2のPL2配光特性により水平線の上下領域で光軸Axを含む中程度の広い領域を照明し、これらが合成されることで自車の前方の特に光軸に沿った領域を照明する。この配光パターンでは自車の前方から光軸Axに沿った領域を照明するが、PH2配光特性の光量が中間光量に制御されているため、対向車を含めた他車を眩惑することがなく、中速走行に適したミドルビーム配光パターンが形成される。
(雨天配光パターン)
点灯制御回路PCNTに雨天配光信号が入力されると、処理部CPUはL1点灯・光量制御部CL1とL2点灯・光量制御回路CL2とL3点灯・光量制御部CL3をオン状態とし、他のH1とH2の各点灯・光量制御部CH1,CH2をオフ状態とする。また、同時にL2点灯・光量制御部CL2の光量を中間光量に制御し、L1及びL3の点灯・光量制御部CL1,CL3は全光量に制御する。これにより、L1ランプユニットLUL1とL2ランプユニットLUL2とL3ランプユニットLUL3のみがそれぞれ点灯し、これらL1ないしL3ランプユニットLUL1〜LUL3からの拡散光、中拡散光、集光が合成されて照射される。図7(b)はその配光パターンを示しており、この配光パターンは基本的にはロービーム配光パターンと同じであるが、L2ランプユニットLUL2のPL2配光特性が中間光量に制御されているため、自車の直前領域の光量をロービーム配光パターンよりも低減し、雨天時に路面で前方に向けて反射する光の光量を低減し、対向車を含めた他車を眩惑することがなく、雨天走行に適した雨天配光パターンが形成される。
(DRL配光パターン1)
点灯制御回路PCNTにDRL配光信号(DRL1配光信号)が入力されると、処理部CPUはH1点灯・光量制御部CH1とH2点灯・光量制御部CH2をオン状態とし、他のL1とL2とL3の各点灯・光量制御部CL1,CL2,CL3をオフ状態とする。また、同時にH1点灯・光量制御部CH1の光量を全光量よりも少ない光量、例えば中間光量に制御し、さらにH2点灯・光量制御部CH2の光量をH1点灯・光量制御部CH1の光量、すなわち中間光量よりも少ない光量、ここでは低光量と称する光量に制御する。これにより、H1ランプユニットLUH1が中間光量で点灯し、H2ランプユニットLUH2が低光量で点灯し、H1ランプユニットLUH1からの拡散光とH2ランプユニットLUH2からの集光が合成されて照射される。図8(a)はその配光パターンを示している。基本的な配光は図6(a)に示したハイビーム配光パターンと同じであるが、H1ランプユニットLUH1のPH1配光特性により水平線Hの上下領域で光軸Axを含む広い領域を中間光量で照明し、H2ランプユニットLUH2のPH2配光特性により光軸Axの近傍の狭い領域を低光量で照明し、特にこの光軸Axを含む狭い領域では両配光の光量が重畳される。これにより、ハイビーム配光パターンと同じ領域をそれよりも低い光度で照明することにより、対向車を含む他車から自車を認知させ易くなる一方で、対向車を含む他車をいたずらに眩惑することがないDRL配光パターン1が形成される。
また、実施例1においては、DRL配光パターンは次の(DRL配光パターン2)の配光パターンとしてもよい。
(DRL配光パターン2)
点灯制御回路PCNTにDRL2配光信号が入力されると、処理部CPUはH1点灯・光量制御部CH1とH2点灯・光量制御部CH2とL2点灯・光量制御部CL2をオン状態とし、他のL1とL3の各点灯・光量制御部CL1,CL3をオフ状態とする。ここで、H1点灯・光量制御部CH1とH2点灯・光量制御部CH2の光量はDRL配光パターン1と同じであり、すなわちH1点灯・光量制御部CH1は中間光量、H2点灯・光量制御部CH2は低光量である。また、L2点灯・光量制御部CL2は中間光量に制御する。これにより、H1ランプユニットLUH1が中間光量で点灯し、H2ランプユニットLUH2が低光量で点灯し、L2ランプユニットLUL2が中間光量で点灯し、これらが合成されて照射される。図8(b)はその配光パターンを示しており、DRL配光パターン1に水平線Hよりも下側の若干広い領域の配光特性であるL2ランプユニットLUL2の配光特性PL2が加えられることで、自車に近い対向車を含む他車からの認知性を高めることが可能なDRL配光パターン2が形成される。
さらに、実施例1においては、次のDRL配光パターン3としてもよい。これはDRL配光パターン1の配光パターンと基本的に同じであるが光量を相違させたものである。
(DRL配光パターン3)
ここでは、H1点灯・光量制御部CH1の光量を全光量に制御し、H2点灯・光量制御部CH2の光量を中間光量ないしそれよりも少ない低光量に制御する。これにより、H1ランプユニットLUH1が全光量で点灯し、H2ランプユニットLUH2が中間光量で点灯し、H1ランプユニットLUH1からの拡散光とH2ランプユニットLUH2からの集光が合成されて照射される。図8(c)はその配光パターンを示している。基本的な配光は図8(a)のDRL配光パターン1と同じであるが、H1ランプユニットLUH1のPH1配光特性により水平線Hの上下領域で光軸Axを含む広い領域を全光量で照明し、H2ランプユニットLUH2のPH2配光特性により光軸Axを含む狭い領域を照明し、特にこのPH2配光特性の領域では両配光が重畳される。これにより、ハイビーム配光パターンの照明領域と同じ領域について、周辺領域では同じ光度で、また光軸Axの近傍領域はそれよりも低い光度で照明することになり、この配光特性により自車を他車から認知させ易くなる一方で、対向車を含む他車をいたずらに眩惑することがないDRL配光パターン3が形成される。
ここで、前記各DRL配光パターン1,2,3については、運転者によって任意に選択して切り替えることが可能である。このようなDRL配光パターン1,2,3での照明を行うことで好適なDRLでの走行が可能になる。すなわち、従来では独立したDRL配光パターンを備えていないヘッドランプでDRL照明を行う際には、ヘッドランプをロービーム配光パターンで点灯してこれをDRLの代替照明として照明を行っているが、これでは水平線よりも下領域のみの配光であるため対向車における認知度が低く、DRLの目的を十分に達成することは困難である。一方、ハイビーム配光パターンでの点灯によりDRLの代替照明を行った場合には、水平線よりも上領域の配光の光量が大きいため昼間でも他車を眩惑してしまう。この実施例1のDRL配光パターン1のように、ハイビーム配光パターンの光軸Axを含むPH2配光特性の光量を低光量に制御すると同時に光軸Axの周辺領域のPH1配光特性の光量を中間光量に制御することにより、他車を眩惑することがない一方で他車に対する認知度の高いDRL配光パターンが実現できる。この場合、ハイビーム配光パターン2のように、光軸近傍から中程度に広い領域を照明するPL2配光特性の中拡散光を合成することで、自車の近くに存在する対向車や他車に対する認知度を高めることも可能になる。さらに、DRL配光パターン3にすることで光軸Axの周辺領域のPH1配光特性の光量はハイビーム配光パターンと同じ光量であるので認知度を更に高めることができる。
このように実施例1のヘッドランプでは、ハイビーム配光パターン及びロービーム配光パターンの他に、ミドルビーム配光パターン、雨天走行配光パターン、並びにDRL配光パターンを形成する場合でも、既存のハイビーム配光パターンとロービーム配光パターンを形成するために用いられていた複数のランプユニットの一部或いは全部を選択し、その選択した一部あるいは選択した前部のランプユニットの光量を適宜に調整することで、任意の配光パターンを形成することができ、特に、DRL配光パターンでは他車を眩惑することがない一方で認知度の高い好適なDRL配光パターンが実現できる。そのため、既存のヘッドランプの配光パターンに新たにDRL配光パターンを備えさせる場合でもヘッドランプを構成しているランプユニットの数を増大する必要はなく、ヘッドランプが大型化することが回避でき、同時にランプユニットの増大に伴うコスト高が回避できる。
なお、DRL配光パターンは、前記5つのランプユニットの光量を適宜に制御することで前記したDRL配光パターン1,2,3以外の配光パターンとして構成することも可能である。この場合、実施例1のヘッドランプでは、ハイビーム配光パターンでは隣接するH1及びH2ランプユニットが点灯し、ロービーム配光パターンと雨天配光パターンでは隣接するL1〜L3ランプが点灯し、DRL配光パターン1,3では隣接するH1及びH2ランプユニットが点灯し、DRL配光パターン2では隣接するH1,H2,L2ランプユニットが点灯するので、これら隣接して点灯するランプユニットが1つのランプユニットが点灯した場合と同じ外観を呈することになり、ヘッドランプの見栄えを向上する上でも有利である。
また、本発明では配光制御回路により、5つのランプユニットの点灯・消灯及び光量制御を行うことにより、実施例1で説明した各配光パターンとは異なる配光パターンを新たに形成することも可能であり、その場合でもヘッドランプのランプユニットの個数を増大することはなく、ヘッドランプの小型化、低コストを実現することができる。なお、本発明は実施例1のように5つのランプユニットで構成されるヘッドランプに限定されるものでないことは言うまでもない。
本発明にかかるヘッドランプの概略正面図である。 図1のA−A線、B−B線に沿う概略断面図である。 各ランプユニットの配光特性を示す図である。 本発明の電気系統の概略構成図である。 配光パターンとランプユニットの点灯制御を示す表である。 ハイビームとロービムの各配光パターンの図である。 ミドルビームと雨天走行の各配光パターンの図である。 DRLの異なる配光パターン1〜3の図である。
符号の説明
LHL 左ヘッドランプ
LU ランプユニット
LUH1,LUL1,LUL2 拡散型ランプユニット
LUH2,LUL3 集光型ランプユニット
PH1,PH2,PL1,PL2,PL3 配光特性
PCNT 配光制御回路
CPU 処理部
CH1,CH2,CL1,CL2,CL3 点灯・光量制御部
1 ランプハウジング
11 ベース体
12 楕円面リフレクタ
13 集光レンズ
14 LED
15 ベース板
16 放物柱面リフレクタ

Claims (4)

  1. 半導体発光素子を光源とした集光ユニットと拡散光ユニットを含む複数の灯具ユニットと、前記複数の灯具ユニットの少なくとも一部を選択して点灯するとともに、選択した灯具ユニットの一部の光量を制御する配光制御手段を備え、前記配光制御手段は前記選択した灯具ユニットを消灯状態から最大光量の範囲で光量制御し、当該制御した灯具ユニットを含む複数の灯具ユニットの合成光により所望の配光パターンを形成する車両用前照灯であって、前記配光制御手段は前記拡散光ユニットの一部と前記集光ユニットの一部とでハイビーム用配光パターンを形成し、このハイビーム用配光パターンにおける前記集光ユニットの光量を状況に応じて低光量から中間光量の間で制御して昼間走行配光パターンを形成することを特徴とする車両用前照灯。
  2. 前記配光制御手段は、前記拡散光ユニットと前記集光ユニットの光量を共に低減して昼間走行配光パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
  3. 前記配光制御手段は、前記拡散光ユニットを中間光量に制御し、前記集光ユニットを低光量に制御して昼間走行配光パターンを形成することを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
  4. 前記車両用前照灯は前記集光ユニットと前記拡散光ユニットとの中間の拡散配光特性を有する中拡散光ユニットを備え、前記配光制御手段は前記中拡散光ユニットの光量を制御して前記昼間走行配光パターンに合成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用前照灯。
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