以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置としての複合機(MFP;Multi Function Peripheral/Multi Function Printer)20と端末10とを備えた印刷システム5のシステム構成例を示している。印刷システム5は、任意台数の端末10と、各端末10からアクセスされる任意台数の複合機20とをLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に接続して構成される。
複合機20は、原稿を読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末10やサーバなどへ転送したりするスキャン機能、端末10から受信した印刷ジョブに含まれている印刷データに基づいてラスタライズして得た画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、公衆回線網を通じて外部機器と画像(画像データ)をファクシミリで送受信するファクシミリ機能(FAX機能)などを備えている。
印刷出力を行うコピー機能およびプリンタ機能には、出力モードとして、印刷を行う記録紙のサイズを指定する紙サイズモード、印刷方向を縦方向または横方向に指定する印刷方向モード、印刷面を片面または両面に指定する片面/両面印刷モード、複数ページを1ページに集約する印刷を指定する集約印刷モード(Nin1モード)、印刷色をモノクロまたはカラーに指定するモノクロ/カラーモード、印刷の解像度を指定する印刷解像度モード、印刷の部数を指定する印刷部数モードなどが設けられている。
また複合機20は、端末10から受信した印刷ジョブに設定されている出力モードが推奨出力モードでない場合に、印刷ジョブの送信元の端末10を使用するユーザ(印刷ジョブの出力モードを設定したユーザ)に推奨出力モードへの設定変更を確認して承認された場合はその設定変更を行う機能を備えている。
印刷ジョブ(印刷要求)は、1つまたは複数の印刷データと一連の処理命令などで構成される。一連の処理命令には、上述した各種の出力モードによって指示される各々の処理命令が含まれる。
推奨出力モードとは、管理者がユーザに使用を勧める出力モードである。この推奨出力モードは、本実施の形態では複合機20による印刷出力において経費の節約に寄与する出力モード(節約出力モード)となっている。具体的には、印刷枚数を少なくして記録紙や印刷剤(トナー)の使用量を低減することができる両面印刷モードおよび集約印刷モード(2in1モード)、印刷色数を少なくして印刷剤(カラートナー)の使用量を低減することができるモノクロモードなどである。これらの節約出力モードは、詳細については後述する複合機20内の「節約出力モードリスト」に予め登録されており、このリストからユーザに使用を勧めるために選択されることで推奨出力モードとなる。
端末10は、複合機20に対してネットワーク2を通じてアクセスし、印刷など各種作業の依頼や操作の依頼などを行う装置(端末装置)であり、たとえば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)に複合機20のドライバプログラム(印刷ドライバ)などを組み込んで構成される。
図2は、端末10における制御系の構成をブロック図で示している。端末10は、オペレーティングシステム(Operating System;OS)とそのOS上で動作する各種のアプリケーションプログラムを搭載しており、アプリケーションプログラムによってドキュメント(ファイル)などを作成する機能、ドキュメントなどの印刷を行う際にドライバプログラムによって出力モードの設定を受け付け、その出力モードを設定した印刷ジョブを生成しネットワーク2を通じて複合機20に送信する機能を備えている。また、ユーザID(Identification)およびパスワードの入力を受け付けてユーザを認証するユーザ認証機能(ログイン機能)を備えている。
端末10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)15と、表示部16と、操作部17と、ネットワーク通信部18とを接続して構成される。
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに基づいて端末10の動作を制御する。RAM14はCPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。ハードディスク装置15は、OSやアプリケーションプログラムのほか、複合機20のドライバプログラム40、ユーザの認証情報となるユーザIDおよびパスワード、ドキュメントや各種の保存データなどを格納する。
表示部16は液晶ディスプレイなどの表示装置で構成されており、OS、アプリケーションプログラム、ドライバプログラム40の操作や設定などを行うための画面、および画像や映像などを表示する。操作部17はキーボードやマウスなどの入力装置で構成されており、ユーザが端末10に対して行う操作や入力を受け付ける。ネットワーク通信部18は、ネットワーク2を通じて複合機20と通信する機能を果たす。
端末10から複合機20への印刷の依頼は、端末10にログインしたユーザが表示部16および操作部17を通して所望のドキュメントなどの印刷を指示することにより行われる。また、印刷を指示する際には必要に応じて出力モードの設定が行われる。
ユーザにより出力モードの設定を含む印刷の指示が行われると、端末10のドライバプログラム40は、印刷を指示されたドキュメントなどの印刷データを含む印刷ジョブを生成し複合機20に送信して印刷を依頼する。またドライバプログラム40は、印刷ジョブのヘッダに、端末10に関する情報(端末情報)と、ユーザIDと、上記ドキュメントなどの属性情報と、設定された出力モードを示す出力モード情報などを付加して複合機20に送信する。
印刷ジョブに付加される端末情報は、たとえば、端末10のID(Identification)やネットワーク2上におけるIP(Internet Protocol)アドレスなどの情報である。属性情報は、印刷を指示するドキュメントなどの名称(ファイル名)、ページ数、印刷データのサイズなどである。出力モード情報は、印刷を行う記録紙のサイズ(A4/A3など)、印刷方向(縦方向/横方向)、片面印刷/両面印刷、集約印刷(1in1/2in1/4in1など)、モノクロ/カラー、解像度、印刷部数などの出力モードを示す情報である。
図3は、複合機20における制御系の構成をブロック図で示している。複合機20は、制御部としてのCPU21に、バス22を介してROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置26(HDD)と、操作表示部27と、スキャナ部28と、画像処理部29と、プリンタ部30(印刷部)と、ファクシミリ通信部31と、ネットワーク通信部32とを接続して構成される。
CPU21は、ROM23に格納されているプログラムに基づいて複合機20の動作を制御する。RAM24はCPU21がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。
不揮発メモリ25は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報、前述した節約出力モードリストなどが記憶される。ハードディスク装置26は、各種の保存データやユーザの印刷履歴などを格納するほか、原稿のスキャンやコピーにおいて原稿を読み取って取得された画像データ、端末10から依頼された印刷ジョブに含まれている印刷データ(画像データ)なども保存する。
ユーザの印刷履歴は、複合機20が各端末10から依頼を受けた印刷ジョブに関する情報が、印刷ジョブに付加されているユーザID(または端末ID)に対応付けられて記憶され、そのユーザID(または端末ID)に基づいてユーザ毎に識別できるように保存・管理されるデータベースである。印刷ジョブに関する情報は、たとえば、印刷ジョブの受信時に発行されるジョブID、受信日時、状態(実行済/エラー終了)、実行日時、印刷ジョブに付加されている前述した属性情報や出力モード情報などである。
操作表示部27は、操作画面、設定画面、情報の入力画面や登録画面などの各種の画面を表示する表示部としての機能と、複合機10の機能に係る操作、設定、情報の入力や登録などの各種の手動操作を受け付ける操作部としての機能とを果たす。操作表示部27は、液晶ディスプレイと、その表面を覆うタッチパネルと、その他のボタン類とを備えている。また、操作表示部27にはハードディスク装置26に格納されているユーザの印刷履歴(印刷履歴情報)を用いて、各ユーザから依頼された(各端末10から受信した)印刷ジョブの履歴一覧を示す印刷ジョブ履歴画面も表示される。
スキャナ部28は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。たとえば、原稿を照射する光源と、原稿をその幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に移動させる移動機構と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーからなる光学経路などを備えている。ラインイメージセンサはCCD(Charge Coupled Device)で構成される。ラインイメージセンサが出力するアナログ画像信号はA/D(Analog to Digital)変換され、デジタルの画像データとして出力される。
画像処理部29は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す機能を果たす。また、端末10から受信した印刷データ(ベクタ形式の印刷データ)に対してラスタライズ処理を施す機能を果たす。
プリンタ部30は、入力された画像データに対応する画像を電子写真プロセスにより記録紙に形成して出力する機能を果たす。たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
ファクシミリ通信部31は、ファクシミリ機能を備えた外部機器と公衆回線網を通じて通信する機能を果たす。ネットワーク通信部32は、ネットワーク2を通じて端末10と通信する機能を果たす。
CPU21はプログラムを実行することで、端末10から受信した印刷ジョブに設定されている出力モードが節約出力モードでない場合に、印刷ジョブの送信元の端末10を使用するユーザ(印刷ジョブの出力モードを設定したユーザ)に節約出力モード(推奨出力モード)への設定変更を確認して承認された場合はその設定変更を行う機能を果たす。また、印刷ジョブの内容が所定の不適条件を満足する場合はその不適条件に対応する節約出力モードを上記の設定変更を確認する対象から除外する機能を果たす。また、ユーザの印刷履歴を参照して複数種類の節約出力モードの中から上記の設定変更を確認する節約出力モード(推奨出力モード)を選択する機能を果たす。
また、複合機20は予め複数種類の節約出力モードが登録されていて、印刷ジョブに設定された出力モードと比較する節約出力モードがその複数種類の中から選択可能であり、この選択および設定は管理者モードなどで行われるようになっている。予め登録されている複数種類の節約出力モードは、前述したように、印刷の経費節約に寄与する両面印刷モード、集約印刷モード(2in1モード)、モノクロモードなどである。
端末10では、複合機20から印刷ジョブの出力モードを推奨出力モード(節約出力モード)に設定変更する確認を受けた場合に、ドライバプログラム40がユーザから承認または非承認の操作や、設定変更を確認する推奨出力モードが複数種類ある場合にはその複数種類の中から設定変更を承認する推奨出力モードを選択する操作を受け付けて、その結果を複合機20に返信する機能を果たす。
図4は、複合機20の不揮発メモリ25に記憶されている節約出力モードリスト50の一例を示している。節約出力モードリスト50には、節約出力モードの種類(名称)と、節約出力モードへの変更対象となる出力モードの種類(名称)と、不適条件(推奨除外条件)とが予め対応付けられて登録されている。さらに、節約出力モードに対し管理者モードで無効(オフ)または有効(オン)に設定された設定情報を示す「オフ」または「オン」が対応付けられて記憶される。
本例では、節約出力モードの種類として、両面印刷モードを示す「両面」、2in1モードを示す「2in1」、モノクロモードを示す「モノクロ」などが登録されている。
不適条件は、印刷ジョブの内容に対してその節約出力モードが不適となる条件である。詳細には、その節約出力モードを使用して印刷ジョブを実行すると、印刷出力における後処理との組み合わせで印刷物に悪影響が生じたり、印刷される画像に許容できない画質低下が生じたりする可能性のある条件である。
両面印刷モードでは、印刷方向が縦方向で後処理が上綴じの片面印刷を両面印刷に変更すると、印刷物の見開き時に裏ページが上下反転して見づらくなるため、このような条件が不適条件の一例となる。2in1モードでは、2ページを1ページに集約するのに伴う印刷サイズの縮小により、ページ内の小さな画像は潰れて見づらくなる可能性があるため、このような条件が不適条件の一例となる。モノクロモードでは、フルカラー画像はモノクロ画像に変更するのに伴い大幅な情報欠損が生じて画像が極端に見づらくなる可能性があるため、このような条件が不適条件の一例となる。
両面印刷モードの変更対象出力モードとしては、片面印刷モードを示す「片面」が登録されており、不適条件としては、たとえば、印刷方向が縦方向でかつ後処理が上綴じであることを示す情報が登録されている。2in1モードの変更対象出力モードとしては、1in1モードを示す「1in1」が登録されており、不適条件としては、たとえば、印刷データ(ドキュメント)に含まれている画像のサイズが印刷を行う記録紙のサイズの50%以下であることを示す情報が登録されている。モノクロモードの変更対象出力モードとしては、カラーモードを示す「カラー」が登録されており、不適条件としては、たとえば、印刷データ(ドキュメント)にフルカラー画像(カラー写真など)が含まれていることを示す情報が登録されている。
この節約出力モードリスト50に登録される節約出力モードの種類や不適条件は、管理者モードなどで変更できるように構成してもよい。
また、節約出力モードリスト50内の全ての節約出力モードが無効に設定された場合には、経費を節約する出力モードの使用推奨は無効状態となる(経費節約モード無効状態)。節約出力モードが1つでも有効に設定された場合には、経費を節約する出力モードの使用推奨は有効状態となる(経費節約モード有効状態)。本例の節約出力モードリスト50では、両面印刷モードが無効(オフ)に設定され、2in1モードとモノクロモードが有効(オン)に設定されており、経費節約モードは有効状態となっている。
図5は、複合機20の操作表示部27(液晶ディスプレイ)に表示される推奨出力モードメニュー画面60の一例を示している。推奨出力モードメニュー画面60は、管理者モードで設定された各節約出力モードの設定状態がメニュー形式で表示される画面であり、本例の場合は図4で説明した節約出力モードリスト50に対応している。
詳細には、両面印刷モードは無効設定であるため、両面印刷モード設定表示部61は無効表示状態(図中では「白抜き」で表示)となり、片面印刷モード設定表示部62は有効表示状態(図中では「網掛け」で表示)となっている。2in1モードは有効設定であるため、2in1モード設定表示部63は有効表示状態となり、1in1モード設定表示部64は無効表示状態となっている。モノクロモードは有効設定であるため、モノクロモード設定表示部65は有効表示状態となり、カラーモード設定表示部66は無効表示状態となっている。
また、コピーにおける出力モードの設定画面では、最初に推奨出力モードメニュー画面60に対応する設定画面が表示され(初期表示状態)、複合機20でコピーを行うユーザに対して、有効表示状態となっている出力モードの使用が勧められるようになっている。ユーザは、上記の設定画面を通じてコピーに設定されている出力モード(推奨出力モード)を確認し、適宜設定変更することができる。
次に、本実施の形態に係る印刷システム5および複合機20の動作について説明する。
図6は、印刷システム5における端末10と複合機20との間で行われる印刷ジョブの設定変更に係る処理の流れ(概要)を示している。
ユーザが端末10を操作して複合機20に対する印刷の出力モード設定と指示を行うと、端末10ではドライバプログラム40がその出力モードを設定した印刷ジョブを生成して複合機20に送信する(ステップS101)。
複合機20は、端末10から印刷ジョブを受信すると(ステップS111)、節約出力モードリスト50内の節約出力モードの設定状態から経費節約モードの設定の有無を確認する(ステップS112)。節約出力モードリスト50内の全ての節約出力モードが無効設定で経費節約モードが無効状態である場合には(ステップS112;無)、受信した印刷ジョブに設定されている出力モードに従って印刷出力を行う(ステップS119)。
節約出力モードリスト50内の少なくとも1つの節約出力モードが有効設定で経費節約モードが有効状態である場合には(ステップS112;有)、節約出力モードリスト50内の節約出力モードと印刷ジョブに設定されている出力モードとを比較し、節約出力モードリスト50内にはあって印刷ジョブにはない節約出力モード(印刷ジョブで非設定の節約出力モード)の有無を確認する(ステップS113)。
上記の節約出力モードがない場合には(ステップS113;無)、すなわち、節約出力モードリスト50内の全ての節約出力モードが印刷ジョブに設定されている場合には、印刷ジョブの設定変更を行う必要がないため、印刷ジョブに設定されている出力モードに従って印刷出力を行う(ステップS119)。
上記の節約出力モードがある場合には(ステップS113;有)、印刷ジョブにはないその節約出力モードに設定変更する余地があり、その節約出力モードを対象に印刷ジョブの内容が不適条件に該当するかを確認する。
図4で説明したように、印刷ジョブの内容が、たとえば、印刷方向が縦方向でかつ後処理が上綴じに該当するか、あるいは、印刷データに画像が含まれている場合はその画像のサイズが印刷を行う記録紙のサイズの50%以下に該当するか、あるいは、その画像がフルカラーに該当するかなどを確認する(ステップS114)。
印刷ジョブの内容が不適条件に該当する場合は、その不適条件に対応する節約出力モードを除外する。
続いて、印刷ジョブを依頼したユーザの印刷履歴から、そのユーザが過去に多用している出力モードがあるかを確認し、ある場合にはその出力モードが残っている節約出力モードに該当するかを確認する(ステップS115(ユーザ情報確認))。
出力モードの多用の判断については、たとえば、当該ユーザによる最新の所定数(M)の印刷ジョブで使用された出力モード毎の使用回数(N)から各出力モードの使用率(U)を算出し、その使用率が所定値(Z)以上となる出力モードは多用していると判断する(N/M=U≧Zとなる出力モードは多用と判断)。
多用している出力モードがあってその出力モードが残りの節約出力モードに該当する場合には、その出力モード(節約出力モード)をユーザに使用を勧める推奨出力モードとして選択する。さらに、残りの節約出力モードに有効設定の節約出力モードがあれば、その節約出力モードもユーザに使用を勧める推奨出力モードとして選択する(ステップS116)。そして複合機20は、選択した推奨出力モードを端末10に送信し(ステップS117)、印刷ジョブを依頼したユーザに端末10を通じて推奨出力モードへの設定変更を確認する。
端末10では、複合機20から受信した推奨出力モードをドライバプログラム40が表示部16に表示し(ステップS102)、ユーザから推奨出力モードへの設定変更を確定(承認)する操作を受け付けると(ステップS103)、承認済みの推奨出力モードを複合機20に送信する(ステップS104)。
複合機20は、端末10から承認済みの推奨出力モードを受信すると、印刷ジョブの出力モードを推奨出力モードに設定変更し(ステップS118)、その推奨出力モードに従って印刷出力を行う(ステップS119)。
図7は、図6のステップS102で端末10の表示部16に表示される、推奨出力モードへの設定変更を確認するメッセージボックス(ダイアログボックス)70の一例を示している。
メッセージボックス70には、MFP(複合機20)は経費節約モードが設定されているため印刷ジョブの設定を変更してもよいかといった内容のメッセージ文71と、現在の設定および推奨する設定を示す設定変更内容72とが表示される。
設定変更内容72は、複合機20から受信した推奨出力モードと、その推奨出力モードに対応する現在の出力モードのみが設定変更詳細項目として表示される。さらに、チェック記号の付けられたチェックボックスが設定変更詳細項目に対応して表示される。
たとえば、ユーザによる出力モードの設定が1in1モード、片面印刷モード、モノクロモードであり、複合機20から受信した推奨出力モードが2in1モードおよび両面印刷モードである場合は、図示のように、現在の設定には1in1モードおよび片面印刷モードが表示され、推奨する設定には、1in1モードに対しては2in1モードが表示され(1段目の設定変更詳細項目)、片面印刷モードに対しては両面印刷モードが表示される(2段目の設定変更詳細項目)。さらに、これらの2つの設定変更詳細項目に対応して、チェック記号の入った2つのチェックボックス73、74が表示される。また、ユーザの設定したモノクロモードは節約出力モード(推奨出力モード)に該当するため、モノクロモードについての表示(「カラー → モノクロ」の表示)は行われない。
ユーザは、このメッセージボックス70による設定変更の内容を確定(承認)する場合には所定の確定操作を行う。設定変更を行わない項目(設定変更詳細項目)については、その項目のチェックボックスに付けられているチェック記号を外してから確定操作を行う。また、全項目のチェックボックスからチェック記号を外して確定操作を行うことも可能である。
端末10は上記の確定操作を受け付けると、チェックボックスにチェック記号が付いている項目の推奨出力モードを承認済み推奨出力モードとして複合機20に送信する(承認回答)。チェック記号の付いている項目がない場合には、承認済み推奨出力モード無しを複合機20に送信する(非承認回答)。
次に、図6で説明した印刷ジョブの設定変更における複合機20の動作を詳細に説明する。
図8は、複合機20による印刷ジョブの設定変更に係る処理の流れ(詳細)を示している。
ここでは、図6で説明したステップS115によるユーザ情報(印刷履歴)の確認からステップS116による推奨出力モードの選択までの詳細は、以下の(1)〜(3)に記載する3段階の優先度に基づいて行うようにしている。
(1)ユーザが過去に多用している節約出力モードを推奨出力モードに選択
(2)管理者が有効設定にした節約出力モードを推奨出力モードに選択
(3)上記(1)/(2)が無ければ無効設定の節約出力モードを推奨出力モードに選択
(1)では、印刷ジョブの内容が不適条件に該当する節約出力モードを除外して残った節約出力モードの中でユーザが過去に多用している出力モードに該当する節約出力モードがあれば、管理者による有効/無効設定にかかわらず、先ずその節約出力モードを優先的に推奨出力モードとして選択する。
(2)では、(1)による推奨出力モードの選択の有無にかかわらず、残っている節約出力モードの中で管理者が有効設定にした節約出力モードがあれば、その節約出力モードを推奨出力モードとして選択する。
(3)では、(1)および(2)による推奨出力モードの選択が行われなかった場合のみ、残っている無効設定の節約出力モードを推奨出力モードとして選択する。
複合機20で本処理が開始され(Start)、端末10からネットワーク2を通じて印刷ジョブを受信すると(ステップS201)、CPU21は、節約出力モードリスト50内に有効設定の節約出力モードがあるかを確認する(ステップS202)。有効設定の節約出力モードがない場合には(ステップS202;No(経費節約モード無効状態))、CPU21は印刷ジョブの設定を維持し(ステップS203)、印刷ジョブの出力モードに従ってプリンタ部30による印刷出力を実行し(ステップS204)、本処理を終了する(End)。
有効設定の節約出力モードがある場合には(ステップS202;Yes(経費節約モード有効状態))、CPU21は、節約出力モードリスト50内の全ての(有効設定および無効設定を含む)節約出力モードと、印刷ジョブに設定されている出力モードとを比較し、節約出力モードリスト50内にはあって印刷ジョブにはない節約出力モード(印刷ジョブで非設定の節約出力モード)を抽出できるか確認する(ステップS205)。
節約出力モードリスト50内の全ての節約出力モードが印刷ジョブに設定されている場合は抽出不可となり(ステップS205;No)、この場合は、CPU21は印刷ジョブの設定変更を行う必要がないと認識し、ステップS203およびステップS204を同様に行って本処理を終了する(End)。
節約出力モードリスト50内にはあって印刷ジョブにはない節約出力モードを抽出できた場合には(ステップS205;Yes)、CPU21は印刷ジョブにはないその節約出力モードに設定変更する余地があると認識し、不揮発メモリ25に記憶されている節約出力モードリスト50内から上記の抽出した節約出力モードに対応する各情報を読み出してRAM14(テンポラリメモリ)上に作成したリスト(テンポラリテーブル)にコピーする(ステップS206)。
CPU21は、このリスト内の節約出力モードを対象に、図6で説明したように、印刷ジョブの内容が不適条件に該当するかを確認する。たとえば、リスト内に2in1モードやモノクロモードがあれば、印刷データに含まれている画像を解析し、2in1モードの不適条件である画像サイズが印刷を行う記録紙のサイズの50%以下に該当するか、あるいは、モノクロモードの不適条件であるフルカラー画像に該当するかなどを確認する(ステップS207)。
印刷ジョブの内容がリスト内の節約出力モードの不適条件に該当する場合には、CPU21はその不適条件に対応する節約出力モードをリストから除外する(ステップS208)。ここで、リスト内に節約出力モードが残らなかった場合には(ステップS209;No)、CPU21はユーザに推奨する節約出力モードがなくなったと認識し、ステップS203およびステップS204を同様に行って本処理を終了する(End)。
リスト内に節約出力モードが残った場合には(ステップS209;Yes)、CPU21はユーザに推奨可能な節約出力モードがあると認識し、図6で説明したように、印刷ジョブを依頼したユーザの印刷履歴を確認し(ステップS210)、そのユーザが過去に多用している出力モードがリスト内の残っている節約出力モードに該当するか否かを判断する(ステップS211)。
該当する場合には(ステップS211;Yes)、CPU21はその該当する節約出力モードを推奨出力モードに選択する(ステップS212)。さらに、リスト内の残りの節約出力モードに有効設定の節約出力モードがある場合には(ステップS213;Yes)、CPU21はその有効設定の節約出力モードも推奨出力モードに選択する(ステップS214)。続いてCPU21は、推奨出力モードを印刷ジョブの送信元の端末10に送信し、印刷ジョブを依頼したユーザに端末10を通じて推奨出力モードへの設定変更を確認する(ステップS215)。
また、リスト内の残りの節約出力モードに有効設定の節約出力モードがない場合には(ステップS213;No)、CPU21は、ステップS212で選択した推奨出力モード(ユーザが過去に多用している出力モードに該当する節約出力モード)を印刷ジョブの送信元の端末10に送信し、同様の確認を行う(ステップS215)。
一方、ユーザの多用している出力モードがリスト内の残っている節約出力モードに該当しない場合には(ステップS211;No)、CPU21はリスト内の残りの節約出力モードに有効設定の節約出力モードがあるかを確認する(ステップS216)。有効設定の節約出力モードがある場合には(ステップS216;Yes)、CPU21はその有効設定の節約出力モードを推奨出力モードに選択し(ステップS214)、推奨出力モードを印刷ジョブの送信元の端末10に送信して同様の確認を行う(ステップS215)。
有効設定の節約出力モードがない場合には(ステップS216;No)、リスト内には無効設定の節約出力モードが残っていることになる。CPU21は、リスト内に残っているその無効設定の節約出力モードを推奨出力モードに選択し(ステップS217)、推奨出力モードを印刷ジョブの送信元の端末10に送信して同様の確認を行う(ステップS215)。
端末10から推奨出力モードへの設定変更に対する回答を受信すると(ステップS218)、CPU21はその回答から設定変更が承認されたか否かを確認する(ステップS219)。
前述したように、端末10から承認済み推奨出力モード無しの回答を受信した場合には、CPU21は設定変更が承認されなかったと判断し(ステップS219;No)、ステップS203およびステップS204を同様に行って本処理を終了する(End)。
端末10から承認済み推奨出力モードを受信した場合には、CPU21は設定変更が承認されたと判断する(ステップS219;Yes)。そして、印刷ジョブに設定されている出力モードのうち、端末10から受信した承認済み推奨出力モードに対応する出力モードのみをその推奨出力モードに設定変更し(ステップS220)、変更後の設定内容で当該印刷ジョブに対するプリンタ部30による印刷出力を実行し(ステップS204)、本処理を終了する(End)。
このように、本実施の形態に係る複合機20は、端末10から受信した印刷ジョブを推奨出力モードに設定変更することができる。詳細には、上述したように、端末10で印刷ジョブの設定を行ったユーザに対し端末10を通じて推奨出力モード(印刷の経費節約に寄与する出力モード)に設定変更することを勧め、承認された場合に設定変更を行う。
また複合機20は、節約出力モードリスト50内の複数種類の節約出力モードの中から有効/無効の設定切り替えによってユーザに設定変更を勧める推奨出力モードを選択することができる。これにより、管理者が推奨出力モードを予め決定して設定する際に、選択肢が広がって利便性が向上する。
本実施形態のように経費の節約を目的とする場合は、節約効果の高い出力モードを選択するようなことも可能となる。たとえば、2ページを1枚の記録紙に印刷する両面印刷モードおよび2in1モードでは両面印刷モードよりもトナー使用量の少ない2in1モードを選択したり、1枚当たりの印刷単価が特に高いカラー印刷はあまり使用させないようにするためモノクロモードを選択したりするなどが可能である(図4および図5参照)。また、印刷サイズが縮小されると画質の低下が許容できなくなる印刷が多数行われるような環境であれば、2in1モードではなく両面印刷モードを選択することも可能である。
また複合機20では、印刷ジョブの内容に不適条件が該当する出力モードは、ユーザに設定変更を確認する対象(推奨対象)から除外される。図4に示す節約出力モードリスト50で説明したように、両面印刷モードの場合は、印刷方向が縦方向で後処理が上綴じの片面印刷を両面印刷に変更すると、印刷物の見開き時に裏ページが上下反転して見づらくなるため、このような印刷方向および後処理が設定された印刷ジョブに対しては推奨対象から除外される。2in1モードの場合は、2ページを1ページに集約するのに伴う印刷サイズの縮小により、ページ内の小さな画像は潰れて見づらくなる可能性があるため、ページ内に小さい画像(たとえば、印刷を行う記録紙サイズの50%以下のサイズの画像)を含む印刷ジョブに対しては推奨対象から除外される。モノクロモードの場合は、フルカラー画像はモノクロ画像に変更するのに伴い大幅な情報欠損が生じて画像が極端に見づらくなる可能性があるため、フルカラー画像を含む印刷ジョブに対しては推奨対象から除外される。
このように、印刷ジョブの内容に対して不適な出力モードは予め推奨対象から除外することにより、上記のような不具合の発生を回避することができる。
また複合機20は、ユーザの印刷履歴を参照することで、ユーザが過去に多用していた出力モードに該当する節約出力モードがリスト内にあればその節約出力モードを推奨出力モードに選択する。これにより、ユーザにとってより適した推奨出力モードへの設定変更を勧められるようになる。
また端末10は、複合機20から設定変更の確認を受けた推奨出力モードが複数種類ある場合には、その複数種類の中から設定変更を承認する推奨出力モードが選択可能である。すなわち、複数種類の中から選択した推奨出力モードに対してのみ(一部の推奨出力モードに対してのみ)設定変更を承認することができる。これにより、複数種類の推奨出力モードに対する設定変更を承認する上での自由度が増して利便性が向上する。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、上述した実施の形態では、推奨出力モードは複合機20による印刷出力での経費節約に寄与する出力モード(節約出力モード)を例に説明したが、この推奨出力モードは経費節約以外の条件で決めるようにしてもよい。すなわち、管理者が経費節約以外の条件で任意に決めたユーザに使用を勧める出力モードを複合機20に予め設定しておくことができる。
経費節約に寄与する出力モードとしては、実施の形態で説明した両面印刷モード、2in1モード(集約印刷モード)、モノクロモードの他に、印刷画像の濃度を低下させてトナー使用量を抑制する印刷濃度低下モード(トナーセーブモード)や、印刷速度を低下させて消費電力量を抑制する印刷速度低下モードなどを用いるようにしてもよい。
また、実施の形態で説明した両面印刷モード、2in1モード、モノクロモードにおける不適条件は一例であり、他の不適条件を用いてもよい。たとえば、2in1モードでは、ページ内に小さい画像(たとえば、印刷を行う記録紙サイズの50%以下のサイズの画像)を含む印刷ジョブを不適条件としているが、ページ内に小さい文字(たとえば、最小フォントサイズがXポイント以下の文字)を含む印刷ジョブを不適条件とする、あるいは、この文字と上記画像の不適条件を併用するなどしてもよい。
また、全ての種類の節約出力モード(推奨出力モード)に不適条件を設定するのではなく、任意に決めた節約出力モードのみに不適条件を設定するようにしてもよい。たとえば、実施の形態で説明した3種類の節約出力モードにおいては、2in1モードのみに不適条件を設定し、両面印刷モードおよびモノクロモードには不適条件を設定しないなどしてもよい。
また、図7に示した複合機20による処理の内容は、実施の形態で説明したものに限らない。たとえば、実施の形態ではステップS209の肯定判定以降に、リスト内に残っている節約出力モードの中に、印刷ジョブを依頼したユーザが過去に多用している出力モードに該当する節約出力モードがなく(ステップS211;No)、かつ、複合機20で有効設定にされている節約出力モードがない場合には(ステップS216;No)、複合機20で無効設定にされている節約出力モードを推奨出力モードに選択するようにしている(ステップS217)。このステップS217は省略し、複合機20で有効設定にされている節約出力モードがない場合には(ステップS216;No)、図中の破線で示すようにステップS203へ移行するようにしてもよい。
節約出力モードリスト50は、複合機20内の不揮発メモリ25に記憶するようにしているが、複合機20とネットワーク2で接続された外部のサーバなどに記憶するように構成してもよい。この場合は、複合機20が上記のサーバにアクセスしサーバ内の節約出力モードリスト50に基づいて実施の形態で説明したような動作(図6のステップS111〜ステップS116などや図8のステップS202〜ステップS217など)を行うことができる。
ユーザの印刷履歴は、複合機20内のハードディスク装置26に保存するようにしているが、同様に複合機20とネットワーク2で接続された外部のサーバなどに保存するように構成してもよい。この場合は、複合機20が上記のサーバにアクセスしてサーバにユーザの印刷履歴の更新を依頼したりサーバからユーザの印刷履歴を取得したりすることができる。
また、実施の形態に係る複合機20ではタッチパネル式の操作表示部27が操作部と表示部の機能を兼ね備えているが、この操作部と表示部とは個別に構成するようにしてもよい。
また実施の形態では、特許請求の範囲における請求項1乃至4のいずれか1つに記載の情報処理装置を、請求項6に記載の印刷装置である複合機20が備えた場合を説明したが、この情報処理装置は、端末装置から受信した印刷ジョブを自身が制御する印刷装置に送信(転送)する印刷制御装置(プリントサーバ)や、印刷ジョブを生成して印刷装置や印刷制御装置に送信する端末装置などに備えて構成するようにしてもよい。
情報処理装置を印刷制御装置に備えて構成する場合には、実施の形態で説明したような節約出力モードリスト50やユーザの印刷履歴は、たとえば、(A)印刷制御装置内の記憶部(印刷制御装置が備える情報処理装置内の記憶部を含む)、または、(B)印刷制御装置と通信可能に接続された印刷装置、または、(C)印刷制御装置と通信可能に接続された外部のサーバ、などに保存するように構成してもよい。
情報処理装置を端末装置に備えて構成する場合も同様に、実施の形態で説明したような節約出力モードリスト50やユーザの印刷履歴は、たとえば、(D)端末装置内の記憶部(端末装置が備える情報処理装置内の記憶部を含む)、または、(E)端末装置と通信可能に接続された印刷装置、または、(F)端末装置と通信可能に接続された外部のサーバ、などに保存するように構成してもよい。
(A)および(D)の場合は、印刷制御装置/端末装置に備えられた情報処理装置の制御部が上記の記憶部内の節約出力モードリスト50やユーザの印刷履歴に基づいて、実施の形態で説明したような動作(図6のステップS111〜ステップS116などや図8のステップS202〜ステップS217など)を行うことができる。(B)および(E)の場合は、印刷制御装置/端末装置に備えられた情報処理装置の制御部が上記の印刷装置にアクセスし、印刷装置内の節約出力モードリスト50やユーザの印刷履歴に基づいて、実施の形態で説明したような動作を行うことができる。(C)および(F)の場合は、印刷制御装置/端末装置に備えられた情報処理装置の制御部が上記のサーバにアクセスし、そのサーバ内の節約出力モードリスト50やユーザの印刷履歴に基づいて、実施の形態で説明したような動作を行うことができる。
また本発明に係る印刷装置は、実施の形態で説明した複合機に限らずプリンタ機などの他の印刷装置でも構わない。