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JP4837315B2 - フォトスペーサ用感光性樹脂組成物及びそれを用いた液晶表示装置用カラーフィルタ - Google Patents

フォトスペーサ用感光性樹脂組成物及びそれを用いた液晶表示装置用カラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、光照射により硬化し、アルカリ現像可能なフォトスペーサ用感光性樹脂組成物と、当該組成物を用いて形成したフォトスペーサを設けたカラーフィルタに関するものである。
近年、液晶表示装置が脚光をあびており、その製造プロセスにおいて感光性樹脂が多用されている。例えば、カラーフィルタ上の画素に相当する部分は、着色顔料分散レジストであり、ブラックマトリックスにもレジストが使用されている。そのような部分に使用されるレジストとしては、マスクを通して感光すると、光が照射された部分のみが固まり、現像により未露光部が剥離されるいわゆるネガ型レジストが多用されている。
さて、液晶表示装置技術においては、カラーフィルタ側基板と薄膜トランジスタ(TFT)側基板の両基板間に液晶層の厚みを保つために、スペーサと呼ばれるガラスまたは樹脂製の透明球状体粒子(ビーズ)をセル内部に散布している。このスペーサは透明な粒子であることから、画素内に液晶と一諸にスペーサが入っていると、黒色表示時にスペーサ粒子を介して光が漏れてしまい、また、液晶が封入されている両基板間にスペーサ粒子が存在することによって、スペーサ粒子近傍の液晶分子の配向が乱され、この部分で光漏れを生じ、液晶表示装置のコントラストが低下し、表示品質に悪影響を及ぼすといった問題を有している。また、例えば、強誘電性液晶のように、両基板間の間隔(液晶層の厚み)が狭い液晶表示装置においては、このスペーサ粒子を用いて両基板間の間隔を均一に精度よく保つことは困難なことである。
このような問題を解決する技術として、例えば、感光性樹脂を用い、部分的なパターン露光、現像というフォトリソグラフィー法により、所望の位置、例えば、画素間に位置する格子パターン状のブラックマトリックス上に、柱状の樹脂製スペーサを形成する方法が提案されている。このようなスペーサを以下フォトスペーサという。このフォトスペーサは、画素を避けた位置に形成できるので、上記のような表示品質に悪影響を及ぼすことがなくなり、表示品質の向上が望める。
一方、近年、LCD(Liquid Crystal Display)製造のためのマザーガラスが大きくなるに従い、従来の液晶流入方法(真空吸引方式)に代わって滴下方式(ODF:One Drop Fill)が提案されている。ODFでは、所定量の液晶を滴下した後、基板で挟持することによって液晶を注入するため、従来の真空吸引方式に比べ、工程数および工程時間の短縮が可能である。しかしながら、ODF方式においては、セルギャップから計算して見積もった所定量の液晶を滴下し、狭持するため、その際に掛かる面内での微妙な圧力差に影響しないような弾性特性を有することがフォトスペーサに対して望まれる。
すなわち、柔軟で塑性変形の小さなフォトスペーサが要求される。微妙な圧力がかかった際の柔軟性は、変形量が大きく、かつ弾性の復元性が大きい方が好ましい。
このような特性を持たないフォトスペーサでは、パネル作製時に液晶中に気泡が生じることがあり、セルギャップが均一にならずに液晶表示装置としては表示品質が劣化し、例えば、色むらが顕著なものとなってしまう等の不具合が生じる。
これらの問題点を解決するための提案として、例えば、アルカリ現像性を有するフォトスペーサ用感光性樹脂組成物(特許文献1)が提案されている。本提案では、光重合性を有するモノマー、光重合開始剤と、アルカリ現像性及び反応性を有するエポキシ樹脂を併用することで、機械的強度に優れたフォトスペーサを提案している。しかし、このようなエポキシ樹脂とアルカリ現像に必要なカルボン酸成分が共存しているような組成物では、エポキシ基とカルボン酸の間で架橋反応が進行する。その結果、塑性変形量は小さくなるが柔軟性が低下し、ODF方式に対する適合性が低下する。
このような不具合を解決する特性を有するフォトスペーサを形成する材料として、近年、さらに新たな提案(特許文献2)がされている。本提案では、全固形分中のモノマー量を50〜70%にすること、あるいはレジスト組成物の構成をポリマー、多環式化合物含有樹脂を用いることによって改良を図っている。しかしながら、依然として塑性変形量が大きくかつ柔軟性が低いため、近年ますます精度向上が必要とされているODFプロセスに対し適合性が十分であるとはいえない。
特開2001−226449号公報 特開2002−174812号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、柔軟でかつ塑性変形量が小さいという優れた弾性特性を有するフォトスペーサの形成が可能であるフォトスペーサ用感光性樹脂組成物およびそのようなフォトスペーサを有するカラーフィルタの提供を課題とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、液晶表示装置における液晶セル内のギャップ保持のために設けられるスペーサ形成用の感光性樹脂組成物であって、
アクリロイル基およびカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A)、多官能アクリレートモノマー(B)並びに光重合開始剤(C)を含有してなるフォトスペーサ用感光性樹脂組成物であって、該組成物の固形分の重量に基づくアクリロイル基濃度が6.0mmol/g以上である、アルカリ現像可能なフォトスペーサ用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記フォトスペーサ用感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなるフォトスペーサに関する。
さらに、本発明は、少なくとも、透明基板と、その上に所定のパターンで形成された複数の画素と、液晶セル内のギャップ保持のために設けられるスペーサを具備するカラーフィルタにおいて、該スペーサが上記フォトスペーサであることを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物は、アクリロイル基およびカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A)、多官能アクリレートモノマー(B)並びに光重合開始剤(C)を含有してなるフォトスペーサ用感光性樹脂組成物であって、該組成物のアクリロイル基濃度が該組成物の固形分の重量に基づき6.0mmol/g以上であり、アルカリ現像可能であることを特徴とするものである。
本発明における親水性ポリマー(A)(以下、単に(A)と表記する場合がある)は、親水性であって、後述のように(A)を含むフォトスペーサ用感光性樹脂組成物(以下、単に感光性樹脂組成物(Q)または(Q)と表記する場合がある)のアクリロイル基濃度の一部に寄与するポリマーであり、分子内に少なくとも1個のアクリロイル基と少なくとも1個のカルボキシル基を有する。
アクリロイル基に類似の二重結合を有する官能基としては、ビニル基、メタアクリロイル基、ビニルオキシ基、ビニルオキシカルボニル基、(メタ)アリルオキシ基、および(メタ)アリルオキシカルボニル基等が例示されるが、これらの二重結合の場合は、光照射時の反応性が乏しく、得られるフォトスペーサの柔軟性が不十分または塑性変形量が大きく、本発明の目的とする物性が発現できない。
(A)の親水性の指標はHLBにより規定され、一般にこの数値が大きいほど親水性が高いことを示す。
(A)のHLB値は、(A)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは4〜19、さらに好ましくは5〜18、特に好ましくは6〜17である。4以上であれば感光性樹脂組成物の現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
なお、本発明におけるHLBは、小田法によるHLB値であり、親水性−疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
また、(A)の溶解度パラメーター(以下、SP値という)は、好ましくは7〜14、さら好ましくは8〜13、特に好ましくは11〜13である。7以上であると現像性がさらに良好に発揮でき、14以下であると硬化物の耐水性がさらに良好である。
本発明におけるSP値は、Fedorsらが提案した下記の文献に記載の方法によって計算されるものである。
「POLYMER ENGINEERING AND FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」
SP値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(分散性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
(A)は、該(A)の重量に基づくアクリロイル基の濃度が、フォトスペーサの弾性復元性の観点から、好ましくは1.0mmol/g以上、さらに好ましくは1.1〜10.0mmol/g、特に好ましくは1.2〜9.0mmol/gであり、かつ、(A)の酸価が、好ましくは10〜500mgKOH/g、さらに好ましくは30〜400mgKOH/g、特に好ましくは50〜300mgKOH/gである。
アクリロイル基濃度は、1.0mmol/g以上であると弾性復元性向上の効果がさらに良好に発現し、10.0mmol/g以下であれば現像性がさらに良好に発揮できる。
(A)の酸価は、10mgKOH/g以上であると、現像性がさらに良好に発揮され、500mgKOH/g以下であれば、硬化物の耐水性がさらに良好に発揮できる。
本発明におけるアクリロイル基の濃度は、二重結合へのアミンの付加反応(マイケル付加)を利用した滴定法により測定できる。方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いてアセトン約10mlを加え、溶解する。
(ii)モルホリン標準液[モルホリンとメタノールを1:4(容量比)で混合したもの]10mlを加え、さらに50%酢酸標準液[酢酸とイオン交換水を1:1(容量比)で混合したもの]1.5mlを加えてよく振とうした後、室温で15分間放置する。
(iii)アセトニトリル15ml及び無水酢酸10mlを上記三角フラスコに加え、よく振とうする。
(iv)記録式自動滴定装置を用いて、0.5mol/Lの塩酸・メタノール滴定用溶液を用いて滴定する。
(v)同時に空試験を実施し、下式にて決定する。
二重結合濃度(mmol/g)=f×(A−B)/2S
但し、A:試料の滴定に要した0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液のmL数。
B:空試験に要した0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液のmL数。
f:0.5mol/L塩酸・メタノール滴定用溶液の力価。
S:試料採取量(g)。
本発明における酸価は、アルカリ性滴定溶液を用いた指示薬滴定法により測定できる。
方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いて中性メタノール・アセトン溶液[アセトンとメタノールを1:1(容量比)で混合したもの]を加えて溶解する。
(ii)フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液で滴定する。指示薬の微紅色が30sec続いたときを中和の終点とする。
(iii)次式を用いて決定する。
酸価(KOHmg/g)=(A×f×5.61)/S
但し、A:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液のmL数。
f:0.1mol/L水酸化カリウム滴定用溶液の力価。
S:試料採取(g)。
(A)としては、ビニル系ポリマー(A1)(以下、単に(A1)と表記する場合がある)、エポキシ系ポリマー(A2)(以下、単に(A2)と表記する場合がある)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリウレタン等が挙げられる。
これらのうち、得られるフォトスペーサの弾性復元性の観点と、製造のし易さの観点から、好ましいのは(A1)および(A2)である。
なお、当該(A)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A1)としては、アクリロイル基およびカルボキシル基を、ビニルポリマー分子の側鎖および/または末端に有するものが挙げられるが、弾性復元性の観点から、少なくとも側鎖にアクリロイル基を2個以上有するものが好ましく、また、親水性を発揮するためには少なくとも側鎖にカルボキシル基を2個以上有するものが好ましい。
(A1)の好ましい製造方法は、カルボキシル基含有ビニルモノマー(a)(以下、単に(a)と表記する場合がある)と、水酸基または1級もしくは2級アミノ基等の反応性官能基を有するビニルモノマー(b)(以下、単に(b)と表記する場合がある)をビニル重合して、予め、前駆体ポリマー(A1)(以下、単に(A1)と表記する場合がある)を製造し、該(A1)と、該(A1)中の反応性官能基と反応可能な官能基(例えばイソシアネート基等)およびアクリロイル基を有する化合物(d)(以下、単に(d)と表記する場合がある)とを反応させる方法である。
カルボキシル基含有ビニルモノマー(a)としては、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸等]、不飽和多価(2〜4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸等]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1〜10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびシトラコン酸モノアルキルエステル等]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩およびアンモニウム塩等]等が挙げられる。
(a)のうち好ましいのは親水性の観点から不飽和モノカルボン酸、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
水酸基または1級もしくは2級アミノ基等の反応性官能基を有するビニルモノマー(b)としては、以下のビニルモノマーが挙げられる。
(b1)水酸基含有ビニルモノマー;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等]、アルキロール(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド等]、ヒドロキシスチレンおよび2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
(b2)1級もしくは2級アミノ基含有ビニルモノマー;
1級アミノ基含有ビニルモノマー[アミノエチル(メタ)アクリレートおよびアリルアミン等]および2級アミノ基含有ビニルモノマー[モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびモノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(b)のうち好ましいのは親水性の観点から(b1)、さらに好ましいのはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に好ましいのは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
前駆体ポリマー(A1)は、(a)および(b)以外に、その他のビニルモノマー(c)を構成モノマーとしてもよい。
その他のビニルモノマー(c)としては、以下の非イオン性のモノマー(c1)〜(c6)、アニオン性のモノマー(c7)およびカチオン性のモノマー(c8)が挙げられる。
非イオン性のモノマー:
(c1)(メタ)アクリル酸エステル;
アルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等];脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート等];アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[メトキシポリエチレングリコール(重合度2〜40)モノ(メタ)アクリレートおよびメトキシポリプロピレングリコール(重合度2〜30)モノ(メタ)アクリレート等];および3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(c2)芳香族炭化水素系モノマー;
スチレン骨格を有する炭化水素系モノマー[例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレンおよびベンジルスチレン等]およびビニルナフタレン等が挙げられる。
(c3)カルボン酸ビニルエステル;
炭素数4〜50のもの、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酪酸ビニル等が挙げられる。
(c4)ビニルエーテル系モノマー;
炭素数3〜50(好ましくは6〜20)のもの、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル等が挙げられる。
(c5)ビニルケトン系モノマー;
炭素数4〜50のもの、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(c6)ハロゲン原子含有モノマー;
炭素数2〜50(好ましくは2〜20)のもの、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、クロルスチレンおよびブロムスチレン等が挙げられる。
アニオン性のモノマー:
(c7)スルホン酸基含有ビニルモノマー;
例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属(ナトリウムおよびカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)塩、第1〜3級アミン塩、アンモニウム塩および第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン性のモノマー:
(c8)第4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー;
炭素数6〜50(好ましくは8〜20)の第3級アミノ基含有ビニルモノマーの4級化物[例えば、メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライドおよびジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの、例えば、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、トリエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物等]等が挙げられる。
(c)のうち好ましいのは、弾性復元性の観点から(c1)、さらに好ましいのは脂環基含有(メタ)アクリレートである。
(A1)製造における、(a)/(b)/(c)の仕込みモノマーモル比は、得られる(A1)をさらに反応させて(A1)に変換し、(A1)のアクリロイル基の濃度が好ましくは1.0mmol/g以上となるような(b)の仕込みモル比であって、(A1)の酸価が、好ましくは10〜500mgKOH/gとなるような(a)の仕込みモル比である。
(a)/(b)/(c)の仕込みモル比は上記の観点から、好ましくは10〜80/20〜90/0〜70、さらに好ましくは15〜75/25〜85/0〜60である。
(A1)は、モノマーを必要により溶剤(D4)(以下、単に(D4)と表記する場合がある)で希釈した後、ラジカル重合開始剤によって重合を行う事で得ることが出来る。
溶剤(D4)としては、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノアルキルエーテルおよびプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等)、およびエステル類(ブチルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート等)等が挙げられる。(D4)のうち好ましいのは、ケトン類およびエステル類である。
なお、当該(D4)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D4)を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、モノマーの合計重量に基づいて、好ましくは1〜400重量%、さらに好ましくは5〜300%(以下において、%は特に限定しない限り重量%を表す)、特に好ましくは10〜200%である。
重合開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物等が挙げられる。
過酸化物としては、無機過酸化物(例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)、および有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウリルパーオキシド等)等が挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩(例えば塩酸塩等)、およびアゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等が挙げられる。
好ましいものとしては、アゾ化合物である。
重合開始剤の使用量としては、モノマーの合計重量に基づいて、0.0001〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜15%、特に好ましくは0.005〜10%である。
(A1)製造の際の反応温度、反応時間は、ラジカル重合開始剤の種類により適宜決定される。
上記のようにして得られる(A1)の数平均分子量(以下、Mnと略記。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる測定値)は、フォトスペーサとなったときの強度と現像性の観点から、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,500〜3,000である。
(A1)における(b)に由来する水酸基等の反応性官能基と反応可能な官能基及びアクリロイル基を有する化合物(d)としては、イソシアネート基含有アクリレート(d1)およびエポキシ基含有アクリレート(d2)が挙げられる。
(d1)としては、2−イソシアナートアルキルアクリレート(例えば、2−イソシアナートエチルアクリレートおよび3−イソシアナートプロピルアクリレート等)等が挙げられる。
(d2)としては、グリシジルアクリレート等が挙げられる。
なお、(A1)に存在するカルボキシル基を反応性官能基とし、それと反応可能な官能基としての水酸基およびアクリロイル基を有する化合物、例えば、前述の(b1)等も(d)として使用できる。
(d)のうち好ましいのは、(A1)との反応速度の速さの観点から(d1)および(d2)、特に(d1)である。
(A1)と(d)の反応は、通常、(A1)中の(b)の当量と同当量以下の(d)を用いて、(d1)を用いた場合は60℃で2〜10時間、(d2)を用いた場合は80℃で4〜24時間、必要により触媒[アミン系触媒、スズ系触媒(ジブチルスズジラウレート等)またはチタン系触媒等]およびラジカル重合禁止剤(ヒドロキノン、p−メトキシフェノール等)を用いて行うことができる。
(A1)のMnは、フォトスペーサとなったときの強度と現像性の観点から、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,500〜3,000である。
また、アクリロイル基1個あたりのMnは、弾性復元性の観点から好ましくは100〜1,000、さらに好ましくは200〜900である。
前述のように(A)の親水性の指標はHLBにより規定されるが、このうちの(A1)のHLB値は、好ましくは9〜19、さらに好ましくは10〜18、特に好ましくは11〜17である。(A1)のHLBが9以上であれば、現像性がさらに良好に発揮できる。
本発明における(A)のうちのエポキシ系ポリマー(A2)(以下、単に(A2)と表記する場合がある)は、エポキシ樹脂骨格を有するポリマー中に、アクリロイル基およびカルボキシル基を有するものである。
(A2)の好ましい製造方法は、エポキシ樹脂(A2)(以下、単に(A2)と表記する場合がある)中のエポキシ基に、アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させてエポキシ基を開環させて水酸基を生成させ、該水酸基に多価カルボン酸もしくはその多価カルボン酸無水物(e)(以下、単に(e)と表記する場合がある)を反応させる方法である。
(A2)としては、脂肪族エポキシ樹脂[例えばエポトートYH−300、PG−202、PG−207(いずれも東都化成社製)等]、脂環式エポキシ樹脂[例えばCY−179、CY−177、CY−175(いずれも旭化成エポキシ社製)等]、芳香族エポキシ樹脂[例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂およびグリシジル変性ポリビニルフェノール等]等が挙げられる。
(A2)のうち好ましいのは弾性復元性の観点から芳香族エポキシ樹脂である。
アクリロイル基含有モノカルボン酸としては、アクリル酸等が挙げられる。
多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物(e)としては、前述の(a)のうちの不飽和多価カルボン酸およびそれらの無水物、並びに飽和多価(2〜6価)カルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸およびオクタデセニルコハク酸等の脂肪族飽和多価カルボン酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸およびナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸)およびそれらの無水物(例えば、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ペンタデセニル無水コハク酸およびオクタデセニル無水コハク酸等の脂肪族飽和多価カルボン酸無水物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物およびナフタレンテトラカルボン酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物)等が挙げられる。好ましいのは、反応性及び現像性の観点から飽和多価カルボン酸無水物である。
(A2)の製造における、アクリル酸/(A2)の仕込み重量比は、好ましいのは(A2)のアクリロイル基の濃度が1.0mmol/g以上となるようなアクリル酸の仕込み重量比である。アクリル酸/(A2)の重量比は、上記の観点から、好ましくは0.072以上/1、さらに好ましくは0.079〜0.72/1である。
(A2)とアクリル酸の反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは5〜30時間である。また、必要により触媒(例えば、トリフェニルホスフィン等)およびラジカル重合禁止剤(ヒドロキノン、p−メトキシフェノール等)を用いてもよい。
また、(A2)のアクリル酸付加物の重量に対する(e)の仕込み当量は、(A2)の酸価が好ましくは10〜500mgKOH/gとなるような(e)の仕込み当量であり、例えば、(e)が2価カルボン酸もしくはその無水物である場合、(e)の仕込み当量/(A2)のアクリル酸付加物の重量は、上記の観点から、好ましくは0.18〜8.9ミリ当量/g、さらに好ましくは0.53〜7.1ミリ当量/gである。
(A2)のアクリル酸付加物と(e)との反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜110℃である。また、反応時間は、特に限定されないが、好ましくは3〜10時間である。
(A2)には、エポキシ基が残存していてもよいが、好ましくは、後述の感光性樹脂組成物(Q)中のエポキシ基濃度が0.3mmol/g以下、特に0.1mmol/g以下となるような残存量である。(Q)のエポキシ基濃度が0.3mmol/g以下であれば、ポストベイク時に残存エポキシ基とカルボン酸の架橋反応が少なく、柔軟性が良好であるので好ましい。
なお、エポキシ基濃度は、エポキシ基への臭化水素の付加反応を利用した滴定法により測定できる。方法は以下の通りである。
(i)試料約1gを精秤して三角フラスコに入れ、続いてアセトン約30mlを加えて溶解する。
(ii)酢酸0.5mlと臭化セチルトリメチルアンモニウム0.5mlを加えてよく振とうした後、室温で15分間放置する。
(iv)記録式自動滴定装置を用いて、0.5mol/Lの過酸化水素滴定用水溶液を用いて滴定する。
(v)同時に空試験を実施し、下式にて決定する。
エポキシ基濃度(mmol/g)=f×(A−B)/2S
但し、A:試料の滴定に要した0.5mol/Lの過酸化水素滴定用水溶液のmL数。
B:空試験に要した0.5mol/L過酸化水素滴定用水溶液のmL数。
f:0.5mol/L過酸化水素滴定用水溶液の力価。
S:試料採取量(g)。
(A2)のMnは、フォトスペーサとなったときの強度と現像性の観点から、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,500〜3,000である。
また、アクリロイル基1個あたりのMnは、弾性復元率の観点から好ましくは100〜1,000、さらに好ましくは200〜900である。
(A2)のHLB値は、好ましくは4〜14、さらに好ましくは5〜13、特に好ましくは6〜12である。(A2)のHLBが4以上であれば、現像性がさらに良好に発揮できる。
(A)の含有量は、感光性樹脂組成物(Q)の固形分に基づいて、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは15〜45%、特に好ましくは20〜40%である。10%以上であれば現像性をさらに良好に発揮でき、50%以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好になる。
なお、本明細書において「固形分」とは、当該組成物から溶剤を除いた成分を意味する。また、含有量を示す際の「感光性樹脂組成物(Q)の固形分に基づいて」とは、感光性樹脂組成物(Q)の固形分を100重量%とした時、を意味する。
本発明において、(Q)中の1つの成分として用いられる多官能アクリレートモノマー(B)(以下、単に(B)と表記する場合がある)としては、公知の多官能アクリレートモノマーであれば、特に限定されずに用いられ、2官能アクリレート(B1)、3官能アクリレート(B2)および4〜6官能アクリレート(B3)が挙げられる。
2官能アクリレート(B1)としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等が例示される。
3官能アクリレート(B2)としては、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリアクリレート等が例示される。
4〜6官能アクリレート(B3)としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が例示される。
これらのうち好ましいものは、(B2)及び(B3)、最も好ましいものは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。
市場から容易に入手できる(B)としては、例えば、アロニックスM−101、M−208、M−240、M−305、M−400(以上、東亞合成製)等が挙げられる。
また、本発明における(B)は、その一部に感光性アクリルオリゴマー(B4)を含んでいてもよい。
(B4)としては、Mnが1,000以下であって、カルボキシル基を含有せず、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびポリエーテルアクリレート等が挙げられる。
(B)中の(B4)の含有量は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。
なお、当該(B)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)の含有量は、(Q)の固形分の重量に基づいて、10〜60%が好ましく、さらに好ましくは20〜55%、特に好ましくは25〜50%である。10%以上であれば、弾性復元性がさらに好ましくなり、60%以下であれば、現像性がさらに良好になる。
(Q)中の1つの成分として用いられる光重合開始剤(C)(以下、単に(C)と表記する場合がある)としては、光ラジカル重合開始剤が用いられる。
光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ミヒラーズケトン、ベンジル−2,4,6−(トリハロメチル)トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、ジメチルベンジルケタール、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、トリブロモメチルフェニルスルホン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
(C)は、市販のものが容易に入手することができ、例えばイルガキュア907、イルガキュア369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
なお、当該(C)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)の含有量は、(Q)の固形分の重量に基づいて、0.0001〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜15%、特に好ましくは0.005〜10%である。0.0001%以上であれば弾性復元性がさらに良好に発揮でき、20%以下であれば現像性がさらに良好に発揮できる。
(Q)は、現像性を向上させる観点から、カルボキシル基を有する親水性ポリマー(E)をさらに含有することが好ましい。
(E)としては、先に例示した(a)を必須モノマーとして、必要により(b)および/または(c)を共重合したものが挙げられる。(a)のうち好ましいのは親水性の観点から不飽和モノカルボン酸、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。(b)のうち好ましいのは親水性の観点から(b1)、さらに好ましいのはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特に好ましいのは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。(c)のうち好ましいのは弾性復元性の観点から(c1)、さらに好ましいのは脂環基含有(メタ)アクリレートである。
なお、当該(E)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)における、(a)/(b)/(c)の仕込みモル比は現像性の観点から、好ましくは10〜80/20〜90/0〜70、さらに好ましくは15〜75/25〜85/0〜60である。
(E)のMnは、フォトスペーサとなったときの強度と現像性の観点から、好ましくは3,000〜300,000、さらに好ましくは3,500〜100,000、特に好ましくは4,000〜50,000である。
(E)は、モノマーを必要により溶剤(D4)で希釈した後、ラジカル重合開始剤によって重合を行う事で得ることが出来る。
(D4)を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、モノマーの合計重量に基づいて、好ましくは1〜400%、さらに好ましくは5〜300%、特に好ましくは10〜200%である。
重合開始剤としては、前述と同様の過酸化物及びアゾ化合物等が挙げられ、好ましいものとしてはアゾ化合物である。
重合開始剤の使用量としては、モノマーの合計重量に基づいて、0.0001〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜15%、特に好ましくは0.005〜10%である。
(E)製造の際の反応温度、反応時間は、ラジカル重合開始剤の種類により適宜決定される。
(E)の含有量は、(Q)の固形分の重量に基づいて、現像速度の観点から、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは3〜10%である。
(Q)は、必要によりさらにその他の成分(D)を含有していてもよい。
(D)としては、無機微粒子(D1)、増感剤(D2)、重合禁止剤(D3)、溶剤(D4)、並びにその他の添加剤(D5)が挙げられる。
無機微粒子(D1)としては、金属酸化物(D11)および金属塩(D12)が使用できる。
(D11)としては、公知のもの、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素および酸化アルミニウム等が挙げられる。
(D12)としては、公知のもの、例えば、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウム等が挙げられる。
これらのうちで、耐熱性および耐薬品性の観点から、(D11)が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素および酸化チタンであり、特に酸化ケイ素が好ましい。
なお、当該(D1)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D1)の体積平均粒子径は、フォトスペーサとしたときの透明性と弾性復元性の観点から、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜120nm、特に好ましくは5〜20nmである。
体積平均粒子径の測定は、例えばトルエンを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)で行うことができる。
(D1)の含有量は、(Q)の固形分の重量に基づいて、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは1〜45%、特に好ましくは2〜40%である。50%以下であれば柔軟性がさらに良好に発揮でき、2〜40%であれば特に弾性復元性が優れる。
増感剤(D2)としては、ニトロ化合物(例えば、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、ベンズアントロン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン及び2−ニトロフルオレン等)、芳香族炭化水素(例えば、アントラセン及びクリセン等)、硫黄化合物(例えば、ジフェニルジスルフィド等)及び窒素化合物(例えば、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン及びテトラシアノエチレン等)等が用いられる。
なお、当該(D2)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
増感剤(D2)の含有量は、光重合開始剤(C)の重量に基づいて、好ましくは0.1〜100%、さらに好ましくは0.5〜80%、特に好ましくは1〜70%である。
重合禁止剤(D3)としては、特に限定はなく、通常の反応に使用するものが用いられる。具体的には、ジフェニルヒドラジル、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド及び塩化銅(II)等が挙げられる。
なお、当該(D3)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤(D3)の含有量は、(Q)の固形分の重量に基づいて、0〜1.0%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5%、特に好ましくは0.02〜0.1%である。
溶剤(D4)としては、上述の(A1)の製造に使用される溶剤(D4)と同じのものが挙げられる。
なお、当該(D4)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤を使用する場合、溶剤(D4)の配合量は、特に限定されないが、(Q)の固形分の重量に基づいて、50〜1,000%が好ましく、さらに好ましくは70〜900%、特に好ましくは80〜800%である。
その他の添加剤(D5)としては、例えば、無機顔料、シランカップリング剤、染料、蛍光増白剤、黄変防止剤、酸化防止剤、消泡剤、消臭剤、芳香剤、殺菌剤、防菌剤及び防かび剤等が挙げられる。
なお、当該(D5)は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の添加剤(D5)の含有量は、特に限定されないが、(Q)の固形分の重量に基づいて、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
その他の成分(D)の含有量の合計は、(Q)の固形分の重量に基づいて、好ましくは1000%以下、さらに好ましくは80〜800%である。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、例えば、プラネタリーミキサー等の公知の混合装置により、上記の各成分を混合等することにより得ることができる。
上記のようにして得られる本発明のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物は、(Q)の固形分の重量に基づくアクリロイル基濃度が6.0mmol/g以上であり、アルカリ現像可能なものである。当該アクリロイル基濃度は、弾性復元率の観点から、好ましくは6.0〜10.0mmol/g、より好ましくは7.3〜9.0mmol/gである。
また、(Q)は、通常、室温で液状であり、その粘度は、25℃で好ましくは0.1mPa・s〜10,000mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s〜8,000mPa・sである。なお、当該粘度は、BL型粘度計で測定することができる。
以下において本発明のフォトスペーサおよびカラーフィルタについて説明する。
本発明のフォトスペーサは上記の(Q)を硬化させて形成されたものである。
また、本発明のカラーフィルタは、少なくとも、透明基板と、その上に所定のパターンで形成された複数の画素と、液晶セル内のギャップ保持のために設けられるスペーサを具備するカラーフィルタであって、該スペーサが上記のフォトスペーサであることを特徴とするものである。
以下に本発明の感光性樹脂組成物(Q)およびそれを用いて形成したフォトスペーサを有するカラーフィルタについて、その実施形態に基づいて図1を例にして詳細に説明する。
図1において、本発明のカラーフィルタ1は、透明基板2と、この基板2上に形成されたブラックマトリックス3および赤色画素(4−1)、緑色画素(4−2)、および青色画素(4−3)からなる着色層4を備え、その上に透明共通電極となるITO(Indium Tin Oxide)(図示せず)がスパッタリングされている。さらに、ブラックマトリックス3の所定の位置に、本発明の感光性樹脂組成物(Q)によりフォトスペーサ5が形成されている。
上記のカラーフィルタ1を構成する透明基板2としては、ガラス、プラスチック板、フィルム等を用いることができる。近年、透過性、耐薬品性に優れたプラスチック基板の提案もなされているが、一般的には熱膨張率が小さく、高温での寸法精度に優れている無アルカリガラスが広く用いられている。
また、透明基板2上に設けられるブラックマトリックス3は、光漏れによるコントラストの低下を防ぐ目的で各色の画素間や着色層4の形成領域の外側に設けられている。このようなブラックマトリックス3は、クロムや酸化クロムの多層蒸着薄膜をパターニングして形成する方法や、カーボンブラック等の遮光性顔料を分散させた樹脂BMレジストを用い、通常のフォトリソグラフィー法によって形成する方法等により形成することができる。
また、各色とも顔料分散レジストを用い、フォトリソグラフィー法によって所定のパターン形状に着色層を形成することができる。即ち、1つのフィルタ色の顔料を含んだ上記感光性樹脂組成物(Q)をガラス等の透明基板2上に塗布し、パターン露光、現像を行うことで、1色目のパターン形成を行う。これを3色繰り返すことによって着色層4を得ることが可能である。
着色層に用いられる顔料としては、例えば、赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」);緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」);青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)、C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)等が挙げられる。
フォトスペーサ5は、カラーフィルタ基板とTFT基板とを貼り合わせた時に液晶セルのギャップを決めるものであり、表示品質にとって重要な役割を果たす。フォトスペーサの高さは2〜5μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、その均一性が要求される。また、高さの他、フォトスペーサに要求される形状、大きさ、密度等は、液晶表示装置の設計によって適宜決定される。
フォトスペーサの形成位置は、液晶セル内においてブラックマトリックス3に対応する位置、すなわち画素の非形成部位に設けることが表示品質を保つ上で好ましいが、この限りではない。例えば、フォトスペーサは、製造工程の簡略化からカラーフィルタ基板側、すなわち着色層上に設けることが好ましいが、TFT基側に設けることも可能である。
本発明のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法によってフォトスペーサを形成する方法を図1に基づいて簡単に説明する。
本発明のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物を、基板上にロールコート、スピンコート、スプレーコート、スリットコート等、公知の方法によって均一に塗布し、乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成する。塗布装置としては、公知の塗布装置が使用でき、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。ここでは着色層4上にさらに設けられた透明共通電極上に形成する例について説明している。
必要に応じて、熱を加えて乾燥させる(プリベーク)。
乾燥温度としては、10℃以上が好ましく、さらに好ましくは12℃以上、特に好ましくは15℃以上、最も好ましくは20℃以上であり、また100℃未満が好ましく、さらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは60℃以下、最も好ましくは50℃以下である。乾燥時間は、30秒以上が好ましく、さらに好ましくは1分以上、特に好ましくは2分以上であり、また10分以下が好ましく、さらに好ましくは8分以下、特に好ましくは5分以下である。
乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。
また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
次いで、所定のフォトマスクを介して活性光線により、感光性樹脂組成物層の露光を行う。
本発明の感光性樹脂組成物であれば、直径5〜10μm程度(面積20〜100μm程度)のマスク開口部であっても、精度良く、すなわち直径6〜12μm(面積30〜120μm)の範囲で形成することができる。
露光に用いる活性光線としては、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることができれば特に制限はない。活性光線としては、可視光線、紫外線、レーザー光線等が挙げられる。光線源としては、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、半導体レーザー等が挙げられる。
露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜300mJ/cmである。
続いて未露光部を現像液で除去し、現像を行う。
ここで現像に用いる現像液は、有機溶剤を用いても構わないが、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。現像液として用いることのできるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、ヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機塩の水溶液が挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。
現像時間は、膜厚やレジストの溶解性に応じて適宜決定される。
より硬化を確実にするために、必要に応じて加熱(ベーク)を行っても良い。
ベークを行う場合、ベーク温度としては、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。ベーク時間は5分〜6時間、好ましくは15分〜4時間、特に好ましくは30分〜3時間である。
ベークは、減圧、常圧どちらでもよいが、減圧の方が好ましい。
また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
上記のようにして得られた本発明のフォトスペーサは、柔軟で塑性変形の小さなフォトスペーサである。
フォトスペーサの柔軟性は、微妙な圧力がかかった時の「総変形量」と「弾性復元性」によって評価することができる。つまり、総変形量が大きく、かつ、弾性復元性が大きい方が柔軟である。
本発明において、弾性復元性としては、下記の「0.2〜0.8mN/μmの圧力範囲における最小弾性復元率」(以下において、「最小弾性復元率」と略記する)を測定して評価することができる。
「最小弾性復元率(%)」;
25℃において、一定の速度で所定の圧力をかけ、1秒間保持した後、一定の速度で圧力を除荷した時の荷重と変形量とのヒステリシス曲線(図2)から、総変形量T、塑性変形量T、弾性変形量Tを求め、所定の圧力における弾性復元率(%)を下式から算出する。
弾性復元率(%)=(T/T)×100
圧力として、0.2mN/μm、0.4mN/μm、0.6mN/μmおよび0.8mN/μmの異なる4種の圧力でヒステリシス曲線を測定し、それぞれにおいて上記弾性復元率を計算し、最も小さい値を「最小弾性復元率(%)」とする。
また、本発明において、塑性変形の大きさは、以下の「塑性変形率」を測定することにより評価することができる。
25℃において、一定の速度で、総変形量がフォトスペーサの高さtの20%になるまで圧力をかけ、1秒間保持した後、一定の速度で圧力を除荷した時の荷重と変形量とのヒステリシス曲線から総変形量Tおよび塑性変形量Tを読みとり、下式から塑性変形率(%)を算出する。
なお、この20%の値はODFプロセスで想定される最大の変形率である。
塑性変形率(%)=(T/t)×100
なお、「総変形量(T)」が大きいほど柔軟性が大きいと言える。
前述したODFプロセスに対する適合性のため、フォトスペーサが柔軟性を有することが求められる。ODFプロセス時には、フォトスペーサに0.2μm/μm程度の圧力が加わると言われており、上記定義の総変形量Tが大きいほど、柔軟性があるといえる。
本発明のフォトスペーサの上記総変形量は、好ましくは0.4μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。
本発明のフォトスペーサの最小弾性復元率は、液晶セルギャップを保持するためのスペーサとして、柔軟で、塑性変形しにくいという特性を得る点から、好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上であり、かつ、塑性変形率は、好ましくは5%以下、さらに好ましくは4%以下である。
本発明の感光性樹脂組成物(Q)は、上記の様にフォトスペーサ用に好適に使用できるが、その他にも各種のレジスト材料、例えば、感光性レジストフィルム、フォトレジスト、感光性樹脂凸版、スクリーン版、光接着剤、またはハードコート剤の感光層として好適である。
さらに、金属(例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅等)、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテルフタラート、ポリ(メタ)アクリレート)、紙、ガラス、ゴム及び木材等の各種材料に対するコーティング剤、塗料、印刷インキ及び接着剤として使用でき、成型材料等としても応用できる。
本発明の感光性樹脂組成物はアルカリ現像が可能であり、また、当該感光性樹脂組成物を硬化させて得られるフォトスペーサは、柔軟性に富み、かつ塑性変形量が小さいという優れた弾性特性を有する。また、ODFプロセスに適合したフォトスペーサを有するカラーフィルタを得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下において特に言及しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
[親水性ポリマーの調製]
<製造例1>
加熱冷却・撹拌装置、環流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたガラス製コルベンに、イソボルニルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部、メタクリル酸20部、およびシクロヘキサノン150部を仕込み、80℃まで加熱した。系内の気相部分を窒素で置換した後、あらかじめ作成しておいたアゾビスイソブチロニトリル(V−60:和光純薬製、以下AIBNと称す)30部をシクロヘキサノン50部に溶解した溶液55部を、80℃のコルベン中に10分間で滴下し、さらに同温度で3時間反応させた。その後、シクロヘキサノンで樹脂濃度が25重量%となるように希釈し、60℃に温度調節した。このポリマー溶液に、イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工(株)製、以下AOIと称す)22.5部、シクロヘキサノン70部、ジブチルスズジラウレート1.1部、およびヒドロキノン1.1部を仕込み、60℃で2時間反応させ、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A−1)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含量は25%)。
<製造例2>
製造例1と同様のコルベンに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂EOCN−1020(日本化薬製、エポキシ当量200)200部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。続いて、アクリル酸76部、トリフェニルホスフィン2部、およびp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部を仕込み、さらに90℃で5時間反応させ、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A−2)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含量は60%)。
<製造例3>
製造例1と同様のコルベンに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂EPPN―201(日本化薬製、エポキシ当量190)190部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート238部を仕込み、110℃まで加熱して均一溶解させた。続いて、アクリル酸76部、トリフェニルホスフィン2部、およびp−メトキシフェノール0.2部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。反応物にさらにテトラヒドロ無水フタル酸91部を仕込み、さらに90℃で5時間反応させ、アクリロイル基とカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A−3)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(固形分含量は60%)。
<製造例4>
製造例1と同様のコルベンに、イソボルニルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部、メタクリル酸20部、およびシクロヘキサノン150部を仕込み、80℃まで加熱した。系内の気相部分を窒素で置換した後、あらかじめ作成しておいたアゾビスイソブチロニトリル(V−60:和光純薬製、以下AIBNと称す)5部をシクロヘキサノン50部に溶解した溶液55部を、80℃のコルベン中に10分間で滴下し、さらに同温度で3時間反応させた。その後、シクロヘキサノンで樹脂濃度が25重量%となるように希釈し、60℃に温度調節し、カルボキシル基を有する親水性ポリマー(E−1)(Mn:21,000、SP値:12.24、HLB値:12.38、酸価:138mgKOH/g)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含量は25%)。
<比較製造例1>
製造例1のイソシアナトエチルアクリレートをイソシアナトエチルメタクリレートに置き換えた以外は製造例1と同様にして、比較のための親水性ポリマー(A’−1)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含量は25%)。
<比較製造例2>
製造例1のイソボルニルメタクリレートの仕込み量を30部から50部へ変更し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部、メタクリル酸の使用量を0部にした以外は製造例1と同様にして、比較のための親水性ポリマー(A’−2)のシクロヘキサノン溶液を得た(固形分含量は25%)。
上記製造例1〜3、比較製造例1〜2で得られた各親水性ポリマーの、数平均分子量(Mn)、SP値、HLB値、酸価、アクリロイル基濃度の化学構造特性値を表1に示す。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC測定機器(HLC−8120GPC、東ソー(株)製)、カラム(TSKgel GMHXL2本+TSKgel Multipore HXL−M、東ソー(株)製)を用い、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。
また、SP値、HLB値、酸価、アクリロイル基濃度は、前述のようにして求めた。
Figure 0004837315
参考例1、実施例2、実施例3、参考例4、および比較例1〜3>
[フォトスペーサ用感光性樹脂組成物の調製]
表2に示した配合部数に従い、ガラス製の容器に(A−1)〜(A−3)、(A’−1)および(A’−2)から選ばれる1種を仕込み、さらに(B−1)と(C−1)を仕込み、均一になるまで攪拌し、さらに添加剤を添加して感光性樹脂組成物(Q)を作成した。
なお、(Q)のアクリロイル基濃度及びエポキシ基濃度を表2に示す。当該各濃度は前述のようにして求めた。また、表2中の各記号は以下のものを示す。
B−1(多官能アクリレート):
ネオマーDA−600(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物:三洋化成工業(株)製)
C−1(光重合開始剤):
イルガキュア907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
D1−1(無機微粒子):
IPA−ST(オルガノシリカゾルの30%イソプロパノール溶液:日産化学工業(株)製)
D4−1(溶剤):
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−1(カルボキシル基を含有する親水性ポリマー):
製造例4で得たもの(固形分含量25%)
Figure 0004837315
[着色材料作製]
カラーフィルタ作製に用いる着色材料を着色する顔料には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)およびC.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)およびC.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
それぞれの顔料を用いて以下のように赤色・緑色・青色の着色材料を作製した。
・赤色着色材料
下記組成の混合物を均一に攪拌して混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルターで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 18部
赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 2部
アクリルワニス(固形分20%) 108部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌して混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色着色材料を得た。
上記分散体 150部
トリメチロールプロパントリアクリレート 13部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 3部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 1部
シクロヘキサノン 253部
・緑色着色材料
下記の原材料を使用したこと以外は赤色着色材料と同様の方法で緑色着色材料を作製した。
緑色顔料:C.I.Pigment Green 36 16部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 150 8部
アクリルワニス(固形分20%) 102部
トリメチロールプロパントリアクリレート 14部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 4部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2部
シクロヘキサノン 257部
・青色着色材料
下記の原材料を使用したこと以外は赤色着色材料と同様の方法で青色着色材料を作製した。
青色顔料:C.I.Pigment Blue 15 50部
紫色顔料:C.I.Pigment Violet 23 2部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 6部
アクリルワニス(固形分20%) 200部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 4部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2部
シクロヘキサノン 214部
[着色層形成および透明導電膜形成]
得られた着色材料を用いて着色層を形成した。
予めブラックマトリックスを形成したガラス基板に、赤色着色材料をスピンコートにより仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃で5分間乾燥後、着色層形成用のストライプ状フォトマスクを通して高圧水銀灯の光を300mJ/cm照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像して、ストライプ形状の赤色着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
次に、緑色着色材料も同様に、スピンコートにより仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃で5分間乾燥後、前述の赤色着色層と隣接した位置にパターンが形成されるように、フォトマスクを通して露光し現像することで、緑色着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色材料についても仕上り膜厚が1.8μmで、赤色、緑色の着色層と隣接した青色着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
これで、透明基板上に赤、緑、青3色のストライプ状の着色層を持つカラーフィルタが得られた。
なお、上記で用いたアルカリ現像液は以下の組成からなる。
炭酸ナトリウム 1.5%
炭酸水素ナトリウム 0.5%
陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0%
水 90%
このカラーフィルタに、酸化インジウム−スズ(ITO)を一般的なスパッタリング法により150nmの膜厚で形成した。
[フォトスペーサの形成]
上記で得られた参考例1、実施例2、実施例3、参考例4及び比較例1〜3のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物を、上述のITO付きカラーフィルタ上に、仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。フォトスペーサ形成用のフォトマスクを通して、高圧水銀灯の光を150mJ/cm照射した。尚、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後、着色層の作製と同様の現像液を用いて、現像をした。(なお、比較例3の感光性樹脂組成物を使用したものは、現像性不良のためフォトスペーサの形状が得られなかった。)水洗を施した後、230℃で30分間ポストベークして、フォトスペーサをカラーフィルタにおけるブラックマトリックス上に形成した。フォトスペーサの上底面積は150μm、下底面積は400μmであった。
[最小弾性復元率、塑性変形率および総変形量の測定]
上記のようにして得られたフォトスペーサの弾性特性について、フィッシャースコープH−100(フィッシャーインストルメンツ社製)装置を用いて、前述の最小弾性復元率、塑性変形率および総変形量の測定法に従って測定した。
なお、断面が正方形の平面圧子(50μm×50μm)を用いた。結果を表3に示す。
Figure 0004837315
参考例1、実施例2、実施例3、参考例4のフォトスペーサでは、弾性復元率が大きく、塑性変形率が小さくなった。このようなフォトスペーサは、特にODFプロセスに適するものである。
一方、比較例1では、親水性ポリマー(A’−1)がアクリロイル基を有していないため、反応性が低く、必要とされる架橋反応が十分に進行しない。この場合、分子間でのずりが大きくなるため、弾性復元率が小さくなり、塑性変形率が大きくなった。このようなフォトスペーサを用いて液晶パネルを作成すると、セルギャップが均一とならずに表示品質が悪化する。比較例2では、感光性樹脂組成物(Q)のアクリロイル基濃度が十分でないため、反応性が低く、必要とされる架橋反応が十分に進行しない。上記同様、このようなフォトスペーサを用いて液晶パネルを作成すると、セルギャップが均一とならずに表示品質が悪化する。比較例3の感光性樹脂組成物を使用したものは、現像性不良のためフォトスペーサの形状すら得られなかった。
本発明の感光性樹脂組成物はアルカリ現像が可能であり、また、当該感光性樹脂組成物を硬化させて得られるフォトスペーサは、柔軟性に富み、かつ塑性変形量が小さいという優れた弾性特性を有する。また、ODFプロセスに適合したフォトスペーサを有するカラーフィルタを得ることができる。
本発明のフォトスペーサ付きカラーフィルタの実施形態の一例を示す断面図 荷重と変形量のヒステリシス曲線
符号の説明
1: フォトスペーサ付きカラーフィルタ
2: 透明基板
3: ブラックマトリックス
4: 着色層
4−1: 赤色画素
4−2: 緑色画素
4−3: 青色画素
5: フォトスペーサ
: 総変形量
: 塑性変形量
: 弾性変形量

Claims (6)

  1. アクリロイル基およびカルボキシル基を有する親水性ポリマー(A)、多官能アクリレートモノマー(B)並びに光重合開始剤(C)を含有してなるフォトスペーサ用感光性樹脂組成物であって、
    親水性ポリマー(A)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はフェノールノボラック型エポキシ樹脂(A2)のエポキシ基をアクリル酸で開環反応させた後に、生成した水酸基と多価カルボン酸もしくはその無水物(e)とを反応させて得られるポリマー(A2)であり、
    該組成物の固形分の重量に基づくアクリロイル基濃度が6.0mmol/g以上であり
    さらに、カルボキシル基及び脂環基含有(メタ)アクリレートを有する親水性ポリマー(E)を含有してなる、アルカリ現像可能なフォトスペーサ用感光性樹脂組成物。
  2. 親水性ポリマー(A)のアクリロイル基濃度が、該(A)の重量に基づき1.0mmol/g以上、かつ、酸価が該(A)の重量に基づき10〜500mgKOH/gである請求項1記載のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物。
  3. さらに、無機微粒子(D1)を、組成物の固形分の重量に基づき0〜50重量%含有してなる請求項1または2に記載のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物。
  4. 無機微粒子(D1)の体積平均粒子径が1〜200nmである請求項記載のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のフォトスペーサ用感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなるフォトスペーサ。
  6. 少なくとも、透明基板と、その上に所定のパターンで形成された複数の画素と、液晶セル内のギャップ保持のために設けられるスペーサを具備するカラーフィルタにおいて、該スペーサが請求項記載のフォトスペーサであることを特徴とするカラーフィルタ。
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