JP4817858B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
一般に蓋材のしわ、タルミを防止するためには、ある程度熱収縮し易いフィルムを用いることが有効であるが、この場合、積層フィルムの熱収縮により蓋材に開封用つまみとして設けられている蓋材つまみ部にカールが発生するという問題が生じ易い。これは一般に蓋材のシーラントフィルムにシール性の点からポリオレフィン系樹脂からなる収縮性のない無延伸フィルムが用いられるため、収縮性を付与するためにはその外側に更に熱水収縮性を有する延伸フィルムを用いる必要があり、その結果、蓋材が熱収縮すると外層側にカールし易くなってしまうという性質が生じる。このようなカールが著しい場合には、開封時以外の工程で蓋材が剥がれたり、開封時に蓋材つまみ部を指でつまみにくいなどの問題があった。
上記の蓋材つまみ部は、全くカールしないのが理想であるが、若干カールしたとしても蓋材の上側にカールするよりも、下側にカールする方が外観的あるいは密閉性などの点から望ましいとされている。このような蓋材のカールを改善する方法としては、例えば特許文献1には、縦方向及び横方向の熱水収縮率が1.5〜3.0%である基材フィルムと中間層フィルムを積層し、更にこれにシーラントフィルムを積層した積層フィルムにシーラントフィルムをラミネート加工する際のシーラントフィルムのテンションを、積層フィルムのテンションに対して0.5〜1.0倍とする方法、が開示されている。しかしながら、このような方法により得られる積層フィルムも、上記上側へのカールの改善が十分でなく、また蓋材の張り等が十分でなく、その外観に問題があった。
本発明の蓋材は、二軸延伸ポリアミドフィルムからなる外層、及び脂肪族ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体/脂肪族ポリアミドの共押出二軸延伸ポリアミド系フィルムからなる中間層、及びシーラントをこの順に有する積層フィルムを有する。
外層を構成する二軸延伸ポリアミドフィルムは、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等からなる。脂肪族ポリアミドとしては、ε−カプロラクタムの単独重合体(ナイロン−6)等の環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−66)等のジカルボン酸とジアミンとの重縮合物等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリアミドの中では、安価に入手でき、かつ、延伸操作を円滑に遂行し得る点から、ε−カプロラクタムの単独重合体(ナイロン−6)及びポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−66)が好ましく、ε−カプロラクタムの単独重合体(ナイロン−6)がより好ましい。
具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミド等の単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミド共重合体等の共重合体が挙げられる。
本発明においては、上記二軸延伸ポリアミドフィルムとして、強度、印刷適性、コストの点から、ε−カプロラクタムの単独重合体(ナイロン−6)を用いることが好ましい。
上記外層の厚みとしては、印刷適性、強度、コストの点から10〜50μm、更に12〜30μmであることが望ましい。
さらに、上記EVOHは、エチレンと酢酸ビニル二元共重合体のケン化物の他に、共重合成分として少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;不飽和カルボン酸、またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物;不飽和スルホン酸、その塩等を含むものであってもよく、また、EVOHには上記のものに少量のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を混合したものであっても良い。
なお、上記外層、及び中間層の各々には、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子等の各種添加剤を添加することができる。
上記シーラントフィルムの厚みは、20〜60μmであることが好ましく、25〜50μmであることが更に好ましい。
上記外層、中間層及びシーラント等のフィルムを積層する方法としては、本発明においては、ドライラミネート法、ポリサンドラミネート法のいずれの方法によってもよいが、厚みが揃いやすく、接着強度も強いドライラミネート加工が好ましい。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.6〜3.5倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内で横方向に2.6〜4.0倍に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜130℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2.5〜5倍に延伸することにより製造することができる。
再横延伸温度が上記範囲内にあれば、適度な延伸時の応力が得られ、均一な延伸が可能となるため、横方向の収縮率が均一になる。また、延伸後に熱固定がかからず、横収縮率が発現しやすい。また、再横延伸倍率が上記範囲内にあれば、シーラントの固化収縮に追従するのに十分な横方向の収縮率が得られ、ヒートシール部分の外観が良好であり、また適度な収縮率が得られ、印刷やラミネートの工程で、シワや柄ズレ等のトラブルの発生を防止できる。
また、脂肪族ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体/脂肪族ポリアミドの共押出二軸延伸ポリアミド系フィルムからなる中間層フィルムを95℃で5分間熱水処理した際のMD収縮率は0.5〜3%、好ましくは1.0〜2.5%であり、TDで3.5〜6%、好ましくは4〜5.5%である。上記収縮率が上記範囲内にあれば、ボイル、レトルト殺菌時に蓋材が十分な熱収縮を行うため、蓋材の張りが良好であり、更につまみ部の上側カールを抑制することができる。
また、本発明の蓋材を用いる容器として、ガスバリア性、腰、透明性の点から、ポリプロピレン/変性ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/変性ポリプロピレン/ポリプロピレンからなる共押出シートを成形してなる容器が好ましく用いられる。
延伸ポリアミドフィルム試験片を幅120mm、長さ120mmに切りだし、このサンプルに、縦(MD)方向と横(TD)方向に約100mmの線を引く。このサンプルを23℃50%RH雰囲気下、24時間放置し基準線を測長する。測長した長さを熱処理前の長さFとする。このサンプルを95℃に加熱した熱水中に5分間浸漬し、さらに23℃50%RH雰囲気下に30分放置した後、前記基準線を測長し、熱処理後の長さGとする。
加熱収縮率を、[(F―G)/F]×100(%)で算出する。
上記方法で、MD方向とTD方向の各収縮率をn=5で測定し、平均値を熱収縮率とした。
テンター出口にて、1時間以上の安定した製膜が可能であるかを、以下の基準で目視評価した。
○:安定して製膜可能
△:1・2回の破断発生
×:3回以上の破断発生
(3)つまみ部のカール傾向
容器に水を充填し、密封シールした後、85℃に加熱した熱水中に30分間浸漬し、処理後の蓋材つまみ部のカールの程度を次のように評価した。
○:カールせず、フラットである。または弱い下側カール傾向
△:若干カールするが、上向きのカールである。
×:カールがきつく、外観が悪い。
85℃に加熱した熱水中に30分間浸漬し、処理後の蓋材の外観を次のように評価した。
○:しわ、タルミが無い
△:若干しわ、タルミが有る。
×:張りがなく、きついシワ、タルミが有る。
(5)開封時のデラミ
パック品をイージーピールにより開封し、中間層共押出ナイロン系フィルムとイージーピールシーラントフィルムの層間で剥離(デラミ)が発生しないか確認した。
〇:デラミ発生せず
×:デラミ発生
下記の各フィルムをドライラミネートし、ONy15μm/(6Ny(6μm)/EVOH(3μm)/6Ny(6μm))15μm/イージーピール50μmの構成の積層フィルムを、表1に示す条件で作製し、各々について性能評価を実施した。評価結果を表2に示す。
・外層: 6Ny(ノバミッド1022C6(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製))をTダイにて押出、ロールにてMD方向に3.0倍延伸した後テンターでTD方向に3.4倍延伸した後、215℃で熱固定し、7%の幅方向の弛緩を行って得たフィルム。
・中間層: 6Ny(ノバミッド1022C6(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製))及びEVOH(ソアノールDC3203FB)を6Ny/EVOH/6Ny構成でTダイにて共押出し、ロールにてMD方向に3.0倍延伸した後テンターでTD方向に3.4倍延伸した後、215℃で熱固定し、7%の幅方向の弛緩を行った後、180℃温度帯にて5%の再横延伸を行って得たフィルム。
・シール層: イージーピール(CMPS017C(東セロ(株)社製))
上記蓋材を用いて、カップに800μmのPP/EVOH/PP構成のシート成形品を使い、水を充満した後カップシーラー(ミナモト(株)製MFT−500)で180のシール温度で2秒間シールを行いパック品を作製した。パック品を85℃の熱水で20分間ボイルした後、水で冷却し、23℃×50%RHの雰囲気下に24時間静置後、評価した。
実施例1において、外層及び中間層の各々の製造条件を表1に示すようにした以外は同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜8のそれぞれを行った。結果を表2に示す。
2 蓋材
3 被包装物
11 開口縁
21 蓋材つまみ部
Claims (5)
- 二軸延伸ポリアミドフィルムからなる外層、二軸延伸した後熱固定し、その後、再度横方向に0.5〜10%延伸することにより製造された、脂肪族ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体/脂肪族ポリアミドの共押出二軸延伸ポリアミド系フィルムからなる中間層、及びシーラントをこの順に有する積層フィルムを有し、95℃で5分間保持した際の熱水収縮率が、上記外層の二軸延伸ポリアミドフィルムについて縦方向及び横方向ともに0.5〜3%であり、上記中間層の二軸延伸ポリアミド系フィルムについて縦方向で0.5〜3%、横方向で3.5〜6%である蓋材。
- 中間層の二軸延伸ポリアミド系フィルムの熱固定後の横方向の延伸を、120〜200℃の雰囲気下で行って製造された請求項1に記載の蓋材。
- シール後70℃〜100℃の熱水で5〜120分間の殺菌処理をする工程に供される容器に使用する請求項1又は2に記載の蓋材。
- ボイルあるいはレトルトによる殺菌、冷却、及び乾燥を行った後の蓋材つまみ部のカールが、シール層側カール傾向となる請求項1〜3のいずれかに記載の蓋材。
- ポリプロピレン/変性ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/変性ポリプロピレン/ポリプロピレンからなる共押出シートを成形してなる容器に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の蓋材。
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