JP4850712B2 - ステントグラフト保持システム - Google Patents

Description

本発明は医療機器に関し、より特定的には、人間または動物の体内へのステントグラフトの配置用の医療機器に関する。

発明の背景
ステントグラフトは、大動脈解離または腹部もしくは胸部大動脈の動脈瘤などの血管の欠陥を修復するために患者の血管に配置され得る。

大動脈解離または腹部もしくは胸部大動脈瘤の治療のためのステントグラフトは、ステントグラフトから遠位または近位へ延在する露出したステントを含む。このようなステントグラフトは１つ以上のバーブを含むことができ、それは露出したステントの患者の血管への保持を支援し、したがってステントグラフトを配置するときの血管とバーブとの偶発的なまたは早すぎる係合を防ぎ、かつ、ステントグラフト用の導入装置は、露出したステントおよびバーブを包含するカプセルを含み得る。カプセルは、露出したステントを解放するために、ステントグラフトおよび露出したステントに相対して動かされる。

しかしながら、早すぎる解放が起らないことが望ましいので、カプセル内のアパーチャを通り、露出したステントの一部をカプセル内に係合する、リリースワイヤを用いることが提案されてきた。

この構成は、ステントグラフトの導入装置およびカプセルに対する相対的な回転を防止せず、早すぎる解放を完全に防ぐこともできない。カプセル内で露出したステントが回転すると露出したステントの支柱のもつれをも引起し、配置の際に問題を起しかねない。

本発明の目的は、少なくともステントグラフトの早すぎる解放、特に露出したステントのカプセルからの解放を防ぐために、ステントグラフト保持システムなどの安全解放機構を提供することである。さらに他の目的は、保持機構に対するステントグラフトの望ましくない回転を防ぐことである。

本願明細書の全体にわたり、大動脈の部分、配置装置、またはステントグラフトもしくは人工器官に関する遠位という用語は、大動脈、配置装置、またはステントグラフトの、心臓から遠ざかる血流の方向により遠ざかる方の端部を指し、近位という用語は、心臓により近い、大動脈の部分、配置装置、またはステントグラフトの端部を指す。他の器官に適用される場合は、尾部、頭蓋などの類似の用語が理解されなければならない。

発明の概要
本発明は請求項１に記載される通りである。

したがって、必ずしも唯一または最も広い形態ではないかもしれないが、一形態においては、本発明は、配置装置上にステントグラフトを保持するための保持システムにあるものとされ、ステントグラフトは少なくとも一方端に露出したステントを有する種類であり、配置装置は、配置中露出したステントを受取るためのカプセルと、必要に応じて露出したステントを解放するために露出したステントに対してカプセルを動かすための構成とを
含む。保持システムはさらに、配置装置に関連づけられたリリースワイヤを含み、露出したステントの部分をカプセル内に係合し、したがって露出したステントをカプセル内に保持し、さらに、ステントグラフト上に少なくとも１つの保持ループを含み、リリースワイヤは保持ループを通過して、リリースワイヤがカプセル内の露出したステントとの係合および少なくとも１つの保持ループとの係合から解除されるまで、カプセルが露出したステントから外れるのを防ぐ。

好ましくはリリースワイヤはカプセル内のアパーチャを通り、少なくとも１つの保持ループは、リリースワイヤがカプセル内のアパーチャを通るところでリリースワイヤに係合される。

ステントグラフトの正反対の両側に位置決めされる２つの保持ループが与えられてもよく、それにより、早すぎる解放を防ぐとともにさらにステントグラフトと配置装置との間の相対的な回転をも防ぐ。

一実施例において、ステントグラフトの露出したステントは、遠位へ延在する露出したステントでもよい。代替的実施例では、露出したステントは近位へ延在する露出したステントでもよい。

少なくとも１つの保持ループは、好ましくは配置後にステントグラフトとともに残る。
この構成により、保持ループは、ステントグラフトがカプセルから早まって引き出されるのを防ぐよう作用することに注意される。

胸部大動脈の動脈瘤の治療に適したステントグラフトの場合、露出したステントは遠位へ延在する露出したステントであり得、腹部大動脈の動脈瘤の治療に適したステントグラフトの場合、露出したステントは近位へ延在する露出したステントであり得る。

他の形態において、本発明は、そこに保持されたステントグラフトを含むステントグラフト配置装置にあるとされ、ステントグラフト配置装置は、配置カテーテルと、配置カテーテルの近位端において近位に開いたカプセルとを含み、ステントグラフトの露出したステントはカプセル内に受取られ、さらに、ステントグラフトの露出したステントをカプセル内で係合するトリガワイヤを含むトリガワイヤ解放機構と、トリガワイヤをカプセルに係合するためにステントグラフトから延在する保持構成とを含み、ステントグラフトの露出したステントは、トリガワイヤが取除かれて保持配置が解放されるまで、カプセルから外れることができない。

一実施例において、ステントグラフトからカプセルのトリガワイヤまで延在する保持構成は、少なくとも１つの縫合材料のループを含む。代替的には保持構成は、ステントグラフトの正反対の両側にステントグラフトを係合する、２つの縫合材料のループを含む。

他の形態において、本発明は、そこに保持されたステントグラフトを含むステントグラフト配置装置を含み、ステントグラフト配置装置は、その近位端におけるノーズコーン拡張器まで延在する配置カテーテルと、ノーズコーン拡張器の遠位端で遠位へ開いたカプセルとを含み、近位へ延在するステントグラフトの露出したステントがカプセル内に受取られ、さらに、ステントグラフトの露出したステントをカプセル内で係合するトリガワイヤを含むトリガワイヤ解放機構と、トリガワイヤをカプセルに係合するためにステントグラフトから延在する保持構成とを含み、ステントグラフトの露出したステントは、トリガワイヤが取除かれて保持配置が解放されるまで、カプセルから外れることができない。

一実施例では、ステントグラフトからカプセルのトリガワイヤまで延在する保持構成は
、少なくとも１つの縫合材料のループを含む。代替的には保持構成は、ステントグラフトの正反対の両側にステントグラフトを係合する、２つの縫合材料のループを含む。

本発明のステントグラフトのカバーが形成され得るグラフト材料は、ダクロン（Ｄａｃｒｏｎ）（登録商標）、延伸ポリテトラフルオロエチレン（ｅＰＴＦＥ）、ソラーロン（Ｔｈｏｒａｌｏｎ）（登録商標）材料または他の合成の生体適合性のある材料などの商業的に入手可能な合成材料でもよい。代替的に、コラーゲンなどの天然由来の生体材料、特に小腸粘膜下組織（ＳＩＳ）などのコラーゲンの細胞外基質（ＥＣＭ）材料として知られる特別に採取されるコラーゲン材料は極めて望ましい。ＳＩＳに加えて、ＥＣＭの例には、心膜、胃粘膜下組織、肝臓基底膜、膀胱粘膜下組織、組織粘膜および硬膜が含まれる。

ＳＩＳは特に有用であり、バディラク（Ｂａｄｙｌａｋ）らによる米国特許第４，９０２，５０８号、カー（Ｃａｒｒ）による米国特許第５，７３３，３３７号に記載された腸コラーゲン層、および１７号ネイチャー・バイオテクノロジー１０８３（17 Nature Biotechnology 1083）（１９９９年１１月）、ＰＣＴ／ＵＳ９７／１４８５５の公開された出願であるクック（Ｃｏｏｋ）他による１９９８年５月２８日付けのＷＩＰＯ公報ＷＯ９８／２２１５８に記載の態様で作ることができる。材料の起源を問わず（合成対天然）、この材料は、多くの薄層からなる構造物、例えば米国特許第５，９６８，０９６号，第５，９５５，１１０号、第５，８８５，６１９号および第５，７１１，９６９号に記載されるＳＩＳ構造を作ることによりさらに厚く作成され得る。動物データでは、静脈弁の中で用いられるＳＩＳは僅か１か月ほどの間に本来の組織と置換され得ることが示される。ＳＩＳなどの異種生体材料に加えて、自己由来の組織も同様に採取することができる。さらに、エラスチンまたはエラスチン様ポリペプチド（Ｐｏｌｙｐｅｔｉｄｅ）（ＥＬＰ）などは、優れた生体適合性を備えた装置を形成するためのカバーまたはフレームを作り上げる材料としての可能性を提供する。別の代替例としては、採取された生体弁組織などのアログラフ（ａｌｌｏｇｒａｐｈｓ）を用いることであろう。そのような組織は、低音保存された状態で商業的に入手可能である。

「動脈瘤修復のための血管内経腔的グラフト人工器官（Endovascular Transluminal Graft Prosthesis For Repair of Aneurysm）」と題された米国特許第５，３８７，２３５号は、グラフトを配置装置上に保持する装置および方法を開示する。米国特許第５，３８７，２３５号に開示されたこれらの特徴および他の特徴は本発明とともに用いることができ、米国特許第５，３８７，２３５号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「動脈瘤修復のためのバーブおよび拡張可能な経腔的グラフト人工器官（Barb and Expandable Transluminal Graft Prosthesis For Repair of Aneurysm）」と題された米国特許第５，７２０，７７６号は、さまざまな形状で機械的にステントに装着される向上したバーブを開示する。米国特許第５，７２０，７７６号に開示された特徴および他の特徴は本発明と共に用いることができ、米国特許第５，７２０，７７６号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「グラフト人工器官材料（Graft Prosthesis Materials）」と題された米国特許第６，２０６，９３１号は、患者の一部を埋込み、移植し、置換し、修復するためのグラフト人工器官材料および方法を開示し、特に、粘膜下組織源から切除された精製されたコラーゲンベースの基質構造の製造および使用とを開示する。米国特許第６，２０６，９３１号に開示された特徴および他の特徴は本発明と共に用いることができ、米国特許第６，２０６，９３１号の開示は本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「人工器官、ならびに人工器官を配置する方法および手段（A Prosthesis AndA Method
and Means Of Deploying A Prosthesis）」と題されたＰＣＴ特許公報ＷＯ９８／５３７６１号は、各端部を独立して動かせるように人工器官を保持する、人工器官用イントロデューサを開示する。ＰＣＴ特許公報ＷＯ９８／５３７６１号に開示された特徴および他の特徴は本発明とともに用いることができ、ＰＣＴ特許公報ＷＯ９８／５３７６１号の開示は本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「腔内大動脈ステント（Endoluminal Aortic Stents）」と題されたＰＣＴ特許公報ＷＯ９９／２９２６２号は、交差する動脈がある場合に配置される開窓型人工器官を開示する。ＰＣＴ特許公報番号ＷＯ９９／２９２６２号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いることができ、ＰＣＴ特許公報ＷＯ９９／２９２６２号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「湾曲した内腔用人工器官（Prostheses For Curved Lumens）」と題された、ＰＣＴ特許公報第ＷＯ０３／０３４９４８号は、湾曲した内腔に配置できるよう人工器官を曲げるための構成を備えた人工器官を開示する。ＰＣＴ特許公報第ＷＯ０３／０３４９４８号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、ＰＣＴ特許公報第ＷＯ０３／０３４９４８号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「トリガワイヤ（Trigger Wires）」と題された、２００２年６月２８日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６８２号、２００３年５月２９日に出願され、２００３年１２月１８日に米国特許出願公報第ＵＳ−２００３−０２３３１４０−Ａ１号として公開された米国特許出願連続番号第１０／４４７，４０６号は、イントロデューサ装置に保持されたステントグラフトを解放するためのリリースワイヤシステムを開示する。米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６８２号、米国特許出願連続番号第１０／４４７，４０６号、および米国特許出願公報第ＵＳ−２００３−０２３３１４０−Ａ１号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６８２号および２００３年５月２９日出願の米国特許出願連続番号第１０／４４７，４０６号、および米国特許出願公報第ＵＳ−２００３−０２３３１４０−Ａ１号の開示は本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「胸部配置装置（Thoracic Deployment Device）」と題された、２００２年６月２８日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６６７号、２００３年６月３０日に出願され、２００４年５月２０日に米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００９８０７９−Ａ１号として公開された米国特許出願連続番号第１０／６０９，８４６号は、特に胸郭にステントグラフトを配置するのに適したイントロデューサ装置を開示する。米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６６７号、米国特許出願連続番号第１０／６０９，８４６号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００９８０７９−Ａ１号、およびＰＣＴ特許公報第ＷＯ２００４／０２８３９９号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、米国仮特許出願連続番号第６０／３９２，６６７号、米国特許出願連続番号第１０／６０９，８４６号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００９８０７９−Ａ１号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「ステントグラフトの固定（Stent-Graft Fastening）」と題された、２００２年６月２６日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／３９１、７３７号、２００３年６月２４日に出願され、２００４年３月１８日に米国出願公開番号ＵＳ−２００４−００５４３９６−Ａ１として公開された、米国特許出願連続番号第１０／６０２，９３０号は、グラフトにステントを固定する、特に露出されたステントのための構成を開示する。米国仮特許出願連続番号第６０／３９１、７３７号、米国特許出願連続番号第１０／６０２，９３０号、米国出願公開番号ＵＳ−２００４−００５４３９６−Ａ１号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いることができ、米国仮特許出願連続番号第６０／３
９１、７３号、米国特許出願連続番号第１０／６０２，９３０号、および米国出願公開番号ＵＳ−２００４−００５４３９６−Ａ１の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「非対称のステントグラフト取付（Asymmetric Stent Graft Attachment）」と題された、２００２年８月２３日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，３６７号、２００３年８月２５日に出願され、２００４年４月１５日に米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００７３２８９−Ａ１号として公開された米国特許出願連続番号第１０／６４７，６４２号は、イントロデューサ装置に人工器官を保持し、これをその装置から解放するための保持構成を開示する。２００２年８月２３日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，３６７号、２００３年８月２５日に出願された米国特許出願連続番号第１０／６４７，６４２号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００７３２８９−Ａ１号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、２００２年８月２３日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，３６７号、２００３年８月２５日に出願された米国特許出願連続番号第１０／６４７，６４２号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００７３２８９−Ａ１号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「グラフト接着力の向上（Improving Graft Adhesion）」と題されたＰＣＴ特許公報第Ｗ００３／０５３２８７号は、ステントグラフトが配置されている血管の壁に対するこのようなステントグラフトの接着を工場させるためのステントグラフト上の構成を開示する。ＰＣＴ特許公報第Ｗ００３／０５３２８７号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、ＰＣＴ特許公報第Ｗ００３／０５３２８７号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

「合成人工器官（Composite Prostheses）」と題された、２００２年８月２３日に出願された米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，７６９号、２００３年８月２３日に出願され、２００４年４月２９日に米国特許出願公報番号第ＵＳ−２００４−００８２９９０−Ａ１号として公開された米国特許出願連続番号第１０／６４５，０９５号は、腔内の配置に適した人工器官またはステントグラフトを開示する。米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，７６９号、米国特許出願連続番号第１０／６４５，０９５号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００８２９９０−Ａ１号に開示されたこの特徴および他の特徴は本発明と共に用いられることができ、米国仮特許出願連続番号第６０／４０５，７６９号、米国特許出願連続番号第１０／６４５，０９５号、米国特許出願公報第ＵＳ−２００４−００８２９９０−Ａ１号の開示は、本願明細書にその全体が引用にて援用される。

これは一般に本発明を記載するが、理解を助けるため、本発明の好ましい実施例を示す添付の図面がここで言及される。

詳細な説明
ここで、図面、特に図１をより注意深く見ると、１として一般に示される配置装置が、配置装置１を通って延在するガイドワイヤカテーテル３を含むことがわかる。ガイドワイヤカテーテル３の近位端にノーズコーン拡張器２があり、遠位端には、Ｘ線写真の流体などがそこを通って与えられ得る雄のルーアロックコネクタ６がある。近位端にカプセル７を含むカプセルカテーテル５は長手に延在する管腔１５を有し、カプセルカテーテル５はガイドワイヤカテーテル３上に同軸に取り付けられて、ガイドワイヤカテーテル３は管腔１５を通って延在する。カプセルカテーテル５は、使用中患者の外部に残る遠位のハンドル３４から近位端のカプセル７まで延在する。ハンドル３４は、３２として一般に示されるトリガワイヤ解放機構を含む。

ノーズコーン拡張器２とカプセル７との間には、ステントグラフト１３が配置のためにそこに保持される領域がある。カプセル７は近位に面する内部凹部９（図３参照）を有し、ステントグラフト１３の遠位へ延在する露出したステント１１がそこに受取られる。カプセルカテーテル５は、ピンバイス１６が解放されるとガイドワイヤカテーテル３に対して長手方向に動くことができる。鞘１０は、鞘マニピュレータ１２からカプセルカテーテル５上に延在し、配置準備完了位置ではノーズコーン拡張器２まで延在して、ステントグラフト１３を圧縮された状態に保持する。しかしながら、図１に示されるように、鞘１０は、ステントグラフト１３を部分的に解放するようカプセル７の遠位に後退している。しかしながら、ステントグラフト１３は、カプセル７内に保持されるステントグラフト１３の遠位へ延在する露出したステント１１、および１４として一般に示される近位保持装置によって、依然保持される。

図２から図５は配置装置のカプセル領域の詳細を示し、図３から図５は図２の線３−３’に沿った断面図である。

図２および図３に示されるように、ステントグラフトを配置する段階では、ステントグラフト１３の導入中にそれを覆うために用いられる鞘１０は、ステントグラフト１３がカプセル７によってなおも保持されている場合を除き、ステントグラフト１３を制約された状態から解放するために後退している。ステントグラフト１３は、カプセル７内で保持されるステントグラフト１３の遠位へ延在する露出したステント１１によって保持される。

カテーテル５の管腔１５を通過するのは、内部凹部９に進むリリースワイヤ１７であって、リリースワイヤ１７は、カプセル７中の内部凹部９内では露出したステント１１のループ１９を通り、次にカプセル７内のアパーチャ２１を通過する。次にリリースワイヤ１７は、別のアパーチャ２３を通過してカプセル内部凹部９に戻り、ステントグラフト１３内で停止する。少なくとも１つの縫合材料または類似の材料の保持ループ２５がステントグラフト１３の材料に係合され、他方端ではリリースワイヤのまわりを回って、そこでカプセル７内のアパーチャ２３に入る。

図２には２つの保持ループ２５が見え、それらは実質的に互いに正反対に位置して、ステントグラフト１３の遠位端の材料に係合する。２つの保持ループ２５をステントグラフト１３上で実質的に互いに正反対に間隔を置くことによって、カプセルカテーテルに対するステントグラフト１３の望ましくない回転を防ぐことができる。実際には、ステントグラフト１３が配置装置に取り付けられ、リリースワイヤ１７が配置され、次に、ステントグラフトのグラフト材料にある長さの縫合材料が縫い合わされてリリースワイヤ１７のまわりを通り、次に結ばれてループ２５を形成する。

図４に見られるように、リリースワイヤはハンドル３４（図１を参照）上のトリガワイヤ解放機構３２の動作によってイントロデューサ装置から取除かれ、したがってループ２５はもはやリリースワイヤによって保持されず、露出したステント１１のループ１９も保持されない。

したがってこの段階で、カプセルカテーテル５はガイドワイヤカテーテル３に対して動かされることができ、図５の状態が生じる。この段階では、露出したステント１１は内部凹部９を出て、カプセル７内で部分的に係合から解放され、ステントグラフト１３の遠位端は最も遠位の自己拡張型ジグザグステント３０の作用下で拡張を始める。露出したステント１１上のバーブ２７はここで露出される。

図６は、完全に拡張したステントグラフト１３の部分を示す。露出したステント１１は
拡張しており、そのため、カプセル７内にあるため早まって患者の血管を係合し得ないバーブ２７がここで解放され、選択された場所にステントグラフトを保持することができるよう血管を係合する。保持ループ２５は依然ステントグラフト１３と係合しており、ステントグラフトとともに残ることに注意されたい。しかしながら、それらはステントグラフトの外部にあるので、ステントグラフトを通る血流を妨害しない。

この構成によって、一般に、ステントグラフト上の露出したステントは、本発明の安全保持ループの使用によってカプセル内に保持されるので、カプセルに対する長手方向の動きまたは回転を防ぐことが理解される。

本発明のこの実施例は、ステントグラフト上の遠位へ延在する露出したステント、および、カプセルカテーテル上のカプセルに対して近位に面する開口部を備えたカプセルカテーテルに関して示されている。しかしながら、別の実施例では、カプセルは遠位へ開いていてもよく、ノーズコーン拡張器および近位へ延在する露出したステントグラフト上のステントに関連付けられてもよいことが認識される。このような構成は図７に示される。

図７は、配置装置の近位端領域の断面の詳細を示す。配置装置４０は、ノーズコーン拡張器４４を近位端に備えたガイドワイヤカテーテル４２を有する。ノーズコーン拡張器４４の遠位端には遠位へ開くカプセル４６がある。ステントグラフト４８の近位端４７は、カプセル４６に受取られている近位へ延在する露出したステント５０によって抑制される。トリガリリースワイヤ５２は、解放機構（示されない）からステントグラフト４８を通り、カプセルのアパーチャ５４を通ってカプセルの外へ延在し、別のアパーチャ５６を通って再び戻り、ノーズコーン拡張器４４内で終了する前に、近位へ延在する露出したステント５０のループ５９のうちの１つを通過する。保持ループ５８は、トリガリリースワイヤがアパーチャ５４においてカプセル４６から出るところでトリガリリースワイヤを回り、ステントグラフト４８の材料と係合する。保持ループ５８は、好ましくはある長さの縫合材料から形成される。この保持ループ５８は、トリガリリースワイヤ５２が除去されるまで、ステントグラフト４８が長手方向に動いたりカプセル４６に対して望ましくない回転をしたりすることを防ぐ。

本願明細書全体を通じて、この発明の範囲に関してさまざまな表示がなされてきたが、この発明はこれらのいずれかに限定されるものではなく、組合されたこれらのうちの２つ以上にあり得る。これらの例は、限定ではなく例示のためだけに提供される。

この明細書および添付の特許請求の範囲全体を通じて、文脈に特に規定のない限り、「含む（“comprise”および“include”）」という語、ならびに「含んでいる（“comprising”および“including”）」などの変形例は、規定された完成体または完成体のグループを含むことを意味するが、その他の完成体または完成体のグループを除外することを意味するものではないことが理解されるだろう。

本発明の一実施例を組み込んだステントグラフト配置装置を示す。 配置プロセス中のあるステージにおける配置装置の部分を示す。 図１に示される実施例の断面図を示す。 図２の構成であるがリリースワイヤが引込められた図を示す。 図３の実施例であってカプセルが部分的に後退した図を示す。 配置されたステントグラフトの部分、特にステントグラフトになおも残る保持ループを示す。 ステントグラフト上で近位に延在する露出したステントに適した、本発明の代替的実施例を示す。

Claims (10)

1. 配置装置に保持されたステントグラフトと組合される、配置装置にステントグラフトを保持するための保持システムであって、
   前記ステントグラフトは、少なくとも１つの端部において露出したステントを有し、配置装置は、配置中前記露出したステントを受取るためのカプセルと、前記露出したステントを解放するために前記露出したステントに対して前記カプセルを動かすための構成とを含み、
   前記保持システムは配置装置と関連付けられたリリースワイヤを含み、前記カプセル内で前記露出したステントの部分を係合して前記露出したステントをカプセルに保持し、前記カプセルはアパーチャを有し、さらに、前記ステントグラフトの一端と係合する、前記露出したステントとは別の少なくとも１つの保持ループを含み、前記リリースワイヤは前記保持ループを通過して、前記リリースワイヤが前記カプセル内の前記露出したステントとの係合および前記少なくとも１つの保持ループとの係合から解除されるまで、前記カプセルが前記露出したステントから外れるのを防ぎ、
   前記リリースワイヤは前記カプセルの前記アパーチャを通り、少なくとも１つの保持ループは、前記リリースワイヤが前記カプセルの前記アパーチャから出るところでリリースワイヤに係合される、保持システム。
2. ステントグラフトの正反対の両側に位置決めされる２つの保持ループがあり、それにより早すぎる解放を防ぐとともにさらにステントグラフトと配置装置との間の相対的な回転をも防ぐ、請求項１に記載の保持システム。
3. 露出したステントは、遠位へ延在する露出したステントである、請求項１に記載の保持システム。
4. 露出したステントは、近位へ延在する露出したステントである、請求項１に記載の保持システム。
5. 少なくとも１つの保持ループは、配置後にステントグラフトとともに残る、請求項１に記載の保持システム。
6. 本発明のステントグラフトのカバーが形成され得るグラフト材料は、生体適合性のある合成材料、延伸ポリテトラフルオロエチレン（ｅＰＴＦＥ）、天然由来の生体材料、またはコラーゲンの細胞外基質（ＥＣＭ）材料を含むグループから選択される、請求項１に記載の保持システム。
7. ステントグラフト配置装置であって、そこに保持されたステントを含み、前記ステントグラフト配置装置は、配置カテーテルと、この配置カテーテルの近位端において近位へ開いたカプセルとを含み、ステントグラフトの遠位端から露出したステントは前記カプセルに受取られ、
   前記ステントグラフト配置装置はさらに、前記ステントグラフトの前記露出したステントを前記カプセル内で係合するトリガワイヤを含むトリガワイヤ解放機構と、前記トリガワイヤを前記カプセルに係合するために前記ステントグラフトから延在する保持構成とを含み、前記保持構成は、前記露出したステントとは別の、前記ステントグラフトの前記遠位端と係合する少なくとも１つの縫合材料のループを含み、
   前記ステントグラフトの前記露出したステントは、前記トリガワイヤが取除かれて前記少なくとも１つの縫合材料のループが解放されるまで前記カプセルから外れることができない、ステントグラフト配置装置。
8. ステントグラフトからカプセルのトリガワイヤまで延在する保持構成は２つの縫合材料のループを含み、ループは、ステントグラフトの正反対の両側にステントグラフトを係合する、請求項７に記載のステントグラフト配置装置。
9. ステントグラフト配置装置であって、そこに保持されるステントグラフトを含み、
   前記ステントグラフト配置装置は、その近位端におけるノーズコーン拡張器まで延在する配置カテーテルと、ノーズコーン拡張器の遠位端で遠位へ開いたカプセルとを含み、近位へ延在する前記ステントグラフトの近位端から露出したステントがカプセル内に受取られ、さらに、
   前記ステントグラフト配置装置は、前記ステントグラフトの前記露出したステントを前記カプセルで係合するトリガワイヤを含むトリガワイヤ解放機構と、トリガワイヤをカプセルに係合するために、前記ステントグラフトから前記カプセルの前記トリガワイヤまで延在する保持構成とを含み、前記保持構成は、前記ステントグラフトの前記近位端と係合する、前記露出したステントとは別の少なくとも１つの縫合材料のループを含み、前記露出したステントは、前記トリガワイヤが取除かれて前記保持構成が解放されるまで前記カプセルから外れることができない、ステントグラフト配置装置。
10. ステントグラフトからカプセルのトリガワイヤまで延在する保持構成は２つの縫合材料のループを含み、ループは、ステントグラフトの正反対の両側にステントグラフトを係合する、請求項９に記載のステントグラフト配置装置。

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