以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[複合機10]
図1を参照して、複合機10の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。なお、図1には、ベースユニット200にインクカートリッジ100が装着された状態が示されている。
複合機10は、中段に配設されたインクジェット記録方式のプリンタ部12(本発明の画像記録装置の一例)と、上段に配設されたスキャナ部13と、スキャナ部13に載置された原稿を搬送するADF15と、下段に配設された増設トレイ14とを備えた多機能装置である。複合機10に接続されたコンピュータや外部記憶装置或いはスキャナ部13からプリンタ部12に印刷データが送信されると、該印刷データに基づいて用紙に画像が記録される。
図1に示されるように、プリンタ部12の筐体17に、開口19が設けられている。この開口19は、筐体17の前面の中央付近に設けられている。開口19の内部に、用紙を収容するための給紙トレイ21が装着されている。なお、給紙トレイ21の上面には排紙トレイ(不図示)が形成されており、該排紙トレイに記録済の用紙が排紙される。
複合機10の前面上部には、プリンタ部12やスキャナ部13などを動作させるための操作パネル16が設けられている。操作パネル16の表面25は、水平面から所定角度だけ装置前方下側へ傾斜されている。操作パネル16は、各種動作に対応して設けられた複数の押釦スイッチ26と、複合機10に関する各種情報を表示する液晶ディスプレイ27とを備える。液晶ディスプレイ27は、表面25の中央に配置されている。この液晶ディスプレイ27は、所謂チルト機構によって、表面25に対して倒伏する倒伏姿勢と表面25に対して起立する起立姿勢との間で任意の姿勢を保持することができる。複数の押釦スイッチ26は液晶ディスプレイ27の左右側のスペースに適宜配置されている。複合機10は、操作パネル16から入力された各種指示に基づいて動作される。複合機10が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機10は動作される。
筐体17の前面の幅方向の右端付近に、開口24が設けられている。開口24から筐体17の内部側にベースユニット200(本発明の装着部の一例)が設けられている。ベースユニット200は、図1に示されるように、筐体17の内部において前面側に配置される。このベースユニット200は、カートリッジ装着部202(図7参照)を備える。カートリッジ装着部202に各色のインクカートリッジ100(本発明のインクカートリッジの一例)が挿抜可能に支持される。本実施形態では、ベースユニット200には、4つのインクカートリッジ100を収容可能なカートリッジ装着部202が設けられている。
各インクカートリッジ100には、プリンタ部12で使用可能なインクが収容されている。具体的には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクが、対応するインクカートリッジ100に収容されている。これらインクカートリッジ100に収容された各色のインクは、ベースユニット200を介して図示しない記録ヘッドへ供給される。インクカートリッジ100及びベースユニット200の詳細な構成については後述する。
ところで、市場においては、同じ色のインクが収容されたインクカートリッジ100であっても、インク容量の異なる2種類のインクカートリッジ100が流通している。例えば、インク消費量の多いヘビーユーザ向けに製作された大容量タイプや、一般消費者向けに製作された標準タイプなどが販売されている。上記大容量タイプは、インクの初期容量が多いもの、つまり、インクが予め標準量よりも多く収容されたものである。上記標準タイプは、インクの初期容量が標準的な量のもの、つまり、初期容量が上記大容量のものよりも少ないものである。本実施形態では、前者の大容量タイプのものをインクカートリッジ100Aとし、後者の標準タイプのものをインクカートリッジ100Bとする。複合機10においては、2種類のインクカートリッジ100A,100Bそれぞれがベースユニット200のカートリッジ装着部202に装着可能なように、各インクカートリッジ100A,100B、及びベースユニット200が構成されている。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、インクカートリッジ100A及びインクカートリッジ100Bを総じてインクカートリッジ100と称する。
また、複合機10には、ベースユニット200に装着されたインクカートリッジ100の種類を判定する機能(種類判定機能)が備えられている。この種類判定機能は、複合機10が備える主制御部250(図12参照)によって具体的に実現される。かかる機能の詳細については後述する。
[インクカートリッジ100A]
以下、図2から図5を参照して、インクカートリッジ100Aについて説明する。ここに、図2は、インクカートリッジ100Aの外観構成を示す斜視図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図3は、インクカートリッジ100Aの側面図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図4は、本体40の構成を示す斜視図であり、(A)には、本体40の前面34側から見た斜視図が示されており、(B)には、本体40の後面35側から見た斜視図が示されている。図5は、図4における切断線V−Vの断面図である。なお、インクカートリッジ100Bは、後述するスライダ41の被検知部185の形態がインクカートリッジ100Aと相違しており、その他の構成は両者ともに共通している。インクカートリッジ100Bの上記相違点については後段で詳述する。
図2及び図3に示されるように、インクカートリッジ100Aは、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ100Aは、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が上記幅方向よりも長い略直方体形状に形成されている。このインクカートリッジ100Aは、図2及び図3に示された起立状態、つまり、図中の下側の面を底面とし、図中の上側の面を天面としてベースユニット200(図7参照)に対して矢印30で示される方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入される。
インクカートリッジ100Aは、大別して、内部にインクが収容される本体40(図4参照)と、スライダ41と、本体カバー42とを備えている。インクカートリッジ100Aの外装はスライダ41及び本体カバー42によって概ね構成されている。本体40は、スライダ41及び本体カバー42で覆い隠されている。なお、本実施形態では、本体40、スライダ41及び本体カバー42は樹脂材料により構成されている。樹脂材料としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどが該当する。
本体カバー42は、本体40(図4参照)の概ね全体を覆う。詳細には、この本体カバー42によって、本体40の上面36(図4参照)の一部と本体40の前面34(図4参照)とを除く大部分が覆われる。これにより、本体40の大部分、特に本体40の側面38,39(図4参照)が外部からの衝撃などから保護される。なお、本体カバー42の構成は本発明に関係しないため、ここではその詳細な説明を省略する。
スライダ41は、図示しないコイルバネを介して本体40に取り付けられている。本体カバー42が本体40(図4参照)に装着された状態で本体カバー42の挿入方向30の前方側の前方部46と、本体40の前面34(図4参照)とがスライダ41によって覆われる。スライダ41は、インクカートリッジ100Aの奥行き方向(矢印33の方向)へスライドするように構成されている。図2(A)及び図3(A)には、スライダ41が本体40の挿入方向30の前面34(図4参照)から最も離された第1位置にある状態が示されており、図2(B)及び図3(B)には、スライダ41が本体40の前面34に最も近づけられた第2位置にある状態が示されている。なお、スライダ41の構成については後述する。ただし、スライダ41をスライドさせる機構は本発明に関係しないため、本実施形態ではその詳細な説明を省略する。
[本体40]
以下、インクカートリッジ100Aの本体40について説明する。図4に示されるように、本体40は、インクカートリッジ100Aと概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。本実施形態では、図4に示されるように、本体40において、挿入方向30の前方側の面を前面34、挿入方向30の後方側の面を後面35、鉛直上方側の面を上面36、鉛直下方側の面を下面37とする。また、前面34、後面35、上面36、下面37それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を側面38,39とする。後面35から見て左側が左側面38であり、右側が右側面39である。これら一対の側面38,39が本体40において最大面積となっている。なお、本実施形態では、上記各面34〜39は、特定の平面を示すものではなく本体40が正面に向けられたときに現れる面全体を示すものとして定義される。
本体40は、大別して、フレーム50と、アーム70と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、フレーム50に溶着された薄肉状の透明なフィルム(不図示)とにより構成されている。なお、図4では、上記フィルムの図示が省略されている。
フレーム50は、本体40の筐体を構成する部材である。フレーム50は、本体40の六面34〜39を形成する。したがって、本体40の六面34〜39は、フレーム50の六面に一致する。以下において、本体40の各面に付された符号を用いてフレーム50の各面を示す。
フレーム50は、透光性のある部材、例えば、透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。このフレーム50は、樹脂材料を射出成形することにより得られる。樹脂材料としては、ポリアセタールやナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが該当する。
図4に示されるように、フレーム50は、外周壁51と、複数の内壁52とを備える。内壁52は、外周壁51の内側に配設されている。外周壁51及び内壁52は、フレーム50として一体に形成されている。外周壁51及び内壁52は、本体40の左側面38から右側面39に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面34、上面36、後面35、下面37に概ね沿って環状に配設されている。これにより、フレーム50の左側面38に開口57が形成され、右側面39に開口58が形成される。
上記フィルムは、フレーム50の両側面38,39(図4の左右の2面)側の縁部、つまり、外周壁51の側面38,39側の外縁部分に、周知の熱溶着法によって溶着される。上記フィルムによって開口57,58が閉塞される。これにより、外周壁51と上記フィルムとによって囲まれた空間がインク室102として区画される。このように区画されたインク室102にインクが収容される。なお、本実施形態では、フレーム50と上記フィルムとによってインク室102が形成されているが、例えば、フレーム50自体を直方体の容器状に形成することによってその内部にインク室102が形成されたものであってもよい。
内壁52は、外周壁51で囲まれた領域内に配設されている。この内壁52における側面38,39側の外縁部分にも上記フィルムが溶着される。これにより、上記フィルムの弛みを抑制することができる。また、スライダ41及び本体カバー42が本体40側に変形したとしても、内壁52によってスライダ41及び本体カバー42の変形が規制される。
図4に示されるように、フレーム50の後面35にインク注入部148が設けられている。インク注入部148は、後面35からインク室102側へ穿設された略円筒状の孔である。インク注入部148は、その奥部でインク室102に連通している。このインク注入部148は、インクをインク室102に注入するためのものであり、インク注入部148を通じてインク室102へインクが流入する。インク注入部148は、後面35の下端付近においてフレーム50と一体に形成されている。インクがインク室102に注入されると、インク注入部148は、ゴム栓などによって密封される。
フレーム50の前面34には、検知部140が形成されている。検知部140は、インク室102に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知部140は、フレーム50に一体に形成されている。したがって、検知部140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知部140は、外部からの光を透過することができる。
フレーム50の前面34には、検知部140が形成されている。検知部140は、インク室102に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知部140は、フレーム50に一体に形成されている。したがって、検知部140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知部140は、外部からの光を透過することができる。
検知部140は、略直方体形状を呈している。検知部140は、本体40の前面34の中段付近から本体40の外部へ向けて突設されてる。この検知部140は、略矩形状の5つの壁面で区画され、内部が中空状の略箱状に形成されている。具体的には、検知部140は、前面34に平行で、この前面34から外向きに所定距離だけ離間した矩形状の前壁140Aと、この前壁140Aの幅方向の二辺を含む一対の側壁140Bと、前壁140Aの上辺を含む上壁140Cと、前壁140Aの下辺を含む下壁140Dとにより区画されている。なお、前壁140Aの幅(図4の矢印31方向の寸法)は、前面34の幅よりも細く形成されている。
図5に示されるように、検知部140の内部には、前壁140A、側壁140B、上壁140C及び下壁140Dによって囲まれた空間142が形成されている。検知部140のインク室102側には壁は設けられておらず、空間142がインク室102へ連続して通じている。
検知部140は、ベースユニット200(図7参照)にインクカートリッジ100Aが装着された際に、ベースユニット200に取り付けられたフォトインタラプタなどの光センサ181(図7参照)の光路183(図9参照)に挿入される。検知部140の下部に照射領域144(図4において点線で囲まれた領域)が定めされている。検知部140は、照射領域144と光路183とが交差するように挿入される。照射領域144に、光センサ181から出射された光が照射される。光センサ181は、発光素子及び受光素子を有する。本実施形態では、発光素子から出射された光が照射領域144に照射される。
本体40の内部、つまりインク室102にアーム70が設けられている。アーム70は、インク室102に収容されたインクの液量を検知するための部材である。アーム70は、遮光性のある樹脂材料で構成されている。アーム70は、外周壁51の幅方向(矢印31の方向)の中心に立設されたリブ74に揺動可能に支持されている。アーム70の一端には、浮力体としての役割を担うフロート部73(本発明の第2端部の一例)が設けられている。フロート部73は、インク室102内のインク量の応じて上下に変位する。アーム70の他端には、検知部140内に配置されるインジケータ部72が設けられている。
インク室102内のインク量に応じてフロート部73が上下に変位すると、アーム70が揺動し、その揺動動作に応じてインジケータ部72が空間142内で上下に移動する。具体的には、フロート部73が上昇すると、インジケータ部72が空間142の下方へ移動する。インジケータ部72が検知部140の下壁140Dに到達すると、インジケータ部72は、下壁140Dに当接した第1姿勢(図5の実線で表された姿勢)となる。このとき、インジケータ部72は、検知部140の照射領域144(図4において破線で囲まれた部分)の内側に配置される。これにより、照射領域144を透過しようとする光がインジケータ部72によって遮蔽される。
一方、インクが所定量未満になってフロート部73が下降すると、インジケータ部72が空間142の上方へ移動する。インジケータ部72が検知部140の上壁140Cに到達すると、インジケータ部72は、上壁140Cに当接した第2姿勢(図5の破線で表された姿勢)となる。このとき、インジケータ部72は、照射領域144の内側から外れた位置に配置される。この第2姿勢において、光センサ181から照射領域144へ向けて出射された光は、インジケータ部72に遮られることなく検知部140を透過する。空間142におけるインジケータ部72の状態変化を光センサ181から出力される信号のレベルに基づいて監視することで、インク室102内のインクが所定量以下であるかどうかを検知することができる。
図5に示されるように、フレーム50の前面34の上部、言い換えれば、検知部140の上方に、大気連通バルブ80が設けられている。大気連通バルブ80は、前面34に形成された開口82からインク室102に至る空気通路55を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。この大気連通バルブ80は、例えば、空気通路55内でスライド可能に支持されたバルブ本体87、バルブ本体87を付勢するバネ86、開口82の周縁に設けられたシール部材83、バルブ本体87に連結されたロッド84、シール部材83を固定するためのキャップ85などによって構成されている。キャップ85及びシール部材83には貫通孔(不図示)が設けられている。これら貫通孔によって、空気通路55と外部とを連通する大気連通口81が形成される。この大気連通口81にロッド84が挿通されて外部に露出されている。ロッド84が押圧されると大気連通口81が開放されて、インク室102と大気とが同圧となる。なお、大気連通バルブ80は任意の構成であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
フレーム50の前面34の下部、言い換えれば、検知部140の下方に、インク供給バルブ90が設けられている。インク供給バルブ90は、前面34に形成された開口92からインク室102に至るインク通路54を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。このインク供給バルブ90は、例えば、インク通路54でスライド可能に支持されたバルブ本体97、バルブ本体97を付勢するバネ96、開口92の周縁に設けられたシール部材93、シール部材93を固定するためのキャップ95などによって構成されている。キャップ95及びシール部材93には貫通孔(不図示)が設けられており、これら貫通孔によって、インク通路54と外部とを連通するインク供給口91が形成される。このインク供給口91に管状のインクニードル209(図7参照)が挿入されると、インク通路54とインクニードル209の内孔とが連通する。これにより、プリンタ部12へインクを供給することが可能となる。なお、インク供給バルブ90は任意の構成であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図5に示されるように、空気通路55の上側にバネ収容室110が形成されている。また、インク通路54の下側にバネ収容室111が形成されている。バネ収容室110,111は、フレーム50の前面34からインク室102側へ穿設された略円筒状の孔である。バネ収容室110,111には、スライダ41を挿入方向30へ弾性的に付勢するためのコイルバネ(不図示)が収容される。なお、バネ収容室110,111の位置や孔の外径寸法又は深さ寸法などは、収容されるバネの仕様に応じて適宜決定される要素である。
図4及び図5に示されるように、フレーム50の上面36に、台状に形成された台状部124が設けられている。この台状部124は、上面36における奥行き方向(矢印33の方向)の中間部分から挿入方向30の後方へ延出されている。この台状部124は、本体40が本体カバー42で覆われた状態で、本体カバー42の上面に設けられた開口128(図2参照)から外部に露出される。なお、台状部124の後端は後面35に達していない。
台状部124には、該台状部124から上方へ突出するストッパ125が設けられている。ストッパ125は、台状部124において挿入方向30の前方側の端部に設けられている。ストッパ125は、台状部124から垂直な垂直壁126と、垂直壁126の上端から概ね45度の角度で挿入方向30の前方側の上面36へ傾斜する傾斜リブ127とからなる。このストッパ125は、インクカートリッジ100Aがベースユニット200に装着されたときに、ベースユニット200からインクカートリッジ100Aが抜け落ちないようにインクカートリッジ100Aを固定するためのものである。インクカートリッジ100Aの固定は、ストッパ125と後述するロックレバー230(図7参照)との係合により達成される。
[スライダ41]
以下、スライダ41の構成について説明する。
図2及び図3に示されるように、スライダ41は、本体40に本体カバー42が装着された状態で、本体カバー42の前方部46とともに本体40の前面34(図4参照)側を収容可能な容器形状に形成されている。このスライダ41は、前方部46及び前面34の外形に対応して扁平形状に形成されている。具体的には、スライダ41は、前面34に対応する前壁161と、前方部46の上面に対応する上壁163と、前方部46の下面に対応する下壁164と、前方部46の両側面に対応する左側壁165及び右側壁166とを有する。これら各壁によって囲まれた空間が前方部46及び前面34を収容する収容空間である。
左側壁165及び右側壁166は、前壁161から本体40の奥行き方向(矢印33の方向)へ延出されており、前方部46の上から本体40の左側面38及び右側面39を覆っている。したがって、後述するようにスライダ41が本体40に対してスライドする際に、前方部46の両側面がスライダ41のスライド方向を案内するガイド面となる。これにより、スライダ41のスライド動作が円滑となる。
スライダ41は、インクカートリッジ100の種類を検知するための被検知部185と、インクカートリッジ100の装着の有無を検知するための被検知部186と、切り欠き187と、開口177と、開口178とを有する。
図2及び図3に示されるように、切り欠き187は、前壁161の中段付近に形成されている。切り欠き187は、スライダ41が本体40に装着されたときに、検知部140を外部へ露出するための覗き窓になる。したがって、切り欠き187は、検知部140の前壁140A、側壁140Bに対応する位置、寸法及び形状に形成されている。具体的には、切り欠き187は、側壁165及び側壁166を前壁161側から挿入方向30の後方へ矩形状に切り欠かれることにより形成される。ベースユニット200にインクカートリッジ100Aが装着されたときに、後述する光センサ181(図7参照)の発光素子及び受光素子が切り欠き187に対向して配置される。したがって、インクカートリッジ100Aが装着された状態において、上記発光素子から出射された光が、切り欠き187を通過して検知部140の側壁140Bに照射される。
被検知部185は、ベースユニット200にインクカートリッジ100Aが装着される過程において、ベースユニット200に設けられた後述する光センサ181の光路183(図9参照)に進入する部分である。この被検知部185は、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部185は、前壁161の中段付近に設けられている。
被検知部185は、前壁161から挿入方向30へ突出されたブリッジ部189を有する。ブリッジ部189は、前壁161において、切り欠き187を上下方向へ架け渡すように設けられている。ブリッジ部189は側壁191を有する。側壁191は、ブリッジ部189の側方(矢印31の方向)の端部から前壁161と概ね同一の面まで延出されている。ブリッジ部189と切り欠き187とによって、側面視で矩形状の開口190が形成される。
被検知部186は、ベースユニット200にインクカートリッジ100Aが装着される過程において、ベースユニット200に設けられた後述する光センサ182の光路184(図9参照)に進入する部分である。この被検知部186は、被検知部185と同様に、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部186は、上壁163の挿入方向30の先端に形成された凹陥部194の底面に立設されている。この被検知部186は、凹陥部194の底面から上方へ突出された板状のリブからなる。インクカートリッジ100Aの装着過程において被検知部186が光センサ182の光路184に挿入される。
図2に示されるように、前壁161の上部に開口177が設けられている。この開口177は、大気連通バルブ80に対応する位置に形成されている。開口177は、ベースユニット200に設けられた押圧部216(図9参照)が挿通可能なサイズに形成されている。インクカートリッジ100Aがベースユニット200に装着される過程において、押圧部216が開口177に挿通される。
前壁161の下部に、開口178が設けられている。この開口178は、インク供給バルブ90に対応する位置に形成されている。開口178は、インク供給バルブ90のキャップ95が挿通可能なサイズに形成されている。スライダ41が図2(A)に示される上記第1位置から図2(B)に示される上記第2位置にスライドすると、そのスライド過程において、キャップ95が開口178から外部へ露出される。これにより、ベースユニット200のインクニードル209(図7参照)がインク供給口91に挿入されやすくなる。なお、スライダ41が上記第2位置から上記第1位置にスライドすると、キャップ95がスライダ41内に没入される。
[インクカートリッジ100Bの構成]
次に、インクカートリッジ100Bについて説明する。なお、インクカートリッジ100Bは、インクカートリッジ100Aの被検知部185とは異なる形態の被検知部198が設けられている点においてインクカートリッジ100Aと相違し、その他の構成は共通する。したがって、以下においては、図6を参照して被検知部198について説明し、共通する他の構成については同符号を付して示すことによりその説明を省略する。ここに、図6は、インクカートリッジ100Bの構成を示す外観図であり、(A)に斜視図が示されており、(B)に側面図が示されている。
図6に示されるように、インクカートリッジ100Bのスライダ41には、被検知部198が設けられている。被検知部198は、ベースユニット200にインクカートリッジ100Bが装着される過程において、ベースユニット200に設けられた後述する光センサ181の光路183(図9参照)に進入する部分である。この被検知部198は、上述した被検知部185と同様に、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部198は、前壁161の中段付近に設けられている。
被検知部198は、前壁161から挿入方向30へ突出されたブリッジ部199を有する。ブリッジ部199は、前壁161において、切り欠き187を上下方向へ架け渡すように設けられている。ブリッジ部199と切り欠き187とによって、側面視で矩形状の開口197が形成される。ブリッジ部199は、上述した被検知部185のブリッジ部189とは異なり、薄肉の平板状部材で構成されている。したがって、開口197は、上述した開口190よりも幅寸法(矢印33で示す方向の長さ)が大きい。
[ベースユニット]
次に、図7から図9を参照して、ベースユニット200の構成について説明する。ここに、図7は、ベースユニット200の構成を示す斜視図である。図8は、ベースユニット200の平面図である。図9は、図8における切断線IX−IXの断面図である。
図7に示されるように、ベースユニット200は、前面に開口207を有する概ね容器状に形成されたフレーム204によってその筐体が形成されている。フレーム204の内部空間が、インクカートリッジ100を収容するためのカートリッジ装着部202である。このカートリッジ装着部202には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ100が収容可能である。
図7及び図9に示されるように、カートリッジ装着部202には、内部空間を縦方向に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート223が設けられている。このプレート223によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ100が収容される。プレート223は、カートリッジ装着部202の奥面に設けられている。プレート223は、上記奥面から開口207側へ立設されている。これらプレート223は、ベースユニット200の幅方向に配列されている。各プレート223は矩形状の切り欠き224を有する。切り欠き224は、後述する光センサ181の形状に対応するサイズに形成されており、具体的には、図9に示されるように、側面視で光センサ181よりも大きいサイズに形成されている。したがって、光センサ181がプレート223に接触することはない。
フレーム204の底面に、4つのガイド溝206が設けられている。これらガイド溝206は、インクカートリッジ100をカートリッジ装着部202の奥部まで円滑に案内するものである。ガイド溝206は、ベースユニット200の奥行き方向に真っ直ぐに延設されている。各ガイド溝206は、ベースユニット200の幅方向へ所定間隔を隔てて配列されている。最も左端部のガイド溝206は、他のガイド溝206に比べて幅が大きく形成されている。これは、他のインクカートリッジよりも幅広に形成されたブラックインクのインクカートリッジの挿入を可能とするためである。各インクカートリッジ100は、その下端がガイド溝206に沿って奥部へ案内されることで、カートリッジ装着部202に円滑に挿入される。
カートリッジ装着部202の奥面の下部に、インク供給口91と連結される連結部208が設けられている。連結部208は、奥面において、インクカートリッジ100のインク供給バルブ90に対応する位置に配置されている。本実施形態では、カートリッジ装着部202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの連結部208が設けられている。なお、図7では、最も右側に配置された連結部208がフレーム204の側壁によって隠されている。
連結部208は、インクニードル209と、保持部210とを有する。インクニードル209は、管状の樹脂針からなる。インクニードル209は、図9に示されるように、ベースユニット200の背面側で可撓性を有するインクチューブ212に接続されている。各インクニードル209から背面側へ引き出された各インクチューブ212は、ベースユニット200の背面において上方へ引き上げられたのち、プリンタ部12の図示しない記録ヘッドまで引き回されている。
保持部210は、凹陥状に形成されている。保持部210の中心にインクニードル209が配置されている。インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着されると、キャップ95(図2(B)参照)が保持部210の凹陥部に挿入される。このとき、キャップ95の周面が保持部210の凹陥部の内面に密着する。これにより、キャップ95と保持部210とが緩みなく連結される。
カートリッジ装着部202の奥面の上部に、大気連通バルブ80のロッド84を押圧するための押圧部216(図9参照)が設けられている。押圧部216は、奥面において、大気連通バルブ80に対応する位置に配置されている。本実施形態では、カートリッジ装着部202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの押圧部216が設けられている。押圧部216は、図9に示されるように、奥面に対して垂直に突出した突起状に形成されている。押圧部216の突出端には窪み217が形成されている。インクカートリッジ100がカートリッジ装着部202に装着される過程において、押圧部216が開口177に挿通されて、ロッド84の先端に当接する。このとき、ロッド84は窪み217によって確実に捉えられる。押圧部216から押圧力を受けると、ロッド84が後退して、大気連通口81が開放される。
カートリッジ装着部202の奥面において、連結部209の上側に光センサ181が設けられている。この光センサ181は、インクカートリッジ100の検知部140に対応する位置に配置されている。また、カートリッジ装着部202の天面の奥部に光センサ182(図9参照)が設けられている。この光センサ182は、インクカートリッジ100の被検知部186に対応する位置に配置されている。本実施形態では、カートリッジ装着部202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの光センサ181及182が設けられている。なお、図7では、最も右側に配置された光センサ181がフレーム204の側壁によって隠されている。
光センサ181は、インクカートリッジ100のインク室102内のインク量が所定量になったかどうかを検知する役割を担う。この光センサ181と後述する主制御部250(図12参照)とによって本発明の第1検知手段が具現化される。
また、光センサ182は、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100が装着されたかどうかを判定する役割を担う。更にまた、光センサ182は、カートリッジ装着部202に装着されるインクカートリッジ100の種類を判定する役割も担う。この光センサ182と後述する主制御部250(図12参照)とによって本発明の第2検知手段及び第3検知手段が具現化される。なお、光センサ181,182としては、発光素子及び受光素子を有する透過型のフォトインタラプタが用いられる。
光センサ181,182は、後述する主制御部250(図12参照)に接続されている。光センサ181の発光素子と受光素子との間に、発光素子から出射された光の通路である光路183が形成されている。また、光センサ182にも、同様の光路184が形成されている。本実施形態では、光路183に被検知部185が挿入されたときの光センサ181の出力信号(受光量)と、光路184に被検知部186が挿入されたときの光センサ182の出力信号(受光量)とに基づいて、主制御部250によってインクカートリッジ100の種類が判定される。また、光路183に検知部140が挿入されたときの光センサ181の出力信号(受光量)に基づいてインクの残量が所定量になったことが判定され、光路183に被検知部186が挿入されたときの光センサ182の出力信号(受光量)に基づいてインクカートリッジ100が装着されたかどうかが判定される。
フレーム204には、ロックレバー230が設けられている。ロックレバー230は、カートリッジ装着部202に装着されたインクカートリッジ100が脱落しないようにインクカートリッジ100を固定(ロック)するためのものであり、図7から図9に示されるように、フレーム204の開口207の上縁部205の付近に設けられている。本実施形態では、カートリッジ装着部202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つのロックレバー230が設けられている。このロックレバー230が設けられているため、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100が装着された状態を維持したまま、このインクカートリッジ100をカートリッジ装着部202に確実に固定することができる。
図9に示されるように、ロックレバー230は、全体がアーム状に形成されている。ロックレバー230の中央付近に支持軸232が設けられている。この支持軸232がフレーム204に軸支されている。これにより、フレーム204の上縁部205付近でロックレバー230が支持軸232を中心に回動可能に支持される。
ロックレバー230は、入力部234と、作用部236と、係合部243とにより構成されている。入力部234は、支持軸232から手前側に設けられており、作用部236は支持軸232から奥側に設けられている。入力部234は、上面に僅かな窪みを有する皿状に形成されている。そのため、手の指の腹で入力部234を下方へ押圧し易くなっている。
支持軸232から入力部234に至る部位の下端に、係合部243が設けられている。この係合部243は、入力部234が下方へ押圧された際にカートリッジ装着部202側へ降下して、インクカートリッジ100Aの上面を構成する部位に当接するよう構成されている。
作用部236の先端には、インクカートリッジ100のストッパ125に当接される当接部237が設けられている。当接部237の下部は、湾曲状に形成されている。作用部236は、支持軸232から当接部237に至って概ね真っ直ぐに形成されている。
ロックレバー230の上側に引きバネ219が設けられている。引きバネ219の奥側の一端は、当接部237の上方でフレーム204に固定されている。詳細には、フレーム204の上面に平板状のリブ221が立設されており、このリブ221から水平方向へ突出された掛け部239に引きバネ219の一端が掛け止めされている。一方、引きバネ219の手前側の一端は、支持軸232の上部から上方へ突出するL字状の掛け部241に掛け止めされている。掛け部241は、掛け部239よりも少し下方に位置している。引きバネ219は、所謂引っ張りバネとして用いられている。つまり、引きバネ219を伸張させて収縮方向へ力を発生させた状態で当該引きバネ219が掛け部239,241に固定されている。そのため、ロックレバー230は、図9において矢印245(図9の時計方向)へ回動する力を引きバネ219から受ける。なお、フレーム204の開口207の上縁部205によってロックレバー230の過度な回動が規制されている。したがって、入力部234に外力が加えられていない状態では、ロックレバー230は、上縁部205で矢印245方向の回動が規制された状態で保持されている。この状態で、入力部234は、概ね水平方向の姿勢に保持されている。本実施形態では、少なくとも、当接部237がカートリッジ装着部202側へ降下して、インクカートリッジ100の台状部124に当接することが可能な範囲内で、ロックレバー230は矢印245の方向へ回動する。
[インクカートリッジ100Aの装着動作]
以下、図10及び図11を参照して、ベースユニット200に対するインクカートリッジ100Aの着脱動作について説明する。ここに、図10及び図11は、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202に装着される過程を示す模式断面図である。図10には、インクカートリッジ100Aの非装着状態が示されており、図11には、インクカートリッジ100Aが装着されて固定された状態が示されている。
図10に示されるように、フレーム204の開口207からカートリッジ装着部202内へ向けてインクカートリッジ100Aが挿入すると、インクカートリッジ100Aの前端がロックレバー230の当接部237に当接する。このとき、インクカートリッジ100Aから力を受けて、当接部237が上方へ押し上げられる。これにより、ロックレバー230が引きバネ219の引っ張り力に抗して矢印246へ回動する。この回動動作に連動して、入力部234が若干下方へ傾けられる。つまり、入力部234が水平姿勢から傾斜姿勢へ変化する。
インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202の奥部へ進入すると、まず、スライダ41の被検知部185のブリッジ部189が光センサ181の光路183に進入する。次いで、被検知部186が光センサ182の光路184に進入する。なお、光路184に被検知部186が進入した時点において、光センサ181の光路183は、被検知部185が進入した状態にある。このとき、光路183において、発光素子から出射された光は、被検知部185の側壁191によって遮蔽される。
そして、更に、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202の奥部へ進入すると、スライダ41の前面がカートリッジ装着部202の奥面に当接する。このとき、被検知部185は、光センサ181の光路183から外れ、代わりに、開口190が光路183に進入した状態となる。なお、被検知部186は光路184に進入した状態を維持する。
また、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202の奥部へ進入する過程において、スライダ41の開口177に押圧部216が挿通される。
スライダ41がカートリッジ装着部202の奥面に当接した状態でインクカートリッジ100Aが挿入方向30へ押し付けられると、図示しないコイルバネがその付勢力に抗して圧縮される。これにより、スライダ41は、奥部に当接して静止したままの状態で、本体40だけが挿入方向30へ移動する。つまり、本体40がスライダ41に近づく方向へ移動する。これにより、スライダ41が、相対的に、第1位置(図2(A)参照)から第2位置(図2(B)参照)へ移動する。
本体40がスライダ41に最も近づく位置(第2位置)まで移動すると、つまり、本体40がカートリッジ装着部202の奥部まで挿入されると、図11に示されるように、ロッド84が押圧部216に当接する。ロッド84は押圧部216から受ける力によって押圧される。また、開口178からインク供給バルブ90のキャップ95が露出されて、インク供給口91にインクニードル209が挿通される。また、光センサ181の光路183及び開口190に、検知部140が進入する。この状態で、光センサ181は、検知部140を介してインク量を監視できる。
インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202の奥部まで挿入される過程において、ロックレバー230の先端にある当接部237は、上壁163から傾斜リブ127に至る部分を摺接しながら相対的にインクカートリッジ100Aの後方へ移動する。そして、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202の奥部まで挿入されたとき、つまり、カートリッジ装着部202に装着されたときに、当接部237がストッパ125を乗り越える。このとき、引きバネ219の引っ張り力を受けて作用部236が矢印245方向へ回動されて、当接部237が台状部124の上面へ移る。これにより、当接部237がストッパ125に当接する。そのため、コイルバネ48,49によって本体40が後方へ移動しようとしてもその移動が規制される。その結果、図11に示されるように、ベースユニット200に対してインクカートリッジ100Aが固定される。なお、図11に示されるように、当接部237が台状部124の上面にある状態で、入力部234は、略水平姿勢に戻る。
[主制御部250]
次に、図12を参照して、複合機10の主制御部250の概略構成を説明する。ここに、図12は、主制御部250の構成の概略を示すブロック図である。
主制御部250は、複合機10の全体動作を制御するものである。主制御部250は、図12に示されるように、CPU251、ROM252、RAM253(本発明の記憶媒体の一例)、EEPROM254、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)255を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。主制御部250内では、各部それぞれがバス257を介して通信可能に接続されている。なお、主制御部250によって、本発明の記憶手段、比較手段、第1出力手段、算出手段、及び第2出力手段が具現化される。
ROM252には、CPU251が複合機10の各種動作を制御するためのプログラムや、液晶ディスプレイ27にエラー情報やステータス情報などを表示出力するためのプログラムなどが格納されている。RAM253は、CPU251が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM254には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC255には、プリンタ部12が備えるヘッド制御基板260や、給紙装置や搬送装置などの駆動機器264を駆動させる駆動回路263などが接続されている。ヘッド制御基板260は、ASIC255から入力された信号(制御信号、画像信号)に基づいて、記録ヘッド261を駆動制御する。これにより、記録ヘッド260のノズルから所定のタイミングで各色インクが選択的に吐出される。また、駆動回路263によって、給紙装置や搬送装置などが所定のタイミングで駆動される。
主制御部250に液晶ディスプレイ27が接続されている。RAM253やEEPROM254内に記憶された情報や、CPU251の演算などによって得られた情報は、バス257を通じて液晶ディスプレイ27に出力される。これにより、上記各情報が液晶ディスプレイ27に表示される。
主制御部250に光センサ181が接続されている。光センサ181は、受光素子で受けた光の輝度(受光量)に応じた信号(以下「センサ信号」と称する。)を出力する。詳細には、光センサ181の発光素子で出射されて受光素子で受けた光の輝度に応じたアナログの電気信号(電圧信号又は電流信号)が光センサ181から出力される。出力されたセンサ信号は、主制御部250に入力されて、当該主制御部250において、その電気的レベル(電圧値又は電流値)が所定の閾値以上の場合にHIGHレベル信号と判定され、所定の閾値未満の場合にLOWレベル信号と判定される。本実施形態では、上記センサ信号は、光センサ181の光路183において光が遮蔽されている場合にLOWレベル信号と判定され、遮蔽されていない場合にHIGHレベル信号と判定される。
主制御部250に光センサ182が接続されている。光センサ182は、上述の光センサ181と同じ構成を有し、受光素子で受けた光の輝度(受光量)に応じたセンサ信号を出力するものである。この光センサ182の詳細な説明は省略する。
以下、図13を参照して、インクカートリッジ100が装着される過程における光センサ181及び光センサ182の信号レベルの変化について説明する。ここに、図13は、光センサ181及び光センサ182の信号レベルを示す時系列波形である。(A)及び(B)は、インクカートリッジ100Aの装着過程における時系列波形であり、(A)には、光センサ182の信号波形が示されており、(B)には、光センサ181の信号波形が示されいる。(C)及び(D)は、インクカートリッジ100Bの装着過程における時系列波形であり、(C)には、光センサ182の信号波形が示されており、(D)には、光センサ181の信号波形が示されいる。
図13の(A)及び(C)に示されるように、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100A,100Bのいずれが装着された場合でも、光センサ182は同じ信号波形を出力する。つまり、光センサ182の光路184に被検知部186が進入して光が遮蔽されると、時刻T1において、信号レベルがHIGHからLOWに変化する。
カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100Aが装着される場合は、その装着過程において、被検知部186が光路184に進入する前に、ブリッジ部189が光路183に進入する。これにより、光路183の光が遮蔽される(図13(B)の時刻T0)。このとき、光センサ181の信号レベルがHIGHからLOWに変化する。ブリッジ部189は側壁191を有するため、光を遮蔽する時間が比較的長い。本実施形態では、時刻T1において側壁191は光路184に進入している。したがって、時刻T1において、光センサ181の信号レベルはLOWを維持している(図13(B)参照)。
その後、インクカートリッジ100Aが更に奥部側へ挿入されると、時刻T2の時点で、側壁191は光路183を外れ、代わりに、開口190(図3参照)が光路183に進入する。このとき、光センサ181の信号レベルがLOWからHIGHに復帰する。そして、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202に完全に装着されると、光路183に、開口190及び検知部140が進入した状態となる(図13(B)の時刻T3参照)。この状態のときに、つまり、時刻T3のときに、検知部140の空間142内で上下動するインジケータ部72の動きが検知可能となる。なお、図13(B)では、光路183にアーム70のインジケータ部72が進入している場合の信号レベルが実線(LOWレベル)で示され、光路183からインジケータ部72が外れている場合の信号レベルが破線(HIGHレベル)で示されている。
一方、カートリッジ装着部202にインクカートリッジ100Bが装着される場合は、その装着過程において、被検知部186が光路184に進入する前に、ブリッジ部199が光路183に進入して光が遮蔽される(図13(D)の時刻T0)。このとき、光センサ181の信号レベルがHIGHからLOWに変化する。しかしながら、ブリッジ部199は薄い平板部材で形成されているため、上述のブリッジ部189が進入する場合に比べて、光を遮蔽する時間が短い。本実施形態では、少なくとも時刻T1に達するまでに、ブリッジ部189が光路183から外れて、時刻T1の時点では開口197(図6参照)が光路183に進入した状態となっている。したがって、時刻T1では、光センサ181の信号レベルはLOWからHIGHに復帰している(図13(D)参照)。
その後、インクカートリッジ100Bが更に奥部側へ挿入されると、光路183に開口197が進入する。そして、インクカートリッジ100Bがカートリッジ装着部202に完全に装着されると、光路183に、開口197及び検知部140が進入した状態となる(図13(D)の時刻T3参照)。この状態のときに、つまり、時刻T3のときに、検知部140の空間142内で上下動するインジケータ部72の動きが検知可能となる。なお、図13(D)では、光路183にインジケータ部72が進入している場合の信号レベルが実線(LOWレベル)で示され、光路183からインジケータ部72が外れている場合の信号レベルが破線(HIGHレベル)で示されている。
本実施形態では、光センサ181及び光センサ182それぞれのセンサ信号に基づいて、カートリッジ装着部202に装着されるインクカートリッジ100の種類が主制御部250によって判定される。以下、図14のフローチャートを参照しながら、カートリッジ装着部202に装着されるインクカートリッジ100が、インクカートリッジ100Aであるかインクカートリッジ100Bであるかを判定する種類判定処理の手順について説明する。ここに、図14は、主制御部250によって行われる種類判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、インクカートリッジ100の装着過程において、ブリッジ部(189,199)が検知されたかどうかが主制御部250によって判断される。かかる判断は、センサ181の光路183が遮蔽されたかどうかによって行われる。具体的には、光センサ181の信号レベルがHIGHからLOWに変化したかどうかによって判断される(図13(B),(D)の時刻T1参照)。ここで、ブリッジ部(189,199)が検知された、つまり、光路183が遮蔽されたと判断されると(S1のYes)、次のステップS2の判断処理が行われる。なお、本実施形態では、当該ステップS1において、ブリッジ部(189,199)が検知されない限り、当該種類判定処理は実行されない。
次のステップS2では、光センサ182の信号レベルがHIGHからLOWに変化したかどうかが主制御部250によって判断される。ステップS2において、光センサ182の信号レベルがLOWに変化したと判断されると(S2のYes)、ステップS3では、LOWに変化した時点(図13の時刻T1)における光センサ181の信号レベルがHIGHであるかLOWであるかが判断される。例えば、図13を参照すると、時刻T1における信号レベルがHIGHである場合は、インクカートリッジ100Bがカートリッジ装着部202に挿入されていると判定できる。また、時刻T1における信号レベルがLOWである場合は、インクカートリッジ100Aがカートリッジ装着部202に挿入されていると判定できる。
ステップS3において、光センサ181の信号レベルがHIGHであると判断された場合は(S3のYes)、インクカートリッジ100Bを示すビットフラグがCPU251のレジスタ等にセットされる(S4)。一方、ステップS3において、光センサ181の信号レベルがLOWであると判断された場合は(S3のNo)、インクカートリッジ100Aを示すビットフラグがCPU251のレジスタ等にセットされる(S5)。なお、CPU251は、セットされたビットフラグの状態に応じた情報、つまり、カートリッジ装着部202に装着されているインクカートリッジ100の情報を、複合機10にネットワーク接続された情報処理装置(パーソナルコンピュータ)や、複合機10が具備する液晶ディスプレイ27などに出力する。これを受けて、上記情報処理装置や液晶ディスプレイ27は、インクカートリッジ100の種類を認識して、上記情報を表示出力することができる。
上述したように、複合機10においては、主制御部250によって上記種類判定処理が実行されることで、ベースユニット200に装着されたインクカートリッジ100の種類を判定することが可能である。しかしながら、上記種類判定処理は、複合機10の起動にインクカートリッジ100の装着動作が行われた場合に限り、実行可能である。言い換えれば、電源が切断されるなどして複合機10が終了状態(例えば、断電状態、システム停止状態など)にあるときにインクカートリッジ100が交換され、その後に電源が投入されるなどして複合機10が再び起動(再起動)された場合は、主制御部250は、インクカートリッジ100の装着過程における光センサ181,182の信号変化を監視することができない。そのため、交換後のインクカートリッジ100の種類を判定することができない。この場合、交換後のインクカートリッジ100の種類を交換前の種類として認識することになる。このような誤った認識は、インクカートリッジ100の種類に基づいて行われる各種処理を正確に実行することができなくなる。
なお、インクカートリッジ100の種類に基づいて行われる各種処理とは、例えば、インクの初期容量の多いインクカートリッジ100Aとインクの初期容量の標準的なインクカートリッジ100Bとの容量の違いを認識して、インクの初期容量からインクの消費量を差し引いたインク残量をユーザ端末に表示出力する処理が該当する。また、同じブラックインクであっても異なるインク材料を用いている場合は、それらの違いを認識して、各インク材料に応じたインク吐出制御に変更する処理が該当する。また、インク色の違いを把握して、各色に応じたインク吐出制御に変更する処理が該当する。
本実施形態の複合機10では、複合機10が起動された際に、後述するように、再装着指示情報が表示出力される。これにより、複合機10の終了中にインクカートリッジ100が交換された場合でも、ユーザに再装着を促すことが可能となる。以下、図15のフローチャートを参照しながら、再装着指示情報の表示出力処理の手順について説明する。ここに、図15は、主制御部250によって行われる再装着指示情報の表示出力処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、インク消費動作が行われたかどうかが判断される。インク消費動作としては、印刷動作やパージ動作などが考えられる。印刷動作やパージ動作が行われたかどうかは、各動作指示が入力されたかどうかによって判断可能である。
インク消費動作が行われたと判断されると(S101のYes)、ステップS102では、インク室102内のインク量を検知する処理が行われる。上記検知処理は、光センサ181の信号レベルに基づいて行われる。そして、その検知結果をEEPROM254に記憶する処理が実行される。例えば、インクが所定量以上であることが検知された場合は、「インク有り」という検知結果が記憶され、所定量未満であることが検知された場合は、「インク無し」という検知結果が記憶される。
次のステップS103では、ステップS2における検知結果が、「インク有り」であるか「インク無し」であるかが判断される。ここで、上記検知結果が「インク無し」の場合(S103のNo)は、インクが空である旨の情報(エンプティ情報)と、インクカートリッジ100の交換を促す情報(交換指示情報)とが液晶ディスプレイ27に出力される(S104)。これにより、液晶ディスプレイ27に、上記各情報が表示される。もちろん、複合機10とネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に上記各情報を出力してもかまわない。なお、上記検知結果が「インク有り」の場合(S103のYes)は、ステップS101以降の手順が繰り返される。
次のステップS105では、インクカートリッジ100が交換されたかどうかが判断される。言うまでもないが、当該ステップS105の処理は主制御部250によって行われるため、当該判断処理は、複合機10が起動中に行われる。かかる判断は、光センサ182の信号レベルの変化に基づいて行われる。
インクカートリッジ100が交換された場合(S105のYes)は、ステップS106において、インクカートリッジ100の装着過程においてインクカートリッジ100の種類が判定されて(図14参照)、更に、インク量が所定量以上であるかどうかが判定される。本実施形態では、大容量タイプのインクカートリッジ100Aであるか標準タイプのインクカートリッジ100Bであるかが判定される。判定後は、各判定結果がRAM253に記憶される。これにより、一連の処理が終了する。
ステップS107では、複合機10が再起動されたかどうかが判断される。インクカートリッジ100の交換がなされないまま複合機10が再起動された場合(S107のYes)は、再起動の際に、具体的には起動が終了した直後にインクカートリッジ100が装着されているかどうかが判断される(S108)。つまり、カートリッジ装着部202におけるインクカートリッジ100の装着状態を判断する処理が行われる。かかる判断は、光センサ182の信号レベルに基づいて行われる。ここで、インクカートリッジ100が装着されていないと判断されると(S108のNo)、インクカートリッジ100が未装着であることを示す情報(未装着情報)と新しいインクカートリッジ100の装着を指示する情報(装着指示情報)とが液晶ディスプレイ27に出力される(S109)。もちろん、複合機10とネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に上記各情報を出力してもかまわない。なお、複合機10が再起動されない場合(S107のNo)は、ステップS105以降の手順が繰り返される。
ステップS108において、インクカートリッジ100が装着されていると判断された場合(S108のYes)は、次のステップS110で、ステップS102と同じ処理、つまり、インク室102内のインク量を検知する処理が行われ、その検知結果をRAM253に記憶する処理が実行される。その後、ステップS111において、ステップS103と同じ処理、つまり、ステップS110における検知結果が、「インク有り」であるか「インク無し」であるかが判断される。
ステップS111において、上記検知結果が「インク無し」の場合(S111のNo)は、ステップS104以降の手順が繰り返される。一方、上記検知結果が「インク有り」の場合(S111のYes)は、ステップS112において、ステップS102でEEPROM254に記憶された検知結果(本発明の第1検知結果に相当)とステップS110で記憶された検知結果(本発明の第2検知結果に相当)とを比較する処理が行われる。つまり、再起動される前にEEPROM254に記憶されていた検知結果と再起動された後に検知された検知結果とを比較する処理が行われる。具体的には、前者の検知結果と後者の検知結果との間で、検知結果が「インク無し」から「インク有り」に変わったかどうかが比較判断される。かかる判断によって、複合機10が終了中にインクカートリッジ100が交換されたかどうかを判定することが可能となる。つまり、検知結果が「インク無し」から「インク有り」に変化したことをもって、新しいインクカートリッジ100に交換されたことが判定可能である。
ステップS112において、検知結果が異なり一致しない場合、つまり、検知結果が「インク無し」から「インク有り」に変わったと判断されると(S112のYes)、次のステップS113において、インクカートリッジ100の再装着を指示する情報(再装着指示情報)が液晶ディスプレイ27に出力される。もちろん、複合機10とネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に上記再装着指示情報を出力してもかまわない。その後、ステップS104以降の手順が繰り返される。
このように、上記再装着指示情報が液晶ディスプレイ27や情報処理装置に表示されるため、ユーザに対してインクカートリッジ100の再装着を促すことができる。ユーザが、上記再装着指示情報にしたがって複合機10の起動中にンクカートリッジ100を装着し直すと、再装着される過程において、インクカートリッジ100の種類を判定することができる。
本実施形態では、インクカートリッジ100の種類として、大容量タイプのインクカートリッジ100Aであるか標準タイプのインクカートリッジ100Bであるかが判定可能である。当該複合機10においては、判定されたインクカートリッジの種類に応じて、インク残量の表示を示す情報(インク残量情報)が生成されて、このインク残量情報が液晶ディスプレイ27や外部接続された情報処理装置に出力される。
具体的には、図16のフローチャートの各手順に沿って行われる。ここに、図16は、主制御部250によって行われるインク残量出力処理の手順の一例を示すフローチャートである。インクカートリッジ100が交換されると、まず、上記ステップS106で判定されたインクカートリッジ100の種類に応じたインクの初期容量を特定する処理が行われる(S201)。例えば、インクカートリッジ100A,100Bそれぞれに対応する初期容量を示すテーブルデータが予めEEPROM254内に格納されており、このテーブルデータに基づいて、装着されたインクカートリッジ100の初期容量を特定する。
続いて、インク消費動作が行われたかどうかが判断される(S202)。そして、インク消費動作が行われた場合(S202のYes)は、インク消費動作の実行回数がカウントされて、カウンタメモリ(不図示)に記憶される(S203)。その後、カウンタメモリに記憶されたカウント値に応じた消費量が算出される(S204)。続いて、上記初期容量からステップS204で算出された消費量が減算されて(S205)、その減算結果がインク残量として液晶ディスプレイ27や外部接続された情報処理装置に出力される(S206)。
このように、本実施形態では、インクカートリッジ100の種類としてインク室102内の初期容量を確実に把握することができるため、上述の如く初期容量に基づいて正確なインク残量を算出し、正確なインク残量を表示出力することができる。
なお、上述の実施形態では、主制御部250によって種類判定処理、再装着指示情報の表示出力処理、インク残量表示処理を行うこととしたが、例えば、上記各処理を実行可能なように各種電子部品が組み込まれた論理回路やICなどを用いることも可能である。また、上述の実施形態では、インクカートリッジ100Aとインクカートリッジ100Bの2種類を判定する処理例を例示したが、例えば、本発明の変形例として、3種類以上のインクカートリッジ100から特定のインクカートリッジを判定することも考えられる。また、顔料で構成された黒色のインクカートリッジ及び染料で構成された黒色のインクカートリッジの双方を備える記録装置においては、異なる成分の黒色インクの混色や誤装着などを防止するために、前者のインクカートリッジと後者のインクカートリッジとを判別するべく、本発明の種類判定処理を適用してもよい。