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JP4844573B2 - 燃料供給ポンプ - Google Patents

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JP4844573B2 JP2008023094A JP2008023094A JP4844573B2 JP 4844573 B2 JP4844573 B2 JP 4844573B2 JP 2008023094 A JP2008023094 A JP 2008023094A JP 2008023094 A JP2008023094 A JP 2008023094A JP 4844573 B2 JP4844573 B2 JP 4844573B2
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Description

本発明は、燃料供給ポンプに関し、例えばディーゼルエンジンの燃料噴射装置において燃料を燃料噴射圧相当に圧送する燃料供給ポンプに関する。
従来、燃料タンクと内燃機関との間に配置され、内部に駆動軸に一体化され偏心回転するカム、カムの外周側に相互に所定の角度間隔で周方向に配置され、往復移動することにより燃料を加圧し、内燃機関に圧送するプランジャ、およびカムとプランジャとの間に配置され、カム及びプランジャの両者に摺接するカムリング(シュー)、駆動軸を回転可能に支持するハウジングを備えた燃料供給ポンプが知られている(特許文献1参照)。
こうした構成の燃料供給ポンプの駆動軸及びハウジング間、カム及びカムリング間には、複数の支持箇所において軸受ブッシュが設けられており、駆動軸及びカムは、それぞれハウジング及びカムリングに保持された軸受ブッシュによって外側から回転可能に支持されるのである。これら駆動軸及び軸受ブッシュ(以下、駆動軸側軸受ブッシュと呼ぶ)間、カム及び軸受ブッシュ(以下、カム側軸受ブッシュと呼ぶ)間には、燃料による潤滑により潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜により駆動軸及びカムの焼付きを抑制している。
特開2000−240531号公報
上記特許文献1に開示されているような、カムを回転させることにより往復移動させ、燃料を加圧、圧送するプランジャを備える燃料供給ポンプでは、駆動軸およびカムは、プランジャが径方向に往復移動するたびにプランジャから径方向の力が作用する。特に、プランジャの圧送動作によって燃料が燃料噴射圧相当に高圧化されと、駆動軸およびカムには、高い負荷が加えられることになるため、上記負荷に対して強度を確保しつつ、焼付きを抑制するのが難しくなるおそれがある。
耐焼付き性及び強度を向上させるためには、耐焼付き性及び強度に優れたブッシュ材料を開発することが考えられる。しかしながら、耐焼付き性と強度はブッシュ材料開発において相反する特性であるので、ブッシュ材料開発により「耐焼付き性と強度に優れる」という課題を解決するには限界がある。
また、上記耐焼付き性及び強度を向上させるために、軸受けブッシュと相手部材間の面圧を低減するということが考えられる。例えば駆動軸の外径及び駆動軸側軸受ブッシュの内径を大きくすることにより面圧低減し、耐焼付き性を向上させることが可能である。しかしながら、駆動軸には当該軸に対して偏心するカムが一体形成されており、カムにカム側軸受ブッシュを組み付ける際の組付性を確保するため、駆動軸の外径の大きさは、カムの外径及びカムの偏心量により決定される。それ故に、駆動軸の外径を大きくしようとすると、カムにカム側軸受ブッシュが組付けられなくおそれがある。
上記組付性確保のためカムの外径をも大きくすると、燃料供給ポンプの体格が大型化し、ひいては燃料供給ポンプのコストが増大したり、内燃機関への搭載性が制限される懸念があるのである。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、カムを有する駆動軸のカム及びカム以外の軸受部位を軸受けブッシュで支持されるものにおいて、駆動軸との組付性を確保すると共に、軸受部位において耐焼付き性及び強度に優れる軸受構造を有する燃料供給ポンプを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を備える。
即ち、請求項1に記載の発明では、加圧室に吸入された燃料を加圧し、圧送するプランジャと、カムが偏心して一体に形成される駆動軸と、環状を呈してカムの外周に設けられ、駆動軸の回転にともなって自転することなく公転し、駆動軸からプランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、カム及びカムリングを収容するカム室、駆動軸を回転可能に支持する軸孔部、およびプランジャを径方向に往復移動可能に支持するとともに加圧室を形成するシリンダ部を有するハウジングと、を備え、駆動軸がカムリング及び軸孔部に設けられた軸受ブッシュにより外側から軸支される燃料供給ポンプにおいて、
軸受けブッシュを備えたカムリングが、カムリングの周方向にわたって複数個所で分割されて、カムリングにおいて分割されたカムリング部は、カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えており、軸方向規制部は、カムリング部のうちの一方に設けられた第1段差部と、カムリング部のうちの他方に設けられ、第1段差部に対して少なくとも軸方向の一方に移動不能に当接する第2段差部とを有していることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明では、加圧室に吸入された燃料を加圧し、圧送するプランジャと、カムが偏心して一体に形成される駆動軸と、環状を呈してカムの外周に設けられ、駆動軸の回転にともなって自転することなく公転し、駆動軸からプランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、カム及びカムリングを収容するカム室、駆動軸を回転可能に支持する軸孔部、およびプランジャを径方向に往復移動可能に支持するとともに加圧室を形成するシリンダ部を有するハウジングと、を備え、駆動軸がカムリング及び軸孔部に設けられた軸受ブッシュにより外側から軸支される燃料供給ポンプにおいて、
軸受けブッシュを備えたカムリングが、カムリングの周方向にわたって複数個所で分割され、カムリングにおいて分割されたカムリング部は、カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えており、軸方向規制部は、カムリング部のうちの一方に設けた凹部と、カムリング部のうちの他方に設けられ、凹部に嵌合する凸部とを有していることを特徴とする。
このような構成によると、カムリングがその周方向にわたって複数個所で分割されている。しかも、駆動軸のカムを外側から軸支する軸受けブッシュがカムリングと共に分割されることになる。これにより、分割された軸受ブッシュ及びカムリングを、カムの摺動面に径方向から組み付けることができる。それ故に、従来技術のように軸受ブッシュを備えたカムリングを駆動軸の軸端部より挿入しつつ、駆動軸に偏心して一体形成されたカムに向けて、当該カムリングを駆動軸の軸中心から径方向にずらしながらカムに装着する必要がない。例えば駆動軸において軸孔部に対応するカム以外の部位の外径、乃至カムの外径を大きくする場合において、駆動軸のカム以外の部位の外径面がカムの外径面より径方向外側となる場合があったとして、軸受ブッシュ及びカムリングを駆動軸へ挿入する必要はないので、軸受ブッシュ及びカムリングが駆動軸へ干渉することを防止することができる。しかも、駆動軸の上記カム以外の部位の外径乃至カムの外径を大きくすることができる、つまり上記各軸受ブッシュを大きくし面圧を低減することができるので、上記各軸受部位での耐焼付き性及び強度の向上が図れる。
以上の請求項1、2に記載の発明によると、カムを有する駆動軸のカム及びカム以外の軸受部位を軸受けブッシュで支持されるものにおいて、駆動軸との組付性を確保すると共に、軸受部位において耐焼付き性及び強度に優れる軸受構造を有する燃料供給ポンプが得られるのである。
また、請求項1、2に記載の発明では、カムリングにおいて分割されたカムリング部は、カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えていることを特徴とする。
かかる発明では、軸受ブッシュを備えたカムリングにおいて分割されたカムリング部を、カムに向かって径方向から組み付けるときに、カムリング部同士が軸方向にずれるおそれがあるが、カムリング部は、カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えているので、カムリング部同士の軸方向への位置ずれを防止することができる。
また、特に請求項に記載の発明では、軸方向規制部は、前記カムリング部のうちの一方に設けられた第1段差部と、前記カムリング部のうちの他方に設けられ、前記第1段差部に対して少なくとも軸方向の一方に移動不能に当接する第2段差部とを有していることを特徴とする
このような構成によると、隣り合うカムリング部同士に、それぞれ軸方向移動不能に当接する第1段差部及び第2段差部を、軸方向規制部として設けるものである。これにより、軸方向規制部は、第1段差部及び第2段差部という比較的簡素な段差部形状で形成でき、ひいてはカムリング部同士の軸方向の位置ずれ防止をしつつ、安価な燃料供給ポンプが得られる。
また、特に請求項に記載の発明では、軸方向規制部は、カムリング部のうちの一方に設けた凹部と、カムリング部のうちの他方に設けられ、凹部に嵌合する凸部とを有していることを特徴とする。
かかる発明では、カムの摺動面に沿ってカムリング部を組付け、環状のカムリングに組み立てることになるが、カム及びカムリングはハウジングのカム室内に収容されるものであるため、カムリング部を環状のカムリングに組み立てる組付時において、カムリング部同士に設けられた軸方向規制部がハウジング内に隠れるおそれがある。例えば軸方向規制部が第1段差部及び第2段差部で構成され、第1段差部に対して軸方向の一方のみに移動不能に当接する第2段差部である場合においては、カムリング部を環状のカムリングに組み立て状態で、第1段差部及び第2段差部が軸方向移動不能に当接しているか否かを確認できず、第1段差部及び第2段差部が軸方向移動不能に当接していない場合があるという懸念がある。
これに対して請求項に記載の発明では、軸方向規制部として、隣り合うカムリング部同士に凹部及び凹部に嵌合する凸部を設ける構成とするので、例えば組み立てたカムリングが所定の環状に形成されていることを確認することで、軸方向規制部を直接目視することなく、軸方向規制部としての凹部及び凸部が嵌合していることが確認できる。したがって、カムリング部同士を確実に軸方向移動不能状態にしつつ、環状のカムリングに組み立てることができるのである。
また、上記凹部及び凸部は、請求項に記載の発明の如く、凹部の開口端側の角部及び凸部の先端側の角部のうち少なくともいずれか一方の角部には、テーパ部が設けられていることが好ましい。
これによると、凹部の開口端側の角部及び前記凸部の先端側の角部のうち少なくともいずれか一方の角部には、テーパ部が設けられているので、上記カムリング部同士の組付時において、凹部及び凸部が嵌合するためには軸方向にズレが生じている場合であっても、テーパ部にならって組付けることができ、ひいては軸方向ズレを修正し、凹部及び凸部の嵌合状態に容易に案内することができる。したがって、カムリング部同士の軸方向の位置ずれ防止が図れると共に、環状のカムリングに組み立てる組付作業性の向上が図れる。
また、請求項に記載の発明の如く、カムリングの軸端部とハウジングとの間に配置され、カムリングに相対摺動可能な規制部材を有するという構成であってもよい。これによると、カムリング部自体に規制部を設けることなく、環状に組付けられたカムリング部を軸方向の間に挟み込む規制部材を設けることができ、そのような規制部材によっても、カムリング部同士の軸方向の位置ずれ防止ができるのである。
また、請求項に記載の発明では、カムリング部の互いの径方向移動を規制する径方向規制部を備え、径方向規制部は、カムリングの外周側に設けられ、プランジャをカムリングを介してカムに押し当てるように、プランジャの径方向内側端部をカムに付勢する付勢部材を有していることを特徴とする。
かかる発明では、径方向に往復移動するプランジャを駆動するために、カムリングは駆動軸の駆動力をプランジャへ伝達する。そのようなカムリングにおいて環状に組付けられたカムリング部同士が(相対的に)径方向移動するおそれがある。しかしながら、請求項に記載の発明によると、そのようなカムリング部同士の径方向移動を規制する径方向規制部として、プランジャの径方向内側端部をカムに付勢する付勢部材の付勢力を利用するので、構成部材を増やすことなく、カムリング部同士の径方向移動を規制することができる。
また、請求項に記載の発明では、プランジャは、カムリングの外周に沿って複数配置されており、カムリングは、プランジャの数と同数に分割されていることを特徴とする。
かかる発明では、上記カムリングをプランジャの数と同数に分割するので、上記カムリングが分割される分割部分に、プランジャが径方向に往復移動するたびにプランジャから径方向の力が作用する領域が存在するように、配置することができる。したがって燃料供給ポンプの駆動中は、プランジャの往復移動による径方向の作用力を利用して上記カムリングを環状に連結された状態に保つことができる。
また、請求項に記載の発明では、ハウジングは、シリンダ部を挿入し、嵌装する挿入孔を有し、カムリングにおいて外郭の大きさが、挿入孔の大きさより小さく形成されていることを特徴とする。
このような構成によると、カムリングにおいて外郭の大きさを、ハウジングにおいてシリンダ部が挿入され嵌装される挿入孔の大きさより小さく形成するものであるので、上記カムリングが分割される分割部分も、挿入孔に挿入することが可能となるのである。例えばハウジングの挿入孔において、上記カムリングの分割部分を挿入孔の外側開口部から挿入し、当該分割部分をカムの摺動面の一部に重ね合わせ、更にプランジャを組み付けたシリンダ部を挿入孔に装着することにより、分割部分を、カムの摺動面に押し当て組み付けることができる。これによれば、カムリングの分割部分がカムとプランジャの間に挟持され、かつ分割部分同士が環状に配置される構成を、比較的容易に製造できるのである。
また、請求項に記載の発明の如く、上記外郭においてカムリングの角部側は、挿入孔に挿入可能な円筒状部に形成されていることが好ましい。
かかる発明では、カムリングの外周壁が、例えばプランジャと摺接する平面状の平坦面と円弧状の曲面とからなる多角形状に形成されることになるのであるが、そのような外郭を形成するカムリングの外周面には角部が存在することになる。そのようなカムリングの角部側を、挿入孔に挿入可能な円筒状部に形成するので、カムリングの分割部分を挿入孔にスムースに挿入することができ、ひいては上記カムリングの分割部分を挿入孔の外側開口部から挿入し、当該分割部分をカムの摺動面に重ね合わせる組付作業時において、優れた組付作業性を得ることができるのである。
また、請求項に記載の発明では、駆動軸は、カムを軸方向に挟む両軸端部を備え、両軸端部のうち一方は、内燃機関の駆動力を受ける駆動力入力部を有し、両軸端部のうち他方は、燃料タンクから燃料を吸い上げ、予備加圧すると共に、予備加圧された燃料を前記加圧室及び前記カム室側へ供給する予備圧送部が設けられていることを特徴とする。
このような請求項に記載の発明によると、駆動軸においてカム部及びカム部を軸方向に挟む両軸端部の三つの軸受部位は、カム部、両軸端部の一方、及び他方を軸支する軸受ブッシュを耐焼付け性の要求レベルに応じて個々に大きくすることができ、しかもこれら軸受ブッシュの外径の拡大により組付性が損なわれることはない。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符合を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1〜4は、本発明の一実施形態による燃料供給ポンプを、車両用のコモンレール式燃料噴射装置に用いられる燃料供給ポンプに適用した例を示している。コモンレール式燃料噴射装置は、主に燃料タンク、燃料供給ポンプ1、図示しないコモンレール及び燃料噴射弁を備えており、燃料供給ポンプ1から供給される高圧燃料をコモンレールで蓄圧すると共に、当該コモンレール内の高圧燃料を、内燃機関の各気筒に設けられた燃料付射弁に分配し、気筒の燃焼室に噴射供給するものである。燃料タンク及び燃料供給ポンプ1は、コモンレール及び燃料噴射弁に高圧燃料を供給する燃料供給装置を構成している。
上記燃料タンクは常圧の燃料を蓄えており、燃料供給ポンプは、常圧の燃料を燃料タンクから吸い上げると共に、当該燃料を加圧し、圧送することによりコモンレールへ供給する高圧燃料を形成するものである。
図1、2に示すように、燃料供給ポンプ1のハウジング2は、ハウジング本体20、シリンダヘッド30、および軸受カバー50を備えている。ハウジング本体20及び軸受カバー50はアルミ製である。シリンダヘッド30は鉄製であり、可動部材としてのプランジャ35を往復移動可能に支持するシリンダ部31を有している。
シリンダ部31の内部にはプランジャ35を往復移動可能に支持するプランジャ摺動孔31aが形成され、シリンダ部31の外周部が、ハウジング本体20のカム室21に連通する挿入孔29に挿入されて収容されている。このシリンダ部31のプランジャ摺動孔31aと、逆止弁37の弁部材37aの端面と、プランジャ35の端面とにより加圧室32が形成されている。
また、ハウジング本体20には、軸受けカバー50を軸方向に挿入し支持する支持孔28が形成されており、支持孔28はカム室21と連通している。
軸受カバー50は、図1の破線で図示されるボルト等の固定部材でハウジング本体20に固定されており、駆動軸80の両軸端部のうちの一方(図1中の左側軸端部)の駆動力入力部81を軸支する軸受ブッシュ(以下、第1軸受ブッシュという)51を収容している。また、駆動軸の他方(図1中の右側軸端部)のフィードポンプ駆動部82を軸支する軸受ブッシュ(以下、第2軸受ブッシュという)52がハウジング本体20に収容されている。
第1軸受ブッシュ51及び第2軸受ブッシュ52は、それぞれ、軸受カバー50及びハウジング本体20に圧入固定されると共に、上記固定部材により軸受カバー50がハウジング本体20に固定されることにより、第1軸受ブッシュ51及び第2軸受ブッシュ52が同軸上に配置されている。軸受カバー50と、駆動軸80の駆動力入力部81との間は、オイルシール53によりシールされている。駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82を軸支する第1軸受ブッシュ51及び第2軸受ブッシュ52の内周面は、請求範囲に記載のハウジングの軸孔部に相当する。
駆動軸80は、駆動力入力部81、フィードポンプ駆動部82、および駆動軸80の回転軸線80jに対して偏心区分を形成するカム83を有しており、駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82は第1軸受ブッシュ51及び第2軸受ブッシュ52によって回転可能に支持されている。なお、図1において第1軸受ブッシュ51及び第2軸受ブッシュ52はその内径がほぼ同じに形成されているが、第2軸受ブッシュ52の内径D2を第1軸受ブッシュ51の内径D3より小径に形成する構成としてもよい(D2<D3)。このような場合には、駆動力入力部81を「大径部」、フィードポンプ駆動部82を「小径部」と呼んでもよい。
カム83は、カム輪郭が円形状を呈しており、かつ駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82の中心軸80jに対し偏心して駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82の間に形成されている。図1、2において、カム83は、その偏心軸83jが、駆動軸80の回転軸線80jに対して偏心量δが与えられて一体成形されている。
本実施形態では、駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82と、カム83の位置関係が以下のように設定されている。カム83の外周面(以下、カム摺動面という)83aにおいて偏心軸83jが回転軸線80jから遠ざかる側のカム摺動面側が駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82の外周面より径方向外側にあると共に、当該カム摺動面側とは反対のカム摺動面側が駆動力入力部81及びフィードポンプ駆動部82の外周面より径方向内側にある。
ハウジング本体20の内壁、および軸受カバー50の側壁には、それぞれカム83の軸方向端面に摺接する環状のワッシャ部材93、94が設けられている。ワッシャ部材93、94は、ハウジング本体20及び軸受カバー50とは異なる耐摩耗性を有する金属材料で形成されている。カム83の軸方向端面とワッシャ部材93、94の軸方向端面の両者は所定の間隔を置いて配置されており、駆動軸80にスラスト力が作用したときに両者が互いに摺接するものである。ワッシャ部材93、94は、請求範囲に記載の規制部材に相当する。
駆動軸80の駆動力入力部81は、内燃機関のクランク軸の駆動力をカム軸などに伝達する駆動力伝達系に設置され、駆動力入力部81の先端部には、はすば歯車等の歯車またはプーリー(以下、本実施例では、はすば歯車)が嵌着される。駆動軸80は、はすば歯車を介して駆動力入力部81に内燃機関の駆動力が伝達されることになるが、はすば歯車の場合は、駆動軸80の軸方向に揺動する力即ちスラスト力が駆動軸80に作用する。
また、駆動軸80のフィードポンプ駆動部81は、予備圧送部としてのフィードポンプ22が配置され、フィードポンプ駆動部81の先端部とフィードポンプ22が直接的または継手部材などを介して間接的に連結されている。
(予備圧送部)
フィードポンプ22は、燃料タンクから燃料を吸引し、予備的に加圧(以下、予備加圧という)する低圧供給ポンプであり、予備加圧した燃料を、後述する圧送部側の加圧室32へ供給する。フィードポンプの構造は、インナギア式ポンプに限らず、ベーン式ポンプなどの周知のポンプ構造で構成されている。なお、フィードポンプ22から吐出された燃料(以下、フィード燃料)は、図示しないレギュレートなどの圧力調整装置によって、燃料の「予備圧力」としてのフィード圧を一定に保つように調整されている。また、このフィード燃料の一部は、図示しない絞り部を介してカム室21へ正圧の燃料として供給されている。
(圧送部)
燃料供給ポンプ1の圧送部は、加圧室32と、駆動軸80の上記偏心区分に相当するカム83と、複数(本実施例では、図2に示すように2個)のプランジャ35と、カム83とプランジャ35との間に設けられ、駆動軸80の駆動力をプランジャ35へ伝達する「伝達部材」としてのカムリング90とを備えており、フィードポンプ22より吐出されるフィード燃料を更に高圧に加圧し、圧送する。
プランジャ35は、図1、2に示すようにカム83のカム摺動面83aに沿って駆動軸80の周りにほぼ等間隔に配置されている。本実施例では、2つのプランジャ35が駆動軸80を挟んで径方向の相反する側に配置されている。
プランジャ35の径方向内側の端部には、カムリング90の外壁側の摺接部95に対して、図1紙面の垂直方向(図2の左右方向)に相対的に摺接移動可能な「傘部」としてのタペット部35aが一体成形されている。即ち、プランジャ35の径方向内側の軸端部、即ちタペット部35aの端部と、カムリング90の摺接部95の端部とが互いに平行な平面状の端面で形成されており、これによって両端面の相対的な摺接移動がスムースに行なえるのである。
カムリング90は、外周壁が上記摺接部95に対応する平面状の端面と、円弧状に形成される曲面状の端面とかなる多角形状(本実施例では、四角形状)に形成され、内周壁が円形に形成されている。カムリング90の内周壁には、円形状のカム83と摺動可能に環状を呈する軸受ブッシュ(以下、第3軸受ブッシュという)92が設けられており、第3軸受ブッシュ92はカムリング90の内周壁に固定されている。
上記プランジャ35のタペット部35aとシンダヘッド30の間には、シリンダ部31の軸方向に沿ってスプリング36が配置されており、プランジャ35の径方向内側の軸端部がカムリング90の摺接部95に向けて常に押し当てられている。このスプリング36の付勢力と、加圧室32内の燃料圧力によってプランジャ35が径方向に受ける作用力(以下、燃料作用力という)とによって、カムリング90の回転が規制され偏心回転する。
言い換えると、カムリング90は、駆動軸80の回転によるカム83の動きに従って、駆動軸80の回転軸線80jの周りを公転する。しかも、上述の如くカムリング90は、プランジャ35の燃料作用力及びスプリング36の付勢力によって常に押さえ付けられているので、カム83に対して相対的に回転可能であるが、カムリング90自体は回転(自転)せず、カム83のみが、公転するカムリング90内で回転するのである。
ここで、上記圧送部は、プランジャ35が図1中の図示下方へ移動することにより加圧室32にフィード燃料が吸入され、プランジャ35が図示上方へ移動することにより加圧室32内の燃料を加圧し圧送することにより燃料を燃料噴射圧相当の燃料圧に高圧化する。加圧室32で燃料噴射圧相当に加圧される燃料は、吸入側の燃料通路34における吸入弁37とフィードポンプ22との間に配置された燃料調量弁(図示せず)により流量が調整される。調整された流量即ち加圧室32への吸入燃料量は、コモンレール及び燃料噴射弁に供給する高圧燃料の吐出量に相当する燃料量に設定されている。
図1に示すように、加圧室32の吸入側の燃料通路33及び吐出側の燃料通路34には、それぞれ逆止弁37、38が設けられており、逆止弁(以下、吸入弁)37は加圧室32の吸入時以外は加圧室32への燃料の流入及び流出を制限するものであり、逆止弁(以下、吐出弁)38は加圧室32へ逆流するのを防止するものである。
図1、2において、各プランジャ35においては、シリンダヘッド30、スプリング36、及びプランジャ35とから構成される組付体は、「圧送ユニット」としてのポンプエレメントを構成している。このポンプエレメントは、シリンダヘッド30のシリンダ部31を、ハウジング本体の挿入孔29に挿入した後、ボルト等の固定部材でハウジング本体20に固定されることで、カムリング90及び駆動軸80にプランジャ35のタペット部35aを押し当てるのである。
以上、燃料供給ポンプ1の基本的構成について説明した。以下、燃料供給ポンプ1の特徴的構成について説明する。
(特徴的構成)
図1、2、4に示すように本実施形態では、カムリング90は、複数(本実施例では、2つ)に分割されてカム83に組付けられている。即ち、カムリング90は、第3軸受ブッシュ92、及び第3軸受ブッシュ92が固定されるカムリング本体91が、図示しない同一の分割面によって、半円状の分割部分(以下、カムリング部)90a、90bに分割されている。言い換えると、第3軸受ブッシュ92が半割軸受状に形成され、第3軸受ブッシュ92がカムリング本体91に接合により固定されることで、各カムリング部90a、90bが形成されている。
ここで、第3軸受ブッシュ92は「軸受基材」としての軸受裏金92aと、軸受裏金92aに一体成形された軸受合金92bとを有するすべり軸受であり、軸受裏金92aはプレス鋼板などの鉄系の金属材料で形成され、軸受合金92bは銅合金またはアルミニウム合金などの非鉄系の金属材料から形成される。当該ブッシュ92は、軸受裏金92aの内周面に軸受合金92bを圧接または鋳込むことにより形成されるもの、または軸受裏金92a及び軸受合金92bの各金属粉末を焼結することにより形成されるものである。
このようなすべり軸受では、軸受裏金92aで当該ブッシュ92の負荷に対する強度が確保され、軸受合金92bで駆動軸80の摺動部(カム83の摺動面83a)とのなじみ性や耐焼付き性等の各機能が確保されるのである。当該ブッシュ92の内径D3を拡大すると、面圧が低減するので、軸受裏金92a及び軸受合金92bの材料を改良することなく、当該ブッシュ92への負荷に対する耐焼付き性が向上する。
また、上記半割軸受状を呈する第3軸受ブッシュ92を有するカムリング部90a、90bは、これらのカムリング部90a、90b同士を組付け環状に形成する際に、カムリング部90a、90b同士を結合固定する結合固定手段が不要なものである。上記分割面は、カムリング90の外周壁において、プランジャ35のタペット部35aとの間に摺接部95を形成する平面状の端面以外の端面の部位を分割しているからである。しかも、カムリング90の上記摺接部95には、スプリング36の付勢力によりプランジャ35が上記摺接部95をカム83側に押し当てる押し当て力が加わる組付け構成となっているので、カムリング部90a、90bの両者を接合することなく、上記分割面において両者を連結させることができるのである。
以上の構成を有する燃料供給ポンプ1は、以下の特徴的作動及び作用を得られるのである。
(特徴的作動及び作用)
内燃機関のクランク軸等から駆動力を得て、駆動軸80が回転駆動されると、カム83が回転し、この回転によりカムリング90が自転することなく公転する。すると、駆動軸80から駆動力がカムリングを介して伝達される各プランジャ35は、シリンダ部31内のプランジャ摺動孔31aを往復移動(図1〜図3における上下動)する。
このとき、加圧室32には燃料調量弁によって調量された燃料のみが吸入されるので、吸入される燃料量によっては、図2の上方側のプランジャ35の位置(上死点位置)相当の前後期間は、プランジャ圧送動作による燃料作用力とスプリング35の付勢力の双方がカムリング90に作用することになるが、その他の図2の下方側のプランジャ35の位置(下死点位置)や図3の上方側及び下方側のプランジャ35の各位置相当の前後期間では、スプリング35の付勢力のみがカムリング90に作用することになる場合がある。このような場合であっても、カムリング部90a、90bの両者の連結状態が解除されることはないため、カムリング90自体は回転(自転)せず、カム83のみが、公転するカムリング90内で第3軸受ブッシュ92により軸支されスムースに回転することができる。
さて、ここで、駆動軸80において各軸受ブッシュ51、52、92の「内径の拡大」(言い換えると、動力入力部81、フィードポンプ駆動部82、及びカム83の「外径の拡大」)をする場合における、本実施形態の有利な特徴を、以下説明する。
(燃料供給ポンプ1の組付性に係わる有利な特徴)
まず、図18の比較例にて、従来技術による環状のカムリング990の場合での組付性を説明する。例えば駆動軸980の各区分である、駆動力入力部981とフィードポンプ駆動部982とがそれぞれ大径部、小径部に形成され、かつ小径部であるフィードポンプ駆動部982の外周面がカム983の外周面983aのいずれにおいても径方向内側に配置されて形成される場合には、図18(a)中の軸方向cからカムリング90を挿入することで、カムリング90の第3軸受ブッシュ992内に、カム983を摺動可能に組み込むことができる。
しかしながら、カム983の外径、乃至フィードポンプ駆動部982の外径を拡大した場合において、図18(a)の如くフィードポンプ駆動部982の外周面がカム983の外周面983aよりも径方向外側に配置されて形成されると、図18(a)の軸方向cからカムリング990を挿入しても、図18(b)に示すようにカムリング990の軸方向端面がカム983の軸方向端面に干渉する。その結果として、カムリング990の第3軸受ブッシュ992内に、カム983を摺動可能に組み込むことができなくなる。
これに対して本実施形態は、環状を呈するカムリング90が、これを予め分割した「ピース」に相当するカムリング部90a、90bに形成されているので、燃料供給ポンプ1への組付時においてカムリング90を組み込む駆動軸80の所定部位(カム83)へ、各カムリング部90a、90bを個別に配置することが可能となる。
即ち、このようなカムリング部90a、90bは、図5(a)中の矢印方向a、b、cに向けて駆動軸80に組み付ける方法a、b、cのいずれかの方法を用いることができるのである。特に、図5(a)の方法aの如くカムリング部90a、90bを、カム83の外周面83aに向けて径方向から組み付けることができる。
その結果、図5(b)に示すようにカム83に装着された両カムリング部90a、90bは、カム83の外周面83aの全周を覆う環状の第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91に形成されるのである。
したがって、例えばフィードポンプ駆動部82の外周面がカム983の外周面83aよりも径方向外側に配置されて形成される場合があったとしても、従来技術のようにカムリング90を駆動軸80のフィードポンプ駆動部82側から挿入する必要はないので、カムリング90の軸方向端面とカムの軸方向端面との干渉、即ち第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91が駆動軸80へ干渉するのを防止することができる。
なお、図5(a)において方法b及び方法cは、カムリング部90a、90bの組付方向として軸方向移動と径方向移動とを組み合わせたものであって、方法bは、駆動力入力部81側からカム83への軸方向に、カムリング部90a、90bを軸方向移動させている。また方法cは、フィードポンプ駆動部82側からカム83への軸方向に、カムリング部90a、90bを軸方向移動させている。
(燃料供給ポンプ1の組付方法)
従来技術の方法では、カムリング990を、方法cによりフィードポンプ駆動部82側から駆動軸980に挿入し、カム83へ軸方向に沿って組み込むものである。そのため、カムリング990を駆動軸980へ組み込む手順として、少なくとも駆動軸980をハウジング本体20に組み付ける前に、駆動軸980にカムリング990を組み込む必要があった。
これに対して、本実施形態では、方法a、b、cのいずれかの方法を選択してカムリング90を燃料供給ポンプ1に組み込むことが可能である。燃料供給ポンプ1の一実施例のハウジング2の構造が、図1の如く第1軸受ブッシュ51側のハウジング部分を、軸受カバー50で別体に構成されているため、方法aまたは方法bで組み付けることになる。なお、ハウジング2の構造として第2軸受ブッシュ52側のハウジング部分がハウジング本体とは別体に構成されている場合には、方法aまたは方法cで組み付けることになるのである。
以下、組付方法の実施例の一態様を、図1〜3、5に基づいて説明する。
(組付方法の一実施例)
ハウジング本体20に駆動軸80を組付けした後、かつ各プランジャ35毎の上記ポンプエレメントをハウジング本体20に組み付ける前の状態(以下、「第1状態」という)において、カムリング部90a、90bを、ハウジング本体20の支持孔28の開口部から挿入し、カム83の外周面83aに重ねる。続いて、上記ポンプエレメントをハウジング本体20の挿入孔29から挿入し、上記ポンプエレメントをハウジング本体20に組付け固定または仮組みする。
このハウジング本体20へのポンプエレメントの組付け固定または仮組みにより、プランジャ35側のタペット部35aがカムリング部90a、90bの摺接部95に押し当てられるので、カムリング部90a、90bの両者は、図5(b)に示すようにスプリング36の付勢力F(図5(b)参照)で連結され、当該連結状態が維持される。
上記支持孔29へカムリング部90a、90bを挿入時の駆動軸80のカム80の回転位置は、図2の如く回転軸中心80jと偏心軸83jが図2の鉛直方向に沿って配置される状態や、図3の如く水平方向に沿って配置される状態などいずれの位置にあってもよい。
また、上記第1状態において、上記カム83の回転位置が図2に示す位置などにある場合には、駆動軸80の駆動力入力部81が保持されていることが好ましい。図2中の上方側のプランジャ35と下方側のプランジャ35とでは、両者のスプリング36の付勢力Fの大きさが異なることになるが、駆動軸80を挟んで両者の付勢力Fが釣り合わずに、駆動軸80を傾いてしまうことが防止されるからである。
かかる例示の方法によれば、カムリング90が駆動軸80に干渉することなく、カムリング90の駆動軸80への組付性が確保されるとともに、上記第1状態のような組付状態において、比較的容易に製造できるのである。
ここで、スプリング36は、請求範囲に記載の付勢部材に相当する。
以上説明した本実施形態では、カムリング90がその周方向にわたって2個所で分割されている。しかも、カムリング90はカムリング本体91と第3軸受けブッシュ92を有し、当該第3軸受けブッシュ92がカムリング本体91と共に分割され、それらが半割軸受状の分割部分であるカムリング部90a、90bを構成している。このような構成の第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91、即ちカムリング部90a、90bを、カム83の摺動面83aに径方向から組み付けることができる。
それ故に、従来技術のように環状のカムリング990を、駆動軸80のフィードポンプ駆動部82などの軸端部より挿入しつつ、カム83に向けて、カムリング990を駆動軸80の回転軸栓80jから径方向にずらしながらカム83に装着する必要がない。本実施例の例示の駆動軸において軸孔部に対応するカム以外の部位の外径、乃至カムの外径を大きくする場合において、駆動軸のカム以外の部位の外径面つまりフィードポンプ駆動部82の外周面がカム83の外径面83aより径方向外側となる場合があったとして、従来技術の環状のカムリング990構造のようにカムリング990とカム83とが干渉するのを防止することができる。
しかも、駆動軸80の各区分である、カム83、及びカム83以外の区分である駆動力入力部81、フィードポンプ駆動部82の各外径が、他の外径に制限されることなく、独立的に大きくすることができる、つまり上記駆動軸80の各区分に対応する各軸受ブッシュ51、52、92を大きくし面圧を低減することができるので、各軸受部位での耐焼付き性及び強度の向上が図れるのである。
以上のこれによると、第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91を有数するカムリング90が駆動軸80に干渉することなく、第3軸受ブッシュ92の駆動軸80への組付性が確保されるとともに、軸受部位において耐焼付き性及び強度に優れる軸受構造を有する燃料供給ポンプが得られるのである。
また、以上説明した本実施形態では、カムリング90の両軸方向端面には、ハウジング2を構成するハウジング本体20の内壁及び軸受カバー50の側壁に設けられたワッシャ部材93、94が所定の間隔を置いて配置されている。
カムリング部90a、90bをカム83に重ねて環状のカムリング90に組み立てる際に、カムリング部90a、90bをカム83の外周面83aに向けて径方向に組み付けることになるが、このとき、カムリング部90a、90b同士が軸方向にずれるおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、上記カムリング部90a、90bの両軸方向端面をワッシャ部材93、94で挟み込む構成としているので、カムリング部90a、90bは、ワッシャ部材93、94によって軸方向移動が実質的に規制されている。それによってカムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれ防止が図れる。
また、以上説明した本実施形態では、プランジャ35の径方向内側の軸端部(タペット部35a)を、カムリング部90a、90bの摺接部95に向けて常に押し当てスプリング36が設けられており、プランジャ35側のスプリング36の付勢力Fによって、カムリング部90a、90bがカム83の摺動面83aに付勢されている。
プランジャ35を径方向に往復動するために、カムリング90は駆動軸80の駆動力をプランジャ35へ伝達することになるが、そのようなカムリング90において環状に組付けられたカムリング部90a、90b同士が径方向にずれるおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、そのようなカムリング部90a、90b同士の径方向移動を規制する径方向規制部として、プランジャ35のタペット部35aを、径方向内側のカム83に向けてカムリング部90a、90bを付勢する上記スプリング36の付勢力を利用している。これによって、燃料供給ポンプ1の構成部材を増やすことなく、カムリング部90a、90b同士の相対的な径方向移動が規制されるのである。したがって、カムリング部90a、90b同士の径方向の位置ずれが防止れる。
上記カムリング90において、このようにプランジャ35側のスプリング36の付勢力Fによって、径方向の位置ずれすることなく環状の連結状態を保持するカムリング部90a、90bは、以下の有利な作用効果が更に得られる。
一般に、プランジャ35のタペット部35aとカムリング90との摺接部95において万が一貧潤滑等により焼付きが生じる場合があると、プランジャ35に、プランジャ35を駆動する径方向の駆動力と異なる方向の異常な回転トルクが加わることになるため、プランジャ35破損という故障に拡大するおそれがある。
これに対して、本実施形態のカクリング90は、カムリング部90a、90b同士が上記付勢力Fによって互いの径方向移動が規制され、その結果、カムリング部90a、90bが環状に連結された状態を付勢力Fの大きさで維持するものである。
上記の如くプランジャ35とカムリング部90a、90bとの摺接部95で焼付き故障が、万が一発生した場合には、カムリング部90a、90bには、焼付き故障により異常な力が作用することになるが、そのような異常な力に対しては、上記付勢力によって環状に連結するカムリング部90a、90b同士が分離され、カムリング部90a、90bの環状の連結状態が解除される。これにより、駆動軸80のカム83が空回りすることになるので、カムリング90を介してプランジャ35へ伝達する駆動軸80の駆動力を無効化することができる。したがって、万が一プランジャ35とカムリング90との摺接部95で焼付き故障が発生する場合があったとしても、その故障を、上記焼付きを引き起こす範囲に限定できる。したがって、プランジャ35破損という故障に拡大することはない。
(第2実施形態)
第2実施形態を図6に示す。第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、カムリング90において、半割り状の第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91のうち、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に、隙間が設けられている一例を示すものである。
図6に示すように、カムリング本体91の分割面同士は当接する構成となっていると共に、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士は当接せず、当該分割面同士のみに隙間92cが形成される。この隙間92cは、第3軸受ブッシュ92を軸方向に貫通する隙間に形成され、当該隙間92cは「潤滑油通路」として機能するのである。
しかも、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第3軸受ブッシュ92の内周面と、カム83の外周面83aとの間には、潤滑油膜を形成するための摺動隙間が確実に確保されるのである。
かかる構成の燃料供給ポンプ1では、「潤滑油」としての燃料がカム室21に溜められていることになるのだが、第3軸受ブッシュ92及びカム83間の上記摺動隙間へ供給する燃料供給量を、隙間92cを設けることにより、大きくすることができる。これによっても、第3軸受ブッシュ92及びカム83間の耐焼付き性を更に向上させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態を図7に示す。第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態では、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれを防止する軸方向規制部を、カムリング部90a、90bに設けた一例を示すものである。
図7(a)〜図7(c)に示すように、カムリング部90aには、分割面に対して開口する凹部91aaが設けられると共に、カムリング部90aには、分割面に対して突出する凸部であって、凹部91aaに嵌合する凸部91bbが設けられている。凹部91aa及び凸部91bbの嵌合形状を、二面幅状の嵌合溝部及び嵌合突起部に形成している。このように凹部91aa及び凸部91bbをカムリング部90a、90bに設けることにより、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれが確実に防止れる。
具体的には、半割り状の第3軸受ブッシュ92及びカムリング本体91のうち、第3軸受ブッシュ92は半割り状でかつ、その分割面同士が当接する構成とする。そして、上記凹部91aa及び凸部91bbが、それぞれカムリング本体91の分割部分91a、91bに設けられている。これにより、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割部分の円弧状長が半円以上の長さとなることはない。
しかも、図7(c)に示すように、上記分割部分91aに凸部91bbが設けられており、分割部分91aの内壁のうち、凸部91bbの内壁面部分のみが、第3軸受ブッシュ92の外周面に対してほぼ接線方向に沿って肉盗みされて形成されている。
以上のように構成することにより、カムリング部90a、90bをカム83に重ねるのが容易となり、優れた組付性が確保できるのである。
(第4実施形態)
第4実施形態を図8に示す。第4実施形態は第3実施形態の変形例である。第4実施形態では、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれを防止する軸方向規制部を、カムリング部90a、90bに設けた他の一例を示すものである。
図8に示すように、凹部91aa及び凸部91bbの嵌合形状が、三角形状の嵌合溝部及び嵌合突起部に形成されている。凹部91aa及び凸部91bbは、このような三角形状の嵌合形状など、三角状のテーパ部を有し、嵌合溝部及び嵌合突起部の各テーパ部同士が嵌合構成とするものであっても、第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
かかる発明では、カムリング90の体格を小型化したい場合において、上記凸部91bbの肉盗み部分はカムリング本体91の脆弱部分に相当することになるが、嵌合形状が三角状であるため、分割面から突出する凸部91bbの範囲を制限することが可能であり、ひいては上記脆弱部分となる凸部91bbの肉盗み部分を、出来る限り小さく抑えることができるのである。
(第5実施形態)
第5実施形態を図9に示す。第5実施形態は第1実施形態の変形例である。第5実施形態では、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれを防止する軸方向規制部を、カムリング部90a、90bに設けた他の一例を示すものである。
図9に示すように、軸方向規制部として、互いに軸方向に当接する段差部91aa、91bbが、カムリング部90a、90bに設けられている。具体的には、カムリング部90a側のカムリング本体91の分割部分91aに、第1段差部91aaが設けられると共に、カムリング部90b側のカムリング本体91の分割部分91bに、第1段差部91aaと軸方向に当接する第2段差部91bbが設けられる。
これによると、軸方向規制部の構造をカムリング部90a、90bに形成するのに、段差部91aa、91bbは段差という比較的な簡単な形状で形成できるので、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれ防止しつつ、カムリングを安価に製造に製造でき、ひいては安価な燃料供給ポンプ1が得られるのである。
(第6実施形態)
第6実施形態を図10に示す。第6実施形態は第3実施形態の変形例である。第6実施形態では、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれを防止する軸方向規制部を、カムリング部90a、90bに設け、かつ軸方向規制部の構造を組付け易い構造とした一例を示すものである。
図10(a)、図10(b)に示すように、二面幅状を呈する凸部91bbにおいて、先端側の角部には、テーパ部91bcが設けられている。このように構成することによると、
上記カムリング部90a、90b同士の組付時において、凹部91aa及び凸部91bbが嵌合するためには軸方向にズレが生じている場合であっても、テーパ部91bcにならって組付けることができ、ひいては軸方向ズレを修正し、凹部91aa及び凸部91bbの嵌合状態に容易に案内することができる。したがって、カムリング部90a、90b同士の軸方向の位置ずれ防止が図れると共に、環状のカムリング90に組み立てる組付作業性が向上する。
なお、凹部91aaにおいては、上記凸部91bbの先端側の角部に対応する角部に、テーパ部91acが形成されている。
(第7実施形態)
第7実施形態を図11に示す。第7実施形態は第3実施形態の変形例である。第7実施形態では、「潤滑油通路」として、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に隙間92cを設けると共に、半割り状のカムリング本体91の分割面同士間の一部に隙間91cを設けた一例を示すものである。
図11(a)及び図11(b)に示すように、カムリング本体91の分割面において凸部91aa及び凹部91bbの軸方向端面同士が当接する構成となっている。これにより、第3軸受ブッシュ92の内周面と、カム83の外周面83aとの間には、潤滑油膜を形成するための摺動隙間が確実に確保される。
しかも、図11(b)に示すように、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に隙間92cが設けられると共に、カムリング本体91の分割面において凸部91aa及び凹部91bb以外の分割面部分間に隙間91cが設けられている。この隙間91cは、上記カムリング本体91の分割面部分を、軸方向に貫通する隙間に形成されている。
さて、一般に、駆動軸80に作用するスラスト力が比較的大きい場合等により、カム83の両軸方向端面とワッシャ部材93、94間の所定の軸方向隙間が小さく形成される場合がある。カムリング90は、当該カム83と共に上記ワッシャ部材93、94を軸方向規制部として共用している。それ故に、上記小さく形成された所定の軸方向隙間を経由し、第3軸受ブッシュ92及びカム83間の上記摺動隙間の軸方向開口部から、潤滑油として導入される燃料量が少なくなるおそれがある。
これに対して本実施形態では、第3軸受ブッシュ92及びカム83間の上記摺動隙間及び隙間92cは、いずれもこれらの軸方向開口部からカム室21内の燃料が導入されるため、第3軸受ブッシュ92及びカム83間の上記摺動隙間へ供給される燃料量が少なくなる可能性があるのだが、
図11(b)に示すように、上記隙間91c及び92cによって、燃料を径方向内側に導入する潤滑油通路が形成されるのである。それによって、上記燃料量を増加させることができ、ひいては第3軸受ブッシュ92及びカム83間の耐焼付き性を更に向上させることができるのである。
(第8実施形態)
第8実施形態を図12に示す。第8実施形態は第7実施形態の変形例である。第8実施形態では、「潤滑油通路」として、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に隙間92cを設けると共に、半割り状のカムリング本体91の分割面同士間の一部に隙間91cを設けた他の一例を示すものである。
図12(a)及び図12(b)に示すように、カムリング本体91の分割面において凸部91aa及び凹部91bb以外の分割面同士が当接する構成となっている。これにより、第3軸受ブッシュ92の内周面と、カム83の外周面83aとの間には、潤滑油膜を形成するための摺動隙間が確実に確保される。
しかも、図12(b)に示すように、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に隙間92cが設けられると共に、カムリング本体91の分割面において凸部91aa及び凹部91bbの分割面部分間に隙間91cが設けられている。この隙間91cは、上記カムリング本体91の凸部91aa及び凹部91bbの部分に、軸方向に貫通する隙間に形成されている。このような隙間91c及び隙間91cは、凸部91aaの肉盗み部分と第3軸受ブッシュ92の隙間を介して、燃料を径方向内側に導入する潤滑油通路が形成されるのである。
以上の構成によっても、第7実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第9実施形態)
第9実施形態を図13に示す。第9実施形態は第1実施形態の変形例である。第9実施形態では、カムリング90の外郭の大きさを、ハウジング本体20の挿入孔29の大きさより小さくした構成とする一例を示すものである。
さて、カムリング部90a、90bを駆動軸80のカム83に組み付ける方法としては2つの方法があり、その一つの方法が、上記カムリング90においてカムリング部90a、90bを、径方向内側に移動させ、カム83の外周面83aに重ねて組み付ける方法aであり、他の一つの方法が、主として軸方向に移動させると共に、径方向内側への移動を組み合わせることでカムリング部90a、90bをカム83の外周面83aに重ねて組み付ける方法bである。
上記方法bは、第1実施形態の組付方法の一実施例で説明したように、燃料供給ポンプ1を製造するポンプ工場において、燃料供給ポンプ1を比較的容易に製造できる方法である。
しかしながら、ポンプ工場以外の市場における整備工場等にて、燃料供給ポンプ1のメンテナンス等のため、分解、組付けをする場合において、整備工場で用いる分解、組付けのための比較的簡素な組付工具では、良好な組付けができない場合がある。例えば方法bは、ハウジング本体20に駆動軸80を組付けした後、かつハウジング本体20に軸受カバー50を組付ける前であることを前提とする。そのため、プランジャ36の付勢力Fにより駆動軸80が傾かないように、駆動軸80の駆動力入力部81を保持する必要があるのである。しかも、駆動軸80を傾かず保持するとは、当該本体20側の第2軸受ブッシュ52に挿入された駆動軸80において、第2軸受ブッシュ52の内周面の中心軸と、駆動軸80の回転軸線80jがほぼ同軸に配置されるように保持することである。このような保持条件を満足するように、上記組付工具によっては駆動軸80の駆動力入力部81を保持することが難しい場合がある。
本実施形態では、図13及び図15に示すように、カムリング90の外郭の大きさが、ハウジング本体20の挿入孔29の大きさより小さく設定されている。
このような構成によると、カムリング90の外郭の大きさを、各プランジャ35のポンプエレメントに相当するシリンダ部31が挿入され嵌装される挿入孔29の大きさより小さく形成するものであるので、上記カムリングを分割した「ピース」であるカムリング部90a、90bも、挿入孔29に挿入することが可能となるのである。
しかも、カムリング部90a、90bを挿入孔29の外側開口部から挿入し、当該カムリング部90a、90bをカム83の外周面83aに重ね合わせる。次いで、上記ポンプエレメント、即ちプランジャ35を組み付けたシリンダ部31を挿入孔29に装着することにより、カムリング部90a、90bをカム83の外周面83aに押し当て組み付けるという方法cの組付方法ができるのである。言い換えると、ハウジング本体20及び軸受カバー50の軸受けブッシュ51、52間に駆動軸80を挿入組付けし、かつハウジング本体20と軸受カバー50とを組付け固定した後であっても、方法cによる上記組付方法が行なえるのである。
以上の構成によると、カムリング90においてカムリング部90a、90bがカム83とプランジャ35の間に挟持され、かつカムリング部90a、90b同士が環状に配置される構成が、比較的簡素な組付工具であっても、比較的容易に製造できるのである。
また、本実施形態のように四角形状を呈するカムリング90においては、カムリング90の外周壁が、例えばプランジャ35と摺接する平面状の平坦面と円弧状の曲面とからなる四角形状に形成されることになるのであるが、そのような外郭を形成するカムリング90の外周壁には角部が存在することになる。
これに対して本実施形態では、そのようなカムリング90の角部側を、図14に示す如く挿入孔29に挿入可能な円筒状部91dに形成するので、カムリング部90a、90bを挿入孔29にスムースに挿入することができ、ひいては方法aによる組付作業において優れた組付作業性を得ることができるのである。
また、上記カムリング90の角部は、カムリング90の体格の小型化を制限する可能性がある。例えばカムリング90の体格小型化よりカムリング90の摺接部95の摺動面積が小さくなりすぎるおそれがある。
これに対して本実施形態では、そのようなカムリング90の外郭において分割面により分断される外周壁側の角部を、図14の如く、タペット部35aの外周形状にならい、かつその外周径より大きい半円を呈する円筒状部91dに形成している。これにより、図13及び図15に示すように、プランジャ35のタペット部35aに対するカムリング90の摺接部95の摺動面積の低下を抑制しつつ、挿入孔29に挿入可能となるカムリング90の小型化が図れる。
また、上記挿入孔29は、従来技術のシリンダ部31を挿入するための孔の大きさより大きくなる可能性があるのだが、孔を拡大する条件としては、図13に示す如く「駆動軸80の回転方向の保持位置が、回転軸線80jと偏心軸83jとを図示の鉛直方向に配置する状態で保持される場合において、上記方法aによりカムリング部90a、90bが挿入孔29に挿入可能である」ことを条件とすることが好ましい。
これによると、拡大された挿入孔29はシリンダ部31即ちプランジャ摺動孔31aとほぼ同軸上に配置されることになる。これにより、挿入孔29の拡大を最小にしつつ、プランジャ36の付勢力Fによりカムリング部90a、90bをプランジャ36とカム83との間に安定して挟み込み易い組付方法が実現できるのである。このような孔加工条件による組付方法によれば、例えば図3に示す如く駆動軸80の上記保持位置が回転軸線80jと偏心軸83jとを図示の水平方向に保持される場合に比べて、プランジャ36の付勢力Fが、プランジャ36、カムリング部90a、90b、及びカム83の対称軸線上に、実質的に作用することになるからである。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
(1)例えば以上説明した本実施形態では、ポンプエレメントを構成するプランジャ35の数を2つとし、カムリング90の外周壁形状を略四角形状としたが、これに限らず、プランジャ35の数を3つとし、カムリング90の外周壁形状を、図16に示すように摺接部95に対応する平面状の平坦面と曲面状の端面からなる三角形状とする構成とするものであってもよく、カムリング90の形状は多角形状であればいずれでもよい。
図16の如くカムリング90の外周壁が三角形状等の多角形状の場合には、カムリング90を複数のカムリング部90a、90b、90cに分割する分割面を、摺接部95に相当する外周壁部分以外の上記端面に相当する外周壁部分に設けることが好ましい。
上記摺接部95にはプランジャ35の圧送動作による燃料作用力とスプリング36の付勢力Fが作用することになるが、上記端面に相当する外周壁部分は、外周壁においてプランジャ35間の中間位置に配置され、当該中間位置に分割面が形成されているので、分割面近傍は、上記上記摺接部95の部位に比べて面圧が低くでき、ひいては第3軸受ブッシュ92の分割面のエッジにより、潤滑油の油膜切れが生じることはないからである。
(2)さらに、以上説明した本実施形態では、カムリング90を、2つのプランジャ35に対して2つに分割したが、これに限らず、上述の如く3つのプランジャに対してはカムリング90を3つに分割する構成であってもよく、複数のプランジャの数と同数にカムリング90を分割するものであればいずれでもよい。
かかる発明では、カムリングをプランジャの数と同数のカムリング部に分割するので、カムリング部に、プランジャが径方向に往復移動するたびにプランジャから径方向の力が作用する領域が存在するように、配置することができる。したがって燃料供給ポンプの駆動中は、プランジャの往復移動による径方向の作用力を利用してカムリング部を環状に連結された状態に保つことができるのである。
(3)以上説明した第6実施形態では、互いに嵌合する凹部91aa及び凸部91bbにおいて、凸部91bbの先端側の角部にテーパ部91bcを設けたが、これに限らず、凹部91aaの開口端側の角部にテーパ部91bcを設けてもよい。
(4)以上説明した第7及び第8実施形態では、「潤滑油通路」として、半割り状の第3軸受ブッシュ92の分割面同士間に隙間92cを設けると共に、半割り状のカムリング本体91の分割面同士間の一部に隙間91cを設けた一例を説明した。これら実施形態では、隙間91cは燃料を径方向内側に導くものでかつ、その開口部が分割面部分間を軸方向に貫通する潤滑油通路に形成されている。これに限らず、図17に示すように隙間91cは燃料を径方向内側に導く潤滑油通路に形成されているが、その潤滑油通路は分割面部分間を軸方向に貫通する構成ではなく、2つの潤滑油通路に分かれて構成されているというものであってもよい。この場合、凹部91aaは、上記凸部91bbの先端側のテーパ部91bc状を呈する角部に対応する角部において、テーパ部91acを施すことを廃止できる。これによって、耐焼付き性を更に向上させる、安価なカムリング90を製造できる、及び上記凸部91bbの先端側の角部に設けたテーパ部91bcによる案内機能よってカムリング部90a、90bの組付作業性を向上させる、という効果を得ることができる。
(5)以上説明した本実施形態では、カムリング90の摺接部95に摺接し、相対的に摺動移動するタペット部35aを、プランジャ35と一体成形されているものとした。これに限らず、プランジャとタペット部とを別部材で形成し、プランジャとタペット部が係合する構成であってもよい。
(6)以上説明した第9実施形態では、各プランジャ35を構成部材とするポンプエレメントを挿入する挿入孔の拡大させるための前提条件として、「駆動軸80の回転方向の保持位置が、回転軸線80jと偏心軸83jとを鉛直方向に保持される組付け状態において、上記方法aによりカムリング部90a、90bが挿入孔29に挿入可能である」ことを条件とした。これに限らず、「駆動軸80の上記保持位置が、回転軸線80jと偏心軸83jとを水平方向にして保持される組付け状態において、上記カムリング部90a、90bが挿入孔29に挿入可能である」ことを条件としてもよい。
本発明の第1実施形態による燃料供給ポンプを示す縦断面図であって、図2のI−I線断面図である。 図1中のII−II線断面図である。 図2とは異なる作動状態を示す断面図である。 図2中のカムリングを示す正面図である。 本発明の第1実施形態の特徴部分を説明するための模式図であって、図5(a)はカムリングを駆動軸に組み付ける過程を示す斜視図、図5(b)はカムリングを駆動軸に組み付けた状態を説明する説明図である。 第2実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す正面図である。 第3実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す図であって、図7(a)は分解斜視図、図7(b)は側面図、図7(c)は図7(b)中のC−C線断面図である。 第4実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す斜視図である。 第5実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す斜視図である。 第6実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す図であって、図10(a)は分解斜視図、図10(b)は側面図である。 第7実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す図であって、図11(a)は側面図、図11(b)は図11(a)中のB−B線断面図である。 第8実施形態による燃料供給ポンプに係わるカムリングを示す図であって、図12(a)は側面図、図12(b)は図12(a)中のB−B線断面図である。 第9実施形態による燃料供給ポンプを示す断面図である。 図13中のカムリングを示す斜視図である。 第9実施形態の特徴部分を説明するための模式図である。 他の実施形態に係わるカムリングを示す斜視図である。 他の実施形態に係わるカムリングを示す側面図である。 比較例を説明するための模式図であって、図5(a)はカムリングを駆動軸に組み付ける過程を示す斜視図、図5(b)はカムリングを駆動軸に組み付けた状態を説明する説明図である。
符号の説明
1 燃料供給ポンプ
2 ハウジング
20 ハウジング本体
21 カム室
22 フィードポンプ
28 支持孔
29 挿入孔
30シリンダヘッド
31 シリンダ部
31a プランジャ摺動孔
32 加圧室
35 プランジャ
35a タペット部
36 スプリング
37 吸入弁(逆止弁)
37a 弁部材
38 吐出弁(逆止弁)
50 軸受カバー
51 第1軸受ブッシュ(軸受ブッシュ)
52 第2軸受ブッシュ(軸受ブッシュ)
80 駆動軸
81 駆動力入力部
82 フィードポンプ駆動部
83 カム(偏心区分)
83a 外周面(摺動面)
90 カムリング
90a、90b カムリング部(分割部分)
91 カムリング本体
92 第3軸受ブッシュ(軸受ブッシュ)
93、94 ワッシャ部材(規制部材)
95 摺接部

Claims (9)

  1. 加圧室に吸入された燃料を加圧し、圧送するプランジャと、
    カムが偏心して一体に形成される駆動軸と、
    環状を呈して前記カムの外周に設けられ、前記駆動軸の回転にともなって自転することなく公転し、前記駆動軸から前記プランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、
    前記カム及び前記カムリングを収容するカム室、前記駆動軸を回転可能に支持する軸孔部、および前記プランジャを径方向に往復移動可能に支持するとともに前記加圧室を形成するシリンダ部を有するハウジングと、
    を備え、前記駆動軸が前記カムリング及び前記軸孔部に設けられた軸受ブッシュにより外側から軸支される燃料供給ポンプにおいて、
    前記軸受けブッシュを備えた前記カムリングが、前記カムリングの周方向にわたって複数個所で分割され
    前記カムリングにおいて前記分割されたカムリング部は、前記カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えており、
    前記軸方向規制部は、前記カムリング部のうちの一方に設けられた第1段差部と、前記カムリング部のうちの他方に設けられ、前記第1段差部に対して少なくとも軸方向の一方に移動不能に当接する第2段差部とを有していることを特徴とする燃料供給ポンプ。
  2. 加圧室に吸入された燃料を加圧し、圧送するプランジャと、
    カムが偏心して一体に形成される駆動軸と、
    環状を呈して前記カムの外周に設けられ、前記駆動軸の回転にともなって自転することなく公転し、前記駆動軸から前記プランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、
    前記カム及び前記カムリングを収容するカム室、前記駆動軸を回転可能に支持する軸孔部、および前記プランジャを径方向に往復移動可能に支持するとともに前記加圧室を形成するシリンダ部を有するハウジングと、
    を備え、前記駆動軸が前記カムリング及び前記軸孔部に設けられた軸受ブッシュにより外側から軸支される燃料供給ポンプにおいて、
    前記軸受けブッシュを備えた前記カムリングが、前記カムリングの周方向にわたって複数個所で分割され、
    前記カムリングにおいて前記分割されたカムリング部は、前記カムリング部の互いの軸方向移動を規制する軸方向規制部を備えており、
    前記軸方向規制部は、前記カムリング部のうちの一方に設けた凹部と、前記カムリング部のうちの他方に設けられ、前記凹部に嵌合する凸部とを有していることを特徴とする燃料供給ポンプ。
  3. 前記凹部の開口端側の角部及び前記凸部の先端側の角部のうち少なくともいずれか一方の角部には、テーパ部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の燃料供給ポンプ。
  4. 前記カムリングの軸端部と前記ハウジングとの間に配置され、前記カムリングに相対摺動可能な規制部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料供給ポンプ。
  5. 前記カムリング部の互いの径方向移動を規制する径方向規制部を備え、
    前記径方向規制部は、前記カムリングの外周側に設けられ、前記プランジャを前記カムリングを介して前記カムに押し当てるように、前記プランジャの径方向内側端部を前記カムに付勢する付勢部材を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料供給ポンプ。
  6. 前記プランジャは、前記カムリングの外周に沿って複数配置されており、
    前記カムリングは、前記プランジャの数と同数に分割されていることを特徴とする請求項から請求項5のいずれか一項に記載の燃料供給ポンプ。
  7. 前記ハウジングは、前記シリンダ部を挿入し、嵌装する挿入孔を有し、
    前記カムリングにおいて外郭の大きさが、前記挿入孔の大きさより小さく形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の燃料供給ポンプ。
  8. 前記外郭において前記カムリングの角部側は、前記挿入孔に挿入可能な円筒状部に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料供給ポンプ。
  9. 前記駆動軸は、前記カムを軸方向に挟む両軸端部を備え、
    前記両軸端部のうち一方は、内燃機関の駆動力を受ける駆動力入力部を有し、
    前記両軸端部のうち他方は、燃料タンクから燃料を吸い上げ、予備加圧すると共に、予備加圧された燃料を前記加圧室及び前記カム室側へ供給する予備圧送部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の燃料供給ポンプ
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