以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、本発明に係る膨張機である膨張機構(60)を備えた空調機(10)である。
〈空調機の全体構成〉
図1に示すように、本実施形態の空調機(10)は、冷媒回路(11)を備えている。この冷媒回路(11)には、圧縮・膨張ユニット(30)と、室外熱交換器(14)と、室内熱交換器(15)と、第1四路切換弁(12)と、第2四路切換弁(13)とが接続されている。また、この冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填されている。
上記圧縮・膨張ユニット(30)は、縦長円筒形の密閉容器状に形成されたケーシング(31)を備えている。このケーシング(31)内には、圧縮機構(50)と、膨張機構(60)と、電動機(45)とが収納されている。この膨張機構(60)は、本発明に係る容積型膨張機である。ケーシング(31)内では、圧縮機構(50)と電動機(45)と膨張機構(60)とが下から上へ向かって順に配置されている。圧縮・膨張ユニット(30)の詳細については後述する。
上記冷媒回路(11)において、圧縮機構(50)は、その吐出側が第1四路切換弁(12)の第1のポートに、その吸入側が第1四路切換弁(12)の第4のポートにそれぞれ接続されている。一方、膨張機構(60)は、その流出側が第2四路切換弁(13)の第1のポートに、その流入側が第2四路切換弁(13)の第4のポートにそれぞれ接続されている。
また、上記冷媒回路(11)において、室外熱交換器(14)は、その一端が第2四路切換弁(13)の第2のポートに、その他端が第1四路切換弁(12)の第3のポートにそれぞれ接続されている。一方、室内熱交換器(15)は、その一端が第1四路切換弁(12)の第2のポートに、その他端が第2四路切換弁(13)の第3のポートにそれぞれ接続されている。
上記第1四路切換弁(12)と第2四路切換弁(13)は、それぞれ、第1のポートと第2のポートとが連通し且つ第3のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートとが連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
〈圧縮・膨張ユニットの構成〉
図2に示すように、圧縮・膨張ユニット(30)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(31)を備えている。このケーシング(31)の内部には、下から上に向かって順に、圧縮機構(50)と、電動機(45)と、膨張機構(60)とが配置されている。
上記ケーシング(31)には、吐出管(36)が取り付けられている。この吐出管(36)は、電動機(45)と膨張機構(60)の間に配置され、ケーシング(31)の内部空間に連通している。
上記電動機(45)は、ケーシング(31)の長手方向の中央部に配置されている。この電動機(45)は、ステータ(46)とロータ(47)とにより構成されている。ステータ(46)は、上記ケーシング(31)に固定されている。ロータ(47)は、ステータ(46)の内側に配置されている。また、ロータ(47)には、該ロータ(47)と同軸にシャフト(40)の主軸部(44)が貫通している。
上記シャフト(40)の下端側には、2つの下側偏心部(58,59)が形成されている。これら2つの下側偏心部(58,59)は、主軸部(44)よりも大径に形成されており、下側のものが第1下側偏心部(58)を、上側のものが第2下側偏心部(59)をそれぞれ構成している。第1下側偏心部(58)と第2下側偏心部(59)とでは、主軸部(44)の軸心に対する偏心方向が逆になっている。
上記シャフト(40)では、その上端側にも2つの大径偏心部(41,42)が形成されている。これら2つの大径偏心部(41,42)は、主軸部(44)よりも大径に形成されており、下側のものが第1大径偏心部(41)を構成し、上側のものが第2大径偏心部(42)を構成している。第1大径偏心部(41)と第2大径偏心部(42)とは、何れも同じ方向へ偏心している。第2大径偏心部(42)の外径は、第1大径偏心部(41)の外径よりも大きくなっている。また、主軸部(44)の軸心に対する偏心量は、第2大径偏心部(42)の方が第1大径偏心部(41)よりも大きくなっている。また、主軸部(44)の軸心方向の長さ、即ち厚さも、第2大径偏心部(42)の方が第1大径偏心部(41)よりも大きくなっている。
圧縮機構(50)は、揺動ピストン型のロータリ圧縮機を構成している。この圧縮機構(50)は、シリンダ(51,52)とピストン(57)を2つずつ備えている。圧縮機構(50)では、下から上へ向かって順に、リアヘッド(55)と、第1シリンダ(51)と、中間プレート(56)と、第2シリンダ(52)と、フロントヘッド(54)とが積層された状態となっている。
第1及び第2シリンダ(51,52)の内部には、円筒状のピストン(57)が1つずつ配置されている。図示しないが、ピストン(57)の側面には平板状のブレードが突設されており、このブレードは揺動ブッシュを介してシリンダ(51,52)に支持されている。第1シリンダ(51)内のピストン(57)は、シャフト(40)の第1下側偏心部(58)と係合する。一方、第2シリンダ(52)内のピストン(57)は、シャフト(40)の第2下側偏心部(59)と係合する。各ピストン(57,57)は、その内周面が下側偏心部(58,59)の外周面と摺接し、その外周面がシリンダ(51,52)の内周面と摺接する。そして、ピストン(57,57)の外周面とシリンダ(51,52)の内周面との間に圧縮室(53)が形成される。
第1及び第2シリンダ(51,52)には、それぞれ吸入ポート(33)が1つずつ形成されている。各吸入ポート(33)は、シリンダ(51,52)を半径方向に貫通し、その終端がシリンダ(51,52)の内周面に開口している。また、各吸入ポート(33)は、配管によってケーシング(31)の外部へ延長されている。
フロントヘッド(54)及びリアヘッド(55)には、それぞれ吐出ポートが1つずつ形成されている。フロントヘッド(54)の吐出ポートは、第2シリンダ(52)内の圧縮室(53)をケーシング(31)の内部空間と連通させる。リアヘッド(55)の吐出ポートは、第1シリンダ(51)内の圧縮室(53)をケーシング(31)の内部空間と連通させる。また、各吐出ポートは、その終端にリード弁からなる吐出弁が設けられており、この吐出弁によって開閉される。尚、図3において、吐出ポート及び吐出弁の図示は省略する。そして、圧縮機構(50)からケーシング(31)の内部空間へ吐出されたガス冷媒は、吐出管(36)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から送り出される。
図3にも示すように、上記膨張機構(60)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ膨張機を構成している。この膨張機構(60)には、対になったシリンダ(71,81)及びピストン(75,85)が二組設けられている。また、膨張機構(60)には、フロントヘッド(61)と、中間プレート(63)と、リアヘッド(62)とが設けられている。
上記膨張機構(60)では、下から上へ向かって順に、フロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)、リアヘッド(62)が積層された状態となっている。この状態において、第1シリンダ(71)は、その下側端面がフロントヘッド(61)により閉塞され、その上側端面が中間プレート(63)により閉塞されている。一方、第2シリンダ(81)は、その下側端面が中間プレート(63)により閉塞され、その上側端面がリアヘッド(62)により閉塞されている。また、第2シリンダ(81)は、その内径が第1シリンダ(71)の内径よりも大きく、その高さが第1シリンダ(71)よりも低くなっている。
上記シャフト(40)は、積層された状態のフロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)、及びリアヘッド(62)を貫通している。また、シャフト(40)は、その第1大径偏心部(41)が第1シリンダ(71)内に位置し、その第2大径偏心部(42)が第2シリンダ(81)内に位置している。
図4及び図5に示すように、第1シリンダ(71)内には第1ピストン(75)が、第2シリンダ(81)内には第2ピストン(85)がそれぞれ設けられている。第1及び第2ピストン(75,85)は、何れも円環状あるいは円筒状に形成されている。第1ピストン(75)には第1大径偏心部(41)が、第2ピストン(85)には第2大径偏心部(42)がそれぞれ貫通している。第1ピストン(75)の内周面は第1大径偏心部(41)の外周面と摺接し、第2ピストン(85)の内周面は第2大径偏心部(42)と摺接する。
上記第1ピストン(75)は、その外周面が第1シリンダ(71)の内周面に、一方の端面がフロントヘッド(61)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第1シリンダ(71)内には、その内周面と第1ピストン(75)の外周面との間に第1流体室(72)が形成される。一方、上記第2ピストン(85)は、その外周面が第2シリンダ(81)の内周面に、一方の端面がリアヘッド(62)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第2シリンダ(81)内には、その内周面と第2ピストン(85)の外周面との間に第2流体室(82)が形成される。
上記第1及び第2ピストン(75,85)のそれぞれには、ブレード(76,86)が1つずつ一体に設けられている。ブレード(76,86)は、ピストン(75,85)の半径方向へ延びる板状に形成されており、ピストン(75,85)の外周面から外側へ突出している。
上記各シリンダ(71,81)には、一対のブッシュ(77,87)が一組ずつ設けられている。各ブッシュ(77,87)は、内側面が平面となって外側面が円弧面となるように形成された小片である。一対のブッシュ(77,87)は、ブレード(76,86)を挟み込んだ状態で設置されている。各ブッシュ(77,87)は、その内側面がブレード(76,86)と、その外側面がシリンダ(71,81)と摺動する。そして、ピストン(75,85)と一体のブレード(76,86)は、ブッシュ(77,87)を介してシリンダ(71,81)に支持され、シリンダ(71,81)に対して回動自在で且つ進退自在となっている。
第1シリンダ(71)内の第1流体室(72)は、第1ピストン(75)と一体の第1ブレード(76)によって仕切られており、図4における第1ブレード(76)の左側が高圧側の第1高圧室(73)となり、その右側が低圧側の第1低圧室(74)となっている。第2シリンダ(81)内の第2流体室(82)は、第2ピストン(85)と一体の第2ブレード(86)によって仕切られており、図4における第2ブレード(86)の左側が高圧側の第2高圧室(83)となり、その右側が低圧側の第2低圧室(84)となっている。
上記第1シリンダ(71)と第2シリンダ(81)とは、それぞれの周方向におけるブッシュ(77,87)の位置が一致する姿勢で配置されている。言い換えると、第2シリンダ(81)の第1シリンダ(71)に対する配置角度が0°となっている。上述のように、第1大径偏心部(41)と第2大径偏心部(42)とは、主軸部(44)の軸心に対して同じ方向へ偏心している。従って、第1ブレード(76)が第1シリンダ(71)の外側へ最も退いた状態になるのと同時に、第2ブレード(86)が第2シリンダ(81)の外側へ最も退いた状態になる。
上記第1シリンダ(71)には、流入ポート(34)が形成されている。流入ポート(34)は、第1シリンダ(71)の内周面のうち、図4におけるブッシュ(77)のやや左側の箇所に開口している。流入ポート(34)は、第1高圧室(73)(即ち第1流体室(72)の高圧側)と連通可能となっている。この第1高圧室(73)は、流入過程の流体室である流入室を構成している。
上記第2シリンダ(81)には、流出ポート(35)が形成されている。流出ポート(35)は、第2シリンダ(81)の内周面のうち、図4おけるブッシュ(87)のやや右側の箇所に開口している。流出ポート(35)は、第2低圧室(84)(即ち第2流体室(82)の低圧側)と連通可能となっている。この第2低圧室(84)は、流出過程の流体室である流出室を構成している。
上記中間プレート(63)には、連通路(64)が形成されている。この連通路(64)は、中間プレート(63)を厚み方向へ貫通している。中間プレート(63)の第1シリンダ(71)側の面では、図4における第1ブレード(76)の右側の箇所に連通路(64)の一端が開口している。中間プレート(63)の第2シリンダ(81)側の面では、図4における第2ブレード(86)の左側の箇所に連通路(64)の他端が開口している。そして、連通路(64)は、第1低圧室(74)(即ち第1流体室(72)の低圧側)と第2高圧室(83)(即ち第2流体室(82)の高圧側)とを互いに連通させている。
上述のように、上記膨張機構(60)では、第1ブレード(76)が第1シリンダ(71)の外側へ最も退くタイミングと、第2ブレード(86)が第2シリンダ(81)の外側へ最も退くタイミングとが同期している。つまり、第1ロータリ機構部(70)において第1低圧室(74)の容積が減少してゆく過程と、第2ロータリ機構部(80)において第2高圧室(83)の容積が増加してゆく過程とが同期している。また、上述のように、第1ロータリ機構部(70)の第1低圧室(74)と、第2ロータリ機構部(80)の第2高圧室(83)とは、連通路(64)を介して互いに連通している。そして、連通路(64)を介して連通する第1低圧室(74)と第2高圧室(83)は、膨張過程の流体室である膨張室(66)を構成する。
図3及び図4に示すように、中間プレート(63)には、円筒穴(93)と補助通路(91)とバイパス通路(92)とが形成されている。また、圧縮・膨張ユニット(30)には、容積変更機構(20)が設けられている。なお、図4では、円筒穴(93)、補助通路(91)、バイパス通路(92)、及び容積変更機構(20)が模式的に図示されている。
円筒穴(93)は、中間プレート(63)の半径方向へ延びる円形断面の穴であって、中間プレート(63)の外周面に開口している。
上記補助通路(91)は、その一端が中間プレート(63)の下面に開口し、その他端が円筒穴(93)の側壁に開口している。中間プレート(63)の下面において、補助通路(91)の一端は、第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から第1ピストン(75)の公転方向(図4における反時計方向)へ225°だけ進んだ位置に開口している。また、円筒穴(93)の側壁において、補助通路(91)の他端は、円筒穴(93)の底面(図3における左端面)の近傍に開口している。
上記バイパス通路(92)は、その一端が円筒穴(93)の側壁に開口し、その他端が中間プレート(63)の上面に開口している。円筒穴(93)の側壁において、バイパス通路(92)の一端は、円筒穴(93)の底面から中間プレート(63)の外周側へ所定距離だけ離れた位置に開口している。また、中間プレート(63)の上面において、バイパス通路(92)の他端は、第2シリンダ(81)の内周面に沿って第2ブレード(86)の位置から第2ピストン(85)の公転方向(図4における反時計方向)へ45°だけ進んだ位置に開口している。
上記容積変更機構(20)は、往復ピストン(25)と駆動ロッド(21)とステッピングモータ(22)とを備えている。ピストン部材である往復ピストン(25)は、円柱状に形成されており、中間プレート(63)の円筒穴(93)に挿入されている。往復ピストン(25)の外径は、円筒穴(93)の内径と概ね等しくなっている。往復ピストン(25)が挿入された円筒穴(93)では、円筒穴(93)の底面と往復ピストン(25)の先端面(図3における左端面)との間の空間が補助室(94)となっている。往復ピストン(25)には、駆動ロッド(21)の一端が係合している。この駆動ロッド(21)の他端は、ケーシング(31)の外部へ延びており、ケーシング(31)の側面に取り付けられたステッピングモータ(22)に連結されている。
上記容積変更機構(20)において、ステッピングモータ(22)で駆動ロッド(21)を回転させると、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の軸方向へ移動する。往復ピストン(25)の位置が変化すると、それに伴って補助室(94)の容積が変化する。
また、往復ピストン(25)の位置が変化すると、それに伴って円筒穴(93)の内壁におけるバイパス通路(92)の開口面積が変化し、バイパス通路(92)へ流入する冷媒の流量が変化する。つまり、上記容積変更機構(20)は、バイパス通路(92)における冷媒流量を調節する流量調節機構(100)を兼ねている。
具体的に、円筒穴(93)における補助通路(91)の開口位置とバイパス通路(92)の開口位置との間に往復ピストン(25)の先端(図3における左端)が位置している状態では、バイパス通路(92)が往復ピストン(25)の側面によって塞がれる。この状態では、補助室(94)が補助通路(91)だけに連通し、バイパス通路(92)は補助通路(91)と連通しない。往復ピストン(25)が図3における右側へ更に移動すると、やがて、円筒穴(93)におけるバイパス通路(92)の開口位置よりも往復ピストン(25)の先端が退いた状態となる。この状態では、補助室(94)が補助通路(91)とバイパス通路(92)の両方に連通し、バイパス通路(92)は補助室(94)を介して補助通路(91)と連通する。
以上のように構成された本実施形態の膨張機構(60)では、第1シリンダ(71)と、そこに設けられたブッシュ(77)と、第1ピストン(75)と、第1ブレード(76)とが第1ロータリ機構部(70)を構成している。また、第2シリンダ(81)と、そこに設けられたブッシュ(87)と、第2ピストン(85)と、第2ブレード(86)とが第2ロータリ機構部(80)を構成している。
−運転動作−
上記空調機(10)の動作について説明する。ここでは、空調機(10)の冷房運転時及び暖房運転時の動作について説明し、続いて膨張機構(60)の動作について説明する。
〈冷房運転〉
冷房運転時には、第1四路切換弁(12)及び第2四路切換弁(13)が図1に破線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)の電動機(45)に通電すると、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
圧縮機構(50)で圧縮された冷媒は、吐出管(23)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から吐出される。この状態で、冷媒の圧力は、その臨界圧力よりも高くなっている。この吐出冷媒は、室外熱交換器(14)へ送られて室外空気へ放熱する。室外熱交換器(14)で放熱した高圧冷媒は、流入管を通って膨張機構(60)へ流入する。膨張機構(60)では、高圧冷媒が膨張し、この高圧冷媒から動力が回収される。膨張後の低圧冷媒は、流出管を通って室内熱交換器(15)へ送られる。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、室内空気が冷却される。室内熱交換器(15)から出た低圧ガス冷媒は、吸入管を通って圧縮機構(50)へ吸入される。圧縮機構(50)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
〈暖房運転〉
暖房運転時には、第1四路切換弁(12)及び第2四路切換弁(13)が図1に実線で示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮・膨張ユニット(30)の電動機(45)に通電すると、冷媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
圧縮機構(50)で圧縮された冷媒は、吐出管(23)を通って圧縮・膨張ユニット(30)から吐出される。この状態で、冷媒の圧力は、その臨界圧力よりも高くなっている。この吐出冷媒は、室内熱交換器(15)へ送られる。室内熱交換器(15)では、流入した冷媒が室内空気へ放熱し、室内空気が加熱される。室内熱交換器(15)で放熱した冷媒は、流入管を通って膨張機構(60)へ流入する。膨張機構(60)では、高圧冷媒が膨張し、この高圧冷媒から動力が回収される。膨張後の低圧冷媒は、流出管を通って室外熱交換器(14)へ送られ、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14)から出た低圧ガス冷媒は、吸入管を通っての圧縮機構(50)へ吸入される。圧縮機構(50)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
〈膨張機構部の動作〉
膨張機構(60)の動作について説明する。
先ず、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の最も奥に位置していて補助室(94)の容積がゼロになっている状態での膨張機構(60)の動作について、図5を参照しながら説明する。
第1ロータリ機構部(70)の第1高圧室(73)へ超臨界状態の高圧冷媒が流入する過程について説明する。回転角が0°の状態からシャフト(40)が僅かに回転すると、第1ピストン(75)と第1シリンダ(71)の接触位置が流入ポート(34)の開口部を通過し、流入ポート(34)から第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入し始める。その後、シャフト(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれて、第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入してゆく。この第1高圧室(73)への高圧冷媒の流入は、シャフト(40)の回転角が360°に達するまで続く。
膨張機構(60)において冷媒が膨張する過程について説明する。回転角が0°の状態からシャフト(40)が僅かに回転すると、第1低圧室(74)と第2高圧室(83)が連通路(64)を介して互いに連通し、第1低圧室(74)から第2高圧室(83)へと冷媒が流入し始める。その後、シャフト(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれ、第1低圧室(74)の容積が次第に減少すると同時に第2高圧室(83)の容積が次第に増加し、結果として膨張室(66)の容積が次第に増加してゆく。この膨張室(66)の容積増加は、シャフト(40)の回転角が360°に達する直前まで続く。そして、膨張室(66)の容積が増加する過程で膨張室(66)内の冷媒が膨張し、この冷媒の膨張によってシャフト(40)が回転駆動される。このように、第1低圧室(74)内の冷媒は、連通路(64)を通って第2高圧室(83)へ膨張しながら流入してゆく。
第2ロータリ機構部(80)の第2低圧室(84)から冷媒が流出してゆく過程について説明する。第2低圧室(84)は、シャフト(40)の回転角が0°の時点から流出ポート(35)に連通し始める。つまり、第2低圧室(84)から流出ポート(35)へと冷媒が流出し始める。その後、シャフト(40)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなってゆき、その回転角が360°に達するまでの間に亘って、第2低圧室(84)から膨張後の低圧冷媒が流出してゆく。
図5に示す補助室(94)の容積がゼロの状態において、シャフト(40)が1回転する間に膨張機構(60)へ流入する高圧冷媒の体積は、シャフト(40)の回転角が0°の時点における第1流体室(72)の容積となる。この状態において、膨張機構(60)を通過できる冷媒量が圧縮機構(50)から吐出された冷媒量に対して相対的に過少となり、冷凍サイクルの高圧が目標値を上回ってしまう場合は、シャフト(40)が1回転する間に膨張機構(60)へ流入する高圧冷媒の体積を増やす必要がある。
そこで、このような場合は、図6に示すように往復ピストン(25)を円筒穴(93)の奥から引き出し、補助室(94)の容積を拡大させる。本実施形態の膨張機構(60)では、シャフト(40)の回転角が約225°に達した時点から補助室(94)が第1高圧室(73)に連通し始める。そして、その後にシャフト(40)の回転角が360°に達するまでの間は、流入ポート(34)の高圧冷媒が第1高圧室(73)と補助室(94)の両方へ流入する。従って、シャフト(40)が1回転する間に膨張機構(60)へ流入する高圧冷媒の体積は、シャフト(40)の回転角が0°の時点における第1流体室(72)の容積に補助室(94)の容積を加えた値となる。
補助室(94)の容積は、円筒穴(93)におけるバイパス通路(92)の開口位置の直前に往復ピストン(25)の先端が位置するときに最大となる。そして、運転条件によっては、補助室(94)の容積を最大にしても膨張機構(60)を通過する冷媒流量が依然として不足する場合もある。
そこで、このような場合は、図7に示すように往復ピストン(25)を更に移動させ、バイパス通路(92)を補助室(94)と連通させる。本実施形態の膨張機構(60)では、シャフト(40)の回転角が約225°に達すると、補助通路(91)と補助室(94)とバイパス通路(92)を介して第1高圧室(73)が第2高圧室(83)と連通する。そして、膨張機構(60)へ流入した高圧冷媒の一部は、第1高圧室(73)から補助通路(91)と補助室(94)とバイパス通路(92)とを順に通って第2高圧室(83)へ流入する。つまり、この場合には、膨張室(66)を構成する第2高圧室(83)へも高圧冷媒が流入することになる。第2高圧室(83)への高圧冷媒の流入は、シャフト(40)の回転角が360°に達する直前まで続く。
このように、本実施形態の膨張機構(60)は、先ず補助室(94)の容積を調節することによって膨張機構(60)を通過する冷媒流量の確保を図り、それだけでは膨張機構(60)を通過する冷媒流量が不足するときには、膨張途中の膨張室(66)へ高圧冷媒を導入することによって膨張機構(60)を通過する冷媒流量を増大させている。
−補助通路とバイパス通路の開口位置−
本実施形態の膨張機構(60)は、通常は補助室(94)の容積調節によって膨張機構(60)を通過する冷媒流量を確保し、それだけでは膨張機構(60)を通過する冷媒流量が不足する特殊な運転条件のときにバイパス通路(92)を利用するように設計されている。このように設計された膨張機構(60)において、補助通路(91)やバイパス通路(92)の開口位置は、次のような位置に設定するのが望ましい。
具体的に、上記膨張機構(60)では、補助通路(91)の入口端が、第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から第1ピストン(75)の公転方向(図4における反時計方向)に225°だけ進んだ位置に開口している。そして、この補助通路(91)の入口端の位置は、第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から第1ピストン(75)の公転方向へ測った角度が90°以上270°以下となる位置であるのが望ましく、特に当該角度が150℃以上240°以下となる位置であるのが望ましい。
また、上記膨張機構(60)では、バイパス通路(92)の出口端が、第2シリンダ(81)の内周面に沿って第2ブレード(86)の位置から第2ピストン(85)の公転方向(図4における反時計方向)へ45°だけ進んだ位置に開口している。そして、このバイパス通路(92)の出口端の開口位置は、第2シリンダ(81)の内周面に沿っていて第2ブレード(86)に出来るだけ近い位置であるのが望ましい。
−実施形態1の効果−
本実施形態では、バイパス通路(92)を通じて流入過程の第1高圧室(73)から膨張過程の第2高圧室(83)へ高圧冷媒を導入しており、
第1低圧室(74)や第2高圧室(83)などで構成された膨張室(66)へも高圧冷媒を流入させることによって、1回の流入行程で膨張機構(60)へ流入する冷媒量を増やすことができる。従って、本実施形態によれば、膨張機構(60)を通過する冷媒流量が不足するのを回避でき、冷媒回路(11)で行われる冷凍サイクルの高圧を適切な値に設定できるため、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、膨張機構(60)の内部にバイパス通路(92)や流量調節機構(100)を設けている。このため、膨張機構(60)の外部にバイパス用の配管を設置する場合のように配管の接合箇所が増えることはなく、冷媒回路(11)の構造が複雑化するのを回避できる。従って、本実施形態によれば、膨張機構(60)での通過冷媒量の不足に起因する冷凍サイクルの効率低下を防止できると同時に、冷媒回路(11)の構造が複雑化するのを回避することができる。
また、本実施形態の膨張機構(60)では、先ず補助室(94)の容積を調節することによって膨張機構(60)での通過冷媒量の確保を図り、補助室(94)の容積調節では膨張機構(60)での通過冷媒量を確保しきれない場合にバイパス通路(92)への冷媒の導入を開始している。
ここで、上述したように、補助室(94)の容積調節によって膨張機構(60)での通過冷媒量を確保する際には、補助室(94)へ流入した高圧冷媒も膨張するため、補助室(94)へ流入した高圧冷媒からも動力を回収できる。このため、膨張機構(60)での通過冷媒量を確保は、補助室(94)の容積調節によって行うのが望ましい。ところが、膨張機構(60)の構造上の制約から補助室(94)の大きさには限度があり、補助室(94)の容積調節だけでは過膨張を回避しきれない場合もある。
これに対し、本実施形態では、補助室(94)の容積調節による膨張機構(60)での通過冷媒量の確保を優先的に行い、それでは膨張機構(60)での通過冷媒量を確保しきれない場合にだけバイパス通路(92)へ冷媒を流すようにしている。従って、本実施形態によれば、冷凍サイクルの条件に拘わらず膨張機構(60)での通過冷媒量を確保できると同時に、できるだけ多くの動力を膨張機構(60)で回収して冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
−実施形態1の変形例−
空調機(10)の使用状態によっては、補助室(94)の容積調節だけによって膨張機構(60)での通過冷媒量を確保できるケースが少なく、むしろバイパス通路(92)を用いなければ膨張機構(60)での通過冷媒量を確保できないケースが多い場合もある。このような場合は、バイパス通路(92)を用いて膨張機構(60)での通過冷媒量を確保する際における回収動力の減少が出来るだけ少なくなるように膨張機構(60)を設計する必要がある。このように設計された膨張機構(60)において、補助通路(91)やバイパス通路(92)の開口位置は、次のような位置に設定するのが望ましい。
具体的に、補助通路(91)の入口端は、第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から第1ピストン(75)の公転方向(図8における反時計方向)に0°以上135°以下だけ進んだ位置に開口させるのが望ましい。ここで、補助室(94)へ流入した高圧冷媒から回収できる動力は、補助通路(91)の入口端が第1ブレード(76)の位置から離れるにつれて大きくなる。ところが、バイパス通路(92)を通じて第2高圧室(83)へ導入される高圧冷媒から回収できる動力は、補助通路(91)の入口端が第1ブレード(76)の位置から離れるにつれて小さくなる。このため、補助通路(91)の入口端は、上記のような位置に開口させるのが望ましい。
一方、バイパス通路(92)の出口端は、第2シリンダ(81)の内周面に沿って第2ブレード(86)の位置から測った角度が、第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から補助通路(91)の入口端まで測った角度よりも大きくなるような位置に開口させる必要がある。バイパス通路(92)を通じて第2高圧室(83)へ導入される高圧冷媒から回収できる動力は、これら2つの角度の差が小さいほど大きくなる。
図8に示す膨張機構(60)では、補助通路(91)の入口端が第1シリンダ(71)の内周面に沿って第1ブレード(76)の位置から同図の左回りに45°だけ進んだ位置に開口し、バイパス通路(92)の出口端が第2シリンダ(81)の内周面に沿って第2ブレード(86)の位置から第2ピストン(85)の公転方向(図8における反時計方向)へ225°だけ進んだ位置に開口している。この膨張室(66)では、シャフト(40)の回転角が45°から225°に至るまでの間は、補助通路(91)と補助室(94)とバイパス通路(92)を介して第1高圧室(73)と第2低圧室(84)が連通状態となる。この間は、高圧冷媒が第1高圧室(73)からバイパス通路(92)を通って第2低圧室(84)へ流れ込むため、バイパス通路(92)を流れる冷媒からの動力回収はできないものの、膨張機構(60)を通過する冷媒の流量が大幅に増大する。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において容積変更機構(20)の構成を変更したものである。
本実施形態の容積変更機構(20)は、往復ピストン(25)を冷媒の圧力によって駆動するように構成されている。ここでは、本実施形態の容積変更機構(20)について説明する。なお、本実施形態の容積変更機構(20)は、上記実施形態1のものと同様に流量調節機構(100)を兼ねている。
図9に示すように、往復ピストン(25)は、中間プレート(63)の円筒穴(93)に挿入されている。この往復ピストン(25)では、その一端から他端へ向かって順に、先端部(26)と細径部(27)とテーパー部(28)と基端部(29)とが同軸上に形成されている。往復ピストン(25)は、 その先端部(26)が中間プレート(63)の外周側を向く姿勢で円筒穴(93)に挿入されている。
往復ピストン(25)において、先端部(26)と基端部(29)は、共に外径が円筒穴(93)の内径とほぼ等しい円柱状に形成されている。先端部(26)と基端部(29)の外周面は、円筒穴(93)の内面と摺接する。細径部(27)は、先端部(26)や基端部(29)よりも細径の円柱状に形成されている。テーパー部(28)は、一端が細径部(27)に連続して他端が基端部(29)に連続する円錐台状に形成されている。このテーパー部(28)は、その一端の外径が細径部(27)の外径と等しく、他端の外径が基端部(29)の外径と等しくなっている。
円筒穴(93)の内部には、シール部材(23)が設けられている。このシール部材(23)は、その外周面の全体が円筒穴(93)の内面と密着し、その内周面の一部が往復ピストン(25)の細径部(27)と摺接している。また、シール部材(23)において、その内周面のうち細径部(27)と摺接しない部分は、往復ピストン(25)のテーパー部(28)に対応した形状のテーパー面となっている。
円筒穴(93)の内部には、往復ピストン(25)とシール部材(23)によって補助室(94)が形成されている。往復ピストン(25)が移動すると、それに伴って補助室(94)の容積が変化する。上記実施形態1の場合と同様に、円筒穴(93)の内壁には、補助通路(91)とバイパス通路(92)が開口している。本実施形態において、円筒穴(93)の内壁におけるバイパス通路(92)の開口位置は、補助通路(91)の開口位置よりも中間プレート(63)の中心寄りとなっている。
往復ピストン(25)が挿入された円筒穴(93)の内部には、背圧室(96)と加圧室(95)とが形成されている。
背圧室(96)は、円筒穴(93)の底面(図9における左端面)と往復ピストン(25)の基端部(29)との間に形成されている。この背圧室(96)には、コイルばね(24)が収容されている。このコイルばね(24)は、往復ピストン(25)を中間プレート(63)の外周側へ付勢している。
加圧室(95)は、往復ピストン(25)の先端部(26)よりも中間プレート(63)の外周側に形成されている。加圧室(95)には、ケーシング(31)の外部から延びる高圧配管(110)が接続されている。高圧配管(110)は、圧縮・膨張ユニット(30)の流入ポート(34)に接続する冷媒配管から分岐した配管である。この高圧配管(110)には、開度可変の調節弁(111)が設けられている。調節弁(111)の開度を変更すると、高圧配管(110)から加圧室(95)へ供給される冷媒の流量が変化する。
中間プレート(63)には、細径のガス抜き通路(97)が形成されている。このガス抜き通路(97)は、一端側で二つに分岐しており、分岐した一方が背圧室(96)に、他方が加圧室(95)にそれぞれ接続している。ガス抜き通路(97)の他端は、中間プレート(63)の上面に開口している。このガス抜き通路(97)は、その他端が流出ポート(35)の近傍に位置しており、第2シリンダ(81)内の第2低圧室(84)に連通可能となっている。
−運転動作−
本実施形態の容積変更機構(20)の動作について説明する。
容積変更機構(20)では、調節弁(111)の開度を変更すると往復ピストン(25)の位置が変化する。この点について説明する。調節弁(111)の開度を変更すると、高圧配管(110)から加圧室(95)へ流入する冷媒の流量が変化する。加圧室(95)内の冷媒は、ガス抜き通路(97)を通って加圧室(95)から徐々に排出されてゆく。このため、加圧室(95)へ流入する冷媒の流量を変化させると、それに伴って加圧室(95)の内圧が変化する。往復ピストン(25)の先端部(26)には加圧室(95)内の冷媒圧力が作用する。そして、往復ピストン(25)は、加圧室(95)内の冷媒から受ける力とコイルばね(24)から受ける付勢力とが均衡する位置へと移動する。
調節弁(111)を全閉した状態では、図10(A)に示すように、往復ピストン(25)がコイルばね(24)に押されて中間プレート(63)の外周側に位置している。この状態では、補助室(94)の容積がゼロとなり、円筒穴(93)の内壁における補助通路(91)及びバイパス通路(92)の開口端が往復ピストン(25)の基端部(29)によって閉塞される。
調節弁(111)を少し開くと、加圧室(95)の内圧が上昇し、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の奥側(中間プレート(63)の中心側)へと移動する。往復ピストン(25)が円筒穴(93)の奥側へ移動すると、図10(B)に示すように、補助通路(91)と補助室(94)が互いに連通する。調節弁(111)の開度を変更して加圧室(95)の内圧を変化させると、それに応じて往復ピストン(25)が変位することによって補助室(94)の容積が変化する。そして、往復ピストン(25)が図10(C)に示す位置、即ち往復ピストン(25)における基端部(29)とテーパー部(28)の境界がバイパス通路(92)の開口端をよぎる直前の位置に達するまでは、補助室(94)の容積を変更することによって膨張機構(60)での通過冷媒量の確保が図られる。
調節弁(111)を更に開いて加圧室(95)の内圧を上昇させると、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の奥側へ更に移動してゆく。往復ピストン(25)が図10(C)に示す状態から円筒穴(93)の奥側へ移動すると、図10(D)や同図(E)に示すように、補助通路(91)とバイパス通路(92)の両方が補助室(94)に連通する。この状態では、バイパス通路(92)を通って第1高圧室(73)から第2高圧室(83)へ高圧冷媒が導入され、バイパス通路(92)を利用して膨張機構(60)での通過冷媒量の確保が図られる。また、補助通路(91)とバイパス通路(92)の両方が補助室(94)に連通する状態では、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の奥側へ移動するにつれてバイパス通路(92)を流れる冷媒の流量が増大する。
ここで、往復ピストン(25)における基端部(29)とテーパー部(28)の境界がバイパス通路(92)の開口端に面する状態(図10(D)に示す状態)では、往復ピストン(25)の位置によってバイパス通路(92)の開口面積が変化し、それに伴って補助室(94)からバイパス通路(92)へ流入する冷媒の流量が変化する。更に、本実施形態の往復ピストン(25)には、テーパー部(28)が形成されている。このため、往復ピストン(25)における基端部(29)とテーパー部(28)の境界がバイパス通路(92)の開口端よりも奥側に位置する状態(図10(E)に示す状態)でも、往復ピストン(25)の変位に伴ってテーパー部(28)の外周面と円筒穴(93)の内壁との距離が変化し、補助室(94)からバイパス通路(92)へ流入する冷媒の流量が変化する。従って、本実施形態によれば、バイパス通路(92)を流れる冷媒の流量を精密に制御することが可能となる。
−実施形態2の変形例−
上述したように、本実施形態では、往復ピストン(25)やコイルばね(24)等で構成される機構が容積変更機構(20)と流量調節機構(100)の両方を兼ねている。これに対し、往復ピストン(25)やコイルばね(24)等で構成される機構が容積変更機構(20)ではなく流量調節機構(100)だけを構成するようにしてもよい。
この変形例では、図11に示すように、円筒穴(93)の内壁における補助通路(91)の開口端とバイパス通路(92)の開口端が互いに対向する位置に形成される。また、円筒穴(93)の内部にシール部材(23)は設けられず、往復ピストン(25)では細径部(27)が省略される。本変形例では、往復ピストン(25)における基端部(29)とテーパー部(28)の境界が補助通路(91)及びバイパス通路(92)の開口端をよぎると、図11に示すように補助通路(91)とバイパス通路(92)が互いに連通する。そして、往復ピストン(25)が円筒穴(93)の奥側(図11における左側)へ移動するにつれて、補助通路(91)とバイパス通路(92)で構成されるバイパス通路(92)を流れる冷媒の流量が増大する。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態は、上記実施形態1が膨張機構(60)を2つのロータリ機構部(70、80)で構成したのに代えて、膨張機構(60)をスクロール機構(200)で構成したものである。
図12に示すように、上記スクロール機構(200)は、ケーシング(31)のフレーム(図示省略)に固定された固定スクロール(210)と、上記フレームにオルダムリングを介して保持された可動スクロール(220)とを備えている。
上記固定スクロール(210)は、平板状の固定鏡板(図示省略)と、該固定鏡板に立設された渦巻状の固定ラップ(211)とを備えている。一方、上記可動スクロール(220)は、平板状の可動鏡板(図示省略)と、該可動鏡板に立設された渦巻状の可動ラップ(221)とを備えている。固定スクロール(210)の固定ラップ(211)と可動スクロール(220)の可動ラップ(221)が互いに噛み合って複数の流体室(230)が形成されている。
本実施形態の膨張機構(60)では、流入ポート(34)と流出ポート(35)が固定スクロール(210)に形成されている。流入ポート(34)は、固定ラップ(211)の巻き始め側端部の近傍に開口している。流出ポート(35)は、固定ラップ(211)の巻き終わり側端部の近傍に開口している。
上記複数の流体室(230)は、固定ラップ(211)の内側面と可動ラップ(221)の外側面とに挟まれた空間が、A室(231)を構成している。また、固定ラップ(211)の外側面と可動ラップ(221)の内側面とに挟まれた空間が、B室(232)を構成している。
上記膨張機構(60)では、円筒穴(93)が固定スクロール(210)の固定鏡板に形成されている。上記実施形態1と同様に、この円筒穴(93)には往復ピストン(25)が挿入されており、円筒穴(93)の内部に補助室(94)が形成される。
また、上記膨張機構(60)では、A室用補助通路(91a)、B室用補助通路(91b)、A室用バイパス通路(92a)、及びB室用バイパス通路(92b)が固定スクロール(210)の固定鏡板に形成されている。
A室用補助通路(91a)の入口端は、固定ラップ(211)の内側面に沿って固定ラップ(211)の巻き始め側端部から約360°進んだ位置に開口している。B室用補助通路(91b)の入口端は、固定ラップ(211)の外側面に沿って固定ラップ(211)の巻き始め側端部から約180°進んだ位置に開口している。A室用補助通路(91a)及びB室用補助通路(91b)の出口端は、円筒穴(93)における底面の近傍に開口している。
A室用バイパス通路(92a)の出口端は、固定ラップ(211)の内側面に沿って固定ラップ(211)の巻き始め側端部から約590°進んだ位置に開口している。B室用バイパス通路(92b)の出口端は、固定ラップ(211)の外側面に沿って固定ラップ(211)の巻き始め側端部から約410°進んだ位置に開口している。A室用バイパス通路(92a)及びB室用バイパス通路(92b)の入口端は、A室用補助通路(91a)及びB室用補助通路(91b)の出口端から円筒穴(93)の軸方向へ所定距離だけ離れた位置で円筒穴(93)の内壁に開口している。
−運転動作−
本実施形態の膨張機構(60)の動作について、図13を参照しながら説明する。なお、図13では、固定ラップ(211)の巻き始め側端部が可動ラップ(221)の内側面に接すると同時に可動ラップ(221)の巻き始め側端部が固定ラップ(211)の内側面に接する状態を基準の0°としている。また、図13では、円筒穴(93)や往復ピストン(25)の図示を省略している。
膨張機構(60)へ導入される高圧冷媒は、流入ポート(34)を通り、固定ラップ(211)の巻き始め近傍と可動ラップ(221)の巻き始め近傍に挟まれた1つの流体室(230)に流入する。つまり、高圧冷媒は、流入ポート(34)から流入過程の流体室(230)に導入される。
この流入過程の流体室(230)への高圧冷媒の流入は、可動スクロール(220)の公転角度が360°に達する直前まで続く。その間、可動スクロール(220)の公転角度が180°を過ぎると、補助通路(91)が流入過程の流体室(230)に連通し始め、その後は高圧冷媒が補助通路(91)を通って補助室(94)へも流入してゆく。
可動スクロール(220)の公転角度が360°に達すると、可動ラップ(221)及び固定ラップ(211)によって流体室(230)がA室(231)とB室(232)に仕切られる。閉じ込み状態となったA室(231)及びB室(232)は、膨張過程の流体室(230)を構成している。そして、A室(231)及びB室(232)に閉じ込められた冷媒が膨張することにより、可動スクロール(220)が駆動される。
A室(231)内での冷媒の膨張は、可動スクロール(220)の公転角度が360°を超えたときから始まり、可動スクロール(220)の公転角度が960°から1020°に至る途中で終了する。その際、A室用バイパス通路(92a)は、可動スクロール(220)の公転角度が420°から480°に至る途中でA室(231)に連通し始め、その後に可動スクロール(220)が1公転する間に亘ってA室(231)に連通し続ける。その間、A室用バイパス通路(92a)が補助室(94)に連通していれば、補助室(94)内へ流入した高圧冷媒がA室用バイパス通路(92a)を通って膨張過程のA室(231)へも流入する。
A室(231)は、可動スクロール(220)の公転角度が960°から1020°に至る途中で流出ポート(35)に連通する。その後は、膨張して低圧となった冷媒がA室(231)から流出ポート(35)へ送出されてゆく。
B室(232)内での冷媒の膨張は、可動スクロール(220)の公転角度が360°を超えたときから始まり、可動スクロール(220)の公転角度が840°から900°に至る途中で終了する。その際、B室用バイパス通路(92b)は、可動スクロール(220)の公転角度が420°から480°に至る途中でB室(232)に連通し始め、その後に可動スクロール(220)が1公転する間に亘ってB室(232)に連通し続ける。その間、B室用バイパス通路(92b)が補助室(94)に連通していれば、補助室(94)内へ流入した高圧冷媒がA室用バイパス通路(92a)を通って膨張過程のB室(232)へも流入する。
B室(232)は、可動スクロール(220)の公転角度が840°から900°に至る途中で流出ポート(35)に連通する。その後は、膨張して低圧となった冷媒がB室(232)から流出ポート(35)へ送出されてゆく。
本実施形態の膨張機構(60)においても、往復ピストン(25)を移動させると、それに伴って補助室(94)の容積が変化し、1回の流入過程で膨張機構(60)へ流入する高圧冷媒の体積が変化する。また、A室用バイパス通路(92a)及びB室用バイパス通路(92b)が補助室(94)に連通する状態では、流入過程の流体室(230)から膨張過程のA室(231)及びB室(232)へも高圧冷媒が導入される。
−実施形態3の効果−
本実施形態では、補助室(94)の容積を変更したり、A室用バイパス通路(92a)及びB室用バイパス通路(92b)を通じて膨張過程のA室(231)及びB室(232)へ高圧冷媒を導入することが可能である。従って、本実施形態によれば、上記実施形態1の場合と同様に、過膨張機構(60)での通過冷媒量を確保することができる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。本実施形態は、上記実施形態1において膨張機構(60)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の膨張機構(60)について説明する。
図14に示すように、本実施形態の膨張機構(60)は、上記実施形態1と同様に揺動ピストン型の流体機械によって構成される。ただし、本実施形態の膨張機構(60)では、シリンダ(301)とピストン(303)が1つずつ設けられている。また、本実施形態のシャフト(40)では、ピストン(303)を1つだけ設けたことに対応して、このピストン(303)に係合する大径偏心部(43)が1つだけ形成される。
本実施形態において、シリンダ(301)は、一方の端面がフロントヘッド(61)によって閉塞され、他方の端面がリアヘッド(62)によって閉塞されている。シリンダ(301)内に形成された流体室(302)は、ピストン(303)と一体に形成されたブレード(304)によって高圧側と低圧側とに仕切られる。また、このブレード(304)は、一対のブッシュ(305)を介してシリンダ(301)に支持されており、シリンダ(301)に対して進退自在で且つ回動自在となっている。
本実施形態の膨張機構(60)では、フロントヘッド(61)に流入ポート(34)が形成されている。流入ポート(34)の終端は、フロントヘッド(61)の内側面、即ちシリンダ(301)側の面に開口している。また、フロントヘッド(61)の内側面において、流入ポート(34)は、大径偏心部(43)やピストン(303)の端面によって覆われて流体室(302)と直接に連通することのない位置に開口している(図14を参照)。具体的に、流入ポート(34)の終端は、フロントヘッド(61)の内側面のうち大径偏心部(43)の端面と摺接する部分において、図14における主軸部(44)の軸心のやや左上の位置に開口している。
フロントヘッド(61)には、溝状通路(310)も形成されている。この溝状通路(310)は、フロントヘッド(61)をその内側面側から掘り下げることにより、フロントヘッド(61)の内側面に開口する凹溝状に形成されている。
フロントヘッド(61)の内側面における溝状通路(310)の開口部分は、図14における上下に細長い長方形状となっている。溝状通路(310)は、同図における主軸部(44)の軸心よりも左側に位置している。また、この溝状通路(310)は、同図における上端がシリンダ(301)の内周面よりも僅かに内側に位置すると共に、同図における下端がフロントヘッド(61)の内側面のうち大径偏心部(43)の端面と摺接する部分に位置している。そして、この溝状通路(310)は、流体室(302)と連通可能になっている。
シャフト(40)の大径偏心部(43)には、連通路(311)が形成されている。この連通路(311)は、大径偏心部(43)をその端面側から掘り下げることにより、フロントヘッド(61)に向き合った大径偏心部(43)の端面に開口する凹溝状に形成されている。
また、連通路(311)は、シャフト(40)の回転方向に沿って延びる円弧状に形成されている(図14を参照)。更に、連通路(311)におけるその周長方向の中央は、主軸部(44)の軸心と大径偏心部(43)の軸心を結んだ線上であって、大径偏心部(43)の軸心に対して主軸部(44)の軸心とは反対側に位置している。そして、シャフト(40)が回転すると、それに伴って大径偏心部(43)の連通路(311)も移動し、この連通路(311)を介して流入ポート(34)と溝状通路(310)が間欠的に連通される。
上記流出ポート(35)は、シリンダ(301)に形成されている。この流出ポート(35)の始端は、流体室(302)に臨むシリンダ(301)の内周面に開口している。また、流出ポート(35)の始端は、図14におけるブレード(304)の右側近傍に開口している。
本実施形態の膨張機構(60)では、フロントヘッド(61)又はリアヘッド(62)に補助通路(91)とバイパス通路(92)と円筒穴(93)とが形成されている。また、円筒穴(93)には、容積可変機構及び流量調節機構(100)を構成する往復ピストン(25)が挿入されている。なお、図14では、補助通路(91)やバイパス通路(92)、円筒穴(93)、往復ピストン(25)等を模式的に図示している。
補助通路(91)の流入端は、フロントヘッド(61)又はリアヘッド(62)の内側面(即ち、シリンダ(301)側の端面)に開口している。この補助通路(91)の流入端は、シリンダ(301)の内周面に沿ってブレード(304)の位置からシャフト(40)の回転方向(図14における反時計方向)へ約45°進んだ位置に設けられている。補助通路(91)の流出端は、上記実施形態1の場合と同様に、円筒穴(93)の内壁に開口しており、円筒穴(93)の底面の近傍に位置している。
バイパス通路(92)の流入端は、フロントヘッド(61)又はリアヘッド(62)の内側面(即ち、シリンダ(301)側の端面)に開口している。このバイパス通路(92)の流入端は、シリンダ(301)の内周面に沿ってブレード(304)の位置からシャフト(40)の回転方向(図14における反時計方向)へ約135°進んだ位置に設けられている。バイパス通路(92)の流出端は、上記実施形態1の場合と同様に、円筒穴(93)の内壁に開口しており、円筒穴(93)の底面から該円筒穴(93)の軸方向へ所定距離だけ離れた位置に設けられている。
−運転動作−
膨張機構(60)の動作について、図14を参照しながら説明する。流体室(302)へ高圧冷媒を導入すると、シャフト(40)が図14における反時計方向へ回転する。
シャフト(40)の回転角が0°の時点では、流入ポート(34)の終端が大径偏心部(43)の端面で覆われている。つまり、流入ポート(34)は、大径偏心部(43)によって塞がれた状態となっている。大径偏心部(43)の連通路(311)は、溝状通路(310)のみに連通している。溝状通路(310)は、ピストン(303)と大径偏心部(43)の端面によって覆われおり、流体室(302)に連通しない状態となっている。流体室(302)は、流出ポート(35)に連通することにより、その全体が低圧側となっている。この時点において、流体室(302)は流入ポート(34)から遮断された状態となっており、高圧冷媒は流体室(302)へ流入しない。
シャフト(40)の回転角が45°の時点では、流入ポート(34)が大径偏心部(43)の連通路(311)に連通した状態となる。この連通路(311)は、溝状通路(310)にも連通している。溝状通路(310)は、図14における上端部分がピストン(303)の端面から外れた状態となり、流体室(302)の高圧側と連通する。この時点において、流体室(302)が連通路(311)及び溝状通路(310)を介して流入ポート(34)に連通された状態となっており、高圧冷媒が流体室(302)の高圧側へ流入する。つまり、流体室(302)への高圧冷媒の導入は、シャフト(40)の回転角が0°から45°に至るまでの間に開始される。また、シャフト(40)の回転角が45°に達すると、流体室(302)の高圧側に補助通路(91)が連通し、補助室(94)へ高圧冷媒が流入する。
シャフト(40)の回転角が90°の時点では、流体室(302)が連通路(311)及び溝状通路(310)を介して流入ポート(34)に連通された状態となっている。そして、シャフト(40)の回転角が45°から90°に至るまでの間は、流体室(302)の高圧側と補助室(94)へ高圧冷媒が流入し続ける。その間、バイパス通路(92)が補助室(94)に連通していれば、補助室(94)内へ流入した高圧冷媒がバイパス通路(92)を通って流体室(302)の低圧側へも流入する。バイパス通路(92)を通って流体室(302)の低圧側へ流入した冷媒は、膨張後の冷媒と共に流出ポート(35)へ送り出される。
シャフト(40)が回転を続けると、大径偏心部(43)の連通路(311)は、流入ポート(34)に連通するものの、溝状通路(310)には連通しない状態となる。この時点において、流体室(302)は流入ポート(34)から遮断された状態となり、高圧冷媒は流体室(302)へ流入しなくなる。そして、シャフト(40)の回転角が135°の時点では、大径偏心部(43)の連通路(311)が流入ポート(34)と溝状通路(310)の何れにも連通しない状態となる。このように、流体室(302)及び補助室(94)への高圧冷媒の導入は、シャフト(40)の回転角が90°から135°に至るまでの間に終了する。
流体室(302)への高圧冷媒の導入が終了した後は、流体室(302)の高圧側が閉空間となり、そこへ流入した冷媒が膨張する。つまり、シャフト(40)が回転して流体室(302)における高圧側の容積が増大してゆく。また、その間、流出ポート(35)に連通する流体室(302)の低圧側からは、膨張後の低圧冷媒が流出ポート(35)を通じて排出され続ける。
流体室(302)における冷媒の膨張は、シャフト(40)の回転角が315°から360°に至るまでの間において、ピストン(303)におけるシリンダ(301)との接触部分が流出ポート(35)に達するまで続く。そして、ピストン(303)におけるシリンダ(301)との接触部分が流出ポート(35)を横切ると、流体室(302)が流出ポート(35)と連通され、膨張した冷媒の排出が開始される。
本実施形態の膨張機構(60)においても、往復ピストン(25)を移動させると、それに伴って補助室(94)の容積が変化し、1回の流入過程で膨張機構(60)へ流入する高圧冷媒の体積が変化する。また、バイパス通路(92)が補助室(94)に連通する状態では、流入過程にある流体室(230)の高圧側から膨張過程にある流体室(230)の低圧側へも高圧冷媒が流れ込む。
−実施形態4の効果−
本実施形態では、補助室(94)の容積を変更したり、バイパス通路(92)を通じて流出過程の流体室(230)へ高圧冷媒を導入することが可能である。従って、本実施形態によれば、上記実施形態1の場合と同様に、膨張機構(60)での通過冷媒量を確保することができる。
なお、以上の実施形態1〜4は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。