JP4707587B2 - トナー製造方法 - Google Patents
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Description
その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤、およびキャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が用いられており、これらは乾式トナーとして知られている。従来、このような電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂やポリエステル系樹脂などのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、それを微粉砕したものが用いられている。
例えば、一般的に用いられている方法としてポリマー懸濁法がある。この方法においては、樹脂、顔料等の着色剤、ワックス等のトナー組成物を有機溶剤に溶解、分散した油相を水相中に機械的乳化手段によってトナーサイズの液滴まで乳化する工程が含まれる。
この乳化工程時の水相中に固体の有機微粒子分散剤を乳化液滴の安定剤に用いると比較的粒度分布(Dv)/(Dn)の狭い微細な液滴を作ることができるが、目的とする粒度の乳化液滴を安定して形成することが難しい。すなわち、このような乳化液滴を得るための達成手段としては、高速回転型乳化分散機によりせん断力を与えて微粒子を形成し、その後会合させる手段を取るが、その場合、せん断力により生じる微粒子分散状態、その後の会合条件を規定しないと所望とする粒度ならびに粒度分布の乳化液滴が逐次安定して得られないことが多い。このような問題を解決するために、以下のような提案がなされている。
この方法によれば、ローターの回転数が可変であるため、連続的に粒径調整が可能であるとされている。すなわち、この提案においては、ローターの回転数を変速することで1バッチ内で連続的に粒径調整が可能である製造方法について記載している。従って、量産を想定すると、バッチ毎に逐次粒径調整を行う手法では、製品部の捨て流し量も多くなることが予想される。また、粒径調整可能な手法のみでは製造スケールや乳化方法が変化した場合に対応することが難しく、普遍性のある製造方法として十分とは云えない。
しかし、上記提案では、高速せん断タービン型分散機による第一の混合・攪拌条件が、生産スケールの違いや乳化方式(バッチ処理、あるいは連続処理)の違い等に対応できるように規定されていない。従って、分散機の回転数や翼径など生産条件の違いに対応できるような条件設定ではなく、汎用性の点で制約がある。また、第二の混合・攪拌の条件も温度条件のみの規定であり、条件としては上記提案に限定的なものと思われる。
上記特許文献3の手法によれば、0.2マイクロm以下の極微粒子の発生が抑制されてシャープな粒度分布を有するトナーが製造される。また、特許文献4の手法によれば、一つの製造ラインで多処方のトナーを安定した体積平均粒径と、シャープな粒度分布で製造することができる。
しかし、上記いずれの方法も、本発明の目的とする製造スケールの違いやバッチ処理、あるいは連続処理などの乳化方式の変化に応じて常に最適なものとするには十分とは云えない。
前記乳化を実施する際に、
予め、せん断翼を備えた任意の乳化機を用いた小スケールの製造により、所定の体積平均粒径(Dv)と体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)を満たすトナーの製造条件を求めて、下記計算式(1)によりせん断指数を設定し、
せん断指数=α(Nx×Dy)/ Q …(1)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、Q:油相と水相の処理量(L/min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
前記小スケールの製造において適用した、N×D(周速)の値は一定に保ちつつ、
前記設定されたせん断指数と合致するように、せん断翼の翼径D、せん断翼の回転数N、油相と水相の処理量Qを制御し、バッチ処理もしくは連続処理により行うことを特徴とするトナー製造方法である。
せん断指数=α(Nx×Dy)× (T/V) …(2)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、V:油相と水相の処理容量を(L)、T:乳化時間(min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
200≦N×D≦400
前記乳化を実施する際に、
予め、せん断翼を備えた任意の乳化機を用いた小スケールの製造により、所定の体積平均粒径(Dv)と体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)を満たすトナーの製造条件を求めて、下記計算式(1)によりせん断指数を設定し、
せん断指数=α(Nx×Dy)/ Q …(1)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、Q:油相と水相の処理量(L/min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
前記小スケールの製造において適用した、N×D(周速)の値は一定に保ちつつ、
前記設定されたせん断指数と合致するように、せん断翼の翼径D、せん断翼の回転数N、油相と水相の処理量Qを制御し、バッチ処理もしくは連続処理により行うことを特徴とするものである。
例えば、後述するように、少なくとも2種類以上の異なる分子量の樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解または分散した液体に伸長剤を混ぜたもの(以下、「A油相」と称する。)とイソシアンネート結合を有するプレポリマー(以下、「B油相」と称する。)を混合した形態の「油相」を、固体の樹脂微粒子分散剤を含む水系媒体「水相」と混合し、せん断翼を備えた乳化機によって乳化が行われ、乳化液滴が得られる。
[バッチ乳化方式]
図1はバッチ乳化方式によりトナー製造する場合のプロセスを説明するための模式図を示す。
固体の樹脂微粒子分散剤を含む水系媒体「水相」を収容した容器11内に、例えば、後述するような少なくとも2種類以上の異なる分子量の樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解または分散した液体に伸長剤を混ぜたもの(A油相)と、イソシアンネート結合を有するプレポリマー(B油相)を混合した形態の「油相」を投入し、せん断翼を備えた乳化機12により乳化する。このバッチ処理により乳化した乳化液滴を、さらに攪拌混合により会合させて造粒した後、得られた分散液の溶媒を除去してトナーを製造する。
[連続乳化方式]
図2は連続乳化方式によりトナー製造する場合のプロセスを説明するための模式図を示す。
供給槽21から供給されるA油相および供給槽22から供給されるB油相の各一定量を連続的に送液して静止型混合機(STM)23によりプレ攪拌した「油相」と、供給槽24から供給される「水相」とを、乳化機構部循環経路25の滞留容積内で混合するようにして、乳化機構部液循環路25中に設けられたインライン乳化機26により連続的にせん断して乳化し、会合させて造粒した後、トナーを製造する。なお、A油相およびB油相、水相は、それぞれ上記バッチ乳化方式において説明したものと同様である。
(1)単位液量当たりのエネルギーを同一にする考え方:攪拌所要動力を処理量で除するものであり、この場合の攪拌所要動力は乳化機回転数の3乗、乳化機せん断翼の翼径の5乗で表現される。
(2)乳化装置を通過する回数、すなわち、乳化機のせん断翼によりせん断を受ける回数(以下、「パス回数」と表現)を基本とする考え方:この場合、乳化機が吐出する流量を処理量で除することでパス回数が算出され、吐出流量は乳化機回転数の1乗、乳化機せん断翼の翼径の3乗で表現される。
上記(1)、(2)を考慮に入れて、他の設備による乳化工程における条件を設定する場合、同周速での実施(N×D=一定)を前提とすると;
[せん断翼を備えた乳化機による乳化工程がバッチ方式(バッチ処理)である場合]:
SF∝D2×(T / V)、
(式中、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、V:油相と水相の処理容量を(L)、T:乳化時間(min)を示す。)
[せん断翼を備えた乳化機による乳化工程が連続方式(連続処理)である場合]:
SF∝D2×F
(式中、D:せん断翼の翼径(m)、F:油相と水相の処理流量(L/min)を示す。)
図3は、本発明における乳化条件評価尺度の考え方を具体的に説明するための模式図である。
図3に示すように、油相と水相が乳化機を通過する際のせん断部分を平面展開して考察すると、周速要素「ND」と「Dに比例する乳化機せん断翼の奥行き長(スケール差)(∝D=βD」の積「βND2」がせん断部分の面積に該当し、そのせん断部分の面積を通過する回数がパス回数(N×D3/Q)であるので乳化により乳化液滴(微粒子)を得るまでには、トータルで(βN2D5/Q)∝(N2×D5)のせん断を受けると考えられる。従って、(N2×D5)が重要な因子となる。なお、Nはせん断翼の回転数(rps)、Dはせん断翼の翼径(m)、Qは油相と水相の処理量(L/min)である。
すなわち、乳化機回転数の2乗、乳化機せん断翼の5乗が微粒子形成には重要な要素となることを見出した。なお、バッチ処理における容器内、あるいは連続処理における液の滞留容積内で、各乳化液のパス回数にはばらつきが存在するため、NおよびDの乗数には範囲を設けている。
上記の結果を考慮に入れて、乳化工程における条件を設定する場合、同周速での実施(N×D=一定)を前提とすると;
SF∝D3/Qであり、
他の設備による乳化工程における条件を設定する場合、同周速での実施(N×D=一定)を前提とすると;
[せん断翼を備えた乳化機による乳化工程がバッチ方式(バッチ処理)である場合]:
SF∝D3×(T/ V)、
(式中、D:せん断撹拌翼の翼径(m)、V:油相と水相の処理容量を(L)、T:乳化時間(min)を示す。)
[せん断翼を備えた乳化機による乳化工程が連続方式(連続処理)である場合]:
SF∝D3×F
(式中、D:せん断撹拌翼の翼径(m)、F:油相と水相の処理流量(L/min)を示す。)
せん断指数=α(Nx×Dy)/ Q …(1)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、Q:油相と水相の処理量(L/min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
せん断指数=α(Nx×Dy)× (T/V) …(2)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、V:油相と水相の処理容量を(L)、T:乳化時間(min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
連続処理の場合、上記QがFであり、せん断指数は下記計算式(3)で表される。
せん断指数=α(Nx×Dy)×F …(3)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、F:油相と水相の処理流量(L/min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
また、前記N×D(周速)が、200≦N×D≦400であることが好ましく、さらに好ましくは、300≦N×D≦400である。この範囲の周速とする乳化により、所定の体積平均粒径(例えば、3〜10μm)と[体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)](例えば、1.05〜1.25)を有するトナーを得ることが可能である。
また、乳化して微粒子(乳化液滴)を形成した後に、攪拌混合により乳化液滴を会合させて造粒する際、粒子同士の引力により生じる会合速度を調整するため、乳化液全体をマクロ的に掻き乱す必要がある。即ち、乳化液滴を会合させる際の攪拌混合条件としては、周速0.5〜2.0m/sであることが好ましい。
〔トナー粒径〕
例えば、トナー組成分として、前述のポリエステル系樹脂を用いた場合、トナー(乾式トナー)の体積平均粒径(Dv)を3〜10μmの範囲とし、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除した値を1.05〜1.25の範囲とすることによって、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れたものとすることができる。
さらに二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合、トナーの収支が行われてもトナー粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーに対するトナーのフィルミングもなく、トナーを薄層化するために設けられたブレード等の部材に対してもトナーの融着がない。このため、トナーの攪拌を伴う現像装置の長期の使用においても、良好で安定した現像性および画像が得られる。
前記トナーの粒径(体積平均粒径)および粒度分布は下記のようにして測定した。
測定装置として、コールターマルチサイザーIII(コールター社製)を用い、パーソナルコンピューター(IBM社製)を接続し、専用解析ソフト(コールター社製)によりデータ解析した。Kd値は、10μmの標準粒子を用いて設定し、アパーチャカレントはオートマティックの設定で行なった。電解液として、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調製したものを用いた。その他に、ISOTON −II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
樹脂としては、2種以上の異なる分子量の樹脂であることが好ましく、例えば、2種以上の異なる分子量の樹脂が、変性ポリエステル樹脂と未変性ポリエステル樹脂であるものが好ましい。
ポリエステル樹脂中に、原料成分として用いる酸とアルコールのモノマーユニットに由来する官能基およびエステル結合以外の結合基を含有する樹脂、あるいはポリエステル樹脂中に、共有結合やイオン結合などで結合した構成の異なる樹脂成分を含有する樹脂を変性ポリエステル樹脂と定義する。
さらに、活性水素基が複数存在する化合物であればポリエステル末端同士を結合させたものも含まれる。このような変性ポリエステル樹脂としては、ウレア変性ポリエステル、ウレタン変性ポリエステルなどが含まれる。
また、ポリエステル主鎖中に二重結合などの反応性基を導入し、そこからラジカル重合を起こして側鎖に炭素−炭素結合のグラフト成分を導入したり、二重結合同士を橋かけしたものも含まれる(例えば、スチレン変性、アクリル変性ポリエステルなど)。
さらに、ポリエステル樹脂の主鎖中に構成の異なる樹脂成分を共重合させたり、末端のカルボキシル基や水酸基と反応させたもの、例えば、末端にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基、メルカプト基を有するシリコーン樹脂と共重合させたものも含まれる(例えば、シリコーン変性ポリエステルなど)。以下、代表的な変性ポリエステル樹脂について具体的に説明する。
ウレア結合で変性されたポリエステル(ウレア変性ポリエステル樹脂)(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
本発明においては、前記ウレア変性ポリエステル樹脂(i)だけでなく、この(i)と共に、ウレア結合で変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル樹脂と略称する。)(ii)をトナーバインダー成分として含有させることができる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。
本発明におけるトナー組成分として用いられる着色剤としては、公知の染料および顔料が全て使用できる。
このような着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンおよびそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナー組成分全体に対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本発明のワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
また、本発明におけるトナー組成分として、トナーバインダー、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。
本発明で用いられるワックスとしては公知のものが使用でき、例えば、ポリオレフィンワッックス(例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(例えば、エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(例えば、ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
さらに、本発明におけるトナー組成分として、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては、公知のものが全て使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(例えば、フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩およびサリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
次に、水系媒体中における乳化による液滴(乳化液滴)の形成について説明する。
前記のように本発明において用いる水系媒体(水相)としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(例えば、メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
このような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。その他アルコール、水等の水性媒体に溶解可能な溶剤を併用することによりトナー形状をさらに調節したりすることもできる。トナー組成分100部に対する溶剤の使用量は、通常10〜900部である。
水系媒体中で変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)とトナー組成物からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予め、トナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
なお、乳化の場合には、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。せん断翼を備えた乳化機としては、特に限定されるものではなく、乳化機、分散機として一般に市販されているものであれば使用することができる。
例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製)、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製) 、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)等のバッチまたは連続両用乳化機等が挙げられる。
水系媒体には固体微粒子が分散しておくが、先に示したように固体分散剤の液滴への吸着性を調整するためにその他の分散剤を併用することができる。その他の分散剤はトナー組成物を乳化する前や乳化後揮発成分を除去する時などに添加できる。
本発明において水系媒体に分散させる固体微粒子分散剤は、水系媒体中で水に難溶の固体状で存在するものであり、平均粒径が0.01から1μmの微粒子のものが好ましい。このような固体微粒子分散剤としては、無機の固体微粒子分散剤と有機物の固体微粒子分散剤がある。
さらに好ましくは、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、コロイド状酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。特に、水中でリン酸ナトリウムと塩化カルシウムを塩基性下反応させて合成したヒドロキシアパタイトが好ましい。
その他、必要により加える分散剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやNーアルキルーN,Nージメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
例えば、商品名として、サーフロンSーl21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDSー202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF一300(ネオス社製)などが挙げられる。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、αーシアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体(例えば、アクリル酸β一ヒドロキシエチル、メタクリル酸β一ヒドロキシエチル、アクリル酸βーヒドロキシプロビル、メタクリル酸β一ヒドロキシプロピル、アクリル酸γーヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ一ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3ークロロー2一ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミドなど)、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど)、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど)、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
乾式トナーは以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。 また、現像剤を調製する際には、現像剤の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造された現像剤にさらに先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
外添剤の混合は、一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等を装備して、内部の温度調節がきることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。始めに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
本発明の製造方法で得られたトナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
この他 高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
本発明の製造方法によって得られるトナーを2成分系現像剤として用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
先ず、トナーの製造条件を設定するための小量スケール製造、および実施例1〜4、比較例1〜3の大量スケール製造を実施するため、油相(A油相およびB油相)および水相等を以下により準備した。なお、ベース条件を求める小量スケール製造は、実験室レベルで容易に検討できるバッチ方式とした。この結果に基づいて、実施例、比較例における設備を用いてスケールアップによる製造を実施した。
<低分子ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
水1200部、カーボンブラック(Printex35:デクサ製)540部(DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、この混合物を、2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却してパルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
ブラックのA油相を次により作製した。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し、[原料溶解液1]を得た。[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。
次に、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった)。[顔料・WAX分散液1]749部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、ホモディスパー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合し、ブラックのA油相を完成した。
B油相を次により作製した。
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応し、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネートは1.53重量%であった。
水相を次により調整した。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。
[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは59℃であり、重量平均分子量は15万であった。この[微粒子分散液1]83部、水990部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
上記のA油相60.4部、B油相7.4部、水相101.6部を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。
乳化処理方式:バッチ式
せん断翼の回転数N:11000rpm
せん断翼の翼径D:0.028m
油相と水相の処理容量V:0.75L
乳化時間T:200sec(3.3min)
攪拌混合周速:1.5m
この乳化分散液を、45℃まで昇温して、攪拌翼外周端周速10.5m/s、大気圧下(101.3kPa)で溶剤を除去した。脱溶剤時間は20時間を要した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、実施例1のトナー母体粒子を得た。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。さらに、疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合し、目開き37μmのスクリーンにて粗大粒子を除去してブラックトナーを得た。
また、以下に示す条件で評価した帯電量は−32μC、画像評価(細線再現性)は4.5であった。結果を、乳化条件等の諸元と併せて下記表1に示す。
〈帯電量の評価方法〉
フェライトキャリア60gとトナー3gとを混合して現像剤を作製し、その現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求める。トナー濃度は4.5〜5.5重量%に調整する。最適範囲としては−35±4μC/gである。
〈細線再現性の評価方法〉
細線再現性は、現像剤を中間転写方式の市販カラー複写機(イマジオカラー5000:リコー社製)の定着オイル部分を除去した改造機に入れ、画像占有率7%の印字率でリコー社製6000ペーパーを用いてランニングを実施した。その時の初期10枚目の画像と3万枚目の画像の細線部を原稿と比較し、光学顕微鏡で100倍で拡大観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら5段階で評価した。3.5以上を合格とする。
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:バッチ式
せん断翼の回転数N:2800rpm
せん断翼の翼径D:0.11m
油相と水相の処理容量V:200L
乳化時間T:900sec(15min)
攪拌混合周速:1.0m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:バッチ式
せん断翼の回転数N:2000rpm
せん断翼の翼径D:0.15m
油相と水相の処理容量V:1000L
乳化時間T:1900sec(31.7min)
攪拌混合周速:0.8m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:連続式
せん断翼の回転数N:7200rpm
せん断翼の翼径D:0.0425m
油相と水相の処理流量F:0.75L/min
攪拌混合周速:1.2m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:連続式
せん断翼の回転数N:2800rpm
せん断翼の翼径D:0.11m
油相と水相の処理流量F:13L/min
攪拌混合周速:0.8m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:バッチ式
せん断翼の回転数N:2800rpm
せん断翼の翼径D:0.11m
油相と水相の処理容量V:200L
乳化時間T:3800sec(63.3min)
攪拌混合周速:1.0m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:連続式
せん断翼の回転数N:2800rpm
せん断翼の翼径D:0.11m
油相と水相の処理流量F:2.3L/min
攪拌混合周速:1.2m
実施例ベースにおいて準備したA油相、B油相、水相を用い、下記条件で乳化して乳化分散液を得た。得られた分散液から溶剤を除去し、トナー母体粒子を得た後、実施例ベースと同様にしてブラックトナーを得た。
乳化処理方式:連続式
せん断翼の回転数N:2800rpm
せん断翼の翼径D:0.11m
油相と水相の処理流量F:3.4L/min
攪拌混合周速:1.2m
以上のように、本発明のトナー製造方法によればスケール差の対応が可能となり、また乳化方式の違いも問わず、汎用性に富むものである。しかも、狙いとする所定の粒径で、かつシャープな粒度分布を有するトナーを効率良く容易に製造できる。
その結果、潜像に忠実な現像が可能であり、高画質のフルカラー画像を再現できるトナー製造方法とそれにより得られるトナー、該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
12 せん断翼を備えた乳化機
21 供給槽
22 供給槽
23 静止型混合機(STM)
24 供給槽
25 乳化機構部液循環路
26 乳化機
Claims (9)
- せん断翼を備えた乳化機により、少なくとも樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解または分散した該溶解物または分散物(油相)を水系媒体(水相)中で乳化した後、攪拌混合により乳化液滴を会合させた分散液から溶媒を除去してトナーを量産するトナー製造方法であって、
前記乳化を実施する際に、
予め、せん断翼を備えた任意の乳化機を用いた小スケールの製造により、所定の体積平均粒径(Dv)と体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)を満たすトナーの製造条件を求めて、下記計算式(1)によりせん断指数を設定し、
せん断指数=α(Nx×Dy)/ Q …(1)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、Q:油相と水相の処理量(L/min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。)
前記小スケールの製造において適用した、N×D(周速)の値は一定に保ちつつ、
前記設定されたせん断指数と合致するように、せん断翼の翼径D、せん断翼の回転数N、油相と水相の処理量Qを制御し、バッチ処理もしくは連続処理により行うことを特徴とするトナー製造方法。 - 前記乳化の処理方法がバッチ処理であり、前記油相と水相の処理容量をV(L)とし、乳化時間をT(min)としたとき、前記Q=V/Tであり、せん断指数が下記計算式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のトナー製造方法。
せん断指数=α(Nx×Dy)× (T/V) …(2)
(式中、α:比例定数、N:せん断翼の回転数(rpm)、D:せん断翼の翼径(m)、V:油相と水相の処理容量を(L)、T:乳化時間(min)、x:1.8〜2.2、y:4.5〜5.5を示す。) - 前記せん断指数の計算式における、xが1.9〜2.1であり、yが4.9〜5.1であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー製造方法。
- 前記N×D(周速)が、下記の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のトナー製造方法。
200≦N×D≦400 - 前記乳化液滴を会合させる際の攪拌混合条件が、周速0.5〜2.0m/sであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のトナー製造方法。
- 前記樹脂が、2種以上の異なる分子量の樹脂であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のトナー製造方法。
- 前記2種以上の異なる分子量の樹脂が、ウレア結合で変性された変性ポリエステル樹脂と未変性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のトナー製造方法。
- 前記トナーの体積平均粒径(Dv)が3〜10μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のトナー製造方法。
- 前記トナーの体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除した値(Dv)/(Dn)が1.05〜1.25であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のトナー製造方法。
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