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JP4707379B2 - ポリイソシアネート組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐候性が良好でかつ低粘度でさらに乾燥性が良好なポリイソシアネート組成物に関する。
ポリイソシアネートを硬化剤とするウレタン系塗料組成物はその塗膜の耐薬品性、かとう性などが優れているため、自動車、建築内外装、家電等の塗料として広く用いられている。さらに、脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートから得られる塗膜は、黄変せず、耐候性に優れているため、多く使用されている。その中で特許文献1に示されるイソシアヌレート型ポリイソシアネートは特に耐候性に優れることが知られている。また、現在、地球環境の観点から大気中に排出する揮発物質を削減するために検討が行なわれている。揮発物質を削減するための塗料として、大きく分けて、ハイソリッド塗料、水系塗料、粉体塗料の3つがある。ハイソリッド塗料は、現行の溶剤系塗料と比べて、揮発物質含有率が低く、固形分が高い塗料を言う。また、水系塗料とは、揮発物質の全部または一部を水で置き換えた塗料である。粉体塗料とは、揮発物質も水も含まない粉状の塗料である。その中でもハイソリッド塗料は現行設備が使用でき、現行溶剤系塗料の長所である使用した塗膜の塗膜外観等の塗膜物性を維持できる等の利点がある。水系塗料の場合、一般的に使用した塗膜の耐水性、乾燥性等の物性が不足し、さらに、設備投資も必要である。また、粉体塗料の場合、使用した塗膜の塗膜外観に劣る、薄膜化しにくい、大規模な設備投資が必要等の課題がある。
特許文献1のポリイソシアネートは現在、溶剤系塗料に多く使用されてはいるが、低粘度化が不十分なため、現在、市場で望まれているようなハイソリッド化が達成できない場合があった。そのため、ハイソリッド塗料に使用するべく乾燥性、耐候性等の現行物性を維持できるより低粘度のポリイソシアネート組成物が熱望されていた。
また、特許文献2には、低粘度であるアロファネート基含有ポリイソシアネートとイソシアヌレート型ポリイソシアネートを混合した系が開示されている。しかし、この特許文献のアロファネート基含有ポリイソシアネートは、モノアルコール由来の末端がイソシアネート基でないアルキル鎖を含むアロファネート型ポリイソシアネートであり、乾燥性が不足する場合があった。
特公平6−62913 特開2003−55433号公報
本発明は、耐候性、乾燥性が良好でかつ低粘度であるポリイソシアネート組成物及びそれを用いた塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究した結果、イソシアヌレート型ポリイソシアネートとウレタン結合を有するポリイソシアネートを特定割合で混合して得られるポリイソシアネート組成物を硬化剤として使用した塗料はハイソリッドであり、乾燥性がよくかつこれから得られた塗膜の耐候性が良好であるという驚くべき結果を見出し、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
1.下記AとBを20:80〜80:20(質量比)で混合して得られる粘度1100mPa・s/25℃以下であるポリイソシアネート組成物。
[1]ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される下記ポリイソシアネート(A)。
1)イソシアヌレート3量体濃度60質量%以上、5量体濃度21質量%以下。
[2]ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールから誘導される化合物であって、ウレタン結合を有する下記1)〜3)の条件を満足するポリイソシアネート(B)。
1) ウレタン結合モル数
ウレタン結合比率=――――――――――――――――――――――≧0.25
ウレタン結合モル数+アロファネート結合モル数
2)数平均分子量:400〜700
3)イソシアネート基平均数2.0〜3.5
2.前記1.記載のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物。
3.前記1.記載のポリイソシアネート組成物を含むハイソリッド塗料組成物。
に関するものである。
本発明のポリイソシアネート組成物を硬化剤とした塗料組成物は、耐候性、乾燥性が良好であり、かつ低粘度であるためハイソリッド塗料用硬化剤として使用される。
以下に、本発明について詳しく説明する。下記AとBを20:80〜80:20(質量比)で混合して得られる粘度1100m・Pas/25℃以下のポリイソシアネート組成物である。
1.ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される下記ポリイソシアネート(A)。
1)イソシアヌレート3量体濃度60質量%以上、5量体濃度21質量%以下。
2.ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールから誘導される化合物であって、ウレタン結合を有する下記1)〜3)の条件を満足するポリイソシアネート(B)。
1) ウレタン結合モル数
ウレタン結合比率=――――――――――――――――――――――≧0.25
ウレタン結合モル数+アロファネート結合モル数
2)数平均分子量:400〜700
3)イソシアネート基平均数2.0〜3.5
本発明に用いるポリイソシアネートAはヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと言う)から誘導されるイソシアヌレート3量体濃度60質量%以上、5量体濃度21質量%以下である。好ましくは、イソシアヌレート3量体濃度63質量%以上であり、さらに好ましくは、イソシアヌレート3量体濃度66質量%以上である。
イソシアヌレート3量体濃度が60質量%未満の場合、あるいは5量体濃度が21質量%を超える場合、ポリイソシアネートの粘度が高くなりすぎる場合がある。これらのイソシアヌレート3量体、5量体濃度の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定により算出され、GPCの各ピークの面積比を質量%とした。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
本発明のポリイソシアネートAの製造方法について述べる。ポリイソシアネートAは、イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートである。
イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートを製造のための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化触媒が挙げられる。
イソシアヌレート化触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、1、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、2、例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、3、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、4、例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、5、例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、6、マンニッヒ塩基類、7、第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、8、例えばトリブチルホスフィン等の燐系化合物等がある。これらは反応終了後、例えば触媒を中和する例えばリン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質、熱分解、化学分解により不活性化される。
反応は収率が10〜70質量%の範囲から選択される。高い収率で得られるポリイソシアネート組成物の粘度は高い。反応終了後、未反応ジイソシアネートは薄膜蒸発缶を用いた抽出などにより除去する。
本発明に用いるポリイソシアネートBは、ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールから誘導される化合物であって、ウレタン結合を有し、下記式(1)で表されるウレタン結合比率が0.25以上であって、数平均分子量400〜700で、イソシアネート基平均数が2.0〜3.5である。

ウレタン結合モル数
ウレタン結合比率=―――――――――――――――――――――― (1)
ウレタン結合モル数+アロファネート結合モル数
ウレタン結合比率を求めるためのウレタン結合モル数、及びアロファネート結合モル数はH−NMR測定で求められる。また、ポリイソシアネートBのウレタン結合比率が0.25未満である場合、一般に粘度が高くなりすぎるため好ましくない。好ましくは、0.4〜0.9の範囲であり、さらに好ましくは、0.5〜0.75の範囲である。
上記以外の結合、例えば、ウレア結合やビュウレット結合を有する場合、耐候性が低下する場合があるので好ましくない。ヘキサメチレンジイソシアネートとモノアルコールから誘導されるウレタン結合あるいはアロファネート結合を含むポリイソシアネートはイソシアネート基平均数が2.0未満であり架橋性、乾燥性に劣るため、好ましくない。
数平均分子量は後述のポリスチレンを基準としたGPC測定で求められ、400〜700である。400〜600であることが好ましく、さらに好ましくは、400〜550である。数平均分子量が400より小さい場合は、一般に揮発性が高くなり、また、700以上の場合、粘度が高くなりすぎる場合がある。さらに、ポリイソシアネートBのイソシアネート基平均数は2.0〜3.5であり、好ましくは、2.1〜3.5であり、さらに好ましくは2.3〜3.5である。イソシアネート基平均数が2.0未満の場合、架橋性、乾燥性が低下する場合があり、3.5を超えると、粘度が高くなる場合がある。
イソシソシアネート基平均数は以下の式(2)による求められる。

(数平均分子量)×(イソシアネート基質量%)
――――――――――――――――――――― =イソシアネート基平均数 (2)
イソシアネートの式量(42)
ポリイソシアネートBは、ウレタン結合、アロファネート結合等を有するものである。
ポリイソシアネートB製造のためにウレタン化反応、アロファネート化反応を行うことが好ましく、これらは同時に行ってもいいし、それぞれ単独で行ってもよい。得られるポリイソシアネートの具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールが反応したものやウレタン化物あるいは一部アロファネート化されたウレタン化物、あるいはウレタン化物とアロファネート化物の混合物などが挙げられる。ポリイソシアネートBは2種以上のポリイソシアネートを併用してもよい。本発明で使用されるポリイソシアネートBの原料ジオールは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
原料ジオールとは、1分子中に2個の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオール、メオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートと水酸基を3つ以上有するポリオールとの誘導体は粘度が高くなりすぎるため好ましくない。
ポリイソシアネートBは、ウレタン結合、アロファネート結合等を有するものである。
ウレタン化反応は、触媒を用いても用いなくても良く、用いる場合の触媒としては、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩及び3級アミン等が挙げられる。
また、アロファネート化反応は、触媒を用いても用いなくてもよく用いる場合の触媒としては、鉛、亜鉛、錫、ジルコニウム、ジリコニル、ビスマス、カルシウム、マグネシウム、リチウムなどのカルボン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられる。また、反応触媒を使用した場合は反応終了後、触媒を失活することが好ましい。
これらの反応は溶媒を用いても、用いなくてもよい。溶媒を用いる場合は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いるべきである。反応温度は通常20〜160℃、好ましくは40〜130℃である。
反応終了後、未反応ジイソシアネートは薄膜蒸発缶、抽出などにより除去する。
ポリイソシアネートAおよびB中のHDIモノマー濃度としては3質量%以下、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。HDIモノマー濃度が3質量%を越えると、ポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合がある。
ポリイソシアネートAとBの混合比は20:80〜80:20である。この混合比は20:80〜70:30が好ましく、さらに好ましくは、20:80〜60:40である。
ポリイソシアネートBが20質量%未満である場合、硬化剤の粘度が高くなりすぎる場合があり、80質量%を超える場合、それにより硬化した塗膜の耐候性が劣る場合がある。
上記ポリイソシアネート組成物の粘度は粘度1100mPa・s/25℃以下であり、粘度が1000mPa・s/25℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは粘度が900mPa・s/25℃以下である。
粘度が1100mPa・s/25℃よりも高い場合は、塗料固形分が低下してしまい、ハイソリッド塗料用硬化剤とならない。
本発明のポリイソシアネート組成物は、イソシアネート基と反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物と混合され、塗料組成物の主成分を構成する。ポリイソシアネート組成物はこの活性水素含有化合物と反応して、架橋塗膜を形成することができる。前記の活性水素を2個以上有する化合物とは、例えばポリオール、ポリアミン、ポリチオールなどがあり、多くの場合、ポリオールが使用される。このポリオールの例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオールなどがある。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール及び例えばε−カプロラクトンと多価アルコールを用いた開環重合により得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは芳香族ジイソシアネート、脂肪族、脂環族ジイソシアネート及びこれらから得られるポリイソシアネートで変成することができる。この場合、特に脂肪族、脂環族ジイソシアネート及びこれら得られるポリイソシアネートが耐候性、耐黄変性などから好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を多価ヒドロキシ化合物にランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、下記1、から6、の
1、例えばジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど
2、例えばエリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等糖アルコール系化合物
3、例えばアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
4、例えばトレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
5、例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類
6、たとえはスタキオースなどの四糖類
などがある。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステルの群から選ばれた単独または混合物とアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステルの群から選ばれた単独または混合物を用い、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物の存在下、あるいは非存在下において重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。
好ましいポリオールの例としては、前記の低分子量ポリオール及びこの低分子量にε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオールである。
フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体がある。前記ポリオールの水酸基価は30〜200mgKOH/g、酸価0〜30mgKOH/gの中から選択される。
好ましいポリオールはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールである。必要に応じて、完全アルキル型、メチロール基型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
また、用途、目的に応じて各種溶剤、添加剤を用いることができる。溶剤としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル類、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、などの群から目的及び用途に応じて適宜選択して使用することができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて、酸化防止剤例えばヒンダードフェノール等、紫外線吸収剤例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等、顔料例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等、金属粉顔料例えばアルミ等、レオロジーコントロール剤例えばヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等を添加してもよい。
この様に調整された塗料組成物はロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装などにより、鋼板、表面処理鋼板などの金属及びプラスチック、無機材料などの素材にプライマーまたは上中塗りとして、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装などに美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与するために有用である。また、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤などのウレタン原料としても有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。部は全て質量部である。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたGPC測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
(イソシアネート基平均数の算出方法)

(数平均分子量)×(イソシアネート基質量%)
―――――――――――――――――――――― =イソシアネート基平均数
イソシアネートの式量(42)
(粘度の測定)

E型粘度計(トキメック社製VISCONIC ED型)を用いて、25℃で測定した。
製造例1(ポリイソシアネートA1)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:1000gとキシレン:300gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.3gを加えた。4時間後、屈折率測定によりHDIのイソシアヌレートへの添加率が21%になった時点でリン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、キシレン、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。得られたポリイソシアネートをA1とする。得られたポリイソシアネートA1の物性は、以下のようであった。粘度1350mPa・s/25℃、イソシアヌレート3量体濃度68質量%、5量体濃度20質量%
製造例2(ポリイソシアネートB1)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:1250gと1,3−ブタンジオール:90.0gを仕込み、攪拌下160℃で1時間反応を行った。その後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。得られたポリイソシアネートをB1とする。得られたポリイソシアネートB1の物性は、以下のようであった。
粘度600mPa・s/25℃、ウレタン結合比率0.85、数平均分子量490、イソシアネート基平均数2.3
製造例3(ポリイソシアネートB2)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI:862gとn−ブタノール:38.0gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃でアロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形物20%ミネラルスピリット溶液を0.30g加えた。30分後、反応液の屈折率上昇が0.0055となった時点でピロリン酸の固形物39%エタノール溶液0.56gを加え反応を停止した。その後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。得られたポリイソシアネートをB2とする。得られたポリイソシアネートB2の物性は、以下のようであった。粘度120mPa・s/25℃、ウレタン結合比率0、数平均分子量410、イソシアネート基平均数2.0
(ハイソリッド化評価)
ポリイソシアネート組成物とポリエステルポリオール(Akzo Novel Resin bv製の商品名Setal 166:水酸基価 190mgKOH/g(樹脂あたり)、酸価 2.1mgKOH/g>(樹脂あたり)、固形分80%)をイソシアネート基/水酸基の当量割合が1.0になるように配合し、フォードカップNo.4で測定した粘度が20秒になるように、ここにシンナーとして酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(質量比30/30/20/15/5)の混合液を加え、調整する。
上記組成で調整時の塗料固形分が60%以上になる場合を○、60%以下になる場合を×とした。その結果を表1に示す。
(耐候性評価)
ポリイソシアネート組成物とポリエステルポリオール(Akzo Novel Resin bv製の商品名Setal166)をイソシアネート基/水酸基の当量割合が1.0になるように配合し、ポリイソシアネートとアクリルポリオールを加えた固形分質量が50%になるように、ここにシンナーとして酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(質量比30/30/20/15/5)の混合液を加え、塗料溶液を得た。その塗料溶液を白エナメル塗板に乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、20℃、湿度63%の条件で1週間塗膜養生を行った後、その塗板について耐候性を評価した。
耐候性評価は、デューパネルウェザーメーター(スガ試験機製)を用いた。
評価条件は、JIS D0205に従い、照射照度30W/m、パネル温度60℃、照射時間と結露時間は各4時間ごとのサイクル運転で行った。暴露時間1200時間時点の光沢保持率が80%以上のものを○とし、80%未満のものを×とした。その結果を表1に示す。
(塗膜乾燥性評価)
また、上記により作成した塗料溶液をガラス板に乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、20℃、湿度63%の条件で24時間後の指触による塗膜乾燥性試験を行った。タックがないものを○とし、タックが残っているものを×とした。その結果を表1に示す。
「実施例1」
ポリイソシアネートA1(粘度1350mPa・s/25℃、イソシアヌレート3量体濃度68質量%、5量体濃度20質量%)とポリイソシアネートB1(粘度600mPa・s/25℃、ウレタン結合比率0.85、数平均分子量490、イソシアネート官能基数2.3)を質量比50:50で混合した。得られたポリイソシアネート混合物の粘度は、850mPa・s/25℃であった。
「実施例2〜3、比較例1〜3」
以下、実施例2〜3、比較例1〜3についても以下の表1の組成で混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。そのポリイソシアネート組成物を用いて、ハイソリッド化、耐候性、塗膜乾燥性の各評価を行なった。本発明では、低粘度とハイソリッド化は相関がありますが、低粘度と乾燥性との関連はありませんでした。乾燥性はポリイソシアネートの構造に起因し、以下のポリイソシアネートそれぞれ単独で比較した場合、乾燥性良 A1>B1>B2 悪となります。したがって、混合物にしますと以下の表1のような結果となりました。
Figure 0004707379
本発明の組成物は、塗料用分野、特にハイソリッド塗料の分野で好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 下記AとBを20:80〜80:20(質量比)で混合して得られる粘度1100mPa・s/25℃以下であるポリイソシアネート組成物。
    1.ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される下記ポリイソシアネート(A)
    1)イソシアヌレート3量体濃度60質量%以上、5量体濃度21質量%以下。
    2.ヘキサメチレンジイソシアネートとジオールから誘導される化合物であって、ウレ
    タン結合を有する下記1)から3)の条件を満足するポリイソシアネート(B)
    1)ウレタン結合比率:
    ウレタン結合モル数/(ウレタン結合モル数+アロファネート結合モル数)=
    0.4〜0.9
    2)数平均分子量: 400〜700
    3)イソシアネート基平均数: 2.3〜3.5
  2. 請求項1のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物。
  3. 請求項1のポリイソシアネート組成物を含むハイソリッド塗料組成物。
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