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JP4700396B2 - プリント基板のめっき方法 - Google Patents

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本発明はプリント基板のめっき方法に関するものであり、特に、電子機器に使用されるプリント基板のスルーホール導通めっきをパネルめっき用ラックで行うときに、製品内のめっき厚を均等化しつつプリント基板端部へのめっき付着を防止し、プリント基板端部からのめっき銅粉飛散による様々な不具合を防止するプリント基板のめっき方法に関するものである。
電子機器に使用されるプリント基板のスルーホール導通めっきをパネルめっきで行う場合、あらかじめ導電化処理を施した基板を導電性のラックで保持して陰極を形成し、めっき液が満たされた槽内の両端に設置された陽極間の中央部分に陽極に対峙させて浸漬し通電することで行われている。
このときに使用されるラックとしては、一方と他方の直線状部材の上端部に上部接続アームを取り付けるとともに下端部に下部接続アームを取り付け、それぞれの接続アームに長さ調整用の長孔を設けてボルト締めしてラック部を形成し、それぞれの直線状部材にプリント基板を挟持する溝を形成した構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
一般にパネルめっきの場合、プリント基板端部周辺は中央部近傍に比べてめっきが厚く付く傾向がある。これは、図7に示すように、めっき槽51に浸漬された陰極であるプリント基板53は、中央部近傍は対峙する陽極52からほぼ均等に電流が受けられるのに対し、周辺部は周囲からの回り込みの電流も受けてしまい、このため、プリント基板53の周辺部は電流密度分布が高くなってめっきが厚く付着する傾向となる。
この対策として、金属線からなる網状の遮蔽板を陽極と基板の間に挿入して、電流密度分布を均等化することが示されている(例えば特許文献2参照)。また、貫通穴が多数開口している箱型遮蔽板を用いることにより、プリント基板のめっき厚さを均一にする装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
一方、プリント基板の中央部における電流密度と周囲部における電流密度とが均一となるように、孔部の孔径と配置密度が異なる複数の領域を設定した遮蔽板を用いるめっき方法が知られている(例えば特許文献4参照)。さらに、保持具(ラック)に遮蔽板を設けた構成も知られている(例えば特許文献5参照)。
実開昭61−182071号公報 特開昭50−50236号公報 実開昭56−21485号公報 特開2002−54000号公報 特開2002−161398号公報
上述したように、遮蔽板を設けることにより、プリント基板表面のめっき厚のバラツキは改善されてきた。しかし、プリント基板端部側面に付着するめっき厚については、遮蔽板を設けても周囲から回り込みの電流を受けてしまうので改善することができなかった。例えば図8に示すように、プリント基板60をラックに3段掛けした場合、上下のプリント基板60の端部側面における破線で囲繞した箇所(黒色で塗りつぶした箇所)61に厚くめっきが付いてしまう。図9は前記プリント基板端部側面61部分の断面写真であり、その周囲もめっきが厚く付着している状況がよく分かる。
プリント基板表面のめっき厚はそれほど不均等ではないため、パターンを形成する際に製品自体のエッチングに支障を来たすことはないが、プリント基板の端部側面およびその周囲については、図10の写真に示すように、61a部分にエッチング残りが生じる。このエッチング残りが、図11の写真の61b部分に示すように、剥がれて落ちると導電性のコンタミナントとなり、例えばその後のソルダーレジスト層形成工程で該コンタミナントが巻き込まれるとショート不良となるなど、様々な問題が生じることになる。従来は、プリント基板表面のめっき厚のバラツキだけが重視されてきたが、このようなエッチング残りの飛散による不具合も見逃してはならない。
プリント基板端部側面にめっきが付くことを防止するために、プリント基板端部をマスクしてしまうことも考えられるが、プリント基板端部をマスクするために余計な工程が増加してコストアップとなる。また、マスクした箇所の周囲にめっきが厚く付くという弊害もある。したがって、プリント基板端部側面はほとんどがマスクされ、その周囲に至るに従って、順次電流密度が増していくようなめっき方法が必要となる。
そこで、本発明は、電子機器に使用されるプリント基板のスルーホール導通めっきをパネルめっき用ラックで行うときに、製品内のめっき厚を均等化しつつプリント基板端部へのめっき付着を防止し、プリント基板端部からのめっき銅粉飛散による様々な不具合を防止するプリント基板のめっき方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、一対の導電性の縦枠を横枠で間隔を保持して固定し、前記縦枠は陰極としてプリント基板に給電して前記縦枠の間にプリント基板を挟み込むように保持しながらめっき液に浸漬するパネルめっき用ラックを使用するプリント基板のめっき方法において、前記パネルめっき用ラックの上下には、前記プリント基板を挟み込むようなV字形と方形を組み合わせた断面形状を有する絶縁物質からなる遮蔽物を装着することを特徴とするプリント基板のめっき方法を提供する。
この構成によれば、パネルめっき用ラックの上下に装着されている遮蔽物が電流の受けを減少させて余分なめっきの付着を防止する。該遮蔽物は、プリント基板を挟み込むようなV字形と方形を組み合わせた断面形状を有するため、周囲から回り込み電流を受けることがなく、プリント基板の中央部近傍と端部周辺とで電流密度がほぼ均一となる。
請求項2記載の発明は、上記パネルめっき用ラックの縦枠には、めっき厚を均等化するための開口部を有する板状遮蔽物が、プリント基板の着脱の際に開閉可能に取り付けられているパネルめっき用ラックであることを特徴とする請求項1記載のプリント基板のめっき方法を提供する。
この構成によれば、パネルめっき用ラックの縦枠に設けられている板状遮蔽物を両側に開放し、上記下側の遮蔽物のV字形の溝部分にプリント基板を差し込む。そして、前記板状遮蔽物を閉じ、上側の遮蔽物のV字形の溝部分を下向きにしてプリント基板に差し込んで、パネルめっき用ラックにプリント基板を固定する。
本発明は、上述したように、開口部を有する板状遮蔽物により、プリント基板のめっき厚が均等化され、V字形と方形を組み合わせた上下の遮蔽物によりプリント基板端部側面およびその周辺がマスクされてめっき付着が防止され、プリント基板端部からのめっき銅粉飛散による様々な不具合を防止することができる。
以下、本発明に係るプリント基板のめっき方法について、好適な実施例をあげて説明する。電子機器に使用されるプリント基板のスルーホール導通めっきをパネルめっき用ラックで行うときに、製品内のめっき厚を均等化しつつプリント基板端部へのめっき付着を防止し、プリント基板端部からのめっき銅粉飛散による様々な不具合を防止するという目的を、パネルめっき用ラックの上下には、前記プリント基板を挟み込むようなV字形と方形を組み合わせた断面形状を有する絶縁物質からなる遮蔽物を装着し、パネルめっき用ラックの縦枠には、めっき厚を均等化するための開口部を有する板状遮蔽物を、プリント基板の着脱の際に開閉可能に取り付けてめっきを施すことにより実現した。
図1は本発明のめっき方法に使用されるパネルめっき用ラックの正面図であり、このパネルめっき用ラック(以下単にラックという)10の主部材は、左右一対の導電性部材からなる縦枠11,11と、この縦枠11,11の上下に取り付けられて左右の間隔を保持する横枠12,12とからなり、前記縦枠11,11はプリント基板13,13…の両側を挟み込むように保持しながらめっき液に浸漬し、陰極としてプリント基板13,13…に給電するように形成されている。
前記縦枠11にはそれぞれ板状遮蔽物14が左右方向へ開閉可能に取り付けられており、この板状遮蔽物14は上部と下部にプリント基板13の上下端部を中央部分まで覆う延設部14a,14bが形成され、該板状遮蔽物14の中間に開口部14cが設けられている。また、該板状遮蔽物14の所々に孔14d,14d…が開穿されている。なお、該板状遮蔽物14はラック10の前後面(図面の手前側と奥側)に、それぞれ左右方向へ開閉可能に装着されている。
そして、前記板状遮蔽物14の内側には、前記ラック10の上下位置にそれぞれ遮蔽物15a,15bが設置されている。図2はラック10の下部に設置された遮蔽物15bの写真、図3は遮蔽物15bの側面の写真、図4は遮蔽物の断面形状を示す説明図である。
図2乃至図4に示すように、遮蔽物15a,15bはV字形と方形を組み合わせた断面形状を有する絶縁物質からなり、該遮蔽物15a,15bの溝にプリント基板13を挟み込むと、方形のc区間ではプリント基板端部側面およびその周辺はほとんどがマスクされ、めっきが付くのを抑制する。さらに、V字形の区間bは、その周囲に行くに従って順次電流密度が増していく形状を形成している。
全体をより均等な厚みにめっきを付けるためには遮蔽物15a,15bの各部寸法は、a:20mm,b:50mm,c:20mm,d:40mmが最良である。ただし、±10%程度の寸法変更は許容される。なお、e部の寸法は、プリント基板13のサイズによって任意に設定してよい。なお、上部の遮蔽物15aは溝が下向きとなるように上下か移動可能に設置し、下部の遮蔽物15bは溝が上向きとなるように設置する。
前記プリント基板13のめっき処理を前記ラック10で行うときは、図1に示すように、ラック10に取り付けられた板状遮蔽物14,14を両側に開放し、1枚のプリント基板13の両端を左右の縦枠11,11に挟持させるとともに、該プリント基板13の下端をラック10の下部に設置された遮蔽物15bの溝に差し込み、図示しない位置決め手段で固定する。以下、前記下段のプリント基板13の上部に、残り2枚のプリント基板13,13を順次重ね、左右の縦枠11,11に挟持させて位置決め手段で固定する。
そして、左右の板状遮蔽物14,14を閉じてから、ラック10の上部に設置された遮蔽物15aを下方に閉じて、該遮蔽物15aの溝を上段のプリント基板13の上端に差し込んで固定する。
このように、前記ラック10に複数のプリント基板13を保持させて板状遮蔽物14で遮蔽するとともに、該板状遮蔽物14の内側に設置した上下の遮蔽物15a,15bでプリント基板13の端部側面を遮蔽することにより、プリント基板の中央部近傍と端部周辺とで電流密度がほぼ均一となる。
図5は遮蔽物15a,15bを使用してめっきを行ったプリント基板端部の断面写真であり、図9に示した従来のめっき方法を行ったプリント基板の断面写真と比較して、プリント基板端部のめっき厚が薄くなっていることが分かる。
図6は遮蔽物がない場合のめっき厚分布と本発明の遮蔽物を使用した場合のめっき厚分布を比較した図であり、同図(1)に示す従来のめっき方法に比べて、同図(2)に示す本発明のめっき方法では、プリント基板端部のめっき厚が薄く、かつ、全体のめっき厚分布がより一層均一化されていることが分かる。このように、ラックの上下に遮蔽物を配置する本発明のめっき方法の有効性が確認できた。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
本発明のめっき方法に使用されるパネルめっき用ラックの正面図。 図1に示すラックの下部に設置された遮蔽物の写真。 図1に示す遮蔽物の側面の写真。 図1に示す遮蔽物の断面形状を示す説明図。 本発明のめっき方法を行ったプリント基板端部の断面写真。 本発明のめっき方法と従来のめっき方法とのめっき厚分布を比較した図。 従来のめっき方法の不具合を示す説明図。 従来のめっき方法の不具合を示す説明図。 従来のめっき方法を行ったプリント基板端部の断面写真。 従来のめっき方法の不具合を示す説明写真。 従来のめっき方法の不具合を示す説明写真。
符号の説明
10 パネルめっき用ラック
11 縦枠
12 横枠
13 プリント基板
14 板状遮蔽物
14a 延設部
14b 延設部
14c 開口部
14d 孔
15a 遮蔽物
15b 遮蔽物

Claims (2)

  1. 一対の導電性の縦枠を横枠で間隔を保持して固定し、前記縦枠は陰極としてプリント基板に給電して前記縦枠の間にプリント基板を挟み込むように保持しながらめっき液に浸漬するパネルめっき用ラックを使用するプリント基板のめっき方法において、
    前記パネルめっき用ラックの上下には、前記プリント基板を挟み込むようなV字形と方形を組み合わせた断面形状を有する絶縁物質からなる遮蔽物を装着することを特徴とするプリント基板のめっき方法。
  2. 上記パネルめっき用ラックの縦枠には、めっき厚を均等化するための開口部を有する板状遮蔽物が、プリント基板の着脱の際に開閉可能に取り付けられているパネルめっき用ラックであることを特徴とする請求項1記載のプリント基板のめっき方法。

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