半導体装置を製造するにあたり、一般にフォトリソグラフィ工程及びドライエッチング工程により、半導体基板に所定のパターンを形成している。
フォトリソグラフィ工程では、先ず、半導体基板上にレジストを塗布してレジスト層を形成する。次に、フォトマスクを用いてレジスト層に対する露光を行った後、現像を行ってレジストパターンを得る。ドライエッチング工程では、得られたレジストパターンをマスクとして用いた異方性のエッチングを行うことにより、レジストパターンを半導体基板に転写して、半導体基板に所定のパターンを形成する。
フォトマスクを用いた露光の際には、半導体基板を保持したウエハステージと、露光用のフォトマスク(レチクル)を保持したレチクルステージとの相対的な位置調整、すなわちアライメントを行っている。アライメントでは、半導体基板とフォトマスクの双方に形成したアライメントマークを光学的に検出して、半導体基板とフォトマスクとの位置合わせを行っている。
多層構造の半導体装置を製造する場合には、各層の間の重ね合わせの位置精度が歩留まりに影響を与える。そこで、各層に対するフォトリソグラフィ工程でレジストの現像を行った後に、アライメントマークとは別に、半導体基板と各層に形成した重ね合わせマークを用いて、重ね合わせ測定を行う。重ね合わせ測定の結果、ウエハステージとレチクルステージの位置ずれが、半導体装置で所望の特性が得られる、設計上定めた基準値より大きい場合は、レジストパターンをアッシングにより除去した後、再びフォトリソグラフィ工程を行う。このとき、重ね合わせ測定の結果をフィードバックして、ウエハステージとレチクルステージの位置調整を行う。
図1〜図5を参照して、半導体基板である下地基板上に、第1層及び第2層を階層状に形成する例について、重ね合わせマークに注目して説明する。この場合、下地基板、第1層及び第2層のそれぞれに対するフォトリソグラフィ工程では、それぞれ異なるフォトマスクが用いられる。下地基板、第1層及び第2層に対する露光を行う際に用いられるフォトマスクを、それぞれ、下地用マスク、第1層用マスク及び第2層用マスクと称する。ここで、半導体基板には、複数の行列状に配列されたチップが形成されるものとする。
図1は、従来の下地用マスクを説明するための図である。図1(A)は、下地用マスクの模式的な拡大平面図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
図2は、従来の第1層用マスクを説明するための図である。図2(A)は、第1層用マスクの模式的な拡大平面図であり、図2(B)は、図2(A)のB−B線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
図3は、従来の第2層用マスクを説明するための図である。図3(A)は、第2層用マスクの模式的な拡大平面図であり、図3(B)は、図3(A)のC−C線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
図4及び図5は、従来の半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。図4(A)、(B)及び(C)は、各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図5(A)、(C)及び(E)は、それぞれ下地用マスク211、第1層用マスク213及び第2層用マスク214の断面の切り口を示す端面図である。図5(B)は、図4(A)のA−A線に沿った断面の切り口を示す端面図であり、図5(D)は、図4(B)のB−B線に沿った断面の切り口を示す端面図であり、図5(F)は、図4(C)のC−C線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
先ず、下地用マスク211を用いたフォトリソグラフィ及びドライエッチングを行って、下地基板300をパターニングして下地パターン301を形成する(図5(A)及び(B))。
この下地パターン301を形成するために使用する下地用マスク211は、図1(A)及び(B)に示すように、非露光領域222で画成される矩形状の露光領域224を備えている。露光領域224は、四角枠状の周辺領域226と、周辺領域226で画成される中央領域228を備えている。周辺領域226は、中央領域228の周辺を一定幅で囲む四角い枠状領域である。中央領域228は、行列状にデバイスパターン領域230を備えている。デバイスパターン領域230は、下地基板に形成される各チップに対応するチップ用マスクパターン領域であって、チップに形成されるデバイスパターンに対応するマスクパターンが形成されている。
下地用マスク211の周辺領域226には、下地パターン301(図5(B)参照)を形成するために用いられる3つのパターン、すなわち、第1アウターマーク用パターン241、第2アウターマーク用パターン246及び遮光用パターン251が設けられている。これら第1及び第2アウターマーク用パターン241及び246と遮光用パターン251は、露光領域224の各辺に対する枠状領域中に、同一サイズでしかも同一の配置関係で、それぞれ設けられている。下地用マスク211は、例えば、石英基板220で構成される。第1アウターマーク用パターン241、第2アウターマーク用パターン246及び遮光用パターン251と、デバイスパターン領域230に形成されるマスクパターンは、石英基板220上に蒸着されたクロムで形成されている。また、非露光領域222の石英基板220上にも、クロムが蒸着されている。
周知の通り、マスクパターンを転写すべき下地基板の表面領域は、1回の露光ショットで露光される領域よりもはるかに広い。そこで、下地パターンを下地基板の全面に形成するために、下地基板上のレジスト層に対する露光を、露光ショットごとに下地用マスク211の投影領域を順次に隣接させながらずらして行っている。四角枠状の周辺領域226の4つの辺に対応するぞれぞれの領域を辺領域と称するとき、下地用マスク211の移動は、対向する一方の辺領域の投影位置に、他方の辺領域の投影位置が重なるようにして行っている。従って、前の露光では、第1及び第2アウターマーク用パターン241及び246に対応する、レジスト層の領域が分離されて露光され、かつ、遮光用パターン251に対応するレジスト層の領域は、非露光とされる。次の隣接領域の露光では、前の露光では非露光であったレジスト層の領域に、第1及び第2アウターマーク用パターン241及び246が分離されて露光される。他方、前の露光で分離露光されていたレジスト層の領域が、遮光用パターン251に対応する領域となるので、非露光とされる。その結果、辺領域の前の露光で分離露光された領域は、次の露光では非露光とされ、一方、前の露光で非露光とされた領域は、次の露光で分離露光される。従って、この2重露光によって、遮光用パターン251に対応するパターンはレジスト層に形成されない。
この下地用マスク211を用いたフォトリソグラフィ工程により、下地用マスク211のマスクパターン(下地マスクパターン)が転写された下地用レジストパターン(図示を省略する。)が、下地基板上に形成される。その後、下地用レジストパターンを用いたエッチング工程により、下地基板に下地用レジストパターンが転写されて、下地パターン301が形成される(図4(A)、図5(A)及び(B))。すなわち、下地マスクパターンの第1アウターマーク用パターン241及び第2アウターマーク用パターン246が下地基板に転写されて、第1アウターマーク341及び第2アウターマーク346が得られる。また、デバイスパターン領域に対応する領域にデバイスパターン330が得られる。
次に、下地用レジストパターンをアッシングにより除去した後、下地パターン301上に、シリコン酸化膜を堆積して第1層303を形成し、第1層用マスク213を用いたフォトリソグラフィ工程を行う(図2(A)及び(B)、図5(C)及び(D))。
このとき使用する第1層用マスク213は、上述した第1アウターマーク用パターンと第2アウターマーク用パターンの代わりに、図2(A)及び(B)に示すように四角枠状の周辺領域226に第1インナーマーク用パターン263が設けられている点が下地用マスク211と異なっていて、他の部分は、下地用マスク211と同様である。
この第1層用マスク213を用いたフォトリソグラフィ工程により、最終的には全ての周辺領域が下地用マスク211を用いて下地パターン301を形成する場合と同様に、2重露光される。この結果、第1層用マスク213のマスクパターン(第1層マスクパターン)が、第1層303上に塗布形成されているレジスト層に転写されて、第1層用レジストパターン305が形成される(図5(C)及び(D))。このとき、第1層マスクパターンに含まれる第1インナーマーク用パターン263がレジスト層に転写されて第1インナーマーク363が得られる(図4(B)及び図5(D))。
この第1インナーマーク363と第1アウターマーク341が相俟って、第1重ね合わせマーク373としてボックスインボックスマークを構成する。ボックスインボックスマークは、それぞれ直角四辺形である、第1アウターマーク341と、第1アウターマーク341より辺の長さが短い第1インナーマーク363とによって構成される。第1アウターマーク341は下地パターン301に含まれて形成されている。また、第1インナーマーク363は、下地パターン301上に設けられた第1層303上に、第1層用レジストパターン305に含まれて形成されている。下地パターン301と第1層用レジストパターン305との重ね合わせの位置精度を知るために、第1アウターマーク341と第1インナーマーク363を重ね合わせたときの両者の間の位置ずれを観察する。上面に第1層用レジストパターン305が形成された半導体基板を上方から見た時に、第1アウターマーク341内に第1インナーマーク363が入り込んだ状態がボックスインボックスの状態になる。ボックスインボックスマークでは、第1アウターマーク341と第1インナーマーク363の対応する辺同士の距離に基づいて位置ずれが得られる。
下地パターン301と第1層用レジストパターン305の位置ずれが設計上定めた基準値以内の場合は、この第1層用レジストパターン305を用いたドライエッチング工程を行い、第1層303をパターニングして第1層パターン304を形成する。
一方、下地パターン301と、第1層用レジストパターン305の位置ずれが設計上定めた基準値より大きい場合は、第1層用レジストパターン305をアッシングにより除去し、得られた位置ずれの値をフィードバックして、ウエハステージとレチクルステージのアライメント、すなわち位置合せを行って、再び第1層用レジストパターン305の形成を行う。
なお、第1層パターン304の形成の際に、第1インナーマーク363が転写された第1層マーク463が第1層パターン304に含まれて形成される。
第1層パターン304を形成した後、残存する第1層用レジストパターン305をアッシングにより除去し、第1層パターン304上にシリコン酸化膜を堆積して第2層307を形成する。その後、第2層用マスク214を用いたフォトリソグラフィを行う(図3(A)及び(B)、図5(E)及び(F))。
第2層用マスク214は、周辺領域226に第1インナーマーク用パターンに代えて、第2インナーマーク用パターン265が設けられている点が第1層用マスク213と異なっていて、他の部分は、第1層用マスク213と同様である。
この第2層用マスク214を用いたフォトリソグラフィ工程により、下地用マスク211を用いて下地パターン301を形成する場合と同様な2重露光が行われ、第2層用マスク214のマスクパターン(第2マスクパターン)が、第2層307上に塗布形成されているレジスト層に転写されて、第2層用レジストパターン309が形成される(図5(E)及び(F))。このとき、第2マスクパターンに含まれる第2インナーマーク用パターン265がレジスト層に転写されて、第2インナーマーク365が得られる(図4(C)及び図5(F))。
この第2インナーマーク365と第2アウターマーク346が相俟って、第2重ね合わせマーク375としてボックスインボックスマークを構成する。下地パターン301と第2層用レジストパターン309との位置精度を知るために、第2アウターマーク346と第2インナーマーク365を重ね合わせたときの両者の間の位置ずれを観察する。
下地パターン301と第2層用レジストパターン309の位置ずれが設計上定めた基準値以内の場合は、この第2層用レジストパターン309を用いたドライエッチング工程を行い、第2層307をパターニングして第2層パターンを形成する。
一方、下地パターン301と、第2層用レジストパターン309の位置ずれが設計上定めた基準値より大きい場合は、第2層用レジストパターン309をアッシングにより除去し、得られた位置ずれの値をフィードバックして、ウエハステージとレチクルステージのアライメント、すなわち位置合せを行って、再び第2層用レジストパターン309の形成を行う。
なお、重ね合わせ測定を行う際に、レジストの現像を行わず、インナーマークの潜像を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、フォトリソグラフィ処理で得られる以上の精度が要求される場合、電子線リソグラフィが行われるが、その露光方法やアライメント方法が提案されている(例えば、特許文献2又は3参照)。
特開平3−166712号公報
国際公開第2003/046963号パンフレット
特開2005−129647号公報
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の位置、大きさ及び配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。なお、図を明確にするために、平面図に一部ハッチングを付している部分があるが、断面を示すものではなく、構成要素を強調して示しているに過ぎない。
(第1実施形態のフォトマスク)
第1実施形態のフォトマスクは、第1フォトマスクとしての下地用マスクと第2フォトマスクとしての積層用マスクとを含む一組のフォトマスクである。このフォトマスクの下地用マスクは、トランジスタ等の素子が作りこまれている下地基板上に重ね合わせマークの一方のマーク、すなわち、下地側マークとその他の所要のパターンとを形成する際に使用される。他方の積層用マスクは、下地側マークが形成された下地基板上に2以上の層を階層的に積層させるとき、層ごとに重ね合わせマークの他方のマーク、すなわち、層側マークとその他の所要のパターンとを形成する際に使用される。
なお、以下の説明では、従来周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、下地基板すなわち半導体基板全体に行列状に、同一デバイスパターンの複数の回路チップを形成する例につき説明する。また、一例として、下地基板上に階層的に形成される層の数を2とし、第1層と第2層のチップ領域には、同一のデバイスパターンがそれぞれ形成されるものとして説明する。また、トランジスタ等の素子が形成された下地基板と、その下地基板上に直前までの処理によって形成された構造体をそれぞれ半導体ウエハと総称する。
先ず、図6を参照して、上述の露光に用いる第1実施形態の下地用マスク及び積層用マスクの両マスクに共通の構成部分について説明する。図6は第1実施形態の両マスクを一つの共通のフォトマスクとして示した、模式的な拡大平面図であって、第1実施形態の下地用マスクと積層用マスクとに共通する構成要素を示している。なお、以下の説明において、図6に示したフォトマスクを共通フォトマスクとして説明し、さらに、特に言及する場合を除いて、半導体ウエハ側の各部分の寸法としてフォトマスクにおける寸法に換算したものを用いている。例えば、レジストにおける寸法は、縮小投影倍率が5倍の場合は、フォトマスクにおける寸法の1/5になる。
共通フォトマスク10は、それぞれ非露光領域22で囲まれて画成される矩形状の露光領域24と、露光領域24内に、四角枠状の周辺領域26と、周辺領域26で囲まれて画成される矩形状の中央領域28を備えている。なお、これら各領域を有する共通フォトマスク10の面は、XY直交座標系のXY平面内にあるとする。ここで、四角枠状の周辺領域26の4つの辺に対応するそれぞれの領域を辺領域と称する。
中央領域28には、m行n列(m、nはいずれも2以上の整数)の行列状に、m×n個のデバイスパターン領域30が設けられている。これらデバイスパターン領域30は、周辺領域26の辺に平行な、互いに直交する格子状領域26XG及び26YGによって、互いに分離されている。ここでは、m=n=3として、中央領域28に9(=3×3)個のデバイスパターン領域30が設けられている場合について説明するが、何らこの例に限定されるものではない。この場合には、格子状領域は、X方向に延在する2つの横格子26YGとY方向に延在する2つの縦格子26XGとを備えている。これら横格子の幅をdYとし、かつ、縦格子の幅をdXとする。
なお、露光領域24、中央領域28及びデバイスパターン領域30の、頂点を挟む二辺は、互いに直交する行方向(X方向)及び列方向(Y方向)である。
各デバイスパターン領域30の行方向の一辺の長さを第1の長さX1とし、及び列方向の一辺の長さを第2の長さY1としている。デバイスパターン領域30は、行方向及び列方向に、それぞれ第1の間隔dX及び第2の間隔dYで配列されている。
また、露光領域24の行方向の一辺の長さを、n×X1+(n+1)×dXとし、列方向の一辺の長さを、m×Y+(m+1)×dYとする。また、中央領域28の行方向の一辺の長さを、n×X1+(n−1)×dXとし、列方向の一辺の長さを、m×Y+(m−1)×dYとする。中央領域28は、露光領域24を行方向及び列方向について同じ倍率で縮小した領域に対応しており、かつ、中央領域28と露光領域24の中心は一致している。ここで、四角い露光領域24の一つの隅の頂点(例えば、図中、左下の頂点)を座標原点A1(0、0)とした場合に、対応する中央領域28の一つの頂点、すなわち、図中、左下の頂点を、B1(dX、dY)とする。
このとき、露光領域24の4つの頂点の座標は、それぞれA1(0、0)、A2(n×X1+(n+1)×dX、0)、A3(0、m×Y1+(m+1)×dY)及びA4(n×X1+(n+1)×dX、m×Y1+(m+1)×dY)になる。また、中央領域28の4つの頂点の座標は、それぞれB1(dX、dY)、B2(n×X1+n×dX、dY)、B3(dX、m×Y1+m×dY)及びB4(n×X1+n×dX、m×Y1+m×dY)になる。
一般に、半導体ウエハの全面にレジスト層が設けられており、レジスト層が1回の露光で露光される領域の面積は、半導体ウエハの面積よりも小さいので、通常は、第1又は第2フォトマスクに対する半導体ウエハの位置を相対的に移動させて、レジスト層の全面に露光を行っていく。このとき、半導体ウエハ面において、直前に露光された領域に隣接する領域を露光する際には、一部分が重なるように、レジスト層に対する露光を行っていく。
例えば、図6を参照して説明した共通フォトマスク10を用いて露光を行う場合には、1回の露光を行った後、共通フォトマスク10のX方向の位置を、n×(X1+dX)ずらして露光を行っていく。さらに、Y方向の位置については、m×(Y1+dY)ずらして露光を行っていく。例えば、X方向及びY方向についてそれぞれ共通フォトマスク10と下地基板の位置を相対的にずらして露光を行うと、隣接する投影領域に対する露光の際には、周辺領域26の部分が2重露光される。
今、周辺領域26のX方向に対向する2つの辺領域を26X1及び26X2とし、及びY方向に対向する2つの辺領域を26Y1及び26Y2とする。
図7を参照して、この隣接する領域の露光について説明する。図7(A)〜(D)は、隣接する領域の露光を説明するための模式図である。図7(A)及び(C)は、共通フォトマスク10の露光領域を抜き出して概略的に示す平面図である。図7(B)は先の露光後の半導体ウエハの露光状態を説明するための概略的平面図であり、図7(D)は、後の露光後の半導体ウエハの露光状態を説明するための概略的平面図である。
レジスト層のある領域を、フォトマスク10を用いて先の露光を行ったとき、辺領域26X1及び26X2に対応するレジスト層の投影領域を26X11及び26X21とする(図7(A)及び(B))。また、先の露光での投影領域に隣接するレジスト層の領域を、フォトマスク10を用いて後の露光を行ったとき、辺領域26X1及び26X2に対応するレジスト層の投影領域を26X12及び26X22とする(図7(C)及び(D))。レジスト層に対して先の露光領域に隣接する領域の露光を行うとき、先の露光領域26X21を、後の露光によって辺領域26X1で露光するように、フォトマスク10と下地基板の位置を相対的にX方向にずらす。その結果、先の露光で露光される辺領域26X2に対応する領域26X21と、後の露光で露光される辺領域26X1に対応する領域26X12とが一致する。
このように前後の2回の露光で周辺領域26の一つの辺領域に対応するレジスト層の領域は、2回ずつ露光される。最終的には、周辺領域26の4つの辺領域26X1、26X2、26Y1及び26Y2に対応するレジスト層の領域は、全て2重露光される。
再び、図6を参照して説明する。周辺領域26は、中央領域28をX方向に挟む位置、及び、中央領域28をY方向に挟む位置にそれぞれ2対の計4対の同じ形状及び同じ大きさの重ね合わせ領域32を備えている。
各対の重ね合わせ領域32の一方をマーク領域34とし、及び他方を遮光領域36とする。このとき、中央領域28に対して同じ側の辺領域内に、マーク領域34と遮光領域36の双方を備え、かつ、2つの辺領域の交差領域付近、すなわち、中央領域28の各頂点を挟む周辺領域のコーナー付近の位置にマーク領域34と遮光領域36の双方を備えるように、マーク領域34及び遮光領域36が設けられている。すなわち、各辺領域26X1、26X2、26Y1及び26Y2には、マーク領域34及び遮光領域36が一つずつ設けられている。マーク領域34は、下地パターンと下地基板上に階層的に形成される各層との重ね合わせ測定に用いられる。重ね合わせ領域32が設けられている周辺領域26は、隣接する領域の露光の際に2重以上の多重露光がなされる。隣接する領域の露光時に、マーク領域34が不要に露光されるのを防ぐために、遮光領域36が設けられている。
より具体的に説明すると、前回の露光時にレジスト層は、周辺領域の一方の辺領域26Y2のマーク領域34で露光されるが、遮光領域36の部分は露光されない。次の露光時には、対向する他方の辺領域26Y1の遮光領域36で前回のマーク領域34の露光領域が、覆われて露光されないが、辺領域26Y1の周囲の前回の遮光領域で露光されなかった領域がマーク領域34で露光される。
また、マーク領域34は、フォトマスク10を用いて投影される領域、すなわち露光領域24の四隅付近に配置されるのが一般的である。これは、露光機のレンズの歪みなどによる位置ずれが、投影領域の四隅付近で最も大きいためである。しかし、投影領域の四隅付近、すなわち、辺領域が重なる、露光領域24の4隅の正方形の領域及びその近傍領域を含めたコーナー領域C1、C2、C3及びC4は、4重に露光される部分であるため、マーク領域34は、この4重に露光される部分を除いた2重に露光される辺領域26X1、26X2、26Y1及び26Y2の中間領域に形成されている。
図8(A)及び(B)を参照して、第1実施形態のフォトマスクを下地用マスク及び積層用マスクとして機能させる例について説明する。図8(A)及び(B)は、第1実施形態のフォトマスクを下地用マスク及び積層用マスクとして、それぞれを説明するための模式的な拡大平面図であり、図8(A)は下地用マスクを示し、図8(B)は積層用マスクを示している。なお、下地用マスク及び積層用マスクは、図1〜3を参照して説明した従来のフォトマスクと、XY平面内のパターンが異なり、断面形状も僅かに異なるが、断面形状の差異は本質的なことではなく、全体的には同様であるので、ここでは、断面の図示を省略する。
下地用マスク11は、下地基板をパターニングして下地パターンを形成するために用いられる。積層用マスク13は、下地基板上に階層的に順次に形成される各層をパターニングして、第1層パターン又は第2層パターンを形成するために用いられる。下地用マスク11と積層用マスク13がそれぞれ備えている遮光領域36(斜線を付してある。)及びマーク領域34(境界を破線で示してある。)は、下地用マスク11と積層用マスク13に設定されたそれぞれのXY平面上の同じ座標に形成されている。
下地用マスク11のマーク領域34の各々には、第1基準合わせマーク用パターン(以下、第1アウターマーク用パターンと称することもある。)41a、41b、41c及び41dが1対1の関係で形成されている。また、下地用マスク11の遮光領域36には、遮光用パターン51が形成されている。
下地用マスク11のデバイスパターン領域30間の格子状領域26XG及び26YGには、さらに第2基準合わせマーク用パターン(以下、第2アウターマーク用パターンと称することもある。)46a、46b、46c及び46dが形成されている。第2アウターマーク用パターン46(46a、46b、46c及び46d)は、第1アウターマーク用パターン41(41a、41b、41c及び41d)と同じ形状及び同じ大きさで形成されている。
第2アウターマーク用パターン46は、下地用マスク11の露光領域24内であって第1アウターマーク用パターン41をX方向にs×(X1+dX)、又は、−(n−s)×(X1+dX)移動し、かつ、Y方向にt×(Y1+dY)、又は、−(m−t)×(Y1+dY)移動した位置に設けられる。ここで、sは0、又は1以上n−1以下の整数であり、tは0、又は1以上m−1以下の整数である。また、s及びtのいずれか一方又は双方が1以上である。図8(A)では、m=n=3かつs=t=1の場合を示している。すなわち、第2アウターマーク用パターン46は、第1アウターマーク用パターン41をX方向にX1+dX、又は、−2×(X1+dX)移動し、かつ、Y方向にY1+dY、又は、−2×(Y1+dY)移動した位置に設けられている。
具体的には、第2アウターマーク用パターン46aは、第1アウターマーク用パターン41aをX方向にX1+dX、かつ、Y方向にY1+dY移動(図8(A)中、矢印Iで示す)した位置に設けられている。第2アウターマーク用パターン46bは、第1アウターマーク用パターン41bをX方向に−2×(X1+dX)、かつ、Y方向にY1+dY移動(図8(A)中、矢印IIで示す)した位置に設けられている。第2アウターマーク用パターン46cは、第1アウターマーク用パターン41cをX方向に−2×(X1+dX)、かつ、Y方向に−2×(Y1+dY)移動(図8(A)中、矢印IIIで示す)した位置に設けられている。第2アウターマーク用パターン46dは、第1アウターマーク用パターン41dをX方向にX1+dX、かつ、Y方向に−2×(Y1+dY)移動した位置(図8(A)中、矢印IVで示す)に設けられている。
図8(A)では、第2アウターマーク用パターン46a、46b、46c及び46dが格子状領域26XG及び26YGに形成されている例が示されているが、この例に限定されない。例えば、s及びtのいずれか一方が0の場合など、第2アウターマーク用パターン46が周辺領域26に形成されることもある。このとき、第2アウターマーク用パターン46が形成されている領域が不要に露光されるのを防ぐために、中央領域28を挟んで反対側の周辺領域26に、第2遮光領域が形成される。
一方、積層用マスク13のマーク領域34には、レジスト合わせマーク用パターン(以下、インナーマーク用パターンと称することもある。)63が形成されている。インナーマーク用パターン63は、第1アウターマーク用パターン41及び第2アウターマーク用パターン46と同じ形状で、面積が小さい。
後述するように、下地用マスク11の第1及び第2アウターマーク用パターン41及び46が下地基板に転写されて形成される第1及び第2アウターマークと、積層用マスク13のインナーマーク用パターン63がレジスト層に転写されて形成されるインナーマークとが相俟って、重ね合わせマークを形成する。
次に、図9(A)及び(B)を参照して、上述の第1及び第2アウターマーク用パターン41及び46とインナーマーク用パターン63とを用いて形成される、重ね合わせマークの構成例について説明する。重ね合わせマークとして、いわゆるボックスインボックスマークを用いることができる。
図9(A)は、ボックスインボックスマークの概略的な平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A線に沿った面の切り口を示す概略的な断面図である。
ボックスインボックスマークでは、インナーマーク160及びアウターマーク140が正方形状に形成される。アウターマーク140は、インナーマーク160よりも大きく形成される。アウターマーク140とインナーマーク160の位置のずれが、アウターマーク140が形成されている下地パターン101とインナーマーク160が形成されているレジストパターン105の位置ずれとして与えられる。ボックスインボックスマークでは、アウターマーク140とインナーマーク160の対応する辺同士の距離に基づいて位置ずれが得られる。例えば、インナーマーク160とアウターマーク140の、対応する辺同士の距離の差Da=(a1−a2)/2が位置ずれとして得られる。
なお、重ね合わせマークは、図9(A)及び(B)を参照して説明したボックスインボックスマークに限定されない。
図9(C)〜(I)を参照して、重ね合わせマークの他の構成例について説明する。図9(C)、(E)、(G)及び(H)は、重ね合わせマークの平面図であり、図9(D)、(F)及び(I)は、それぞれ、図9(C)のB−B線、図9(E)のC−C線及び図9(H)のD−D線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
重ね合わせマークとして、アウターマーク140aを平面的に見て中央の矩形状の領域をくりぬいたフレーム状に形成しても良い(図9(C)及び(D))。また、インナーマーク160aをフレーム状に形成しても良い(図9(E)及び(F))。さらに、アウターマーク140bとインナーマーク160bのフレームを辺ごとに分離してバー状に形成しても良い(図9(G))。なお、X方向の位置ずれと、Y方向の位置ずれの測定を行うことが目的であるので、アウターマーク140cとインナーマーク160cをL字形のマークとしても良い(図9(H)及び(I))。
フォトマスクは、アウターマーク用パターン及びインナーマーク用パターンの配置を除けば、従来周知の通りに形成することができる。例えば、フォトマスクを石英ガラスなどの透明基板で形成し、遮光領域や、マスクパターンの遮光される部分には、クロム等を蒸着すれば良い。
また、フォトマスクには、重ね合わせ測定用のマークのほかに、アライメント用マークを備えているが、アライメントマーク及びそのアライメントマークを用いたアライメント方法については従来周知であるので、ここでは図示及び説明を省略している。
(第1実施形態のフォトマスクを用いた半導体装置の製造方法)
図10〜図18を参照して、第1実施形態のフォトマスクを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図10〜18は、半導体装置の製造工程を示す工程図である。
なお、以下の説明では、s及びtをともに1として説明する。
先ず、図10〜12を参照して、下地処理の工程について説明する。図10(A)及び(B)は、下地用マスクと各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図11は下地処理で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図12(A)は、図10(A)のA−A線及びB−B線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図12(B)は、図10(B)のC−C線及びD−D線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図12(C)及び(D)は、図11のE−E線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
下地処理は、下地基板に下地パターンを得る処理であり、以下のS110〜S160の工程を備えている。
先ず、S110において、下地基板101を用意する。ここで、下地基板101とは、例えば、トランジスタ等の素子が形成された半導体基板上に、上面が平坦化されているシリコン酸化膜の下地層が形成されたものをいう。
次に、S120において、下地基板101上に、レジストを塗布してレジスト層102aを形成する。
次に、S130において、下地用マスクと、半導体ウエハ(ここでは、下地基板)の位置合わせを行う。この位置合せは、従来フォトリソグラフィで行われているアライメントマークを用いた位置合せ、すなわちアライメントで行われる。具体的には半導体ウエハのデバイスパターンが形成される領域外に、予め設けてあるアライメントマークを用いて、半導体ウエハ、ここではウエハステージの位置を設定する。さらに、例えば、下地用マスクの非露光領域に設けてあるアライメントマークを用いて、下地用マスク、ここではレチクルステージの位置を設定する。このアライメントが行われた結果、下地用マスクの座標原点A1がレチクルステージ面内に設定されたレチクルステージ原点Oに一致する。また、下地基板の座標原点が、ウエハステージ面内に設定されたウエハステージ原点に一致している(図10(A)及び図12(A))。
半導体ウエハと下地用マスク11の位置合わせを行った後、S140において、下地用マスク11を用いて露光及び現像を行う。
具体的には、図7を参照して説明したと同様に下地パターンを下地基板の全面に形成するために、下地基板上のレジスト層に対する露光を、下地パターンの投影領域を順次に隣接させながらずらして行う。図10(A)及び図12(A)と、図10(B)及び図12(B)は、行方向に隣接する領域の順次の露光を示している。下地用マスク11の移動により、四角枠状の周辺領域の、互いに対向する一方の辺領域の投影位置に、他方の辺領域の投影位置が重なる。隣接する領域の今回の露光により、前回の露光時の遮光用パターン51に対応するレジストの領域が露光されて前駆遮光マーク152が形成される。同様に、積層用マスクの遮光領域22に対応するレジストの領域122も、隣接する領域の露光の際に、露光される。なお、半導体ウエハと下地用マスクとの相対的な位置の移動は、下地用マスクが固定されているレチクルステージ及び半導体ウエハが固定されているウエハステージのいずれか一方又は双方を動かすことで行うことができ、通常、レチクルステージの位置を固定して、ウエハステージをレチクルステージに対して移動することで行われる。
1つの行について行方向に隣接する領域の順次の露光を行った後、列方向に隣接する他の行の領域の露光を行い、さらに、行方向に隣接する領域の順次の露光を行う。このように順次に隣接する領域の露光を行って、最終的に半導体ウエハ全体の露光を行う。なお、露光の順序はこの例に限定されない。また、隣接する領域を露光する場合、半導体ウエハと下地用マスクの相対的な位置の移動は、行方向の移動単位をm×(X1+dX)(ここでは、3×(X1+dX))とし、列方向の移動単位をn×(Y1+dY)(ここでは、3×(Y1+dY))として、列方向または行方向に行われるが、位置をずらす度にアライメントマークを用いたアライメントを行っても良い。
レジストとしては、従来周知のものを用いればよく、ポジ型のレジスト及びネガ型のレジストのいずれを用いても良い。ここでは、ポジ型のレジストを用いる場合について説明するが、ネガ型のレジストを用いる場合は、ポジ型のレジストを用いる場合のレジストパターンを反転させたパターンにすればよい。
半導体ウエハ全体の露光を行った後、レジストの現像を行い、レジスト層102aの残部からなる下地用レジストパターン102を得る。その結果、チップ領域に対応する、レジスト層の領域に、デバイスパターンの形状が転写され、かつ、チップ領域間に対応するレジスト領域に、第1及び第2アウターマーク用パターン41及び46に基づいて、第1前駆アウターマーク142及び第2前駆アウターマーク147が形成される(図12(C))。
次に、S150において、レジストパターンを用いて、下地基板に対して、任意好適な従来周知の異方性ドライエッチングを行う。その結果、下地基板にレジストパターンが転写されて、下地パターンが得られる。具体的には、前駆デバイスパターンにより、デバイスパターンが形成され、かつ、第1及び第2前駆アウターマーク142及び147によって第1及び第2アウターマーク141及び146が下地側マークとしてそれぞれ形成される(図11及び図12(D))。
次に、S160において、下地用レジストパターン102をアッシング等により除去して、下地処理を終了する。なお、以下の説明において、下地基板とは、全面に下地パターンが形成されたものを含むものとする。
続いて、図13〜15を参照して、第1層処理の工程について説明する。図13(A)及び(B)は、積層用マスクと各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図14は第1層処理で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図15(A)は、図13(A)のF−F線及びG−G線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図15(B)は、図13(B)のH−H線及びI−I線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図15(C)は、図14のJ−J線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
第1層処理は、下地基板101上に図8(B)に示すような、遮光パターン51及びインナーマーク用パターン63を有する積層用マスク13を利用して第1層パターンを得る処理であり、以下のS210〜S290の工程を備えている。
先ず、S210において、下地基板101上に第1層103を形成する。第1層103は、例えば、CVD法で形成された透明なシリコン酸化膜である。
次に、S220において、第1層103上に、レジストを塗布してレジスト層106を形成する。
次に、S230において、積層用マスクと半導体ウエハのアライメントが行われる。この位置合せは、従来フォトリソグラフィで行われているアライメントマークを用いた位置合せ、すなわちアライメントで行われる。具体的には半導体ウエハのデバイスパターンが形成される領域外に、予め設けてあるアライメントマークを用いて、半導体ウエハ、ここではウエハステージの位置を設定する。さらに、例えば、積層用マスクの非露光領域に設けてあるアライメントマークを用いて、積層用マスク、ここではレチクルステージの位置を設定する。
このとき、積層用マスク13の座標原点A1と、レチクルステージ原点Oが一致するようにアライメントが行われる。また、半導体ウエハの座標原点が、ウエハステージ原点に一致するようにアライメントが行われる。この結果、S230のアライメントにおける半導体ウエハに対する積層用マスク13の位置は、S130のアライメントにおける下地基板に対する下地用マスクの位置と同じになる(図13(A))。
半導体ウエハと積層用マスク13のアライメントを行った後、S240において、積層用マスク13を用いて露光及び現像を行って第1層用レジストパターン105を得る。この現像処理によって、インナーマーク用パターン63が転写されて第1層用インナーマーク163が形成される。
具体的には、図7を参照して説明したと同様に、積層用パターンの投影領域を行方向の移動単位を3×(X1+dX)とし、列方向の移動単位を3×(Y1+dY)として、順次に隣接させながら行方向又は列方向にずらして露光を行う。図13(A)及び図15(A)と、図13(B)及び図15(B)は、列方向に隣接する領域の露光を示している。このとき、積層用マスク13の移動により、四角枠状の周辺領域の、互いに対向する一方の辺領域の投影位置に、他方の辺領域の投影位置が重なる。隣接する領域の今回の露光により、前回の露光時の遮光用パターン51に対応するレジストの領域151が露光される。同様に、積層用マスクの遮光領域22に対応するレジストの領域122も、隣接する領域の露光の際に、露光される。
このとき、下地用マスク11を用いた露光と、積層用マスク13を用いた露光とは、露光ごとの投影領域のXY平面内での位置が一致している。
半導体ウエハ全体の露光を行った後、レジストの現像が行われる。その結果、チップ領域に対応する、レジスト層の領域にデバイスパターンの形状が転写され、かつ、チップ領域間のレジスト層に積層用マスク13のインナーマーク用パターン63に基づいて第1インナーマーク163が層側マークとして形成される。このとき、レジスト層がパターン形成されて得られた第1インナーマーク、すなわち層側マーク163と下地基板に既にパターン形成されている第1アウターマークすなわち下地側マーク141とが相俟って第1重ね合わせマーク173を形成する(図14及び15(C))。
次に、S250において、重ね合わせ測定を行う。重ね合わせ測定は、例えば、光学顕微鏡で重ね合わせマークを観察することで行われる。光学顕微鏡の出力は、CCDカメラに送られ、CCDカメラの出力が、コンピュータに取り込まれる。CCDカメラの出力を受け取ったコンピュータは、従来周知のエッジ検出などの画像処理を行って、第1インナーマーク163の位置と、透明なシリコン酸化膜を経て下側の第1アウターマーク141の位置を測定する。この重ね合わせ測定は、一般に1〜2nm程度の精度で行うことができる。一方、ステージの位置決定精度は、30nm程度であり、また、通常のアライメントでの重ね合わせ精度は、100〜200nm程度である。
次に、S260において、重ね合わせ測定の結果、位置ずれが予め設定された基準値以内であるか否かの判定を行う。この基準値として、例えば、ステージの位置決定精度の値を用いることができる。
位置ずれが基準値よりも大きい場合、S290において、レジストパターンをアッシングにて除去した後、再びS220〜S260の処理が行われる。この場合、S230のアライメントにおいては、位置ずれの大きさの分だけ、ウエハステージを移動させる。すなわち、S250においての重ね合わせ測定の結果がフィードバックされる。
一方、位置ずれが基準値以内に収まっている場合は、S270において、第1層レジストパターン105を用いて、任意好適な従来周知の異方性ドライエッチングを行う。その結果、第1層103に、第1層レジストパターン105が転写されて第1層パターンを得る。
次に、S290において、第1層レジストパターン105をアッシング等により除去して、第1層処理を終了する。なお、以下の説明において、第1層とは、全面に第1層パターンが形成されたものを含むものとする。
続いて、図16〜18を参照して、第2層処理の工程について説明する。図16(A)及び(B)は、積層用マスクと各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図17は第2層処理で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図18(A)は、図16(A)のK−K線及びL−L線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図18(B)は、図16(B)のM−M線及びN−N線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図18(C)は、図17のP−P線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
第2層処理は、第1層パターン104上に第1層処理に用いたマスクと同じ積層用マスクを利用して第2層パターンを得る処理であり、以下のS310〜S390の工程を備えている。
先ず、S310において、第1層103上に、第2層107を形成する。第2層107は、例えば、CVD法で形成された透明なシリコン酸化膜である。
次に、S320において、第2層107上に、レジストを塗布してレジスト層108を形成する。
次に、S330において、積層用マスクと、半導体ウエハのアライメントが行われる。この位置合せは、従来フォトリソグラフィで行われているアライメントマークを用いた位置合せ、すなわちアライメントで行われる。具体的には半導体ウエハのデバイスパターンが形成される領域外に、予め設けてあるアライメントマークを用いて、半導体ウエハ、ここではウエハステージの位置を設定する。さらに、例えば、積層用マスクの非露光領域に設けてあるアライメントマークを用いて、積層用マスク、ここではレチクルステージの位置を設定する。このとき、積層用マスク13の座標原点A1が、レチクルステージ原点Oに対して、行方向に−2×(X1+dX)移動し、列方向に−2×(Y1+dY)移動した位置になるようにアライメントが行われる。また、半導体ウエハの座標原点は、ウエハステージ原点に一致するようにアライメントが行われる。この結果、S330のアライメントにおける半導体ウエハに対する積層用マスクの位置は、S130のアライメントにおける下地基板に対する下地用マスクの位置に比べて、行方向に−2×(X1+dX)、かつ列方向に−2×(Y1+dY)だけずれている。
半導体ウエハと積層用マスクとのアライメントを行った後、S340において、積層用マスク13を用いて露光及び現像を行って第2層用レジストパターン109を得る。
積層用パターン13を第2層107の全面に形成するために、第2層107上のレジスト層108に対する露光を、図7を参照して説明したと同様に、積層用パターンの投影領域を順次に隣接させながらずらして行う。
具体的には、1つの行について行方向に隣接する領域の順次の露光を行った後、列方向に隣接する他の行の領域の露光を行い、さらに、行方向に隣接する領域の順次の露光を行う。このように順次に隣接する領域の露光を行って、最終的に半導体ウエハ全体の露光を行う。なお、露光の順序はこの例に限定されない。また、隣接する領域を露光する場合、半導体ウエハと下地用マスクの相対的な位置の移動は、行方向に3×(X1+dX)、又は、列方向に3×(Y1+dY)だけずらして行うが、位置をずらす度にアライメントマークを用いたアライメントを行っても良い。このとき、チップが形成されない領域のレジスト層に対して露光が行われることもある。
図16(A)及び18(A)と、図16(B)及び18(B)は、列方向に隣接する領域の露光を示している。このとき、積層用マスク13の移動は、四角枠状の周辺領域の、互いに対向する一方の辺領域の投影位置に、他方の辺領域の投影位置が重なるようにして行っている。隣接する領域の今回の露光により、前回の露光時の遮光用パターン51に対応するレジストの領域が露光される。同様に、積層用マスクの遮光領域22に対応するレジストの領域122も、隣接する領域の露光の際に、露光される。なお、半導体ウエハと積層用マスク13との相対的な位置の移動は、レチクルステージに対して、ウエハステージを移動することで行われる。
図16(A)では、積層用マスク13の座標原点A1が、レチクルステージ原点Oに対して、行方向にX1+dX移動し、列方向にY1+dY移動した位置にある場合を示している。また、図16(B)は、図16(A)に対して、行方向に1の移動単位である3×(X1+dX)移動した位置に積層用マスク13の座標原点A1がある場合を示している。
半導体ウエハ全体の露光を行った後、レジストの現像が行われる。その結果、各チップに対応するレジストのチップ領域に、デバイスパターンの形状が転写され、チップ領域間のレジスト層に第2インナーマーク165が層側マークとして形成される。このとき、レジスト層がパターン形成されて得られた第2インナーマーク、すなわち層側マーク165と第2アウターマークすなわち下地側マーク146とが相俟って第2重ね合わせマーク175を形成する(図17及び18(C))。
次に、S350において、重ね合わせ測定を行う。
次に、S360において、重ね合わせ測定で得られる、位置ずれが予め設定された基準値以内であるか否かの判定を行う。
位置ずれが基準値よりも大きい場合、S380において、レジストをアッシングにて除去した後、再びS320〜S360の処理が行われる。この場合、S330の位置合せにおいては、S350においての重ね合わせ測定の結果がフィードバックされる。
一方、位置ずれが基準値以内に収まっている場合は、S370において、第2層用レジストパターン109を用いて、任意好適な従来周知の異方性ドライエッチングを行う。その結果、第2層に、第2層用レジストパターン109が転写されて第2層パターンを得る。
次に、S390において、第2層用レジストパターン109をアッシング等により除去して、第2層処理を終了する。
なお、ここでは、m及びnを3とし、かつs及びtを1として、第2アウターマーク用パターンを、第1アウターマーク用パターンをX方向に、X1+dX、又は−2×(X1+dX)ずらし、かつY方向に、Y1+dY、又は−2×(Y1+dY)ずらした位置に設ける例について説明したが、これに何ら限定されるものではない。m、nを2以上の整数とし、sを0又は1以上n−1の整数とし、及びtを0又は1以上m−1以下の整数として、第1アウターマークをX方向にs×(X1+dX)、又は、−(n−s)×(X1+dX)ずらし、及びY方向にt×(Y1+dY)、又は、−(m−t)×(Y1+dY)ずらした位置に第2アウターマークを形成することができる。ただし、s及びtのいずれか一方又は双方は1以上とする。
さらに、下地用マスクが、第1アウターマーク用パターンと第2アウターマーク用パターンの2つのアウターマーク用パターンを備える例について説明したが、下地用マスクが備えるアウターマーク用パターンの数は2に限定されない。アウターマーク用パターンは、露光領域に形成されるデバイスパターン領域の数に応じて、第1アウターマーク用パターンから、第m×nアウターマーク用パターンまで、m×nまで形成可能である。下地用マスクがm×nのアウターマーク用パターンを備える場合、m×nの層の形成を一つの積層用マスクで行うことができる。
ただし、下地基板上に形成される積層体の厚さは、重ね合わせ測定の際に、下地に形成されているアウターマークが必要な精度で測定できる厚さ以内に形成される必要がある。これまで、積層体の厚さは2μm程度であれば、重ね合わせ測定が行えることが確かめられている。この場合、積層体の各層の厚みを500nmとすれば、4つの層の形成を一つのマスクで行うことができる。
なお、例えば、第1層を形成して、その上面を平坦化した場合、第1層の上面が完全に平坦化されずに、アウターマークに対応する場所が凸状になる場合がある。このように、後の積層工程において、アウターマークの形状が積層体の上面に転写されている場合は、積層体の厚みが2μmより大きくても、第1層の上面の凸形状を用いて重ね合わせ測定を行うことができる。また、光学顕微鏡の測定において不透明な層が、下地上に形成されている場合でも、不透明な層の上面にアウターマークが転写されていれば、重ね合わせ測定を行うことができる。
また、全ての層を一つのフォトマスクで行わず、複数のフォトマスクを用いて行っても良い。例えば、第1層と第3層とが同じパターンで、第2層が異なるパターンである場合は、第1層と第3層のパターニングには、第1の積層用マスクを用いて、第2層のパターニングには、第1の積層用マスクとは異なる第2の積層用マスクを用いることができる。このとき、第2の積層用マスクのインナーマークの位置は、第1の積層用マスクのインナーマークと同じ位置に形成し、下地用マスクに第1〜3のアウターマークを形成しておくことができる。
上述の説明においては、下地層、第1層及び第2層を、シリコン酸化膜として説明したが、シリコン酸化膜に限られず、シリコン窒化膜やアルミニウム膜が形成されていても良い。
第1実施形態のフォトマスク及び当該フォトマスクを用いた半導体装置の製造方法によれば、下地用マスクは、マーク領域に第1アウターマーク用パターンと、第1アウターマークを行方向にs×(X1+dX)、又は、−(n−s)×(X1+dX)移動し、かつ、列方向にt×(Y1+dY)、又は、−(m−t)×(Y1+dY)移動した位置に第2アウターマーク用パターンとを備えている。
従って、下地パターン及び第1層パターンを形成する際には、下地用マスクの座標原点及び積層用マスクの座標原点を、レチクルステージ原点に一致させるアライメントを行い、第2層パターンを形成する際には、積層用マスクの座標原点を、レチクルステージ原点に対して行方向にs×(X1+dX)、及び列方向にt×(Y1+dY)移動した位置に一致させるアライメントを行えば、それぞれ異なる位置に形成される重ね合わせパターンを用いて重ね合わせ測定を行うことができる。
その結果、第1層と第2層に、同一のデバイスパターンを形成する場合に、一つの積層用マスクを共通に用いて、層ごとに精度良く位置決めができるので、効率的である。
(第2実施形態)
第2実施形態のフォトマスクは、下地基板上に、複数の層の積層体を形成するために用いられ、下地用マスク、積層用マスク及び消去用マスクの一組のフォトマスクを備えている。
図19を参照して、第2実施形態のフォトマスクについて説明する。図19(A)、(B)及び(C)は、第2実施形態の下地用マスク、積層用マスク及び消去用マスクを説明するための模式的な平面図であり、図19(A)は下地用マスクを示し、図19(B)は積層用マスクを示し、図19(C)は消去用マスクを示している。
下地用マスク15は、アウターマーク用パターンのうち、第1アウターマーク用パターン41のみを備え、第2アウターマーク用パターンを備えない点が、図8(A)を参照して説明した第1実施形態の下地用マスクと異なっている。それ以外の点は、第1実施形態の下地用マスクと同様なので、説明を省略する。なお、以下の説明では、第1アウターマーク用パターン41を単にアウターマーク用パターン41と称することもある。
第2実施形態の積層用マスク14では、周辺領域26のインナーマーク用パターン64の部分を光が透過し、それ以外の部分が遮光される。その他の構成は、図8(B)を参照して説明した第1実施形態の積層用マスクと同様なので、説明を省略する。
消去用マスク17は、中央領域を遮光する消去用パターン67を備えていて、周辺領域26には、遮光膜となるクロムが蒸着されていない。すなわち、消去用マスク17は中央領域28が不透明であり、周辺領域26が透明である。
(第2実施形態のフォトマスクを用いた半導体装置の製造方法)
図20〜図25を参照して、第2実施形態のフォトマスクを用いた半導体装置の製造方法について説明する。
先ず、図20〜22を参照して、下地処理の工程について説明する。図20(A)及び(B)は、下地用マスクと各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図21は下地処理で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図22(A)は、図20(A)のQ−Q線及びR−R線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図22(B)は、図20(B)のS−S線及びT−T線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図22(C)及び(D)は、図21のU−U線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
第2実施形態の製造方法は、図10〜12を参照して説明した、第1実施形態の下地処理と同様の工程で行われる。第2アウターマークが形成されない点が第1実施形態と異なっているので、第1実施形態と同じ構成要素については、図10〜12と同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
下地基板上のレジスト層に対する露光を、下地パターンの投影領域を順次に隣接させながら行う(図20(A)及び22(A)、図20(B)及び22(B))。その後、レジスト層を現像して下地用レジストパターンを得る(図22(C))。さらに、下地用レジストパターンを用いたドライエッチングにより、下地パターンが得られる(図21及び図22(D))。
次に、図23〜25を参照して、第1層処理の工程について説明する。図23(A)及び(B)は、積層用マスクと各工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図24は消去用マスクと消去用マスクを用いた工程で形成される構造体の模式的な拡大平面図である。図25(A)は、図22(A)のV−V線及びW−W線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図25(B)は、図22(B)のX−X線及びY−Y線に沿った断面の切り口を示す端面図である。図25(C)は、図24のZ−Z線及びZZ−ZZ線に沿った断面の切り口を示す端面図である。
第1層処理は、下地パターン上に第1層パターンを得る処理であり、以下のS210〜S290の工程を備えている。
S210の第1層103を形成する工程から、S230のアライメントを行う工程までは、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
半導体ウエハと積層用マスクのアライメントを行った後、S242において、積層用マスクを用いて露光を行う。具体的には、積層用パターンを第1層の全面に形成するために、下地基板上のレジスト層に対する露光を、積層用パターンの投影領域を順次に隣接させながらずらして行う。このとき、積層用マスクの移動は、対向する一方の辺領域の投影位置に、他方の辺領域の投影位置が重なるようにして行っている。なお、半導体ウエハと積層用マスクとの相対的な位置の移動は、レチクルステージに対して、ウエハステージを移動することで行われる(図23(A)及び25(A)、図23(B)及び25(B))。
このとき、下地用マスクを用いた露光と、積層用マスクを用いた露光とは、露光ごとの投影領域のXY平面内での位置が一致している。
半導体ウエハ全体の露光を行った後、S252において、重ね合わせ測定を行う。重ね合わせ測定は、特許文献1に記載されているのと同様に行われ、インナーマークの潜像164と、アウターマーク141で構成される重ね合わせマークを観察することで行われる。
次に、S260において、重ね合わせ測定の結果、位置ずれが予め設定された基準値以内であるか否かの判定を行う。
位置ずれが基準値よりも大きい場合、S290において、レジストパターンをアッシングにて除去した後、再びS220〜S260の処理が行われる。この場合、S230のアライメントにおいては、S252における重ね合わせ測定の結果がフィードバックされる。
一方、位置ずれが基準値以内に収まっている場合は、S265において、消去用マスク17を用いた露光及び現像を行う。消去用マスク17では、露光領域24内の周辺領域26に対応する領域のみが露光されるので、インナーマークが消去される(図24及び図25(C))。
S270において、現像の結果得られる第1層レジストパターン116を用いて、任意好適な従来周知の異方性ドライエッチングを行う。その結果、第1層に、第1層レジストパターン116が転写されて第1層パターンを得る。
次に、S290において、第1層レジストパターンをアッシング等により除去して、第1層処理を終了する。
第2層処理は、第1層パターン104上に第2層パターンを得る処理であり、以下のS310〜S390の工程を備えている。
S310の第2層を形成する工程から、S330のアライメントを行う工程までは、第1実施形態と同様なので説明を省略する。第2層処理でのアライメントにおいて、積層用マスクの座標原点は、レチクルステージ原点Oに一致するように位置合わせがなされ、半導体ウエハの座標原点は、ウエハステージ原点に一致するように位置合わせがなされる。
半導体ウエハと積層用マスクのアライメントを行った後、S342において、積層用マスクを用いて露光を行う。具体的には、積層用パターンを第2層の全面に形成するために、下地基板上のレジスト層に対する露光を、積層用パターンの投影領域を順次に隣接させながらずらして行う。このとき、積層用マスク13の移動は、対向する一方の辺の枠状領域の投影位置に、他方の辺の枠状領域の投影位置が重なるようにして行っている。なお、半導体ウエハと積層用マスクとの相対的な位置の移動は、レチクルステージに対して、ウエハステージを移動することで行われる。
このとき、下地用マスクを用いた露光と、積層用マスクを用いた露光とは、露光ごとの投影領域のXY平面内での位置が一致している。
半導体ウエハ全体の露光を行った後、S352において、重ね合わせ測定を行う。重ね合わせ測定は、特許文献1に記載されているのと同様に行われ、インナーマークの潜像と、アウターマークで構成される重ね合わせマークを観察することで行われる。
次に、S360において、重ね合わせ測定の結果、位置ずれが予め設定された基準値以内であるか否かの判定を行う。
位置ずれが基準値よりも大きい場合、S390において、レジストパターンをアッシングにて除去した後、再びS320〜S360の処理が行われる。この場合、S330のアライメントにおいては、S352における重ね合わせ測定の結果がフィードバックされる。
一方、位置ずれが基準値以内に収まっている場合は、S365において、消去用マスクを用いた露光及び現像を行う。消去用マスク17では、露光領域24内の周辺領域26に対応する領域のみが露光されるので、インナーマークが消去される。
S370において、現像の結果得られる第2層レジストパターンを用いて、任意好適な従来周知の異方性ドライエッチングを行う。その結果、第2層に、第2層レジストパターンが転写されて第2層パターンを得る。
次に、S390において、第2層レジストパターンをアッシング等により除去して、第2層処理を終了する。
第2実施形態のフォトマスク及び当該フォトマスクを用いた半導体装置の製造方法によれば、第1層パターンを形成する際には、第1層パターン用のレジストパターンの重ね合わせ測定に用いられる重ね合わせマークが消去されている。第2層パターンの重ね合わせ測定の際に、第1層にインナーマークが残存していないので、第1層パターンの生成と、同一のマスクを用いて、同一の場所で露光を行っても、第2層の重ね合わせ測定を行うことが可能になる。
また、第1実施形態と同様に、3層以上の各層に、同一のデバイスパターンを形成する場合であっても、一組の積層用マスクと消去用マスクを共通に用いて、層ごとに精度良く位置決めができるので効率的である。