JP4761346B2 - 2層カーボンナノチューブ含有組成物 - Google Patents
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斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002), 229-234
(1)カーボンナノチューブの純度が90%以上であり、かつ透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であり、任意の2層カーボンナノチューブの片端から他端までにおける屈曲部間距離の平均が、50nm以上であること。
(2)レーザー波数630〜650cm −1 の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトル350cm −1 以下の領域において、195〜200cm −1 内の最大ピーク強度をA、217〜222cm −1 内の最大ピーク強度をB、195cm −1 未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立すること。
A/B>2.0
A/C>4.0
A/B>2.0
A/C>4.0
これらの関係は、本発明の組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
A/D0>1.5
この関係は、本発明の組成物が、2層カーボンナノチューブの直径約1.25nmのカーボンナノチューブ含有量が多いことを示すものである。
(MCM−41の合成)
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:アルドリッチ製)3.64gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH:アルドリッチ製)1.45gを35℃のイオン交換水28.8mlに加えた後に、ヒュームドシリカ(アルドリッチ製)2.4gを加え1時間撹拌した。20時間エージング後に、オートクレーブに移し、150℃で96時間、水熱合成した。水熱合成後に生成物をろ取、洗浄後に550℃で8時間焼成後に、800℃で1時間焼成した
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、MCM−41を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、MCM−41粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
内径32mmの石英管の中央部に配置された石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を925℃に加熱した(昇温時間60分)。925℃に到達した後、反応管内を真空引きし、10Pa以下になったことを確認後に、エタノール蒸気を100Paの圧力になるように20分間導入した。エタノール蒸気の導入を止めた後に、高純度アルゴンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給し、温度を室温まで冷却し、2層カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
図1は、得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察した写真図である。図1から明らかなように得られたカーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が2層のカーボンナノチューブがカーボンナノチューブに占める割合は80%以上であった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、そのチューブ外径が1.0〜3.0nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの外径は1.2から2.5nmを示すものが多く、外径の平均は2.2nmであった。一方、2層カーボンナノチューブの100本中、80本以上が、そのチューブ内径が0.4〜2.2nmであり、詳細には2層カーボンナノチューブの内径は0.5〜1.8nmを示すものが多く、内径の平均は1.5nmであった。また、屈曲間距離の平均は、約800nmであった。ナノチューブの末端部分の構造は、観察された2層カーボンナノチューブの90%以上が開放端であった。
上記により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)を用いて、レーザー波数630〜650cm−1で測定してG/D比を求めた結果、G/D比は、約12であり、Gバンドは分裂して観測された。また、350cm−1以下の領域において、195〜200cm−1内の最大ピーク強度をA、217〜222cm−1内の最大ピーク強度をB、195cm−1未満の最大ピーク強度をC、220〜350cm−1内の最大ピーク強度をD0としたときに、ピーク強度比は、A/B>3.5、A/C>6.0、A/D0>2.5であった。
上記のようにして得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を、空気中400℃で30分間焼成した後に、トルエン50cc(和光純薬製)に加え、40分間超音波振動を加えた。次に、イオン交換水50ccを加え、10分間、激しく攪拌した。黒色のトルエン相と灰色の水相を分液漏斗で分け、トルエン相をろ過した。トルエン相はカーボンナノチューブを主成分とし、水相はMCM−41、触媒金属を主成分とすることを、SEMおよびX線分析装置(EDX;オックスフォード社製ISIS)で確認した。トルエン相から回収されたカーボンナノチューブ組成物のEDX元素分析の結果、鉄の含有量は0.03重量%、コバルトの含有量は0.2重量%であった。
上記のようにして精製したカーボンナノチューブを含有する組成物を、X線光電子分析(島津製作所社製ESCA−1000)により元素の組成比を測定し、前述の方法により分析した結果、炭素原子/酸素原子比が30であった。
(2層カーボンナノチューブを含む組成物の電子放出特性)
実施例1で得られた2層カーボンナノチューブ含有組成物を1−プロパノールに分散し、直径10mmφのステンレス基板上にスプレー塗布した。該基板を、エミッションプロファイラ(東京カソード製)のチャンバー内に設置し、チャンバー内を10−7Paまで真空引きした。カーボンナノチューブを塗布した基板をカソードとし、アノードを対向して設置し、カソード/アノード間距離を100μmに設定した。両電極間に電圧を印加した結果、130V印加時にエミッションに起因する電流値が観察されはじめ、270V印加時に電流値が1000μA/cm2に達した。
(2層カーボンナノチューブを含む透明導電フィルム)
実施例1で得られた2層カーボンナノチューブ含有組成物10mgをイオン交換水に加え、次いでドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30mgを添加し、超音波振動を30分間加えたところ、黒色の懸濁液が得られた。これをPETフィルム(10cm2、厚み175μm)に数滴滴下し、バーコーター(No.8)で塗布した。水を乾燥させた後、光透過率(JIS−R3106準拠)と表面抵抗(JIS−K6911準拠)を測定した。上記塗布操作および物性測定を数回繰り返し、光透過率が85%以上を維持したときの表面抵抗を測定した結果、650Ω/□であった。
Claims (12)
- 下記(1)(2)を満たす2層カーボンナノチューブ含有組成物。
(1)カーボンナノチューブの純度が90%以上であり、かつ透過型電子顕微鏡で観察したときに、任意のカーボンナノチューブ100本中、2層カーボンナノチューブが50本以上であり、任意の2層カーボンナノチューブの片端から他端までにおける屈曲部間距離の平均が、50nm以上であること。
(2)レーザー波数630〜650cm −1 の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトル350cm −1 以下の領域において、195〜200cm −1 内の最大ピーク強度をA、217〜222cm −1 内の最大ピーク強度をB、195cm −1 未満の最大ピーク強度をCとしたときに以下の関係が成立すること。
A/B>2.0
A/C>4.0 - さらに下記(3)を満たす請求項1に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
(3)前記共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルにおいて、220〜350cm −1 内の最大ピーク強度をD 0 としたときに、以下の関係が成立すること。
A/D 0 >1.5 - 任意の2層カーボンナノチューブ100本中、80本以上が、そのチューブ外径が1.0〜3.0nmである請求項1または2に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 任意の2層カーボンナノチューブの100本中、80本以上が、そのチューブ内径が0.4〜2.2nmである請求項1,2または3に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 前記2層カーボンナノチューブの両端が、開放端となっている2層カーボンナノチューブを含む請求項1から4のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 元素分析による金属含有率が1重量%以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 前記共鳴ラマン散乱測定により、1500〜1650cm−1の範囲内のピークが分裂して観測される請求項1から6のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 前記共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内の最大ピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内の最大ピーク強度をDとしたとき、G/D比が10以上である請求項1から7のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- X線光電子分析による炭素原子/酸素原子比が20以上である請求項1から8のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 前記屈曲部間距離の平均が、500nm以上である請求項1から9のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物を含む電子放出材料。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の2層カーボンナノチューブ含有組成物を含み、光透過率が85%以上、かつ表面抵抗が1000Ω/□以下である透明導電フィルム。
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