JP4760315B2 - 接合方法 - Google Patents
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実際上、μTASによれば、例えば従来の反応分析システムにおいて数時間〜数十時間を要していた反応分析を、数分〜数十分間と非常に短時間で行うことができる。
マイクロリアクタを構成する2つの基材を接合するための方法としては、例えばポリジメチルシロキサンよりなる一方の基材に対してO2 プラズマ処理を行うことにより当該一方の基材の表面を活性化させて、一方の基材と他方の基材とを重ね合せて密着させる方法が利用されている。
このような問題に対して、例えば波長200nm以下の紫外線を利用した接合方法が提案されている(例えば特許文献2〜特許文献4参照)。
このような接合方法によれば、大気中で処理することができ、小型で取り扱いも容易であることなどから、今後の実用化が期待されている。
波長172nmの光を含む紫外線を、照射量が27〜180mW/cm2 ・秒となる条件で、前記一方の基材に照射する紫外線照射処理工程と、
紫外線照射処理がなされた一方の基材と他方の基材とを重ね合わせて密着させ、この状態を少なくなくとも20分以上保持する密着処理工程と
を有し、
前記密着処理工程が、前記紫外線照射処理工程が行われた後1分間以内の時間範囲内に行われることを特徴とする。
また、密着処理工程が、紫外線照射処理工程が行われた後1分間以内の時間範囲内に行われることにより、一層信頼性の高い接合状態を得ることができる。
以下、本発明について、ポリジメチルシロキサンよりなる平板状の一方の基材(以下、「PDMS基板」という。)と、ガラスよりなる平板状の他方の基材(以下、「ガラス基板」という。)とを接合する場合を例に挙げて具体的に説明する。
PDMS基板10に対する紫外線照射量、具体的には照度〔mW/cm2 〕と照射時間〔秒〕との積により示される積算光量は27〜180mW/cm2 ・秒とされる。
照度および照射時間は、積算光量が上記範囲内となるよう適宜に設定することができる。
また、PDMS基板10と接合されるガラス基板についても紫外線を照射する処理が行われるが、この処理は、ガラス基板の洗浄処理を目的とするものである。
また、他方の基材としてシリコンよりなるものを用いた場合にも、紫外線照射処理および密着処理が上記数値範囲内に設定された条件で行われることにより、実質的に同等の効果を得ることができる。
本発明の接合方法を用いたマイクロリアクタの作製方法について具体的に説明すると、PDMS基板の表面に、例えばエッチング法によって試薬注入用貫通孔を有する注入ポート、試薬排出用貫通孔を有する排出ポートおよびこれらを連通するチャネルなどの構造凹部を所定の位置に形成し、この表面全面を、常温常圧環境下の大気中において、波長172nmの紫外線を照射することによって酸化処理し、次いでこの酸化処理を施した表面を覆うようにガラス基板を密着させることにより、PDMS基板に形成された構造凹部がガラス基板によって密閉された状態のマイクロリアクタを得ることができる。
このようにして作製されたマイクロリアクタによれば、PDMS基板とガラス基板とが十分に高い接着性で接合されているので、例えば注入ポートに試薬を注入するためにポンプなどによって圧力が加えられた際に、この圧力によって接合面に隙間が生じて反応分析実行中に所望の密閉状態を保持することができなくなるなどの弊害が生じるおそれがなく、一連の反応分析を確実に行うことができる。
<実験例1>
製品名「シルガード184 SYLGARD184」(東レ・ダウコーニンング(株)製)よりなる厚みが2mmであるPDMS基板と、白板・カリガラス(ホワイトクラウン)である製品名「0200(ガラスのコード番号)」(松浪硝子工業(株)製)よりなる厚みが1mmであるガラス基板を用意し、172nm付近に強い発光を有するXeClエキシマランプを具えたエキシマ照射装置「UVS−1000SM」(ウシオ電機(株)製)を用いて、紫外線の積算光量(照度×照射時間)を下記表1に従って変化させてPDMS基板に対する紫外線照射処理を行い、紫外線照射処理後直ちにPDMS基板とガラス基板とを重ね合わせて1〜2秒間の間手で押さえつけることにより密着させ、この状態で圧力をかけることなく放置する密着時間を下記表1に従って変更した密着処理を行うことにより、合計30個の接合体を作製した。
ここに、PDMS基板に対する紫外線照度の設定は、PDMS基板の表面における波長172nmの紫外線の照度を紫外線照度測定器「UIT−150/VUV−S172」(ウシオ電機(株)製)を用いて測定し、紫外線光源とPDMS基板の表面との距離を測定結果に基づいて調整することにより、行った。
<試験方法および評価方法>
接合体を構成するPDMS基板を指でつまんで、ガラス基板から引き剥がそうとしたとき、接着面で剥がれずにPDMS基板が破れてしまった場合を接着されたもの(表1中、「○」で示す。)、接着面で剥がれた場合を未接着(表1中、「×」で示す。)であるものと評価した。表1中、接着面の一部分が未接着であった場合を「△」で示してある。
これに対して、紫外線の積算光量および密着時間の少なくとも一方が上記数値範囲内で設定されたものではない接合体については、十分な接着性を有さないものであることが確認された。
上記PDMS基板およびガラス基板を用い、PDMS基板に対する紫外線照射処理を以下に示す紫外線照射条件で行い、その後放置時間を下記表2に従って変更する共に密着時間を30分とした密着処理を行うことにより、合計5個の接合体を作製した。
<紫外線照射条件>
・PDMS基板の表面における紫外線照度;9mW/cm2
・紫外線照射時間;10秒
・紫外線の積算光量;90mW/cm2 ・秒
10A 表面
20 ガラス基板
20A 表面
Claims (1)
- ポリジメチルシロキサンよりなる一方の基材と、ガラスまたはシリコンよりなる他方の基材とを接合する方法であって、
波長172nmの光を含む紫外線を、照射量が27〜180mW/cm2 ・秒となる条件で、前記一方の基材に照射する紫外線照射処理工程と、
紫外線照射処理がなされた一方の基材と他方の基材とを重ね合わせて密着させ、この状態を少なくなくとも20分以上保持する密着処理工程と
を有し、
前記密着処理工程が、前記紫外線照射処理工程が行われた後1分間以内の時間範囲内に行われることを特徴とする接合方法。
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