JP4633297B2 - 凹凸パターン層の製造方法、およびこの方法を用いて製造される液晶ディスプレイおよびカラーフィルタ - Google Patents
凹凸パターン層の製造方法、およびこの方法を用いて製造される液晶ディスプレイおよびカラーフィルタ Download PDFInfo
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、凹凸パターン層の製造方法に関するものであり、より具体的には、(1)複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ(MVA-LCD;Multi-domain Vertical Alignment mode-LCD)に用いられる配向制御突起およびスペーサ、(2)半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層、ならびに(3)カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる着色層保護層、の製造方法に関する。
【0002】
背景技術
液晶ディスプレイは、薄型、軽量、小消費電力、フリッカーレスといった特徴から、ノートパソコンを中心にその市場が急速に拡大してきた。特に、最近になって、こうしたパソコン用ディスプレイの一環として、ノートパソコンに比べてより大型のデスクトップ用モニターの需要が発生している。また、パソコン用のみならず、従来であればCRTが主流であったテレビ向けにも液晶ディスプレイが利用されるようになってきた。
【0003】
ところで、前述のような大型の液晶ディスプレイにおいては、全画面にわたって視野角度によらない、均一な輝度やコントラスト等を確保することが特に要求される。しかしながら、従来から広く用いられている捩れ配向モード(以下TN−LCD)では、視野角度の狭さが大きな問題点となっていた。
【0004】
これに対して、近年、In Plane Switching(IPS)モード、光学補償TNモードなど、多くの改善モードが開発されてきている。その中でも、複数配向分割型垂直配向モード(以下、MVAモードともいう)が、その(1)広視野角、(2)高コントラスト、(3)高速応答、(4)忠実な色再現、(5)高精細といった優位性から、現在広く注目を集めている。このMVAモードは、電圧非印加時に全ての液晶分子が配向膜上に垂直に立った状態で整列しており、電圧印加時に液晶分子が倒れることで表示制御を行う方法である。そして、高品位な表示を実現するために、液晶分子が倒れる方向が隣接するドメイン毎に異なるように規定されており、複数配向がドメイン毎に分割された構成となっている。
【0005】
当初、このような複数配向分割、いわゆるマルチドメイン化、を実現するためにマスクラビングを複数回繰り返す手法が提案された。そして、このラビングは、液晶分子を配向させるために配向膜を形成させた後、液晶分子の配向方向を決定付けるために、ナイロン、レーヨンなどの布で擦ること(ラビング)により行われる。
しかしながら、この方法を用いた場合、ラビング工程に起因する静電気の発生、発塵などの発生による歩留まり率の低下、プロセスの複雑化による生産性の低下などの理由から、生産プロセスにおける信頼性が十分であるとは言えなかった。また、この場合、液晶層厚みを規定するスペーサが存在すると、スペーサの影になる部分はラビングされず、その部分の液晶分子の配向が乱れてしまう欠点がある。
【0006】
このような実情に鑑み、近年、特許公報第2947350号に記載されるように、液晶パネル内に配向を制御する突起(本明細書において、配向制御突起という)を設けることにより、ラビングの手法を用いることなく液晶分子の傾斜方向を規定する手法が採用されてきている。この際、配向制御突起が、電圧印加時の液晶分子の長軸がすべて45°の角度となるような、ジグザグ線のストライプ状に設けられる。すなわち、一画素内における配向方向を4分割とし、かつその分割面積が等しくなるように設計されている。また、この手法では、配向を制御する突起がカラーフィルタ側とアレイ側の双方に設けてあり、セル化したときに交互に配列するように形成される。
さらに最近では、アレイ側の配向制御突起の代わりに、仮想的な配向制御突起としてITO膜にスリットを設けた構造も開発されている。
【0007】
ところで、一般に、配向制御のための突起を設けたMVAモード液晶ディスプレイにおいては、液晶層厚さを規定するスペーサとして、球状のスペーサービーズが用いられている。この場合、カラーフィルタ基板とアレイ基板とが、一定直径値からなるスペーサービーズを介して貼り合わせられることとなる。
しかしながら、スペーサービーズが存在することにより、ビーズ周辺の液晶分子の配向状態に乱れが生じる。その結果、黒表示状態でも複屈折現象が発生し光漏れが生じてコントラストが低下する一方、白表示時にディスクリネーションラインに起因する輝度の低下が発生する、といった問題点がある。また、一般にスペーサービーズは高所より重力を利用して散布されるため、その基板内における位置を特定できず、微小部分的にはその密度を制御するのが困難であるとともに、セル化後においてもビーズ位置の若干の移動が発生することもあり得る。
【0008】
一方、プロセス面ではクリーンルーム内で非常に微小なビーズ粒子を散布するため、飛散する等、製造プロセスにおける信頼性の点で問題があった。特にMVAモードは、従来のTNモードとは異なり、液晶の複屈折を利用した複屈折モードであるため、表示エリア全域に渡って非常に精密な液晶層厚の制御が要求されるため、スペーサビーズよりも高精度のスペーサが望まれていた。しかも、近年の液晶ディスプレイの大型化傾向から、画面全域に渡る均一な液晶層厚の実現が強く要求されている。
【0009】
そこで、近年、カラーフィルタもしくはアレイ上の特定部位に形成した突起物からなる柱状スペーサにより、そのセル間隙を規定する手法が開発されてきた。
この場合、突起を形成する手法としては、次の2つの手法が挙げられる:
▲1▼ 着色層が形成された基板上に透明電極層(ITO層)を形成し、さらにその上に紫外線硬化型のアクリル樹脂系レジストを用いて単層型の柱状スペーサを形成する手法(単層型柱タイプ)、
▲2▼ 着色層を形成するための複数色のカラーレジストを、ある一定の場所において複数回数積層することにより、積層型の柱状スペーサを形成し、さらにその上に透明電極層(ITO層)を形成する手法(積層型タイプ)。
【0010】
ここで、上記▲2▼の積層型タイプの場合には、以下のような問題点が考えられる。すなわち、i)近年、液晶ディスプレイの分野では、大型基板を用いて多面付けを行い、生産性を向上させる傾向がある。そのため、柱の位置精度に関しては非常に高度な精度が要求されている。積層型の柱の場合、複数工程の位置合わせが必要となるため、多面付けを考えた場合、精度の点で難点がある。ii)重ね合わせる着色層の順番によりその高さが変化してしまう。iii)柱高さを制御しようとする場合、それぞれの着色層のうち少なくとも1色分の厚さを変化させなければならない。この際同じ着色レジストを用いた場合、厚みの変化により、その着色層の分光値が変化してしまう。その為、所望の膜厚時に狙った分光値を得られるような、新たなレジストを開発しなければならない。iv)透明電極であるITO層が全面に渡って形成されるため、電気的短絡を防止するため対向基板に絶縁対策が必要とされる。v)柱材料には弾性率などの物性定数に最適値が存在する。積層型の柱においては各層は異なる着色材を含有するため、形成した柱の弾性率等の物性値を制御することが非常に困難である。vi)通常柱が形成されるブラックマトリクスは、液晶ディスプレイの高精細化に伴い年々細線化される方向にある。そのため、柱の占有面積を微細パターン化により減少させることが必要である。積層型においては、乗り上げるレジストの量が、柱高さの増加と共に減少してしまうので、従って2層目以降の面積、高さはともに順次大幅に減少してしまう。そのため、所望の柱高さを得る為にはある一定面積以上の最低面における占有面積が必要である。vii)前記理由によりその形状は柱先端部に向かって先細りのとがった形状となってしまう。viii)とがった形状であるとともに、各層間に界面が存在するため、パネル組み工程において柱自体の破壊が生じやすい。
【0011】
一方、アクリル系樹脂を含む紫外線硬化型フォトレジストを用いた場合には、柱状スペーサを形成する工程がさらに必要となるものの、単層で柱を形成するため、基本的に上述のような問題点が発生せず、高品位な柱を安定して形成することができる。またその他にも、既存のルーチン品に柱状スペーサを形成できる、といった利点もある。
【0012】
このような事情から、MVAモード液晶ディスプレイにおいて、配向制御突起を設け、なおかつスペーサとして単層型の柱状スペーサを用いることは極めて有益なことである。
しかしながら、柱状スペーサをスペーサとして機能させるためには配向制御突起よりも高く設定する必要があるため、上記手法においては、柱状スペーサ形成のフォトリソグラフィ工程が1工程余分に増加してしまう。このため、生産性もしくは製造コスト等に悪影響を及ぼしてしまう。
【0013】
【発明の概要】
本発明者は、今般、基板上に、互いに高さが異なる2種以上の層状パターンが組み合わされてなる凹凸パターン層の製造方法であって、所定形状のフォトマスクを用い、所定の平行移動およびその後の限定された露光量での露光を繰り返す構成とすることにより、所望の凹凸パターン層を同一材料を用いて同時に形成できることを知見した。
【0014】
そして、本発明者は、この製造方法によれば、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起および柱状スペーサの製造に適しているのは言うまでもなく、基板上に凹凸パターン層を形成する用途に幅広く適用可能であることを知見した。
したがって、本発明は、基板上に凹凸パターン層を高い生産性かつ低コストで、高い精度で製造することを課題としている。
【0015】
すなわち、本発明の製造方法は、基板上に、互いに高さが異なる2種以上の層状パターンが組み合わされてなる凹凸パターン層をフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、
(a)最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、所定の切り欠きパターンからなる複数の開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、(b)工程で露光した領域と、露光されるべき次の開口部とが部分的に重なるように、所定のスライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに複数回繰り返し、その結果、基板上に塗布されたフォトレジストに、露光回数がn回(nは2以上の整数)の部位、露光回数が(n−1)回以下の部位、および所望により全く露光されない部位、を生じさせる工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、前記露光回数に応じた膜厚を生じさせて、前記凹凸パターン層を得る工程と、
を含んでなる。
【0016】
ここで、前記ネガ型のフォトレジストが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなるのが好ましい。また、前記(b)工程における露光量が、凹凸パターン層の最大厚を形成させるために必要とされる露光量の1/nであるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量であるのが好ましい。さらに、前記凹凸パターン層の最大厚を形成させるために必要とされる露光量が、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量であるのが好ましい。また、前記凹凸パターン層が、液晶ディスプレイ、または液晶ディスプレイ用カラーフィルタもしくはアレイに用いられるものであるのが好ましい。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起および柱状スペーサをフォトリソグラフィ法により同一の材料を用いて同時に製造することができる。
したがって、本発明は、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起および柱状スペーサを高い生産性かつ低コストで、高い精度で製造することも課題としている。
【0018】
すなわち、本発明の製造方法は、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起およびスペーサをフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、
(a)最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、配向制御突起形成用の複数の第一開口部およびスペーサ形成用の複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、スペーサを形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記第二開口部を介して露光した位置に次の第二開口部が位置するが、前記第一開口部を介して露光した位置に次の第一開口部が位置しないように、所定のスライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記スペーサ部分の露光量を前記配向制御突起部分の露光量のn倍とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、配向制御突起およびスペーサを形成させる工程と、
を含んでなることにより、上記課題を達成するものである。
【0019】
また、上記製造方法を用いて製造される配向制御突起およびスペーサを有する、本発明の複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイは、
各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものである。
【0020】
さらに、上記製造方法を用いて製造される配向制御突起およびスペーサを有する、本発明のカラーフィルタは、
複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタであって、
基板と、
該基板上に形成され、複数色の着色画素パターンからなる着色層と、
該着色層上に形成される電極層と、
前記電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
前記電極層および/または前記配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなり、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものである。
【0021】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層(ここで、この着色層は反射部および透過部とを有し、前記透過部の膜厚が前記反射部の膜厚の1.5〜2.5倍である)をフォトリソグラフィ法により同時に製造することができる。したがって、本発明は、半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる、着色層を保護するための保護層を高い生産性かつ低コストで、高い精度で製造することも課題としている。
【0022】
そして、この半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層の製造方法は、
(a)最表面に、色素を含んでなるネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、複数の第一開口部、および該第一開口部よりも小さいサイズを有する複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、透過部を形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記(b)工程で露光された各領域に次の第一または第二開口部が重なるが、前記第一開口部を介して既に露光した各領域に次の第一開口部が重ならないように、所定のスライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記透過部の露光量を前記反射部の露光量のn倍とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、前記透過部の膜厚が前記反射部の膜厚の1.5〜2.5倍である着色層を得る工程と、
を含んでなる。
【0023】
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる、3色の着色パターンからなる着色層を保護するためのマルチギャップ保護層(ここで、このマルチギャップ保護層は、各色に応じて、最も膜厚の大きい最大膜厚部と、最も膜厚の小さい最小膜厚部と、これらの中間の膜厚を有する中間膜厚部とを有してなる)をフォトリソグラフィ法により同時に製造することができる。したがって、本発明は、カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる、3色の着色パターンからなる着色層を保護するための保護層を高い生産性かつ低コストで、高い精度で製造することも課題としている。
【0024】
そして、このカラー表示型液晶ディスプレイに用いられるマルチギャップ保護層の製造方法は、
(a)最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、複数の第一開口部、該第一開口部より小さいサイズを有する複数の第二開口部、該第二開口部よりさらに小さいサイズを有する複数の第三開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量の1/3であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記(b)工程で露光された各領域に、当該領域に既に適用された開口部と異なる種類の、次の開口部が重なるように、前記スライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに2回繰り返し、その結果、前記保護層の各膜厚部における露光量を、最小膜厚部:中間膜厚部:最大膜厚部の比で1:2:3とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、最小膜厚部、中間膜厚部および最大膜厚部を有してなる保護層を得る工程と、
を含んでなる。
【0025】
【発明の具体的説明】
本発明の製造方法は、上述したように、基板上に、互いに高さが異なる2種以上の層状パターンが組み合わされてなる凹凸パターン層の製造方法に関するものであり、凹凸パターンを必要とする種々の用途に適用できる。特に、本発明の製造方法は、(1)MVAモード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起およびスペーサ、(2)半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層、および(3)カラー表示型液晶ディスプレイに用いられるマルチギャップ保護層に好ましく適用することができる。したがって、以下、これらの製造方法について具体的に説明する。
【0026】
(1)配向制御突起およびスペーサの製造方法
以下、本発明のMVAモード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起およびスペーサの製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法は、配向制御突起およびスペーサをフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、(a)基板の準備工程、(b)露光工程、(c)平行移動工程、(d)繰り返し工程、および(e)現像処理工程を含んでなる。
【0027】
(a)基板の準備工程
本発明の製造方法においては、まず、最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する。本発明においてフォトレジストが塗布される基板とは、i)カラーフィルタを製造する場合にあっては、支持基板と、支持基板上に形成される着色層と、着色層上に形成される電極層とを有してなる基板であり、また、ii)アレイを製造する場合にあっては、基板と、該基板上に形成される電極層とを有してなる基板である。そして、これらの基板の電極層表面にネガ型のフォトレジストが塗布されることになる。これらのカラーフィルタおよびアレイの具体的構成については後に詳述する。
【0028】
本発明において配向制御突起とは、例えば後述する図4および図11に示されるように、電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御するものである。また、本発明においてスペーサとは、例えば図4および図11に示されるように、電極層および/または配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶層の厚さを保持するためのものである。そして、これらの機能を発現させるためには、図11に示されるように、必然的にスペーサは配向制御突起よりも高く設定されることになる。
【0029】
本発明において用いるネガ型のフォトレジストは、特に限定されないが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を用いるのが配向制御突起とスペーサの高さの差分を大きく得ることができ、高さ制御をしやすい点で好ましい。
本発明においてアクリル系ネガ型レジストとは、i)少なくとも紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、ii)発生したラジカルにより開裂重合反応を起こして硬化する、その分子内にC=Cなるアクリル基を有する成分と、iii)その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基、たとえばアルカリ液による現像の場合は酸性基を持つ成分、とを含んでなる。
【0030】
これらアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)などが挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分に、スペーサーを介してアクリル基を導入したポリマー等が挙げられる。このような紫外線硬化型樹脂の好ましい例としては、カルボン酸基などの酸性基をもつアクリル系ネガ型レジストが挙げられ、形状安定性の点で、特開2000−171804号公報の実施例1に記載される感光性樹脂がより好ましく例示される。これにより、ネガ型レジストを電極層上に塗布しておき、その後紫外線を照射するという、極めて簡便な操作により効率良く配向制御突起およびスペーサを形成できるので、生産性が高いという利点がある。
【0031】
図1に、アクリル系ネガ型フォトレジストの露光量と残膜率との一般的な関係を概念的に示す。図1に示されるように、紫外線の露光量が大きくなると、現像およびポストベーク後の残膜率は一般に増加し、ある露光量以上(図2ではE以上)でほぼ一定の残膜率を示す傾向がある。この残膜率が一定となった露光量領域では、紫外線照射により十分に硬化反応が進行しており、現像を行っても膜減りはほとんど発生しない。その一方、残膜率が増加している露光量領域(図2ではE未満)では、硬化が不充分であり、現像プロセスで経時的な膜減りが発生する。
【0032】
図2に、アクリル系ネガ型フォトレジストの、各露光量における、現像時間と膜高さの関係を概念的に示す。図2から分かるように、完全硬化した露光量Eでは、現像時間が増加しても膜厚値はほぼ減少しないが、一方、不充分な照射量(E/2、E/3、E/4、および0)の場合には、その照射量が少ないほど膜減りの速度が大きくなる。
【0033】
本発明は上記特性に基づいてなされたものであり、露光量を変化させることにより、現像後の膜高さに差分が生じることを利用して、配向制御突起とスペーサを同一材料でかつ同時に形成することを可能としたものである。
【0034】
(b)露光工程
本発明の製造方法においては、(a)工程で得られたフォトレジストが塗布された基板表面に、配向制御突起形成用の複数の第一開口部およびスペーサ形成用の複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する。そして、その際の露光量を、スペーサを形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量とする。
【0035】
すなわち、本発明の製造方法においては、スペーサの高さを配向制御突起よりも高く設定する必要があるため、スペーサを形成しようとする部分(本明細書において、スペーサ部分という)に、配向制御突起を形成しようとする部分(本明細書において、配向制御突起部分という)よりも多くの露光量を付与する必要がある。その一方、図1および図2に示されるようなフォトレジスト特性によれば、露光量が一定量Eを超えた範囲においては、レジストが完全に硬化してしまうため、露光量を変化させても現像後の高さが変化せず、結果としてスペーサおよび配向制御突起の形成が困難になる。
【0036】
そこで、1回の露光量を、スペーサを形成させるために必要とされる露光量Etotalのn分の1(すなわちEtotal/n)とし、かつこのEtotal/nをネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量(図2におけるE未満)となるように設定することで、先ずは配向制御突起部分に必要量の露光量を付与し、スペーサ部分には必要量の1/nの露光量だけを付与することとした。そして、スペーサ部分には、後述する(c)および(d)工程において、さらにEtotal/nずつn回露光が施されることで、最終的にスペーサの形成に必要とされる露光量が付与されることになる。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、前記スペーサを形成させるために必要とされる露光量を、ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量とする。具体的には、図1および図2に示される露光量Eもしくはそれ以上の値とする。これにより、スペーサ部分が現像時に膜減りするのを防止しつつ、配向制御突起部分のみを現像時により経時的に膜減りさせることができる。したがって、スペーサの高さ、および配向制御突起の高さをより精密に制御することが可能となる。
【0038】
また、上記nの値は、2以上の整数であれば特に限定されるものではないが、現像時においてスペーサ部分と配向制御突起部分とで、溶解速度が有意に異なるような値に設定することが、現像時間を短縮できる点で好ましい。その一方、溶解速度の差があまりにも大きすぎると、スペーサ部分と配向制御突起部分とで高低差の誤差が大きくなる可能性がある。また、生産性の点から繰り返しの露光工程が増加するとタクトタイムの低下につながる。したがって、好ましいnの値は2もしくは3である。
【0039】
図2に示されるように、ネガ型のフォトレジストは、それぞれ固有な露光量と現像速度の関係を有している。本発明によれば、例えば、十分な露光量Eをスペーサ部分に照射した場合の、配向制御突起部分の照射量を、E/2、E/3、E/4、…となるように、適宜nの値を設定することにより、現像時の溶解速度差を最適な値に調整することが可能である。
そして、そのためには、配向制御突起部分には1回分の露光量のみ、スペーサ部分にはn回分の露光量を付与するように、フォトマスクを設計する。そして、かかるフォトマスクを、(c)平行移動工程および(d)繰り返し工程と組み合わせつつ露光を行うことで、配向制御突起部分(1回露光部分)の露光量と、スペーサ部分(n回露光部分)の露光量格差を大きくすることができる。それによって、現像時の溶解速度差を適宜調整し、最終的に(e)現像工程において、スペーサおよび配向制御突起をそれぞれ目的とする高さに形成させることができる。
【0040】
本発明の製造方法で用いるフォトマスクは、配向制御突起形成用の複数の第一開口部およびスペーサ形成用の複数の第二開口部を有するものであり、上記複数回露光操作に適した形状に設計されたものである。第一開口部は、形成しようとする配向制御突起の水平断面形状に対応して切り欠かれてなる部分であり、例えば、所定のスライド方向に所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように線状に切り欠かれてなる。また、第二開口部は、形成しようとするスペーサの水平断面形状に対応して切り欠かれてなる部分であり、例えば、スライド方向に所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる。このようなフォトマスクの好ましい態様については後述する。ここで、「所定のスライド方向」とは、次の(c)工程でフォトマスクを平行移動させる際の移動方向を意味する。
【0041】
(c)平行移動工程
本発明の製造方法においては、(b)工程の露光後に、フォトマスクを、第二開口部を介して露光した位置に次の第二開口部が位置するが、第一開口部を介して露光した位置に次の第一開口部が位置しないように、所定のスライド方向に平行移動する。すなわち、第二開口部を介して露光されたスペーサ部分には、第1回目露光時のみならず、第2回目以降の露光も行う必要があるため、平行移動により別の第二開口部を介して再度露光されるようにフォトマスクが配置される。一方、第一開口部を介して露光された配向制御突起部分には、第1回目の露光時のみで露光が基本的に完了するので、第2回目以降の露光は基本的になされないように平行移動後に別の第一開口部が配置されないようにする。
【0042】
このような平行移動操作は、例えば、フォトマスクにおける第一開口部および第二開口部を適切に設計することにより好ましく実現することができる。
【0043】
本発明の製造方法に好ましく用いることができる、第一の態様のフォトマスクは、遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように線状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と同じまたは異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1およびW2が、
W1=mW2(ただし、mは2以上の整数とする)
の関係を満たすものである。
【0044】
図3に、第一の態様のフォトマスクの一例の開口パターンを示す。図3に示されるフォトマスク10は、W1=2W2の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部12がその中心軸がスライド方向(図3における矢印方向)に垂直な、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなる。また、第二開口部14が前記ジグザグ線の屈折部を結ぶ直線上に長方形状の穴部として形成され、これらが二次元的に配列されてなる。
【0045】
そして、本発明においては、この(c)工程における平行移動の距離を上記離間距離W2と等しくする。これにより、直前の(b)工程において第二開口部が露光した位置には、離間距離W2分だけスライド方向上流側にある次の第二開口部が配置することになる。その一方、直前の(b)工程において第一開口部が露光した位置には、m回目の露光までは次の第一開口部が配置することがない。この場合には、第一開口部の離間距離W1が平行移動距離W2よりもm倍も大きいため、次の第一開口部が上記露光位置に到達しないからである。したがって、m回の露光を平行移動をさせつつ繰り返すことで、第二開口部を介して露光されるスペーサ部分には、m回の露光が行われるのに対し、第一開口部を介して露光される配向制御部分には、1回の露光のみが行われることとなる。したがって、スペーサと配向制御突起との高さ格差を生じさせることが可能となる。
【0046】
具体的には、図3のフォトマスク10を使用する場合、このフォトマスク10を介する露光の後、W2の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。これにより、図4に示されるように、着色層22およびブラックマトリクス層24を有する被露光基板20上に、均等に配向制御突起26およびスペーサ28のパターンが形成されると同時に、スペーサ28部分に配向制御突起部分26の2倍の露光量を付与することができる。
【0047】
本発明の第一の態様のフォトマスクは、上記図示例以外にも、以下に示されるような種々の形態が採用可能である。
図5に、第一の態様のフォトマスクの他の一例の開口パターンを示す。図5に示されるフォトマスク30は、W1=3W2の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部32がその中心軸がスライド方向(図5における矢印方向)に垂直な、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなる。また、第二開口部34が前記ジグザグ線の屈折部を結ぶ直線上に長方形状の穴部として形成され、これらが二次元的に配列されてなる。
そして、このフォトマスク30を介する露光の後、W2の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。さらに、W2の距離だけ平行移動し3度目の露光を行う。これにより、図6に示されるように、着色層42およびブラックマトリクス層44を有する被露光基板40上に、均等に配向制御突起46およびスペーサ48のパターンが形成されると同時に、スペーサ48部分に配向制御突起部分46の3倍の露光量を付与することができる。
【0048】
図7に、第一の態様のフォトマスクの他の一例の開口パターンを示す。図7に示されるフォトマスク50は、W1=2W2の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部52がその中心軸がスライド方向(図7における矢印方向)に垂直な、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなるとともに、この開口部が各辺の屈折部近傍の線上にスライド方向垂直方向に枝状に延出してなるウイング状開口部52aを有する。このウイング状開口部52aはディスクリネーションラインを防止するためのウイング状リブを形成させるための部分である。また、第二開口部54がウイング部52aを結ぶ直線上に長方形状の穴部として形成され、これらが二次元的に配列されてなる。ここで、図7のフォトマスク50においては、第一開口部のウイング部52aの一部を第二開口部54としても機能させる、すなわち配向制御突起上にスペーサを形成させるように構成される。
【0049】
そして、このフォトマスク50を介する露光の後、W2の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。これにより、図8に示されるように、着色層62およびブラックマトリクス層64を有する被露光基板60上に、均等に配向制御突起66(これはウイング部66aを含む)およびスペーサ68のパターンが形成されると同時に、スペーサ68部分に配向制御突起部分66の2倍の露光量を付与することができる。しかも、図8に示されるように、図7のフォトマスク50によれば、配向制御突起66のウイング66a上にスペーサ68を形成させることができる。
【0050】
本発明の製造方法に好ましく用いることができる、第二の態様のフォトマスクは、遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように線状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と同じまたは異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1およびW2が、
W2=mW1(ただし、mは2以上の整数とする)
の関係を満たし、かつ、
前記フォトマスク基板本体が、前記スライド方向に少なくとも前記離間距離W2の、前記第一開口部が存在しない領域を有するものである。
【0051】
図9にこの態様のフォトマスクの一例の概念図を示す。図9に示されるフォトマスク70は、W2=3W1の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部72がその中心軸がスライド方向(図9における矢印方向)に垂直な、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなる。また、第二開口部74が前記ジグザグ線の屈折部を結ぶ直線上に長方形状の穴部として形成され、これらが二次元的に配列されてなる。また、図9の紙面中央の第二開口部74を縦に結ぶ線よりも右側は第一開口部72が存在しない領域を構成している。
さらにまた、フォトマスク70を離間距離W2分だけスライド方向に平行移動させた場合に、第一開口部72の一部(図示例においては屈折部の一部)が、該平行移動前に第二開口部74が存在した位置と重なる位置に配置するように形成されてなる。具体的には、図9に示されるように、紙面中央の第二開口部74からスライド方向上流側(左側)にW2の距離だけ離れた位置に、第一開口部72の屈折部が位置するように構成されている。このように、図9のフォトマスク70においては、第一開口部72の屈折部の一部を第二開口部74としても機能させる、すなわち配向制御突起上にスペーサを形成させるように構成される。
【0052】
そして、本発明においては、この(c)工程における平行移動の距離を上記離間距離W2と等しくする。これにより、直前の(b)工程において第二開口部が露光した位置には、離間距離W2分だけスライド方向上流側にある次の第二開口部が配置することになる。その一方、直前の(b)工程において第一開口部が露光した位置には、第一開口部が存在しない領域が配置することができると同時に、直前の(b)工程において第一開口部が存在しない領域が配置した位置には、第一開口部が配置して露光することができる。したがって、第一開口部が存在しない領域の大きさ分(すなわちW2以上)だけフォトマスクをW2単位で平行移動させていく構成とすることで、第二開口部を介して露光されるスペーサ部分には、複数回の露光が行われるのに対し、第一開口部を介して露光される配向制御部分には、スペーサ部分よりも少ない回数(好ましくは1回)の露光が行われることとなる。したがって、スペーサと配向制御突起との高さ格差を生じさせることが可能となる。
【0053】
具体的には、図9のフォトマスク70を使用する場合、このフォトマスク70を介する露光の後、W2の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。さらに、W2の距離だけ平行移動し3度目の露光を行う。これにより、図10に示されるように、着色層82およびブラックマトリクス層84を有する被露光基板80上に、均等に配向制御突起86およびスペーサ88のパターンが形成されると同時に、スペーサ88部分に配向制御突起部分86の3倍の露光量を付与することができる。しかも、図10に示されるように、図9のフォトマスク70によれば、配向制御突起86の屈折部上にスペーサ88を形成させることができ、また、3画素当たりに1つの柱状スペーサ、もしくはそれ以上の画素当たりに1つの柱状スペーサを設けることも可能である。
【0054】
このように、本発明の好ましい態様によれば、第一開口部としての線状スリットが、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなる。
また、第二開口部としての穴状スリットが、前記スライド方向と垂直する方法においても、所定距離ごとに離間させて形成されてなるのも好ましい。これにより、スペーサを二次元的に配列させて形成させることができる。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、フォトマスクを第二開口部の前記離間距離W2分だけ前記スライド方向に平行移動させた場合に、第一開口部としての線状スリットの一部が、該平行移動前に第二開口部としての穴状スリットが存在した位置と重なる位置に配置する、あるいは、第二開口部としての穴状スリットの少なくとも一部が、該平行移動前に前記第一開口部としての線状スリットが存在した位置と重なる位置に配置するように形成されてなる。
【0055】
(d)繰り返し工程
上述したように、本発明の製造方法においては、(b)工程および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記スペーサ部分の露光量を前記配向制御突起部分の露光量のn倍とする。したがって、スペーサ部分には、スペーサを形成させるために必要とされる露光量Etotalが露光されたことになると同時に、配向制御突起部分には、スペーサを形成させるために必要とされる露光量の1/n(すなわちEtotal/n)のみが露光された状態になる。
【0056】
(e)現像処理工程
本発明の製造方法においては、(d)工程で得られた露光済の基板表面を現像液で現像処理して、配向制御突起およびスペーサを形成させる。上述したように、スペーサ部分と配向制御突起部分にはn倍の露光量格差があるため、現像処理を行うことにより、高さ格差を生じさせることができる。そして、露光量の少ない配向制御突起部分は現像時の膜減り速度が高く、露光量の多いスペーサ部分はほとんど膜減りが無いか膜減り速度が極めて遅い。したがって、この現像処理を行うことにより、スペーサを高く、配向制御突起をそれよりも低く、形成させることができる。このような現像処理液としては、フォトレジストの未露光部を溶解させることが可能な処理液であれば、特に限定されない。例えば、酸性基を持つ成分を含有するフォトレジストを使用する場合には、アルカリ水溶液を好ましく使用することができる。また、現像方法も、現像液を所定の水圧でシャワー状に吹き付ける等、公知の技術に従って行えばよく、特に限定されない。また、この現像処理後の基板は、ホットプレート等を用いて加熱乾燥して、残留水分を充分に除去するのが好ましい。
【0057】
ところで、現像時の膜減り量、すなわち現像速度は、現像液の濃度によっても変化する。本発明において露光量が少ない配向制御突起部分は、現像によってその高さをコントロールする仕組みになっている。そのため、現像速度が低い低濃度のアルカリ水溶液を用いることにより、現像時間による、その高さ制御マージンを大きく設定することが可能である。しかしながら、この場合、現像速度の低下による総現像時間の長時間化が避けられず、製造タクトタイムに悪影響を与えてしまう。このため、濃度の異なる2つの現像層を設定することにより、その現像時間を短縮し、かつ高精度な膜厚の制御する構成としてもよい。すなわち、第一現像層に、第二現像層よりも濃厚なアルカリ水溶液を用い、その後マイルドな条件の2層目で現像を行うことにより、高精度に現像量を制御することが可能となる。
【0058】
このようにして得られた配向制御突起およびスペーサが作製される。本発明の製造方法により得られる配向制御突起およびスペーサは、一つの現像工程で形成させることができるので、配向制御突起とスペーサとを界面の無い、一体的な構造物として得ることができる。このような界面の無い一体構造物としての配向制御突起およびスペーサは、セル組み時の加圧により付加荷重がかかった場合、界面が存在しないため、その部分からの破壊を抑えることができるという利点がある。
また、本発明の製造方法によれば、柱側面からの現像が進行した、柱上面の面積が柱底面の面積より大きくなる、いわゆる逆テーパーの状態、もしくは柱の中央付近の断面積が上底、下底双方の面積よりも小さくなる状態を防止することができるので、信頼性の点で優れた順テーパー構造の柱状スペーサを得ることができる。
このような配向制御突起およびスペーサを用いて、カラーフィルタあるいはアレイを製造することができる。さらに、このようなカラーフィルタおよびアレイを使用してMVAモード液晶ディスプレイを製造することができる。以下、これらについて説明する。
【0059】
MVAモード液晶ディスプレイ
図11に、本発明の製造方法を用いて製造された配向制御突起およびスペーサを有する、MVAモード液晶ディスプレイの一例の概略断面図を示す。図11に示されるように、MVAモード液晶ディスプレイ110は、透過型の液晶ディスプレイであって、着色層112と、透明電極層114と、配向制御突起116と、スペーサ118と、液晶層120と、垂直配向層121と、駆動電極層122とを少なくとも有する。
【0060】
駆動電極層122は、各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる電極層である。図12に、駆動電極層122の構成の一例を概念的に示す。図12に示される駆動電極層122は、電極が画素毎にパターニングされて画素電極140として形成されるとともに、各画素電極140がスイッチング素子である薄膜トランジスタ142(TFT;Thin Film Transistor)で制御され、かつ補助容量部144により印加された電荷が所望の時間にわたって充分保持されるように構成されている。また、図11に示されるように、駆動電極層122は基板126に支持されており、バックライトの光を透過できるように、駆動電極層122および基板126が透明になっている。
【0061】
このような透明な駆動電極層122は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、あるいはこれらの合金等の材料で構成するのが好ましく、スパッタリング、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成することができる。
また、透明基板は、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の可撓性の無い透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。なお、本発明は反射型液晶ディスプレイにも適用することができ、その場合には、駆動電極層122および基板126を不透明ないし半透明な材料で構成してもよい。
【0062】
透明電極層114は、駆動電極層122と所定間隔離間して平行に設けられ、駆動電極層122との間に電場を形成する電極層である。透明電極層114は、液晶ディスプレイに使用され得る種々の透明電極層が採用可能であり、特に限定されないが、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、あるいはこれらの合金等で構成するのが好ましい。この透明電極層114は、スパッタリング、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により好ましく形成することができる。
図示例の透明電極層114は、基板124に支持されており、光を透過できるように、基板124も透明になっている。この透明基板124は、上述した透明基板と同様の材料で構成すればよい。
【0063】
着色層112は、複数色の画素パターンからなる層であり、各画素毎に赤、青および緑から選択される1色を付与するものであり、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの着色層として知られるものと同様に構成すればよく、特に限定されない。すなわち、着色層112は、赤色画素112R、緑色画素112G、および青色画素112Bの3つの画素によって1つの絵素を構成し、この絵素が二次元的に規則的に繰り返されてなる着色画素パターンを有してなる。なお、本発明の着色層にあっては、赤、青および緑の組み合わせの代わりに、シアン、マゼンタおよびイエローからなる補色の組み合わせを採用する構成であってもよい。
この着色層112は、染料、顔料等の色素を含んでなることにより所望の色に構成されており、公知の顔料分散法、染色法、電着法により形成することができる。また、着色画素パターンもストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の種々のパターンが採用可能であり、特に限定されない。
【0064】
本発明において着色層112の設けられる位置は、液晶ディスプレイ内の一層として設けられるのであれば特に限定されない。図示例の液晶ディスプレイ110は、着色層112が透明電極層114と透明基板124との間に設けられてなるが、駆動電極層122と基板126との間に設ける構成としてもよいし、それ以外の位置に設けてもよい。
【0065】
本発明の好ましい態様によれば、着色層112は、黒色で遮光性を有するブラックマトリクス層112Kを有してなることができる。図示例のブラックマトリクス層112Kは、赤色画素112R、緑色画素112Gおよび青色画素112Bからなる着色画素パターンにおいて、各着色画素間に設けられる。これにより、コントラストが向上し、高品位の表示が得られるという利点がある。このブラックマトリクス層112Kの材質は特に限定されないが、好ましい例としては、酸化クロム、もしくは黒色樹脂等が挙げられる。なお、ブラックマトリクス層は、着色層112とは別個の層として形成してもよく、その場合には、液晶層に対して観測者側に配置してもよいし、液晶層に対して観測者と反対側(バックライト側)に配置してもよく、特に限定されない。
【0066】
配向制御突起116は、透明電極層114および駆動電極層122の両方またはいずれか一方の、液晶層120側の表面に線状に設けられる突起であって、液晶の配向方向を制御する。この配向制御突起116は、断面が斜面を有する山状に形成されており、この突起に接触する液晶分子を斜面に垂直な方向に傾斜して配向させる。このため、液晶層に電圧を印加した際に、この突起近傍の傾斜した液晶分子を起点として、各ドメイン内の液晶分子を所定の方向に配向させることが可能となる。これにより、配向制御突起の頂点を境に液晶の配向方向を、水平方向に見て180度、鉛直方向には傾斜した角度で、対称的に配向させることができる。そして、この隣接する2つのドメインを1組とし、さらにこの組み合わせを複数組み合わせて1画素を表示することで、観測者の見る角度を配向制御突起の垂直方向に変化させても、観測者は常に同じ像を見ることが可能となる。すなわち、広い視野角を確保することができる。なお、配向制御突起は、直線状(特にジグザグ線状)であるのが好ましいがこれに限定されず、点線状等であってもよい。
【0067】
この配向制御突起116は、前述した製造方法に従い、スペーサと同一の材料を用いてフォトリソグラフィ法により、スペーサと同時に形成される。また、配向制御突起116は、透明電極層114および駆動電極層122の両側に設ける構成としてもよいし、透明電極層114側にのみ、あるいは駆動電極層122側にのみ設け、他方の層を後述するスリットで構成してもよく、特に限定されない。
また、配向制御突起の高さは、スペーサより低いのであれば特に限定されないが、0.5〜2μmとするのが好ましい。
【0068】
図示例の液晶ディスプレイ110は、配向制御突起116を透明電極層114にのみ形成し、かつ、配向制御突起が形成されない駆動電極層122が、配向制御突起116との間で所定方向の電場を形成するように、線状に切り欠かれてなるスリット123を有するように構成されている。なお、上記図示例に限られず、配向制御突起116を駆動電極層122にのみ形成し、配向制御突起が形成されない透明電極層114にスリットを形成する構成とすることもできる。
いずれにしても、配向制御突起116および/またはスリット123が所定間隔毎に交互に繰り返されてなるストライプ状に形成されるのが、隣接するドメイン毎に電場の方向が対称となるように規定しやすい点で好ましい。
【0069】
本発明の好ましい態様によれば、配向制御突起116が所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなり、各ジグザグ線が互いに平行なストライプ状に形成されてなることができる。これにより、配向制御突起線の垂直方向のみならず、上下左右の全方向において完全に対称な視野角特性を得ることができる。すなわち、配向制御突起線の90度の屈折角を境に隣接した2つのドメイン間で、水平方向に180度の対称性を有している液晶分子の配向が、90度異なっている。このため、屈折角および配向制御突起線を境に4つのドメインに分割されることになり、これら4つのドメイン間で、液晶分子の長軸の配向角度が、ジグザグ線の中心軸に対し、水平方向に45度の角度で、鉛直方向には傾斜した角度で、4方向に配向する。このようにして、1つの画素を互いに対称な角度で4分割して表示することができるので、観測者は上下左右の全方向において常に同じ像を見ることが可能となる。
【0070】
ここで、スリット123が配向制御突起116の線と同形状かつ平行に形成されてなるのが好ましい。図13および図14に示されるように、配向制御突起116がジグザグ線状に形成される場合にあっては、スリット123も配向制御突起の線と同じ間隔で屈折してなるジグザグ線状に形成することが好ましい。より好ましくは、スリット123の各々が、液晶層を隔てて隣接する2本の配向制御突起線116の中央に位置するように、配向制御突起線と交互にストライプ状に設けられてなるようにする。これにより、各ドメイン毎に電圧印加時における配向性を明確に規制することができる。
【0071】
スペーサ118は、透明電極層116および駆動電極層122の間に柱状またはリブ状に配設され、この2層間を所定間隔に保持して、液晶層の厚さを規定する部材である。これにより、スペーサビーズの使用に伴う従来の問題点を解消して、生産プロセスにおける信頼性を高め、高精度に制御されたディスプレイを得ることができる。そして、前述した製造方法に従い、配向制御突起と同一の材料を用いてフォトリソグラフィ法により、配向制御突起と同時に形成される。
【0072】
本発明の好ましい態様によれば、柱状またはリブ状のスペーサ118は、配向制御突起116と重なる位置に設けられる。これにより、新たなディスクリネーションラインが発生せず、液晶ディスプレイの輝度を低減することなく、スペーサの大きさを自由自在に設定することが可能となる。このような利点は、以下のi)およびii)のような事情からもその重要性が高いことが分かるであろう。
【0073】
i)一般のMVAモード液晶ディスプレイにおいては、スペーサを画素電極の間隙部分に設けることも一案として考えられる。すなわち、この間隙部分は電界が発生しないため常に黒色表示となるとともに、それを考慮してブラックマトリックスが通常、配置される。その結果、この間隙部分において光漏れをある程度隠すことができる。
しかしながら、近年、ブラックマトリクスと画素間の間隙マージンがディスプレイの高精細化、高開口率化に伴って細くなる傾向にある。その一方、スペーサにはセルギャップを保持するために、ある程度の大きさが必要とされる。このため、スペーサがブラックマトリクスからはみ出してしまい、スペーサーの側面の液晶配向制御効果により有効表示面積部分にディスクネーションラインが発生するなどの悪影響が出るおそれがある。
【0074】
ii)また、スペーサを画素電極の電圧印加により電界が発生する、画素内の補助容量部分に設けることも一案として考えられる。しかしながら、この場合には、白表示時にディスクリネーションラインが発生してしまい、このラインが有効表示面積部分にかかってしまう可能性が有る。この場合もブラックマトリクスと同様に、開口面積を確保するために補助容量は小さくなる傾向にあることから、この場合はますますその危険性が大きくなる。
【0075】
また、配向制御突起を設けたMVAモードでは、ラビング工程が不要であり、通常TN−LCDなどで問題となる液晶層厚さ制御突起に起因するラビングされない部分、いわゆる影が原理上発生しないので、前述のごとく配置することによりそのメリットを生かすことができる。
なお、スペーサ118は、配向制御突起116と重なる位置であれば、配向制御突起から多少はみ出していてもよいし、配向制御突起よりも狭く設けてもよい。また、配向制御突起線の屈折部に設けてもよいし、屈折部以外の直線部に設けてもよく、特に限定されない。
また、スペーサおよび/または前記配向制御突起は、着色されたものであってもよいし、透明であってもよいし特に限定されない。
【0076】
本発明の好ましい態様によれば、スペーサがジグザグ線の屈折部(頂点)に一致するように設けられる。電圧印加時において、屈折部を結ぶ線上においては、2方向から倒れた液晶分子が迫り合ってしまうので、垂直に近い配向方向を有し、透光性が著しく低下する。このため、屈折部を結ぶ線の近傍は常に暗くなっており、そのような位置にスペーサを配置することで、スペーサーに起因するディスクリネーションラインは、もともと存在する配向制御突起に起因するディスクリネーションラインに統合され、見かけ上発生しない。すなわち配向制御突起上に形成することにより、液晶の配向に何ら影響を与えない。また、配向制御突起が透明な材料で形成されている場合には、配向制御突起上であっても屈折部以外にスペーサを形成すると、白表示時にスペーサが黒点として観察されてしまうおそれがあるが、屈折部上にスペーサを形成することでこのような不都合を防止できるという利点もある。
ここで、スペーサを屈折部に設ける構成としては、図13に示されるように、屈折部分の正方形を基部とし、この基部から上方に延出する構成としてもよいし、あるいは図14に示されるように、屈折部分およびその近傍からなるV字状部分を基部とし、この基部から上方に延出する構成としてもよく、特に限定されない。
【0077】
また、本発明のより好ましい態様によれば、着色層112内に、または着色層112とは別個にブラックマトリクス層112Kを有してなり、かつ、配向制御突起線の屈折部の少なくとも一部がブラックマトリクス層112Kで遮光されてなることができる。また、本発明の別の好ましい態様によれば、図12に示されるように、駆動電極層122が補助容量部144を有し、かつ、配向制御突起線の屈折部の少なくとも一部が補助容量部で遮光されてなることもできる。
【0078】
このような屈折部の遮光はブラックマトリクス層112Kおよび補助容量部144のいずれか一方により行ってもよいが、これらの両方により行われるのがさらに好ましい。この場合におけるブラックマトリクス層および補助容量部の配置関係好ましい一例を図15に示す。図15に示されるように、ジグザグ線状の配向制御突起116およびスリット123は互いに平行なストライプ状に形成されていることから、各屈折部を結ぶ線は直線となる。そして、これらの直線がブラックマトリクス層112Kおよび補助容量部144と交互に一致するように配設されている。特に、図12にも示されるように、屈折部は、通常、ブラックマトリクス層で遮光される画素電極の間隙部分146のみならず、電圧印加により電界が発生する画素電極上にも存在しうる。このため、画素電極の間隙部分に位置する屈折部をブラックマトリクス層112Kにより、画素電極内に位置する屈折部を補助容量部144によりそれぞれ遮光する構成とし、かつこれらの屈折部に一致するようにスペーサ(図示せず)を設置することにより、白表示時に黒いディスクリネーションラインが発生するのを効率的に防止して、白表示時の輝度をより多く確保することができる。
【0079】
本発明において、スペーサ118の形状は種々の形状が採用可能であると考えられ、例えば、図示例のように、スペーサ118が配向制御突起116の基部から順テーパー状に延出してなる形状が好ましく例示される。これにより、配向制御突起による配向の制御がスペーサによって阻害されるのを防止することができる。
本発明の好ましい態様によれば、スペーサにより覆われる領域が配向制御突起により覆われる領域に包含される。これにより、配向制御突起の機能をほとんど損なうことなく、配向させようとする方向に適切に液晶を配向させることができる。
【0080】
本発明の好ましい態様によれば、スペーサ118の側面が、配向制御突起116の長手方向に対して、平行な側面および垂直な側面から実質的になるものとする。スペーサ118の形状は、上記平行側面および垂直な側面から構成されていれば、図12に示されるような正方形状の水平断面を有する柱状であってもよいし、図13に示されるように略V字状の水平断面を有するリブ状であってもよいし、特に限定されない。これにより、電圧印加時におけるスペーサ近傍の液晶の配向方向を、配向制御突起近傍の液晶の配向方向とほぼ一致させることができるので、新たなディスクリネーションラインの発生を実質的に無くして、スペーサが無い場合とほぼ同等の輝度を実現することができる。
【0081】
本発明の好ましい態様によれば、スペーサの高さは1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは1〜8μm、最も好ましくは2〜7μmである。
【0082】
液晶層120は、電圧非印加時に垂直方向に配向し、かつ電圧印加時に非垂直方向に配向可能な液晶を含んでなる液晶層であり、透明電極層114および駆動電極層122の間に充填されてなる。具体的には、本発明に用いる液晶としては、負の誘電異方性を有するもの、すなわち液晶分子の長軸方向の誘電率が短軸方向の誘電率よりも小さいもの、を用いる。そして、このような液晶層120の駆動電極層側表面および透明電極層側表面には、液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層121がそれぞれ設けられる。これにより、電圧非印加時には液晶を垂直方向に配向させておくとともに、電圧印加時には配向制御突起等により制御された所定方向に傾斜して配向させることが可能となる。
このような垂直配向層121は、垂直配向性ポリイミド等の材料を用いて、例えばスクリーン印刷後、溶剤除去、焼成を行うことにより好ましく形成することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0083】
本発明の好ましい態様によれば、駆動電極層116または透明電極層114の外側にバックライト(図示せず)が設けられてなる。これにより、所望の高画質カラー画像を十分な輝度で表示することができる。ただし、本発明は、透過型液晶ディスプレイに限定されるものではなく、反射型液晶ディスプレイにも適用することが可能であるので、その場合にはバックライトは必要とされない。
【0084】
カラーフィルタ
本発明のMVAモード液晶ディスプレイは、上記各層を積層することによって作製することができるが、好ましくは、本発明の配向制御突起およびスペーサを有してなるカラーフィルタを予め作製しておき、これを対向すべきアレイと貼り合わせ、スペーサにより形成された空間に液晶を注入する構成とするのが効率良く製造できる点から好ましい。
【0085】
図11に示される液晶ディスプレイは、本発明の配向制御突起116およびスペーサ118が形成されたカラーフィルタ130と、一般的なアレイ132との間に、液晶層120を挟持させた構成となっている。すなわち、図11に示されるカラーフィルタ130は、基板124と、基板上に形成される着色層112と、着色層上に形成される電極層114と、電極層上に線状に設けられる配向制御突起116と、配向制御突起と重なる位置に柱状またはリブ状に配設されるスペーサ118とを有してなる。なお、電極層114は、駆動電極層であってもよいし、単なる透明電極層であってもよい。すなわち、本発明のカラーフィルタは、観測者側に配置されるものであってもよいし、観測者と反対側に配置されるものであってもよく、特に限定されない。これらの各層の構成は、液晶ディスプレイ110に関して上述した通りである。
【0086】
本発明の好ましい態様によれば、カラーフィルタ130の電極側表面に、液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層121が形成されてなる。これにより、カラーフィルタとアレイとの間に液晶層を充填するのみで極めて簡便に液晶層を構成することができる。
【0087】
アレイ
本発明のMVAモード液晶ディスプレイは、カラーフィルタ側に配向制御突起およびスペーサを配置する構成のみならず、アレイ側に配向制御突起およびスペーサを配置する構成としてもよい。この場合には、本発明の配向制御突起およびスペーサを有してなるアレイを予め作製しておき、これを対向すべきカラーフィルタと貼り合わせ、スペーサにより形成された空間に液晶を注入する構成とするのが効率良く製造できる点から好ましい。
【0088】
本発明に用いることができるアレイとしては、基板と、基板上に形成される電極層と、電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、配向制御突起と重なる位置に柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなるものが好ましく挙げられる。なお、電極層は、駆動電極層であってもよいし、単なる透明電極層であってもよい。すなわち、本発明のアレイは、上述した本発明のカラーフィルタ130から着色層を排したものと同等であり、観測者側に配置されるものであってもよいし、観測者と反対側に配置されるものであってもよく、特に限定されない。これらの各層の構成は、液晶ディスプレイ110に関して上述した通りである。
【0089】
作用
このようにして得られた本発明の液晶ディスプレイ110において、バックライト(図示せず)が駆動電極層122側に配置された場合、バックライトの光が基板126、駆動電極層122、および垂直配向層121を透過して、液晶層120に入射する。一方、駆動電極層122は、薄膜トランジスタ(TFT)によって各画素毎に、透明電極層114との間に所定の電圧の印加/非印加を制御されることで、所望の画素にのみ電圧を印加する。このとき、電圧が印加されないドメインは液晶が垂直方向に配向しているので光が透過しない一方、電圧が印加されたドメインは液晶が配向制御突起により規制された方向(非垂直方向)に配向することで光が透過する。この透過された光は、垂直配向層121、透明電極層114、着色層112の赤112R、緑112Gおよび青112Bの各区画、および透明基板126を透過して、観測者の視覚により着色光として感知される。このような制御を全ての画素について行うことで、所望のカラー画像が出力されることとなる。
【0090】
(2)半透過半反射型液晶ディスプレイ用着色層の製造方法
近年、外部環境が暗い場合には透過型液晶ディスプレイとして、明るい場合には反射型液晶ディスプレイとして使用できる半透過半反射型液晶ディスプレイがが開発されてきている。この半透過半反射型液晶ディスプレイにおいては、反射時には外光はカラーフィルタを二回通過して着色されるが、透過使用時にはバックライトからの光が一回だけカラーフィルタを通過する構成となっている。このため、外光による反射使用時の表示色と、バックライトからの光を利用する透過表示時の表示色の濃度が異なり、反射表示時に画像が暗くなるといった欠点がある。そこで、本発明の手法を採用して、透過表示部の着色層厚を反射表示部の着色層厚よりも薄くした(理想的には2分の1)、凹凸パターンからなる着色層を得ることにより、上記欠点を解消することができる。すなわち、反射時の外光および透過時の反射光の着色層通過距離を同等程度にすることができる。
【0091】
図22に、半透過半反射型液晶ディスプレイ用着色層の概略模式図を示す。図22において(a)は上面図を、(b)は断面図をそれぞれ示す。図22に示される着色層200は、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色からなる着色パターンからなり、各画素の外周に位置する膜厚の小さい着色層反射部202(本明細書において「反射部」という)と、各画素の中心部に位置する反射部の約2倍の膜厚を有する着色層透過部204(本明細書において「透過部」という)からなる。そして、本発明の手法を採用することにより、着色層の厚い部分と薄い部分、すなわち反射部と透過部とを同時に形成できる。
【0092】
以下、本発明の好ましい態様である、半透過半反射型液晶ディスプレイ用着色層の製造方法について、具体的に説明する。
ここで、上述したように、本態様において製造しようとする着色層は、反射部と、透過部とを有しており、前記透過部の膜厚が、前記反射部の膜厚の1.5〜2.5倍、好ましくは1.8〜2.2倍、より好ましくは1.9〜2.1倍、さらに好ましくは約2倍のものである。
【0093】
本発明の製造方法は、半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層をフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、(a)基板の準備工程、(b)露光工程、(c)平行移動工程、(d)繰り返し工程、および(e)現像処理工程を含んでなる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記着色層が3色の着色パターンからなるものであり、これら3色の各色について、それぞれ前記(a)〜(e)工程を施すことにより、3色の着色パターンを得る。すなわち、各色について一回ずつのフォトリソグラフィ工程を行う。例えば、図23に示されるように、まず、一色(例えば赤(R))のレジストを基板全面に塗布し、フォトマスクを介して所望の場所にのみ露光を行う。その後現像工程を行うことにより、未露光領域229のレジストを除去して、反射部226および透過部228からなる赤色のパターンを得る。さらに加熱脱水工程を経て一色分を完成させる。さらに、この操作を残りの二色(この場合は緑(G)および青(B))についても繰り返す。これにより、後述する図26に示されるような、最終的に3色(RGB)の着色パターンからなる着色層を得る。
【0094】
(a)基板の準備工程
本発明の製造方法においては、まず、最表面に、顔料などの色素を含んでなるネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する。本発明においてフォトレジストが塗布される基板とは、カラーフィルタを製造する場合にあっては、透明な支持基板と、必要に応じて支持基板上にブラックマトリックスを有してなる基板である。そして、これらの基板上に、色素としての顔料を含んでなるネガ型のフォトレジストが、スピンコート法などの公知の手法により塗布される。
【0095】
本発明において用いるネガ型のフォトレジストは、特に限定されないが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を用いるのが透過部と反射部の高さの差分を大きく得ることができ、高さ制御をしやすい点で好ましい。また、色素としては、カラーフィルタに通常用いられる種々の顔料もしくは染料を使用することができる。
本発明におけるアクリル系ネガ型レジストは、本明細書の「(1)配向制御突起およびスペーサの製造方法」の項目において述べた通りであるので、ここでは省略する。本発明はこのアクリル系ネガ型レジストの特性に基づいてなされたものであり、露光量を変化させることにより、現像後の膜高さに差分が生じることを利用して、透過部と反射部を同一材料でかつ同時に形成することを可能としたものである。
【0096】
(b)露光工程
本発明の製造方法においては、(a)工程で得られたフォトレジストが塗布された表面に、前記反射部および透過部形成用の複数の第一開口部、および第一開口部よりも小さいサイズを有する透過部形成用の複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する。そして、その際の露光量を、透過部を形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量とする。
【0097】
すなわち、本発明の製造方法においては、透過部の高さを反射部よりも高く設定する必要があるため、透過部を形成しようとする部分に、反射部を形成しようとする部分よりも多くの露光量を付与する必要がある。その一方、図1および図2に示されるようなフォトレジスト特性によれば、露光量が一定量Eを超えた範囲においては、レジストが完全に硬化してしまうため、露光量を変化させても現像後の高さが変化せず、結果として透過部および反射部の形成が困難になる。
【0098】
そこで、1回の露光量を、透過部を形成させるために必要とされる露光量Etotalのn分の1(すなわちEtotal/n)とし、かつこのEtotal/nをネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量(図2におけるE未満)となるように設定することで、先ずは反射部に必要量の露光量を付与し、透過部には必要量の1/nの露光量だけを付与することとした。そして、透過部には、後述する(c)および(d)工程において、さらにEtotal/nずつn−1回露光が施されることで、最終的に透過部の形成に必要とされる露光量Etotalが付与されることになる。
【0099】
本発明の好ましい態様によれば、前記透過部を形成させるために必要とされる露光量を、ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量とする。具体的には、図1および図2に示される露光量Eもしくはそれ以上の値とする。これにより、透過部が現像時に膜減りするのを防止しつつ、反射部のみを現像時により経時的に膜減りさせることができる。したがって、透過部の高さ、および反射部の高さをより精密に制御することが可能となる。
【0100】
また、上記nの値は、2以上の整数であれば特に限定されるものではないが、現像時において透過部と反射部とで、溶解速度が有意に異なるような値に設定することが、現像時間を短縮できる点で好ましい。その一方、溶解速度の差があまりにも大きすぎると、透過部と反射部とで高低差の誤差が大きくなる可能性がある。また、生産性の点から繰り返しの露光工程が増加するとタクトタイムの低下につながる。したがって、好ましいnの値は2もしくは3である。
【0101】
図2に示されるように、ネガ型のフォトレジストは、それぞれ固有な露光量と現像速度の関係を有している。本発明によれば、例えば、十分な露光量Eを透過部に照射した場合の、反射部の照射量を、E/2、E/3、E/4、…となるように、適宜nの値を設定することにより、現像時の溶解速度差を最適な値に調整することが可能である。
そして、そのためには、反射部には1回分の露光量のみ、透過部にはn回分の露光量を付与するように、フォトマスクを設計する。そして、かかるフォトマスクを、(c)平行移動工程および(d)繰り返し工程と組み合わせつつ露光を行うことで、反射部(1回露光部分)の露光量と、透過部(n回露光部分)の露光量格差を大きくすることができる。それによって、現像時の溶解速度差を適宜調整し、最終的に(e)現像工程において、透過部および反射部をそれぞれ目的とする高さ、すなわち透過部を反射部の約2倍の高さに形成させることができる。
【0102】
本発明の製造方法で用いるフォトマスクは、前記反射部および透過部形成用の複数の第一開口部、および該第一開口部よりも小さいサイズを有する前記透過部形成用の複数の第二開口部を有するものであり、上記複数回露光操作に適した形状に設計されたものである。第一開口部は、例えば、所定のスライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる。また、第二開口部は、形成しようとする透過部の水平断面形状に対応して切り欠かれてなる部分であり、例えば、スライド方向に中心を所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる。このようなフォトマスクの好ましい態様については後述する。ここで、「所定のスライド方向」とは、次の(c)工程でフォトマスクを平行移動させる際の移動方向を意味する。
【0103】
(c)平行移動工程
本発明の製造方法においては、(b)工程の露光後に、フォトマスクを、(b)工程で露光された各領域に次の第一または第二開口部が重なるが、第一開口部を介して既に露光した各領域に次の第一開口部が重ならないように、所定のスライド方向に平行移動する。すなわち、第二開口部を介して露光された透過部には、第1回目露光時のみならず、第2回目以降の露光も行う必要があるため、平行移動により別の第一または第二開口部を介して再度露光されるようにフォトマスクが配置される。また同時に、第一開口部を介して露光された領域のうち透過部を形成しようとする位置についても、平行移動により第二開口部を介して再度露光されるようにする。一方、第一開口部を介して露光された反射部には、第1回目の露光時のみで露光が基本的に完了するので、第2回目以降の露光は基本的になされないように平行移動後に別の第一開口部が配置されないようにする。
【0104】
このような平行移動操作は、例えば、フォトマスクにおける第一開口部および第二開口部を適切に設計することにより好ましく実現することができる。
【0105】
本発明の製造方法に好ましく用いることができる、第三の態様のフォトマスクは、遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W2の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部から前記スライド方向に3W2離間した位置に、その中心が位置するように(好ましくは幅W2以下の)穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1および3W2が、
W1=2(3W2)
の関係を満たすものである。
【0106】
図24に、第三の態様のフォトマスクの一例の開口パターンを示す。図24に示されるフォトマスク230は、W1=2(3W2)の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部232がその中心軸がスライド方向(図24における矢印方向)に垂直な、幅W2の直線状に設けられてなる。また、第二開口部234が長方形状の穴部として形成され、これらの穴状スリットが、前記スライド方向に垂直な方向に、所定距離ごとに離間させて形成されてなる。したがって、これらの穴状スリットがスライド方向に対して垂直に一列に配列されてなり、この列が第一開口部と交互に配置されてなる。
【0107】
そして、本発明においては、この(c)工程における平行移動の距離を上記離間距離3W2と等しくする。これにより、直前の(b)工程において第二開口部が露光した位置には、離間距離3W2分だけスライド方向上流側にある次の第一または第二開口部が配置することになる。また同時に、第一開口部を介して露光された領域のうち透過部を形成しようとする位置についても、平行移動により第二開口部が配置される。その一方、直前の(b)工程において第一開口部が露光した位置には、2回目の露光までは次の第一開口部が配置することがない。この場合には、第一開口部の離間距離W1が平行移動距離3W2よりも2倍も大きいため、次の第一開口部が上記露光位置に到達しないからである。したがって、2回の露光を平行移動をさせつつ繰り返すことで、第一および第二開口部を介して露光される透過部には、2回の露光が行われるのに対し、第一開口部を介して露光される反射部には、1回の露光のみが行われることとなる。したがって、透過部と反射部との高さ格差を生じさせることが可能となる。
【0108】
具体的には、図24のフォトマスク230を使用する場合、このフォトマスク230を介する露光の後、3W2の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。これにより、図23に示されるように、被露光基板220上に、幅2W2の未露光領域229を介して均等に反射部226および透過部228のパターンが形成されると同時に、透過部228に反射部226の2倍の露光量を付与できる。なお、ここで、未露光領域229とは、後の工程において他の色の着色パターンが形成されるべき領域であってもよいし、あるいは、形成されていてもよい他の色の着色パターンが既に形成されてなる領域であってもよい。
【0109】
本発明の製造方法に好ましく用いることができる、第四の態様のフォトマスクは、遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W2の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離3W2ごとに離間させて、(好ましくは幅W2以下の)穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1および3W2が、
W1=m(3W2)(ただし、mは3以上の整数とする)
の関係を満たすものである。
【0110】
図25に、第四の態様のフォトマスクの一例の開口パターンを示す。図25に示されるフォトマスク250は、W1=3(3W2)=9W2の関係を有するフォトマスクであり、第一開口部252がその中心軸がスライド方向(図25における矢印方向)に垂直な、幅W2の直線状に設けられてなる。また、第二開口部254が長方形状の穴部として形成され、これらの穴状スリットが、スライド方向に所定距離3W2ごとに、またスライド方向に垂直な方向に所定距離ごとにそれぞれ離間させて形成されてなる。
【0111】
そして、本発明においては、この(c)工程における平行移動の距離を上記離間距離3W2と等しくする。これにより、直前の(b)工程において第二開口部が露光した位置には、離間距離3W2分だけスライド方向上流側にある次の第二開口部、もしくは次の第一開口部が配置することになる。その一方、直前の(b)工程において第一開口部が露光した位置には、m回目の露光までは次の第一開口部が配置することがない。この場合には、第一開口部の離間距離m(3W1)が平行移動距離3W2よりもm倍も大きいため、次の第一開口部が上記露光位置に到達しないからである。したがって、m回の露光を平行移動をさせつつ繰り返すことで、第二開口部を介して露光される透過部には、m回の露光が行われるのに対し、第一開口部を介して露光される反射部には、1回の露光のみが行われることとなる。したがって、透過部と反射部との高さ格差を生じさせることが可能となる。
【0112】
この第四の態様のフォトマスクについては、平行移動工程および露光回数が2回以上であることを除いて、第三の態様のフォトマスクと同様に使用することができる。すなわち、透過部に反射部のm倍(図示例では3倍)の露光量を付与することができる。
【0113】
(d)繰り返し工程
上述したように、本発明の製造方法においては、(b)工程および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記透過部の露光量を前記反射部の露光量のn倍とする。したがって、透過部には、着色層透過部を形成させるために必要とされる露光量Etotalが露光されたことになると同時に、反射部には、着色層透過部を形成させるために必要とされる露光量の1/n(すなわちEtotal/n)のみが露光された状態になる。
【0114】
(e)現像処理工程
本発明の製造方法においては、(d)工程で得られた露光済の基板表面を現像液で現像処理して、着色層透過部の膜厚が着色層反射部の膜厚の1.5〜2.5倍、好ましくは1.8〜2.2倍、より好ましくは1.9〜2.1倍、さらに好ましくは約2倍、である着色層を得る。上述したように、透過部と反射部にはn倍の露光量格差があるため、現像処理を行うことにより、上記所定倍率の高さ格差を生じさせることができる。そして、露光量の少ない反射部は現像時の膜減り速度が高く、露光量の多い透過部はほとんど膜減りが無いか膜減り速度が極めて遅い。したがって、この現像処理を行うことにより、透過部を高く、反射部をそれよりも低く、形成させることができる。このような現像処理液としては、フォトレジストの未露光部を溶解させることが可能な処理液であれば、特に限定されない。例えば、酸性基を持つ成分を含有するフォトレジストを使用する場合には、アルカリ水溶液を好ましく使用することができる。また、現像方法も、現像液を所定の水圧でシャワー状に吹き付ける等、公知の技術に従って行えばよく、特に限定されない。また、この現像処理後の基板は、ホットプレート等を用いて加熱乾燥して、残留水分を充分に除去するのが好ましい。
【0115】
ところで、現像時の膜減り量、すなわち現像速度は、現像液の濃度によっても変化する。本発明において露光量が少ない反射部は、現像によってその高さをコントロールする仕組みになっている。そのため、現像速度が低い低濃度のアルカリ水溶液を用いることにより、現像時間による、その高さ制御マージンを大きく設定することが可能である。しかしながら、この場合、現像速度の低下による総現像時間の長時間化が避けられず、製造タクトタイムに悪影響を与えてしまう。このため、濃度の異なる2つの現像層を設定することにより、その現像時間を短縮し、かつ高精度な膜厚の制御する構成としてもよい。すなわち、第一現像層に、第二現像層よりも濃厚なアルカリ水溶液を用い、その後マイルドな条件の2層目で現像を行うことにより、高精度に現像量を制御することが可能となる。
【0116】
本発明の製造方法において、所望の反射部および透過部の膜厚を本発明の手法により実現するためには、図1に示されるようなネガ型フォトレジストの露光量−残膜率曲線、または図2に示されるような各露光量における現像時間−膜高さの関係を用いて行うのが好ましい。具体的には、できるだけ着色層透過部の膜厚が着色層反射部の膜厚の2倍に近づくように、各膜厚部の露光量および露光回数、現像処理条件(主に現像時間)、必要に応じてフォトレジストの種類等、の条件を適宜選択することができる。
【0117】
このようにして着色層反射部および着色層透過部が作製される。本発明の製造方法により得られる着色層反射部および着色層透過部は、一つの現像工程で形成させることができるので、着色層反射部と着色層透過部とを界面の無い、一体的な構造物として得ることができる。
ところで、上述したように、図示例のフォトマスクを用いた上記(a)〜(e)工程により得られる着色層は、3色の着色パターンのうちの1色のみである。したがって、現像により得られる基板には、レジストが除去されてなる未露光領域229が存在する。そこで、さらに加熱脱水工程を経て一色分を完成させた後、上記(a)〜(e)工程を残りの二色(この場合は緑(G)および青(B))についても別個に繰り返すことができる。さらに、これらの工程に前後して、ブラックマトリックスを形成するのが好ましい。このようにして得られる被露光基板200は、図26に示されるように、最終的に3色(RGB)の着色パターンが形成されており、必要に応じてブラックマトリックスも備えてなる。このような着色層を用いて、カラーフィルタを製造することができる。さらに、このようなカラーフィルタを使用して液晶ディスプレイを製造することができる。
【0118】
(3)カラー表示型液晶ディスプレイ用マルチギャップ保護層
カラー表示型液晶ディスプレイ用マルチギャップ保護層とは、カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる、3色(代表的には赤(R)、緑(G)および青(B))の着色パターンからなる着色層を保護するための保護層であって、3色の各画素上の液晶層厚さが、それぞれ異なるように構成されたものである。
【0119】
このマルチギャップ保護層の機能について、以下に説明する。ここでは、電圧無印加時に暗状態となる(ノーマリーブラック)のTN液晶に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。このようにノーマリーブラックで電圧無印加時の透過率Tは、理想的には0となると考えられるが、実際にはTN液晶の旋光分散により、セルに入射した直線偏光が楕円偏光となり一部セルを通過する。この通過する光の透過率Tは、次式で表されることが知られている。
T = (1+u2)−1sin2[θ(1+u2)]1/2]
ただし、
u = πdΔn/θλ
ここで、dは液晶層の厚み、Δnは液晶の複屈折、θはTN液晶のツイスト各、λは入射光の波長をそれぞれ示す。
【0120】
この式から分かるように、光の透過率Tは、液晶層の厚みdおよび入射光の波長λを変数として含んでいる。したがって、入射光の波長λに依存して透過率Tは関数的に変化するが、それによって得られる変化曲線は、液晶層の厚さdに依存して大きく左右される。すなわち、TNモードの液晶を使用すると、電圧無印加時の暗状態であるにもかかわらず、光の漏れが生じるとともに、その漏れる光が透過率の波長依存性によって着色光として得られてしまうという問題がある。そこで、着色光の各色に応じて電圧無印加時の透過率Tが最も低くなるように、3色の各画素上の液晶層厚さをそれぞれ異なるように構成することが有効である。
【0121】
そして、そのための手法として、カラーフィルタ上のRGBの各画素の厚さを適切に制御して、マルチギャップ化する手法も考えられるが、この場合、RGBで所望の分光濃度と厚さを得るためには、用いるレジストの顔料成分と透明バインダー成分を専用に調整しなければならない。そのため、製品の分光スペックや着色層の厚さに合わせて、多くの着色レジストを製作しなければならない。一般的に、着色レジストにおいて、顔料/透明バインダーの比率が変化すると、その感度、解像度、現像性など多くのレジスト性能が大幅に変化してしまい、実際の生産ラインで使用するためには数多くの改良が必要となり、多大な労力を必要とする。
【0122】
これに対し、RGBの各レジストの種類は増加させず、該カラーフィルタ上に厚さの異なる透明な保護層を設けることも知られている。すなわち、図27に示されるように、RGB3色の着色パターンからなる着色層262を保護するための保護層において、各色に応じて、最も膜厚の大きい最大膜厚部268と、最も膜厚の小さい最小膜厚部266と、これらの中間の膜厚を有する中間膜厚部267とを設ける。これにより、液晶表示装置にカラーフィルタを組み込んだ際に、液晶層を各色に応じた適切な厚さに制御することができ、電圧無印加時の光の漏れおよび着色を防止することができる。この方法によれば、前述のような頻雑な準備をすることなく、低コストでマルチギャップカラーフィルタを提供することができる。このようなマルチギャップ保護層については、例えば、特開昭60−159830号公報に詳細に開示されている。そして、本発明者は、今般、このRGBでそれぞれ高さの異なる透明保護層を製造することに関して、上述した凹凸パターン層の製造方法が適用できることを知見した。
【0123】
以下、本発明の好ましい態様である、カラー表示型液晶ディスプレイ用マルチギャップ保護層の製造方法について、具体的に説明する。
【0124】
ここで、上述したように、本態様において製造しようとする保護層は、3色の着色パターンからなる着色層を保護するための、透明な保護層である。そして、ここでいう保護層は、上述のように、各色に応じて、最も膜厚の大きい最大膜厚部と、最も膜厚の小さい最小膜厚部と、これらの中間の膜厚を有する中間膜厚部とを有するものである。
【0125】
本発明の製造方法は、カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる、着色層を保護するための保護層をフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、(a)基板の準備工程、(b)露光工程、(c)平行移動工程、(d)繰り返し工程、および(e)現像処理工程を含んでなる。
【0126】
(a)基板の準備工程
本発明の製造方法においては、まず、最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する。本発明においてフォトレジストが塗布される基板とは、カラーフィルタを製造する場合にあっては、支持基板と、支持基板上に形成される3色の着色パターンからなる着色層とを少なくとも有してなる基板である。そして、これらの基板の表面に透明なネガ型のフォトレジストが塗布されることになる。
【0127】
本発明におけるネガ型のフォトレジストは、特に限定されないが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を用いるのが最大膜厚部、中間膜厚部および最小膜厚部の高さの差分を大きく得ることができ、高さ制御をしやすい点で好ましい。
本発明においてアクリル系ネガ型レジストとは、本明細書の「(1)配向制御突起およびスペーサの製造方法」の項目において述べた通りであるので、ここでは省略する。本発明はこのアクリル系ネガ型レジストの特性に基づいてなされたものであり、露光量を変化させることにより、現像後の膜高さに差分が生じることを利用して、最大膜厚部、中間膜厚部および最小膜厚部を同一材料でかつ同時に形成することを可能としたものである。
【0128】
(b)露光工程
本発明の製造方法においては、(a)工程で得られたフォトレジストが塗布された表面に、複数の第一開口部、該第一開口部より小さいサイズを有する複数の第二開口部、該第二開口部よりさらに小さいサイズを有する複数の第三開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する。そして、その際の露光量を、最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量の1/3であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量とする。
【0129】
すなわち、本発明の製造方法においては、最大膜厚部の高さを中間膜厚部よりも高く、かつ、中間膜厚部の高さを最小膜厚部よりも高く設定する必要があるため、大きい膜厚を得ようとする部分に、それより小さい膜厚を得ようとする部分よりも多くの露光量を付与する必要がある。その一方、図1および図2に示されるようなフォトレジスト特性によれば、露光量が一定量Eを超えた範囲においては、レジストが完全に硬化してしまうため、露光量を変化させても現像後の高さが変化せず、結果として各膜厚部の形成が困難になる。
【0130】
そこで、1回の露光量を、最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量Etotalの3分の1(すなわちEtotal/3)とし、かつこのEtotal/3をネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量(図2におけるE未満)となるように設定することで、先ずは最小膜厚部に必要量の露光量を付与し、中間および最大膜厚部には必要量の1/2、1/3の露光量だけをそれぞれ付与することとした。そして、中間膜厚部および最大膜厚部には、後述する(c)および(d)工程において、さらにEtotal/3ずつ1回露光、2回露光がそれぞれ施されることで、最終的に各膜厚部の形成に必要とされる露光量が付与されることになる。
【0131】
本発明の好ましい態様によれば、前記最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量を、ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量とする。具体的には、図1および図2に示される露光量Eもしくはそれ以上の値とする。これにより、最大膜厚部が現像時に膜減りするのを防止しつつ、最小膜厚部および中間膜厚部を現像時により経時的に膜減りさせることができる。したがって、各膜厚部の高さをより精密に制御することが可能となる。
【0132】
図2に示されるように、ネガ型のフォトレジストは、それぞれ固有な露光量と現像速度の関係を有している。本発明によれば、例えば、十分な露光量Eを最大膜厚部に照射した場合に、最小膜厚部および中間膜厚部の照射量を、それぞれE/3、2E/3とすることにより、各膜厚部における現像時の溶解速度差を最適な値に調整することが可能である。
そして、そのためには、最小膜厚部には1回分の露光量のみ、中間膜厚部には2回分の露光量、最大膜厚部には3回分の露光量を付与するように、フォトマスクを設計する。そして、かかるフォトマスクを、(c)平行移動工程および(d)繰り返し工程と組み合わせつつ露光を行うことで、最小膜厚部(1回露光部分)の露光量と、中間膜厚部(2回露光部分)と、最大膜厚部(3回露光部分)の各露光量格差を大きくすることができる。それによって、現像時の溶解速度差を適宜調整し、最終的に(e)現像工程において、3種類の膜厚部をそれぞれ目的とする高さに形成させることができる。
【0133】
本発明の製造方法で用いるフォトマスクは、複数の第一開口部、複数の第二開口部、複数の第三開口部を有するものであり、上記複数回露光操作に適した形状に設計されたものである。第一開口部は、例えば、所定のスライド方向に所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる。また、第二開口部は、例えば、所定のスライド方向に所定距離W1ごとに離間させて、第一開口部より小さいサイズを有し、かつ互いに平行になるように直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる。さらに、第三開口部は、例えば、所定のスライド方向に所定距離W1ごとに離間させて、第二開口部よりさらに小さいサイズを有し、かつ互いに平行になるように直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる。ここで、「所定のスライド方向」とは、次の(c)工程でフォトマスクを平行移動させる際の移動方向を意味する。
【0134】
(c)平行移動工程
本発明の製造方法においては、(b)工程の露光後に、フォトマスクを、(b)工程で露光された各領域に、当該領域に既に適用された開口部と異なる種類の、次の開口部が重なるように、所定のスライド方向に平行移動する。すなわち、第一開口部は三種類の開口部の中で最も大きいサイズであるため、第一開口部を介して露光される領域の一部が、平行移動によっても第二および第三開口部がいずれも配置されない領域となる。また、同様に、第二開口部は第三開口部よりも大きいサイズであるため、第二開口部を介して露光される領域の一部が、平行移動によっても第三開口部が配置されない領域となる。したがって、露光されるべき領域に、1回露光されない領域と、2回露光される領域と、3回露光される領域とが生じる。そして、1回露光領域を最小膜厚部に、2回露光領域を中間膜厚部に、3回露光領域を最大膜厚部に対応させることができる。
【0135】
このような平行移動操作は、例えば、フォトマスクにおける第一開口部、第二開口部および第三開口部を適切に設計することにより好ましく実現することができる。
【0136】
本発明の製造方法に好ましく用いることができる、第五の態様のフォトマスクは、遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅3W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅2W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部および第二開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第三開口部としての複数本の線状スリットとを有し、
隣り合う開口部同士の離間間隔がW1/9、2W1/9、または0であり、その結果、前記第一開口部、第二開口部および第三開口部のうちいずれか二種が、互いに連接して実質的に一つの開口部を形成してなるものである。
【0137】
図28に、第五の態様のフォトマスクの一例の開口パターンを示す。図28に示されるフォトマスク270は、第一開口部272がその中心軸がスライド方向(図28における矢印方向)に垂直な、幅3W1/9(=W1/3)の長方形状の線状スリットとして設けられてなる。また、第二開口部274が幅2W1/9の長方形状の線状スリットとして形成され、第三開口部275が幅W1/9の長方形状の線状スリットとして形成される。そして、第一開口部272と第二開口部274との離間距離がW1/9であり、第二開口部274と第三開口部275との離間距離が2W1/9であり、第三開口部275と第一開口部272と離間距離が0である。その結果、第一開口部272および第三開口部275が、互いに連接して実質的に一つの開口部を形成してなるものである。なお、本態様は図示例に限定されるものではなく、例えば、第一開口部および第二開口部が連接するものであってもよいし、第二開口部および第三開口部が連接するものであってもよい。
【0138】
そして、本発明においては、この(c)工程における平行移動の距離を上記第一開口部の幅3W1/9(=W1/3)等しくする。これにより、直前の(b)工程において第一開口部が露光した領域(幅3W1/9)には、離間距離3W1/9分だけスライド方向上流側にある次の第二開口部が配置するが、その際、前記露光領域(幅3W1/9)の端部から幅2W1/9分だけが露光され、残りの幅W1/9分は露光されないことになる。同様に、直前の(b)工程において第二開口部が露光した領域(幅2W1/9)には、離間距離3W1/9分だけスライド方向上流側にある次の第三開口部(幅W1/9)が配置するが、その際、前記露光領域(幅2W1/9)の端部から幅W1/9分だけが露光され、残りの幅W1/9分は露光されないことになる。このように、(b)工程で露光された各領域に、当該領域に既に適用された開口部と異なる種類の、次の開口部が重なるように、所定のスライド方向に平行移動することができる。したがって、3回の露光を平行移動をさせつつ繰り返すことで、最大膜厚部には3回の露光が行われるのに対し、中間膜厚部には2回の露光を、最小膜厚部には、1回のみを露光を行うことができる。これにより、各膜厚部の高さ格差を生じさせることが可能となる。
【0139】
具体的には、図28のフォトマスク270を使用する場合、このフォトマスク270を介する露光の後、3W1/9の距離だけスライド方向に平行移動し2度目の露光を行う。さらに、同様の平行移動を行い3度目の露光を行う。これにより、図27に示されるように、着色層262を有する被露光基板260上に、均等に最小膜厚部266、中間膜厚部267および最大膜厚部268のパターンが形成されると同時に、各膜厚部における露光量を、最小膜厚部:中間膜厚部:最大膜厚部の比で1:2:3とすることができる。
【0140】
(d)繰り返し工程
上述したように、本発明の製造方法においては、(b)工程および(c)工程をこの順序でさらに2回繰り返し、その結果、前記保護層の各膜厚部における露光量を、最小膜厚部:中間膜厚部:最大膜厚部の比で1:2:3とするとする。したがって、最大膜厚部には、最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量Etotalが露光されたことになると同時に、最小膜厚部には最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量の/3(すなわちEtotal/3)が、中間膜厚部には最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量の2/3(すなわち2Etotal/3)が、露光された状態になる。
【0141】
(e)現像処理工程
本発明の製造方法においては、(d)工程で得られた露光済の基板表面を現像液で現像処理して、最小膜厚部、中間膜厚部および最大膜厚部を有してなる保護層を得る。上述したように、各膜厚部には、最小膜厚部:中間膜厚部:最大膜厚部の比で1:2:3という露光量格差があるため、現像処理を行うことにより、上記所定比の高さ格差を生じさせることができる。そして、露光量の最も少ない最小膜厚部は現像時の膜減り速度が最も高く、露光量の最も多い最大膜厚部はほとんど膜減りが無いか膜減り速度が極めて遅い。したがって、この現像処理を行うことにより、各膜厚部を所望の膜厚に形成させることができる。このような現像処理液としては、フォトレジストの未露光部を溶解させることが可能な処理液であれば、特に限定されない。例えば、酸性基を持つ成分を含有するフォトレジストを使用する場合には、アルカリ水溶液を好ましく使用することができる。また、現像方法も、現像液を所定の水圧でシャワー状に吹き付ける等、公知の技術に従って行えばよく、特に限定されない。また、この現像処理後の基板は、ホットプレート等を用いて加熱乾燥して、残留水分を充分に除去するのが好ましい。
【0142】
ところで、現像時の膜減り量、すなわち現像速度は、現像液の濃度によっても変化する。本発明において露光量が少ない中間膜厚部および最大膜厚部は、現像によってその高さをコントロールする仕組みになっている。そのため、現像速度が低い低濃度のアルカリ水溶液を用いることにより、現像時間による、その高さ制御マージンを大きく設定することが可能である。しかしながら、この場合、現像速度の低下による総現像時間の長時間化が避けられず、製造タクトタイムに悪影響を与えてしまう。このため、濃度の異なる2つの現像層を設定することにより、その現像時間を短縮し、かつ高精度な膜厚の制御する構成としてもよい。すなわち、第一現像層に、第二現像層よりも濃厚なアルカリ水溶液を用い、その後マイルドな条件の2層目で現像を行うことにより、高精度に現像量を制御することが可能となる。
【0143】
本発明の製造方法において、最小膜厚部、中間膜厚部および最大膜厚部の各膜厚は、上述したように、適用される液晶ディスプレイにおける液晶層の厚さ、この液晶層の光透過率の波長依存性等の種々の要因を考慮して、着色層の各色において電圧無印加時(ノーマリーブラック)の透過率が最も低くなるように、設計される。そして、それにより得られた各膜厚部の最適膜厚を本発明の手法により実現するためには、図1に示されるようなネガ型フォトレジストの露光量−残膜率曲線、または図2に示されるような各露光量における現像時間−膜高さの関係を用いて行うのが好ましい。具体的には、各膜厚部の目標膜厚と、各膜厚部に付与しようとする露光量(E、2E/3、E/3)および現像時間に応じて得られるべき膜厚とができるだけ一致するように、各膜厚部の露光量および露光回数、現像処理条件(例えば現像時間)、必要に応じてフォトレジストの種類等、の条件を適宜選択する。
【0144】
このようにして各膜厚部からなる保護層が作製される。本発明の製造方法により得られる保護層は、一つの現像工程で形成させることができるので、保護層各膜厚部を界面の無い、一体的な構造物として得ることができる。
このような保護層を用いて、カラーフィルタあるいはアレイを製造することができる。さらに、このようなカラーフィルタおよびアレイを使用してカラー表示型液晶ディスプレイを製造することができる。
【0145】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0146】
実施例1:カラーフィルタおよび液晶ディスプレイの作製
(a)カラーフィルタの作製
まず、透明基板124としてガラス基板を用意した。次にこのガラス基板を適切な処理を施して清浄とした後に、スパッタリングの手法を用いてクロム酸化物層を形成した。引き続きポジ型レジストをもちいてエッチング処理を行い、ブラックマトリクス層112Kを形成した。次に、赤の紫外線硬化型レジストとしてカラーモザイクCR−2000(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製)、を、緑の紫外線硬化型レジストとしてカラーモザイクCG−2000(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製)を、青の紫外線硬化型レジストとしてカラーモザイクCB−2000(富士ハントエレクトロニクステクノロジー製)を用意した。これら3色の紫外線硬化型レジストのうちの1色を、ブラックブラックマトリクス層が形成されたガラス基板に、スピンコート法により塗布した。
【0147】
得られた基板に所望のパターンでフォトマスクを施した後、紫外線を照射して所望のパターン部を硬化させた。未硬化部分を現像処理により除去して、一定の着色画素パターン112を約2.0μmの厚さで得た。このフォトリソグラフィ法を3色分繰り返して行うことにより、ブラックマトリクス層112K上に赤、青および緑からなる着色層112を形成した。次に、スパッタリング法により厚さ2000ÅのITO膜を透明電極層114として形成した。
【0148】
そして、この透明電極層上に、配向制御突起およびスペーサを形成するためのレジストとして、アクリル系紫外線硬化型透明ネガ型レジストである、特開2000−171804号公報の実施例1に記載される下記組成の感光性樹脂をスピンコート法を用いて該基板上に塗布した:
− 共重合樹脂[固形分:26重量%、粘度500mPa・s(30℃、B型
粘度計)、酸価:120mgKOH/g、水酸基価:5mgKOH/g、重量平
均分子量:ポリスチレン換算で45,000、(メタ)アクリロイル基を17モ
ル%含有]: 45.7重量部
− ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製、SR39
9): 9.1重量部
− オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート180S70): 5.2重量部
− 2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフ
ェニル)−1−ブタノン 1.3重量部
− 2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフ
ェニル−1,2’−ピイミダゾール: 1.0重量部
− ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ノニオンHS−210、
日本油脂社製): 1.9重量部
− ジエチレングリコールジメチルエーテル: 24.8重量部
− 3−メトキシブチルアセテート: 12.9重量部。
この基板をホットプレート上で加熱して、溶剤を除去して、膜厚3.94μmの未硬化レジスト膜を得た。
【0149】
次に、図9に示されるフォトマスク(第一開口部の離間距離W1:100μm、第二開口部の離間距離W2:300μm)を用意した。このフォトマスクを未硬化レジスト膜上に配置して、100mJの露光量で露光を行った。それに続いて、フォトマスクを300μmだけ予め定められたスライド方向(図9における紙面右側方向)に平行移動させた。この露光および平行移動操作を、露光、平行移動、露光の順でさらに繰り返した。このようにして、100mJの露光を合計3回行うことにより、結果として、スペーサ部分に、配向制御突起部分の3倍の露光量を付与した。さらに、この露光済の基板を、アルカリ水溶液(0.03重量%の水酸化カリウム水溶液)を用いて、現像液シャワー圧力1.0kgf/m2で100秒間現像した。その後、ホットプレート上で、200℃で30分間加熱乾燥を行い、残留水分を除去した。こうして、90°の屈折角のジグザグ線状ストライプ(高さ1.722μm)の配向制御突起と、柱状のスペーサ(高さ:3.686μm、位置:配向制御突起の屈折部上)とを同一の材料で同時に形成し、本発明のカラーフィルタを得た。
【0150】
なお、得られたスペーサは、配向制御突起の屈折部に、スペーサの底面が配向制御突起の幅と同じサイズの正方形(1辺の長さ;10μm)であり、かつ、スペーサの側面が、配向制御突起の長手方向に対して、平行な側面と垂直な側面とから実質的になるものであった。また、スペーサが形成された基板に、JALS−688(JSR社製)をスピンコートし、200℃で1時間焼成することにより、厚さ700Åの垂直配向層121を形成できる。こうして垂直配向層121が形成された積層体も本発明のカラーフィルタとして包含される。
【0151】
(b)液晶ディスプレイの作製
まず、カラーフィルタと対向するアレイ用基板としてガラス基板126を用意する。次に、公知の技術に従い、電極を画素毎にパターニングし、かつ各画素電極を薄膜トランジスタ(TFT)で制御するように構成して駆動電極層122を形成する。得られた基板の駆動電極層側の面をエッチング処理して、ガラス基板の露出幅10μmのスリット123を形成する。ここで、スリットが配向制御突起の線と同形状かつ平行になるように形成する。こうして得られる駆動電極層122に、JALS−688(JSR社製)をスピンコートし、200℃で1時間焼成することにより、厚さ700Åの垂直配向層121を形成して、アレイ132を得る。
【0152】
次に、(a)で作製したカラーフィルタ130の配合制御突起側の面と、アレイ132のスリット側の面とを、スリットが隣接する2本の配向制御突起線の中央に位置し、かつ、スリットと配向制御突起線とが交互になるように向かい合わせて、貼り合わせる。その後、負の誘電異方性をもつ液晶MLC−6608(メルク社製)を真空注入法を用いてセル内に注入し、110℃で1時間アフターアニールして流動配向効果をキャンセルして、本発明の液晶ディスプレイを得る。
【0153】
実施例2:カラーフィルタ表面の観察
スペーサおよび配向制御突起を明確に観察できるように、着色層の形成を省略したこと以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製した。このカラーフィルタ表面のスペーサおよび配向制御突起を顕微鏡により観察した。図16および図17に観察された顕微鏡画像を示す。なお、着色層が存在する場合でも形成されるスペーサおよび配向制御突起に本質的な差異が生じないのは言うまでもない。
また、上記の顕微鏡画像におけるスペーサ付近を、電子顕微鏡によりさらに拡大して撮影した。図18に観察された電子顕微鏡画像を示す。図18によれば、スペーサ部分と配向制御突起部分にはつなぎ目が存在せず、滑らかな一体構成となっていることが分かる。すなわち、スペーサと配向制御突起とを2つの別工程に分けて形成した場合には、スペーサ−配向制御突起の界面の存在は避けられず、セル組み時の負荷荷重等により、界面からの破壊が生じる可能性がある。これに対し、本発明によれば、原理上このような界面は存在しないため、強度の点でも優れたMVA用カラーフィルタを提供することができる。
【0154】
さらに、このカラーフィルタ表面のスペーサおよび配向制御突起の形状を、触針式膜厚計(テンコール社製:αステップ)を用いて測定した。具体的には、図17に示した矢印に沿って高さプロファイルを測定した。図19に測定した高さプロファイルを示す。図19によれば、配向制御突起の高さがカラーフィルタ基板表面から1.722μmであり、スペーサ部分の高さがその約2倍の3.686μmのパターンが得られていることが分かる。また、スペーサが重ねて形成された配向制御突起と、スペーサを有しない配向制御突起とが同様の高さであることも分かる。
【0155】
実施例3:アクリル系紫外線硬化型透明ネガ型レジストの特性の評価
実施例3においては、実施例1で使用したアクリル系紫外線硬化型透明ネガ型レジストに対する紫外線照射量を変化させることにより、現像後の残膜率を変化させ、これらの相関関係を評価した。具体的には、紫外線照射量を適宜変化させて、100秒間現像を行った後のネガ型レジストの最終的な膜厚T2を測定した。そして、露光前の膜厚T1(T1=3.94μm)に対する残膜率を次の式により算出した。図20に露光量と残膜率との関係を示す。
(残膜率) = T2/T1 × 100
【0156】
図20に示される結果から次のようなことが分かる。前記レジストは300mJ(365nm)以上露光することによりその残膜率が変化しなくなる。すなわち紫外線照射による硬化反応が十分終了していることが分かる。また、さらに300mJ以上露光を行った部分は十分に硬化しているため、その後の現像のプロセスでほとんど溶解しない。その一方、300mJ以下の露光量の領域では、紫外線照射による硬化反応が完結していない。そのため、その後の現像プロセスで溶解現象、すなわち膜減り現象が発生する。この膜減り現象は経時的に増加することから、現像時間によって膜減り量を制御することが可能である。
【0157】
また、図21に現像時間と高さとの関係を示す。図21に示される結果から次のようなことが分かる。300mJ、150mJ、100mJ、75mJの露光部と未露光部(0mJ)の各露光条件における、現像後の膜の高さを測定した。図21に測定結果を示す。図21によれば、完全に硬化させた300mJの場合においては、ほぼ現像時間によらず均等な高さの膜が得られていることが分かる。したがって、スペーサ部分をレジストを完全硬化させる露光量で光硬化させることにより、現像時間によらず、均等な高さのスペーサを形成させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリル系ネガ型フォトレジストの露光量と残膜率との一般的な関係を概念的に示す図である。
【図2】アクリル系ネガ型フォトレジストの、各露光量における、現像時間と膜高さの関係を概念的に示す図である。
【図3】本発明の製造方法に用いる、第一の態様のフォトマスクの一例を示す図である。
【図4】図3のフォトマスクを用いて作製された、配向制御突起およびスペーサのパターンを示す図である。
【図5】本発明の製造方法に用いる、第一の態様のフォトマスクの他の一例を示す図である。
【図6】図5のフォトマスクを用いて作製された、配向制御突起およびスペーサのパターンを示す図である。
【図7】本発明の製造方法に用いる、第一の態様のフォトマスクの他の一例を示す図である。
【図8】図7のフォトマスクを用いて作製された、配向制御突起およびスペーサのパターンを示す図である。
【図9】本発明の製造方法に用いる、第二の態様のフォトマスクの一例を示す図である。
【図10】図9のフォトマスクを用いて作製された、配向制御突起およびスペーサのパターンを示す図である。
【図11】本発明のMVAモード液晶ディスプレイおよびカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図12】図1に示される液晶ディスプレイにおける、駆動電極層の構成を示す概念図である。
【図13】図1に示される液晶ディスプレイにおける、ジグザグ線状の配向制御突起およびスリットと、スペーサとの位置関係の一例を示す平面図である。
【図14】図1に示される液晶ディスプレイにおける、ジグザグ線状の配向制御突起およびスリットと、スペーサとの位置関係の他の一例を示す平面図である。
【図15】図1に示される液晶ディスプレイにおける、ブラックマトリクス層および補助容量部の配置関係を示す概念図である。
【図16】本発明により製造された配向制御突起およびスペーサを顕微鏡で観察した画像である。
【図17】本発明により製造された配向制御突起およびスペーサを顕微鏡で観察した別の画像である。
【図18】本発明により製造された配向制御突起およびスペーサを電子顕微鏡で拡大して観察した画像である。
【図19】本発明により製造された配向制御突起およびスペーサの表面形状を、触針式膜厚計により測定して得られた高さプロファイルである。
【図20】本発明に用いるアクリル系紫外線硬化型透明ネガ型レジストの、露光量−残膜率特性を示す図である。
【図21】本発明に用いるアクリル系紫外線硬化型透明ネガ型レジストの、現像時間−残膜高さ特性を示す図である。
【図22】本発明の製造方法により作製される、半透過半反射型液晶ディスプレイ用保護層を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。
【図23】本発明のフォトマスクを用いて作製される、一色のみからなる着色層反射部および着色層透過部のパターンの一例を示す図である。
【図24】本発明の製造方法に用いる、第三の態様のフォトマスクの他の一例を示す図である。
【図25】本発明の製造方法に用いる、第四の態様のフォトマスクの一例を示す図である。
【図26】本発明のフォトマスクを用いて作製される、三色からなる着色層反射部および着色層透過部のパターンの一例を示す図である。
【図27】本発明の製造方法により作製される、カラー表示型液晶ディスプレイ用マルチギャップ保護層の概略断面図である。
【図28】本発明の製造方法に用いる、第五の態様のフォトマスクの一例を示す図である。
【符号の説明】
10,30,50,70,230,250,270 フォトマスク
12,32,52,72,232,252,272 第一開口部
14,34,54,74,234,254,274 第二開口部
20,40,60,80,220,260 被露光基板
22,42,62,82,222,262 着色層
24,44,64,84,224 ブラックマトリクス層
26,46,66,86 配向制御突起
28,48,68,88 柱状スペーサ
110 MVAモード液晶ディスプレイ
112 着色層
112K ブラックマトリクス層
114 透明電極層
116 配向制御突起
118 スペーサ
120 液晶層
121 垂直配向層
122 駆動電極層
123 スリット
124 透明基板
126 基板
130 カラーフィルタ
132 アレイ
140 画素電極
142 薄膜トランジスタ(TFT)
144 補助容量部
146 画素電極の間隙
200 着色層
202,226 着色層反射部(反射部)
204,228 着色層透過部(透過部)
229 未露光領域
266 最小膜厚部
267 中間膜厚部
268 最大膜厚部
275 第三開口部
Claims (52)
- 複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられる配向制御突起およびスペーサをフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、
(a)最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、配向制御突起形成用の複数の第一開口部およびスペーサ形成用の複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、スペーサを形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記第二開口部を介して露光した位置に次の第二開口部が位置するが、前記第一開口部を介して露光した位置に次の第一開口部が位置しないように、所定のスライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記スペーサ部分の露光量を前記配向制御突起部分の露光量のn倍とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、配向制御突起およびスペーサを得る工程と、
を含んでなる、製造方法。 - 前記ネガ型のフォトレジストが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる、請求項1に記載の製造方法。
- 前記スペーサを形成させるために必要とされる露光量が、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記フォトマスクが、
遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように線状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と同じまたは異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1およびW2が、
W1=mW2(ただし、mは2以上の整数とする)
の関係を満たし、さらに、
前記(c)工程における平行移動の距離が前記離間距離W2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記フォトマスクが、
遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように線状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と同じまたは異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1およびW2が、
W2=mW1(ただし、mは2以上の整数とする)
の関係を満たし、かつ、
前記フォトマスク基板本体が、前記スライド方向に少なくとも前記離間距離W2の、前記第一開口部が存在しない領域とを有するものであり、さらに、
前記(c)工程における平行移動の距離が前記離間距離W2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記第一開口部としての線状スリットが、所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなる、請求項4または5に記載の製造方法。
- 前記第二開口部としての穴状スリットが、前記スライド方向と垂直する方法においても、所定距離ごとに離間させて形成されてなる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記フォトマスクを第二開口部の前記離間距離W2分だけ前記スライド方向に平行移動させた場合に、
前記第一開口部としての線状スリットの一部が、該平行移動前に前記第二開口部としての穴状スリットが存在した位置と重なる位置に配置する、あるいは、
前記第二開口部としての穴状スリットの少なくとも一部が、該平行移動前に前記第一開口部としての線状スリットが存在した位置と重なる位置に配置するように形成されてなる、請求項4〜7のいずれか一項に記載の製造方法。 - 各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサが前記配向制御突起と重なる位置に設けられてなる、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイ。 - 各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記配向制御突起が所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなり、各ジグザグ線が互いに平行なストライプ状に形成されてなる、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイ。 - 各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサが前記配向制御突起の基部から順テーパー状に延出してなる、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイ。 - 各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサの側面が、前記配向制御突起の長手方向に対して、平行な側面および垂直な側面から実質的になる、複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイ。 - 各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層と、
該駆動電極層と所定間隔離間して平行に設けられ、前記駆動電極層との間に電場を形成する透明電極層と、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に柱状またはリブ状に配設され、前記所定間隔を保持するスペーサと、
前記駆動電極層および前記透明電極層の間に充填され、負の誘電異方性を有する液晶からなる液晶層と、
前記液晶層の駆動電極層側表面および透明電極層側表面に、それぞれ設けられ、前記液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層と、
前記駆動電極層および/または前記透明電極層の前記液晶層側の表面に線状に設けられ、前記液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
複数色の着色画素パターンからなる着色層とを有してなる、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイであって、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記配向制御突起が前記駆動電極層および前記透明電極層のいずれか一方にのみ形成され、かつ、
該配向制御突起が形成されない駆動電極層または透明電極層が、前記配向制御突起との間で所定方向の電場を形成するように、線状に切り欠かれてなるスリットを有する、複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。 - 前記配向制御突起およびスペーサを形成する材料が、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなるネガ型のフォトレジストである、請求項9〜13のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイ。
- 前記スペーサが前記ジグザグ線の屈折部に設けられてなる、請求項10に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記スペーサの高さが1〜10μmである、請求項9〜15のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記スペーサの高さが2〜10μmであり、かつ配向制御突起の高さが0.5〜2μmである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記着色層内に、または前記着色層とは別個の層として、ブラックマトリクス層を有してなり、かつ、前記ジグザグ線の屈折部の少なくとも一部が前記ブラックマトリクス層で遮光されてなる、請求項10または15に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記駆動電極層が補助容量を有し、かつ、前記ジグザグ線の屈折部の少なくとも一部が前記補助容量で遮光されてなる、請求項10、15、および18のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記スリットが前記配向制御突起の線と同形状かつ平行に形成されてなる、請求項13に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記スリットの各々が、前記液晶層を隔てて隣接する2本の配向制御突起線の中央に位置するように、前記配向制御突起線と交互にストライプ状に設けられてなる、請求項20に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記駆動電極層が基板に支持されてなる、請求項9〜21のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記透明電極層が透明基板に支持されてなる、請求項9〜22のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記着色層が前記駆動電極層と前記基板との間に設けられてなる、請求項22または23に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記着色層が前記透明電極層と前記透明基板との間に設けられてなる、請求項23に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記駆動電極層または前記透明電極層の外側にバックライトが設けられてなる、請求項9〜25のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 前記配向制御突起および前記スペーサが、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により製造されたものである、請求項9〜26のいずれか一項に記載の複数配向分割型垂直モード液晶ディスプレイ。
- 複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタであって、
基板と、
該基板上に形成され、複数色の着色画素パターンからなる着色層と、
該着色層上に形成される電極層と、
前記電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
前記電極層および/または前記配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなり、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサが前記配向制御突起と重なる位置に設けられてなる、カラーフィルタ。 - 複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタであって、
基板と、
該基板上に形成され、複数色の着色画素パターンからなる着色層と、
該着色層上に形成される電極層と、
前記電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
前記電極層および/または前記配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなり、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記配向制御突起が所定間隔毎に90度屈折してなるジグザグ線状に設けられてなり、各ジグザグ線が互いに平行なストライプ状に形成されてなる、カラーフィルタ。 - 複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタであって、
基板と、
該基板上に形成され、複数色の着色画素パターンからなる着色層と、
該着色層上に形成される電極層と、
前記電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
前記電極層および/または前記配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなり、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサが前記配向制御突起の基部から順テーパー状に延出してなる、カラーフィルタ。 - 複数配向分割型垂直配向モード液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタであって、
基板と、
該基板上に形成され、複数色の着色画素パターンからなる着色層と、
該着色層上に形成される電極層と、
前記電極層上に線状に設けられ、液晶の配向方向を制御する配向制御突起と、
前記電極層および/または前記配向制御突起上に、柱状またはリブ状に配設され、液晶の厚さを保持するスペーサとを有してなり、
前記配向制御突起および前記スペーサが、同一の材料でフォトリソグラフィ法により同時に形成されたものであり、
前記スペーサの側面が、前記配向制御突起の長手方向に対して、平行な側面および垂直な側面から実質的になる、カラーフィルタ。 - 前記配向制御突起およびスペーサを形成する材料が、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなるネガ型のフォトレジストである、請求項28〜31のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記カラーフィルタの電極側の最表面に、液晶を垂直方向に配向させる垂直配向層が形成されてなる、請求項28〜32のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記電極層が各画素に対応する駆動電極が二次元的に配列されてなる駆動電極層である、請求項28〜33のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記基板が透明基板であり、かつ前記電極層が透明電極層である、請求項28〜34のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記スペーサが前記ジグザグ線の屈折部に設けられてなる、請求項29に記載のカラーフィルタ。
- 前記スペーサの高さが1〜10μmである、請求項28〜36のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記スペーサの高さが2〜10μmであり、かつ配向制御突起の高さが0.5〜2μmである、請求項28〜37のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記着色層内に、または前記着色層とは別個の層として、ブラックマトリクス層を有してなり、かつ、前記ジグザグ線の屈折部の少なくとも一部が前記ブラックマトリクス層で遮光されてなる、請求項29または36に記載のカラーフィルタ。
- 前記駆動電極層が補助容量を有し、かつ、前記ジグザグ線の屈折部の少なくとも一部が前記補助容量で遮光されてなる、請求項29、36、および39のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 前記配向制御突起および前記スペーサが、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により製造されたものである、請求項28〜40のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
- 半透過半反射型液晶ディスプレイに用いられる着色層をフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、前記着色層が反射部および透過部を有し、前記透過部の膜厚が前記反射部の膜厚の1.5〜2.5倍であり、
(a)最表面に、色素を含んでなるネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、複数の第一開口部、および該第一開口部よりも小さいサイズを有する複数の第二開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、透過部を形成させるために必要とされる露光量の1/n(nは2以上の整数)であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記(b)工程で露光された各領域に次の第一または第二開口部が重なるが、前記第一開口部を介して既に露光した各領域に次の第一開口部が重ならないように、所定のスライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに(n−1)回繰り返し、その結果、前記透過部の露光量を前記反射部の露光量のn倍とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、前記透過部の膜厚が前記反射部の膜厚の1.5〜2.5倍である着色層を得る工程と、
を含んでなる、製造方法。 - 前記ネガ型のフォトレジストが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる、請求項42に記載の製造方法。
- 前記透過部を形成させるために必要とされる露光量が、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量である、請求項42または43に記載の製造方法。
- 前記着色層が3色の着色パターンからなるものであり、これら3色の各色について、それぞれ前記(a)〜(e)工程を施すことにより、3色の着色パターンを得る、請求項42〜44のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記フォトマスクが、
遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W2の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部から前記スライド方向に3W2離間した位置に、その中心が位置するように穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1および3W2が、
W1=2(3W2)
の関係を満たし、さらに、
前記(c)工程における平行移動の距離が前記離間距離3W2である、請求項42〜45のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記フォトマスクが、
遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W2の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心を所定距離3W2ごとに離間させて、穴状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数個の穴状スリットとを有し、
前記各離間距離W1および3W2が、
W1=m(3W2)(ただし、mは3以上の整数とする)
の関係を満たし、さらに、
前記(c)工程における平行移動の距離が前記離間距離3W2である、請求項42〜45のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記第二開口部としての穴状スリットが、前記スライド方向と垂直する方法においても、所定距離ごとに離間させて形成されてなる、請求項46または47に記載の製造方法。
- カラー表示型液晶ディスプレイに用いられる、3色の着色パターンからなる着色層を保護するための保護層をフォトリソグラフィ法により同時に製造する方法であって、前記保護層が、各色に応じて、最も膜厚の大きい最大膜厚部と、最も膜厚の小さい最小膜厚部と、これらの中間の膜厚を有する中間膜厚部とを有してなり、
(a)最表面にネガ型のフォトレジストが塗布された基板を準備する工程と、
(b)該フォトレジストが塗布された表面に、複数の第一開口部、該第一開口部より小さいサイズを有する複数の第二開口部、該第二開口部よりさらに小さいサイズを有する複数の第三開口部を有するフォトマスクを介して、一定の露光量で露光する、ただし、該露光量が、最大膜厚部を形成させるために必要とされる露光量の1/3であるが、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させない程度の露光量である、工程と、
(c)該露光後に、前記フォトマスクを、前記(b)工程で露光された各領域に、当該領域に既に適用された開口部と異なる種類の、次の開口部が重なるように、前記スライド方向に平行移動する工程と、
(d)前記(b)および(c)工程をこの順序でさらに2回繰り返し、その結果、前記保護層の各膜厚部における露光量を、最小膜厚部:中間膜厚部:最大膜厚部の比で1:2:3とする工程と、
(e)前記露光済の基板表面を現像液で現像処理して、最小膜厚部、中間膜厚部および最大膜厚部を有してなる保護層を得る工程と、
を含んでなる、製造方法。 - 前記フォトマスクが、
遮光性のフォトマスク基板本体と、
該フォトマスク基板本体に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅3W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第一開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅2W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第二開口部としての複数本の線状スリットと、
前記フォトマスク基板本体の前記第一開口部および第二開口部と異なる位置に、前記スライド方向に中心軸を所定距離W1ごとに離間させて、互いに平行になるように幅W1/9の直線状もしくは長方形状に切り欠かれてなる、前記第三開口部としての複数本の線状スリットとを有し、
隣り合う開口部同士の離間間隔がW1/9、2W1/9、または0であり、その結果、前記第一開口部、第二開口部および第三開口部のうちいずれか二種が、互いに連接して実質的に一つの開口部を形成してなり、さらに、
前記(c)工程における平行移動の距離が前記離間距離3W1/9である、請求項49に記載の製造方法。 - 前記ネガ型のフォトレジストが、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる、請求項49または50に記載の製造方法。
- 前記最大膜厚層を形成させるために必要とされる露光量が、前記ネガ型フォトレジストを完全に硬化させる程度の露光量である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の製造方法。
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