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JP4604351B2 - フィルターカートリッジ - Google Patents

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JP4604351B2
JP4604351B2 JP2000607734A JP2000607734A JP4604351B2 JP 4604351 B2 JP4604351 B2 JP 4604351B2 JP 2000607734 A JP2000607734 A JP 2000607734A JP 2000607734 A JP2000607734 A JP 2000607734A JP 4604351 B2 JP4604351 B2 JP 4604351B2
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Description

技術分野
本発明は、液体濾過用フィルターカートリッジ、詳しくはメルトブローされた熱可塑性繊維(以下メルトブロー繊維と略する)からなる帯状の不織布(以下帯状メルトブロー不織布と略する)、あるいはメルトブローされた熱可塑性繊維からなる不織繊維集合体と長繊維不織繊維集合体とを少なくとも各1層ずつ積層して結合した帯状の不織布(以下帯状積層メルトブロー不織布と略する)を、有孔筒状体の周りに綾振りで筒状に巻き付けたフィルターカートリッジに関する。
背景技術
現在、流体を浄化するためのさまざまなフィルターが開発、生産されている。中でも、濾材の交換が容易であるカートリッジ型のフィルター(以下フィルターカートリッジと略す)は、工業用液体原料中の懸濁粒子の除去、ケーク濾過装置から流出したケークの除去、工業用水の浄化など産業上の幅広い分野で使用されている。
フィルターカートリッジの構造は従来からいくつかの種類が提案されている。中でも最も典型的なのは糸巻き型フィルターカートリッジである。これは濾材となる紡績糸を有孔円筒状のコアに綾状に巻き付けた後、紡績糸を毛羽立たせて作られる円筒形状のフィルターカートリッジであり、製造が容易で安価なことから古くから利用されている。それ以外には不織布積層型フィルターカートリッジがある。これは有孔円筒状のコアにカーディング不織布などの不織布を数種類、段階的に同心円状に巻回して作られる円筒形状のフィルターカートリッジであり、最近の不織布製造技術の発達により数種が実用化されている。
しかしながら、これらのフィルターカートリッジにもいくつかの欠点がある。例えば、糸巻き型フィルターカートリッジの粒子捕集方法は、紡績糸から発生する毛羽で粒子を捕集し、また、紡績糸同士の間隙に粒子をからめ取るというものであるが、手羽および間隙の大きさや形の調整が難しいため、捕集できる粒子の大きさや量に限界があるという欠点がある。また、紡績糸は短繊維から作られるため、フィルターカートリッジに流体が流れると紡績糸の構成繊維が脱落するという欠点がある。さらには、紡績糸を製造する際には、原料となる短繊維が紡績機に静電気等の原因で付着することを防ぐため、表面に微量の界面活性剤を塗布することが多い。このような界面活性剤を塗布した紡績糸から作られたフィルターカートリッジで液体を濾過した場合、液の泡立ち、TOC(全有機炭素量)、COD(化学的酸素要求量)、電気伝導度の増加など液の清浄度に悪影響を与えることがある。また、紡績糸は先述したように短繊維を紡績して作るため、短繊維の紡糸、紡績という少なくとも2段階の工程を要するため、結果として価格が高くなることがある。
また、図1に示すような、有孔筒状体の周りに広幅の不織布をそのままのり巻き状に巻き付けた構造のフィルター、いわゆる不織布積層型フィルターカートリッジは、その性能が不織布によって決まる。不織布の製造は、短繊維をカード機やエアレイド機で交絡させた後、必要に応じて熱風加熱機や加熱ロールなどで熱処理をして作る方法、あるいはメルトブロー法、スパンボンド法などの直接不織布にする方法により行なわれることが多い。しかし、カード機、エアレイド機、熱風加熱機、加熱ロール、メルトブロー機、スパンボンド機など不織布製造に使われるいずれの機械も機械幅方向で目付などの不織布物性のむらが生じることが多い。そのためにフィルターカートリッジが品質不良となったり、あるいはむらをなくすために高度な製造技術を使用すると製造コストが高くなることがある。また、不織布積層型フィルターカートリッジには1品種につき2〜6種類程度の不織布を使用する必要があり、さらにはフィルターカートリッジの品種に応じて異なる不織布を使用する必要があるため、そのことによっても製造コストが高くなることがある。
そのような従来のフィルターカートリッジの問題点を解決するため、いくつかの方法が提案されている。例えば実公平6−7767号公報には、多孔性を有するテープ状の紙に撚りを加えながら押し潰して絞り込みその直径を3mm程度に規制した濾過素材を、多孔性内筒に密接綾で巻回した形のフィルターカートリッジが提案されている。この方法には巻回の巻きピッチを多孔性内筒より外に向かうに従って大きくすることができるという特長がある。しかし、濾過素材を押し潰して絞り込む必要があり、そのため粒子の捕集は主として濾過素材の巻きピッチ間で行われるので、従来の紡績糸を使用した糸巻き型フィルターがその毛羽で粒子を捕集していたような、濾過素材そのものによる粒子捕集が期待しにくい。それにより、フィルターが表面閉塞して濾過ライフが短くなったり、あるいは通液性に劣ることがある。
別の方法として、特開平1−115423号公報には、細孔の多細穿設されたボビンに、セルロース・スパンボンド不織布を帯状体に裁断して狭孔を通し撚りを加えたひも状体を巻回させた形のフィルターが提案されている。この方法を使えば従来の針葉樹パルプを精製したα−セルロースを薄葉紙にしてそれをロール状に巻き付けたロールティッシュフィルターに比べて機械強度が高く、水による溶解やバインダの溶出がないフィルターを作ることが出来ると考えられる。しかしながら、このフィルターに利用されるセルロース・スパンボンド不織布は、紙状の形態をしているため剛性がありすぎ、従来の糸巻き型フィルターがその毛羽で粒子を捕集していたような、濾過素材そのものによる粒子捕集が期待しにくい。また、セルロース・スパンボンド不織布は紙状の形態をしているため液中で膨潤し易く、膨潤によりフィルター強度の減少、濾過精度の変化、通液性の悪化、濾過ライフの減少などさまざまな問題が生じる可能性がある。また、セルロース・スパンボンド不織布の繊維交点の接着は化学的な処理などで行われることが多いが、その接着は不十分になることが多く、濾過精度の変化の原因となったり、あるいは繊維屑の脱落の原因となることが多いため、安定した濾過性能を得ることが難しい。
別の方法として、特開平4−45810号公報には、構成繊維の10重量%以上が0.5デニール以下に分割されている複合繊維からなるスリット不織布を、多孔性芯筒上に繊維密度が0.18〜0.30(g/cm)となるように巻き付けたフィルターが提案されている。この方法を利用すると、繊度の小さい繊維によって液体中の細かな粒子を捕捉できるとされている。しかしながら、複合繊維を分割させるために高圧水などの物理的応力を使用する必要があり、高圧水加工では不織布全体にわたって均一に分割させることが難しい。均一に分割されない場合、不織布中のよく分割された箇所と分割が不十分な箇所とで捕集粒子径に差が生じるため、濾過精度が粗くなる可能性がある。また、分割する際に用いる物理的応力により不織布強度が低下することがあるため、作られたフィルターの強度が低下して使用中に変形しやすくなったり、あるいはフィルターの空隙率が変化して通液性が低下する可能性がある。更には不織布強度が小さいと、多孔性芯筒上に巻き付ける際の張力の調整が難しくなるため、微妙の空隙率の調整が難しくなることがある。さらには、易分割繊維を作るために要求される紡糸技術や製造時の運転コストの増大によりフィルターの製造コストが高くなるため、先述したような濾過性能上の課題を解決すれば製薬工業や電子工業のような高度の濾過性能が要求される分野の一部には使用できると考えられるが、プール水の濾過やメッキ工業用のメッキ液の濾過のようにフィルターが安価であることが求められる用途には使用が難しいと思われる。
前記課題を解決するために検討した結果、メルトブロー繊維からなる不織繊維集合体、またはメルトブロー繊維からなる不織繊維集合体と長繊維不織繊維集合体を、有孔筒状体に綾状に巻き付けたフィルターカートリッジにより、通液性、濾過ライフ、濾過精度の安定性等に優れた筒状フィルターカートリッジを得ることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
発明の開示
本発明は下記の構成を有する。
(1) メルトブローされた熱可塑性繊維からなる帯状の不織布を、有孔筒状体に綾状に巻き付けてなるフィルターカートリッジ。
(2) メルトブローされた熱可塑性繊維からなる不織繊維集合体と、長繊維不織繊維集合体とを少なくとも各1層ずつ積層して結合した帯状の不織布を、有孔筒状体に綾状に巻き付けてなるフィルターカートリッジ。
(3) 該メルトブローされた熱可塑性繊維が低融点樹脂と高融点樹脂からなり、それらの両樹脂の融点差が10℃以上である、混繊若しくは複合繊維である(1)若しくは(2)項に記載のフィルターカートリッジ。
(4) 該長繊維不織繊維集合体を構成する熱可塑性繊維が低融点樹脂と高融点樹脂からなり、それらの両樹脂の融点差が10℃以上である熱接着性複合繊維である(2)項に記載のフィルターカートリッジ。
(5) 該低融点樹脂が、線状低密度ポリエチレンであり、該高融点樹脂がポリプロピレンである(3)若しくは(4)項に記載のフィルターカートリッジ。
(6) 該不織布の通気度が1〜500cm/cm/secの範囲である(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
(7) 該不織布の結合が、熱エンボスロールで熱圧着されている(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
(8) 該不織布の結合が、熱風で熱接着されている(2)項に記載のフィルターカートリッジ。
(9) 該帯状の不織布に捻りが加えられた(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
(10) 該フィルターカートリッジの空隙率が65〜85%である(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
(11) 該帯状の不織布を4〜50のひだを有するひだ状物とし、有孔筒状体に綾状に巻き付けた(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
(12) 該ひだ状物のひだの少なくとも一部が非平行である(11)項に記載のフィルターカートリッジ。
(13) 該ひだ状物の空隙率が60〜95%である(11)項に記載のフィルターカートリッジ。
(14) 該帯状の不織布のスリット幅が0.5cm以上であり、スリット幅(cm)と目付(g/m)の積が200以下である(1)〜(5)項に記載のフィルターカートリッジ。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の態様を具体的に説明する。
本発明に使用されるメルトブロー繊維とは、メルトブロー法により得られる繊維のことのである。メルトブロー法とは紡糸孔より押し出された溶融した熱可塑性樹脂を、紡糸孔の周囲より吹き出される高温高速気体により捕集コンベアネット等に吹き付け、繊維ウェブを得る方法であり、例えば米国特許第3,532,800号に開示されている。
本発明に用いられる熱可塑性繊維には、溶融紡糸が可能なあらゆる熱可塑性樹脂を使用することができる。その例として、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、共重合ポリプロピレン(例えば、プロピレンを主体として、エチレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1等との二元または多元共重合体)等をはじめとするポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酸成分をテレフタル酸以外にイソフタル酸をも加えて共重合したこれらの低融点ポリエステルをはじめとするポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性樹脂が提示できる。また、乳酸系ポリエステルなどの生分解性樹脂を使用してフィルターカートリッジに生分解性を持たせるなど、機能性の樹脂を使用することもできる。また、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂などメタロセン触媒で重合できる樹脂を使用する場合、メタロセン触媒で重合した樹脂を使用すれば、不織布強度の向上、耐薬品性の向上、生産エネルギーの減少などメタロセン樹脂の特性がフィルターカートリッジに活かされるために好ましい。また、長繊維不織布の熱接着性や剛性を調整するためにこれらの樹脂をブレンドして使用しても良い。これらの中でも、フィルターカートリッジを常温の水系の液の濾過に使用する場合には耐薬品性と価格の点からポリプロピレンをはじめとするポリオレフィン系樹脂が好ましく、比較的高温の液に使用する場合にはポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、或いはシンジオタクチックポリスチレン樹脂が好ましい。
また、本発明で使用するメルトブロー繊維は、融点差が10℃以上である低融点樹脂と高融点樹脂の2成分からなるものであってもよい。もちろん、本発明の効果を妨げない範囲であれば3成分以上の樹脂からなるものであってもよい。なお、融点が存在しない樹脂の場合には流動開始温度を融点と見なす。メルトブロー繊維を2成分とする方法としては、各繊維を鞘芯型や並列型などの断面形状をもつ2成分複合繊維としてもよいし、メルトブローノズルの各孔から2成分の樹脂を交互に吐出させて混繊状態にしてもよい。これらの具体的な方法は例えば特開平7−82649号公報、特開平4−126508号公報などに開示されている。繊維接合点の熱接着が安定すると、フィルターカートリッジとして使用する場合、濾過圧力や通水量が上がった際に繊維接合点付近で捉えられた粒子が流出する可能性が小さくなり、またフィルターカートリッジの変形が小さくなり、さらには濾液中に含まれた物質によって仮に繊維が劣化した場合にも繊維が脱落する確率が小さくなるために好ましい。
この複合繊維の低融点樹脂と高融点樹脂の組み合わせは、融点差10℃以上好ましくは15℃以上あれば特に限定されるものではなく、線状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体/ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種のポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン/熱可塑性ポリエステル、共重合ポリエステル/熱可塑性ポリエステル、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステルなどをあげることができる。中でも線状低密度ポリエチレン/ポリプロピレンの組み合わせを用いると、長繊維不織布の剛性や空隙率の調整を不織布製造時の繊維交点の融着の工程で容易に調節ができるために好ましい。また、比較的高温の液に使用する場合にはエチレングリコールに対してテレフタル酸とイソフタル酸を共重合した低融点ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートの組合せも好適に用いることができる。
本発明に使用されるメルトブロー繊維の平均繊維径は、フィルターカートリッジの用途や樹脂の種類によって異なるので一概には規定しがたいが、0.5〜1000μmの範囲が望ましい。繊度が0.5μm未満の場合、本発明のフィルターカートリッジに使用することは理論的には可能だが、実際には製造が困難である。一方、繊維径が1000μmを超えると、後に不織布とした場合に繊維径や不織布の地合にむらができることがある。なお、平均繊維径が50μmを超えると隣接する繊維同士が融着することがあるが、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に問題とはならない。
また、メルトブロー繊維はかならずしも円形断面である必要はなく、異型断面形状であってもよい。その場合、微小粒子の捕集はフィルターの表面積が大きいほど多くなるため、円形断面の繊維を使う場合よりも同一の通液性で高精度のフィルターカートリッジを得ることができる。
また、メルトブロー繊維の原料樹脂にポリビニルアルコールなどの親水性樹脂を混ぜたり、あるいはプラズマ加工するなどして、メルトブロー繊維を親水化すると、水系の液に使用する場合には通液性が向上するので好ましい。
また、通常メルトブロー繊維は、捕集コンベアネット等に吹き付けられた時点で繊維自身の持つ余熱により繊維交点が弱く接合しているが、その後に適当な熱処理をして熱接合をさらに強くしてもよい。その方法としては、熱エンボスロール、熱フラットカレンダーロールのような装置を使って熱圧着する方法や熱風循環型、熱スルーエアー型、赤外線ヒーター型、上下方向熱風噴出型などの熱処理機を使う方法等をあげることができる。中でも熱スルーエアー型熱処理機を使う方法は、製造速度の向上ができ、生産性が良く、コストを安価にでき好ましい。
一方、本発明で使用する第一の不織布はメルトブロー不織布である。メルトブロー不織布は先述したように精密濾過と言う点では優れた不織布では有るが他の不織布と比べると不織布強力が弱いという欠点が有り、そのため経時変化により濾過性能が低下する(捕捉する粒子の粒径の経時変化が大である。後述する比較例4を参照)。その点においては有孔筒状体に綾状に巻き付けることにより濾過ライフは改善されている(実施例1)。単に、濾過ライフを延ばそうとする場合フィルターの空隙率を増大させることが考えられるが、そうすることによりフィルター強度が低下し、濾過精度が低下するために好ましくない。
しかし、メルトブロー不織布の特徴である濾過精度を維持したまま、更に大きな濾過圧力にも耐えるためにメルトブローされた熱可塑性繊維からなる不織繊維集合体を長繊維不織繊維集合体と積層し、両者を結合させてなる不織布(即ち、帯状積層メルトブロー不織布)という本発明で使用する第二の不織布がある。ここで言う不織繊維集合体とは、繊維交点が接着された不織布と、繊維同士が違いに絡まっている場合はあっても接着はされていない繊維集合体(ウェブ)を含めた概念である。不織布としないで不織繊維集合体としたのは帯状積層メルトブロー不織布を製造する際に、異種の不織繊維集合体を構成する繊維間での結合のみならず、同種の不織繊維集合体を構成する繊維間の結合も行なわれるため、予め不織布にしておくことは必ずしも必要ではないためである。尚、ここで結合とは好ましくは熱接着による繊維交点の結合である。
本発明に使用される長繊維不織布は、スパンボンド法などにより得られた長繊維不織布である。スパンボンド法で得られた長繊維は捕集コンベア上で分散して長繊維ウェブとなる。この長繊維にも先述したメルトブロー繊維と同様に溶融紡糸可能なあらゆる熱可塑性樹脂を使用することができ、メルトブロー繊維と同様に2成分を複合繊維あるいは混繊の形にすることができる。この樹脂はメルトブロー繊維と同じ成分にしても構わないし、異なる成分にしても構わないが、メルトブロー繊維の樹脂(メルトブロー不織布に2成分を使用する場合にはその低融点樹脂)と相溶性の高い樹脂を使用すると、後の工程でメルトブロー繊維と結合する際に繊維交点が安定して接着するために望ましい。
スパンボンド法などにより作られた長繊維不織布は図15に示すように繊維方向が機械方向に揃っているため、繊維25で構成される孔が細長くなり、最大通過粒子26が小さいものとなる。それに対して、カード法等で得られた短繊維からなる不織布の場合、図16に示すように繊維方向が一定ではないので、繊維27で構成される孔は円あるいは正方形に近い形となり、スパンボンド法などにより作られた長繊維不織布と開孔率が同じであっても、最大通過粒子径26が大きいものとなる。濾材の通水性は繊維径が同じであれば開孔率でほぼ決まるため、スパンボンド法などにより作られた長繊維不織布を使うことにより、通水性に優れたフィルターが得られるのである。この効果は接着剤など濾材の孔を塞ぐようなバインダーを使用した場合には小さくなるため、セルローススパンボンド不織布の使用は好ましくない。また、セルローススパンボンド不織布を使用すると、不織布の強度が弱くなるため、フィルターの目詰まり等の原因で濾過圧力が上がった場合には繊維で構成される孔が変形し易くなるという問題がある。
また、本発明で長繊維を使用する場合の長繊維の繊維径は、フィルターカートリッジの用途や樹脂の種類によって異なるので一概には規定しがたいが、単糸繊度0.6dtex〜100dtexの範囲が望ましい。繊度が100dtexを越えると、後に積層不織布とした場合に不織布強度が小さくなる。逆に、単糸繊度0.6dtex未満であっても本発明の使用には問題ないと考えられるが、現行のスパンボンド法で0.6dtexより小さい繊度の繊維を紡糸する場合には、生産効率が低下し、実用的でない。
また、長繊維の断面形状はかならずしも円形断面である必要はなく、異型断面形状であってもよい。
次に、本発明の帯状不織布に帯状積層メルトブロー不織布を使う場合に、メルトブローされた熱可塑性繊維からなる不織繊維集合体と、長繊維不織繊維集合体とを少なくとも各1層ずつ積層して結合する方法について説明する。
まず、積層する方法について説明する。積層する方法は特に限定されるものではなく、適当な方法でメルトブロー不織繊維集合体と長繊維不織繊維集合体とを別々の工程で製造してその後にそれらを重ね合わせても良いし、長繊維不織布あるいは長繊維ウェブの上に熱可塑性樹脂を直接メルトブローして積層させても良い。積層する組合せとしてはメルトブロー繊維/長繊維の2層、あるいは長繊維/メルトブロー繊維/長繊維の3層、あるいは異なる繊維径のメルトブロー不織布を2種使ってメルトブロー繊維/メルトブロー繊維/長繊維の3層、あるいは長繊維/メルトブロー繊維/メルトブロー繊維/長繊維の4層などを例示できるがこれらに限定されるものではない。この層数の上限は特に限定されるものではないが、層数が増えると製造コストが高くなるため、それに見合った効果が必要とされる。
次に、積層された不織布あるいはウェブを結合して積層メルトブロー不織布とする方法について説明する。結合する方法としては、熱接着あるいは化学接着などを例示できるが、耐薬品性にすぐれかつ低分子成分の流出等のない熱接着が好ましい。この熱接着をする方法としては、熱エンボスロール、熱フラットカレンダーロールのような装置を使って熱圧着する方法や熱風循環型、熱スルーエアー型、赤外線ヒーター型、上下方向熱風噴出型などの熱処理機を使う方法等を挙げることができる。中でも熱エンボスロールを使う方法は、不織布の製造速度の向上ができ、生産性が良く、コストを安価にでき好ましい。さらに、図2に示すように、熱エンボスロールを使う方法でつくられた不織布は、エンボスパターンによる強い熱圧着がある部分1と、エンボスパターンされてなく弱い熱圧着のみがある部分2とが存在する。このことにより、強い熱圧着がある部分1では多くの粒子3,4を捕集することができる。一方、弱い熱圧着のみがある部分2では粒子の一部は捕集されるが、残りの粒子は不織布を通過して次の層に移動することができるので、濾材の内部まで利用した深層濾過構造となり好ましい。この場合、エンボスパターンの面積は5〜25%とすることが望ましい。この面積を5%以上とすることにより、先述したような繊維交点の熱接合による効果を向上させることができ、25%以下とすることにより不織布の剛性を抑えることができ、あるいは粒子が不織布を通過するのを容易にすることができる。
また、メルトブロー不織布あるいは積層メルトブロー不織布の通気度は、1〜500cm/cm/秒の範囲が望ましい。通気度が1cm/cm/秒よりも小さくなると、不織布の通液性が極端に悪くなるため、製造されたフィルターカートリッジの通液性が悪くなることがある。逆に、通気度が500cm/cm/秒よりも大きいと、メルトブロー不織布を使用しなくてもスパンボンド不織布、短繊維不織布などで代用が可能となり、その方が一般には低コストであるのでメルトブロー不織布を使う意味が小さくなる。
また、メルトブロー不織布あるいは積層メルトブロー不織布の目付、すなわち不織布単位面積当たり重量は、5〜200g/mが好ましい。この値が5g/mよりも小さくなると、繊維量が少なくなるために、不織布のむらが大きくなったり、あるいは不織布の強度が低下し、あるいは先述したような繊維交点の熱接合が難しくなることがある。一方、この値が200g/mよりも大きくなると、不織布の剛性が大きくなりすぎるために、後に有孔筒状体に綾状に巻き付けることが困難になることもある。
次にこのメルトブロー不織布あるいは積層メルトブロー不織布を帯状にする。帯状にするには、紡糸幅を調節して直接帯状の不織布を作る方法も使用できるが、広い幅の不織布を帯状にスリットする方法が安価でかつ均一な製品を得られるために好ましい。この時のスリット幅は、使用する不織布の目付によっても異なるが、0.5cm以上が好ましい。この幅が5cmよりも小さくなると、スリット時に不織布が切断する恐れがあり、また、後に帯状不織布を綾状に巻き取る際の張力の調整が難しくなり、また、同じ空隙率のフィルターを作る場合には巻き取り時間が長くなり生産性が低下する。一方、スリット幅の上限は目付によって異なり、スリット幅×目付の値が200cm・g/m以下であることが好ましい。この値が200cm・g/mを越えると、不織布の剛性が強くなりすぎるために、後に有孔筒状体に綾状に巻き付けにくくなり、さらには繊維量が多くなりすぎるために密に巻き付けることが難しくなることもある。なお、紡糸幅を調節して直接帯状の不織布を作る場合にも、好ましい目付および不織布幅の範囲はスリットして帯状にする場合と同じである。
このようにして作られた帯状のメルトブロー不織布あるいは積層メルトブロー不織布(以後、帯状不織布と略する)を、後述するような方法で加工してから綾状に巻き付けても良いが、加工せずにそのまま巻き付けてもよい。この場合の製造法の一例を図3に示す。巻き取り機には通常の糸巻き型フィルターカートリッジに使われるワインダーを使用できる。供給された帯状不織布5は、綾振りをしながら動く細幅孔のトラバースガイド6を通った後、ボビン7に取り付けられた有孔筒状体8に巻き取られてフィルターカートリッジ9となる。この方法で作られたフィルターカートリッジは非常に密になるため、精度の細かいフィルターカートリッジとなる。ただし、この方法では製造条件を変更して濾過精度を調整することが難しい。
一方、この帯状不織布に捻りを加えてから巻き取ることもできる。この場合の製造法の一例を図4に示す。この場合にも巻き取り機には通常の糸巻き型フィルターカートリッジに使われるワインダーを使用できる。帯状不織布は捻りによって見かけ上太くなるため、トラバースガイド10は図3に示したのものよりも孔径の大きなものが好ましい。帯状不織布に捻りを加えると、単位長さ当たりの捻りの数、あるいは捻る強さによって不織布の見かけの空隙率を変化させることができるので、濾過精度を調整することができる。この時の捻りの数は、帯状不織布1mあたり50〜1000回の範囲が好ましい。この値が50回よりも小さくなると、捻りを加える効果がほとんど得られない。また、この値が1000回よりも多くなると、作られたフィルターカートリッジが通液性に劣るものとなるため好ましくない。
また、先述した帯状不織布を、適当な方法で集束させてから有孔筒状体に巻き付けると、さらに好ましい。その方法としては、帯状の不織布を単に小孔等を通して集束させてもよいし、帯状不織布をひだ形成ガイドで断面形状を予備成形した後に小孔等を通してひだ状物に加工してもよい。この方法を使用すると、トラバースガイドの綾振り速度とボビンの回転速度の比率を調節して、巻パターンを変更できるので、同じ種類の帯状不織布からさまざまな性能のフィルターカートリッジを作ることができる。
帯状不織布を集束させる方法として単に小孔を通す場合の製造法の一例を図5に示す。この場合にも巻き取り機には通常の糸巻き型フィルターカートリッジに使われるワインダーを使用できる。図5ではトラバースガイド11の孔を小孔にすることによって帯状不織布を集束させているが、トラバースガイド11よりも手前の糸道に小孔のガイドを設けてもかまわない。小孔の直径は、使用する帯状不織布の目付や幅にもよるが、3mm〜10mmの範囲が好ましい。この直径が3mmよりも小さくなると帯状不織布と小孔との摩擦が大きくなって巻き取り張力が高くなりすぎる。また、この値が10mmよりも大きくなると、帯状不織布の集束サイズが安定しなくなる。
次に、帯状不織布をひだ形成ガイドで断面形状を予備成形した後に小孔等を通してひだ状物に加工する場合の製造法の一例の一部切り欠き斜視図を図6に示す。この場合にも巻き取り機には通常の糸巻き型フィルターカートリッジに使われるワインダーを使用できる。この方法を採る場合、帯状不織布5はひだ形成ガイド16を通って断面形状が予備成形され、続いて小孔14を通ってひだ状物15となり、そのひだ状物15を図のAの方向に引き取り、トラバースガイドを通して有孔筒状体に巻き取るとフィルターカートリッジとなる。
次に、前記ひだ形成ガイドついて説明する。ひだ形成ガイドは通常外径3mm〜10mm程度の丸棒を加工したものの表面に不織布との摩擦を防ぐためのフッ素樹脂加工をほどこして作る。その形状の1例を図7〜8に示す。ここに挙げた例では、ひだ形成ガイド16は外部規制ガイド12と内部規制ガイド13からなる。このひだ形成ガイド16の形状は特に限定されないが、このガイドから作られるひだ状物の断面形状がひだが平行とならないように集束されたものになる形であれば好ましい。そのようにして作られたひだ状物の断面形状の1例を図9(A)(B)(C)に示すが、これらに限定されるものではない。本発明のこれらの態様において、ひだの少なくとも一部が非平行になるように集束されたひだ状物を形成させたものは、本発明の最も好ましい態様である。すなわち、図9の断面形状のようにひだの一部が非平行となっている場合には、図10(A)(B)に示すようにひだのほとんどが平行である場合に比べて、濾過圧力がひだに矢印のように垂直な方向からかかった時でもひだ状物の形状保持力が強く、本来のひだ形状としての濾過機能を保持することができる。つまり、ひだが非平行の場合はひだが平行である場合と比較してフィルターカートリッジの圧力損失を抑える能力に優れているため、ひだ状物の断面形状はひだが非平行であることは特に好ましい。なお、ガイドは必ずしも1つである必要はなく、形や大きさの異なる数個のガイドを直列に並べることによって帯状不織布の断面形状を徐々に変えていくようにすれば、ひだ状物の断面形状が場所によって一定となるために品質のむらが無くなり好ましい。
本発明において、帯状不織布をひだ状物としてから有孔筒状体に巻き付ける場合、ひだ状物の最終的なひだ数は、4〜50個、より好ましくは7〜45個である。ひだ数が4個未満では、ひだ付与による濾過面積拡大による効果に乏しい。一方、ひだ数が50個を超えると、ひだが小さくなりすぎて製造困難であり、かつ濾過機能低下への影響が生じやすくなる。
また、例えば図11に示すような櫛形のひだ形成ガイド17を用いて帯状不織布に多数のひだを付与した後、より狭い矩形孔18を通過させることでさらにひだ数が数多くなるよう変形させ、かつひだをアトランダムな非平行とすることができる。
また、先述した小孔14を通した後のひだ状物15を、熱風あるいは赤外線ヒーター等で加熱加工することにより、ひだ状物の断面形状を固定化することができる。この工程は必ずしも必要ではないが、ひだ状物の断面形状を複雑にしたり、あるいは帯状不織布として剛性が高いものを使用する場合には、断面形状が設計した形から崩れてしまうことがあるため、このような加熱加工をすることが好ましい。
次に、本発明で使用される集束された帯状不織布、あるいはひだ状物(以下、あわせて帯状不織布集束物と略する)の空隙率について説明する。まず、帯状不織布集束物の断面積は、図12に示すように、帯状不織布集束物24を内包する最小面積の卵形19(卵形とはその各内角それぞれがすべて180度以内である多角形を意味する)の面積と定義する。そして帯状不織布集束物を所定の長さ、例えば断面積の平方根の100倍の長さに切断し、次式で定義する。
(帯状不織布集束物の見かけ体積)=(帯状不織布集束物の断面積×帯状不織布集束物の切断長)
(帯状不織布集束物の真体積)=(切断した帯状不織布集束物の重量)/(帯状不織布集束物の原料の密度)
(帯状不織布集束物の空隙率)={1−(帯状不織布集束物の真体積)/(帯状不織布集束物の見かけ体積)}×100(%)
この式で定義された帯状不織布集束物の空隙率は60〜95%が好ましく、より好ましくは85〜92%である。この値を60%以上とすることにより、帯状不織布集束物が必要以上に密になることを抑え、フィルターカートリッジとして使用したときの圧力損失を十分抑えることができ、あるいは帯状不織布集束物中の粒子捕集効率をより向上させることができる。また、この値を95%以下とすることにより、後での巻き付けが容易となり、またフィルターカートリッジとして使用したときにその負荷圧力による濾材の変形をより小さくすることができる。これを調整する方法の例として、巻き取り張力の調整、ひだ形成ガイドなどのガイド形状の調整が挙げられる。
また該帯状不織布集束物を作るときに、本発明の効果を妨げない範囲で粒状活性炭やイオン交換樹脂などを混在させて加工しても良い。その場合に粒状活性炭やイオン交換樹脂などを固定するには、帯状不織布を集束あるいはひだ状物に加工する前、あるいは加工した後に適当なバインダーなどで接着しても良いし、粒状活性炭やイオン交換樹脂などを混在させた後に加熱して帯状不織布の構成繊維と熱接着しても良い。
次に、先述した方法で作られた帯状不織布集束物は、断面形状が崩れないように工夫をすれば、必ずしも連続工程にする必要はなく、一度適当なボビンに巻いておき、後にワインダーで巻き取ってもよい。
次に、帯状不織布の巻き取り方法について説明する。このワインダーのボビンに、直径約10〜40mm、長さ100〜1000mm程度の有孔筒状体を装着し、有孔筒状体の端部にワインダーの糸道を通した帯状不織布(あるいは帯状不織布集束物)を固定する。有孔筒状体はフィルターカートリッジの芯材の役目をするものであり、その材質や形状は、濾過時の外圧に耐えられる強度を持ち、圧力損失が著しく高くなければ特に限定されるものではなく、例えば、通常のフィルターカートリッジに使用されている芯材のようにポリエチレン、ポリプロピレンを網型の筒状に加工した射出成形品でもよく、また、セラミックやステンレス等を同様に加工したものでも差し支えない。あるいは、有孔筒状体としてひだ折り加工したフィルターカートリッジや不織布巻回型のフィルターカートリッジなど他のフィルターカートリッジを使用してもよい。ワインダーの糸道はボビンに平行に設置されたトラバースカムによって綾状に振られるため、有孔筒状体には帯状不織布が綾状に振られて巻き付けられる。その時の巻き付け条件も通常の糸巻き型フィルターカートリッジ製造時に準じて設定すれば良く、例えばボビン初速1000〜2000rpmにし、繰り出し速度を調節して張力をかけながら巻き付ければよい。なお、この時の張力によってもフィルターカートリッジの空隙率を変えることができる。さらに巻き付け時の張力を調整して内層の空隙率を密にし、中層、外層と巻き付けるにつれて空隙率を粗くすることができる。特に帯状不織布をひだ状物としてから有孔筒状体に巻き付ける場合には、ひだ状物が具備するひだ形成による深層濾過構造と併せて外層、中層、内層で形成される粗密構造差により理想的な濾過構造をもつフィルターカートリッジが提供できる。また、濾過精度は、トラバースカムの綾振り速度とボビンの回転速度の比率を調整して巻き付けパターンを変えることによっても変更することができる。そのパターンの付け方はすでに公知である通常の糸巻き型フィルターカートリッジの方法を使用でき、フィルターの長さが一定の場合にはそのパターンをワインド数で表すことができる。なお、ある糸(本発明の場合は帯状不織布)とその1つ下の層に巻かれた糸との間隔20が広い場合には濾過精度は粗くなり、逆に狭い場合には細かくなる。これらの方法により帯状不織布を有孔筒状体8の外径の1.5倍〜3倍程度の外径まで巻き付けてフィルターカートリッジ形状にする。これをそのままフィルターカートリッジ9として使用しても良いし、端面に厚さ3mm程度の発泡ポリエチレンのガスケットを貼り付けるなどしてフィルターカートリッジ端面のハウジングとの密着性を上げても良い。
このようにしてできたフィルターの空隙率は65〜85%の範囲であることが好ましい。この値が65%よりも小さくなると、繊維密度が高くなりすぎるために通液性が低下してくる。逆に、この値が85%よりも大きくなると、フィルターカートリッジ強度が低下し、濾過圧力が高い場合にフィルターカートリッジが変形するなどの問題が生じ易くなる。
なお、帯状不織布に切れ目を入れたり穴を開けたりすることによって、通液性を改善することができる。この場合、切れ目の数は帯状不織布10cm当たりで5〜100個程度が好ましく、穴を開ける場合には開孔部面積の割合を10〜80%程度にするのが好ましい。巻き取るときの帯状不織布の本数を複数としたり、あるいは紡績糸など他の糸と併せて巻き付かせることでも、濾過性能を調整することができる。また、図14に示すように、有孔筒状体8に帯状不織布5をある程度の径になるまで綾振りで巻き付けて内層21を形成し、続いて幅広の不織布をその内層の周りにのり巻き状に巻きつけて精密濾過層22を形成し、続いてその周りに帯状不織布5を再び綾振りで巻き付けて外層23を形成し、不織布を巻き込んだ形でのフィルターカートリッジを作ることもできる。幅広不織布をのり巻き状に巻き付けない場合には、糸間隔を広くして粗い精度のフィルターカートリッジを作った時に粒子最大流出径が極端に大きくなる場合があるが、幅広不織布をのり巻き状に巻き付けると、粒子最大流出系を必要に応じて微調整することが出来る。
実施例
以下に実施例、比較例により、本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例において濾過材の物性や濾過性能等の評価は以下に記載する方法で行った。
不織布の目付及び厚さ
不織布の面積が625cmとなるように不織布を切り取り、その重量を測定して1平方メートル当たりの重量に換算して目付(g/m)とした。また、切り取った不織布の厚さを任意に10点測定し、その最大値と最小値を除いた8点の平均を不織布の厚さ(μm)とした。なお、本発明の不織布として積層メルトブロー不織布を使用する場合、製造方法によっては積層する前のそれぞれの層の目付を計算することができないため、その時は樹脂吐出量と機械幅および生産速度から計算した理論値を使用した。
不織布の繊維径あるいは繊度
不織布あるいは積層前のウェブから無作為に5箇所サンプリングしてそれらを走査型電子顕微鏡で撮影し、1箇所につきメルトブロー繊維の場合は100本、その他の繊維の場合は20本の繊維を無作為に選んでそれらの繊維径を測定し、その平均値をその不織布の繊維径(μm)とした。また、繊度(dtex)は得られた繊維径と不織布原料樹脂の密度(g/立方センチメートル)を使って次式から求めた。なお、2成分以上使用している場合には、その密度は各成分の密度の重量平均値を使用した。
(繊度)=π(繊維径)×(密度)/400
不織布の通気度
スリットする前の不織布の通気度をJIS L 1096−A法に準拠して各不織布につき20点測定して、その平均値を求めた。(単位cm/cm/秒)
ひだ状物のひだ数
ひだ状物の断面形状を接着剤で固定した後、任意の位置で5箇所切断し、その断面を顕微鏡で写真撮影した。その写真から帯状不織布の折り目の数を山折りまたは谷折りのいずれの場合も1つとして数え、切断した5箇所の平均数の2分の1をひだ数とした。
帯状不織布集束物の断面積と空隙率
帯状不織布集束物の断面形状を接着剤で固定した後、任意の位置で5箇所切断し、その断面を顕微鏡で写真撮影した。その写真を画像解析して帯状不織布集束物の断面積を求めた。また、これとは別の箇所の帯状不織布集束物を長さ10cmに切断し、その重量と先に求めた断面積とから次式を使って空隙率を求めた。
(帯状不織布集束物の見かけ体積)=(帯状不織布集束物の断面積×帯状不織布集束物の切断長)
(帯状不織布集束物の真体積)=(帯状不織布集束物の重量)/(帯状不織布集束物の原料の密度)
(帯状不織布集束物の空隙率)={1−(帯状不織布集束物の真体積)/(帯状不織布集束物の見かけ体積)}×100(%)
糸間隔
表層にある帯状不織布集束物(あるいは帯状不織布、紡績糸など以下の実施例において有孔筒状体に巻き付けられたもの)と隣接する帯状不織布集束物との間隔(図13の20に示す)を1つのフィルターカートリッジにつき10箇所測定し、その平均を糸間隔とした。
フィルターカートリッジの空隙率
フィルターカートリッジの外径、内径、長さ、重量を測定し、次式を使って空隙率を求めた。なお、濾材そのものの空隙率を求めるため、内径の値には有孔筒状体の外径を使用し、重量の値にはフィルターカートリッジの重量から有孔筒状体の重量を引いた値を用いた。
(フィルターの見かけ体積)=π{(フィルターの外径)−(フィルターの内径)}×(フィルター長さ)/4
(フィルターの真体積)=(フィルターの重量)/(フィルターの原料の密度)
(フィルターの空隙率)={1−(フィルターの真体積)/フィルターの見かけ体積)}×100(%)
初期捕集粒径、初期圧力損失、濾過ライフ
循環式濾過性能試験機のハウジングにフィルターカートリッジ1つを取り付け、ポンプで流量を毎分30リットルに調節して通水循環する。このときのフィルターカートリッジ前後の圧力損失を初期圧力損失とした。次に循環している水にJIS Z 8901に定められた試験用粉体Iの8種(JIS8種と略す。中位径:6.6〜8.6μm)と同7種(JIS7種と略す。中位径:27〜31μm)を重量比1:1で混合したケーキを毎分0.4g/分で連続添加し、添加開始から5分後に原液と濾液を採取し、所定の倍率に希釈した後にそれぞれの液に含まれる粒子の数を光遮断式粒子検出器で計測して各粒径における初期捕集効率を算出した。さらにその値を内挿して、捕集効率80%を示す粒径を求めた。また、さらに続けてケーキを添加し、フィルターカートリッジの圧力損失が0.2MPaに達したときにも同様に原液と濾液を採取して、0.2MPa時の捕集粒径を求めた。また、ケーキ添加開始から0.2MPaに達するまでの時間を濾過ライフとした。なお、濾過ライフが1000分に達しても差圧が0.2MPaに達しない場合にはその時点で測定を中断した。
初期濾液の泡立ちおよび繊維脱落
循環式濾過性能試験機のハウジングにフィルターカートリッジ1つを取り付け、ポンプで流量を毎分10リットルに調節してイオン交換水を通水する。初期濾液を1リットル採取し、そのうち25立方センチメートルを比色びんに採取して激しく攪拌し、攪拌停止10秒後に泡立ちを見た。そして、泡の体積(液面から泡の頂点までの体積)が10立方センチメートル以上ある場合を×、10立方センチメートル未満でかつ直径1mm以上の泡が5個以上見られる場合を△、直径1mm以上の泡が5個未満の場合を○、として泡立ちを判定した。また、初期濾液500立方センチメートルを孔径0.8μmのニトロセルロース濾紙に通し、濾紙1平方センチメートルあたりに長さ1mm以上の繊維が4個以上ある場合を×、1〜3個の場合を△、0個の場合を○、として繊維脱落を判定した。
実施例1
メルトブロー不織布として、目付20g/m、平均繊維径3μm、厚さ200μm、通気度37cm/cm/秒で、紡糸の余熱により繊維交点が弱く接着しているポリプロピレン製メルトブロー不織布を使用した。また、有孔筒状体として、内径30mm、外径34mm、長さ250mmであり、6mm角の穴が180個開けられているポリプロピレン製の射出成型品を使用した。そのメルトブロー不織布を幅50mmにスリットして帯状不織布とした。そして、ワインダーを使用して帯状不織布を集束等せずそのまま有孔筒状体に巻き付けて、スピンドル初速1500rpmで、帯状不織布の間隔が0mmとなるようにワインド数を調整して有孔筒状体に外径62mmになるまで巻き取り、図13に示すような円筒状フィルターカートリッジ9を得た。
実施例2
ワインド数を変更して帯状不織布の間隔が1mmとなるようにした他はすべて実施例1と同じ方法でフィルターカートリッジを得た。しかし、そのフィルターの濾過性能は実施例1で示したフィルターと大差なかった。実施例1で示したフィルターと差がなかったのは、帯状不織布を集束等していないために、ワインド数の影響がでなかったためと考えられる。
実施例3
帯状不織布、有孔筒状体は実施例1と同じものを使用した。そして、ワインダーまでの糸道に直径5mmの円形孔のガイドを設置して帯状不織布を直径約5mmに集束させ、実施例1と同様に有孔筒状体に巻き取って円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの濾過性能はほぼ実施例1で示したフィルターと同じであった。
実施例4
帯状不織布の間隔が1mmとなるようにワインド数を調整した他は、すべて実施例3と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例3で示したフィルターよりも精度が粗く、通水性がよく、濾過ライフが長いフィルターとなった。
実施例5
帯状不織布の間隔が2mmとなるようにワインド数を調整した他は、すべて実施例3と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例4で示したフィルターよりもさらに粗いフィルターとなった。
実施例6
帯状不織布の間隔が2mmとなるようにワインド数を調整した他は、すべて実施例3と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例5で示したフィルターよりもさらに粗いフィルターとなった。
実施例7
メルトブロー不織布として実施例1と同じ不織布を使用した。また、長繊維不織布として、目付22g/m、厚さ200μm、繊度2dtexであり、繊維交点が熱エンボスロールで熱圧着されたポリプロピレン製スパンボンド不織布を使用した。そのメルトブロー不織布と長繊維不織布の各1枚を重ね合わせ、エンボスロールで不織布交点を接着させて積層メルトブロー不織布を作った。この積層メルトブロー不織布を幅50mmにスリットして帯状不織布とした。その他はすべて実施例4と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの初期捕集粒径は実施例4で示したフィルターと同程度のものであったが、精度変化が少ないすぐれたものであった。
実施例8
メルトブロー不織布として実施例1で使用した不織布と同じ不織布を使用した。また、長繊維不織布として、目付22g/m、厚さ200μm、繊度2dtexであり、繊維交点が熱エンボスロールで熱圧着されたポリプロピレン製スパンボンド不織布を使用した。それを長繊維不織布/メルトブロー不織布/長繊維不織布の順に重ね合わせ、エンボスロールで不織布交点を接着させて積層メルトブロー不織布を作った。この積層メルトブロー不織布を幅50mmにスリットして帯状不織布とした。その他はすべて実施例4と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの初期捕集粒径は実施例4で示したフィルターと同程度のものであったが、精度変化が実施例7で示したフィルターよりもさらに少ないすぐれたものであった。
実施例9
メルトブロー不織布として実施例1で使用した不織布と同じ不織布と、平均繊維径を5μmとした他は実施例1と同じ不織布の2種類を使用した。また、長繊維不織布として、目付22g/m、厚さ200μm、繊度2dtexであり、繊維交点が熱エンボスロールで熱圧着されたポリプロピレン製スパンボンド不織布を使用した。それを長繊維不織布/平均繊維径5μmのメルトブロー不織布/平均繊維径3μmのメルトブロー不織布/長繊維不織布の順に重ね合わせ、エンボスロールで不織布交点を接着させて積層メルトブロー不織布を作成した。この積層メルトブロー不織布を幅50mmにスリットして帯状不織布とした。その他はすべて実施例4と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの初期捕集粒径は実施例4で示したフィルターと同程度のものであったが、精度変化が実施例8で示したフィルターよりもさらに少なく、すぐれたものであった。また、濾過ライフも実施例8で示したフィルターより長いものとなった。
実施例10
メルトブロー不織布、および長繊維不織布の原料樹脂をナイロン66にした他はすべて実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8のフィルターとほぼ同程度の濾過性能を示した。
実施例11
メルトブロー不織布、および長繊維不織布の原料樹脂をポリエチレンテレフタレートにした他はすべて実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8のフィルターとほぼ同程度の濾過性能を示した。
実施例12
積層メルトブロー不織布を幅10mmにスリットし、さらに糸間隔が1mmとなるようワインド数を調整した他は全て実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8と同程度の性能のフィルターになった。しかしながら、巻き取りに要した時間は実施例4で示したフィルターの時よりも長くなった。
実施例13
積層メルトブロー不織布を幅100mmにスリットし、さらに糸間隔が0mmとなるようワインド数を調整した他は全て実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8で示したフィルターよりも精度の粗いフィルターとなった。糸間隔を0mmにしたにもかかわらず精度の粗いフィルターとなったのは、帯状不織布集束物が極度に太くなったためである。
実施例14
メルトブロー不織布として、1ホール毎に交互に異なる樹脂を吐出できるノズルを使用し、低融点成分に高密度ポリエチレン、高融点成分にポリプロピレンを重量比5:5で使用した混繊メルトブロー不織布を使用した。一方、長繊維不織布は実施例7で示したフィルターと同じ不織布を使用した。その他はすべて実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8よりも精度の細かいフィルターとなり、精度変化が少ない優れたフィルターとなった。
実施例15
低融点成分として線状低密度ポリエチレン(融点125℃)を用いた他はすべて実施例14と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例14で示したフィルターと同程度の濾過精度のフィルターとなり、さらには実施例14で示したフィルターよりも通水性に優れていた。
実施例16
メルトブロー不織布として、実施例1と同じものを使用した。そして、長繊維不織布の構成繊維として、低融点成分が高密度ポリエチレン、高融点成分がポリプロピレンで重量比5:5である鞘芯型複合繊維を用いた。その他はすべて実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8で示したフィルターと同程度の濾過精度のフィルターとなり、さらには実施例8で示したフィルターよりも精度変化が少なかった。
実施例17
メルトブロー不織布として、実施例15で使用した不織布と同じものを使用した。そして、長繊維不織布として、実施例16と同じものを使用した。その他はすべて実施例8と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例15および16で示したフィルターと同程度の濾過精度のフィルターとなり、さらには実施例15および16で示したフィルターよりも精度変化が少なかった。
実施例18
フィルターカートリッジ巻き取り時に強い線圧をかけて、フィルター空隙率を63%にした他は、すべて実施例16と同じ方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの濾過性能は、後述する比較例よりは優れていたが、実施例16のフィルターよりも初期圧力損失が大きくかつ濾過ライフの短いフィルターとなった。この理由は、フィルター空隙率が低く、繊維密度が大きくなりすぎたためと考えられる。
実施例19
帯状不織布集束物を極端に低張力で巻き取ることにより、フィルター空隙率を88%にした他は、すべて実施例16と同じ方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの濾過性能は、後述する比較例で示したフィルターよりは優れていたが、実施例16のフィルターよりも濾過ライフの短いフィルターとなった。この理由は、フィルター空隙率が高いために、濾過圧力が高くなると濾材が圧搾されて、急激に圧力損失が上昇するためと考えられる。
実施例20
ワインダーの糸道に設置する円形孔のガイドの直径を1mmにすることにより、帯状不織布集束物の空隙率を58%にした他は、すべて実施例16と同じ方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの濾過性能は、後述する比較例よりは優れていたが、実施例16で示したフィルターよりも初期圧力損失が高くかつ濾過ライフの短いフィルターとなった。この理由は、帯状不織布集束物の空隙率が低く、繊維密度が高くなりすぎたためと考えられる。
実施例21
ワインダーの糸道に設置する円形孔のガイドの直径を10mmにし、さらに帯状不織布集束物を極端に低張力で巻き取ることにより、帯状不織布集束物の空隙率を97%にした他は、すべて実施例16と同じ方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの濾過性能は、後述する比較例で示したフィルターよりは優れていたが、実施例16で示したフィルターよりも濾過ライフの短いフィルターとなった。この理由は、帯状不織布集束物の空隙率が高いために、濾過圧力が高くなると濾材が圧搾されて、急激に圧力損失が上昇するためと考えられる。
実施例22
繊維交点の熱圧着方法を熱エンボスロールから熱風循環式加熱装置に変更した他はすべて実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例16で示したフィルターと同程度の性能を有していた。
実施例23
帯状不織布を集束せず、代わりに1mあたり100回の捻りを加えた他はすべて実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例8で示したフィルターと同程度の性能のフィルターとなった。
実施例24
帯状不織布を図9(A)に示すような断面形状に加工して、ひだ数4のひだ状物を得た。そのひだ状物を集束した帯状不織布の代わりに用いた他は、すべて実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例16で示したフィルターと同程度の精度だが、精度変化は実施例16で示したフィルターと比較して少なくなった。
実施例25
帯状不織布を図8(A)に示すような断面形状に加工して、ひだ数7のひだ状物を得た。そのひだ状物を用いた他は、すべて実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例16で示したフィルターと同程度の初期捕集粒径であったが、精度の変化は少なかった。
実施例26
帯状不織布を図8(C)に示すような断面形状に加工して、ひだ数15のひだ状物を得た。そのひだ状物を用いた他は、すべて実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例16で示したフィルターと同程度の初期捕集粒径であったが、精度の変化は少なく、かつ圧力損失も少ないものであった。
実施例27
帯状不織布のひだ数を41にした他は全て実施例16と同じ方法で、円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例16で示したフィルターと同程度の初期捕集粒径であったが、精度の変化は実施例25で示したフィルターよりもさらに少なく、かつ圧力損失も少ないものであった。
比較例1
帯状不織布の代わりに繊度3dtexの繊維を紡績した直径2mmのポリプロピレン製紡績糸を使用し、糸間隔を0mmにした他は、すべて実施例3と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターカートリッジは初期捕集粒径が実施例3で示したフィルターよりもかなり粗くなり、実施例6で示したフィルターと同程度になった。しかしながら、実施例6で示したフィルターよりも濾過ライフが短くなり、精度変化も大きかった。また、初期濾液には泡立ちがあり、濾材の脱落も見られた。
比較例2
帯状不織布の代わりに幅50mmに切断したJIS P 3801に定められた濾紙1種を使用した他はすべて実施例3と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターカートリッジは初期捕集粒径が実施例3で示したフィルターよりも粗く、実施例5で示したフィルターと同程度になったが、初期圧力損失が大きく、また、圧力上昇時の捕集粒径も初期と大きく変わっていた。さらには濾過ライフが極端に短かった。また、初期濾液には濾材の脱落が見られた。
比較例3
ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとからなる繊度4dtex、8分割タイプの分割短繊維をカード機でウェブ化し、高圧水加工で繊維分割および繊維交絡をさせて目付22g/mの分割短繊維不織布を得た。この不織布を電子顕微鏡で観察し、画像解析した結果、全繊維のうち50重量%が繊度0.5dtexに分割されていた。この不織布を幅50mmに切断して帯状不織布の代わりに用いた他は、すべて実施例3と同様の方法で円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターは実施例3で示したフィルターよりも粗いフィルターとなり、精度の変化も大きかった。また、初期濾液には若干の泡立ちが見られ、繊維の脱落も見られた。
比較例4
実施例1で使われたメルトブロー不織布を25cm幅にスリットし、図1に示すように有孔筒状体にのり巻き状に線圧1.5kg/mで巻き付けて円筒状フィルターカートリッジを得た。このフィルターの初期捕集粒径は実施例1と同程度であったが、0.2MPa時捕集粒径が大きかった。また、濾過ライフも実施例1と比較してやや短かった。
実施例及び比較例の結果は表1、表2及び、表3に示す。
Figure 0004604351
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産業上の利用可能性
本発明のフィルターカートリッジは、上述したように、メルトブロー不織布の長所である濾過精度の優秀さを維持したまま、その弱点である繊維強度の弱さに基づく濾過能力の経時変化を、綾状に捲回させることにより、或いは長繊維不織繊維集合体と貼り合せた不織布とした後綾状に捲回させることにより低減させ、また、不織布をのり巻き状に巻くことにより発生する幅方向の不織布むらを帯状の不織布を綾状に捲回することにより低減させたフィルターである。
従って、従来の糸巻き型フィルターカートリッジと比べて、細かい粒子まで捕捉でき、濾過ライフが長く、初期捕集粒径の変化がほとんど見られず、圧力損失が低いものである。また、ひだの少なくとも一部が非平行となるように集束させた帯状不織布のひだ状物を使用した場合には、ひだが平行なひだ状物に比較してもひだと垂直方向の濾過圧力を受けにくいのでひだ状物が潰れることなく安定して濾過性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、不織布がのり巻き状に巻かれた状態を図示したものである。
図2は、長繊維不織布のエンボスパターンによる粒子捕集状況を示す説明図である。
図3は、帯状長繊維不織布を加工せずにそのまま巻き付ける様子を示す説明図である。
図4は、帯状長繊維不織布に捻りを加えながら巻き付ける様子を示す説明図である。
図5は、帯状長繊維不織布を小孔に通して集束させてから巻き付ける様子を示す説明図である。
図6は、帯状長繊維不織布をひだ形成ガイドでひだ状物に加工する様子を示した図面である。
図7は、本発明で用いられるひだ形成ガイドの一例を示す断面図である。
図8は、本発明で用いられるひだ形成ガイドの一例を示す断面図である。
図9は、ひだが非平行なひだ状物の断面形状の一例を示す説明図である。
図10は、ひだが平行なひだ状物の断面形状の一例を示す説明図である。
図11は、ひだ形成ガイド、狭矩形孔、小孔の位置関係を示す説明図である。
図12は、本発明に係るひだ状物の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
図13は、本発明に係るフィルターカートリッジの斜視図である。
図14は、本発明に係るフィルターカートリッジの横断面図である。
図15は、スパンボンド不織布の概念図である。
図16は、短繊維不織布の概念図である。
符号の説明を以下に行う。
1 エンボスパターンによる強い熱圧着がある部分
2 エンボスパターンされてなく弱い熱圧着のみがある部分
3 粒子
4 エンボスパターンされてなく弱い熱圧着のみがある部分を通過した粒子
5 帯状長繊維不織布もしくはその集束物
6 細幅孔のトラバースガイド
7 ボビン
8 有孔筒状体
9 フィルターカートリッジ
10 トラバースガイド
11 トラバースガイド
12 外部規制ガイド
13 内部規制ガイド
14 小孔
15 ひだ状物
16 ひだ形成ガイド
17 櫛形のひだ形成ガイド
18 狭矩形孔
19 帯状長繊維不織布集束物を内包する最小面積の卵形
20 ある帯状長繊維不織布集束物とその1つ下の層に巻かれた帯状長繊維不織布集束物との間隔
21 内層
22 精密濾過層
23 外層
24 帯状長繊維不織布集束物
25 スパンボンド不織布を構成する長繊維
26 粒子
27 短繊維不織布を構成する短繊維

Claims (11)

  1. メルトブローされた熱可塑性繊維からなる帯状の不織布を、空隙率が60〜95%である4〜50のひだを有するひだ状物とし、有孔筒状体に綾状に巻き付けてなるフィルターカートリッジ。
  2. メルトブローされた熱可塑性繊維からなる不織繊維集合体と、長繊維不織繊維集合体とを少なくとも各1層ずつ積層して結合した帯状の不織布を、空隙率が60〜95%である4〜50のひだを有するひだ状物とし、有孔筒状体に綾状に巻き付けてなるフィルターカートリッジ。
  3. 該メルトブローされた熱可塑性繊維が、低融点樹脂と高融点樹脂からなり、それらの両樹脂の融点差が10℃以上である混繊若しくは複合繊維である請求項1若しくは2に記載のフィルターカートリッジ。
  4. 該長繊維不織繊維集合体を構成する熱可塑性繊維が低融点樹脂と高融点樹脂からなり、それらの両樹脂の融点差が10℃以上である熱接着性複合繊維である請求項2に記載のフィルターカートリッジ。
  5. 該低融点樹脂が、線状低密度ポリエチレンであり、該高融点樹脂がポリプロピレンである請求項3若しくは4に記載のフィルターカートリッジ。
  6. 該不織布の通気度が1〜500cm/cm/secの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターカートリッジ。
  7. 該不織布の結合が、熱エンボスロールで熱圧着されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターカートリッジ。
  8. 該不織布の結合が、熱風で熱接着されている請求項2に記載のフィルターカートリッジ。
  9. 該フィルターカートリッジの空隙率が65〜85%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターカートリッジ。
  10. 該ひだ状物のひだの少なくとも一部が非平行である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターカートリッジ。
  11. 該帯状の不織布のスリット幅が0.5cm以上であり、スリット幅(cm)と目付(g/m)の積が200以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルターカートリッジ。
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