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JP4602528B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体基板等の基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置に関し,特にそれに用いられる電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から例えば半導体製造プロセスにおいては,半導体ウエハなどの表面の絶縁膜をエッチングして,例えばコンタクトホールを形成するための装置としてプラズマ装置が使用されている。
【0003】
中でもとりわけ処理室内の上下に電極を配置した平行平板型のプラズマ装置は,均一性に優れ,大口径ウエハの処理が可能で,装置構成も比較的簡易であることからプラズマ装置の主流となっている。
【0004】
従来の平行平板型のエッチング装置は,例えば処理室内の上下に電極が対向して設けられており,被処理基板である半導体ウエハは下側の電極に載置され,この処理室内にエッチングガスを導入すると共に,高周波電力を上部および下部電極に供給して上下電極間に好ましい解離状態のプラズマを発生させ,エッチングガスの解離によって生じたエッチャント成分によって,半導体ウエハの絶縁膜をエッチングするように構成されている。
【0005】
図3は,従来のエッチング装置における,上部電極121を模式的に示した図である。図3に示すように,上部電極121は,電極板123,その上部に位置する電極支持体122を有する。
【0006】
電極支持体122は,例えばアルミニウムで構成される。電極支持体122は,電極板123を支持すると共に,電極板123のクーリングプレートとして機能する。
【0007】
電極板123は,ネジ160によって電極支持体122に取りはずし可能に設置されており,メインテナンスなどは取り外して行う。電極板123は,例えばシリコン材等が用いられる。
【0008】
従来の上部電極121を有するエッチング装置を用いてプラズマ処理を行うと,高真空にした装置内に処理ガスが導入され,高周波電力が印加されて処理室内の温度が上昇するため,電極支持体122のアルミニウム材と,電極板123のシリコン材とが両者の境界面で融着を起こすことがあった。
【0009】
図4は,従来の上部電極121をエッチング処理に使用した後,融着を起こした状態を模式的に示した断面図,図5は,電極支持体122から取り外した融着を起こした電極板123を概念的に示した図である。
【0010】
図4および図5に示すように,電極支持体122と電極板123の境界面でアルミニウムの食われ165およびシリコンの融着167などの凹凸が生じ,平面性が損なわれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,エッチング装置のクリーニングなどメインテナンスのためにはずされた電極板123を再び電極支持体122に取り付ける際,凹凸の位置関係は取り外し前とは異なることが避けられない。よって,再装着時にネジ160で固定する際に電極支持体122および電極板123の凸部に応力が集中し,電極板123が割れを起こすという問題があった。
【0012】
本発明は,従来のプラズマ装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,シリコンおよびアルミニウムの融着を防止して再装着しても割れの生じない電極板を有するプラズマ装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため,本発明によれば,真空処理室内において被処理体を載置可能な第1電極と,前記第1電極に対向配置された第2電極と,前記真空処理室内に処理ガスを導入するガス導入手段と,少なくとも前記第2電極に高周波電力を印加して前記処理ガスをプラズマ化する高周波電力供給手段とを備えたプラズマ処理装置において,前記第2電極は,電極支持体と,前記被処理体に対する対向面を形成する電極板とを有し,前記電極支持体と前記電極板との接触面には少なくともどちらか片方に絶縁被膜が形成され,前記絶縁被膜の厚みは,50μm以下であり,前記電極支持体はアルミニウムからなり,前記電極板はシリコンからなり,前記絶縁被膜は,アルマイト被膜によりアルミニウムからなる前記電極支持体の表面に形成されることを特徴とする,プラズマ処理装置が提供される。
【0014】
絶縁被膜の厚みは,50μm以下,好ましくは10〜30μmが適当である。また,電極支持体は,アルミニウム,電極板はシリコンで構成することができる。絶縁被膜の材料には,アルミニウムの表面には希土類酸化物またはアルミニウム化合物,シリコンの表面にはシリコン化合物を用いることができる。かかる構成によれば,再装着しても割れを起こすことのない電極を有する耐久性に優れたプラズマ装置が提供される。
【0015】
以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかるプラズマ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
図1は,本発明の第1の実施形態にかかるプラズマ装置1の構成を示す断面図である。プラズマ装置1における処理室2は,例えば酸化アルマイト処理されたアルミニウムなどからなる円筒形状の処理容器として形成され,接地されている。
【0017】
処理室2内の底部にはセラミックなどの絶縁支持板3が設けられており,この絶縁支持板3の上部に,被処理基板,例えば直径8インチの半導体ウエハWを載置するための略円柱状のサセプタ支持台4が設けられている。さらにサセプタ支持台4の上に,下部電極を構成するサセプタ5が設けられており,ハイパスフィルター(HPF)6が接続されている。
【0018】
サセプタ支持台4の内部には熱交換室7が設けられ,外部から熱交換媒体が熱交換媒体導入管8および熱交換媒体排出管9を介して循環し,サセプタ5を介して半導体ウエハWを所定温度に維持することが可能なように構成されている。またかかる温度は,温度センサ(図示せず),温度制御機構(図示せず)によって自動的に制御される構成となっている。
【0019】
またサセプタ5上には,半導体ウエハWを吸着保持するための静電チャック11が設けられている。この静電チャック11は,例えば導電性の薄膜電極12をポリイミド系の樹脂によって上下から挟持した構成を有し,処理室2の外部に設置されている直流電源13から例えば1.5kVの電圧が電極12に印加されると,そのクーロン力によってウエハWは,静電チャック11の上面に吸着保持されるようになっている。もちろんそのような静電チャックに拠らず,機械的クランプによってウエハWの周縁部を押圧するようにして,サセプタ5上にウエハWを保持する構成としてもよい。
【0020】
さらに,絶縁板3,サセプタ支持台4,サセプタ5,および静電チャック11には,半導体ウエハWの裏面に例えばHeガスなどを供給するためのガス通路14が形成されており,このHeガスなどの伝熱媒体を介して半導体ウエハWが所定の温度に維持される。
【0021】
サセプタ5上の周辺には,静電チャック11を囲むようにして,略環状のフォーカスリング15が設けられている。フォーカスリング15は例えば導電性のシリコンからなり,プラズマ中のイオンを効果的に半導体ウエハWに入射させる機能を有している。
【0022】
処理室2内の上部には,絶縁部材25およびシールドリング55を介して,上部電極21が支持されている。上部電極21は,例えばアルミニウムからなる電極支持体22および,サセプタ5と平行に対向し,多数の吐出孔24を備えた例えばシリコンからなる電極板23等を有している。サセプタ5と上部電極21とは,例えば10〜60mm程度離間している。上部電極21の詳細な構成は後述する。
【0023】
電極支持体22には,ガス導入口26が設けられ,ガス供給管27に接続されている。さらに,バルブ28およびマスフローコントローラ29を介して処理ガス供給源30に接続され,エッチングガスやその他の処理ガスが処理室2内に導入される。
【0024】
処理ガスとしては,例えば,フロロカーボンガス(C),ハイドロフロロカーボンガス(C)等の,ハロゲン元素を含有するガスを用いることができる。
【0025】
処理室2の下部には,真空ポンプなどの排気装置35に通ずる排気管31が接続されている。排気装置35は,ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており,処理室2内は,例えば10mTorr〜1000mTorrの任意の減圧度にまで真空引きすることが可能となっている。
【0026】
処理室2の側壁には,ゲートバルブ32が設けられ,ゲートバルブ32を開にした状態で半導体ウエハWを,隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送させるようになっている。
【0027】
次にこのプラズマ装置1の高周波電力の供給系について説明する。まず上部電極21に対しては,整合器41および給電棒33を介して,周波数が27〜150MHzの周波数の高周波電力を出力する第1の高周波電源40からの電力が供給される構成となっている。また,上部電極21にはローパスフィルター(LPF)42が接続されている。
【0028】
このように高い周波数を印加することにより,処理室2内に,好ましい解離状態でかつ高密度のプラズマを形成でき,低圧条件下のプラズマ処理が可能となる。本実施の形態では,高周波電源40として,60MHzのものを用いている。
【0029】
一方下部電極となるサセプタ5に対しては,周波数がたとえば4MHz以下の高周波電力を出力する高周波電源50からの電力が,整合器51を介して供給される構成となっている。このような範囲の周波数を印加することで,半導体ウエハWに対してダメージを与えることなく適切なイオン作用を与えることができる。
【0030】
次に,上部電極21の構成について詳細に説明する。図2は,本実施の形態にかかる上部電極21を模式的に示す断面図である。上部電極21は,電極支持体22,電極板23および絶縁被膜62等を有している。
【0031】
電極支持体22は,電極板23を支持すると共に,高周波電力を伝達し,またその高い熱伝導性によって電極板23の温度分布を一定に保ち,かつ温度上昇を防ぐクーリング材として機能する。電極板23は,ネジ60によって取り外し可能に電極支持体22に固定される。
【0032】
従来は,エッチングレートおよび熱拡散性を考慮して,電極支持体と電極板は,直接接触するように構成されていた。しかし,本実施の形態においては,電極支持体22と電極板23との境界面の少なくともどちらか片方に,薄い絶縁被膜62を形成してある。電極支持体22がアルミニウムで構成され,その表面に絶縁被膜62が設けられる場合は,希土類酸化物またはアルミニウム化合物などを絶縁被膜62の材料として用いることができる。希土類酸化物とは,例えばY溶射膜,アルミニウム化合物とは,例えば,アルマイト被膜,Al溶射膜などが適用できる。
【0033】
また,電極板23がシリコンで構成され,その表面に絶縁被膜62が設けられる場合には,シリコン化合物を絶縁被膜62の材料として用いることができる。シリコン化合物とは,例えば,SiO,Siなどである。これにより,電極支持体22のアルミニウムと,電極板23のシリコンが直接接触することを避けられるので,融着を防止できる。また,絶縁被膜62を,例えば50μm以下の厚さにすることで,高周波の伝達および熱伝導を妨げることなく十分なエッチングレートを確保できる。
【0034】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかるプラズマ装置の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0035】
例えば,絶縁被膜の製法は,CVDおよびPVDなど,他の製法によるものでもよい。また,絶縁被膜の材料は,絶縁性および耐食性に優れ,薄膜化できるものであれば,他の材料でもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,電極支持体と電極板の境界面に絶縁被膜を形成し,電極支持体と電極板の材料の融着を防ぎ,かつ絶縁被膜の厚さを調整することで,十分な処理性能を保持し,電極板の割れを防ぐことのできるプラズマ装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプラズマ装置1の構成を示す断面図である。
【図2】上部電極21を模式的に示す断面図である。
【図3】従来のプラズマ装置における上部電極121を模式的に示した図である。
【図4】従来の上部電極121をエッチング処理に使用した後,融着を起こした状態を模式的に示した断面図である。
【図5】電極支持体122から取り外した融着を起こした電極板123を概念的に示した図である。
【符号の説明】
21 上部電極
22 電極支持体
23 電極板
33 給電棒
60 ネジ
62 絶縁被膜

Claims (3)

  1. 真空処理室内において被処理体を載置可能な第1電極と,前記第1電極に対向配置された第2電極と,前記真空処理室内に処理ガスを導入するガス導入手段と,少なくとも前記第2電極に高周波電力を印加して前記処理ガスをプラズマ化する高周波電力供給手段とを備えたプラズマ処理装置において,
    前記第2電極は,電極支持体と,前記被処理体に対する対向面を形成する電極板とを有し,
    前記電極支持体と前記電極板との接触面には少なくともどちらか片方に絶縁被膜が形成され,
    前記絶縁被膜の厚みは,50μm以下であり,
    前記電極支持体はアルミニウムからなり,前記電極板はシリコンからなり,
    前記絶縁被膜は,アルマイト被膜によりアルミニウムからなる前記電極支持体の表面に形成されることを特徴とする,プラズマ処理装置。
  2. 前記絶縁被膜の厚みは,10〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記電極板は,ねじにより前記電極支持体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
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