JP4694867B2 - 多孔性膜上に現れる輪を測定する試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キット - Google Patents
多孔性膜上に現れる輪を測定する試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キット Download PDFInfo
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Description
本発明は、分析化学、生命科学、医療、薬品製造、食品衛生、及び環境科学等において有用であり、特に臨床検査分野において有用なものである。
この免疫学的測定方法のうち間接凝集反応測定法は簡易かつ安価な方法であることから汎用されている。
また、前記担体と前記試料とを、マイクロタイタープレートの容器内で接触させ、担体間の凝集像を観察する方法は、特別な器具や装置を必要とせず、かつ安価に測定結果を得ることができる方法であるが、凝集像を得るのに要する時間は通常1時間以上であり、迅速に測定結果を得ることはできないものであった。
(1) 下記の各工程よりなる、試料中の測定対象物質の測定方法。
(a) 試料、エチルバイオレット、ローダミンB、エリスロシンB、エオシン又はクーマシーブリリアントブルーからなる群より選ばれる色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つタンパク質を固定化した担体、及び遊離状態にあるタンパク質を接触させる工程、
(b) 前記接触後、その一定量を多孔性膜上に添加する工程、及び
(c) 前記多孔性膜上に現れる輪を測定する工程
(2) 測定対象物質に対する特異的結合物質が、測定対象物質が抗原である場合には当該抗原に特異的に結合する抗体であり、測定対象物質が抗体である場合には当該抗体に特異的に結合する抗体又は当該抗体にとっての抗原である、前記(1)記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(3) 担体が粒子である、前記(1)又は(2)記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(4) 工程(c)の多孔性膜上に現れる輪の測定において、多孔性膜上に輪が観察できた場合には試料中に測定対象物質が測定下限値以上の濃度で存在すると判定し、多孔性膜上に輪が観察できなかった場合には試料中に測定対象物質が存在しないか又は測定下限値未満の濃度で存在すると判定する、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(5) エチルバイオレット、ローダミンB、エリスロシンB、エオシン又はクーマシーブリリアントブルーからなる群より選ばれる色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つタンパク質を固定化した担体、及び遊離状態にあるタンパク質を含有する試薬、並びに多孔性膜を含む、試料中の測定対象物質の測定キット。
(6) 測定対象物質に対する特異的結合物質が、測定対象物質が抗原である場合には当該抗原に特異的に結合する抗体であり、測定対象物質が抗体である場合には当該抗体に特異的に結合する抗体又は当該抗体にとっての抗原である、前記(5)記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
(7) 担体が粒子である、前記(5)又は(6)記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
(8) 多孔性膜上に輪が観察できた場合には試料中に測定対象物質が測定下限値以上の濃度で存在すると判定し、多孔性膜上に輪が観察できなかった場合には試料中に測定対象物質が存在しないか又は測定下限値未満の濃度で存在すると判定するものである、前記(5)〜(7)のいずれか1項に記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
1.試料
本発明において、試料とは、測定対象物質が存在する可能性があり、かつその測定対象物質の存在の有無、又は含有量(濃度)の測定を行おうとするものをいう。
本発明における試料は、このようなものであれば特に限定されないが、例えば、ヒト若しくは動物に由来する試料、植物に由来する試料、微生物に由来する試料、食物、飲料、飲料水、薬剤、試薬、又は環境試料等を挙げることができる。
この希釈液として、各種水系溶媒を用いることができる。
例えば、精製水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることができる。なお、この緩衝液のpHについては、pH4.0〜pH12.0の範囲にあることが好ましい。
本発明において、測定対象物質とは、試料中におけるその存在の有無、又は含有量(濃度)を測定しようとする物質である。
大腸菌O157抗原、抗トレポネーマ・パリダム抗体、抗マイコプラズマ抗体、抗ストレプトリジンO抗体(ASO)、赤痢菌、コレラ菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、キャンピロバクター、ヘリコバクターピロリ、MRSA、若しくはレジオネラ菌等の細菌関連の抗原、抗体又は細菌自体;免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンM(IgM)、若しくは免疫グロブリンE(IgE)等の免疫グロブリン;C反応性タンパク質(CRP)、α1−酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、補体C3、補体C4、リウマトイド因子等の炎症マーカー;α−フェトプロテイン、CEA、CA19−9等の腫瘍マーカー;ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン等のホルモン;アレルゲン、アレルゲン特異IgE抗体等のアレルギー関連の抗原又は抗体;アンチトロンビンIII(ATIII)等の血液凝固系関連物質;フィブリン体分解物(FDP)、Dダイマー等の線溶系関連物質;ABO式血液型抗体、不規則抗体等の血液型関連の抗原又は抗体;ウイルスのDNA又はRNA;細菌のDNA又はRNA;ヒト等の動物若しくは植物のDNA又はRNA;リポタンパク質(a)、フェリチン等の他の疾病に関連した物質;薬物;環境ホルモン、PCB若しくはダイオキシンなどの環境汚染物質;金属;毒物又は劇物等を例示することができる。
本発明における色素は、特に限定なく用いることができる。
なお、本発明における色素としては、例えば、エチルバイオレット又はローダミンB等が好適であり、特にエチルバイオレット等が好適である。
また、本発明における色素は、遊離状態にある色素に結合可能な物質と接触したときに、その遊離状態にある「色素に結合可能な物質」に結合するものである。
例えば、精製水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることができる。なお、この緩衝液のpHについては、pH4.0〜pH12.0の範囲にあることが好ましい。
〔1〕測定対象物質に対する特異的結合物質
本発明において、測定対象物質に対する特異的結合物質とは、前記の測定対象物質に特異的な親和性を有し結合することができる物質のことである。
本発明において、色素に結合することができる物質とは、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させたときに、前記の色素に親和性を有し、結合することができる物質のことである。
そして、前記色素としては、例えば、エチルバイオレット又はローダミンB等が特に好ましい。
(1) 本発明において、担体は、「測定対象物質に対する特異的結合物質」及び「色素に結合することができる物質」をそれぞれ固定化することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。
なお、その平均径(平均粒子径)が0.001〜10μmの範囲内にあることが好ましく、0.01〜5μmの範囲内にあることがより好ましく、0.05〜1μmの範囲内にあることが特に好ましい。
本発明において、測定対象物質に対する特異的結合物質を担体へ固定化する方法、及び色素に結合することができる物質を担体へ固定化する方法としては、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により行うことができる。
次に、この測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化した担体を懸濁する溶液に、色素に結合することができる物質を添加し、この溶液中で混合し接触させ、これを約2℃〜約40℃で約10分〜約1日間保持することにより、色素に結合することができる物質の前記担体への固定化処理を行う。
これらの処理により、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体を得ることができる。
この処理により、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体を得ることができる。
試料、色素、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質と接触させる際の、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体の濃度であるが、これは、測定対象物質の種類とその試料中における濃度、測定対象物質に対する特異的結合物質の種類とその担体表面上での分布密度、色素の濃度、色素に結合することができる物質の種類とその担体表面上での分布密度、担体の径(粒径)、並びに、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質の存在比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概に言うことはできない。
測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体を懸濁させる分散媒は、各種水系溶媒を用いることができる。
例えば、精製水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることができる。なお、この緩衝液のpHについては、pH4.0〜pH12.0の範囲にあることが好ましい。
本発明において、遊離状態にある色素に結合可能な物質とは、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させたときに、前記の色素に親和性を有し結合することが可能であり、且つ遊離状態にある物質のことである。
そして、前記色素としては、例えば、エチルバイオレット又はローダミンB等が特に好ましい。
本発明において、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させる際のpHは、特に限定はなく適宜適当なpHを選択して用いることができる。
本発明において、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させるときに、その他の成分を適宜共存させることができる。
例えば、ポリエチレングルコールやポリプロピレングルコール等の水溶性高分子化合物を共存させてもよく、このポリエチレングルコールやポリプロピレングルコール等の水溶性高分子化合物を共存させることにより、測定の感度を増加させることが出来るので好ましい。
本発明における多孔性膜は、多数の微細な孔を有する膜であって、その膜上に微量の溶液を添加したときにその溶液を吸収することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。
また、本発明における多孔性膜は、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化した担体が測定対象物質を介して凝集した凝集物を捕捉する能力が高いものが好ましい。
この親水性四フッ化エチレン樹脂(親水性PTFE)を材質とする多孔質膜は、色素が吸着若しくは結合しにくいものであり、試薬(水溶液)の拡散が速く、そして前記凝集物の捕捉能力が高いものであり、感度良く測定を行うことができるので好ましい。
本発明における試料中の測定対象物質の測定について、以下説明を行う。
まず、試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させる工程であるが、前記の試料、前記の色素、前記の測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び前記の遊離状態にある色素に結合可能な物質を接触させることができれば、どのような方法でもよい。
但し、60℃以上であると、タンパク質が変性する可能性があるので、0〜50℃が好ましく、5〜45℃がより好ましく、15〜40℃が特に好ましい。
次に、前記接触後その一定量を多孔性膜上に添加する工程であるが、これも、前記の試料、色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質の接触の後、得られた混合液(混合物)の一定量を前記の多孔性膜の上に添加するのであれば、特に限定なく行うことができる。
そして、前記多孔性膜上に現れる輪を測定する工程であるが、これも、前記の混合液(混合物)の多孔性膜上への添加の後、この多孔性膜上に現れた輪を測定するのであれば、特に限定なく行うことができる。
但し、60℃以上であると、タンパク質が変性する可能性があるので、0〜50℃が好ましく、5〜45℃がより好ましく、15〜40℃が特に好ましい。
試料の測定結果を、濃度既知の試料を多段階に希釈したときの各測定結果と比較することにより、試料中に含まれていた測定対象物質の濃度を定量することができる。
従って、このように材質の違いにより測定の感度が異なる複数の多孔性膜を用いた場合の試料の測定結果、及び同様にして得た濃度既知の試料の測定結果を比較することにより、試料中に含まれていた測定対象物質の濃度を定量することができる。
孔径の違いにより測定の感度が異なる複数の多孔性膜を用いた場合の試料の測定結果、及び同様にして得た濃度既知の試料の測定結果を比較することにより、試料中に含まれていた測定対象物質の濃度を定量することができる。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットは、少なくとも、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」、並びに「多孔性膜」を含むものである。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットは、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」を含む。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットにおける、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」において、色素については、前記「I.試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.色素」において詳述した通りである。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットにおける、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」において、遊離状態にある色素に結合可能な物質については、前記「I.試料中の測定対象物質の測定方法」の「5.遊離状態にある色素に結合可能な物質」において詳述した通りである。
本発明において、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」のpHとしては、特に限定はなく適宜適当なpHを選択して用いることができる。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットにおける、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」には、その他の成分を適宜含有させることができる。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットにおける、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」は、1試薬よりなるものであってもよいし、又は2試薬以上の複数の試薬より構成されるものであってもよい。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットにおける多孔性膜は、前記「I.試料中の測定対象物質の測定方法」の「8.多孔性膜」において詳述した通りである。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットには、必要に応じて、「色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体、及び遊離状態にある色素に結合可能な物質を含有する試薬」、並びに「多孔性膜」以外の物を含めることができる。
本発明の試料中の測定対象物質の測定キットを用いて、試料中の測定対象物質の測定を行うことについては、前記「I.試料中の測定対象物質の測定方法」の「9.試料中の測定対象物質の測定」及び「10.試料中の測定対象物質の定量測定」に記載した通りである。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キットにおいて、試料中に測定対象物質が存在する場合に多孔性膜上に輪が現れる作用機序については明確には分かっていない。
一方、前記の遊離状態にある色素に結合可能な物質は、前記の担体に固定化された色素に結合することができる物質に結合せずに存在する色素と結合する。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キットにより、試料中のCRP(C反応性タンパク質)を測定対象物質として、このCRPの測定を行った。
遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液として、0.1mMのウシ血清アルブミン(BSA)、1.53Mの塩化ナトリウム及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
なお、ここで、BSAは、本発明における遊離状態にある色素に結合可能な物質である。
測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体として、抗CRP抗体を固定化し且つウシ血清アルブミン(BSA)を固定化したラテックス粒子を用いた。
なお、ここで、抗CRP抗体は、本発明における、測定対象物質(CRP)に対する特異的結合物質である。
また、BSAは、本発明における、色素に結合することができる物質である。
なお、前記分散液には、本発明における遊離状態にある色素に結合可能な物質であるBSAが含まれている。
色素を含む緩衝液として、135μMのエチルバイオレット(和光純薬工業社;特級)及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
なお、ここで、エチルバイオレットは、色素である。
多孔性膜として、親水性四フッ化エチレン樹脂を材質とする多孔性膜(商品名「メンブランフィルター(タイプJA;孔径1μm)〔ミリポア社〕)を用いた。
(イ)CRP不含試料
CRPを含まない試料として、生理食塩水を用意した。
CRPを含む試料として、2.0mg/dLのCRPを含む試料を用意した。
(1) 前記3の(イ)の「CRP不含試料」の10μLに、前記1の(1)の「遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液」の330μL、前記1の(2)の「測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体」の150μL、及び前記1の(3)の「色素を含む緩衝液」の10μLを、順次添加し、撹拌して混合した。
また、この多孔性膜上に輪が観察できなかった場合には、試料中にCRPが存在しないか又は測定下限値未満の濃度で存在する、すなわち陰性と判定した。
前記測定において、多孔性膜上の輪を測定した結果を図2に示した。
(1)遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液
前記実施例1の1の(1)で調製した0.1mMのBSA、1.53Mの塩化ナトリウム及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を、本実施例の「遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液」として用いた。
前記実施例1の1の(2)で調製した抗CRP抗体を固定化し且つBSAを固定化したラテックス粒子の分散液を、本実施例の「測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体」として用いた。
前記実施例1の1の(3)で調製した135μMのエチルバイオレット及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を、本実施例の「色素を含む緩衝液」として用いた。
前記実施例1の2における親水性四フッ化エチレン樹脂を材質とする多孔性膜(商品名「メンブランフィルター(タイプJA;孔径1μm)〔ミリポア化)を、本実施例の「多孔性膜」として用いた。
血清試料として、12種類のヒトの血清試料を用意した。
前記3の12種類のヒトの血清試料のそれぞれについて、前記実施例1の4の(1)〜(4)の操作の通りに測定を行った。
前記の12種類のヒト血清試料中のCRPの測定結果を表1に示した。
なお、この表において、測定結果が、多孔性膜上に輪が観察できなかったもの(陰性)は「−」と表し、多孔性膜上に輪が観察できたもの(陽性)は「+」と表し、輪の色調がより濃いものは「++」と表し、そして薄い色調の輪が観察できたもの(弱陽性)は「±」と表した。
ラテックス免疫比濁法を測定原理とする市販の試料中のCRPの測定試薬「アキュラスオート CRPII」(シノテス社)を用いた。
血清試料として、前記Iの3の12種類のヒト血清試料を用いた。
前記2の12種類のヒトの血清試料のそれぞれについて、日立7170S形自動分析装置(日立製作所社)を用いて、試料量3.6μL、第1試薬量180μL、第2試薬量60μL、測光の主波長570nm及び副波長800nm、並びに18ポイント及び34ポイントの2ポイントエンド法の測定条件において、試料中のCRPの定量測定を行った。
前記の12種類のヒト血清試料中のCRPの定量測定の結果を、これも表1に示した。
なお、この表に示した数値は、各ヒト血清試料中のCRPの定量値(mg/dL)である。
この表より、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キットによるヒト血清試料中のCRPの測定結果は、ラテックス免疫比濁法を測定原理とする市販のCRP測定試薬による定量値と、非常に良い相関を示していること、すなわち正確な測定結果が得られていることが分かる。
(1)遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液
遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液として、1.22%のポリエチレングリコール(分子量10,000)、0.1mMのウシ血清アルブミン(BSA)、1.53Mの塩化ナトリウム及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
なお、ここで、BSAは、本発明における遊離状態にある色素に結合可能な物質である。
前記実施例1の1の(2)で調製した抗CRP抗体を固定化し且つBSAを固定化したラテックス粒子の分散液を、本実施例の「測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体」として用いた。
前記実施例1の1の(3)で調製した135μMのエチルバイオレット及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を、本実施例の「色素を含む緩衝液」として用いた。
前記実施例1の2における親水性四フッ化エチレン樹脂を材質とする多孔性膜(商品名「メンブランフィルター(タイプJA;孔径1μm)〔ミリポア化)を、本実施例の「多孔性膜」として用いた。
血清試料として、CRP濃度が分かっている14種類のヒトの血清試料を用意した。
前記3の14種類のヒトの血清試料のそれぞれについて、前記実施例1の4の(1)〜(4)の操作の通りに測定を行った。
前記の14種類のヒト血清試料中のCRPの測定結果を表2に示した。
なお、この表において、測定結果が、多孔性膜上に輪が観察できなかったもの(陰性)は「−」と表し、多孔性膜上に輪が観察できたもの(陽性)は「+」と表し、輪の色調が濃くなるに従い、「+」、「++」、「+++」及び「++++」と表し、そして薄い色調の輪が観察できたもの(弱陽性)は「±」と表した。
ラテックス免疫比濁法を測定原理とする市販の試料中のCRPの測定試薬「アキュラスオート CRPII」(シノテスト社)を用いた。
血清試料として、前記1の3の14種類のヒト血清試料を用いた。
前記2の14種類のヒトの血清試料のそれぞれについて、日立7170S形自動分析装置(日立製作所社)を用いて、試料量3.6μL、第1試薬量180μL、第2試薬量60μL、測光の主波長570nm及び副波長800nm、並びに18ポイント及び34ポイントの2ポイントエンド法の測定条件において、試料中のCRPの定量測定を行った。
前記の14種類のヒト血清試料中のCRPの定量測定の結果を、これも表2に示した。
なお、この表に示した数値は、各ヒト血清試料中のCRPの定量値(mg/dL)である。
この測定結果の表からも、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キットによるヒト血清試料中のCRPの測定結果は、ラテックス免疫比濁法を測定原理とする市販のCRP測定試薬による定量値と、非常に良い相関を示していること、すなわち正確な測定結果が得られていることが分かる。
すなわち、ヒト血清試料中のCRPの測定の測定下限値は、約0.04mg/dLであった。
◎ 色素水溶液
エチルバイオレット(和光純薬工業社;特級)を純水に溶解し、270μMのエチルバイオレットを含む「色素水溶液」を調製した。
遠心力を利用し限外ろ過膜により分子量が30,000以上の物質とそれ未満の物質を分離する「遠心式限外ろ過器具」として、商品名「アミコン・ウルトラ−15(分画分子量:30,000)」〔ミリポア社〕を用いた。
次のものを色素との結合を確かめる対象とした。
前記実施例1の1の(2)における平均粒径0.1μmのラテックス粒子の10%懸濁液に純水を加え、これを遠心した後上清を除き、その後純水を加え再度遠心した後上清を除く処理を2回繰り返した後、純水に懸濁し、ラテックス粒子の0.1%懸濁液を調製した。
前記の実施例1の1の(2)における平均粒径0.1μmのラテックス粒子の10%懸濁液に、0.1mMのBSAを含む10mMホウ酸緩衝液(pH8.2)を加え懸濁し、37℃で2時間静置し、ラテックス粒子にBSAを固定化した。
これを遠心分離により沈殿部を回収した後、純水を加え、これを遠心した後上清を除き、その後純水を加え再度遠心した後上清を除く処理を2回繰り返した後、純水に懸濁し、BSAを固定化したラテックス粒子の0.1%懸濁液を調製した。
前記の実施例1の1の(1)で用いたBSAを純水に溶解し、0.1mMのBSA水溶液を調製した。
これを検討対象の一つである「BSA水溶液」とした。
検討対象である前記3の(イ)の「ラテックス粒子」の450μLと、前記1の「色素水溶液」の50μLを混合した後、この混合液を前記2の「遠心式限外ろ過器具」に添加し、1分間静置した。
ろ液の色調は、検討対象が(イ)「ラテックス粒子」の場合には、濃い青色であったが、検討対象が(ロ)「BSAを固定化したラテックス粒子」の場合及び(ハ)「BSA水溶液」の場合においては、僅かに薄い青色が認められるにとどまった。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定キットにおいて、遊離状態にある色素に結合可能な物質の効果の確認を行った。
遊離状態にある色素に結合可能な物質を含まない緩衝液として、1.53Mの塩化ナトリウム及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
遊離状態にある色素に結合可能な物質を含む緩衝液として、0.1mMのBSA、1.53Mの塩化ナトリウム及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
なお、ここで、BSAは、本発明における遊離状態にある色素に結合可能な物質である。
測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体として、抗CRP抗体を固定化し且つBSAを固定化したラテックス粒子を用いた。
また、BSAは、本発明における、色素に結合することができる物質である。
色素を含む緩衝液として、135μMのエチルバイオレット(和光純薬工業社;特級)及び0.05%のアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔pH7.0(20℃)〕を調製した。
なお、ここで、エチルバイオレットは、色素である。
多孔性膜として、親水性四フッ化エチレン樹脂を材質とする多孔性膜(商品名「メンブランフィルター(タイプJA;孔径1μm)〔ミリポア化)を用いた。
◎ CRP不含試料
CRPを含まない試料として、生理食塩水を用意した。
(1) 前記3の「CRP不含試料」の10μLに、前記1の(1)の「遊離状態にある色素に結合可能な物質を含まない緩衝液」の330μL、前記1の(2)の「測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つ色素に結合することができる物質を固定化した担体」の150μL、及び前記1の(3)の「色素を含む緩衝液」の10μLを、順次添加し、撹拌して混合した。
前記測定において、多孔性膜上の輪を測定した結果を図3に示した。
Claims (8)
- 下記の各工程よりなる、試料中の測定対象物質の測定方法。
(a) 試料、エチルバイオレット、ローダミンB、エリスロシンB、エオシン又はクーマシーブリリアントブルーからなる群より選ばれる色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つタンパク質を固定化した担体、及び遊離状態にあるタンパク質を接触させる工程、
(b) 前記接触後、その一定量を多孔性膜上に添加する工程、及び
(c) 前記多孔性膜上に現れる輪を測定する工程 - 測定対象物質に対する特異的結合物質が、測定対象物質が抗原である場合には当該抗原に特異的に結合する抗体であり、測定対象物質が抗体である場合には当該抗体に特異的に結合する抗体又は当該抗体にとっての抗原である、請求項1記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
- 担体が粒子である、請求項1又は請求項2記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
- 工程(c)の多孔性膜上に現れる輪の測定において、多孔性膜上に輪が観察できた場合には試料中に測定対象物質が測定下限値以上の濃度で存在すると判定し、多孔性膜上に輪が観察できなかった場合には試料中に測定対象物質が存在しないか又は測定下限値未満の濃度で存在すると判定する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
- エチルバイオレット、ローダミンB、エリスロシンB、エオシン又はクーマシーブリリアントブルーからなる群より選ばれる色素、測定対象物質に対する特異的結合物質を固定化し且つタンパク質を固定化した担体、及び遊離状態にあるタンパク質を含有する試薬、並びに多孔性膜を含む、試料中の測定対象物質の測定キット。
- 測定対象物質に対する特異的結合物質が、測定対象物質が抗原である場合には当該抗原に特異的に結合する抗体であり、測定対象物質が抗体である場合には当該抗体に特異的に結合する抗体又は当該抗体にとっての抗原である、請求項5記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
- 担体が粒子である、請求項5又は請求項6記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
- 多孔性膜上に輪が観察できた場合には試料中に測定対象物質が測定下限値以上の濃度で存在すると判定し、多孔性膜上に輪が観察できなかった場合には試料中に測定対象物質が存在しないか又は測定下限値未満の濃度で存在すると判定するものである、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の試料中の測定対象物質の測定キット。
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