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JP4672333B2 - タイヤ識別装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明はタイヤ識別装置および方法に関する。さらに詳しくは、タイヤのドライビングスティフィネスレベルを識別し、車両制御に応用したり、車両の安全性を高めるために用いられるタイヤ識別装置および方法に関する。
タイヤには、排水性などを考えて、縦溝と横溝が彫ってあるため、これらの溝に囲まれたゴムブロックが形成されている。このゴムブロックが大きいと、前後左右にせん断変形しにくく、剛性も大きいため、一般に大きなブロックからなるトレッドパターンをもったタイヤをパターン剛性の大きなタイヤという。また、ゴムの配合によってもパターン剛性は大きく左右される。一般に夏タイヤはパターン剛性が大きく、冬タイヤはパターン剛性が小さい。
パターン剛性の大小は、コーナリングパワーやコーナリングフォースのほか、スリップ率に大きな影響を及ぼすため、タイヤの回転情報をもとにして車両の性能や安全性を高める装置、たとえばABS(アンチブロックブレーキングシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)またはいわゆる間接式のタイヤ空気圧低下警報装置などにおいて、タイヤの回転情報を基にして車両の挙動を推定するには、タイヤのパターン剛性を把握しておくことは重要である。
またタイヤの回転速度の変化からタイヤの内圧低下を検知する間接式の空気圧低下警報装置は、タイヤの空気圧が低下すると、タイヤの動荷重半径が小さくなり、正常な空気圧のタイヤと比較して、回転速度が速くなることを応用したもので、たとえば特許文献1では、タイヤの回転速度の相対的な差から内圧低下を検出する方法が提案されている。この場合、タイヤの回転速度は、旋回、加減速、荷重または車両の速度などに影響されるため、これらの影響を取り除くために様々な工夫がなされている。さらにこれらのタイヤ空気圧低下警報装置などは、新車に装着されタイヤに合わせて旋回時の補正係数などの車両ファクターをチューニングしているが、大きく仕様の異なる夏タイヤから冬タイヤまたは冬タイヤから夏タイヤに交換された場合、車両の挙動の推定が初期チューニングと大きくかけ離れてしまい、ドライバーへ提供される正確な情報を確保できない惧れがある。そのために、夏タイヤと冬タイヤで初期チューニングを行ない、その平均値を車両ファクターとする方法があるが、この場合でも内圧検知の精度が低下してしまう。
したがって、現在装着されているタイヤが夏タイヤか冬タイヤか、またはトレッドが磨耗したようなタイヤなのかといったパターン剛性がどれくらいの大きさであるかを識別し、それに応じて自動的に車両ファクターが書き換わる方法が最適といえる。
その方式としてたとえば、差動制限装置(LSD)装着車に限っては、特許文献2において夏タイヤと冬タイヤの識別方法が記されている。
また差動制限装置が装着されていなくても、夏タイヤと冬タイヤの違いを識別する方法としては、タイヤのμ−s曲線の立ち上がり勾配(ドライビングスティフィネス)を測定する方法や、車両の加速度とタイヤのスリップ率の関係の1次回帰係数を所与の値と比較してタイヤ剛性を判定する方法がある(特許文献3)。
そのほか、前輪の回転速度と後輪の回転速度の比を、あらかじめタイヤの種類ごとに計測されたデータに基づいて作成された車両速度−前後輪比関数と比較することによって、タイヤの種類を判別する方法(特許文献4)や、タイヤ種別を運転者が指定する方法として特許文献5がある。
特開平7−149119号公報 特開2000−79812号公報 特開2002−181669号公報 特開平9−188114号公報 特開2004−98877号公報
タイヤ内圧警報装置において自動的に装着されているタイヤが夏タイヤか冬タイヤかが識別できれば、その検知精度を大きく向上することができるが、タイヤのμ−s曲線の立ち上がり勾配からタイヤを識別する場合、立ち上がり勾配は、トレッドのパターン剛性だけでなく、路面の摩擦係数によっても異なるため、測定する路面を限定するなどしない限りタイヤの識別に応用することは難しいのが現状である。
特許文献2の方法は、差動制限装置が装着されている車両に制限される。特許文献3の方法は、車両速度を算出するために従動輪が必要であり、4輪駆動車には適用できない。
本発明は、叙上の事情に鑑み、4輪駆動車においても装着されているタイヤが夏タイヤか冬タイヤかを識別することができるタイヤ識別装置および方法を提供することを目的とする。
本発明のタイヤ識別装置は、車両に装着された車輪の回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する車輪速度演算手段と、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から前記車両の速度および加速度を演算する加速度演算手段と、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別するタイヤ識別手段とを備えてなることを特徴とする。
また本発明のタイヤ識別方法は、車両に装着された車輪の回転速度を検出する工程と、前記回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する工程と、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から車両速度および前記車両の加速度を演算する工程と、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算する工程と、前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別する工程とを備えてなることを特徴とする。
さらに、本発明のタイヤ識別プログラムは、車両に装着されているタイヤを識別するためにコンピュータを、車両に装着された車輪の回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する車輪速度演算手段、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から前記車両の速度および加速度を演算する加速度演算手段、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段、および前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別するタイヤ識別手段として機能させることを特徴とする。
本発明では、車輪速度とは車輪の回転角速度×タイヤの動荷重半径である。
本発明によれば、車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から4輪駆動車においても装着されているタイヤの種類や磨耗しているかどうかを判定することができる。後述する実施例でいえば、スバル レガシィにおいて、夏タイヤでは車両加速度に対するスリップ率の1次回帰係数が0.0282であり、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の場合の1次回帰係数は、0.0761となって、タイヤの種別を正確に判定することができた。
車両に装着されたタイヤの種類を判定した結果、正しいタイヤ剛性をABS装置やTRC装置に設定することによって、より的確な車両制御を行なうことができる。また、磨耗度が進んだタイヤの場合は運転者に警告して、タイヤ交換を促すことができる。
本発明によれば、4輪駆動車のように従動輪が存在しない車両でも、装着しているタイヤがスタッドレスタイヤのような剛性の小さいタイヤなのか、夏タイヤのような比較的剛性の大きいタイヤなのか、またはトレッドが磨耗し非常に剛性の大きいタイヤなのかといった、タイヤの剛性の違いによるタイヤ識別が可能である。4輪駆動車においてもタイヤの識別をすることができるため、タイヤの剛性の違いを車両制御に自動的に反映できる。またタイヤの回転速度を減圧の判定に用いる空気圧低下警報装置において、タイヤの減圧の検知精度を向上させることができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ識別装置および方法を説明する。
図1は本発明のタイヤ識別装置の一実施の形態を示すブロック図、図2は図1におけるタイヤ識別装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ識別装置は、4輪車両のタイヤFL、FR、RLおよびRRにそれぞれ設けられた車輪タイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段である車輪速センサ1を備えており、この車輪速センサ1の出力は、ABSなどの制御ユニット2に伝達される。また、GPS受信機4から衛星信号が制御ユニット2に伝達される。なお、タイヤ交換した際などに運転者によって、操作される初期化スイッチ3を備えていてもよい。
前記車輪速センサ1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転速度を測定するセンサなどを用いることができる。
前記制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
本実施の形態では、前記制御ユニット2に、前記車輪速センサ1による測定値から駆動輪の平均車輪速度を算出する車輪速度演算手段と、当該車両に搭載されたGPS受信機4によって受信される衛星信号から前記車両の速度および加速度を演算する加速度演算手段と、前記車両の走行距離を演算する走行距離演算手段と、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車両の加速度とスリップ率をそれぞれ移動平均化する移動平均演算手段と、前記演算した走行距離が所定の距離に達するまでの移動平均化した車両の加速度とスリップ率のデータを蓄積および演算し、加速度とスリップ率の1次の回帰係数と相関係数を求める回帰係数演算手段と、前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて、現在装着しているタイヤを識別するタイヤ識別手段とを備えている。なお、本実施の形態では、車両の速度を演算する速度演算手段により演算した走行距離が所定の距離に達するまでの、移動平均化した車両の加速度とスリップ率のデータを蓄積および演算し、車両加速度と駆動輪スリップ率の1次の回帰係数と相関係数を求めることについて説明するが、本発明においては、これに限定されるものではなく、前記走行距離に代えて、蓄積時間または蓄積データ数などを用いて、移動平均化された車両の加速度とスリップ率との1次の回帰係数と相関係数を求めることもできる。この場合、前記走行距離演算手段に代えて蓄積時間または蓄積データ数などを演算する蓄積数演算手段を備えるとともに、蓄積時間または蓄積データ数などを用いて、移動平均化された車両の加速度とスリップ率との1次の回帰係数と相関係数を求める演算手段を備える。
一般に冬タイヤとは、雪路走行が可能なように、トレッドパターンや材料を変えたタイヤで、サイドウォール部に、たとえば“SNOW”、“M+S”、“STUDLESS”、“ALL WEATHER”、“ALL SEASON”などの表示があるタイヤであり、夏タイヤとは、冬タイヤとは違い、サイドウォール部に前記のような表示がないタイヤのことであるが、本明細書においては夏タイヤと冬タイヤの違いは、かかる表示の有無に限らずトレッドのパターン剛性の大きさが違うことも含まれる。すなわち車両制御やタイヤの内圧検知精度に影響を及ぼすパターン剛性の大きいタイヤが夏タイヤであり、パターン剛性の小さいタイヤが冬タイヤである。
本実施の形態では、前記4輪のタイヤの回転速度を0.1秒以下、好ましくは0.05秒以下で検出する。前記車両速度および走行距離は、GPS受信機の衛星信号から演算する。車両速度はGPS受信機の位置情報から、その変化率として算出できる。または、GPS受信電波のドップラーシフト周波数から車両速度を算出してもよい。一般にはドップラーシフト周波数から速度を算出する方が、位置情報から速度を算出するより精度が高い。車両加速度は車両速度の変化率として算出できる。また前記車両の加速度は、加速度センサで測定することもできるが、前記車両速度を微分して演算するのがコスト面から好ましい。スリップ率は、たとえば(車輪速度/車両速度−1)から演算することができる。
ついで前記車両の加速度およびスリップ率を一定時間分のデータ、たとえば少なくとも0.1秒分以上のデータの平均値として、サンプリング時間ごとに移動平均化して求め、この移動平均された値(一定個数のスリップ率と車両の加速度)を求める。
さらに前記走行距離が所定の距離に達するまで前記移動平均された車両の加速度およびスリップ率のデータを蓄積し、この蓄積したデータを用いて、スリップ率と車両の加速度との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める。
以下、本実施の形態のタイヤ識別装置の動作を手順(a)〜(h)に沿って説明する。
(a) 車両の4輪タイヤFL、FR、RLおよびRRのそれぞれの回転速度から車輪速度(V1n、V2n、V3n、V4n)を算出する。ここで、添え字nは時間系列の順序を表わす。
たとえば、ABSセンサなどのセンサから得られた車両の各車輪タイヤFL、FR、RL、RRのある時点の車輪速データを車輪速度V1n、V2n、V3n、V4nとする。
(b) ついで従動輪および駆動輪の平均車輪速度(Vfn、Vdn)を演算する。
前輪駆動の場合、ある時点の従動輪および駆動輪の平均車輪速度Vfn、Vdnをつぎの式(1)、(2)により求められる。
Vfn=(V3n+V4n)/2 ・・・(1)
Vdn=(V1n+V2n)/2 ・・・(2)
4輪駆動の場合は、駆動輪の平均車輪速度のみ次式で算出する。
Vdn=(V1n+V2n+V3n+V4n)/4 ・・・(3)
(c) ついで車両の単位時間の走行距離をつぎの式(4)により演算する。
DIST=Vn × Δt ・・・(4)
ここで、Δtは衛星信号から算出される車両速度VnとVn-1の時間間隔(サンプリング時間)である。または、GPSの位置情報の変化(距離)を積算して走行距離を求めてもよい。
(d) ついで車両の加速度Afnを演算する。
前記車両速度Vnと1つ前の車両速度Vn-1から、重力加速度を単位とする車両の加速度Afnはつぎの式(5)で求められる。
Afn=(Vn−Vn-1)/Δt/g ・・・(5)
ここで、Δtは車輪速データから算出される車輪速度VfnとVfn-1の時間間隔(サンプリング周期)であり、gは重力加速度である。前記サンプルング周期としては、データのばらつきを小さくし、かつ短時間で判別するためには、0.1秒以下である必要がある。より好ましくは、0.05秒以下である。
(e) ついで前記車両の加速度Afnの値に応じて、スリップ率を演算する。
まず、加速状態(Afn>0)で、駆動輪がロックして車両が滑ること(Vdn=0、Vn≠0)や、減速状態(Afn<0)で、車両が停止して駆動輪がホイールスピンを起こすこと(Vn=0、Vdn≠0)は、起こり得ないものとして、スリップ率Snをつぎの式(6)から演算する。
n=(Vdn−Vn)/Vdn ・・・(6)
Vdn=0またはVn=0の場合は、データに算入しない。
(f) ついで車両の加速度およびスリップ率のデータをサンプリング時間ごとに移動平均化処理する。
回帰直線を求める場合、一定以上のデータ数がなければ、得られた回帰係数の信頼性が劣る。そこで、サンプリング時間、たとえば数十msごとにデータをサンプリングし、このサンプリング時間で得られたばらつきの大きいデータを移動平均することにより、データの数を減らさずに、データのばらつきを小さくすることができる。ここで、Nはデータ数である。
スリップ率については、
MSn=(S1+S2+・・・+Sn)/N ・・・(7)
MSn+1=(S2+S3+・・・+Sn+1)/N ・・・(8)
MSn+2=(S3+S4+・・・+Sn+2)/N ・・・(9)
車両の加速度については、
MAfn=(Af1+Af2+・・・+Afn)/N ・・・(10)
MAfn+1=(Af2+Af3+・・・+Afn+1)/N ・・・(11)
MAfn+2=(Af3+Af4+・・・+Afn+2)/N ・・・(12)
(g) ついで前記走行距離が所定の距離に達するまでデータ(移動平均された車両の加速度およびスリップ率)を蓄積する。そして、このスリップ率と車両の加速度との互いの1次の回帰係数、すなわちスリップ率の車両の加速度に対する回帰係数K1と車両の加速度のスリップ率に対する回帰係数K2をそれぞれつぎの式(13)、(14)から求める。
Figure 0004672333
また相関係数Rは、
R=K1×K2 ・・・(15)
となる。
(h) 前記手順により求めた相関係数Rが所定の値(たとえば0.9)以上の回帰係数K1または回帰係数K2(以下、回帰係数K1について説明する。)を所定個数蓄積し、その平均値を求めてタイヤ識別係数とする。相関係数Rが所定の値未満の場合は、回帰係数データを破棄する。さらに、この回帰係数K1の平均値に車両定数Wr/Wを乗じた値をタイヤ識別係数としてもよい。ここで、Wは車両重量であり、Wrは駆動輪荷重である。これは、車体の加速に要する駆動力F(F=W×Afn)は、駆動輪と路面とのあいだの摩擦力により決まるので、路面の摩擦係数μを用いてF=μ×Wrとなり、Afn=μ×Wr/Wと表わすことができる。そこで、車両定数Wr/Wを乗ずることで、車両間の差を補正することができる。ただし、4輪駆動車では車両定数は1である。また、走行中絶えずタイヤ識別係数を求め、更新していくことも可能である。その場合は、相関係数Rが所定以上である回帰係数が得られると、まずタイヤ識別係数を演算し、さらに、それまでのタイヤ識別係数を平均化して求める方法がよい。これにより、タイヤの経時変化などにも対応可能である。すなわち、冬タイヤでも磨耗したり、経年変化でトレッドゴムの硬度が大きくなった場合に対応することができる。たとえば、まず一番はじめに得られたタイヤ識別係数が0.059で、つぎに新たなタイヤ識別係数0.057が得られると、タイヤ識別係数は(0.059+0.057)/2=0.058となる。さらに、新たなタイヤ識別係数0.055が得られると、タイヤ識別係数は、(0.059+0.057+0.055)/3=0.057となる。そして、このタイヤ識別係数が、たとえば0.05以上の場合は冬タイヤとすることができる。このしきい値(0.05)は今までの実験値より求められる。
タイヤ剛性はあらかじめ車両ごとに設定しておいた判定値と比較することによって、判定することができる。
また、タイヤの剛性は急には変化しないので、絶えず演算する必要はないが、トレッドの磨耗やゴムの経年変化などによって剛性が変化するので、たとえば所定の走行距離もしくは所定の時間ごとに定期的に演算、判定することが望ましい。たとえば、走行距離1,000kmごととか、1ヶ月ごとにタイヤ識別を行なうとよい。
つぎに本発明のタイヤ識別装置を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
まず4輪駆動車に夏タイヤまたは冬タイヤを装着した。
車両はスバル レガシィを使用した。
夏タイヤは、住友ゴム工業(株)製 SP9000であり、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)は、住友ゴム工業(株)製 DS−2であった。
GPSセンサとして、レースロジック社製VBOXを使用し、サンプリング周期は0.05秒とした。
ついで前記手順にしたがって、車両の4輪タイヤのそれぞれの回転速度から車輪速度を算出し、駆動輪(本実施例では、4輪駆動車なので4輪)の平均車輪速度Vdを求めた。つぎに、GPSセンサで受信した衛星信号から、車両速度Vと、車両の加速度Aを演算した。本実施例では、車両速度はGPS受信電波のドップラーシフト周波数から算出した。駆動輪平均車輪速度Vdと車両加速度Aからスリップ率Sを算出した。
S = (Vd−V)/Vd
走行距離が1000mごとの車両の加速度に対するスリップ率の1次の回帰係数K1および相関係数Rを求めた。このとき、相関係数Rが0.9以上の場合の回帰係数K1を10個蓄積し、その平均値よりタイヤを識別した。
車両の加速度とスリップ率の関係およびその回帰直線を図3に示す。
夏タイヤの場合の車両加速度に対するスリップ率の1次回帰係数は、0.0282であった。また、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の場合の1次回帰係数は、0.0761であった。あらかじめ車両ごとに各タイヤ剛性に対する1次回帰係数の範囲を設定しておき、装着されているタイヤの剛性レベルと比較して、タイヤの種類を判定する。たとえば、本実施例のレガシィの場合、つぎの表1のように1次回帰係数の範囲を設定した。
Figure 0004672333
表1と前記1次回帰係数とを比較すると、夏タイヤとスタッドレスタイヤが正しく判定できることがわかる。
剛性レベルに応じて、たとえば空気圧低下警報装置の計算に使用されるファクターを更新する。また、定期的に剛性レベルを検出することによって、タイヤの磨耗が進んだ場合や、スタッドレスタイヤでゴムが経年変化などにより硬くなって剛性が変化した場合にも、ファクターを自動的に更新することができた。
比較例
実施例と同じ車両とタイヤを使用し、GPSセンサを使用せずに、車輪速度のみで車両加速度とスリップ率を演算した場合の結果を図4に示す。
4輪の平均車輪速度を車両速度とし、車両速度から車両の加速度を演算した。スリップ率Sは、前輪の平均車輪速度Vfと後輪の平均車輪速度Vrの比として演算した。
S = (Vr−Vf)/Vr
スリップ率に対する車両加速度の1次の回帰係数を算出したが、タイヤの違いによる回帰係数の差はほとんどなく、また、いずれの場合もスリップ率と車両加速度に相関がみられなかった(すなわち、相関係数が小さかった)。
本発明のタイヤ識別装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1におけるタイヤ識別装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施例において、GPS受信情報から算出した車両加速度に対する駆動輪のスリップ率をプロットしたグラフである。 本発明の比較例において、車輪速度から算出した車両加速度に対して、前輪と後輪の車輪速度差を後輪車輪速度で除した値をプロットしたグラフである。
符号の説明
1 車輪速センサ
2 制御ユニット
3 初期化スイッチ
4 GPS受信機
FL、FR、RL、RR タイヤ

Claims (3)

  1. 車両に装着された車輪の回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する車輪速度演算手段と、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から前記車両の速度および加速度を演算する加速度演算手段と、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別するタイヤ識別手段とを備えてなる4輪駆動車用タイヤ識別装置。
  2. 車両に装着された車輪の回転速度を検出する工程と、前記回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する工程と、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から車両速度および前記車両の加速度を演算する工程と、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算する工程と、前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別する工程とを備えてなる4輪駆動車用タイヤ識別方法
  3. 車両に装着されているタイヤを識別するためにコンピュータを、車両に装着された車輪の回転速度から駆動輪の平均車輪速度を算出する車輪速度演算手段、当該車両に搭載されたGPS受信機によって受信される衛星信号から前記車両の速度および加速度を演算する加速度演算手段、前記駆動輪平均車輪速度と前記車両速度から駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段、および前記車両の加速度と駆動輪のスリップ率との関係の1次の回帰係数から得られるタイヤの前後剛性に基づいて現在装着しているタイヤを識別するタイヤ識別手段として機能させる4輪駆動車用タイヤ識別のためのプログラム。
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