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JP4666333B2 - 突起物を有する施工面の舗装材敷均方法及び舗装材敷均機械 - Google Patents

突起物を有する施工面の舗装材敷均方法及び舗装材敷均機械 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルト舗装等における舗装材敷均方法及び舗装材敷均機械に関し、特にマンホール等の突起物が存在する施工面にアスファルト混合物等の舗装材を敷均す舗装材敷均方法及び舗装材敷均機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路や広場等におけるアスファルト舗装は、通常、基層と表層の2層構造からなり、アスファルトフィニッシャ等の敷均機械で基層を敷均してローラで転圧した後、表層を敷均してローラで転圧するという方法で行われる。
敷均機械は、自走可能な車両にホッパ、バーフィーダ、スプレッダ及びスクリードを前方から後方に亙って搭載してなり、ホッパに貯留された舗装材をバーフィーダで後方に搬送して施工面上に排出し、排出された舗装材をスプレッダによって左右方向に敷き拡げ、その上をスクリードで押圧するという作業を、その移動に伴って順次行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基層の敷均しの場合は、施工面上(即ち、路盤上)にマンホール等の突起物が存在する場合が多く、かかる突起物によって敷均機械(特に、スクリード)の走行が妨害され、機械による敷均しができないという不都合があった。
この為、突起物に当接する装置(例えば、スクリード等)を突起物の上方に持ち上げた状態で突起物の存在領域を通過し、機械による敷均しができなかった当該領域については、別工程による敷均しを行っていた。
【0004】
つまり、突起物の存在領域においては、舗装材を突起物の周りに隙間なく詰め込みつつ均一高さに敷き拡げ、その上を押圧するという作業を、手作業や小型機械によって行っていた訳であるが、かかる作業は煩雑である上に、押圧が不十分であるが故に舗装面が経時的に低下したり、押圧が不均一であるが故に舗装面が平坦でなかったりして、良好な舗装面が形成されにくかった。
【0005】
又、工程数が多くなるので、作業が長期化するといった不都合や、作業中に舗装材の温度が低下し、作業性が悪化したり、舗装表面に粗さが生じるといった不都合、或いは、多くの作業員を必要とするといった不都合があった。
そこで、本発明は、突起物を有する施工面における敷均し作業を迅速且つ容易に行うことができ、突起物の存在領域において、敷均機械による通常の敷均しに匹敵する舗装面の形成が可能な舗装材敷均方法及び舗装材敷均機械の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決する為に、請求項1に係る突起物を有する施工面の舗装材敷均方法は、自走可能な車両に、少なくとも、舗装材を施工面上に供給する舗装材供給装置と、夫々が昇降可能であって進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板と、昇降可能なスクリードと、を車両進行方向前方から順に搭載してなる敷均機械を使用し、施工面上に突出する突起物の前方及び後方においては、前記スクリードを所定の敷均高さに位置づけ、該スクリードにより前記舗装材を敷均す一方、前記突起物の存在領域においては、前記スクリードを前記突起物よりも上方に位置づけると共に、前記突起物に当接する位置の特定ブレード板を前記突起物よりも上方に位置づけた状態で、前記特定ブレード板以外のブレード板を所定の切均高さに位置づけて前記舗装材を切均す。
【0007】
請求項2に係る突起物を有する施工面の舗装材敷均方法は、自走可能な車両に、少なくとも、舗装材を施工面上に供給する舗装材供給装置と、夫々が少なくとも進行方向前方からの外力によって撓曲可能であり、進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板と、昇降可能なスクリードと、を車両進行方向前方から順に搭載してなる敷均機械を使用し、施工面上に突出する突起物の前方及び後方においては、前記スクリードを所定の敷均高さに位置づけ、該スクリードにより前記舗装材を敷均す一方、前記突起物の存在領域においては、前記スクリードを前記突起物よりも上方に位置づけると共に、全てのブレード板を所定の切均高さに位置づけ、該ブレード板により前記舗装材を切均す。
【0008】
請求項3に係る突起物を有する施工面の舗装材敷均機械は、自走可能な車両に、少なくとも、舗装材を貯留し施工面上に排出する舗装材供給装置と、該舗装材供給装置の後方に設けられると共に、夫々が昇降可能であって進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板を有し、所定の切均高さに位置づけられた該ブレード板の下端部において前記舗装材を切均すブレード装置と、該ブレード装置の後方に設けられると共に、昇降可能なスクリードを有し、所定の敷均高さに位置づけられた該スクリードの下面部において前記舗装材を押圧するスクリード装置と、を搭載してなる。
【0009】
請求項4に係る突起物を有する施工面の舗装材敷均機械は、自走可能な車両に、少なくとも、舗装材を貯留し施工面上に排出する舗装材供給装置と、該舗装材供給装置の後方に設けられると共に、夫々が進行方向前方からの外力によって撓曲するブレード板を、進行方向に直交する方向に複数並べて構成され、所定の切均高さに位置づけられた該ブレード板の下端部において前記舗装材を切均すブレード装置と、該ブレード装置の後方に設けられると共に、昇降可能なスクリードを有し、所定の敷均高さに位置づけられた該スクリードの下面部において前記舗装材を押圧するスクリード装置と、を搭載してなる。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1に係わる敷均方法は、突起物の前方及び後方においては、スクリードによって舗装材を敷均し、突起物の存在領域では、ブレード板のうち特定ブレード板を突起物の上方に位置させた状態で、該特定ブレード板以外のブレード板を切均高さに位置付けて、切均作業を行う。
【0011】
この際、突起物の前方及び後方において、スクリードによる敷均しと同時に、ブレード板による舗装材の切均しを行ってもよい。かかる場合は、当初全てのブレード板を切均高さに位置づけておき、特定ブレード板が突起物の手前に来た時点で、特定ブレード板を上昇させ、突起物を通過した時点で初期位置(即ち、切均高さ)に戻す。
【0012】
本発明によれば、突起物の存在領域のうち、特定ブレード板が位置していた領域(以下、この領域を「突起物周りの領域」という)の敷均作業と、特定ブレード板以外のブレード板が位置していた領域(以下、この領域を「突起物の側方領域」という)の押圧作業のみを、別工程で行えばよいこととなる。
突起物の側方領域の押圧は、切り均された状態の舗装材を押圧するという簡単な作業なので、突起物の存在領域の施工面全幅において、均一高さに舗装材を敷き拡げて押圧するという多大な作業を行う必要があった従来方法に比べ、良好な舗装面を、迅速且つ容易に形成することができる。
【0013】
請求項2に係わる敷均方法は、突起物の前方及び後方においては、スクリードによって舗装材を敷均し、突起物の存在領域では、全てのブレード板を切均高さに位置づけた状態で、このブレード板によって切均作業を行う。
この際、ブレード板のうちの幾つかは突起物に当接するが、ブレード板は、前方からの外力を受けて撓曲するように構成されているので、突起物の存在によって敷均機械の通過が妨げられるという事態は生じない。
【0014】
従って、ブレード板を個別に昇降させる必要がないので、敷均機械の操作方法や敷均作業自体が簡略化される。
又、ブレード板が撓曲するのは、突起物に当接している時のみであって、突起物を通過した直後に、ブレード板は元の状態(即ち、下端部が所定の切均高さに設定された状態)に復帰するので、マンホール周りの殆どの部位において切均作業が施されることとなる。
【0015】
又、ブレード板は、突起物に摺接した状態で前方へと移動していくので、突起物上の舗装材の全てを前方又は側方へと押しやることができ、突起物上には舗装材が残留しなくなる。
従って、本発明によれば、マンホール周りの未切均しの部分が少なくなる上、突起物上の舗装材を除去する作業が不要となるので、別工程による作業分が大幅に削減される。これにより、作業時間が短縮され、敷均高さの精度が向上される。
【0016】
尚、マンホールの前方及び後方において、スクリードによる敷均しと同時に全てのブレード板による切均しを行ってもよい点は、請求項1に係る発明と同様である。
請求項3に係る舗装材敷均機械は、舗装材供給装置によって舗装材を施工面上に排出し、該舗装材をブレード装置によって切均し、切均された舗装材をスクリード装置によって押圧するという作業を、車両の走行に伴って行うものである。
【0017】
舗装材供給装置は、例えば、舗装材を貯留するホッパと、舗装材を搬送し施工面上に排出するフィーダと、施工面上に排出された舗装材を左右方向に敷き広げるスプレッダ等とを含んで構成してもよい。又、舗装材供給装置が、舗装材を均一高さに供給可能な構成であるならば、ブレード装置による切均作業を省略してもよい。
【0018】
走行の障害となるもの(即ち、突起物)が施工面上に存在する場合は、突起物に当接する装置(即ち、スクリード、特定ブレード板等)を突起物の上方に位置させ、特定ブレード板以外のブレード板によって、突起物の側方領域を切均す。
従って、従来の敷均しにおいては、突起物が存在する全ての領域において、切均作業と押圧作業の双方を別途行う必要があったが、本発明によれば、特定ブレード板の部位(即ち、突起物周りの領域)のみを従来の作業で行えば、それ以外の側方領域は、押圧作業のみで済むので、手作業分を大幅に削減できる。
【0019】
請求項4に係る舗装材敷均機械は、ブレード装置のブレード板を、進行方向前方からの外力を受けて撓曲可能に構成したので、全てのブレード板を切均高さに設定した状態であっても、突起物上を通過できる。
従って、ブレード板を個々に昇降させる必要がないので、ブレード板毎に昇降装置を設ける必要もなく、ブレード装置の構造、ブレード装置の操作方法を簡略化できる。
【0020】
又、突起物周りの殆ど全範囲が切均された状態になる上、突起物の上面には舗装材が殆ど残留しないので、別途工程による作業分が大幅に削減され、作業時間が短縮されると共に敷均高さの精度が向上される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明の第1実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械1は、自走可能な車両であって、動力装置(図示しない)、動力伝達装置(図示しない)、走行装置2、各種操作装置3等を有する車体本体4に、車体進行方向(図中A方向)前方から後方に亙り、舗装材供給装置10、ブレード装置20、スクリード装置30をこの順に搭載したものである。
【0022】
舗装材供給装置10は、ホッパ11、バーフィーダ12及びスプレッダ13を含んで構成される。
ホッパ11は、車体最前方に配設され、内部に舗装材を貯留し排出口からバーフィーダ12上へと排出する。
バーフィーダ12は、ホッパ11の排出口の下方に配設され、その搬送部によって舗装材を車体後方へと搬送し、その後端部において施工面5上に排出する構成である。尚、ホッパ11が車体後方に舗装材を排出できる構成であるならば、必ずしもバーフィーダ12は必要ではない。
【0023】
スプレッダ13は、車体4の後方に配設され、施工面の幅Wに対応する長さの主軸13aを有する。即ち、進行方向左右方向に主軸13aが延び、主軸中央から相対する方向へ夫々逆向きに羽根13bを螺設した、所謂スクリュー状のものであり、施工面上に排出された舗装材を左右両方向に搬送する構成である。尚、ホッパ11或いはバーフィーダ12が施工面全幅Wに舗装材を排出できる構成であるならば、必ずしもスプレッダ13は必要ではない。
【0024】
ブレード装置20は、スプレッダ13の後方に設けられており、複数のブレード板21と、夫々のブレード板21に取り付けられたシリンダ装置22と、それらのシリンダ装置22を支持するフレーム23と、を含んで構成される。
ここで、ブレード装置20の構成を、図2を参照して詳述する。尚、図2は、図1(b)のB−B’線部分断面図であり、施工面5上に排出された舗装材6が敷き均される状態を示したものである。
【0025】
フレーム23は、横桟部材23aと2本のアーム23bとによって構成され、2本のアーム23bを介して車体後部に取付けられている。
横桟部材23aは、進行方向に直交する方向に延び、施工幅に対応する長さを有する。該横桟部材23aには、複数のシリンダ装置22が、作動ロッド22aを下方に向けた状態で、等間隔に取り付けられている。
【0026】
夫々のシリンダ装置22は、油圧又は電動モータにより作動ロッド22aを上下動させる構成であり、この作動ロッド22aの先端部には、ブレード板21が、スプレッダ13及び後述のスクリード31に板面を対面させた状態で取り付けられている。
即ち、所望のシリンダ装置22を選択的に作動させることによって、それに取付られたブレード板21が昇降され、ブレード板21の下端部を所望の切均高さに位置させることができる。
【0027】
この場合、ブレード板21は、横桟部材23aの下方位置に、隣接ブレード板と殆ど間隔を空けない状態(即ち、側端部21aを隣接ブレード板21に略接近させた状態)で、1列に配列されている。
ブレード装置20の後方には、スクリード装置30が取り付けられており、該スクリード装置30は、スクリード31、左右一対のレベリングアーム32を含んで構成される。
【0028】
レベリングアーム32は、車体両側に、中央部から後方に向けて延設されており、スクリード31を牽引する。スクリード31は、所定の敷均高さHに設定可能な下面部31aを有し、その荷重により施工面5上の舗装材6を押圧する構成である。
スクリード31の位置調節は、マニュアル操作と自動制御の双方によって行う。スクリード位置を所定の敷均高さに設定する場合は、車体4とレベリングアーム32の基端部との間に取付られたシリンダ装置32aを作動させて、レベリングアーム32の後端部を昇降させる。
【0029】
又、車体4の傾斜や上下動に伴ってスクリード位置が変動した場合は、センサ等によってその車高変動が感知され、車高変動の度合いに応じてシリンダ装置32aが伸縮され、スクリード下面部31aの高さ及び水平性が維持されるように、夫々のレベリングアーム32の後端部を上下に移動させることによって、自動的に位置調整される。
【0030】
かかる敷均機械1を使用して、基層7(即ち、基層又は安定処理層)と表層(図示しない)との2層構造のアスファルト舗装を行う方法を、図3を参照して説明する。
この道路は、中央部にマンホール8を有し、施工前においてはマンホール上端部8aが施工面5(即ち、路盤)上に突出した状態である。
【0031】
アスファルト舗装は、先ず、敷均機械1で施工面5上に基層7を敷均し、ローラで転圧した後、表層部を敷均し、その上をローラで転圧するという工程を順次行うものであるが、ここでは基層7の敷均方法について説明する。
敷均機械1のブレード板21がマンホール8の手前位置Pに至るまでは、図3(c)に示すように、スクリード31及びブレード板21を初期位置に設定して敷均しを行う。スクリードの初期位置31sとは、図2に示すように、スクリード下面部31aが敷均高さHとなる位置であり、ブレード板21の初期位置21sとは、全てのブレード板21の下端部が切均高さIとなる位置である。尚、切均高さIとは、スクリード下面部31aの位置(即ち、敷均高さH)よりもスクリード31の押圧による下がり分(即ち、余盛り分)だけ高い位置である。マンホールの前方及び後方の領域7aでは、かかる状態に設定された敷均機械1によって、以下の工程で敷均らされる。
【0032】
敷均機械1のホッパ11内に貯留されたアスファルト混合物等の舗装材6は、図2に示すように、バーフィーダ12を介して施工面5上に排出され、施工面5上に排出された舗装材6aは、スプレッダ13によって敷き拡げられる。
この敷き拡げられた舗装材6bを、全てのブレード板21によって切均高さIに切均す。
【0033】
切均された舗装材6cをスクリード31で押圧する。これによって、基層の敷均面6dが形成される。
ブレード板21がマンホール手前位置Pに達した時点で、図3(c)に示すように、マンホール8に当接する位置のブレード板21(即ち、特定ブレード板21’)、及びスクリード31を上昇位置に設定する。
【0034】
特定ブレード板及びスクリードの上昇位置21u、31uとは、特定ブレード板の下端部及びスクリードの下面部31aを、マンホール上端8aよりも上方に位置づけた状態である。
この場合、スクリード31の位置調節は、シリンダ装置32aを操作してレベリングアーム32の後端部を昇降させることによって行われ、特定ブレード板21’の位置調節は、夫々のブレード板21’に取り付けられたシリンダ装置22’を個々に操作することによって行われる。
【0035】
敷均機械1は、バーフィーダ12からの舗装材6の排出量を調節しつつ、この状態でマンホール8を通過する。尚、マンホール8の通過の際に、スプレッダ13等がマンホール8に当接するようならば、これらの装置も持ち上げる。
この際、図3(b)に示すように、スクリード31の下面部31aは施工面全幅Wにおいて連続するので、それが持ち上げられることによって、マンホール存在領域の施工面全幅Wで押圧されない状態となる。一方、マンホール存在領域のうちのマンホールの側方領域(即ち、特定ブレード板21’以外のブレード板21の部位)では、切均された状態(即ち、舗装材6cの状態)になる。
【0036】
即ち、図3(b)に示すように、施工面上を敷均機械1が通過した領域のうち、スクリード31が初期位置31sに位置していた領域7aでは、図2に示す敷均面6dが形成され、マンホールの側方領域7bでは、特定ブレード板以外のブレード板が初期位置21sのままなので、切均された舗装面(即ち、舗装材6cの状態)が形成され、それ以外の部位(即ち、マンホール周りの領域7cは、切均しも押圧も施されていない状態となる。
【0037】
従来の敷均機械における敷均し作業においては、マンホールの存在領域の全範囲において切均し作業が施されなかったので、別途工程(例えば、手作業等)によって切均しを行うべき部分が広範であったが、本実施形態によれば、マンホール周りの領域7cのみで済むので、迅速且つ簡便な敷均作業が実現可能となる。
その後、特定ブレード板21’がマンホール8を通過した地点Qで、特定ブレート板の21’のみを初期位置21sに戻す。そして更に前進し、スクリード31がマンホール8を通過した地点Qで、スクリード31も初期位置31sに戻す。
【0038】
このように、上昇位置に設定する際はスクリード31とブレード板21を同時に位置変更し、初期位置に戻す際は段階的に戻すこととしたので、切均作業の施される部分7a,7bを最も広くとることができる。これによって、手作業分が一層削減される。
尚、本実施形態においては、ブレード板について、複数のブレード板を殆ど間隔を空けない状態で一列に並べたが、必ずしもかかる構成である必要はなく、要は車両前方から見て施工面の幅方向略全体がブレード板によって覆われるように配置され、かつ隣り合うブレード板の隙間から舗装材が後方へ流れないような構成であればよい。
【0039】
又、本実施形態において、スクリードを、下面部が施工面幅方向全体に延びる単一部材によって構成したが、複数の部材で構成しても良い。即ち、例えばブレード板の数だけスクリードを分割し、夫々を昇降自在に構成してもよい。かかる構成によれば、マンホールに当接する位置のスクリード(即ち、特定ブレード21’に対応する部位のスクリード)のみを持ち上げればよく、かかる場合は、マンホールの側方領域7bにおいても、マンホール前方及び後方の領域と同様の敷均面6dが形成できる。
【0040】
尚、マンホール前方及び後方の領域7aにおいては、切均作業は必ずしも必要ではない。マンホール前方及び後方の領域7aにおいて、敷均し作業のみを行う場合は、スクリードを所定の敷均高さに設定し、全てのブレード板を上昇位置に設定しておく。そして、スクリードがマンホールの手前位置に達した時点で、スクリードを上昇させ、代わりに特定ブレード板以外のブレード板を所定の切均高さ迄下ろし、舗装材の切均しを行う。
【0041】
尚、本発明において、施工面上の突起物とは、マンホールに限られるものではない。
図4に示す本発明の第2実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械1’は、ブレード装置40を除き、第1実施形態に係る敷均機械1と略同一の構成である。
【0042】
ブレード装置40は、図5に示すように、ブレード支持板41と、複数のブレード板42と、シリンダ装置43と、を含んで構成され、取付アーム44を介して車体本体10’の後端部に取り付けられる。
ブレード支持板41は、施工幅Wに対応する横幅を有する板であり、板面を車体進行方向に向けて、スプレッダ13’の後方に配置される。
【0043】
ブレード支持板41は、シリンダ装置43を介して取付アーム44に固定取付されており、その下方には、複数のブレード板42を、板面を車体進行方向に向けて、取り付けている。
ブレード板42は、図6に示すように、殆ど間隔を空けない状態で隣接ブレード板42と近接させて並べられ、取付桟45とボルト46によって、ブレード支持板41に固定されている。
【0044】
ブレード板42は、板バネとして機能すべく弾力性と、切均し板として機能すべく剛性とを兼ね備えたものが好ましく、形状としては縦長の短冊形状、材質としてはステンレス等、剛性の高い金属板が適する。
シリンダ装置43は、取付アーム44の先端部に固定支持された油圧シリンダ43aと、前記ブレード支持板41に作動端部を連結させたピストンロッド43bを含んで構成され、伸縮動作によってブレード支持板41を昇降させる構成である。
【0045】
かかる敷均機械1を使用して、マンホール8を有する施工面にアスファルト舗装を行う方法を、図4を参照して説明する。
マンホール8の存在しない部分7aにおいては、図4(c)に示すように、スクリード31’及びブレード支持板41を初期位置に設定して敷均しを行う。スクリードの初期位置31s’とは、スクリード下面部が敷均高さHとなる位置であり、ブレード支持板41の初期位置とは、その下端部に配設された全てのブレード板42の下端部が切均高さIとなる位置である。
【0046】
スクリード31’が、マンホール手前位置Pに達した時点で、スクリード31’のみを上昇位置31u’に設定する。スクリードの上昇位置31u’とは、スクリード下面部がマンホール上端よりも上方になる位置である。
敷均機械1は、スクリード31’が持ち上げられた状態でマンホール8を通過する為、施工面全幅Wにおいて押圧されない状態となる。
【0047】
一方、ブレード支持板41は初期位置のままなので、その先端のブレード板42によって継続して切均しが行われる。複数のブレード板42のうち、マンホール8に当接するブレード板42’については、図6に示すように、マンホール8による前方からの応力を受け、後方へと撓曲した状態でマンホール上を通過する。
【0048】
ブレード板42’は、マンホールの上面に摺接しながら移動するので、舗装材は全て前方或いは側方へと押しやられ、マンホール8の上面には舗装材が残存しない。マンホール8とブレード板42’との間に間隙9がある場合は、その中にも入り込み、マンホール周りの全ての領域が、舗装材で埋め立てらる。ブレード板42’は、マンホール8を通過した直後に、初期状態に復元される。
【0049】
そして、図4(c)に示すように、ブレード板42及びスクリード31’がマンホール8を通過した地点Qで、スクリード31’を初期位置31s’に戻す。
従って、本実施形態の敷均方法によれば、図4(b)に示すように、スクリード31’が初期位置31s’に位置していた部位(即ち、マンホールの前方及び後方の領域7a)では舗装材が敷均され、それ以外の領域(即ち、マンホールの側方領域を含めたマンホール周りの領域7b)では、舗装材が切均される。
【0050】
従って、マンホール周りの殆ど全ての領域において、ブレード板42による切均しが行われることとなり、別途手作業等によって行うべき部分が大幅に削減される。又、マンホール上には殆ど舗装材が残留しないので、マンホール上面の舗装材の除去作業が不要となり、作業が更に効率化する。
又、ブレード板を個別に昇降させる必要がないので、ブレード板毎に昇降装置を設ける必要がなく、機械の構造を簡素化でき、機械の操作方法、延いては敷均方法自体が簡略化される。
【0051】
尚、本実施形態においては、ブレード板42自体を弾性部材(即ち、板バネ)で構成したが、ブレード板は、進行方向前方からの外力によって撓曲するものであれば、如何なる構成であってもよい。
例えば、図7(a)に示すような、トーションバネ付のブレード板47であってもよい。
【0052】
このブレード板47は、切均板48とトーションバネ49を含んで構成される。
切均板48は、板面を車体進行方向に向け、トーションバネ49の一端腕部に取り付けられている。
トーションバネ49は、初期状態において、双方の腕部が同一直線上に位置する形状であり、コイル部を車体進行方向後方に向け、切均板を有する一端腕部を下方に向けた状態で、他端腕部の取付板を介してブレード支持板41下端部に固定されている。即ち、一端腕部(即ち、切均板48)に車体進行方向前方からの外力を受けることによって、車体進行方向後方(即ち、コイルの巻き込み方向)に撓曲する構成である。
【0053】
即ち、本実施形態に係るブレード板は、舗装材を切均す機能と、車体進行方向前方からの外力を受けて撓曲する機能とを合わせ持つものであれば、如何なる板であってもよく、ブレード板を撓曲させる手段も、ゴムやシリンダ装置等であってもよい。
図8に示す本発明の第3実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械1”は、スクリード31”にブレード装置50を取り付けた点を除き、第2実施形態に係る敷均機械1’と略同一の構成である。
【0054】
スクリード31”の上面には、取付部材51が、先端部を車体進行方向前方に突出させて配設されており、その先端部に、ブレード装置50が、板面をスクリード31”の前面部に近接されて、取りつけられている。
ブレード装置50は、ブレード支持板52と、複数のブレード板53と、シリンダ装置54と、を含んで構成される。この場合、ブレード支持板52、ブレード板53及びシリンダ装置54は、第2実施形態に係るブレード装置のものと略同一構成である。
【0055】
ブレード装置50は、スクリード31”に直接取付けられているので、スクリード31”の位置変動に追従する。一方、シリンダ装置54を作動させることによって、ブレード支持板52及びブレード板53を独自に昇降させることも可能である。
かかる敷均機械1”を使用し、マンホールを有する施工面を敷均す状態を、以下に説明する。
【0056】
マンホールの前方及び後方では、スクリード31”及びブレード支持板52等を初期位置に設定して敷均しを行う。スクリード31”の初期位置とは、スクリード下面部が敷均高さとなる位置であり、ブレード支持板52等の初期位置とは、その下端部に配設された全てのブレード板53の下端部が切均高さとなる位置である。
【0057】
この際、敷均機械1”の車高変動等によってスクリード31”の位置が変動した場合、ブレード装置50の位置も、スクリード31”に追従して昇降されるので、敷均高さと切均高さの高度差が常時維持される。
スクリード31”がマンホール手前位置に達した時点で、レベリングアーム32”の基端部に配設されたシリンダ装置を作動させてレベリングアーム32”の後端部を持ち上げ、スクリード31”を上昇位置に設定する。そして、ブレード装置50のシリンダ装置54を作動させて、スクリード31”の上昇分だけ、ブレード支持板52及びブレード板53を下降させる。
【0058】
この状態でマンホール上を移動し、スクリード31”がマンホールを通過した時点で、スクリード31”を初期位置に戻し、ブレード支持板52等を下降させた分だけ上昇させる。
本実施形態の敷均方法によれば、スクリード昇降用のシリンダ装置とブレード装置のシリンダ装置54とを関連付けて制御することによって、スクリード31”の位置(即ち、敷均高さ)とブレード支持板52及びブレード板53の位置(即ち、切均高さ)の一元的な管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械を示し、(a)は正面図で、(b)は平面図。
【図2】 前記敷均機械のブレード装置のB−B’矢視部分断面図。
【図3】 上記敷均機械の使用状態を示し、(a)は正面図で、(b)は平面図で、(c)はスクリードと特定ブレード板の位置を示す説明図である。
【図4】 本発明の第2実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械、及び該敷均機械の使用状態を示し、(a)は正面図で、(b)は平面図で、(c)はスクリードとブレード板の位置を示す説明図である。
【図5】 上記敷均機械のブレード装置を示す正面図。
【図6】 上記ブレード装置の使用状態を示し、(a)は車体進行方向前方から見た状態であり、(b)はマンホールの前方及び後方において車体進行方向側方から見た状態であり、(c)はマンホールの存在領域において車体進行方向側方から見た状態を示す。
【図7】 上記ブレード装置の変形態様を示し、(a)は車体進行方向後方から見た状態であり、(b)はマンホールの前方及び後方において車体進行方向側方から見た状態であり、(c)はマンホールの存在領域において車体進行方向側方から見た状態を示す。
【図8】 本発明の第3実施形態に係る突起物を有する施工面用の敷均機械を示す部分正面図。
【図9】 上記敷均機械のブレード装置を示す正面図。
【符号の説明】
1…敷均機械
5…施工面
6…舗装材
8…マンホール(突起物)
10…舗装材供給装置
20、40、50…ブレード装置
21、42、47、53…ブレード板
30…スクリード装置
31…スクリード

Claims (4)

  1. 自走可能な車両に、少なくとも、
    舗装材を施工面上に供給する舗装材供給装置と、
    夫々が昇降可能であって進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板と、
    昇降可能なスクリードと、
    を車両進行方向前方から順に搭載してなる敷均機械を使用し、
    施工面上に突出する突起物の前方及び後方においては、前記スクリードを所定の敷均高さに位置づけ、該スクリードにより前記舗装材を敷均す一方、
    前記突起物の存在領域においては、前記スクリードを前記突起物よりも上方に位置づけると共に、前記突起物に当接する位置の特定ブレード板を前記突起物よりも上方に位置づけた状態で、前記特定ブレード板以外のブレード板を所定の切均高さに位置づけて前記舗装材を切均すことを特徴とする突起物を有する施工面の舗装材敷均方法。
  2. 自走可能な車両に、少なくとも、
    舗装材を施工面上に供給する舗装材供給装置と、
    夫々が少なくとも進行方向前方からの外力によって撓曲可能であり、進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板と、
    昇降可能なスクリードと、
    を車両進行方向前方から順に搭載してなる敷均機械を使用し、
    施工面上に突出する突起物の前方及び後方においては、前記スクリードを所定の敷均高さに位置づけ、該スクリードにより前記舗装材を敷均す一方、
    前記突起物の存在領域においては、前記スクリードを前記突起物よりも上方に位置づけると共に、全てのブレード板を所定の切均高さに位置づけ、該ブレード板により前記舗装材を切均すことを特徴とする突起物を有する施工面の舗装材敷均方法。
  3. 自走可能な車両に、少なくとも、
    舗装材を貯留し施工面上に排出する舗装材供給装置と、
    該舗装材供給装置の後方に設けられると共に、夫々が昇降可能であって進行方向に直交する方向に並べられた複数のブレード板を有し、所定の切均高さに位置づけられた該ブレード板の下端部において前記舗装材を切均すブレード装置と、
    該ブレード装置の後方に設けられると共に、昇降可能なスクリードを有し、所定の敷均高さに位置づけられた該スクリードの下面部において前記舗装材を押圧するスクリード装置と、
    を搭載してなる突起物を有する施工面の舗装材敷均機械。
  4. 自走可能な車両に、少なくとも、
    舗装材を貯留し施工面上に排出する舗装材供給装置と、
    該舗装材供給装置の後方に設けられると共に、夫々が進行方向前方からの外力によって撓曲するブレード板を、進行方向に直交する方向に複数並べて構成され、所定の切均高さに位置づけられた該ブレード板の下端部において前記舗装材を切均すブレード装置と、
    該ブレード装置の後方に設けられると共に、昇降可能なスクリードを有し、所定の敷均高さに位置づけられた該スクリードの下面部において前記舗装材を押圧するスクリード装置と、
    を搭載してなる突起物を有する施工面の舗装材敷均機械。
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