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JP4659737B2 - 作業工具 - Google Patents

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Description

本発明は、ハンマやハンマドリル等のように先端工具を直線状に駆動する作業工具における制振技術に関する。
特開昭52−109673号では、制振装置が設けられた電動ハンマの構成が開示されている。この従来の電動ハンマでは、本体ハウジングの下方側であってモータハウジングの前方をなす領域に、当該本体ハウジング(およびモータハウジング)と一体状に防振室を形成するとともに、この防振室内に動吸振器を収容する。そしてハンマ駆動の際に生じるハンマ長軸方向への強い振動が当該動吸振器によって吸振されるように構成される。
上記動吸振器は、弾性要素による付勢力が作用した状態で配置されたウェイトが、当該動吸振器に入力される振動量の大きさに応じて駆動されることで制振作用を奏する。すなわち動吸振器は、発生した振動量に応じて制振量が決定されるという受動的な性格を有する。ところで、実際の加工作業においては、作業者が作業工具を被加工材側に強く押圧した状態で作業を行なうといったように、工具ビットに被加工材側からの負荷が相当程度作用するため制振の要請が高いにもかかわらず、動吸振器に入力される振動量が抑制されてしまう場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、作業工具における制振性を一層向上するのに資する技術を提供することを目的とする。
上記課題は各請求項に記載の発明によって解決される。
本発明によれば、先端工具と、前記先端工具を直線状に駆動させ、これによって当該先端工具に所定の加工作業を遂行させる第1の作動機構と、弾性要素による付勢力が作用した状態で直線運動するウェイトを介して、前記先端工具による加工作業時の制振を行う動吸振器と、前記弾性要素を機械的に加振し、これによって前記ウェイトを強制的に駆動する第2の作動機構を有することを特徴とする作業工具が構成される。
先端工具は、典型的には、被加工材にハンマ加工作業やハンマドリル加工作業を加えるハンマビット、あるいは被加工材に切断加工作業を加える鋸刃等で定義される。
本発明では、受動的な制振機構である動吸振器につき、そのウェイトを、第2の作動機構によって積極的に駆動させる。従って、作業工具に作用する振動の大小によらず、動吸振器を定常的に作動させることが可能となり。この結果、動吸振器に入力される振動量が小さく、当該動吸振器が十分に作動しないような作業態様においても、十分な制振機能を確保することが可能な作業工具が提供されることとなった。
特に本発明によれば、第2の作動機構が、ウェイトに付勢力を作用する弾性要素を機械的に加振する構成を採用したことにより、加振のタイミングを適宜調整して、ウェイトの直線動作の位相を自由に設定することができる。従って、ウェイトの駆動タイミングを、先端工具による加工作業時における衝撃力の発生タイミングに対応させ、動吸振器による制振を最適化することができる。
なお動吸振器においては、単一の弾性要素がウェイトに付勢力を作用してもよい。また複数の弾性要素がウェイトに付勢力を作用してもよい。後者の場合、少なくとも一つの弾性要素が機械的に加振されれば足りる。
動吸振器については、当該動吸振器の動作が安定するような特定の減衰特性を有する構成としてもよい。具体的には、動吸振器は、第2の作動機構による加振周波数の所定周波数領域においてウェイトの振幅が規定振幅範囲内で変動するとともに、当該所定周波数領域においてウェイトの第2の作動機構との間の位相差が規定位相差範囲内で変動するような減衰特性が付与される。換言すれば、第2の作動機構による加振周波数の所定周波数領域において、ウェイトの振幅及び位相差の変化の度合いが規定範囲内に収まるようにするのが好ましい。そして、加振周波数の所定周波数領域が、往復作動式工具の製造上や使用上のバラツキを考慮した実際の動作周波数領域を包含する場合に、動吸振器による制振が有効となる。このような構成は、特に、動吸振器における弾性要素の弾性係数のバラツキ、ウェイトの質量誤差、動作周波数のバラツキ等といった製造上・使用上の誤差を適切に丸め込むのに有効である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。本発明の実施の形態では、作業工具の一例として電動式のハンマドリルを用いて説明する。図1は第1の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を概略的に示す側断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係るハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する本体部103、当該本体部103の先端領域にツールホルダ137を介して着脱自在に取付けられたハンマビット119を主体として構成される。ハンマビット119は、本発明における「先端工具」に対応する。
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、第1運動変換機構113、動力伝達機構114および第2運動変換機構116を収容したギアハウジング107と、ストライカ143およびインパクトボルト145からなる打撃要素115を収容したバレル部117と、ハンドグリップ109とによって構成されている。駆動モータ111の回転出力は、第1運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構114によって適宜減速された上でハンマビット119に伝達され、当該ハンマビット119が周方向に回転動作される。更に駆動モータ111の回転出力は、第2運動変換機構116によって直線運動に変換された上で、後述する動吸振器151に対し当該動吸振器151を強制加振する駆動力として入力される。上記の第1運動変換機構113は、本発明における「第1の作動機構」に対応し、第2運動変換機構116は、本発明における「第2の作動機構」に対応する。
第1運動変換機構113は、駆動モータ111により水平面内にて回転駆動される駆動ギア121、当該駆動ギア121に噛み合い係合する被動ギア123、当該被動ギア123と一体に水平面内にて回転するクランク板125、当該クランク板125の回転中心から所定距離偏心した位置に一方の端部が偏心軸126を介して遊嵌状に連接されたクランクアーム127、当該クランクアーム127の他端部に連結軸128を介して取り付けられた駆動子としてのピストン129を主体として構成される。上記のクランク板125、クランクアーム127、ピストン129によってクランク機構が構成され、このクランク機構は本発明における「第1の駆動機構部」に対応する。
一方、動力伝達機構114は、駆動モータ111によって駆動される駆動ギア121、当該駆動ギア121に噛み合い係合する伝達ギア131、当該伝達ギア131と同軸に配置され、過負荷遮断用の滑りクラッチ132を介して伝達ギア131とともに水平面内にて回転される伝達軸133、当該伝達軸133に設けられた小ベベルギア134、当該小ベベルギア134に噛み合い係合する大ベベルギア135、当該大ベベルギア135とともに鉛直面内にて回転されるツールホルダ137を主体として構成される。なおハンマドリル101は、ハンマビット119に対し長軸方向への打撃力のみを加えて被加工材の加工作業を行う、いわゆるハンマ加工作業と、長軸方向への打撃力と周方向への回転力とを加えて被加工材の加工作業を行う、いわゆるハンマドリル作業とを適宜切り替えて遂行できるように構成される。
打撃要素115は、ピストン129とともにシリンダ141のボア内壁に摺動自在に配置されたストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達するインパクトボルト145を主体として構成される。ストライカ143は、本発明における「打撃子」に対応する。
本実施の形態に係るハンマドリル101には、図2および図3に示すように、本体部103に連接された動吸振器151が設けられている。図2および図3は、動吸振器151と当該動吸振器151を強制的に加振する第2運動変換機構116を示す平断面図である。動吸振器151は、本体部103、具体的にはギアハウジング107に一体状に形成された筒体152と、当該筒体152内に配置されたウェイト153と、ウェイト153の左右に配置された付勢バネ157を主体として構成される。付勢バネ157は、本発明における「弾性要素」に対応する。付勢バネ157は、ウェイト153が筒体152の長軸方向(ハンマビット119の長軸方向)に移動する際にウェイト153に対向状の弾発力を付与する。なお筒体152内のウェイト153の左右両側部に形成される作動室156(図2では、左右それぞれの各作動室を156a,156bとして示している)は、筒体152の壁に設けた開口152aあるいは通気孔152bを経て動吸振器151外に連通される構成とされる。
またウェイト153には、大径部154および小径部155が連接状に形成されており、両者の外形や長軸方向長さ等を選択することにより、ウェイト153の設計寸法を適宜調整することが可能であり、全体としてウェイト153のコンパクト化を図ることが可能である。さらにウェイト153がその移動方向に長尺状に形成されること、および小径部155の外周部が付勢バネ157の内周に密接状に接することにより、ウェイト153がハンマビット119の長軸方向に移動動作する際の動作を安定化することが可能とされている。
また動吸振器151は、ハンマビット119の移動線を跨いで左右両側に配置されている。なお本実施の形態における動吸振器151は、その筒体152が本体部103(ギアハウジング107)に一体状に設けられているが、これを本体部103から取り外し自在に構成してもよい。
第2運動変換機構116は、ウェイト153を強制的に加振することにより、動吸振器151を積極的に駆動するための手段として備えられる。第2運動変換機構116は、図2および図3に示すように、第1運動変換機構113における被動ギア123(図1参照)に形成された偏心軸部161、当該偏心軸部161の回転によってハンマビット119の長軸方向に直線状に往復移動される連接板163、当該連接板163とともに直線状に移動して付勢バネ157に加振力を入力する摺動子167を主体に構成される。上記の偏心軸部161および連接板163によってクランク機構が構成され、このクランク機構は本発明における「第2の駆動機構部」に対応する。
偏心軸部161は、被動ギア123の回転中心に対して所定距離偏心した位置を中心とする円形状に形成されている。連接板163は、偏心軸部161に長円孔162を介して係合するとともに、ギアハウジング107に設けられた複数本のガイドピン165によって直線状に移動するよう案内される。また連接板163の移動方向と交差する方向の両側面には、それぞれ側方に突出する連係部164が設けられており、各連係部164は、動吸振器151の筒体152の壁に設けた開口152aを通して筒体152内に突入されるとともに、当該筒体152内に配置された摺動子167の係合凹部168に係合されている。摺動子167は、一方の付勢バネ157の一端(筒体側端部)を支持するとともに、筒体152の長軸方向に摺動自在に収容されている。
上記のように構成されるハンマドリル101の作用について説明する。図1に示す駆動モータ111が通電駆動されると、その回転出力により、駆動ギア121が水平面内にて回動動作する。すると、駆動ギア121に噛み合い係合される被動ギア123を介してクランク板125が水平面内を周回動作し、これによってクランクアーム127が同じく水平面内を揺動しつつハンマビット119の長軸方向に移動し、当該クランクアーム127の先端に取り付けられたピストン129がシリンダ141内を直線状に摺動動作される。ピストン129の摺動動作に伴うシリンダ141内の空気バネの作用により、ストライカ143はピストン129の直線動作速度よりも高速でシリンダ141内を直線運動する。ストライカ143は、インパクトボルト145に衝突することで、その運動エネルギをハンマビット119へと伝達する。ハンマドリル101がハンマドリルモードで駆動されるときは、駆動モータ111の回転出力によって回転される駆動ギア121に噛み合い係合する伝達ギア131、伝達軸133および小ベベルギア134が一体状に水平面内にて回転動作する。すると、小ベベルギア134に噛み合い係合する大ベベルギア135が鉛直面内にて回転し、この大ベベルギア135とともにツールホルダ137およびこのツールホルダ137にて保持されるハンマビット119が一体状に回転される。かくして、ハンマドリルモードでの駆動時には、ハンマビット119が長軸方向のハンマ動作と周方向のドリル動作を行い、被加工材にハンマドリル加工作業を遂行する。
なおハンマドリル101がハンマモードで駆動されるときは、動力伝達系の途中、具体的には、大ベベルギア135とツールホルダ137間に設けられるクラッチ機構136が遮断される。すなわち、ハンマモードでの駆動時には、ハンマビット119が長軸方向のハンマ動作のみを行い、被加工材にハンマ加工作業を遂行する。
上記のようにハンマビット119が駆動される際に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対しては、本体部103に設けられた動吸振器151が制振機能を奏する。すなわち、ハンマドリル101の本体部103を、所定の外力(振動)が作用する制振対象体として見立てた場合、当該制振対象体である本体部103に対して、動吸振器151における制振要素であるウェイト153および付勢バネ157が協働して受動的な制振を行なう。
本実施の形態では、ハンマドリル101の駆動時において、被動ギア123の偏心軸部161が水平面内にて回転動作を行うことに伴い、当該偏心軸部161に係合している連接板163がハンマビット119の長軸方向に直線状に往復駆動される。そして一方向への移動時(本実施の形態では、ハンマビット119に近づく方向への移動時)に、摺動子167を移動させて付勢バネ157を加圧し、これによってウェイト153を当該付勢バネ157の加圧方向へと移動させる。すなわち、動吸振器151のウェイト153を積極的に駆動する。
本実施の形態では、偏心軸部161と連接板163とによって構成されるクランク機構を介してバネ受部材としての摺動子167を駆動し、ウェイト153を強制加振する構成としている。このため、ストライカ143がインパクトボルト145に衝突して衝撃力をハンマビット119に作用させるように直線運動する際、動吸振器151のウェイト153が、実際の設計上においては、ストライカ143に対向して反対方向へ直線運動するように、当該ウェイト153の駆動タイミング、すなわち、クランクの位相を調整することができる。このため、ハンマドリル101に生じる振動を効率的に抑制することができる。
なお本実施の形態では、ピストン129がストライカ143に向かって移動動作するタイミングに対し、空気バネが作用するのに必要な圧縮時間あるいはストライカ143の慣性力等のため、当該ストライカ143が実際にインパクトボルト145に向かって直線運動を開始するタイミングが若干遅れることとなる。従って、動吸振器151のウェイト153を強制加振するべく、摺動子167によって付勢バネ157を加圧するタイミング、すなわちウェイト153に対し加振力を入力する時期については、上記のような遅れを十分に考慮した上で設定することが好ましい。
また本実施の形態では、作動室156が定常的に外部と連通し空気が自由に流出入できる構成のため、ウェイト153がストライカ143と対向するように直線運動するに際し、当該ウェイト153の直線運動が妨げられることがない。
本実施の形態によれば、振動を受動的に抑制する機構である動吸振器151につき、当該ウェイト153を、第2運動変換機構116によってストライカ143の直線運動と対向するように積極的に直線運動させる。従って、ハンマドリル101に作用する振動の大小によらず、動吸振器151を定常的に作動させることが可能となる。換言すれば、動吸振器151のウェイト153につき、あたかも運動変換機構によって能動的に駆動動作されるカウンタウェイトのように用いることが可能とされる。
特に、ウェイト153に付勢力を作用する付勢バネ157を、第2運動変換機構116によって機械的に加振する構成のため、ウェイト153の駆動タイミングの設定、すなわち位相設定を自由に行うことができる。このため、ハンマビット119によるハンマ加工作業あるいはハンマドリル加工作業時における衝撃力の発生タイミングに対向してウェイト153を直線状に移動させ、これにより、ウェイト153による制振作用を最適な形態で遂行することが可能となる。
動吸振器151において、ウェイト153に付勢力を作用させる付勢バネ157を直線状に駆動される摺動子167によって強制加振する場合、摺動子167の強制加振周波数が、〔1/(2π)・(2k/m)1/2〕(Hz)付近であれば、偏心軸部161の偏心量に対してウェイト153の移動量が非常に大きくなる。ここで(k)は付勢バネ157のバネ定数、(m)はウェイト153の質量である。この性質を利用して、ハンマビット119を駆動するストライカ143に対向してウェイト153が移動するように偏心軸部161の位相を調整し、また付勢バネ157のバネ定数、ウェイト153の質量、偏心軸部161の偏心量を調整することによって、少ない偏心量でウェイト153を大きく動かし、最適な振動低減を行うことができる。また付勢バネ157に加振力を入力するべく直線状に駆動される摺動子167の移動量を小さくできるため、当該摺動子167を駆動する第2運動変換機構116の配置スペースが少なくて済み、ハンマドリル101のコンパクト化を図る上で有効となる。
動吸振器151をハンマビット119の移動線の片側に配置した場合、当該動吸振器151のウェイト153の駆動に伴いハンマビット119の移動線に直交する鉛直方向の軸線回りにモーメントが発生することになる。本実施の形態によれば、動吸振器151をハンマビット119の移動線を跨いで同一水平面内の両側に配置したので、ウェイト153が移動することによって発生する、ハンマビット119の移動線に直交する鉛直方向の軸線回りのモーメントが、互いに打ち消し合うように作用する。この結果、動吸振器151の設置に伴いモーメントが無用に発生することが抑えられる。
(動吸振器における減衰特性について)
動吸振器151の筒体152の構成に関し、通気孔152bは、ウェイト153の往復動作時に、第2作動室156bにおいて加圧された加圧空気の流出を規制することによって、ウェイト153に対し減衰力を強制的に付与する構成を有する。ここで、図4を参照しながら、本実施の形態の動吸振器151の構成に対応した、「減衰のある強制加振のモデル」を説明する。
図4に示すモデルは、本実施の形態の動吸振器151の構成を模式的に示すものであり、減衰要素(通気孔152b)、付勢バネ157、ウェイト153、付勢バネ157、第2運動変換機構116(摺動子167)を用いたものである。この構成において、いま図中右側の付勢バネ157に、第2運動変換機構116(摺動子167)から加振力F・cos(ωt+Δ)が入力されたとする。このときの力学に関する式は、図4中の(1)〜(4)式によって示され、ウェイト153の応答に関しては、(5)〜(7)式を得る。とりわけ式(5)から、本モデルにおけるウェイト153の動作に関しては、第2運動変換機構116の加振に対し、理論上、振幅がρ倍され、第2運動変換機構116との間の位相差がθであることが判る。
一方、動吸振器151を実際に使用する場合、例えば付勢バネ157のバネ定数のバラツキ、ウェイト153の質量誤差、ハンマドリル101使用時の動作周波数のバラツキ等が発生する場合がある。このような場合には、最適な振動低減を行うべくハンマドリル101使用時の動作周波数に対応させて第2運動変換機構116の加振周波数を設定したとしても、上記バラツキによって、振幅や位相差に変動が生じるため、実際の制振性を確実なものとするのに限界がある。そこで、本発明では、特にウェイト153の減衰特性を調節することによって、広い加振周波数領域に対応して振幅及び位相差のいずれも安定化させ、これによって動吸振器151の動作を安定化させている。
ここで、広い加振周波数領域に対応して振幅や位相差を安定化させるのに有効な、ウェイト153の減衰特性を得る具体的なステップを説明する。
(第1のステップ)
第1のステップとして、図4中の式(1)〜(7)に基づいて、第2運動変換機構116の加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の振幅に係る係数ρ(−)の関係、及び加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の加振入力との間の位相差θ(°)の関係を導出する。更に、この第1のステップでは、減衰係数cのみを変化させた場合の、係数ρ及び位相差θについて検討し、係数ρ及び位相差θが安定化する場合の所望の減衰係数cを導出する。
上記第1のステップの具体例を、図5及び図6を参照しながら説明する。ここで、図5は、加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の振幅に係る係数ρ(−)の関係、及び加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の加振入力との間の位相差θ(°)の関係を示す「実施例」のグラフであり、図6は、図5の「実施例」に対する「比較例」のグラフである。
図6に示す「比較例」では、加振周波数fに対しρ及びθのいずれもが安定化する領域、すなわち図中においてρ及びθが同時に水平となる領域が殆ど見られず、製造上や使用上におけるバラツキが発生した場合には、理論上の設定に対する実際の制振性が異なることとなる。なお、このときの具体的な設定に関しては、ウェイト153の質量mを64(g)、付勢バネ157(2本分)のバネ定数kを7.5(N/mm)、減衰係数cを0.1(N/m)としている。
そこで、本実施の形態では、ウェイト153の減衰特性を規定する係数、すなわち図4中の(1)式における減衰係数cを好適に設定することによって、図5に示す「実施例」のように、加振周波数fに対しρ及びθのいずれもが安定化する領域を作り出すようにしている。具体的には、ウェイト153の質量m及び付勢バネ157(2本分)のバネ定数kは、図6に示す「比較例」と同じ値を用い、減衰係数cのみを0.1(N/m)から1(N/m)に変更している。これにより、加振周波数fに対しρ及びθのいずれもが安定化する周波数帯Aや周波数帯Bが得られることとなる。このとき、加振周波数fの所定周波数領域である周波数帯Aや周波数帯Bが、ハンマドリル101の製造上や使用上のバラツキを考慮した実際の動作周波数領域を包含する場合に、動吸振器151による制振が有効となる。
なお、本実施の形態では、ρ及びθが安定化しているか否かの判定に際しては、加振周波数fの所定変化に対し、振幅に係る係数ρが規定係数範囲(例えば、図5中のΔρ(A)やΔρ(B))内で変動する場合にρ及びθが安定化していると判定することができる。本実施の形態では、図5中の周波数帯Aや周波数帯Bにおいては、加振周波数fの所定周波数変化に対し、振幅に係る係数ρが規定係数範囲(例えば、図5中の規定係数範囲Δρ(A)及びΔρ(B))内で変動し、ウェイト153の加振入力との間の位相差θが規定位相差範囲(例えば、図5中の規定位相差範囲Δθ(A)及びΔθ(B))内で変動していることから、ρ及びθが安定化していると判定する。なお、このときのウェイト153の振幅に係る係数ρの規定係数範囲Δρ(A)及びΔρ(B)や、ウェイト153の加振入力との間の位相差θの規定位相差範囲Δθ(A)及びΔθ(B)は、ハンマドリル101の仕様等、必要に応じて適宜設定することができる。ここでいう周波数帯Aや周波数帯Bが、本発明における「所定周波数領域」に相当し、規定係数範囲Δρ(A)及びΔρ(B)に対応した振幅範囲(式(5)中の(ρ・F))が、本発明における「規定振幅範囲」に相当し、規定位相差範囲Δθ(A)及びΔθ(B)が、本発明における「規定位相差範囲」に相当する。また、このときの周波数帯Aや周波数帯Bは、製造上や使用上におけるバラツキ(典型的には5%程度のバラツキ)を勘案したうえで、当該バラツキの範囲を包含することが可能な幅を有するように設定されるのが好ましい。かくして、第1のステップによって、ρ及びθが安定化する所望の減衰係数cが得られることとなる。
(第2のステップ)
次に、第2のステップでは、上記第1のステップによって決定された減衰係数cに対応して、ハンマドリル101の実際の設計を行う。具体的には、動吸振器151の筒体152に設ける通気孔152bの通気径、すなわち通気孔152bにおける単位時間当たりの通気量を、第1のステップによって決定された所望の減衰係数cが得られるように設定する。典型的には、この通気孔152bの通気径を1.0(mm)程度とする。
本実施の形態では、これら第1のステップ及び第2のステップによって得られた設計条件が、ハンマドリル101における通気孔152bの構成に反映されている。本実施の形態のハンマドリル101によれば、広い加振周波数領域に対応してρ及びθのいずれも安定化させることができ、製造上や使用上におけるバラツキが発生した場合であっても、動吸振器151の動作を安定化させ、これによってハンマドリル101における制振性を確実なものとすることができる。また、本実施の形態では、所望の減衰係数cに対応して通気孔152bの通気径を設定するため、ハンマドリル101の構成及び設計ステップを簡素化するのに有効である。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態につき、図7〜図12を参照して説明する。図7は第2の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を概略的に示す側断面図である。図7に示すように、この実施の形態に係るハンマドリル201は、概括的に見て、ハンマドリル201の外郭を形成する本体部203、当該本体部203の先端領域にツールホルダ237を介して着脱自在に取付けられたハンマビット219を主体として構成される。ハンマビット219は、本発明における「先端工具」に対応する。
本体部203は、駆動モータ211を収容したモータハウジング205と、第1運動変換機構213、動力伝達機構214および第2運動変換機構216(図8〜図12参照)を収容したギアハウジング207と、打撃要素215を収容したバレル部217と、ハンドグリップ209とによって構成されている。駆動モータ211の回転出力は、第1運動変換機構213によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素215に伝達され、当該打撃要素215を介してハンマビット219の長軸方向(図7における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ211の回転出力は、動力伝達機構214によって適宜減速された上でハンマビット219に伝達され、当該ハンマビット219が周方向に回転動作される。更に駆動モータ211の回転出力は、第2運動変換機構216によって直線運動に変換された上で、後述する動吸振器251に対し当該動吸振器251を強制加振する駆動力として入力される。上記の第1運動変換機構213は、本発明における「第1の作動機構」に対応し、第2運動変換機構216は、本発明における「第2の作動機構」に対応する。
第1運動変換機構213は、駆動モータ211により鉛直面内にて回転駆動される駆動ギア221、当該駆動ギア221に噛み合い係合する被動ギア223、当該被動ギア223と被動軸225を介して一体回転する回転体227、回転体227の回転によってハンマビット219の長軸方向に揺動される揺動リング229、揺動リング229の揺動によって直線状に往復移動するシリンダ241を主体として構成される。被動軸225はハンマビット219の長軸方向に平行(水平)に配置され、当該被動軸225に取り付けられた回転体227の外周面が被動軸225の軸線に対し所定の傾斜角度で傾斜状に形成されている。揺動リング229は、回転体227の傾斜外周面に軸受226を介して相対回転可能に取り付けられ、当該回転体227の回転動作に伴ってハンマビット219の長軸方向に揺動される。また揺動リング229は、上方(放射方向)に一体に突設された揺動ロッド228を有し、当該揺動ロッド228がシリンダ241の後端部に設けた係合部材224に遊嵌状に係合されている。上記の回転体227、揺動リング229、シリンダ241によって揺動機構が構成され、この揺動機構が本発明における「第1の駆動機構部」に対応する。
動力伝達機構214は、駆動モータ211から駆動ギア221および被動軸225を介して鉛直面内にて回転駆動される第1伝達ギア231、当該第1伝達ギア231に噛み合い係合する第2伝達ギア233、当該第2伝達ギア233とともに回転されるスリーブ235、当該スリーブ235とともに鉛直面内にて回転されるツールホルダ237を主体として構成される。なお第2の実施形態に係るハンマドリル201は、ハンマビット219に対し常時に長軸方向への打撃力と周方向への回転力とを加えて被加工材のハンマドリル作業を行う構成である。
打撃要素215は、シリンダ241のボア内壁に摺動自在に配置されたストライカ243と、ツールホルダ237に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ243の運動エネルギをハンマビット219に伝達するインパクトボルト245を主体として構成される。ストライカ243は、本発明における「打撃子」に対応する。
図8〜図12には、動吸振器251と当該動吸振器251を強制加振する第2運動変更機構216が示されている。動吸振器251は、ハンマビット219の移動線を跨いで左右両側に配置される(図11参照)。図8〜図10に示すように、動吸振器251は、本体部203(図7参照)、具体的にはギアハウジング207に一体状に形成された筒体252と、当該筒体252内に配置されたウェイト253と、ウェイト253の両側に配置された付勢バネ257を主体として構成される。付勢バネ257は、本発明における「弾性要素」に対応する。付勢バネ257は、ウェイト253が筒体252の長軸方向(ハンマビット219の長軸方向)に移動する際にウェイト253に対向状の弾発力を付与する。
なお本実施の形態における動吸振器251は、その筒体252が本体部203(ギアハウジング207)に一体状に設けられているが、これを本体部203から取り外し自在に構成してもよい。
第2運動変換機構216は、動吸振器251のウェイト253を積極的に駆動させて強制加振するための加振力の入力手段として備えられる。第2運動変換機構216は、第1運動変換機構213における揺動リング229の揺動ロッド228、当該揺動ロッド228とともに揺動する揺動部材261、揺動部材261に設けられた作動片263、当該作動片263によって直線状に移動して動吸振器251の一方の付勢バネ257を機械的に加振する摺動子267を主体に構成される。上記の揺動リング229、揺動部材261および作動片263によって揺動機構が構成され、この揺動機構が本発明における「第2の駆動機構部」に対応する。
揺動部材261は、図9に示すように概ね半円弧状に形成され、揺動リング229の上面側を跨ぐように配置されるとともに、周方向の中央部261bが揺動ロッド228に対し当該揺動ロッド228の軸線回りに相対回動可能に嵌合されている。また揺動部材261の各端部には、円形の軸部261aが形成されており、この軸部261aが被動軸225の軸線と直交する水平軸線を中心として回動可能にホルダー265によって支持されている。従って、揺動リング229が揺動されるとき、揺動部材261は、軸部261aを中心にしてハンマビット219の長軸方向に揺動される。
動吸振器251の摺動子267は、筒体252内に当該筒体252の長軸方向(ハンマビット219の長軸方向)に摺動自在に嵌合され、一方の付勢バネ257の一端を支持している。揺動部材261の各端部は、各摺動子267に対向する位置にそれぞれ配置されており、当該各端部にはそれぞれ作動片263が設けられている。各作動片263は、先端が摺動子267のバネ支持面の背面に当接され、揺動部材261とともに揺動することで付勢バネ257を加圧する方向に摺動子267を移動させる構成とされる。
なお動吸振器251における筒体252内のウェイト253の左右両側部に形成される作動室256は、筒体252の壁に設けた通気孔252aあるいは摺動子267に設けた通気孔267aを経て動吸振器251外に連通される構成とされる。すなわち、作動室256が定常的に外部と連通し空気が自由に出入できる構成のため、ウェイト253がストライカ243と対向するように直線運動するに際し、当該ウェイト253の直線運動が妨げられることがない。
また摺動子267は、移動方向の一端が塞がれた筒状に形成されるとともに、移動方向に長尺状に形成されている。このため、筒体252の長軸方向の長さ寸法を増大することなく摺動子267の摺接面積を広く取ることができ、当該摺動子267が長軸方向に移動動作するときの安定化を図ることができる。
上記のように構成される第2の実施形態に係るハンマドリル201の作用について説明する。図7に示す駆動モータ211が通電駆動されると、その回転出力により、駆動ギア221が鉛直面内にて回動動作する。すると、駆動ギア221に噛み合い係合される被動ギア223、被動軸225を介して回転体227が鉛直面内にて回転動作される。そして揺動リング229および揺動ロッド228がハンマビット219の長軸方向に揺動する。揺動ロッド228の揺動によってシリンダ241が直線状に摺動動作され、それに伴うシリンダ241内の空気バネの作用により、ストライカ243はシリンダ241の直線動作速度よりも高速でシリンダ241内を直線運動する。ストライカ243は、インパクトボルト245に衝突することで、その運動エネルギをハンマビット219へと伝達する。
一方、被動軸225とともに第1伝達ギア231が回転されると、第1伝達ギア231に噛み合い係合される第2伝達ギア233を介してスリーブ235が鉛直面内にて回転され、更にスリーブ235とともにツールホルダ237およびこのツールホルダ237にて保持されるハンマビット219が一体状に回転される。かくして、ハンマビット219が長軸方向のハンマ動作と周方向のドリル動作を行い、被加工材にハンマドリル加工作業を遂行する。
上記のようにハンマビット219が駆動される際に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対しては、本体部203に設けられた動吸振器251が制振機能を奏する。ハンマドリル201の駆動時において、揺動リング229の揺動に伴って、揺動部材261がハンマビット219の長軸方向に揺動する。そして揺動部材261に設けた作動片263が上下方向に揺動し、一方向への揺動時(本実施の形態では、下方への揺動時)に、動吸振器251の摺動子267を直線状に移動させて付勢バネ257を加圧し、これによってウェイト253を当該付勢バネ257の加圧方向へと移動させる。すなわちウェイト253を積極的に駆動して強制加振することができる。このため、前述した第1の実施の形態と同様、ハンマドリル201に作用する振動の大小によらず、動吸振器251を定常的に作動させることが可能となる。
また第2運動変換機構216によって、付勢バネ257を機械的に加振する構成のため、第1の実施形態と同様、ウェイト253の駆動タイミングの設定、すなわち位相設定を自由に行うことができ、これにより、ウェイト253による制振作用を最適な形態で遂行することが可能となる。
なお第1の実施例における、通気孔152bを用いた減衰機構の構成および設計技術は、第2の実施形態においてもそのまま適用することができる。
第1および第2の実施の形態では、作業工具としてハンマドリル101,201を例にとって説明しているが、ハンマドリル101,201に限らず、ハンマにも適用可能である。さらに先端工具を直線状に動作させて被加工材の加工作業を遂行する作業工具に対し適用可能である。例えば、鋸刃を直線状に往復動作させて被加工材の切断作業を行うジグソーあるいはレシプロソー等に好適に用いることができる。
(弾性要素に関する変更例)
上記した第1および第2の実施形態では、ウェイト153,253の左右に付勢バネ157,257が配置される構成とされている。この点、図13および図14に示すように、各実施形態につき、ウェイト153,253の右側に形成される作動室156a,256aに付勢バネ157a,257aを配置し、右側に形成される作動室156b,256bには付勢バネを配置しない構成としてもよい。この場合、ウェイト153,253が安定して摺動可能なように、ウェイト153,253が筒体152,252の内周面に面接触するように構成するのが好ましい。このような変更例によれば、動吸振器の構成151,251を一層簡素化することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る電動式のハンマドリルの全体構成を概略的に示す側断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る動吸振器と当該動吸振器を強制加振する第2運動変換機構を示す平断面図であり、付勢バネの加圧状態を示す。 同じく動吸振器と当該動吸振器を強制加振する第2運動変換機構を示す平断面図であり、付勢バネの加圧解除状態を示す。 減衰要素のある強制加振のモデルを説明する図である。 加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の振幅に係る係数ρ(−)の関係、及び加振周波数f(Hz)に対するウェイト153の加振入力との間の位相差θ(°)の関係を示す「実施例」のグラフである。 図5の「実施例」に対する「比較例」のグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る電動式のハンマドリルの全体構成を概略的に示す側断面図である。 同じく第2の実施形態に係る動吸振器と当該動吸振器を強制加振する第2運動変換機構を示す図であり、付勢バネの最大加圧状態を示す。 同じく第2の実施形態に係る動吸振器と当該動吸振器を強制加振する第2運動変換機構を示す図であり、付勢バネの中間加圧状態を示す。 同じく第2の実施形態に係る動吸振器と当該動吸振器を強制加振する第2運動変換機構を示す図であり、付勢バネの非加圧状態を示す。 図9のIIX−IIX線断面図である。 図9のIX−IX線断面図である。 上記第1の実施形態の変更例の構成を示す模式図である。 上記第2の実施形態の変更例の構成を示す模式図である。
符号の説明
101 ハンマドリル(作業工具)
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
109 ハンドグリップ
111 駆動モータ
113 第1運動変換機構(第1の作動機構)
114 動力伝達機構
115 打撃要素
116 第2運動変換機構(第2の作動機構)
117 バレル部
119 ハンマビット(先端工具)
121 駆動ギア
123 被動ギア
125 クランク板
126 偏心軸(第1の駆動機構部)
128 クランクアーム(第1の駆動機構部)
128 連結軸
129 ピストン(第1の駆動機構部)
131 伝達ギア
132 滑りクラッチ
133 伝達軸
134 小ベベルギア
135 大ベベルギア
136 クラッチ機構
137 ツールホルダ
141 シリンダ
143 ストライカ
145 インパクトボルト
151 動吸振器
152 筒体
153 ウェイト
154 大径部
155 小径部
156 作動室
157 付勢バネ(弾性要素)
161 偏心軸部(第2の駆動機構部)
162 長円孔
163 連接板(第2の駆動機構部)
164 連係部
165 ガイドピン
167 バネ受部材
168 係合凹部

Claims (12)

  1. 先端工具と、
    駆動モータと、
    前記先端工具を直線状に駆動させ、これによって当該先端工具に所定の加工作業を遂行させる第1の作動機構と、
    弾性要素による付勢力が作用した状態で直線運動するウェイトを介して、前記先端工具による加工作業時の制振を行う動吸振器と、
    前記弾性要素を機械的に加振し、これによって前記ウェイトを強制的に駆動する第2の作動機構と、を有する作業工具であって、
    前記先端工具は、被加工材に対し直線状の衝撃力を作用させて作業を行うハンマビットとして構成され、
    前記第1の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を前記先端工具の長軸方向への直線運動に変換する第1の駆動機構部と、当該第1の駆動機構部によって直線運動し、これによって前記先端工具を駆動する打撃子と、を有し、
    前記第2の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を前記先端工具の長軸方向への直線運動に変換する第2の駆動機構部と、当該第2の駆動機構部によって直線往復運動され、これによって前記弾性要素を加振する摺動子と、を有することを特徴とする作業工具。
  2. 先端工具と、
    駆動モータと、
    前記先端工具を直線状に駆動させ、これによって当該先端工具に所定の加工作業を遂行させる第1の作動機構と、
    弾性要素による付勢力が作用した状態で直線運動するウェイトを介して、前記先端工具による加工作業時の制振を行う動吸振器と、
    前記弾性要素を機械的に加振し、これによって前記ウェイトを強制的に駆動する第2の作動機構と、を有する作業工具であって、
    前記先端工具は、直線往復運動を行うことによって被加工材を切断作業する鋸刃として構成され、
    前記第1の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を前記先端工具の長軸方向への直線運動に変換する第1の駆動機構部と、前記鋸刃に連携するとともに前記第1の駆動機構部によって直線往復運動され、これによって前記鋸刃を直線状に往復動作させるスライダーと、を有し、
    前記第2の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換する第2の駆動機構部と、当該第2の駆動機構部によって直線往復運動され、これによって前記弾性要素を加振する摺動子と、を有することを特徴とする作業工具。
  3. 請求項1または2に記載の作業工具であって、
    前記弾性要素は、前記ウェイトを作業工具本体に接続する複数の弾性要素として定義され、前記第2の作動機構は、当該複数の弾性要素の少なくとも一つを機械的に加振するように構成されていることを特徴とする作業工具。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の作業工具であって、
    前記動吸振器は、前記先端工具の移動線を挟んで両側に配置されていることを特徴とする作業工具。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載作業工具であって、
    前記動吸振器は、前記第2の作動機構によって前記弾性要素を加振する場合に、加振周波数の所定周波数領域において前記ウェイトの振幅が規定振幅範囲内で変動し、且つ当該所定周波数領域において前記ウェイトと前記第2の作動機構との間の位相差が規定位相差範囲内で変動するような減衰特性を有する構成であり、これによって前記動吸振器の動作が安定化することを特徴とする作業工具。
  6. 請求項に記載の作業工具であって、
    前記動吸振器は、前記ウェイトを摺動自在に収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され、当該ハウジングの内部領域と外部領域とを連通することでこれら両領域間における空気の移動を許容する通気部を備え、前記通気部における単位時間当たりの通気量が、前記減衰特性に対応して設定されていることを特徴とする作業工具。
  7. 先端工具と、
    前記先端工具を往復直線状に駆動させることで当該先端工具に所定の加工作業を遂行させる第1の作動機構と、
    弾性要素および当該弾性要素による付勢力が作用した状態で直線運動可能なウェイトを有する動吸振器と、
    前記ウェイトを強制加振して駆動する第2の作動機構を備える作業工具であって、
    前記動吸振器は、前記第2の作動機構による加振周波数の所定周波数領域において前記ウェイトの振幅が規定振幅範囲内で変動するとともに、当該所定周波数領域において前記ウェイトの前記第2の作動機構との間の位相差が規定位相差範囲内で変動するような減衰特性を有し、これによって前記動吸振器の動作が安定化することを特徴とする作業工具。
  8. 請求項に記載の作業工具であって、
    前記動吸振器は、前記ウェイトを摺動自在に収容するハウジングと、前記ハウジングに形成され、当該ハウジングの内部領域と外部領域とを連通することでこれら両領域間における空気の移動を許容する通気部を備え、前記通気部における単位時間当たりの通気量が、前記減衰特性に対応して設定されていることを特徴とする作業工具。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の作業工具であって、
    前記動吸振器における弾性要素の弾性定数をkとし、ウェイトの質量をmとした場合に、前記加振周波数を、実質的に1/(2π)・(2k/m)1/2ヘルツとし、これによって前記ウェイトの直線運動量が増大するように設定されていることを特徴とする作業工具。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の作業工具であって、
    記第2の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を前記先端工具の長軸方向への直線運動に変換するクランク機構部を有することを特徴とする作業工具。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の作業工具であって、
    記第1の作動機構は、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換するべく前記先端工具の長軸方向に揺動する揺動機構部を有し、
    前記第2の作動機構は、前記揺動機構部の揺動動作のうち前記先端工具の長軸方向への動作成分によって前記弾性要素を機械的に加振するべく、前記揺動機構部と前記弾性要素の双方に連接される作動片を有することを特徴とする作業工具。
  12. 請求項11に記載の作業工具であって、
    前記作動片は、前記揺動機構部の揺動動作のうち前記先端工具の長軸方向への動作成分を弾性要素に伝達するカム要素として機能することを特徴とする作業工具。
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