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JP4533597B2 - 耐内圧性とラベル貼付性とに優れたプラスチックキャップ - Google Patents

耐内圧性とラベル貼付性とに優れたプラスチックキャップ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックキャップに関するものであり、より詳細には、炭酸飲料等の内圧の高い内容液を収容する容器に適用されるプラスチックキャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックキャップには、所謂ライナーレスのものが知られており、このようなライナーレス型のキャップは、頂板部の内面に、インナーリングとアウターリングとが形成されている。即ち、キャップを閉じた状態で、容器口部壁の上端部分がインナーリングとアウターリングとの間に侵入し、両者の間に容器口部壁の上端部分を保持することにより、シールが形成される構造となっている。
【0003】
ところで、上記のようなライナーレス型のプラスチックキャップは、炭酸飲料等の内容液を収容した容器に適用した場合に、シール破壊を生じ易いという問題がある。即ち、このような内容液が収容されている容器では、容器内の圧力が高いため、この内圧によってキャップがドーム状に膨れ(ドーム変形)、同時にインナーリングやアウターリングの変形が生じ、インナーリングやアウターリングとその間に挿入されている容器口部の上端部分との密着性が損なわれてしまい、この結果としてシール破壊を生じてしまうという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、本出願人は、先に、アウターリングを径方向内方に傾斜せしめ且つ頂板部のインナーリングの付け根部分に適当な幅の薄肉部を形成したプラスチックキャップ(合成樹脂製容器蓋)を提案した(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−109105号(図2乃至図6)
【0006】
即ち、上記先行技術のキャップは、特にアウターリングと容器口部壁との密着によりシールを形成せしめるとともに、容器内圧によるキャップのドーム変形をインナーリングの付け根部から積極的に生じせしめることにより、シールを形成しているアウターリングと容器口部壁との密着部分への応力集中を緩和することにより、シール破壊を防止しようというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような先行技術のキャップは耐内圧性に優れており、容器内圧によるシール破壊が有効に抑制されるという利点を有しているものの、ラベル貼付性が悪いという欠点がある。即ち、炭酸飲料等の内容物が収容された容器に装着されるキャップの頂板部外面には、懸賞表示等のラベルを貼り付けることが多いが、キャップ頂板部のドーム変形により、ラベルの貼り付けが困難となったり、或いは貼り付けたラベルが剥がれてしまうという不都合が生じ易い。特に、容器内温度が40℃以上になると、容器内圧の上昇が著しく、ドーム変形が大きくなるため、ラベル貼付性の悪化が著しくなる。
【0008】
従って本発明の目的は、頂板部の内面に形成されたインナーリングとアウターリングとの間に容器口部壁が保持されてシール構造が形成されるプラスチックキャップにおいて、容器内圧によるシール破壊が有効に抑制されるとともに、キャップの頂板部外面のラベル貼付性が改善されたプラスチックキャップを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部と、頂板部周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内側に挿入されるインナーリングと、容器口部壁の外面に密着するアウターリングとが形成されているプラスチックキャップにおいて、
前記頂板部のインナーリング内側部分は、インナーリングの付け根部分から半径方向内方にかけて形成されている薄肉環状領域と、該薄肉環状領域の内側に位置する厚肉円形領域と、該薄肉環状領域と該厚肉円形領域との間に形成された中肉環状領域とからなっていると共に、
前記頂板部の外面は、面一に形成されており、
前記薄肉環状領域、前記中肉環状領域及び前記厚肉円形領域に相当する部分は、それぞれ、フラットな内面を有する部分を含んでおり、
前記薄肉環状領域は、前記中肉環状領域よりも薄く、前記中肉環状領域は、前記厚肉円形領域よりも薄いことを特徴とするプラスチックキャップが提供される。
【0010】
本発明においては、
1.前記薄肉環状領域は、0.5乃至1.1mmの厚みと、0.5乃至5.0mmの幅とを有し、前記中肉環状領域は、1.0乃至1.8mmの厚みと、0.8乃至2.5mmの幅とを有し、前記厚肉円形領域は、1.6乃至3.0mmの厚みを有していること、
2.前記アウターリングは、その付け根部から先端に向かって内面側に傾斜して延びている内周面を有しており、前記頂板部内面には、インナーリングとアウターリングとの間の位置で、容器口部の上端と外面とのコーナー部に当接し得るリング状小突起が形成されていること、
が好ましい。
【0011】
本発明では、頂板部のインナーリングの付け根部分に形成されている薄肉環状領域がドーム変形の起点となり、この部分からドーム変形を生じるようになっているため、容器内圧が上昇した場合にも、アウターリングと容器口部上端部分との密着性が損なわれないと同時に、薄肉環状領域と厚肉円形領域との間(即ち薄肉環状領域の内側)には、両領域の中間の厚みを有する中肉環状領域が形成されているため、この中肉環状領域及び厚肉円形領域によってドーム変形が適度に抑制される。従って、キャップの頂板部が必要以上に膨れることによるラベル貼付性の悪化が有効に回避でき、ラベルの貼付を確実に行うことができ、また貼り付けられたラベルが剥がれ易いという欠点も有効に回避できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のプラスチックキャップの一例を示す半断面側面図であり、
図2は、図1のキャップの底面図であり、
図3は、図1のキャップの要部を容器口部とともに示す拡大断面図である。
【0013】
図1乃至図3を参照して、このキャップは、頂板部1と、頂板部1の周縁部から垂下しているスカート状側壁2とから成っており、スカート状側壁2の下端には、破断可能なブリッジ(例えばミシン目)3を介して開封履歴明示バンド(TEバンド)4が設けられている。
【0014】
頂板部1の内面には、スカート状側壁2とは間隔を置いて下方に延びているインナーリング5が形成されており、このインナーリング5の外側には、インナーリングよりも背の低いアウターリング7が設けられている。また、インナーリング5とアウターリング7との間の部分には、周状小突起9が形成されている。
【0015】
スカート状側壁2の内面には、螺条10が形成されており、この螺条10は、容器口部壁50の外面に形成されている螺条51と係合する。即ち、スカート状側壁2を閉栓方向に旋回し(即ち、巻き締め)、螺条10と容器口部壁50の外面の螺条51とを螺子係合することにより、このキャップは、容器口部50に装着される。尚、上記の螺条10には、軸方向に整合した位置に切欠きが形成されており、キャップを開栓する際に、容器内のガスを速やかに外部に排出できるようになっている。また、この切欠き部に位置して、軸方向溝10aを設けてもよい。この軸方向溝10aにより、更にガスの排出を速やかに行うことができる。
【0016】
スカート状側壁2の外面には、滑り止め用のローレット12が形成されており、キャップの閉栓方向及び開栓方向への旋回をスムーズに行い得るようになっている。
【0017】
TEバンド4の内面には、それ自体公知のフラップ片14が設けられており、容器口部壁50の顎部52と係止し得るようになっている。即ち、容器口部壁50に巻き締められたキャップを開栓したとき、このフラップ片14が上記顎部52に当接し、TEバンド2の上昇は制限される。一方、スカート状側壁2は、そのまま開栓方向に回転して上昇する。従って、スカート状側壁2の下端とTEバンドを繋ぐブリッジ3が破断し、TEバンド5は、キャップから離脱する。かくして、TEバンド5がキャップから離脱していることにより、キャップが一度開栓され或いはシール破壊が生じたという事実を認識することが可能となるものである。
【0018】
特に図3に明瞭に示されているように、容器口部壁50にキャップが装着された状態において、容器口部壁50の上端部分は、インナーリング5とアウターリング7との間に入り込み、その上端面50aと外面50bとのコーナー部には、環状小突起9が当接する。即ち、アウターリング7及び環状小突起9により、或いはインナーリング5、アウターリング7及び環状小突起9との3点保持により、容器内部のシールが形成されるようになっている。
【0019】
本発明において、インナーリング5は、頂板部1の内面からほぼ鉛直方向に降下しているか或いは外周面に凸部が形成され、容器内面に密着している。アウターリング7は、その下端に向かって内方に傾斜しており、容器口部壁50の外面に食い込むように形成されている。さらに環状小突起9は、アウターリング7の付け根部分に形成され、容器口部壁50の上端面50aと外面50bとのコーナー部分に密着している。このように、アウターリング7と環状小突起9により、主たるシールを形成するようになっている。このため、炭酸飲料等の充填により内圧が高くなっている容器に対しても優れた耐圧性が確保されるようになっている。即ち、インナーリング5と容器口部壁50との密着により主たるシールが形成されるような場合には、容器内圧によるドーム変形(頂板部1の膨れ)によるインナーリング5の変形により容易にシール破壊が生じてしまうが、上記のようにアウターリング7により主たるシールを形成した場合には、アウターリング7が多少変形する程度であれば、シール破壊は生じない。
【0020】
本発明においては、頂板部1のインナーリング5よりも内側部分は、インナーリング5の付け根部分から半径方向内方にかけて薄肉環状領域30が形成され、頂板部1の中心部分には、厚肉円形領域32が形成され、さらに、薄肉環状領域30と厚肉円形領域32との間には、これら領域30,32の中間の厚みを有する中肉環状領域34が形成されていることが重要である。
【0021】
即ち、インナーリング5の付け根部分に形成されている薄肉環状領域30によって、このキャップの耐圧性はさらに向上している。例えば、アウターリング7により主たるシールを形成しただけでは、炭酸飲料が充填された容器内が40℃以上の高温になったときには、容器内圧が著しく上昇してしまうため、ドーム変形の程度が大きくなり、容器口部壁50に密着しているアウターリング7に大きな応力が発生し、その変形も著しく、シール破壊を生じてしまう。しかるに、上記のように薄肉環状領域30を形成することにより、インナーリング5の付け根部分を起点として、頂板部1がドーム変形する(外方に膨れる)ため、容器内圧上昇が、このドーム変形により緩和され、特にアウターリング7への応力集中が抑制され、このような場合にもシール破壊を有効に防止することが可能となり、極めて優れた耐内圧性を確保することができるのである。
【0022】
また、薄肉環状領域30の内側に形成されている厚肉の円形領域32及び中肉環状領域34により、頂板部1のドーム変形の適度なものに調整することができ、これにより、上述した優れた耐内圧性を損なうことなく、ラベル貼付性を改善することができるのである。即ち、厚肉の円形領域32と中肉環状領域34との協働作用により、容器内圧が著しく上昇した場合にも、頂板部1の極端なドーム変形が抑制され、例えばその中心部分は比較的フラットに近い状態に保持される。この結果、頂板部1の外面へのラベルの貼付を容易に且つ確実に行うことができ、また貼り付けられたラベルが剥がれ落ちることもない。例えば、厚肉の円形領域32及び中肉環状領域34を形成しない時には、頂板部1のドーム変形の程度が大きいため(頂板部1が外側に大きく膨れる)、ラベルの周縁部分が頂板部1の外面から浮いた状態となってしまい、その貼り付けが困難となり、或いは貼付ができたとしても、周縁部が浮いているため、容易に剥がれてしまうのである。
【0023】
尚、本発明においては、厚肉円形領域32と中肉環状領域34とによってドーム変形の程度を調整することが重要であり、例えば中肉環状領域34を形成せず、薄肉環状領域30の厚み調整のみでは、ラベル貼付性を改善できたとしても、薄肉環状領域30(即ち、インナーリング5の付け根部分)を起点としてのドーム変形が抑制されてしまうため、アウターリング7への応力集中を緩和できず、耐内圧性が低下してしまい、容器内圧によるシール破壊を防止することが困難となってしまうからである。また、厚肉円形領域32の厚み調整のみでは、適度なドーム変形を生じさせることができず、耐内圧性或いはラベル貼付性の何れかが不満足なものとなってしまう
【0024】
従って、本発明においては、上述した中肉環状領域34や薄肉環状領域30の幅や厚み、及び厚肉円形領域32の厚み等は、ラベル貼付性を確保できるが、耐内圧性を損なわない程度のドーム変形が生じるように設定される。例えば、具体的な数値は、キャップの大きさによっても異なるが、薄肉環状領域30は、0.5乃至1.1mmの厚みと、0.5乃至5.0mmの幅とを有し、前記中肉環状領域34は、1.0乃至1.8mmの厚みと、0.8乃至2.5mmの幅を有しており、また、厚肉円形領域32は、1.6乃至3.0mmの厚みを有している。勿論、各領域の厚みは、薄肉環状領域30<中肉環状領域34<厚肉円形領域32の関係を満足している。
【0025】
上述した本発明のキャップは、各種のプラスチック、例えば、低−、中−または高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ΑΒS樹脂等を用いての射出成形、圧縮成形等の一体成形により製造することができる。
【0026】
【実施例】
実施例1
高密度ポリエチレンを用い、圧縮成形により、図1に示す形状のキャップを作成した。該キャップの頂板部の各領域の幅や厚み等は以下の通りである。
頂板部外径:30mm
薄肉環状領域;
幅:1.6mm
厚み:0.8mm
中肉環状領域;
幅:1.8mm
厚み:1.4mm
厚肉円形領域;
径:13mm
厚み:2.2mm
【0027】
上記のキャップを、炭酸飲料が充填された500mlのPETボトルに装着し、40℃の温度でドーミング量を測定したところ、1.60mmであった。(尚、ドーミング量は、キャップ頂板部中心におけるドーム変形がない状態との高低差である。)
【0028】
上記のキャップの頂板部外面に、接着剤が塗布された17.7mm径の円形ラベルを貼り付けたところ、ラベルは、その全体がキャップ頂板部にぴったりと密着して安定に貼り付けられた。
【0029】
比較例1
中肉環状領域が全く形成されておらず、中肉環状領域の部分まで厚肉円形領域が延びている以外は実施例1と全く同じキャップを作成し、実施例1と同様にしてドーミング量を測定したところ、2.00mmであり、実施例1に比して極めて大きなドーム変形を生じた。
【0030】
さらに、上記のキャップの頂板部外面に、実施例1と同様、円形ラベルを貼り付けたところ、ラベルの周縁部が浮いてしまい、貼り付けられたラベルはすぐ剥がれてしまった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のプラスチックキャップは、炭酸飲料等の飲料が充填され、内圧の高い容器に適用された場合にも、温度上昇によるさらなる内圧上昇によるシール破壊を防止できると同時に、頂板部外面のラベル貼付を有効に且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチックキャップの一例を示す半断面側面図。
【図2】図1のキャップの底面図。
【図3】図1のキャップの要部を容器口部とともに示す拡大断面図。
【符号の説明】
1:頂板部 2:スカート状側壁
5:インナーリング 7:アウターリング
9:環状小突起 30:薄肉環状領域
32:厚肉円形領域 34:中肉環状領域
50:容器口部壁

Claims (3)

  1. 頂板部と、頂板部周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該頂板部内面には、容器口部壁の内側に挿入されるインナーリングと、容器口部壁の外面に密着するアウターリングとが形成されているプラスチックキャップにおいて、
    前記頂板部のインナーリング内側部分は、インナーリングの付け根部分から半径方向内方にかけて形成されている薄肉環状領域と、該薄肉環状領域の内側に位置する厚肉円形領域と、該薄肉環状領域と該厚肉円形領域との間に形成された中肉環状領域とからなっていると共に、
    前記頂板部の外面は、面一に形成されており、
    前記薄肉環状領域、前記中肉環状領域及び前記厚肉円形領域に相当する部分は、それぞれ、フラットな内面を有する部分を含んでおり、
    前記薄肉環状領域は、前記中肉環状領域よりも薄く、前記中肉環状領域は、前記厚肉円形領域よりも薄いことを特徴とするプラスチックキャップ。
  2. 前記薄肉環状領域は、0.5乃至1.1mmの厚みと、0.5乃至5.0mmの幅とを有し、前記中肉環状領域は、1.0乃至1.8mmの厚みと、0.8乃至2.5mmの幅とを有しており、前記厚肉円形領域は、1.6乃至3.0mmの厚みを有している請求項1に記載のプラスチックキャップ。
  3. 前記アウターリングは、その付け根部から先端に向かって内面側に傾斜して延びている内周面を有しており、前記頂板部内面には、インナーリングとアウターリングとの間の位置で、容器口部の上端と外面とのコーナー部に当接し得るリング状小突起が形成されている請求項1または2に記載のプラスチックキャップ。
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