JP4524837B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板や金属リードフレームの片面に半導体素子を搭載し、その搭載面側の実質的に片面のみを樹脂封止されたいわゆるエリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、又、半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の装置から移行し始めている。エリア実装型半導体装置としては、ボールグリッドアレイ(以下、BGAという)、あるいは更に小型化を追求したチップサイズパッケージ(以下、CSPという)等が代表的であるが、これらは従来のQFP、SOP等に代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、ビスマレイミド・トリアジン(以下、BTという)樹脂/銅箔回路基板に代表される硬質回路基板、あるいはポリイミド樹脂フィルム/銅箔回路基板に代表されるフレキシブル回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その半導体素子搭載面、即ち基板の片面のみがエポキシ樹脂組成物等で成形・封止されている。又、基板の半導体素子搭載面の反対面には、半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行うという特徴を有している。更に、半導体素子を搭載する基板としては、上記有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も開発されている。
【0003】
これらエリア実装型半導体装置の構造は、基板の半導体素子搭載面のみをエポキシ樹脂組成物で封止し、半田ボール形成面側は封止しないという片面封止の形態をとっている。ごく希に、リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、半導体素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため、有機基板や金属基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合、あるいはエポキシ樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮による影響で、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。
又、これらの半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、200℃以上の加熱工程を経るが、この際にも半導体装置の反りが発生し、多数の半田ボールが平坦とならず、半導体装置を実装する回路基板から浮き上がってしまい、電気的接合の信頼性が低下する問題が起こる。
基板上の実質的に片面のみをエポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置において、反りを低減するには、基板の線膨張係数とエポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数を近づけること、及びエポキシ樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮量を小さくすることの二つの方法が重要である。
基板としては、有機基板では、BT樹脂やポリイミド樹脂のような高いガラス転移温度(以下、Tgという)を有する樹脂が広く用いられており、これらはエポキシ樹脂組成物の成形温度である170℃近辺よりも高いTgを有する。従って、成形温度から室温までの冷却過程では有機基板の線膨張係数α1(以下、α1という)の領域のみで収縮するので、エポキシ樹脂組成物の硬化物もTgが高く、且つα1が有機基板と同じであり、更に硬化収縮量がゼロであれば反りはほぼゼロであると考えられる。このため、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂とトリフェノールメタン型フェノール樹脂との組合せによりTgを高くし、無機充填材の配合量でα1を合わせる手法が既に提案されている。
【0004】
又、赤外線リフロー、ベーパーフェイズソルダリング、半田浸漬等の手段での半田処理による半田接合を行う場合、エポキシ樹脂組成物の硬化物並びに有機基板からの吸湿により半導体装置内部に存在する水分が高温で急激に気化することによる応力で半導体装置にクラックが発生したり、有機基板の半導体素子搭載面とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生することもあり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の高強度化、低応力化、低吸湿化とともに、有機基板との高密着性も求められる。
従来のBGAやCSP等のエリア実装型半導体装置には、反りの低減のためにトリフェノールメタン型エポキシ樹脂とトリフェノールメタン型フェノール樹脂を樹脂成分とするエポキシ樹脂組成物が用いられてきた。このエポキシ樹脂組成物は、Tgが高く、硬化性、熱時曲げ強度に優れた特性を有しているが、硬化物の吸湿率が高く、又、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が比較的高く、無機充填材の高充填化には限界があり、低吸湿化が不十分で、耐半田クラック性には問題があった。
一方、従来のQFPやSOP等の表面実装型半導体装置では、半田実装時のクラックや各素材界面での剥離の防止のために、ビフェニル型エポキシ樹脂に代表されるような結晶性エポキシ樹脂を使用しているが、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物と比較して熱時曲げ強度が低く、且つ硬化が遅いのが問題であった。
そこで、反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れ、且つ低吸湿性、耐半田クラック性に優れるエポキシ樹脂組成物を得るため、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂と結晶性エポキシ樹脂の特徴を生かすべく、エポキシ樹脂組成物の製造時に両方のエポキシ樹脂を適正量併用したり、予め両方のエポキシ樹脂を溶融混合したものを用いても、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いた時の反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れるという特徴と、結晶性エポキシ樹脂を用いた時の低吸湿性、耐半田クラック性に優れるという特徴を両立することはできておらず、不十分であった。
【0005】
又、これらのエポキシ樹脂組成物中には、難燃性を確保するために難燃剤としてハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤が配合されている。ところが、環境・衛生の点からハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤を使用しない難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。
この要求に対して、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水酸化物、硼素系化合物が検討されてきたが、多量に配合しないと難燃性の効果が発現しせず、又、不純物が多く耐湿性に問題があることから実用化されていない。
又、赤燐系の難燃剤は、少量の添加で効果があり、エポキシ樹脂組成物の難燃化に有用であるが、赤燐は微量の水分と反応し、フォスフィンや腐食性の燐酸を生じるため耐湿性に問題があり、耐湿性に対する要求が極めて厳しい半導体封止用エポキシ樹脂組成物には使用できない。このため、赤燐粒子を水酸化アルミニウム、金属酸化物、その他無機化合物、熱硬化性樹脂等の有機化合物で被膜し、赤燐の安定化をはかっているが、依然、耐湿性に問題があり、難燃性・耐湿性が両立し、難燃剤を使用しないエポキシ樹脂組成物がないのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性に優れ、且つ難燃性に優れるエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] (A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂中に30〜100重量%含むエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で示されるナフトールアラルキル樹脂を総樹脂硬化剤中に30〜100重量%含む樹脂硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)硬化促進剤を必須成分とし、総エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する総樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基数の比が0.9を越え2.0以下であり、無機充填材の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり250〜1400重量部であり、硬化促進剤の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【化3】
(nは平均値で1〜10の正数)
【0008】
【化4】
(nは平均値で1〜7の正数)
[2] 第[1]項記載の組成物に、(E)難燃剤を配合してなることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] (E)難燃剤が、総ポキシ樹脂組成物中に0.05〜10重量%である第[2]項記載のエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[4] 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが第[1]〜[3]項記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物によって封止されていることを特徴とする半導体装置、
を提供するものであり、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性に優れ、且つ難燃性に優れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者は、エポキシ樹脂組成物において、特定のエポキシ樹脂と特定の樹脂硬化剤との組合せが、低硬化収縮性、耐湿信頼性、難燃性に優れることを見出した。本発明のエポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル骨格を含むノボラック構造のエポキシ樹脂のことであり、本発明の樹脂硬化剤とは、分子中にα−ナフトール骨格を含むノボラック構造のフェノール樹脂(以下、ナフトールアラルキル樹脂という)のことである。エポキシ樹脂、フェノール樹脂にビフェニル骨格やα−ナフトール骨格のような芳香族環が含まれると、分子間の結合エネルギーが大きくなり、燃焼による分解が起こりにくくなるため難燃性が発現する。エポキシ樹脂、フェノール樹脂の分子中の芳香族環数は多い方、即ち、ナフタレンよりアントラセンの方が燃えにくくなり難燃性は向上するが、軟化点が高くなり過ぎ、流動性の問題があり、ビフェニル骨格、α−ナフトール骨格が難燃性と流動性のバランスが良く最適である。
【0010】
又、本発明のエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル樹脂は、疎水性の芳香族環を有していることと、架橋間距離が汎用のエポキシ樹脂(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等)やフェノール樹脂(フェノールノボラック樹脂等)と比較して大きいために、吸湿率が比較的低く、従って、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置は、実装時の半田処理下でも高い信頼性を得ることができる。
【0011】
本発明で用いる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、分子中にビフェニル誘導体を含むノボラック構造のエポキシ樹脂であり、例えば、フェノールとビスメチレンビフェノール類をフリーデル・クラフツ・アルキル化反応させて得られたフェノール樹脂をグリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
一般式(1)中のnは、平均値で1〜10の正数が好ましい。1未満だと硬化後の特性、例えば低吸湿性や難燃性等が十分に表れず好ましくない。10を越えるとトランスファー成形時での流動性が低下し、成形性が劣化する傾向があるので好ましくない。
含有量としては、総エポキシ樹脂中に30〜100重量%が好ましく、特に50〜100重量%が好ましい。30重量%未満だと難燃性が不十分なので好ましくない。
又、一般式(1)のエポキシ樹脂の特性を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂を併用できる。併用できるエポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0012】
本発明で用いる一般式(2)で示されるナフトールアラルキル樹脂は、剛直なα−ナフトール骨格を1分子中少なくとも2個以上有するため、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなるという特徴を有している。更に、β−ナフトール骨格を有する樹脂硬化剤と比較して、硬化時のエポキシ樹脂組成物の硬化収縮量が小さく、接着強度の低下あるいは硬化物のTgの低下等が生じにくいという特徴を有している。
一般式(2)中のnは、平均値で1〜7の正数が好ましい。1未満だと反応性が十分でなく、硬化性に劣るためので好ましくない。7を越えるとトランスファー成形時での流動性が低下し、成形性が劣化する傾向があるので好ましくない。
含有量としては、総樹脂硬化剤中に30〜100重量%が好ましく、特に50〜100重量%が好ましい。30重量%未満だと低吸湿性及び難燃性が不十分なので好ましくない。
又、一般式(2)のナフトールアラルキル樹脂の特性を損なわない範囲で、他の樹脂硬化剤を併用できる。併用できる樹脂硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0013】
特に、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂が総エポキシ樹脂中に50重量%以上、かつ一般式(2)のナフトールアラルキル樹脂が総樹脂硬化剤中に50重量%以上であれば、難燃剤を配合しなくてもV−0レベルの難燃性を得ることが可能となるので好ましい。又、難燃剤を添加する場合でも、極少量で効果を発揮することができるため、硬化性や耐湿性を低下させずに十分な難燃性を得ることができる。この場合、難燃剤は総ポキシ樹脂組成物中に10重量%以下が好ましい。10重量%を越えると、硬化性や耐湿性等が低下してしまい、好ましくない。
総エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する総樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基数の比としては、0.9を越え2.0以下が好ましく、特に好ましくは1〜1.5である。0.9以下であっても、2.0を越えても、エポキシ樹脂組成物の硬化性の低下、あるいは硬化物のTgの低下等が生じるので好ましくない。
【0014】
本発明で用いる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好ましい。球状シリカの形状としては、流動性改善のために限りなく真球状であり、且つ粒度分布がブロードであることが好ましい。
含有量としては、成形性と信頼性のバランスから、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり250〜1400重量部が好ましい。250重量部未満だと難燃性が得られず、1400重量部を越えると成形性の問題が生じ好ましくない。
本発明の無機充填材は、予め十分に混合しておくことが好ましい。又、必要に応じて、無機充填材をカップリング剤やエポキシ樹脂あるいは樹脂硬化剤で予め処理して用いても良く、処理の方法としては、溶剤を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や直接無機充填材に添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
【0015】
本発明で用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
含有量としては、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部が好ましい。0.4重量部未満だと、加熱成形時に十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、20重量部を越えると、硬化が速すぎて成形時に流動性が低下し、充填不良等が生ずるおそれがある。
【0016】
本発明で用いる難燃剤としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン系化合物、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、赤燐等のリン化合物、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水酸化物、硼素系化合物、シリコーン系化合物等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。難燃剤の配合量としては、総ポキシ樹脂組成物中に0.05〜10重量%が好ましい。0.05重量%未満だと、十分な難燃性が得られないおそれがある。一方、10重量%を越えると、硬化性の不良や耐湿性の低下等が生ずる恐れがある。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分の他、必要に応じて酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合しても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エリア実装型半導体装置用に適している。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。実施例及び比較例で用いたエポキシ樹脂、樹脂硬化剤の略号及び構造を、まとめて以下に示す。
・ エポキシ樹脂1:式(3)で示されるエポキシ樹脂(軟化点:58℃、エポキシ当量:274g/eq)
【化5】
【0019】
・エポキシ樹脂2:式(4)で示される樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(融点:105℃、エポキシ当量:191g/eq)
【化6】
【0020】
・エポキシ樹脂3:式(5)で示されるエポキシ樹脂(軟化点:59℃、エポキシ当量:171g/eq)
【化7】
【0021】
・フェノール樹脂1:式(6)で示されるフェノール樹脂(軟化点:87℃、水酸基当量:210g/eq)
【化8】
【0022】
・フェノール樹脂2:式(7)で示されるフェノール樹脂(軟化点:79℃、水酸基当量:190g/eq)
【化9】
【0023】
・フェノール樹脂3:式(8)で示されるフェノール樹脂(軟化点:110℃、水酸基当量:98g/eq)
【化10】
【0024】
・フェノール樹脂4:式(9)で示されるフェノール樹脂(軟化点:70℃、水酸基当量170g/eq)
【化11】
【0025】
を、常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で2軸ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0026】
評価方法
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。単位はcm。
・硬化トルク:キュラストメータ((株)オリエンテック・製、JSRキュラストメータIVPS型)を用いて、金型温度175℃、加熱開始90秒後のトルクを求めた。キュラストメータにおけるトルクは硬化性のパラメータであり、数値の大きい方が硬化性が良好である。単位はkgf・cm。
・吸湿率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、175℃、8時間で後硬化し、85℃、相対湿度60%の環境下で168時間放置し、重量変化を測定して吸湿率を求めた。単位は重量%。
・パッケージ反り量:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で225pBGA(基板は厚さ0.36mm、ビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは24×24mm、厚さ1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚さ0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている。)を成形し、175℃、8時間で後硬化し、室温に冷却後、表面粗さ計を用いて、パッケージのゲート側から対角線方向に、高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。単位はμm。
・ 耐半田クラック性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で225pBGA(基板は厚さ0.36mm、ビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは24×24mm、厚さ1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚さ0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている。)を8個成形し、175℃、8時間で後硬化した。60℃、相対湿度60%で120時間、もしくは85℃、相対湿度60%で168時間処理した後、IRリフロー処理(240℃)を行った。処理後の内部の剥離、及びクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8と表示する。
・ 難燃性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で試験片(厚さ1.6mm)を成形し、UL−94垂直試験に準じてFmax、ΣFを測定し、Fmaxが10秒以内、ΣFが50秒以内のとき、難燃性をV−0と判定した。ただし、Fmaxはフレーミング時間の最大値(秒)、ΣFはフレーミング時間の合計(秒)である。
【0027】
実施例2〜6、比較例1〜11
表1、表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示す。
なお、実施例3、比較例1に用いたオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ当量は196g/eq、実施例4、比較例2に用いたフェノールノボラック樹脂の水酸基当量は104g/eqである。
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明に従うと、エリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いた半導体装置は、成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性に優れ、且つ難燃性に優れている。
Claims (4)
- (A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂中に50〜100重量%含むエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で示されるナフトールアラルキル樹脂を総樹脂硬化剤中に50〜100重量%含む樹脂硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)硬化促進剤を必須成分とし、総エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する総樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基数の比が0.9を越え2.0以下であり、無機充填材の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり250〜1400重量部であり、硬化促進剤の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1記載の組成物に、(E)難燃剤を配合してなることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- (E)難燃剤が、総ポキシ樹脂組成物中に0.05〜10重量%である請求項2記載のエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが請求項1〜3記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物によって封止されていることを特徴とする半導体装置。
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