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JP4522253B2 - 光走査装置及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

光走査装置及びそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光走査装置及びそれを用いた走査型の画像表示装置に関し、特に偏向手段で光束(偏向光束)を2次元的に走査することによって被走査面、例えばスクリーン面上に2次元画像を投影表示するようにしたものである。
光源手段から発せられた光束を偏向手段によって2次元的に偏向し、被走査面上をスポットで2次元的に光走査し、その残像効果によって2次元画像を形成する光走査装置が種々と提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
光走査装置においては、光源手段からの光束を偏向する偏向手段として、ポリゴンミラーやガルバノミラー、それにMEMS(Micro Electro- Mechanical Systems)技術(微小機械システム)などで作製されたMEMSデバイスが用いられている。
ガルバノミラーやMEMSデバイスなど正弦波駆動する偏向手段を用いた場合、被走査面上を光走査される速度が周辺部で遅くなるという問題が一般的に知られている。
また、このような偏向手段を用いて2次元的に光走査するとき、被走査面上に形成される2次元画像に走査歪が発生することが一般的に知られている。
2次元画像を高品位に表示するためには、走査歪を良好に補正することが必要である。
特許文献1の走査光学系(結像光学系)は光学部材を含み、2の光学部材の光学パワーを有する面の中で最も被走査面側の面が透過作用の単独作用面で、かつ光学部材が非回転対称面を含む少なくとも2面の反射面を含んでいる。
この走査光学系を用いて、折り畳みの効果により光学系の小型化を図っている。また、光学パワーを有した反射面を使用したことによって偏心によるコマ収差や非点収差等が発生するが、この偏心収差を補正している。更に、偏向手段にポリゴンミラーを使う場合には、走査光学系をfθレンズとし、ガルバノミラーなど正弦波状に変化する偏向手段を使う場合には結像光学系をfアークサインθレンズとすることで被走査面を等速走査している。
特開2001−281583号公報 特開平11−84291号公報
特許文献1の光走査装置において、偏向手段の偏向特性に合わせて走査光学系のディストーションを制御することで2次元的な直進走査性・等速走査性を走査しようとすると光学系が複雑・大型化する。このため、直進走査性は走査光学系で確保し、等速走査性は電気的な補正で行っている。
また、2次元走査の走査光学系を用いて等速走査性を確保した場合、正弦状に振動する偏向手段の約70%に対して走査光学系がfアークサインθレンズ特性を持つ構成である。
このように、等速走査性を電気的に補正した場合は、画素の間隔が不等間隔となる為、新たに画素タイミングを規定する制御が必要となる。また、クロック数が通常の数倍以上も必要となり、電気回路に掛かる負担が増大してくる。
さらに、被走査面上の光量分布は光走査速度と反比例の関係になるため、光量ムラが生じて画像の品位を低下させることがある。
高品位の画像を得るには、走査光学系に良好なるfアークサインθレンズ特性を持たせる必要がある。
本発明は、正弦波駆動する偏向手段を用いて、被走査面上を光走査するとき、被走査面上を高精度に等速走査することができる光走査装置の提供を目的とする。
この他、本発明は、被走査面上を2次元的に光走査する場合、高精度に等速走査することができる光走査装置の提供を目的とする。
この他本発明は、2次元的に配列された走査線の等速走査性と2次元走査による走査歪の補正とを両立させることができる光走査装置の提供を目的とする。
本発明の光走査装置は、光源手段と、該光源手段から発せられた光束を第1走査方向と、それに直交する第2走査方向の2次元方向に偏向する偏向手段と、該偏向手段で偏向された光束を被走査面上に導光する走査光学系とを有し、該偏向手段の偏向動作で、該被走査面上を光走査する光走査装置において、
該偏向手段は、該第1走査方向において正弦波駆動する偏向器を有し、
前記走査光学系は、該第1走査方向においてアークサイン特性を有し、
前記走査光学系は、前記偏向手段からの光束の光路を第2走査方向に折り畳むように配置された複数の非回転対称反射面と、アークサイン補正を行う1つの光学面と、を有しており、
前記1つの光学面の形状が、前記第1走査方向の中心から周辺部へ向かうに連れて第1走査方向の2階微分値が偏向光束を発散させるパワーが強くなる形を前記第2走査方向に連ねた形状であって、該1つの光学面の形状が、第2走査方向の中心から周辺へ移動したときよりも第1走査方向の中心から周辺へ移動したときの方が、第1走査方向の2階微分値の変化量が大きい形状であることを特徴としている。
本発明によれば、正弦波駆動する偏向手段を用いて、被走査面上を光走査するとき、被走査面上を高精度に等速走査することができる光走査装置が得られる。
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1における光走査装置の要部斜視図と一部分の拡大斜視図である。
図2(A)は、本発明の実施例1における第1走査方向としての水平走査方向の要部断面図(水平走査断面図、XZ断面)、図2(B)は本発明の実施例1における第2走査方向としての垂直走査方向の要部断面図(垂直走査断面図、YZ断面)である。
図中、101は例えば赤色光を放射する半導体レーザから成る光源手段である。光源手段101から画像情報に基づいて光変調され発せられた発散光束は集光レンズ102により平行光束を含む略平行光束に変換され、開口絞り103によって光束幅を制限されている。
開口絞り103を通過した光束は、収束光変換光学系104によって所望な収束度を有した収束光束に変換され、後述する偏向手段(2次元偏向手段)105へ入射する入射光束となる。105は2次元偏向手段であり、例えば、1次元方向に共振可能な第1偏向器105aと等角速度的に偏向が可能な第2偏向器105bとを有している。光源手段101から発せられた光束を第1偏向器105aによって水平走査方向に偏向し、該第1偏向器105aからの偏向光束を第2偏向器105bで垂直走査方向へ偏向することで、光源手段1から発せられた入射光束を2次元方向に偏向している。106は2枚の走査ミラー106a,106b及び1枚の走査レンズ106cで構成される走査光学系(実施例1の場合は、2次元走査光学系)であり、偏向手段105によって2次元方向に偏向された偏向光束を被走査面107又はその近傍にスポットとして結像させている。そして、偏向手段105により偏向された偏向光束が2次元走査光学系106を介して被走査面107上に導光され、スクリーンとして成る被走査面107上を光走査している。このように、第1偏向器105aにより水平走査方向へ高速に光走査して走査線を描き、第2偏向器105bにより垂直走査方向に低速に光走査してスクリーン107上に2次元画像を表示している。
図2(B)に示したように、第1偏向器105aならびに第2偏向器105bで偏向された偏向光束は、2次元走査光学系106を介してスクリーン107上を光走査される。このとき、偏向手段105によって2次元方向に偏向された光束のうち、水平走査方向(X軸方向)と垂直走査方向(Y軸方向)の中心である中心画角の偏向光束の主光線を基準光線Lvcと定義する。
基準光線Lvcによる水平方向の走査線がX軸、垂直方向の走査線がY軸に相当する。
基準光線Lvcと水平方向(X軸方向)とを含む面を水平走査断面(第1の走査断面、XZ断面)、基準光線Lvcと垂直方向(Y軸方向)とを含む面を垂直走査断面(第2の走査断面、YZ断面)とする。
実施例1では、第1偏向器105aにはMEMS(Micro Electro- Mechanical Systems)技術などで作製されたMEMSデバイスを用いている。
図3にMEMSデバイスの要部概要図を示す。
図中、105aは1次元偏向器としてなるMEMSデバイスである。反射面105a-1はトーションバー105a-2によって筐体105a-3へ支持されており、反射面105a-1の裏面に備えた磁石が図示しないコイルから発生する磁力に反応して1次元方向に共振運動する。この共振運動によって偏向光束が水平走査方向に偏向されるようにMEMSデバイス105aの向きを合わせている。
ところで、MEMSデバイス105aのように共振運動する偏向器は、反射面105a-1の向きが水平走査方向において正弦波状に変化する。これを以下、正弦波駆動と呼ぶ。そして、正弦波駆動では反射面105a−1の角速度が余弦波状に変化する。よって反射面105a-1の角速度は、反射面105a-1が正面を向いている時が最も速く、一方の端の最大振幅に達したときには角速度が0となり、そして逆方向の他方の端へ動き出す。これらを繰り返して往復走査を行っている。
実施例1の光走査装置における各光学部材は、水平走査方向に対して対称に配置されており、第1偏向器105aが正面を向いたとき、偏向光束がスクリーン107の水平走査方向の中心107aに到達する。
ここで、偏向光束がスクリーン107上を光走査される速度を光走査速度とする。光走査速度とスクリーン107上の光量分布とは反比例の関係にあり、光走査速度が最も速いスクリーン107の水平走査方向の中心107aでは光量が弱く、光走査速度が最も遅いスクリーン107の水平方向の周辺部107bでは光量が強くなる。このように第1偏向器105aの正弦波駆動により光走査速度が変化してスクリーン107上の光量分布が不均一となる。
実施例1では、スクリーン107上に画像を描画する際、第1偏向手段105aの最大振幅の90%までを利用している。これは走査効率が90%であることを示す。そのため、スクリーン7上の周辺部の光走査速度は、中心の光走査速度の43.6%にまで低下する。それに伴い、周辺部での光量は中心の約2.3倍となり、光量ムラが目立って画像の品位を低下させる。
そこで、実施例1では、水平走査方向においてアークサイン特性(水平方向の走査角をθ、走査光学系106の焦点距離をfとするときf×θ、arcsin特性)を有する走査光学系を用いて光量ムラを低減させている。
アークサイン特性とは、正弦波駆動する偏向器により偏向された光束をスクリーン107上で等速に光走査するように変換する走査光学系の歪曲収差のことである。
アークサイン特性を有する走査光学系とは、スクリーン107上の水平走査方向の像高をX、走査光学系の水平走査方向の焦点距離をfx、走査光学系の水平走査方向の半画角をθx、第1偏向器105aの最大偏向角(振幅)(半画角)をφoxとしたとき、以下の(1)式が成立する光学系のことである。
実施例1においては、fx=297(mm)、φox=±10.5(deg)であって、スクリーン7の周辺部を描画する時の走査光学系106の画角をθxmaxとすると、θxmax=±18.9(deg)である。
走査効率Es(%)は、偏向手段の偏向器の最大偏向角(振幅)φoxに対する実際に使用する偏向器の偏向角の最大値φxmaxであり、以下の(2)式で表される。
実施例1では、
のなるようにしている。
実施例1では、φxmax=±9.45(deg)、φox=±10.5(deg)であって、Es=90(%)である。
(1)式から明らかなように、アークサイン特性は負の歪曲収差を発生させるものであり、走査効率Esが高い程、補正が難しくなる。特に、走査効率70%を超えると、fタンジェントθ特性を有する走査光学系に対して、像高を10%以上も広げる必要があり、光学的補正が極端に難しくなる。
また、2次元走査光学系や複数の走査線を同時に光走査する1次元走査光学系においては、スクリーン上に光走査する全ての走査線において、水平走査方向の等速走査性が確保されている必要があり、2次元的なアークサイン特性を有した走査光学系が求められる。
次に走査光学系106について説明する。
図4(A)に実施例1の光走査装置における走査光学系106の水平走査断面内の要部概要図を示し、図4(B)に垂直走査断面内の要部概要図を示す。
実施例1では、走査光学系106は第1走査ミラー106a,第2走査ミラー106bと1枚の走査レンズ106cから成り、偏向手段105側から光束の通過順に、第1走査ミラー106a,第2走査ミラー106b、走査レンズ106cの配置としている。
図1において、104は一の集光レンズで構成された収束光変換光学系である。この収束光変換光学系104は、入射光束を第1偏向器5aから121.6(mm)離れた位置に収束させる正のパワーを有している。第1偏向器5aから被走査面7までの距離Lは、278.0(mm)であり、収束光変換光学系4で収束光に変換された入射光束の自然収束点は第1偏向器105aと被走査面107との間に配置されている。さらには、第1偏向器105aと走査光学系106の最終面106cまでの光路長は、基準光線Lvcに沿って19.5(mm)であり、入射光束の自然収束点は、走査光学系106と被走査面107との間に配置されている。走査光学系106は、全体として負のパワーを有しており、被走査面107で手前の自然収束点に収束する偏向光束を弱い収束光に変換して被走査面107又はその近傍に結像させている。
尚、走査光学系10の瞳は、偏向手段105又は、その近傍に位置している。
表-1に実施例1における2次元走査光学系106の構成の諸数値を示す。
実施例1の第1、第2走査ミラー106a,106b及び走査レンズ106cの入射面・出射面には、次式に示したXY多項式で表現される自由曲面形状を用いている。
但し、
R : 曲率半径
K : コーニック定数
Cmn : XYの係数
m,n : 整数 ( 「10」は「t」と表現する。 )
表−1に、第1、第2走査ミラー106a,106bの諸数値を示す。表−1において、
mやnが「10」の場合、「t」と表現する。Ct10はX10の係数、C0tはY10の係数である。
実施例1の自由曲面では、R,Kの項を用いないが特に問題はない。勿論、R,Kの項を使用しても問題ない。
図5に第1走査ミラー106aの面形状を示す。
図6に第2走査ミラー106bの面形状を示す。
図7(A)に走査レンズ106cの入射面106ciの形状を示し、図7(B)に出射面106coの形状を示す。
また、表−1には、実施例1における光走査装置の各光学部材の諸数値を示す。
第1、第2走査ミラー106a,106bの反射面や走査レンズの入射面106ci・出射面106coは、水平走査方向(第1走査方向、第1走査断面、XZ断面)においては対称な形状をしており、垂直走査方向(第2走査方向、第2走査断面、YZ断面)においては非対称な形状をした非回転対称面であり、更に垂直走査方向においては、シフトやチルトさせて配置している。
図8(A)には走査レンズ106cの入射面106ciの2階微分値を示し、図8(B)には走査レンズの出射面106coの2階微分値を示す。
図8(B)にあるように、走査レンズ106cの出射面106coは、出射面106coの水平走査方向の走査中心(中心)から走査周辺(周辺)へ向かうに従って、水平走査方向の面形状の2階微分値が変化すること、具体的には徐々に増加する面形状である。
このような形状を持つ面は、出射後に偏向光束を外側へ向かわせることができる。そして、走査レンズ106の出射面106coの周辺部を通過する偏向光束ほど、進行方向を外側へ向けられる効果が大きく、スクリーン107上の光走査速度を徐々に速くすることができる。
正弦波駆動する偏向手段105による偏向では、スクリーン107上の光走査速度は被走査面上の中心が速くて周辺が遅い。そこで、両者の光走査速度をキャンセルさせて、スクリーン107上で等速走査を実現している。
このように、偏向手段105が正弦波駆動する走査方向の走査中心から走査周辺に向かうに従って、形状の2階微分値が偏向光束を発散させる方向に徐々に大きくなるような面形状を用いることによって、スクリーン107の周辺部における光走査速度を速くし、偏向手段105の正弦波駆動による光走査速度と相殺させて、等速走査を実現している。
図9に実施例1の光走査装置の被走査面107面上における走査光の走査速度比を示す。
図9は、スクリーン107上の描画領域の1ラインを光走査するのに要する時間を200等分し、その間に光走査される距離から光走査速度を求めたものであり、各走査位置の光走査速度を走査中心の光走査速度に対する比率で表している。以下この比率を走査速度比と呼ぶ。
スクリーン107上の走査速度比は、走査中心に対して誤差±10%以内に抑えると光量ムラが目立たなくなり、画像の劣化が抑えられる。好ましくは、誤差±5%以内すると良い。
実施例1の走査速度比は最大で1.0016、最小で0.9986である。誤差は最大でも+0.16%であり、目標の10%以内には十分に収まる精度である。これにより、かなりの高精度でアークサイン補正を行っていることが分かる。
実施例1の光走査装置は2次元走査装置であり、その解像度はSVGA(800×600画素)である。
今までは、1本の走査線(画面中央を通過する走査線)についての等速走査性について説明してきたが、光走査装置としては、垂直走査方向に並んだ600本全ての走査線において、水平走査方向の等速走査性が確保されているのが良い。
そこで、実施例1における2次元走査光学系106では、走査レンズ106cの出射面106coを、出射面106coの水平走査方向の走査中心から走査周辺へ向かうに従って水平走査方向の面の2階微分値が徐々に増加する形状を垂直走査方向に並べた面形状としている。この面形状が「2次元的アークサイン補正面」である。
「2次元的アークサイン補正面」は、垂直走査方向に並んだ全ての走査線においてアークサイン特性を発揮することができる。そのため、全ての走査線において、「2次元的アークサイン補正面」の水平走査方向の周辺部を通過する偏向光束ほど外側へ向けられ、スクリーン107上の走査中心から走査周辺へ向かうに従って徐々に光走査速度を速くすることができる。
これによって、スクリーン上に描いた2次元画像の全面に渡って水平走査方向のアークサイン特性を発揮させている。
そして、第1偏向手段105aの正弦波駆動による光走査速度と走査光学系106のアークサイン特性による光走査速度とをキャンセルさせて、スクリーン107上に描いた画像全面に渡り水平走査方向で等速走査を行っている。
図10は、垂直走査方向の片側の最大像高を10割としたときの0割(走査中心)、2.5割、5割、7.5割、10割の像高に位置する5本の走査線について、水平走査方向の走査速度比を示したものである。
これらの走査線においても走査速度比の誤差は最大で1.0034、最小で0.9913であり、誤差は0.87%以下に収まる。
つまり、実施例1の2次元光走査装置ではスクリーン107上に表示された走査画面全面において、水平走査方向の走査速度を一定に抑えている。
図11に実施例1の光走査装置のスクリーン107上に形成される走査画像を示す。
図11は、縦線17本、横線11本で描いた格子画像である。縦線と横線との全ての交点座標を求めて線を引いている。ある横線において、縦線との交点から隣の縦線との交点までの時間が等しくなるように表示している。
格子画像は水平走査方向の格子間隔が一定であることから画面全体で等速走査性が確保されていることが分かる。本実施例では走査効率90%で描画しており、走査効率の高い領域まで高精度にアークサイン補正が行われていることが分かる。
図12に実施例1の光走査装置を構成する走査レンズ106cを削除した場合のスクリーン107上に形成される走査画像を示す。
図12を見ると、走査レンズ106cが無い場合、主に水平走査方向の周辺部で変化が大きいことが分かる。水平走査方向の走査中心から走査周辺へ向かうに従って、隣の縦線との間隔が徐々に狭くなり、周辺部では中心付近の半分以下となっている。
また、図13に実施例1の光走査装置を構成する走査レンズ106cを削除した場合の走査速度比を示す。
図13を見ると、走査中心から走査周辺へ向かうに従って走査速度比が低下していくことが分かる。これは、等速走査性がかなり悪い状態を示している。
このことによって、走査光学系106のアークサイン特性は走査レンズ106cにより生み出されていることが分かる。
つまり、本実施例では、走査レンズ106cの出射面106coを「2次元的アークサイン補正面」に設定したことにより、2次元走査画像の全領域において水平走査方向の等速走査性が確保することができる。
これにより、明るさムラの無い良好な走査画像を常に表示することが可能な画像表示装置を提供している。
また、実施例1では、走査光学系106の中で光学的なパワーを有する面のうち最も被走査面側に近い面を「2次元的アークサイン補正面」としている。走査光学系106は、偏向手段105から離れるに従いって偏向光束の重なり合いが減るため、重なり合いが最も少ない最終面(最も被走査面側の面)を「2次元的アークサイン補正面」とすることで、各走査位置に応じた最適形状を構成して、アークサイン特性の精度を向上させている。
更に、「2次元的アークサイン補正面」を有する走査レンズ106cを水平走査方向において被走査面側の凹のメニスカス形状としている。走査レンズ106cの入射面106ciも出射面106coと同様に、入射面106ciの水平走査方向の走査中心から走査周辺へ向かうに従って、水平走査方向の形状の2階微分値が徐々に増加する形状を垂直走査方向に並べた面形状としている。これは、入射面と出射面とでパワーをキャンセルさせつつ偏向光束の進行方向のみを独立して変化させることができ、これによってアークサイン特性に必要な形状を得るための自由度を向上させている。
また、「2次元的アークサイン補正面」とした出射面106coは第1走査方向である水平走査方向と、第2走査方向である垂直走査方向とで異なる形状を有するアナモフィック形状であり、出射面106coの内外に回転対称軸を有さない非回転対称面でもある。これによって、アークサイン特性に必要な形状を得るための自由度を向上させている。
このとき、第2走査方向の2階微分値の絶対値より第1走査方向の2階微分値の絶対値を大きくするとアークサイン補正を行う第1走査方向のみに寄与する面にできるので、設計の自由度が更に向上する。
また、「2次元的アークサイン補正面」は、第2走査方向の走査中心から走査周辺へ移動したときよりも第1走査方向の走査中心から走査周辺へ移動したときの方が、第1走査方向の2階微分値の変化量が大きくなるよう設定している。これにより、アークサイン特性のみを独立して補正できるようにして、垂直走査方向のいずれの位置における走査線であっても良好にアークサイン補正を行っている。
また、「2次元的アークサイン補正面」とした出射面106coは第1走査方向である水平走査方向においては対称な形状をしており、第2走査方向である垂直走査方向においては非対称な形状をしている。このように、2次元走査方向のうちどちらか一方を対称に形状とすることで、収差補正が容易になるメリットがある。特に、偏向手段が正弦波駆動する第1走査方向を対称形状に設定するとよい。
また、「2次元的アークサイン補正面」を用いると、スクリーン107までの投影距離によらず、どのような投影距離であっても常に良好なアークサイン補正を行うことができる。フロントプロジェクタなど投影距離が不特定な画像表示装置においては、「2次元的アークサイン補正面」を用いると本発明の絶大な効果を得ることができる。
実施例1では、2次元光走査装置を例に挙げたが、これに限ったものではなく、1本の走査線を描画する1次元走査装置、LEDアレイやLDアレイなど複数の発光点をアレイ状に配置したマルチビーム走査装置、DMDやGLVなどの空間変調器からの光束を偏向器で光走査する走査光学系においても、同様の効果を得ることが出来る。
ここからは、2次元光走査画像における走査歪とその補正方法について説明する。
図1の実施例1では、被走査面107面上を2次元方向に光走査する光路を示している。
偏向手段105の第1偏向器105aは、前述した通りMEMSデバイスより構成している。
一方、偏向手段105の第2偏向器105bは、等角速度で駆動するステッピングモータに取り付けた平面ミラーより構成している。
そして、第1偏向器であるMEMSデバイス105aと第2偏向器である平面ミラー105bとを近づけて配置しており、その間隔を7.0(mm)としている。
実施例1の偏向手段105は、正弦波駆動する第1偏向器105aと等角速度で偏向する第2偏向器105bで構成しており、光源手段101からの光束を第1偏向器105aにより水平走査方向へ偏向し、第2偏向器105bにより垂直走査方向へ偏向して2次元走査を行っている。
一般的に、光走査装置によってスクリーン107上に描かれる走査画像は、入力した映像信号の通りに表示されることが望ましい。
しかし、2次元走査したことによって発生するTVディストーション、走査光学系106の歪曲収差によるディストーション、偏向手段105の駆動特性による等速走査性のディストーション、そして斜め投影した場合に生じる台形歪、更に入射光束を斜めから偏向手段105に入射させることによって生じる直進走査性のディストーションなど、走査画像には様々な要因による走査歪が生じて画像の品位を著しく劣化さる場合がある。
図14に、実施例1の走査光学系106が無い場合のスクリーン107面上に形成される走査画像を示す。
走査画像には、歪曲収差のディストーション(等速走査性)、TVディストーション、上側が広がった台形歪、下側に凸形状の直進性ディストーション(走査線曲がり)が生じ、走査画像の品位を低下させている。
そこで実施例1では、走査歪を補正するため以下のような構成を用いている。
まず、水平走査方向において、走査光学系106にアークサイン特性を持たせることにより、偏向手段105の正弦波駆動による走査位置のずれを補正し、水平走査方向の等速走査を実現している。これにより、走査光学系106の歪曲収差と偏向手段105の駆動特性による等速走査性のディストーションを解決している。更に、垂直走査方向に並んだいずれの走査線においてもアークサイン特性を満足させることにより、水平走査方向の走査位置が常に一定となるよう補正している。これにより、縦線を直線で描画している。このように、走査光学系に2次元的な水平走査方向のアークサイン特性を持たせることにより垂直走査方向の走査歪を補正している。これでTVディストーションのうち、垂直走査方向について解決している。
また、垂直走査方向において、走査光学系にタンジェントθ特性(f−tanθ特性)を持たせることにより、垂直走査方向の走査位置を常に同じ位置とすることができるようにし、水平ラインを直線的に描画している。このように、走査光学系に2次元的な垂直走査方向のタンジェントθ特性をもらせることで水平走査方向の走査歪を補正している。これで、TVディストーションの水平走査方向についても解決している。
つまり、水平走査方向にアークサイン特性(f×θ×arcsin)を有し、垂直走査方向にタンジェントθ特性を有した2次元走査光学系を用いることで、走査歪を補正し、常に高品位な画像を表示することが可能な画像表示装置を得ている。
このとき、2次元走査光学系106に水平走査方向のアークサイン特性を持たせてTVディストーションを良好に補正するためにも、様々な走査歪を補正することが重要な課題となる。
そこで、実施例1では、2次元走査光学系106の構成を適切に設定している。特に、入射方法や第1走査ミラー106a及び第2走査ミラー106bの構成を適切に設定して、各走査歪を補正している。
図2に示したように、実施例1の2次元光走査装置は、斜め投影方式にてスクリーン107上に走査画像を表示させている。
第1偏向器105aならびに第2偏向器105bで偏向された偏向光束で、2次元走査光学系106を介してスクリーン7上を2次元的に光走査している。
このとき、偏向手段105によって2次元方向に反射偏向される偏向光束のうち、中心画角の偏向光束の主光線を基準光線Lvcとしている。
実施例1の2次元光走査装置では、図2(B)に示すように垂直走査方向においてスクリーン107に対し有限の角度θvc(≠0deg)を有して基準光線Lvcを入射させている。そして、全ての光束について、垂直走査方向の入射角をθvi≧0(deg)以上としている。
このように斜め投影方式により、スクリーン107上に表示した走査画像を上方へシフトさせ、観察者にとって見やすい位置に走査画像を表示している。また、この光走査装置を搭載した走査型画像表示装置を机の上に置いた場合に、走査画像が机上に表示することなく、全てスクリーン107上に表示できるようにしている。
また、実施例1では垂直走査方向より斜め投影を行っており、このとき、垂直走査方向において、基準光線Lvcがスクリーン107に対して入射する角度θvcは、18.0(deg)である。ここで、偏向光束がスクリーン107へ入射する角度が大きい方が上方とし、入射角が小さい方を下方としたとき、スクリーン107上の最も上方に入射する光束の主光線はスクリーン107に対して入射角θvu=32.9(deg)で入射し、最も下方に入射する光束の主光線はスクリーン107に対して垂直、すなわち入射角θvl=0.00(deg)で入射している。
よって、本実施例では、全ての光束について、垂直走査方向の入射角をθvi≧0.00(deg)としている。
特に被走査面107への入射角が小さい光束が通過する側から、光束を偏向手段105へ入射させている。
一方、水平走査方向においては、図2(A)に示すように基準光線Lvcは被走査面107に対して垂直に入射しており、走査中心に対して左右対称な配置としている。
このように、斜め投影方式でスクリーン107上に画像を表示すると、図14に示すような台形歪みが大きく発生して表示画像の品位を低下させる場合がある。
台形歪は一般に良く知られているように、スクリーン107までの光路差によって発生する歪であり、光路が短い場合は画像の幅が短くなり、光路が長い場合は画像の幅が広くなる。斜め投影した場合、スクリーン107へ垂直で入射する部分の光路長が短く、入射角が大きい程光路長が長くなる。よって、上向きに斜め投影した場合は画像の上側が広くて下側が狭い台形歪が発生する。
また、別の走査歪として、直進性のディストーションがある。
図15は偏向面内(水平走査断面内)入射の入射方式を説明する図である。
図15に示したように、第1偏向器105aの偏向方向である水平走査方向から入射光束を第1偏向器105aへ入射させた偏向面内入射の場合、第1偏向器105aの反射面の向きにより反射偏向が可能な光束幅が異なる。特に入射方向から遠ざかる方向に偏向する場合は、入射光束が大きくけられることにより光量ロスが問題となる。
そこで、実施例1では、水平走査方向に偏向する第1偏向器105aに対して、その偏向方向と直交する垂直走査断面(第2走査断面)内において角度をつけて、光源手段101からの光束を入射させている。所謂、斜入射と呼ばれる入射方法である。
光源手段101から偏向手段105へ光束を入射させるときの入射角は、入射光束の主光線と基準光線Lvcとの成す角度で定義される。
ここで、偏向面内入射の場合について説明する。
実施例1と同様の画角を想定して、走査光学系106の水平画角37.80(deg)、垂直画角21.17(deg)とし、偏向面内からの入射角を30(deg)としたとき、第1偏向器105aの反射面の向きの変化に伴って、偏向可能な光束幅が第1偏向器105aの反射面の幅に対して98〜66%で変化する。偏向可能な光束幅が減少することによって、偏向光束の光量も減少して光量ロスが発生する。
一方、実施例1のように、垂直走査方向から斜入射させた場合は、偏向可能な光束幅は第1偏向器105aの反射面の向きの影響をほとんど受けることがない。本実施例では斜入射における入射角28(deg)としており、偏向可能な光束幅は第1偏向器105aの反射面の幅に対して94〜93%である。これによって、第1偏向器105aの反射面を有効に使用できるようになり、偏向可能な光束幅の減少が極端に少なくなって、光量ロスの問題を改善している。
しかしながら、斜入射方式の走査光学系の場合、スクリーン107に描かれる画像は水平ラインが湾曲する。所謂、走査線曲がりである。
図16は実施例1に係る斜入射における走査線曲がりの説明図をである。
斜入射方式の場合、走査線は水平走査方向の中心から周辺へ向うに連れて、スクリーン107の上方へずれていく。つまり、下向きに凸状の走査線曲がりが発生する。
第1偏向器105aによって偏向光束が反射される際、第1偏向器105aの反射面の向きが水平走査方向に傾くに従って、偏向光束の反射方向の垂直走査方向成分が徐々に大きくなるため、下向きに凸状の走査線曲がりが発生する。第2偏向器105bや2枚の走査ミラー106a,106bなどの反射面で反射される際に、走査線曲がりの向きを変えながらスクリーン107に到達する。
上側の斜め投影を行った場合は、下向きに凸状の走査線曲がりを発生させると走査光学系で直進性のディストーションを補正し易くなる。そこで、第1偏向器106aへの光束の斜入射方向を第2偏向器105bが偏向する領域とは反対側から入射させている。
実施例1の光走査装置では、走査光学系106に含まれる2枚の走査ミラー106a、106bを用いてこれを解決している。
走査光学系106の2枚の走査ミラー106a、106bは、垂直走査方向において偏向光束の光路を折り畳むように配置している。これは、斜め投影と同じ走査方向である。
図17に実施例1の第1走査ミラー106aにおける水平走査方向の2階微分値を示す。第1走査ミラー106aは、偏向光束がマイナス側から入射し、マイナス側へ出射している。
図18に実施例1の第1走査ミラー106bにおける水平走査方向の2階微分値を示す。第2走査ミラー106bは、偏向光束がプラス側から入射し、プラス側へ出射している。
図17に示したように、第1走査ミラー106aの水平走査方向の2階微分値は、水平走査方向の走査中心から走査周辺へ向うに従って一旦小さくなり、その後、徐々に大きくなって周辺部では走査中心より大きい2階微分値としている。偏向光束がマイナス側から入射してプラス側へ出射すする面であり、偏向光束を外側へ向かわせる効果がある。特に周辺部で大きな効果を持たせている。そして第1走査ミラー106aは、このような形状を垂直走査方向に連ねた面形状をしている。
一方、図18に示したように、第2走査ミラー106bの水平走査方向の2階微分値は、水平走査方向の走査中心から走査周辺へ向うに従って一旦小さくなり、その後は徐々に大きくなって周辺部では走査中心より大きい2階微分値としている。偏向光束がプラス側から入射してプラス側へ出射する面であり、外側に向いた偏向光束を内側へ向かわせる効果がある。特に、周辺部でその効果が大きい。そして第2走査ミラー106bは、このような形状を垂直走査方向に連ねた面形状をしている。
このように2枚の走査ミラー106a、106bを補完する形状とし、第1走査ミラー106aによって偏向光束を外側へ向かわせ、その光束を第2走査ミラー106bによって再び内側へ向かわせて被走査面として成るスクリーン107に導光している。
第1偏向器105aがある角度で偏向しているとき、第2偏向器105bの全ての偏向角における偏向光束が、水平走査方向の断面で見たときに同じ光路を通ってスクリーン107へ向かうように、第2走査ミラー106b上の反射点の位置を決めている。そして、第1走査ミラー106aでは、第2走査ミラーでの反射位置を目指して偏向光束を反射している。
第2走査ミラー106b上の反射点の位置は、水平走査方向の周辺部でその間隔が広くなるので、第1走査ミラーの水平走査方向の2階微分値も周辺部で大きくする必要がある。また、第1走査ミラーの106a2階微分値が大きくなると、偏向光束が外側へ大きく広がるため、第2走査ミラー106bの周辺部の2階微分値も大きくして、内側へ向かわせる効果も大きくする必要がある。そして、第2走査ミラー106bの反射点からスクリーン107上の所定の位置へ導光するよう第1走査ミラー106a及び第2走査ミラー106bの形状を決めている。
このように構成すると、第1偏向器105aのある角度で偏向した偏向光束は、第2偏向器105bの偏向角によらず、常に水平走査方向の同じ位置に到達させることができる。
その結果、斜め投影方式により発生した台形歪を補正することができ、同時に垂直走査方向のTVディストーションを補正することができる。
さらには、第1走査ミラー106aが負のパワーを有し、第2走査ミラー106bが正のパワーを有するので、像面湾曲補正にも効果がある。
また、第1偏向器105aで反射偏向された偏向光束が第2走査ミラー106a上で反射される反射点を、水平走査方向の走査中心から走査周辺に向かうに従ってスクリーン107から遠ざかるように構成している。これによって、斜入射によって生じる走査線曲がりの形状と第1偏向器105aによって水平走査方向に偏向された偏向光束の第2走査ミラー106b上での反射点の軌跡を類似させ、第2走査ミラー106bで反射後の偏向光束を同一平面内に配置するようにしている。
そのため、スクリーン107上の走査線を直線とすることができるので、斜入射による走査線曲がりにならびに水平走査方向のTVディストーションを良好に補正している。
このように、第1走査方向に偏向する偏向器へ光源からの光束を斜入射させ、走査光学系に含まれる反射面のうち最も被走査面に近い反射面を最終反射面とし、該最終反射面を第1走査方向とは直交する第2走査方向において傾けて配置し、第1走査方向における最終反射面上の反射点の軌跡が、最終反射面の中心から離れるに従って徐々に被走査面から遠ざかるように配置することによって、走査線曲がりを良好に補正することができる。
以上のように、2次元走査光学系106には、非回転対称に形成された2枚の反射面を用いている。
実施例1では、第1走査ミラー106aと第2走査ミラー106bを備えている。
図19(A)ならびに図19(B)を用いて、TVディストーションならびに台形歪みの算出方法を説明する。
図19(A)は、TVディストーションの算出方法を説明する図である。
TVディストーションは、表示された画面の枠が湾曲した量を示した収差量であり、画面中央を通る軸に沿った変位量を画面の幅で割ったものである。よって、画面枠の各辺におけるTVディストーションは以下の式で表される。
上辺 L1 : a/B×100(%)
下辺 L2 : b/B×100(%)
左辺 L3 : c/A×100(%)
右辺 L4 : d/A×100(%)

また、図19(B)は、台形歪みの算出方法を説明する図である。
台形歪みは、表示された画面の枠が傾斜した量を示した収差量であり、画面の角の変異量を画面の幅で割ったものである。よって、画面枠の各辺における台形歪みは以下の式で表される。
上辺 L1 : e/2/B×100(%)
下辺 L2 : f/2/B×100(%)
左辺 L3 : g/2/A×100(%)
右辺 L4 : h/2/A×100(%)


図11には、実施例1の光走査装置における走査画像を示してある。また、表-2にTVディストーションと台形歪の量を示す。
実施例1の光走査装置では、TVディストーションは上辺で-0.01(%)、下辺で-0.01(%)、左辺で0.00(%)、右辺で0.00(%)であり、台形歪は上辺で0.00(%)、下辺で0.00(%)、左辺で0.00(%)、右辺で0.00(%)であり、ほぼ完璧に走査歪を補正している。
図14には、実施例1の光走査装置から2次元走査光学系を除いた場合の比較例における走査画像を示してある。また、表-3にTVディストーションと台形歪の量を示す。
実施例1の光走査装置から2次元走査光学系を除いた場合の比較例では、TVディストーションは上辺で7.55(%)、下辺で6.49(%)、左辺で-0.84(%)、右辺で0.84(%)であり、台形歪は上辺で0.00(%)、下辺で0.00(%)、左辺で-2.01(%)、右辺で2.01(%)であった。
これにより、斜め投影方式でスクリーン107に投射した光走査装置であり、偏向手段105に斜入射方式で入射させた光走査装置であっても、実施例1の2次元走査光学系106を用いることによって、走査歪が極めて少ない、常に良好な2次元走査画像を表示することができる光走査装置を得ている。
実施例1では、光源手段101からの入射光束を偏向手段105により、水平走査方向の画角θx=±18.9(deg)、垂直走査方向の画角±10.0(deg)で偏向している。また、各画角の偏向光束を2次元走査光学系106によってスクリーン107上に表示された画像の水平走査方向の幅は243.5(mm)、垂直走査方向の幅は182.6(mm)であり、対角12.0(inch)の走査画像を表示している。走査画像の幅は画像中心を通過する位置で定義する。
つまり、2次元走査光学系の第1走査方向の全画角θd1=37.8(deg)、第2走査方向の全画角θd2=20.0(deg)、表示画像の第1走査方向における幅Wi1=243.5(mm)、第2走査方向における幅Wi2=182.6(mm)であって、
となり、
なる条件式を満足している。
上記(3)式の下限値以下となると第2走査方向の像面湾曲補正が難しくなり、スポットの肥大を招いて解像度が劣化する。上限値以上となると台形歪みの補正が難しくなる。そこで、上記(3)式に示した条件を満足させることにより、台形歪みが良好に補正でき、且つ第2走査方向の像面湾曲が良好に補正されスポットを所望の大きさとしている。
また、第2走査方向である垂直走査方向の画角を小さく設定することで、2次元走査光学系106の小型化を図っている。
実施例1のように偏向手段105が2つの偏向器105a,105bによって構成される場合は、スクリーン107上に表示された画像の幅が広い方をスクリーン107から離れた位置に配置するのが好ましい。こうすると、2次元走査光学系106の性能補正がしやすくなる。
2次元走査光学系106の水平走査方向の幅をDx、垂直走査方向の幅をDy、水平走査方向及び垂直走査方向とに垂直なZ軸方向の幅をDzとしたとき、
Dx=36.0(mm)
Dy=19.4(mm)
Dz=24.4(mm)
であり、
Dx≦50(mm) … (4)
Dy≦30(mm) … (5)
Dz≦50(mm) … (6)
なる条件を満足している。
さらに、第1偏向手段105aから2次元走査光学系106の最も被走査面に近い位置までのZ軸方向の距離をLdとしたとき、
Ld=36.5(mm)
であり、
Ld≦50(mm) … (7)
なる条件を満足している。
これらにより、2次元光走査装置が非常にコンパクトなものとなり、この2次元光走査装置を搭載する画像表示装置を小型化することができるメリットがある。また、光学部品を保持するメカ部材の構成、ならびに保管場所の占有容積を低減することができるので、コストダウンが図れるメリットもある。
このように、偏向手段105に正弦波駆動する偏向器を用いてスクリーン7上に走査画像を表示させる場合の等速走査性が崩れる問題や、偏向手段105で2次元方向に偏向することによって生じるTVディストーション、さらに斜め投影方式によって生じる台形歪み、斜入射によって生じる走査線曲がりなど、いくつもの走査歪が発生して走査画像の品位が著しく劣化していたが、実施例1により、走査画像全域に渡って等速走査性を確保すると共に、TVディストーション及び台形歪みなどの走査歪を良好に補正することができる。
これにより、常に高品位な走査画像を表示することのできる光走査装置を達成するとこができる。
また、投影距離によらず等速走査性や走査歪を同時に補正することができるので、実施例1の光走査装置をフロントプロジェクタなどの投影装置に用いた場合、更なる効果を発揮することができる。
実施例1では、2次元走査光学系106を構成する走査ミラー106a,106bならびに走査レンズ106cは平面ベースの自由曲面を用いたが、これに限ったことはなくたとえば、球面ベースの自由曲面や放物線ベースの自由曲面を用いても効果を十分に得ることができる。
図20に、本発明の実施例2の走査型の画像表示装置の概要図を示す。
図20において光源手段101より放射した光束は、集光レンズ102、収束光変換光学系104を介して、偏向手段105に入射する。偏向手段105中には、水平走査手段105aと垂直走査手段105bが配置されており、入射した光束を2次元方向に偏向できるように構成されている。偏向光束は、2枚の走査ミラー106a,106b及び1枚の走査レンズ106cから成る2次元走査光学系106を介してスクリーンや壁などの被走査面107に向かう。光源手段101から発せられた光束は、集光レンズ102、収束光変換光学系104、2次元走査光学系106により被走査面107上に略集光され、被走査面107上に光源像を形成するように構成されている。したがって、偏向手段105の偏向走査により、被走査面107上に光源像が光走査され、形成される。
偏向手段105中の水平走査手段105aは、半導体プロセスにより形成されたマイクロメカニカルミラーであり、ミラー面を機械的な共振動作により揺動するように構成されたものである。
垂直走査手段105bは、回転軸を有するステッピングモータなどのモータであり、水平走査手段105a,垂直走査手段105bは、それぞれ水平走査手段駆動部114、水平駆動回路119、垂直走査手段駆部115、垂直駆動回路120と接続されている。また、光源手段101は、光源駆動回路113に接続されており、光源駆動回路113、水平駆動回路119,垂直駆動回路120は、制御回路121に接続されており、同期を取りながら発光時間、偏向動作が制御される。制御回路121には、不図示の信号入力手段から、映像信号が入力され、その入力信号にもとづいて、制御回路121は制御を行う。
図20中、矢印117は、水平走査手段105aの揺動方向を示している。水平走査手段105aにより偏向された光束は被走査面107上を光走査され、図中の往路走査線108,復路走査線109のような走査線を形成する。
矢印118aは垂直走査手段105bの偏向方向を示しており、矢印118方向に回転することにより、被走査面107上を矢印112方向に走査する。したがって、被走査面107上には、走査線108,109のような往復した走査線が上から下に向かって形成される。被走査面107上の下にくると垂直走査手段105bは、被走査面107の上端まで戻りその後繰り返し走査を行う。偏向光束は、被走査面107の有効部110の外側まで走査され、その一部で光検知されて同期のタイミングを合わせている。
たとえば、被走査面107の有効部110の中に、水平方向800画素、垂直方向600画素あるSVGAの画像であれば、垂直方向を60Hzで駆動すると、水平走査線が往路、復路それぞれ300本となるので、18kHzの共振周波数が必要になる。即ち第1走査方向よりも第2走査方向の駆動周波数が低い。
なお図20では、わかりやすくするため、走査線を間引いた形で概要を示している。
図21は、本発明の走査型の画像表示装置の他の実施例の要部概要図である。
図21において、携帯機器122には、本体部123に投射表示部124が接続されており、投射表示部124に実施例1の2次元光走査装置が搭載されている。携帯機器122には入力部125があり、全ての操作を入力部125で行う構成となっている。携帯機器122にはアンテナ127が備わっており、データの送受信ができる。本体部123には、液晶パネルや、有機ELなどの表示部126が備わっている。文字情報や簡易的な画像などに関しては、不図示の使用者が携帯機器122を手で持ちながら、表示部126を直接見ることもできる。しかしながら、より大きな画面で観察したい場合や、表示部126のエリアでは見ることができないような場合、使用者の操作により投射表示部124から画像を投影することができる。例えば、壁などの被走査面107に向けて画像を投射し、走査画像128を表示している。
図22は、本発明の走査型の画像表示装置の他の実施例の要部概要図である。
走査型画像表示装置129は、本体部130、ヘッド部131、接続部132の3つの構成要素から成っている。本体部130には、光源手段や集光レンズ系が収納されており
、ヘッド部131には、収束光変換光学系や偏向手段、ならびに2次元走査光学系が収納されている。
本体部130とヘッド部131とを接続する接続部132は、例えば光ファイバーから成り、光源手段から発せられた光束をヘッド部131へ供給している。これにより、例えば机の上などを被走査面107上を走査線108,109で描き、画像を表示している。このとき、例えば、PDAのような携帯情報端末133と走査型の画像表示装置129とをケーブル134で接続すれば、携帯情報端末133の小さな画面を、走査型の画像表示装置129で投影した大きな画面で見ることができる。
図23(A)は、本発明の実施例2の光走査装置における水平走査断面図であり、図23(B)はその垂直走査断面図である。
実施例2は、光源手段から発せられた色光の異なる複数の光束を偏向手段で2次元方向に偏向し、該偏向手段で偏向された光束を走査光学系で被走査面上に導光し、偏向手段の偏向走査によって該被走査面上を光走査して画像を形成している。
図中、201は例えば緑色光を放射する緑色半導体レーザ201a、赤色光を放射する赤色半導体レーザ201b、および青色光を放射する青色半導体レーザ201cの3色のレーザから成る光源手段である。光源手段201から発せられた3色の発散光束はそれぞれに対応した集光レンズ202a、202b、202cにより平行光束に変換され、開口絞り203a、203b、203cによってそれぞれの光束幅を制限されている。この後、赤色、緑色、青色の3本のレーザ光束は、ビーム合成手段であるダイクロイックプリズム208によって、1本の白色光束に合成される。
合成された白色光束は、収束光変換光学系204によって所望な収束度を有した収束光束に変換され、後述する偏向手段205へ入射する入射光束となる。205は2次元偏向手段であり、実施例1と同様に、水平走査方向に正弦波駆動するMEMSミラー105aと垂直走査方向に等角速度で三角波駆動する偏向ミラー105cとで構成される。
尚、2次元偏向手段205は、例えば、反射面を1面有した2次元方向に共振可能な1つの偏向器によって構成しても良い。
光源手段201から発せられた光束を偏向器205によって水平走査方向および垂直走査方向に偏向して2次元方向に偏向している。ここで水平走査方向の周波数を高くし、垂直走査方向の周波数を低く設定して走査線を水平走査方向に描いている。
206は3枚の走査ミラー206a,206b,206cで構成される2次元走査光学系であり、偏向手段205によって2次元方向に偏向された偏向光束を被走査面7又はその近傍にスポットとして結像させている。
そして、偏向手段205により偏向された偏向光束が2次元走査光学系206を介して被走査面7上に導光され、スクリーンとして成る被走査面207上を光走査している。このように、偏向手段205によって2次元方向に光走査を行い、スクリーン207上に2次元画像を表示している。
実施例2は、実施例1と同様に、スクリーン207に対して基準光線Lvcが傾いて入射する垂直走査方向において、第1走査ミラー206a及び第2走査ミラー206bをチルトさせ、偏向光束の光路を折り畳んでいる。
図24は、実施例2の光源ユニットの要部概要図である。
緑色半導体レーザ201aから出射した発散光束は、コリメータレンズ202aで略平行光束に変換され、開口絞り203aで光束幅を制限されてダイクロイックプリズム208に入射する。また、赤色半導体レーザ201bから出射した発散光束も同様に、コリメータレンズ202bによって平行光束に変換され、開口絞り203bによって光束幅を制限されてダイクロイックプリズム208へ入射する。このとき、ダイクロイックプリズム208で緑色光束と赤色光束とが合成され、黄色光束が形成される。青色半導体レーザ201cも同様にコリメータレンズ202cで平行光束に変換され、開口絞り203cで光束幅を制限してダイクロイックプリズム208へ入射している。そして、黄色光束と青色光束が合成され、白色光束を形成し、偏向手段5へと導いている
実施例2は、実施例1と同様に、斜め投影方式によってスクリーン207上に走査画像を表示している。このとき、基準光線Lvcがスクリーン207に対して垂直走査方向に19.7(deg)傾いて入射させている。スクリーン207の上方へ到達する偏向光束Lvuがスクリーン207へ入射する角度θvuは34.7(deg)であり、スクリーン207の下方へ到達する偏向光束Lvlがスクリーン207へ入射する角度θvlは0.47(deg)である。
また、光源手段201からの入射光束は、垂直走査方向において第1偏向器205aの反射面に対して入射角20(deg)で斜入射させており、実施例1と比べて偏向可能な光束幅を広くしている。
このように、スクリーン207に対して基準光線Lvcが傾いて入射する走査方向と、偏向器205に対して斜入射させる走査方向とを同一の走査方向にすることによって、2次元走査光学系206でTVディストーションや台形歪みを補正し易くしている。
実施例2では、光源手段201から赤色、緑色、青色の3色のレーザ光束が発振され、それぞれの映像信号に基づいて光変調を行い、スクリーン207上にカラー画像を表示している。
カラー画像を表示する際、色ずれが生じて画質を劣化させるという問題がある。
特に、2次元走査光学系206にプラスチックレンズのみで構成された場合、プラスチックの分散の範囲が狭いために色収差補正が難しく、色ずれの問題が大きく発生する。
しかし、実施例3の2次元走査光学系206は、3枚の走査ミラー206a,206b,206cで構成されているために色収差が発生しないので、カラー画像の色ずれが発生しないというメリットがある。
このように、複数の波長を発生させる光源手段201を用いた場合は、2次元走査光学系206に複数の走査ミラーを用いることが好ましく、常に色ずれが発生しない高品位な画像を表示することができる。勿論、2次元走査光学系206の中に走査レンズを設けても実質的な色収差に抑えることが可能である。この場合、実施例1の走査レンズ106cの様に、走査レンズを被走査面側に凹のメニスカス形状にして殆どノンパワーに構成すると色収差を小さく抑えることができるので有効である。
表−4に、実施例2における2次元走査光学系206の構成の数値例を示す。
実施例2の2次元走査光学系206においても、3つの走査ミラー206a,206b,206cを垂直走査方向にシフト及びチルトさている。その反射面の形状は、水平走査方向においては中心に対して対称であり、垂直走査方向においては非対称な非回転対称面としている。
これにより、2次元走査によって発生したTVディストーション、斜め投影によって発生した台形歪み、ならびに斜入射によって発生した走査線曲がりなどの走査歪を良好に補正している。
図25は第1走査ミラー206aの反射面の形状を、図26には第2走査ミラー206bの反射面の形状を、図27には第3走査ミラー206cの反射面の形状を模式的に示した図である。
図28は第1走査ミラー206aにおける水平走査方向の2階微分値を示し、図29は第2走査ミラー206bにおける水平走査方向の2階微分値を示し、図30は第3走査ミラー206cにおける水平走査方向の2階微分値を示す。
第1走査ミラー206aの面形状について説明する。
第1走査ミラー206aは、面内z座標のマイナス側から光束が入射してマイナス側へ出射する反射面である。
図25に示したように、水平走査方向において、中心は凸面形状であり周辺に向かうに従って徐々に凸形状から平面となり、更に凹面へと変化している。また、図28に示したように、2階微分値は、水平走査方向において、中心はプラスであり周辺へ向かうに従って徐々に減少し、ゼロを通過してマイナスとなっている。この面に関して言えば、凸面から平面へ変わり更には凹面になる面形状である。
第2走査ミラー206bも、面内z座標のマイナス側から光束が入射してマイナス側へ出射する反射面である。
第2走査ミラー206bは、図26に示したように、水平走査方向において、中心は凹面形状であり周辺へ向かうに従って徐々に平面となり、更に凸面へと変化している。図29に示したように、2階微分値は、水平走査方向において、中心はマイナスであり周辺へ向かうに従って徐々に増加し、ゼロを通過してプラスとなっている。このような面は、水平走査方向の中心から周辺へ向かうに従って光束を外側へ向かわせる作用が大きくなる。更に、この形状が垂直走査方向に連続的に並んだ面形状である。よって、第2走査ミラー206bの反射面は「2次元的アークサイン補正面」であり、スクリーン207上における全ての走査線の光走査速度を一定に補正する効果を有する。
第3走査ミラー206cは、面内z座標のプラス側から光束が入射してプラス側へ出射する反射面である。
図27に示したように、主に垂直走査方向において凸面を有しており、偏向光束を垂直走査方向に拡散させている。また、水平走査方向の周辺部で水平走査方向が凹面としている、水平走査方向の周辺部に到達する垂直走査方向に並んだ偏向光束を、水平走査断面で見たときに同じ光路を通過するように、第3走査ミラー106cへ入射する偏向光束の向きを揃えている。これにより、スクリーン207上の縦線のTVディストーションならびに台形歪を補正することができる。
図31に実施例2の光走査装置における被走査面上における被走査面上における走査速度比を示す。
図31は、走査画像の中央付近を通過する走査線についての走査速度比を示したものであり、走査線全端に渡って光走査速度がほぼ一定であり、その誤差は最大で1.56(%)である。
図32に実施例2の光走査装置における非走査面上における走査速度比を示す。
図32は、走査画像の下端(垂直0割像高)、下間(垂直2.5割像高)、中央(垂直5割像高)、上間(垂直7.5割像高)、上端(垂直10割像高)を通過する5本の走査線について、走査速度比を示したものである。このとき、走査速度比の誤差は最大で5.78(%)であり、水平走査方向の光量分布の均一化において十分に補正することができる。
このように、実施例2における光走査装置では、アークサイン補正面を用いることで水平走査方向の画像描画領域全面に渡って良好にアークサイン補正が行われている。
図33に実施例2の光走査装置における走査画像(格子)を示し、表−5にTVディストーションと台形歪みの値を示す。
図33に示したように、実施例2の光走査装置では、前述の2次元走査光学系206を用いて、TVディストーションや台形歪みを良好に補正している。
TVディストーションでは上辺が-0.07(%)、下辺が0.02(%)、左辺が-0.02(%)、右辺が0.02(%)と非常に小さな湾曲に補正している。また、台形歪みでは上辺及び下辺が0.00(%)、左辺が-0.08(%)、右辺が0.08(%)と非常に小さな歪みに補正している。このように、前述の2次元走査光学系206を用いることにより、走査画像のTVディストーションならびに台形歪みを良好に補正し、常に高品位な画像を被走査面7上に表示することができる。
実施例2のように、2次元走査光学系206にアークサイン補正面を1面用いることで、1つの走査方向における等速走査性を確保することができる。また、斜め投影させる走査方向において光路を折り畳むように2枚の非回転対称反射面を偏心配置させることによってTVディストーションや台形歪などの走査歪を良好に補正することができる。
このとき、2枚の非回転対称反射面をアークサイン補正面とは別に設けると、アークサイン補正機能と走査歪補正機能とを独立に補正できるので、良好に補正することが可能となる。
また、アークサイン補正する走査方向とは別の走査方向から斜め投影させると、アークサイン補正と走査歪補正とを独立に補正することができるので、良好な走査画像が得られる。
また、実施例2のように、1次元方向に偏向する2つの偏向器を組み合わせて2次元偏向手段205を構成する場合には、正弦波駆動する偏向器を光源手段201側に配置するとアークサイン補正が容易になって良い。
また、光源手段201からの入射光束を偏向手段205の反射面へ入射させる際、スクリーン207に対して斜めに入射させた走査方向と同一の走査方向から偏向手段205の反射面へ斜入射させることにより、2次元走査光学系206によって走査画像のTVディストーションや台形歪みをさらに良好に補正することができる。
実施例2においても斜入射の方向は垂直走査方向であり、偏向手段205から2次元走査光学系206までの光路でみたとき、基準光束Lvcに対してスクリーン207への入射角が小さい偏向光束が通過するサイド(図中上側)から、入射光束を偏向手段205へ斜入射させている。これによって、TVディストーションを更に良好に補正している。
実施例2では、垂直走査方向において基準光線Lvcがスクリーン207に傾いて入射した斜め投影を行っている。
第1走査方向である水平走査方向の画角θd1=±18.9(deg)、第2走査方向である垂直走査方向の画角θd2=±9.00(deg)であり、走査画像の水平走査方向の幅Wi1=286.67(mm)、第2走査方向の幅Wi2=215.04(mm)であって、
となり、条件式(3)を満足している。
このように、第2走査方向である垂直走査方向の画角を小さく設定することで、2次元走査光学系206の小型化を図るとともに、水平走査方向に対して垂直走査方向の画角を小さな比率に設定することで、垂直走査方向の実質的な焦点距離を短く設定し、走査画像のTVディストーションや台形歪などの走査歪の補正を容易にしている。
2次元走査光学系206の水平走査方向の幅をDx、垂直走査方向の幅をDy、水平走査方向及び垂直走査方向とに垂直なZ軸方向の幅をDzとしたとき、
Dx=34.21(mm)
Dy=26.26(mm)
Dz=45.32(mm)
であり、数式(4)〜(6)の条件を満足している。
これらにより、光走査装置がコンパクトなものとなり、この光走査装置を搭載する画像表示装置を小型化することができるメリットがある。
このように、実施例2における2次元走査装置では、2次元走査光学系206を走査ミラーで構成したので色収差が発生せず、複数の波長を発する光源手段201を用いた場合でも常に色ずれのないカラー画像を表示することができる。
光源手段201に用いる半導体レーザは、例えば、赤外半導体レーザから出射されたレーザ光を、分極反転構造を付けた光学結晶に入射させて波長を半分に変換して緑色や青色のレーザ光を発生させる波長変換レーザを用いても、実施例2と同様に本発明の効果を十分に得ることができる。
図34(A)に本発明の実施例3の光走査装置の水平走査断面図を示し、図34(B)はその垂直走査断面図を示す。
実施例3は、光源手段から発せられた光束を1枚のミラーにより成る偏向手段で2次元方向に偏向し、該偏向手段で偏向された光束を走査光学系で被走査面上に導光し、該偏向手段の偏向動作で、該被走査面上を光走査し、画像を形成している。
図34(A),(B)において、光源手段301から発せられた発散光束は集光レンズ302により平行光束又は略平行光束に変換され、開口絞り303によって光束幅を制限されている。開口絞り303を通過した光束は、収束光変換光学系304によって所望な収束度を有した収束光束に変換され、後述する偏向手段305へ入射する入射光束となる。305は偏向手段であり、2次元方向に偏向可能な1つの偏向器から構成される。この2次元偏向手段305は、光源手段301からの入射光束を水平走査方向及び垂直走査方向に偏向している。高速走査を行う水平走査方向は正弦波で駆動し、低速走査を行う垂直走査方向は略等角速度で駆動して2次元的なラスタスキャンを行っている。
図35は、実施例3の偏向手段305である2次元方向に共振可能な偏向器の要部概略図である。
図中、反射面305-1は、トーションバー305-2によって支持され、中間筐体305-3と接続される。また、中間筐体305-3はトーションバー305−4によって支持され、筐体305-5に接続されている。ここで、トーションバー305-2が捩れることにより反射面305-1が水平走査方向へ偏向し、トーションバー305-4が捩れることにより、中間筐体305-3に支持された反射面305-1が垂直走査方向に偏向する。これにより、偏向器305は反射面305-1を2次元方向に偏向可能としている。
図34において、306は2次元走査光学系であり、2枚の走査ミラー306a,306bと1枚の走査レンズ306cとで構成される。2次元走査光学系306は、2次元偏向手段305で反射偏向された偏向光束を被走査面7又はその近傍にスポットとして結像させている。そして、偏向手段305により偏向された偏向光束が2次元走査光学系306を介して被走査面307上に導光され、スクリーンとして成る被走査面307上を光走査している。
実施例3においても、垂直走査方向において基準光線Lvcがスクリーン307に傾いて入射しており、入射角は18.1(deg)である。また、スクリーン307の上方に到達する偏向光束Lvuの入射角θvuは33.0(deg)であり、スクリーン307の下方に到達する偏向光束Lvlの入射角θvlは0.11(deg)である。
図36に実施例3の一部分の要部概要図を示す。
実施例3では、2次元走査光学系306は2枚の走査ミラー306a,306bと1枚の走査レンズ306cで構成している。光源手段からの入射光束は平行光束であり、収束光変換光学系である集光レンズ304で収束光束に変換される。そして、収束光束は2次元偏向手段305で反射偏向され、平面ミラー309で折り返されて2次元走査光学系306を介し被走査面上307に到達している。
この収束光束は、集光レンズ304の先約125(mm)に自然収束点を有する。集光レンズ304から2次元走査光学系306のうち最も被走査面307側に位置する光学素子である走査レンズ306cまでの光路長は、中心光束で55.1(mm)、最も長い偏向光束でも68.5(mm)であって、収束光束の自然収束点は、2次元走査光学系306と被走査面307との間に位置している。
表-6に、実施例3の2次元走査光学系306の構成の諸数値を示す。
第1走査ミラー306a、第2走査ミラー306b、走査レンズの入射面306ci、走査レンズの出射面306coの各面はともに(a)式で表現される自由曲面形状を有しており、水平走査方向において左右対称であり、垂直走査方向において非対称な非回転対称面で形成している。また、各面ともに垂直走査方向においてシフト及びチルトを与えており、垂直走査方向において偏向光束の光路を折り畳むように配置している。
実施例3も実施例1、2と同様に斜め投影方式を採用している。
2枚の非回転対称反射面306a,306bを斜め投影させた走査方向において偏向光束の光路を折り畳むように配置したことにより、走査画像のTVディストーションや台形歪みを良好に補正することができる。
また、光源手段301からの入射光束を第1偏向器305aの反射面へ入射させる際、斜め投影する走査方向と同じ走査方向から2次元偏向手段305の反射面へ斜入射させることにより、2次元走査光学系306によって走査画像のTVディストーションや台形歪みを良好に補正することができる。実施例3における斜入射の角度は28(deg)である。
実施例3においても斜入射の方向は垂直走査方向であり、偏向手段305から2次元走査光学系306までの光路でみたとき、基準光束Lvcに対してスクリーン307への入射角が小さい偏向光束Lvlが通過するサイド(図36(B)下側)から、入射光束を第1偏向器305へ斜入射させている。これによって、TVディストーションを更に良好に補正している。
図37には第1走査ミラー306aの形状を示し、図38には第2走査ミラー306bの形状を示すし、図39(A)には走査レンズ306cの入射面306ciの形状を示し、図39(B)には走査レンズ306cの出射面306coの形状を示す。
図40には走査ミラー306aの水平走査方向の2階微分値を示し、図41には第2走査ミラー306bの水平走査方向の2階微分値を示すし、図42(A)には走査レンズ306cの入射面306ciの水平走査方向の2階微分値を示し、図42(B)には走査レンズ306cの出射面306coの水平走査方向の2階微分値を示す。
図42(B)にあるように、走査レンズ306cの出射面306coは、水平走査方向の2階微分値が水平走査方向の中心から周辺へ向かうに従って徐々に増加している。これは、偏向光束を拡散させる方向である。そして、このような形状が垂直走査方向において連なった「2次元的アークサイン補正面」を形成している。
2次元偏向手段305は、水平走査方向において正弦波駆動しており、水平走査方向の周辺部では光走査速度が低下する。
実施例3は、走査レンズ306cの出射面306coを「2次元的アークサイン補正面」に構成することによって、水平走査方向の周辺部へ向かう偏向光束ほど、その進行方向を外側へ向かわせる構成とし、走査画像の中心から周辺へ向かうに連れて光走査速度を徐々に速めている。
図43に実施例3の光走査装置の被走査面307上における走査光の走査速度比を示す。
これは、スクリーン307上に表示された画像の中心を通過する走査線について、中心付近の光走査速度に対する各像高の走査速度比を示している。等速走査性の誤差は最大でも0.25%であり、走査線の全域に渡って精度良くアークサイン補正を実現していることが分かる。
また、図44には、実施例3の光走査装置の被走査面307上における走査光の走査速度比を示す。
これは、垂直走査方向に並んだ走査線のうち、下端(像高0割)、下間(像高2.5割)、中央(像高5割)、上間(像高7.5割)、上端(像高10割)の5本の走査線における走査速度比を示している。
等速走査性の誤差は最大でも0.84%であり、いずれの走査線においても等速走査を実現している。
このように、走査レンズ306の出射面306coに「2次元的アークサイン補正面」を用いることにより、偏向手段の正弦波駆動による光走査速度と「2次元的アークサイン補正面」による光走査速度とを相殺させて、被走査面307上の光走査速度を均一に補正している。この形状を垂直走査方向に連ねることにより、走査画像を描く全ての走査線について、等速走査を実現している。
これにより、光量ムラの無い高品位な2次元走査画像を得ている。
実施例3では、映像信号は100(MHz)の高速変調が可能な電気回路によって供給されるが、高速変調だけでも電気回路に掛かる負担は大きいものであった。これに加えて、従来では、正弦波駆動によって生じる走査速度の不均一性に合わせて映像信号を不等間隔に与える必要があり、更に1/4画素の精度で制御する必要があったため更に4倍もの周波数が必要であり、電気回路に掛かる負担は膨大なものであった。
実施例3では、2次元的アークサイン補正面の効果によって、走査画像の全領域において高精度な等速走査補正ができるので、映像信号を一定間隔で与えることが可能となり、電気回路の負担を軽減することができる。
図45に実施例3の光走査装置における走査画像を示す。
走査画像として描かれた格子が等間隔に並んでいることが分かる。特には、縦線が等間隔に並んでいる。
これは、1回の水平走査中に時間等間隔で光源を点灯させて縦線を描いたものであり、その縦線が空間的に等間隔に並んでいることから、等速走査性の効果が発揮されている。
また、表-7にTVディストーションと台形歪の値を示す。
TVディストーションは上辺で0.03%、下辺で0.00%、左辺で0.01%、右辺で-0.01%であり、台形歪は上辺で0.00%、下辺で0.00%、左辺で-0.01%、右辺で0.01%であって、TVディストーションならびに台形歪を良好に補正している。
また、実施例3の光走査装置においても、前記第1走査方向である水平走査方向における画角をθd1、第2走査方向である垂直走査方向における画角をθd2とし、被走査面上に表示された画像の前記第1走査方向における幅をWi1、前記第2走査方向における幅をWi2としたとき、
となり、条件式(3)を満足している。
このように、第2走査方向である垂直走査方向の画角を小さく設定すると、斜め投影による台形歪を補正し易くなる。更に、2次元走査光学系306の走査ミラー306a,306bで光路を垂直走査方向に折り畳む場合には、2次元走査光学系306の小型化を図ることができる。
2次元走査光学系306の水平走査方向の幅をDx、垂直走査方向の幅をDy、水平走査方向及び垂直走査方向とに垂直なZ軸方向の幅をDzとしたとき、
Dx=39.84 (mm)
Dy=14.39 (mm)
Dz=22.49 (mm)
であり、数式(4)〜(6)の条件を満足している。
さらに、偏向手段305の中で最も被走査面307に近い位置から2次元走査方向系306の最も被走査面に近い位置までのZ軸方向の距離をLdとしたとき、
Ld=40.87 (mm)
であり、数式(7)の条件を満足している。
これらにより、2次元走査装置が非常にコンパクトなものとなり、この2次元走査装置を搭載する画像表示装置を小型化することができるメリットがある。
このように、2枚の自由曲面走査ミラー306a,306bと2次元的アークサイン補正面を有する走査レンズ306cを2次元走査光学系306として用いて、2次元的な等速走査と走査歪補正を両立させている。
また、被走査面307に近づく程、各画角の偏向光束が広がって光学面の有効部が大きくなる。このとき、反射面を用いた場合、光路の干渉を回避する為や、偏心させた配置する必要があるために、有効部の大きさが走査光学系306の光軸方向(Z軸方向)のサイズに大きな影響を与えてしまう。実施例3では、有効部の大きさの影響を殆ど受けることなく、走査光学系をコンパクトに構成している。
更に、走査レンズ306cをメニスカス形状とすることで、光学パワーをキャンセルさせて出射方向のみを自由に設定することが可能となる。よって、走査光学系306の最終面を屈折面とし、その面を「2次元的アークサイン補正面」として効果的にアークサイン補正を行っている。
実施例3においては、走査光学系306の最も被走査面307側に走査レンズ306cを配置している。走査レンズ306cの出射面を「2次元的アークサイン補正面」とし、水平走査方向において被走査面307側に凹のメニスカス形状としている。
こうして、複数並んだ全ての走査線において、等速走査性を精度良く実現し、光量ムラや画素位置ズレ、そして走査歪の無い常に高品位な2次元走査画像を得ている。
実施例3における光走査装置では、基準光線がスクリーンへ傾いて入射する走査方向において、全ての偏向光束がスクリーンへ入射する角度が0.00(deg)以上としたが、これに限ったものではなく、マイナスの角度で入射する偏向光束があっても本発明の効果を十分に得ることができる。
図46に眼球の網膜上を光走査して画像を表示する網膜走査型表示装置の概要図を示す。
本発明の実施例1〜3ではプロジェクタに用いる2次元走査光学系を有する光走査装置を例に挙げたが、これに限ったものではなく、例えば図46に示したようなファインダーやHMD用の網膜走査型表示装置に用いても良い。図中310は、本発明の光走査装置であり、被走査面としてなる透過型拡散板307上に図示しない光源手段からの光束を光走査して走査画像を形成している。透過型拡散板307からの拡散光束を接眼光学系311を用いて観察者の眼313に導光し、瞳314を通して網膜315上に結像させている。
このように、観察者の眼313にある網膜315上を光走査して走査画像を表示している。
この網膜走査型表示装置に、本発明の光走査装置を用いても効果を十分に得ることができる。
実施例1における光走査装置の斜視図 実施例1における光走査装置の断面図 MEMSデバイスの要部概要図 実施例1における2次元走査光学系の要部概要図 実施例1における第1走査ミラーの形状の要部概要図 実施例1における第2走査ミラーの形状の要部概要図 実施例1における走査レンズの入射面・出射面の形状の要部概要図 実施例1における走査レンズの入射面・出射面の2階微分値の要部概要図 実施例1における走査速度比の要部概要図 実施例1における走査速度比の要部概要図 実施例1における走査画像(格子)の要部概要図 比較例1における走査画像(格子)の要部概要図 比較例1における走査速度比の要部概要図 比較例2における走査画像(格子)の要部概要図 偏向面内入射の入射方式を説明する図 斜入射による走査線曲がりを説明する図 実施例1における第1走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例1における第2走査ミラーの2階微分値の要部概要図 TVディストーションならびに台形歪みの算出方法の説明図 実施例1における走査型画像表示装置の要部概要図 実施例1における走査型画像表示装置の要部概要図 実施例1における走査型画像表示装置の要部概要図 実施例2における2次元走査装置の断面図 実施例2における光源ユニットの要部概要図 実施例2における第1走査ミラーの形状の要部概要図 実施例2における第2走査ミラーの形状の要部概要図 実施例2における第3走査ミラーの形状の要部概要図 実施例2における第1走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例2における第2走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例2における第3走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例2における走査速度比の要部概要図 実施例2における走査速度比の要部概要図 実施例2における走査画像(格子)の要部概要図 実施例3における2次元走査装置の断面図 実施例3における2次元偏向器の要部概要図 実施例3における2次元走査光学系の要部概要図 実施例3における第1走査ミラーの形状の要部概要図 実施例3における第2走査ミラーの形状の要部概要図 実施例3における走査レンズの形状の要部概要図 実施例3における第1走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例3における第2走査ミラーの2階微分値の要部概要図 実施例3における走査レンズの2階微分値の要部概要図 実施例3における走査速度比の要部概要図 実施例3における走査速度比の要部概要図 実施例3における走査画像(格子)の要部概要図 実施例3における走査型画像表示装置の要部概要図
符号の説明
101,201,301 光源手段(半導体レーザ)
102,202,302 集光レンズ(コリメータレンズ)
103,203,303 開口絞り
104,204,304 収束光束変換光学系
105,205,305 偏向手段(偏向器:MEMSミラー、ガルバノミラー)
106,206,306 2次元走査光学系(走査ミラー、プリズム、走査レンズ)
107,207,307 被走査面(スクリーン)
208 合成手段(ダイクロイックプリズム)
309 折り返しミラー
108,109 走査線(往路走査線、復路走査線)
110 被走査面の有効エリア
111 走査帰線
112 垂直走査方向
113 光源部の制御回路
114 水平走査手段の駆動手段
115 垂直走査手段の駆動手段
116 光路
117 水平走査手段の揺動向き
118 垂直走査手段の揺動向き
119 水平走査手段の駆動回路
120 垂直走査手段の駆動回路
121 機器の制御回路
122 携帯機器
123 本体
124 投射表示部
125 入力部
126 表示部
127 アンテナ
128 表示画像、表示文字
129 走査型画像表示装置
130 本体部
131 ヘッド部
132 接続部
133 携帯情報端末
134 ケーブル
310 光走査装置
311 接眼光学系
312 網膜走査型表示装置
313 観察者の眼
314 瞳
315 網膜

Claims (16)

  1. 光源手段と、該光源手段から発せられた光束を第1走査方向と、それに直交する第2走査方向の2次元方向に偏向する偏向手段と、該偏向手段で偏向された光束を被走査面上に導光する走査光学系とを有し、該偏向手段の偏向動作で、該被走査面上を光走査する光走査装置において、
    該偏向手段は、該第1走査方向において正弦波駆動する偏向器を有し、
    前記走査光学系は、該第1走査方向においてアークサイン特性を有し、
    前記走査光学系は、前記偏向手段からの光束の光路を第2走査方向に折り畳むように配置された複数の非回転対称反射面と、アークサイン補正を行う1つの光学面と、を有しており、
    前記1つの光学面の形状が、前記第1走査方向の中心から周辺部へ向かうに連れて第1走査方向の2階微分値が偏向光束を発散させるパワーが強くなる形を前記第2走査方向に連ねた形状であって、該1つの光学面の形状が、第2走査方向の中心から周辺へ移動したときよりも第1走査方向の中心から周辺へ移動したときの方が、第1走査方向の2階微分値の変化量が大きい形状であることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記第1走査方向において正弦波駆動する前記偏向器の最大偏向角をφox、光走査に使用する偏向角の最大値をφxmaxとするとき、
    なる条件を満足することを特徴とする請求項の光走査装置。
  3. 前記1つの光学面は、非回転対称自由曲面であることを特徴とする請求項1又は2の光走査装置。
  4. 前記1つの光学面は、第1走査断面内において対称な形状であることを特徴とする請求項1、2又は3の光走査装置。
  5. 前記1つの光学面は、前記走査光学系の前記被走査面側に最も近い光学素子に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光走査装置。
  6. 前記1つの光学面は、屈折光学素子の出射面に設けられ、該光学面は、該第1走査方向の中心から周辺部へ向かうに連れて第1走査方向の2階微分値が徐々に増加する形状であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光走査装置。
  7. 前記1つの光学面を有する走査レンズは、第1走査断面内において前記被走査面側に凹でメニスカス形状であることを特徴とする請求項の光走査装置。
  8. 中心画角の光束の主光線は、第2走査断面内において前記被走査面に傾いて入射することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光走査装置。
  9. 該第1走査方向における全画角をθd1、前記第2走査方向における全画角をθd2、前記被走査面上に表示された画像の前記第1走査方向における幅をWi1、前記第2走査
    方向における幅をWi2とするとき、

    なる条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光走査装置。
  10. 前記1つの光学面は、前記第2走査方向においてシフト又は/及びチルトしていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項の光走査装置。
  11. 前記光源手段からの光束は、第2走査断面内において、前記偏向手段に斜入射していることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項の光走査装置。
  12. 第2走査断面内において、前記偏向手段から前記走査光学系までの光路でみたとき、前記被走査面への入射角が小さい光束が通過する方から、該光束を該偏向手段へ斜入射させていることを特徴とする請求項11記載の光走査装置。
  13. 前記走査光学系は、負のパワーを有しており、前記偏向手段と前記被走査面との間の自然収束点を有する光束を該偏向手段へ入射させるとともに、該光束を該被走査面又はその近傍に結像させることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項の光走査装置。
  14. 前記光走査光学系の瞳は、前記偏向手段又はその近傍に位置しており、該瞳の像は虚像であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項の光走査装置。
  15. 前記走査光学系の水平走査方向の幅をDx、垂直走査方向の幅をDy、水平走査方向及び垂直走査方向とに垂直なZ軸方向の幅をDzとするとき、
    Dx≦50(mm)
    Dy≦30(mm)
    Dz≦50(mm)
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項の光走査装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項の光走査装置を搭載したことを特徴とする画像表示装置。
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