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JP4519020B2 - パンツ型使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、パンツ型使い捨ておむつ、特に幼児用のパンツ型使い捨ておむつに関する。
パンツ型使い捨ておむつにおいて、ウエスト開口部とレッグ開口部との間に、おむつの幅方向に延びる弾性部材を配したものが知られている。例えばおむつの少なくとも腹側が、コアの前端縁を境とする上下各最大20mmの範囲で画成される第1胴周り域と、該第1胴周り域とレッグ開口部との間に画成される第2胴周り域とを有し、第1胴周り域における弾性部材の各々の配列間隔寸法を、第2胴周り域における弾性部材の各々の配列間隔寸法よりも小さくしたパンツ型使い捨ておむつが提案されている(特許文献1参照)。このおむつは、第1胴周り域及び第2胴周り域における一定面積の当たりの面圧を実質的に等しくしつつ、肌に対する密着性に関し、第1胴周り域を第2胴周り域よりも良好にすることで、おむつの着用感を損なうことなく漏れを防止しようとするものである。
また弾性部材の配設間隔を、レッグ開口部に向かうに連れて漸次狭くなるようにすることで、着用者の胴部腰骨の上部に強い収縮力が働くようにしたパンツ型使い捨ておむつも知られている(特許文献2参照)。
しかしこれらのおむつでは、着用中におむつがずれ落ちて外観が低下し、またずれ落ちに起因して着用者が動きにくくなるおそれがある。また、ウエスト開口部に強い締め付け圧が加わるので、おむつを着用させにくくなるおそれがある。
特開平9−84826号公報 実開平6−421号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
本発明は、ウエスト開口部と一対のレッグ開口部とを有するパンツ型の使い捨ておむつであって、
おむつの腹側部及び背側部それぞれにおける前記ウエスト開口部と前記レッグ開口部との間に、おむつ着用時の圧力が1.1〜2.5kPaとなされている領域が存在し且つ該領域の幅が15〜35mmであり、
前記おむつの展開状態において、長手方向中心線から腹側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、且つ長手方向中心線から背側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、
おむつ着用時の前記ウエスト開口部の圧力が0.3〜1.5kPaとなされているパンツ型使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明はウエスト開口部と一対のレッグ開口部とを有するパンツ型の使い捨ておむつを着用者に装着させるおむつ装着方法であって、
おむつ装着後における、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位の装着圧力が1.1〜2.5kPaとなるように、当該部位に対応するおむつの部位を所定手段によって締め付けるおむつ装着方法を提供するものである。
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、おむつの着用中に着用者の動作等に起因するおむつのずれ落ちが起こりづらい。特におむつの股下部のだぶつきが起こりづらい。従って、着用状態のおむつの外観を良好に保つことができる。おむつのずれ落ちに起因して着用者の動作が妨げられることもない。またおむつに配されている弾性部材が着用者の身体を過度に締め付けることが防止され、着用感が良好になる。更におむつのずれ落ちが抑制されることにより、着用中における尿や便の漏れの発生が抑制される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態の斜視図が示されている。図2には、図1に示すおむつを組み立てる前の状態の分解斜視図が示されている。図3には、図2におけるおむつの展開状態の平面図が示されている。
本実施形態のおむつ1は、液透過性の表面シート2、撥水性の裏面シート3及び両シート2、3間に介在配置された液保持性の吸収性コア4を有する実質的に縦長の吸収体本体10と、該吸収体本体10の裏面シート3側に配された外包材11とを備えている。
外包材11は、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状をしており、おむつの輪郭を画成している。外包材11はその長手方向において、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとに区分される。腹側部A及び背側部Bは、外包材11の長手方向前後端部に相当し、股下部Cは外包材11の長手方向中央部に相当する。外包材11は、その腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが互いに接合されて、おむつ1にはウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6が形成される。この接合によって、おむつ1の左右両側縁には一対のサイドシール部Sが形成される。この接合には例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール等が用いられる。
表面シート2、裏面シート3及び吸収性コア4はそれぞれ矩形状であり、一体化されて縦長の吸収体本体10を形成している。表面シート2及び裏面シート3としては、従来この種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。また吸収性コア4は、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成されており、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されている。
図2に示すように、吸収体本体10の長手方向の左右両側には、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス8、8が形成されている。各側方カフス8は、吸収体本体10の長手方向に沿って固定端部及び自由端部を有している。固定端部は、表面シート2に固定されている。更に、固定端部及び自由端部は、吸収体本体10の長手方向両端部(図3における上下方向の端部)において表面シート2に固定されている。一方、自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材81が伸張状態で配されている。これにより、図1のように組み立てられたおむつ1を着用させる際には、弾性部材81が縮むことにより側方カフス8が起立して、吸収体本体10の幅方向への液の流出が阻止される。
外包材11は、少なくとも二枚の不織布、即ち外層不織布12と該外層不織布12の内面側に配された内層不織布13とを有している。外層不織布12はおむつ1の外面をなし、内層不織布13は外層不織布12の内面側に、ホットメルト粘着剤等の接着剤によって接合されている。外層不織布12と内層不織布13は液の染み出し性を考慮すると、共に撥水性であることが好ましい。
外包材11における前後端部には、前後端縁に沿って、複数のウエスト部弾性部材51、51がその幅方向に亘り配されている。各ウエスト部弾性部材51、51は、外層不織布12と内層不織布13とによって伸張状態で挟持固定されている。各ウエスト部弾性部材51、51は、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合(接合部分)させたときに、両弾性部材51、51の端部同士が重なるように配されているか、両接合部分まで両弾性部材51、51の端部が連続配置されている。これによって、図1に示すように、おむつ1のウエスト開口部5の付近には実質的に連続したリング状のウエストギャザーが形成される。
外包材11は、吸収体本体10の前後端縁から外方に延出しており、延出した部分が吸収体本体10側に折り返されている。折り返された外包材11は、吸収体本体10の前後端部上(即ち吸収体本体10の前後端部における表面シート2上)を被覆している。なお、この構成に代えて、外包材11における外層不織布12のみを、外層不織布12と内層不織布13とによって各ウエスト部弾性部材51,51を挟持固定する部位よりも更に延出させ、延出した外層不織布12を吸収体本体10側に折り返させることもできる。
外包材11における左右両側の湾曲部には、レッグ部弾性部材61a、61bが配されている。各レッグ部弾性部材61a、61bは、前記湾曲部に沿って配されている。各レッグ部弾性部材61a、61bは、外層不織布12と内層不織布13との間に配されており、所定の接合手段によって、両不織布12、13に伸張状態で固定されている。各レッグ部弾性部材61a、61bは、その一端どうしが股下部Cにおいて重なり合っている。一方、他端は腹側部A及び背側部Bの各側縁の位置において終端している。各レッグ部弾性部材61a、61bは、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合させたときに、両弾性部材61a、61bの端部同士が重なるように配されているか、両接合部分まで両弾性部材61a、61bの端部が連続配置されている。これによって、図1に示すように、おむつ1のレッグ開口部6、6の付近には実質的に連続したリング状のレッグギャザーが形成される。
おむつ1においては、おむつ1の腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるウエスト開口部5とレッグ開口部6との間に、おむつ1の幅方向に延びる弾性部材が多数配されている。弾性部材が配されることによって、ウエスト開口部5とレッグ開口部6との間にはおむつ1の幅方向に延在する第1領域71と第2領域72とが形成されている。第1領域71には第1弾性部材71aが配されており、第2領域72には第2弾性部材72aが入れている。第1領域71はウエスト開口部5とレッグ開口部6との間に位置し、第2領域72は第1領域71とレック開口部との間に位置している。
第1弾性部材71a及び第2弾性部材72aは何れも外層不織布12と内層不織布13とによって伸張状態で挟持固定されている。第1弾性部材71aは、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合させたときに、腹側部Aの第1弾性部材71aと背側部Bの第1弾性部材71aとの端部同士が重なるように配されているか、両接合部分まで各弾性部材71a、71aの端部が配置されている。第2弾性部材72aについても同様である。これによって、図1に示すように、おむつ1の腹側部A及び背側部(図示せず)における第1領域71及び第2領域72にはギャザーがそれぞれ形成される。
第1弾性部材71a及び第2弾性部材72aは何れも、おむつ1の左右両側縁(即ち外包材11の左右両側縁)と吸収性コア4の左右両側縁との間に亘って延在している。そして、吸収性コア4が存在している部位には、第1弾性部材71a及び第2弾性部材72aは何れも実質的に存在していない。その結果、第1領域71及び第2領域72に形成されるギャザーは、おむつ1の左右両側縁と吸収性コア4の左右両側縁との間に位置しており、吸収性コア4が存在する位置にはギャザーが実質的に形成されていない。これにより、装着状態においても吸収性コア4が存在している部位は、第1弾性部材71a及び第2弾性部材72aの収縮により外包材11が縮むことがなく、おむつ1は外観的にも、また吸収性能的にも良好なものとなる。
本実施形態のおむつ1における各弾性部材としてはそれぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、伸縮性不織布又はホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)、帯状(平ゴム)、ネット状(網状)又はフィルム状に形成したものが好ましく用いられる。
而して本実施形態のおむつ1においては、第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力が1.1〜2.5kPaとなされている。第1領域71は、おむつ1を着用したときに着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位(以下、腸骨領域ともいう)に当接する部位に好ましくは形成されている。腸骨稜及び上前腸骨棘は解剖学の用語である。腸骨稜とは図4において9aで示される部位であり、上前腸骨棘とは同図において9bで示される部位である。従来、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを防止するためには、特に幼児用のパンツ型使い捨ておむつの着用中のずれ落ちを防止するためには、ウエスト開口部に配設する弾性部材の締め付け圧を高くして、該ウエスト開口部によってパンツ型おむつを着用者の身体に密着させることが有効であると考えられてきた(例えば、先に述べた特許文献2参照)。しかし本発明者らの検討の結果、パンツ型おむつの着用中のずれ落ちを効果的に防止するためには、ウエスト開口部の締め付け圧を高くするよりも、着用者の腸骨領域に対応するおむつの部位の締め付け圧を従来よりも高めることが有効であることが見出された。この理由は、着用者、特に幼児は、その身体的な特徴として腹まわりが張り出しているので、当該張り出してる腹まわりに当接するウエスト開口部の締め付け圧を高くすると、その締め付け圧が高い故にウエスト開口部が次第に絞り込まれて、腹まわりが細くなる部位にまで該ウエスト開口部がずれ下がってくるからである。
図5は赤ちゃんの体を円錐に見立てた状態を示している。図中、θはウエスト部(点A)における接線に対する垂線と、体の中心に向かう水平線のなす角度を表し、Fは弾性体の締め付け力を示し、PはFに起因する摩擦力を示し、f1はFに起因するズレ落ち力を示し、f2は垂直抗力を示している。ここで、f1=Fsinθであり、またP=νN=νf2=νFcosθ(νは摩擦係数を表す)であるから、点Aにおける下方に向くずれ落ち力Zは次式で表される。
Z=f1−P=Fsinθ−νFcosθ=F(sinθ−νcosθ)
この式から、ウエスト部がずれ落ちの生じる状態にある場合、締め付け力(F)が大きい程ずれ落ち力が大きくなることが理解できる。
前述した通り、第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力は1.1〜2.5kPaである。第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力が1.1kPa未満であると、おむつ1の第1領域71を着用者の腸骨領域に固定することが困難となり、その結果おむつ1がずれ落ちてしまい、着用状態でのおむつ1の外観が非常に低下してしまう。特に、おむつ1の股下部Cでのだぶつきが顕著になってしまい、また尿および便の漏れの原因となる。一方、第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力が2.5kPa超であると、着用者の身体を過度に締め付けてしまうほか、おむつ1の装着操作が困難になってしまう。おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止し、また着用状態でのおむつ1の外観やおむつ1の装着操作を一層向上させる観点から、第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力は1.1〜2.0kPaであることが好ましく、1.2〜1.8kPaであることが更に好ましい。
第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力は、例えば第1弾性部材71aの素材や太さ、伸長率、或いは配設間隔を調整することでコントロールすることができる。
第1領域71におけるおむつ1の着用時の圧力は、周長が500mmの円筒におむつ1を装着し、装着圧測定装置((株)エイエムアイ・テクノ製の接触圧測定器(AMI3037−2))によって測定される。具体的な測定法は以下の通りである。
〔第1領域71の圧力の測定方法〕
φ=15mmのエアパックを用い、ウエスト開口部の先端部にエアパックの中心が位置するようにセットし、装着圧(P1)を測定する。エアパックをセットするおむつ幅方向の位置は、おむつの左右両側縁と吸収性コア4の左右両側縁とのほぼ中心とする(図3参照)。続いておむつ1の長さ方向に5mmエアパックの中心を移動させ装着圧(P2)を測定する。同様に5mm間隔で測定を行い、P3,P4,P5,・・・,Pnを得る。P1ないしPnの測定は外包材11におけるウエスト開口部からレッグ開口部までの左右両側部どうしが互いに接合されている範囲にわたって行う。P1ないしPnは腹側部において、左右2点ずつ計4点測定を行う。これらの平均値を腹側部の装着圧とする。同様に背側部においても、計4点測定を行い、平均値を背側部の装着圧とする。P1からPnの値において1.1〜2.5kPaに連続的に該当する部位間の距離を第1領域71の幅とする。例えば、P3からP6までが該当する場合、領域の幅=(6−3)×5=15mmとする。またその時の第1領域71の中心は測定点3と測定点6の中点とする。
円筒の周長を500mmとした理由は、本実施形態のおむつ1を着用する主たる対象者である幼児の腹まわりの長さの平均がおおよそ500mmであることによる。なお、ここで言う腹まわりの長さは、幼児の姿勢が変化した時の腹まわりの周長の変化を考慮し、立位および座位で測定した腹まわりの平均値である。
着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位には一定の幅があり、当該幅の範囲内でおむつ1の第1領域71を当該部位に固定することで、おむつ1のずれ落ちを効果的に防止することができる。この観点から、本実施形態のおむつ1においては、第1領域71の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う第1領域71の長さ)W1を15〜35mmとしている。この幅Wが20〜35mm、特に25〜30mmであると、おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止することができ、また着用状態でのおむつ1の外観やおむつ1の装着操作(はかせやすさ等)を一層向上させることができる。
おむつ1を着用した状態で、第1領域71が着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接するようにするためには、おむつ1の寸法と着用者の体格との関係が重要である。例えばパンツ型おむつの主たる着用対象者である幼児を考えた場合、おむつ1の展開状態において、腹側部Aの第1領域71の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K1を180〜220mmとし、且つおむつ1の展開状態において、背側部Bの第1領域71の中心位置(おむつ1の長手方向に沿う中心位置)とおむつ1の長手方向中心線CLとの間の距離K2を180〜220mmとすることで、第1領域71を着用者の腸骨領域に首尾良く当接させることができる。この値はパンツおむつの主たる着用対象者である幼児約350人の身体計測を実施して決定されたものである。具体的には図6に示すように、上前腸骨棘の水平位置高さにある腹側部左右中心点を上前腸骨棘高前中心とし、背側部を上前腸骨棘高後中心とすると、上前腸骨棘高前中心から股下を経由し上前腸骨棘高後中心までの長さを上前腸骨棘高前後長とし、この上前腸骨棘高前後長におむつの材料による厚み等を考慮した必要長を加えて得られた数値を二分したものである。当該距離K1およびK2を185〜215mm、特に190〜215mmとすることで、第1領域71を着用者の腸骨領域に一層首尾良く当接させることができる。
第1領域71は腹側部A及び背側部Bに存在するが、腹側部A及び背側部Bにおける装着時の圧力は全く同じである必要はない。即ち、腹側部A及び背側部Bにおける第1領域71の装着時の圧力が1.1〜2.5kPaであることを満たせば、弾性体の素材、太さ、伸長率、配設間隔は腹側部A及び背側部Bにおいて異なっていてもよい。しかし、腹側部A及び背側部Bの第1領域71の構成が過度に異なると、外包材11における長手方向前後端部の左右両側部どうしが互いに接合されている部位が、装着時において前後いずれかにずれてしまい、おむつ1の外観に不具合が生じることがある。そこで、腹側部A及び背側部Bにおける第1領域71の装着時の圧力の大きい方をA、小さい方をBとした時、(A−B)/Aの比が30%以内であることが好ましい。
本発明において、おむつ1の長手方向中心線CLとは、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが実質的にずれることなく互いに接合されている場合においては、おむつ1の展開状態におけるA1、B1の中点を通るおむつ幅方向に沿う直線のことをいう(図3参照)。これと異なり、例えば図7(a)及び(b)に示すように、腹側部Aの両側縁A1,A2が、背側部Bの両側縁B1’,B2’と接合されておらず、両側縁B1’,B2’よりも長手方向内方の位置であるB1,B2において接合されている場合においては、B1,B2からB1’,B2’にかけての領域をないものと仮定した上で、前述と同様に、おむつの長手方向中心線を定める。
なお、おむつ1の展開状態における外包材11の全長Lは任意に設定可能であるが、おむつ装着時および使用後の「すっきり感」および「ずれ落ち防止性」を考慮すると、460〜520mmに設定することが好ましい。また「装着時の安心感」を考慮すると、おへそを完全にカバーすることが望ましく、その観点から490〜580mmに設定することが好ましい。
先に述べた通り、本実施形態におむつ1においては、主として、第1領域71に配された第1弾性部材71aによる締め付け力によっておむつ1を着用者の身体に固定している。換言すれば、従来のパンツ型おむつと異なり、ウエスト開口部5に配された弾性部材による締め付け力は、本実施形態のおむつ1においては、おむつ1を着用者の身体に固定するための主たる手段ではない。逆にウエスト開口部5の締め付け力を高くしてしまうと、おむつ1のずれ落ちが助長されてしまうことが本発明者らによって確認されている。この観点から、本実施形態のおむつ1においては、おむつ着用時のウエスト開口部5の圧力は、従来のパンツ型おむつのそれよりも低い値である0.3〜1.5kPaとなされている。この圧力は、おむつ着用時の第1領域71の圧力の平均値よりも0.5〜1.0kPa低いことが好ましい。また、おむつ着用時のウエスト開口部5の圧力を前記範囲内とすることで、おむつ1の着用時にウエスト開口部5を拡開しやすくなり、装着操作を行いやすくなるという利点もある。なおウエスト開口部5の圧力が0.3kPa未満であると、装着する前のおむつ1の自然長が大きくなり、衣服として見たときの見映えが悪い等の不具合が生じることがある。
おむつ着用時のウエスト開口部5の圧力が、より好ましくは0.4〜1.2kPa、更に好ましくは0.4〜1.0kPaとなされていると、おむつ1のずれ落ちを一層効果的に防止することができる。ウエスト開口部5の圧力は、先に述べた第1領域71の圧力と同様の方法によって測定することができる。即ち、おむつ1のウエスト開口部5に周長500mmの円筒を挿入(装着)し、ウエスト開口部の先端部よりおむつ長手方向に15mmの位置に装着圧測定装置のエアパックの中心を位置させ装着圧を測定する。測定は円周方向に50mm間隔にて10点行い、その平均値をもってウエスト開口部の圧力とする。図7(a)及び(b)に示すように、腹側のウエスト開口部の端縁の位置と、背側のウエスト開口部の端縁の位置とがずれている場合は、腹側と背側とが重なっている領域のうち、最も端部寄りの位置をもってウエスト開口部とする。ウエスト開口部5の圧力は、例え
ばウエスト部弾性部材51の素材、太さや伸長率、或いは配設間隔を調整することでコントロールすることができる。尚、ウエスト開口部5の圧力が第1領域71の圧力の範囲に入る場合は、当該位置は第1領域71に含まれるものとする。
おむつ1においては、レッグ開口部に実質的に沿って弾性部材61a,61bが伸長状態で配されていることが好ましい。そして、おむつ着用時のレッグ開口部6の圧力が、1.0〜2.4kPa、特に1.2〜2.2kPaとなされていることが好ましい。おむつ着用時のレッグ開口部6の圧力が前記範囲内であることによって、レッグ開口部6の開口端が着用者の鼠蹊部に適正にフィットし、着用者の脚周りからの液漏れを効果的に防止することができる。また、使用時において排尿/排便に起因しておむつ1の股下における重量が増加しても、股下において吸収体が着用者の身体から離間することが防止され、着用中のおむつ1の外観の低下及び尿や便の漏れが防止される。その結果、着用状態のおむつ1を良好な状態に保つことができる等の効果を得ることができる。
レッグ開口部の装着圧は次の方法で測定される。装置/エアパックはウエスト開口部の測定と同じである。おむつ1のレッグ開口部6に周長300mmの円筒を挿入(装着)し、弾性部材61a,61bが配置された部位にて円周方向に50mm間隔で6点測定を行う。弾性部材61a,61bが複数本存在する場合は、該弾性部材が配置されている領域の幅中心点にて測定を行う。右足および左足計12点の平均値をレッグ開口部6の装着圧とする。レッグ部弾性部材61a,61bが完全に、あるいは部分的にないものに関しては相当部位における側方カフス弾性部材81が配置されている領域の装着圧をもってレッグ開口部の装着圧とする。円筒の周長を300mmとした理由は、本実施形態のおむつ1を着用する主たる対象者である幼児の鼠蹊部(足まわり)の長さの平均がおおよそ300mmであることによる。
更に本実施形態のおむつ1においては、おむつ着用時の、第1領域71、ウエスト開口部5及びレッグ開口部6以外の領域、例えば第1領域71とレッグ開口部6との間に位置する第2領域72の圧力が好ましくは0.2〜0.8kPa、更に好ましくは0.3〜0.6kPaになされている。これによって、おむつ1を着用者の身体に適度な圧力で密着させることができ、液漏れを効果的に防止することができる。第2領域72は、おむつ1を着用した場合に、着用者の腸骨領域の下側の領域(下腹部)に当接する。第2領域72の幅(つまり、おむつ1の長手方向に沿う第2領域72の長さ)W2は40〜70mm、特に45〜65mmであることが好ましい。
これに関連して、おむつ1においては、おむつ着用時の、ウエスト開口部5、第1領域71及び第2領域72の圧力を比較したときに、第1領域71の圧力が最も高く、次いでウエスト開口部5の圧力が高く、第2領域72の圧力が最も低いことが好ましい。各部位の圧力にこのような序列を設けることで、着用中のおむつ1のずれ落ちが効果的に防止されるのみならず、おむつ1が着用者の身体に違和感なく密着し、液漏れが効果的に防止される。
以上の説明から明らかなように、パンツ型おむつの装着後における着用者の腸骨領域の装着圧力が1.1〜2.5kPaとなるようにすれば、おむつのずれ落ちが効果的に防止される。該装着圧力を斯かる範囲内にするための具体的な一手段が、第1領域71に配された第1弾性部材である。しかし、該手段としては斯かる弾性部材に限られず他の手段によって着用者の腸骨領域の装着圧力を前記範囲内にしてもよい。例えばおむつ装着後に、着用者の腸骨領域の装着圧力が前記範囲内となるように、該腸骨領域に対応するおむつの部位を、ベルト等で締め付けてもよい。即ち、本発明は、これまでに説明したパンツ型使い捨ておむつの発明に加えて、液透過性の表面シート、撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収性コア、並びに該裏面シート側に配された外包材を備
え、該外包材における長手方向前後端部の左右両側部どうしが互いに接合されて、ウエスト開口部と一対のレッグ開口部とを有するパンツ型の使い捨ておむつを着用者に装着させるおむつ装着方法において、おむつ装着後における、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位の装着圧力が1.1〜2.5kPaとなるように、当該部位に対応するおむつの部位を所定手段によって締め付けるおむつ装着方法の発明をも包含するものである。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではない。例えば前記実施形態のおむつ1においては、第1弾性部材71a又は第2弾性部材72aがおむつ1の左右両側縁と吸収性コア4の左右両側縁との間のみに配されているが、この構成に限定されることはなく、吸収性コア4の左右両側縁のみ各弾性部材71a又は72aの一部を重ねることもできるし、おむつの幅方向全長に亘って配置させることもできる。この場合には、吸収性コア4と重なる部分の外包材11には第1又は第2弾性部材により収縮させる力が働くことになる。しかしそのような場合においても、吸収性コア4が配されている領域に位置する外包材11を、粘着剤により吸収性コア4に貼り付けることで、コア4の剛性を利用して弾性部材の収縮を抑制し、コア4が配された部分における外包材11に皺が発生することを防止することができる。また、外層及び内層不織布12,13に挟持固定されている第1弾性部材71a又は第2弾性部材72aを、吸収性コア4が配されている部分だけは、不織布12,13に殆ど固定させないことによっても、コア4が配された部分における外包材11に皺が発生することを防止することもできる。
また、本発明は、おむつの腹側部及び背側部それぞれにおける前記ウエスト開口部と前記レッグ開口部との間に、おむつ着用時の圧力が1.1〜2.5kPaとなされている領域が存在し且つ該領域の幅が15〜35mmであり、おむつの展開状態において、長手方向中心線CLから腹側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、且つ長手方向中心線CLから背側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、おむつ着用時の前記ウエスト開口部の圧力が0.3〜1.5kPaとなされているパンツ型使い捨ておむつであればどのような形態のものでも包含する。例えば図8に示すように、ウエスト開口部51と第1領域71との間に第3領域73が設けられていてもよい。
また図9に示すように、腹側部Aにおいて複数の第1弾性部材71aをおむつの幅方向全域に亘って配し、且つ第1弾性部材71aの中央部分を、おむつの股下部Cへ向けて凸状に湾曲させてもよい。このような第1弾性部材71aの湾曲形状によって、腹まわりが張り出している幼児の体型におむつが一層フィットしやすくなる。その結果、おむつの上下方向の位置ずれが起こりにくくなる。
更に、図10に示すように、腹側部Aにおいて複数の第1弾性部材71aをおむつの幅方向全域に亘って配し、且つおむつの股下部C寄りに位置する数本の第1弾性部材71aを股下部Cへ向けて凸状に湾曲させてもよい。この場合、股下部Cに近い第1弾性部材71aほど、その湾曲の程度を大きくすることが好ましい。第1弾性部材71aのこのような配置によって、腹まわりの広い範囲を第1弾性部材71aで覆うことができる。その結果、左右方向の収縮に加えて、上下方向の収縮の力が発生するので、おむつの上下方向の位置ずれの防止と、おむつの幅方向中央部を上方に引き上げる効果を発生させることができる。
更に、本実施形態においては腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを互いに接合してサイドシール部を形成したが、これに代えて、ホック、ボタン、面ファスナーなどの各種係合部材で予め係合させて、パンツ型の形状となしてもよい。また腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2との接合又は係合位置は、身体の真横の位置に限られず、身体のやや前寄り又は後寄りの位置であってもよい。
更に、本実施形態においては外包材11を外層及び内層不織布12,13から構成したが、外包材の材料はこれに限られず、例えば不織布と撥水性シートとの積層シートであってもよい。
更に、本実施形態においては、おむつの輪郭を画成する外包材11と、その上に載置される吸収体本体10とからおむつ1が構成されていたが、これに代えて、表面シート及び裏面シートによっておむつの輪郭を画成させ、両シート間に吸収性コアを介在配置してもよい。また、おむつの腹側部及び背側部における吸収性コアの左右両側部から外方へ延出する部位を、弾性パネル材から構成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1及び2並びに比較例1ないし4〕
図1ないし図3に示すパンツ型おむつを作製した。吸収体本体10における表面シート2は、坪量25g/m2の親水性エアースルー不織布から構成されていた。裏面シート3、は坪量20g/m2のポリエチレンシートから構成されていた。また外包材11における外層不織布11は、坪量25g/m2の撥水性エアースルー不織布から構成されており、内層不織布は、坪量18g/m2の撥水性スパンボンド不織布から構成されていた。各弾性部材によって生じる圧力は、弾性素材の種類、および伸長率を変えることで調整した。得られたおむつにおける各値を表1に示す。
得られたおむつを1〜2才の幼児3人に装着させ、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)装着時の操作性(おむつのはかせやすさ)
○:はかせやすい
△:ややはかせやすい
×:はかせにくい
(2)装着60分後の第1領域の位置ずれ
○:位置ずれ無し
△:やや位置ずれあり
×:位置ずれあり
(3)装着60分後のウエスト開口部の位置ずれ
○:位置ずれ無し
△:やや位置ずれあり
×:位置ずれあり
(4)装着60分後の第1領域に対応する身体部位におけるゴム跡
○:ゴム跡無し
△:ややゴム跡あり
×:ゴム跡
(5)装着時におけるサイドシール部の前後への位置ずれ
○:位置ずれ無し
△:やや位置ずれあり
×:位置ずれあり
更に、実施例1及び比較例1のおむつについて、本発明の主たる効果である「装着60分後の第1領域に対応する身体部位におけるゴム跡の有無」及び「装着60分後のウエスト開口部の位置ずれの有無」を詳しく評価した。これらのおむつを、月齢11ヶ月〜37ヶ月の乳幼児に各25枚ずつ装着させ、「ゴム跡がつきにくい」、「位置ずれが起こりにくい」について支持するかどうかを母親に聞き取り調査した。その結果を表2に示す。
Figure 0004519020
表1に示す結果から明らかなように、各実施例のおむつは、はかせやすいものであり、しかもおむつのずれ落ちが起こりにくいものであることが判る。なお実施例2のおむつは、実施例1のおむつに比較して、腹側部及び背側部での形状に差があるため、サイドシール部がやや身体の前側にずれることが観察されたが、問題のないレベルであった。
これに対して比較例1のおむつは、従来のパンツ型使い捨ておむつに相当するものであり、おむつの位置ずれが起こりやすかった。比較例2のおむつは、第1領域の幅が十分でないため、やはりおむつの位置ずれが起こりやすかった。比較例3のおむつは、第1領域に相当する領域が存在せず、おむつをはかせづらく、またゴム跡が残りやすかった。比較例4のおむつは第1領域の幅が大きすぎて、おむつをはかせづらかった。
Figure 0004519020
表2に示す結果から明らかなように、実施例1のおむつは、「ゴム跡がつきにくい」、「位置ずれが起こりにくい」という評価項目に関して、母親に非常に高い支持を受けていることが判る。これに対して比較例1のおむつでは、母親の支持は約半分にとどまっている。
本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示すおむつを組み立てる前の状態を示す分解斜視図である。 図2における外包材の展開状態を示す平面図である。 腸骨を示す説明図である。 着用者のウエスト部におけるずれ落ち力の算出方法を示す説明図である。 上前腸骨棘高前後長の測定方法を示す説明図である。 図7(a)は本発明のおむつの別の実施形態を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示すおむつの展開状態を示す平面図である。 本発明のおむつの別の実施形態を示す、展開状態での平面図である。 本発明のおむつの別の実施形態を示す、展開状態での平面図である。 本発明のおむつの別の実施形態を示す、展開状態での平面図である。
符号の説明
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
71 第1領域
72 第2領域

Claims (6)

  1. ウエスト開口部と一対のレッグ開口部とを有するパンツ型の使い捨ておむつであって、
    おむつの腹側部及び背側部それぞれにおける前記ウエスト開口部と前記レッグ開口部との間に、おむつ着用時の圧力が1.1〜2.5kPaとなされている領域が存在し且つ該領域の幅が15〜35mmであり、
    前記領域は、おむつを着用したときに着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接する部位に形成されており、
    前記おむつの展開状態において、長手方向中心線から腹側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、且つ長手方向中心線から背側部の前記領域の中心位置までの距離が180〜220mmであり、
    おむつ着用時の前記ウエスト開口部の圧力が0.3〜1.5kPaとなされており、
    おむつ着用時の前記ウエスト開口部の圧力が、おむつ着用時の前記領域の圧力よりも低くなされているパンツ型使い捨ておむつ。
  2. 前記領域が、おむつの左右両側縁と前記吸収体の左右両側縁との間に主として存在している請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
  3. 前記領域が伸縮性素材を含んで構成されている請求項1又は2記載のパンツ型使い捨ておむつ。
  4. おむつ着用時の、前記領域及び前記ウエスト開口部以外の領域の圧力が0.2〜0.8kPaとなされている請求項1ないし3の何れかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
  5. 前記レッグ開口部に沿って弾性部材が伸張状態で配されている請求項1ないし4の何れかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
  6. おむつ着用時の、前記領域、前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部以外の領域の圧力が0.2〜0.8kPaとなされている請求項記載のパンツ型使い捨ておむつ。
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