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JP4598840B2 - 乗用草刈機の除塵構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの出力軸を、エンジンルームの外部に配置した変速装置の入力軸に自在継手を介して伝動可能に連結し、前記エンジンと前記変速装置との間に立設した隔壁に、前記自在継手が挿通されるとともに、変速装置側からエンジンルーム内への外気の取り入れを可能にする開口を形成し、前記出力軸を中心にして前記出力軸と一体回転することにより、前記開口からエンジンルーム内への刈草の流入を防止する多孔盤を装備し、前記多孔盤の中心部に、前記自在継手の伝動方向下手側部位が挿通される挿通孔を形成してある乗用草刈機の除塵構造に関する。
上記のような乗用草刈機の除塵構造としては、隔壁の開口に、エンジンの出力軸と一体回転する冷却ファンを前方から覆う導風カバーの開口縁を内嵌し、エンジンの出力軸に連結する第1連結軸と、中間軸と、伝動装置の入力軸にスプライン嵌合する第2連結軸とを屈曲自在に連結して構成した自在継手の中間軸に、その中間軸と一体回転することにより、導風カバーの開口からエンジンルーム内への刈草の流入を防止する多孔盤を装備したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2005−287341号公報
上記の構成では、エンジンの振動などにより自在継手が屈曲変形すると、それに伴って、自在継手における第1連結軸と中間軸との連結部を支点にして多孔盤が導風カバーに対して揺動変位する。そのため、その揺動変位による多孔盤と導風カバーとの干渉を回避するために、多孔盤と導風カバーとの隙間を大きくすると、刈草などの塵埃が、外気とともに多孔盤と導風カバーとの隙間からエンジンルーム内に流入する可能性が高くなる。その結果、刈草などの塵埃がエンジンの周囲などに付着堆積して外気の流動を阻害することに起因したオーバーヒートを招く虞が高くなる。また、そのオーバーヒートを招き難くするために、多孔盤と導風カバーとの隙間を小さくすると、多孔盤が導風カバーに干渉し易くなり、その干渉による異音の発生や多孔盤または導風カバーの破損を招く虞が高くなる。
そこで近年では、多孔盤がエンジンの出力軸を中心にしてエンジンの出力軸と一体回転するように構成することにより、エンジンの振動などにより自在継手が屈曲変形しても、多孔盤が揺動変位しないようにして、多孔盤の揺動変位に起因した多孔盤と導風カバーとの干渉による異音の発生や多孔盤または導風カバーの破損を、多孔盤と導風カバーとの隙間を大きくすることなく未然に回避することが考えられている。
この構成では、エンジンの振動などにより自在継手が屈曲変形すると、多孔盤に対して、その挿通孔に挿通した自在継手の中間軸が、第1連結軸との連結部を支点にして揺動変位する。そのため、多孔盤の挿通孔を、中間軸の揺動変位に起因した多孔盤と中間軸との干渉を回避するための隙間を多孔盤と中間軸との間に確保することのできる大径に形成する必要がある。しかしながら、ここで多孔盤と中間軸との間に確保する隙間の周長は、多孔盤と導風カバーとの間に形成する隙間の周長よりは十分に短くなる。その結果、多孔盤と導風カバーとの間に、それらの干渉を回避するための隙間を形成する場合に比較して、刈草などの塵埃が外気とともに隙間からエンジンルーム内に流入する可能性を低くすることができる。
しかしながら、いくら周長が短くても、多孔盤と中間軸との隙間からは外気とともに刈草などの塵埃が流入することから、その流入した刈草などの塵埃がエンジンの周囲などに付着堆積してエンジンルーム内での外気の流動を阻害する可能性がある。つまり、エンジンルーム内での刈草などの塵埃の付着堆積に起因したオーバーヒートの発生をより効果的に抑制する上においては改善の余地がある。
本発明の目的は、エンジンルーム内への刈草などの塵埃の流入をより効果的に抑制することにより、その流入した刈草などの塵埃がエンジンルーム内で付着堆積して外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
エンジンの出力軸を、エンジンルームの外部に配置した変速装置の入力軸に自在継手を介して伝動可能に連結し、
前記エンジンと前記変速装置との間に立設した隔壁に、前記自在継手が挿通されるとともに、変速装置側からエンジンルーム内への外気の取り入れを可能にする開口を形成し、
前記出力軸を中心にして前記出力軸と一体回転することにより、前記開口からエンジンルーム内への刈草の流入を防止する多孔盤を装備し、
前記多孔盤の中心部に、前記自在継手の伝動方向下手側部位が挿通される挿通孔を形成してある乗用草刈機の除塵構造において、
前記自在継手の伝動方向下手側部位における前記挿通孔との近接箇所にフランジを形成し、
前記多孔盤と前記フランジのいずれか一方に、それらの他方に前記挿通孔を囲むようにして接合する樹脂製のリング部材を装着してあることを特徴とする乗用草刈機の除塵構造。
この特徴構成によると、多孔盤の挿通孔を、エンジンの振動などによる自在継手の屈曲変形、あるいは、部品の精度や組み付け精度、などに起因した多孔盤と自在継手の伝動方向下手側部位との干渉を回避できる大径に形成しても、リング部材により、刈草などの塵埃が多孔盤と自在継手の伝動方向下手側部位との隙間からエンジンルーム内に流入することを阻止することができる。
従って、多孔盤に自在継手の伝動方向下手側部位が干渉することに起因した異音の発生や多孔盤の破損などを防止しながら、刈草などの塵埃がエンジンルーム内に流入し、エンジンの周囲などに付着堆積してエンジンルーム内での外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することができる。
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
前記リング部材を、前記多孔盤または前記フランジに嵌合装着してあることを特徴とする。
この特徴構成によると、長期の使用などによりリング部材が劣化した場合のリング部材の交換を容易に行える。
従って、メンテナンス性の向上を図ることができる。
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の発明において、
前記リング部材における前記多孔盤または前記フランジとの接合部をリップ状に形成してあることを特徴とする。
この特徴構成によると、リング部材および多孔盤またはフランジの精度や組み付け精度などにかかわらず、リング部材の接合部と多孔盤またはフランジとの密着性を高めることができる。これにより、刈草などの塵埃が多孔盤と自在継手の伝動方向下手側部位との隙間からエンジンルーム内に流入することをより確実に阻止することができる。
従って、刈草などの塵埃がエンジンルーム内に流入し、エンジンの周囲などに付着堆積してエンジンルーム内での外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することができる。
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、
前記出力軸を中心にして前記多孔盤と一体回転するカッターを装備してあることを特徴とする。
この特徴構成によると、刈草が外気とともに多孔盤の各孔からエンジンルーム内に流入するような場合には、その刈草をカッターで細断することができる。これにより、長い刈草が多孔盤の各孔からエンジンルーム内に流入してエンジンなどに引っ掛かることを防止することができ、その引っ掛かった刈草を基点にして刈草などの塵埃が堆積する虞を回避することができる。
従って、刈草などの塵埃がエンジンルーム内で付着堆積して外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例として、本発明に係る乗用草刈機の除塵構造を、乗用草刈機の一例であるゼロターンモーアに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はゼロターンモーアの全体側面図である。この図に示すように、ゼロターンモーアは、乗用型の走行車体1における左右一対の前輪2と左右一対の後輪3との間にモーア4を配備してミッドマウント形式に構成してある。
走行車体1は、左右の前輪2を縦向きの軸心周りに向き変更可能に支持し、かつ、リンク機構5を介してモーア4を昇降可能に吊り下げ支持する前部フレーム6を備え、その前部フレーム6の後端部に後部フレーム7を連結してある。左右の前輪2はキャスター輪であり、左右の後輪3は駆動輪である。
前部フレーム6には、その略全体を上方から覆うように搭乗ステップ8を敷設してある。前部フレーム6の前部中央には、非制動位置に復帰付勢したブレーキペダル9と、その付勢に抗したブレーキペダル9の制動位置での係合保持を可能にするロックペダル10とを配備してある。搭乗ステップ8の後上方には、運転座席11を位置調節可能に装備してある。運転座席11の左右両側方には、十字揺動式で中立復帰型の変速レバー12を配備してある。運転座席11の後方には、アーチ状の保護フレーム13を立設してある。つまり、このゼロターンモーアにおいては、走行車体1の前半側に搭乗運転部14を形成してある。
リンク機構5は、走行車体1の前後中間部に配備した単動型の油圧シリンダ15の作動でモーア4を平行に昇降変位させる油圧昇降式に構成してある。
図1および図2に示すように、後部フレーム7は、左右一対のサイドメンバ16に載置台17やクロスメンバ18などを連結して構成してある。載置台17は、底壁17Aと前壁17Bとを備える側面視略L字状に屈曲形成してある。載置台17には、その前壁17Bから上方に向けて延出する仕切壁19を連結してある。後部フレーム7の後端部には、複数の排気孔20Aを形成した後部カバー20を連結してある。後部カバー20には、後壁21Aに複数の排気孔21Bを形成した上部カバー21を、後部カバー20の後端上部を支点にした開閉揺動操作が可能となるように連結してある。そして、載置台17の底壁17Aに、空冷式のエンジン22を、その出力軸22Aが車体の前方側に向けて延出する姿勢で搭載してある。つまり、このゼロターンモーアにおいては、後部フレーム7に仕切壁19と後部カバー20と上部カバー21とを備えてエンジンルーム23を形成してある。
エンジン22の出力軸22Aは、エンジンルーム外となるエンジン22の前下方に配置した伝動装置(変速装置の一例)24の入力軸24Aに自在継手25を介して伝動可能に連結してある。伝動装置24は、エンジン22からの動力を減速伝動し、減速後の動力を走行用と作業用とに分けて出力する。伝動装置24の左右両側部には、伝動装置24からの走行用の動力を変速する静油圧式の無段変速装置(以下、HSTと略称する)26を連結してある。左右の各HST26の横外側部には、各HST26による変速後の動力を対応する後輪3に減速伝動する減速装置27を連結してある。左右の各HST26は、対応する変速レバー12の前後方向への揺動操作に基づいて変速作動するように、その変速操作軸を対応する変速レバー12に連係してある。つまり、このゼロターンモーアにおいては、左右の変速レバー12を前後方向に揺動操作することにより、各変速レバー12に対応するHST26を変速作動させることができ、左右の後輪3を独立して変速駆動させることができる。
そして、この構成により、このゼロターンモーアにおいては、左右の変速レバー12を中立位置に位置させて左右の後輪3を停止させる停止状態、左右の変速レバー12を中立位置から同じ方向の同じ操作位置に位置させて左右の後輪3を等速で正転駆動または逆転駆動させる直進状態、左右の変速レバー12を中立位置から同じ方向の異なる操作位置に位置させて左右の後輪3を異なる速度で正転駆動または逆転駆動させる緩旋回状態、左右一方の変速レバー12を中立位置に位置させた状態で他方の変速レバー12を中立位置から揺動変位させて、左右一方の後輪3を停止させた状態で他方の後輪3を正転駆動または逆転駆動させるピボット旋回状態、および、左右の変速レバー12を中立位置から異なる方向に揺動変位させて左右一方の後輪3を正転駆動させながら他方の後輪3を逆転駆動させるスピン旋回状態、のそれぞれを任意に現出することができる。
伝動装置24の前下部には、モーア4への作業用の動力の取り出しを可能にするPTO軸24Bを装備してある。PTO軸24Bは、伸縮可能に構成した伝動軸28や、伝動軸28の両端部に備えた自在継手29を介して、伝動装置24からの作業用の動力をモーア4に伝達する。つまり、モーア4には、走行速度や走行状態にかかわらず定速動力を伝達するように構成してある。
図2〜6に示すように、エンジン22の前部には、エンジン22の出力軸22Aと自在継手25を介して一体回転するエンジン用の冷却ファン30と、冷却ファン30を前方から覆う導風カバー31とを装備してある。自在継手25は、エンジン22の出力軸22Aに連結する第1連結軸25Aと、中間軸25Bと、伝動装置24の入力軸24Aにスプライン嵌合する第2連結軸25Cとを屈曲自在に連結して構成してある。
エンジン22と伝動装置24とを隔てる隔壁として機能する載置台17の前壁17Bと導風カバー31には、自在継手25が挿通されるとともに、冷却ファン30の回転による伝動装置側からエンジンルーム内への外気の取り入れを可能にする正面視円形の開口17C,31Aを形成してある。導風カバー31は、開口31Aから取り入れた外気をエンジン22の周囲に導くように形成してある。また、外気の一部は、エンジン22の周囲からエンジン22の上方に位置するマフラ32に向けて流動する。エンジン22やマフラ32などを冷却した外気は、後部カバー20の排気孔20Aや上部カバー21の排気孔21Bなどから車外に流出する。
図2および図7に示すように、マフラ32は、その一端側に接続管32Aと排気管32Bとを備え、エンジンルーム23の内部において、その一端側が車体後側に位置する前後向き姿勢に姿勢設定して、その接続管32Aに排気マニホールド33を接続することにより、エンジンルーム内の車体中心側に位置するように配置してある。これにより、マフラ32をエンジンルーム内の車体後部側に配置する場合に比較して、車体の小旋回性を向上させることができる。
マフラ32の前端部には、その前端部をエンジン22のシリンダヘッド22Bにステー34を介して支持させるブラケット32Cを一体装備してある。これにより、接続管32Aとステー34により、マフラ32の前後両端をエンジン22に連結支持させることができ、マフラ32の一端部に備えた接続管32Aのみでマフラ32をエンジン22に連結支持させる場合に比較して、エンジン22の振動との位相差を低減することができ、マフラ32の振動を抑制することができる。その結果、エンジン22の振動によるマフラ32や排気マニホールド33などの耐久性の低下を抑制することができる。
ステー34は、マフラ32の前端部およびエンジン22のシリンダヘッド22Bに着脱可能にボルト連結してある。これにより、ステー34を溶接する場合に比較して、組み立てによる応力の発生を低減することができる。
図2および図3に示すように、後部フレーム7の前下部には、左右のサイドメンバ16の間において、その後部側に位置する載置台17と、その前部側に位置する伝動装置24および左右のHST26との間に形成した空間35を下方から塞ぐ防塵板36を装備してある。これにより、冷却ファン30の吸引作用により、刈草などの塵埃の含有量が多い車体下部側の外気がエンジン冷却用としてエンジンルーム内に流入することを阻止しながら、刈草などの塵埃の含有量が少ない車体上方側の外気をエンジン冷却用としてエンジンルーム内に流入させることができる。その結果、エンジン22の冷却に伴って、刈草などの塵埃がエンジンルーム内に流入し、エンジン22の周囲や後部カバー20の内面などに付着堆積して外気の流動を阻害することに起因したオーバーヒートの発生を抑制することができる。また、エンジン22の周囲などから刈草などの塵埃を取り除く清掃作業に要する労力を大幅に軽減することができる。
図1〜3に示すように、上部カバー21の前端部には、外気取り入れ用の外気導入経路38を仕切壁19との間に形成する防塵カバー39を一体装備してある。防塵カバー39には、外気導入経路38に導かれる車体上方側の外気から刈草などの塵埃を取り除く複数の多孔盤39Aを備えてある。これにより、より清浄な外気をエンジン冷却用として外気導入経路38に導き入れることができる。
なお、図示は省略するが、上部カバー21とは別体の防塵カバー39を後部フレーム7に着脱可能に立設してもよい。
図2および図3に示すように、防塵板36には、その底部に形成した開口36Aを開閉する開閉蓋40を装備してある。開閉蓋40は、防塵板36の前端下部に備えた左右向きの支軸41を支点にして上下方向に開閉揺動する。支軸41には、開閉蓋40を閉じ付勢する捻りバネ42を外嵌してある。これにより、車体の後方から開閉蓋40に向けて手を差し入れて、捻りバネ42の付勢に抗して開閉蓋40を開き操作することにより、開閉蓋40の内面に堆積した刈草などの塵埃を車外に放出することができる。
開閉蓋40の揺動支点側には、開閉蓋40に対する左外方からのボルト43の着脱を可能にする螺合部40Aを、開閉蓋40の上側に位置するように備えてある。これにより、開閉蓋40を開き操作した状態でボルト43を螺合部40Aに螺合すると、そのボルト43が捻りバネ42の付勢で防塵板36に接当することにより、開閉蓋40を開いた状態で保持することができる。その結果、開閉蓋40の内面に付着あるいは防塵板36の内部に付着堆積した刈草などの塵埃を容易に取り除くことができる。
なお、図示は省略するが、開閉蓋40の揺動支点側に、開閉蓋40に対する左外方からのピンの着脱を可能にする挿通部を、開閉蓋40の上側に位置するように備え、開閉蓋40を開き操作した状態で挿通部に挿通したピンが、捻りバネ42の付勢で防塵板36に接当することにより、開閉蓋40を開いた状態で保持できるように構成してもよい。
また、防塵板36における開閉蓋40の揺動支点側に、螺合部40Aまたは挿通部を、防塵板36の下側に位置するように備え、開閉蓋40を開き操作した状態で螺合部40Aまたは挿通部に挿通したボルト43またはピンが、捻りバネ42の付勢で開閉蓋40に接当することにより、開閉蓋40を開いた状態で保持できるように構成してもよい。
図2〜5に示すように、自在継手25の第2連結軸25Cには、第2連結軸25Cと一体回転する変速装置用の冷却ファン44を装備してある。冷却ファン44は、その回転により、伝動装置24および左右のHST26よりも車体前側の外気を吸引して、伝動装置24および左右のHST26の周囲に流動させることにより、伝動装置24および左右のHST26を冷却する。
載置台17の前壁17Bと変速装置用の冷却ファン44との間には、油圧シリンダ15、伝動装置24、左右のHST26、および、伝動装置24の内部に備えた作業用動力断続用の油圧クラッチ(図示せず)、などに循環供給するオイルを冷却するオイルクーラ45を配備してある。オイルクーラ45は、載置台17の前壁17Bと変速装置用の冷却ファン44との間から外気導入経路38にわたるとともに、その下部側が自在継手25を跨ぐように形成してある。これにより、オイルクーラ45の上部側には、外気導入経路38を流動するエンジン冷却用の外気を供給することができ、オイルクーラ45の下部側には変速装置用の外気を供給することができる。
図2〜6に示すように、自在継手25の第1連結軸25Aには、冷却ファン30とともにエンジン22の出力軸22Aを中心にして出力軸22Aと一体回転することにより、載置台17の開口17Cからエンジンルーム内への刈草などの塵埃の流入を防止する金属製の多孔盤46を、4本のボルト47などを介して連結してある。
多孔盤46は、その中心側ほど車体前側に向けて膨出する皿状で正面視円形に形成した金属製の多孔板からなり、その外周縁46Aが、前壁17Bから車体前側に向けて延出する開口縁17Dを囲むように、開口縁17Dの外径よりも大径に形成してある。多孔盤46の中心部には、自在継手25の伝動方向下手側部位となる中間軸25Bが挿通される挿通孔46Bを形成してある。挿通孔46Bは、多孔盤46と中間軸25Bとの間に、それらの干渉を回避することのできる隙間を確保できるように、中間軸25Bの軸径よりも大径に形成してある。
中間軸25Bにおける挿通孔46Bとの近接箇所には、車体前後方向視において中間軸25Bと多孔盤46との間に形成した隙間48を塞ぐフランジ25Dを形成してある。フランジ25Dには、弾性変形可能なゴム製のリング部材49を着脱可能に外嵌装着してある。リング部材49は、挿通孔46Bを囲むようにして多孔盤46の背面に密着するリップ状の接合部49Aを形成してある。
この構成により、多孔盤46の挿通孔46Bを、部品の精度や組み付け精度、あるいは、エンジン22の振動などによる自在継手25の屈曲変形、などに起因した多孔盤46と中間軸25Bとの干渉を回避できる大径に形成しながらも、刈草などの塵埃が、中間軸25Bと多孔盤46との隙間48からエンジンルーム内に流入することを確実に阻止することができる。その結果、多孔盤46に中間軸25Bが干渉することに起因した異音の発生や多孔盤46の破損などを防止しながら、刈草などの塵埃がエンジンルーム内に流入し、エンジン22の周囲や後部カバー20の内面などに付着堆積して外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することができる。また、エンジン22の周囲などから刈草などの塵埃を取り除く清掃作業に要する労力をさらに軽減することができる。
自在継手25の第1連結軸25Aには、冷却ファン30および多孔盤46とともにエンジン22の出力軸22Aを中心にして出力軸22Aと一体回転することにより、多孔盤46の各通気孔46Cに入り込んだ刈草を切断するカッター50を、多孔盤46とともに4本のボルト47などを介して連結してある。これにより、外気とともに多孔盤46の各通気孔46Cからエンジンルーム内に入り込む刈草をカッター50で細断することができ、エンジン22などに対する刈草の引っ掛かりを防止することができ、その引っ掛かった刈草を基点にして刈草などの塵埃が堆積する虞を回避することができる。その結果、刈草などの塵埃がエンジンルーム内で付着堆積して外気の流動を阻害することに起因してオーバーヒートが発生する虞をより効果的に抑制することができるとともに、エンジンルーム内に付着堆積した刈草などの塵埃を取り除く清掃作業に要する労力をさらに軽減することができる。
カッター50は、4枚の刈刃51と、それらにわたるステー52により構成してある。各刈刃51は、防塵盤46の内面に沿うように形成してある。
図1および図8に示すように、運転座席11の右側方には、作業用動力断続用の油圧クラッチに操作連係したクラッチレバー53を配備してある。クラッチレバー53は、後部フレーム7に前後揺動可能に装備した帯鋼製のレバー本体54に樹脂製のグリップ55を装備して構成してある。レバー本体54の遊端部にはグリップ用の取付孔54Aを形成してある。グリップ55は、左右に分割可能な二分割構造で、その右側部材56に形成した係合ピン56Aを、レバー本体54の取付孔54Aに挿通するとともに、左側部材57に形成した係合孔57Aに挿通係合し、かつ、右側部材56に形成した3つの被係合部56Bに、それらに対応するように左側部材57に形成した3つの係合爪57Bを係合することにより、レバー本体54の遊端部に外嵌装備することができるように構成してある。
つまり、このクラッチレバー53では、レバー本体54の取付孔54Aと右側部材56の係合ピン56Aと左側部材57の係合孔57Aにより、グリップ55をレバー本体54に抜け止めする抜止部53Aを構成してある。なお、この構成を変速レバー12などの他の操作レバーに採用してもよい。
〔別実施形態〕
〔1〕本発明を適用する乗用草刈機としては、走行車体1の後部にエンジン22を搭載し、左右の前輪2の前方にモーア4を配備したフロントモーアであってもよく、また、走行車体1の前部にエンジン22を搭載し、左右の前輪2と左右の後輪3との間にモーア4を配備したミッドマウントモーアであってもよい。
〔2〕乗用草刈機としては水冷式のエンジン22を搭載したものであってもよく、また、エンジン22を防振搭載するように構成したものであってもよい。
〔3〕変速装置24としては、無段階の変速操作が可能な静油圧式や遊星式のもの、あるいは、有段階の変速操作が可能なギヤ式のもの、などであってもよい。
〔4〕自在継手25としては、中間軸25Bを伸縮可能に構成したものであってもよい。
〔5〕隔壁17Bとしては独立形成したものであってもよい。
〔6〕多孔盤46としては、その中心側ほど車体前側に向けて膨出する椀状で正面視円形に形成した多孔板で構成したものであってもよく、車体前側に向けて膨出しない円盤状の多孔板で構成したものであってもよく、フレームに除塵網を装備して皿状や椀状などに形成したものであってもよい。
〔7〕自在継手25の第2連結部25Cを多孔盤46の挿通孔46Bに挿通し、第2連結部25Cにフランジ25Dを形成し、そのフランジ25Dに、挿通孔46Bを囲むようにして多孔盤46に接合するリング部材49を外嵌装着するように構成してもよい。
〔8〕第2連結部25Cのフランジ25Dとしては、車体前後方向視において中間軸25Bと多孔盤46との間に形成した隙間48を塞がないものであってもよい。
〔9〕リング部材49を、多孔盤46の挿通孔46Bに、挿通孔46Bを囲むようにして自在継手25のフランジ25Dに接合するように内嵌装着してもよい。
〔10〕リング部材49としてゴム以外の樹脂で形成したものを採用してもよい。
〔11〕リング部材49を、多孔盤46またはフランジ25Dに係合連結するようにしてもよく、接着剤などで固定するようにしてもよい。
〔12〕リング部材49としては、多孔盤46またはフランジ25Dに対する接合部49Aをリップ状に形成していないものであってもよい。
〔13〕カッター50における刈刃51の枚数や形状などは種々の変更が可能である。
〔14〕カッター50を装備しない構成を採用してもよい。
〔15〕多孔盤46における各通気孔46Cの周縁を刃先として機能するように形成して、多孔盤46をカッターに兼用してもよい。
ゼロターンモーアの全体側面図 冷却構造を示す要部の縦断側面図 除塵構造を示す要部の縦断側面図 リング部材による防塵構造を示す要部の縦断側面図 多孔盤の取り付け構造およびリング部材による防塵構造を示す要部の縦断側面図 リング部材による防塵構造を示す要部の縦断正面図 マフラの支持構造を示す要部の分解斜視図 クラッチレバーの構成を示す要部の分解斜視図
符号の説明
17B 隔壁
17C 開口
22 エンジン
22A 出力軸
23 エンジンルーム
24 変速装置
24A 入力軸
25 自在継手
25B 伝動方向下手側部位
25C 伝動方向下手側部位
25D フランジ
46 多孔盤
46B 挿通孔
49 リング部材
49A 接合部
50 カッター

Claims (4)

  1. エンジンの出力軸を、エンジンルームの外部に配置した変速装置の入力軸に自在継手を介して伝動可能に連結し、
    前記エンジンと前記変速装置との間に立設した隔壁に、前記自在継手が挿通されるとともに、変速装置側からエンジンルーム内への外気の取り入れを可能にする開口を形成し、
    前記出力軸を中心にして前記出力軸と一体回転することにより、前記開口からエンジンルーム内への刈草の流入を防止する多孔盤を装備し、
    前記多孔盤の中心部に、前記自在継手の伝動方向下手側部位が挿通される挿通孔を形成してある乗用草刈機の除塵構造であって、
    前記自在継手の伝動方向下手側部位における前記挿通孔との近接箇所にフランジを形成し、
    前記多孔盤と前記フランジのいずれか一方に、それらの他方に前記挿通孔を囲むようにして接合する樹脂製のリング部材を装着してあることを特徴とする乗用草刈機の除塵構造。
  2. 前記リング部材を、前記多孔盤または前記フランジに嵌合装着してあることを特徴とする請求項1に記載の乗用草刈機の除塵構造。
  3. 前記リング部材における前記多孔盤または前記フランジとの接合部をリップ状に形成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の乗用草刈機の除塵構造。
  4. 前記出力軸を中心にして前記多孔盤と一体回転するカッターを装備してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の乗用草刈機の除塵構造。
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