JP4585172B2 - 骨形成促進剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨芽細胞の増殖を促進し、骨強化を目的とした治療及び/又は予防に効果を有する骨形成促進剤に関するものであり、更に詳しくは、棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格、並びにα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質を有効成分として含有する医薬用の骨形成促進剤に関するものである。本発明において、骨形成促進剤とは、医薬組成物としての骨形成促進剤を意味する。本発明は、新規骨形成促進剤を提供するものであり、上記成分を含有してなる飲食品組成物又は飼料組成物を提供することを可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
高齢化に伴い、骨粗鬆症、骨折、腰痛などの骨疾患が増加している。骨組織には、骨芽細胞と破骨細胞が存在しており、それぞれ骨形成と骨吸収を担い、いわば逆の働きをしている。骨代謝異常により引き起こされる疾患としては、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、骨ページェット病、及び変形性関節炎等が知られており、これらの骨疾患に起因した寝たきり老人が増加していく問題は、高齢化社会が進む中で、避けては通れない解決すべき課題となってきている。骨代謝異常により起こる骨量減少症については、骨形成の促進、又は骨吸収の抑制等によって改善される。前記骨形成の促進は、即ち、骨芽細胞の増殖・分化の促進である。また、骨吸収の抑制は、破骨細胞前駆細胞の増殖・分化の抑制、及び成熟破骨細胞の機能抑制等により達成することが可能である。このような骨形成の促進、又は骨吸収の抑制等の活性を有する蛋白質やその他の化合物等の開発が、現在、多方面に渡って進められている。
【0003】
骨芽細胞とは、間葉系幹細胞由来の単核細胞であり、前骨芽細胞、骨芽細胞、そして骨基質中に包埋された骨細胞や骨表面を覆う休止状態にある骨内膜細胞へと分化する。増殖・分化した骨芽細胞は骨基質(類骨)を産生し骨吸収窩を埋める。更に、骨芽細胞の調節のもとで、類骨は成熟、石灰化し骨となる。前骨芽細胞や骨芽細胞は、このような骨基質の産生のみならず、インスリン様成長因子(IGF−1、IGF−2)、β2−ミクログロブリン、骨誘導タンパク(BMP)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、インターロイキン−1(IL−1)、腫瘍壊死因子(TNF−α)、プロスタグランジンE2 (PGE2 )などの様々な局所因子を分泌し、オートクリン/パラクリン機構で、骨形成を制御しているものと考えられる。更に、骨芽細胞は、副甲状腺ホルモン(PTH)、上皮細胞増殖因子(EGF)、活性型ビタミン[1α,25(OH)2 D3 ]、エストロゲン、TNF−α、PGE2 、IL−1などの受容体を有することから、これらを介して骨芽細胞自身の増殖・分化の制御や破骨細胞の分化・活性化の制御を行っているものと考えられる。
【0004】
現在、骨疾患の治療には、ビスフォスフォネート化合物、カルシトニン製剤、活性型ビタミンD3 製剤、エストラジオール含有のホルモン製剤、ビタミンK2等の医薬品が一般に使用されている。また、副作用の少ない優れた治療薬をめざして、活性型ビタミンD3 誘導体、エストラジオール誘導体、第3世代ビスフォスフォネート系化合物等の開発が行われている。しかし、前記薬剤を用いた骨疾患の治療法は必ずしも満足できるものではなく、また、副作用の面から使用対象が限定されるものもある。更に、骨代謝疾患の治療には、多剤併用療法が主流になってきていることから、従来の医薬品とは異なった作用メカニズムをもつ新規な医薬品の開発が期待されている。
【0005】
スフィンゴ脂質は細胞の重要な膜成分として、自然界に広く存在しており、その大部分がスフィンゴ糖脂質や、スフィンゴリン脂質として存在している。スフィンゴ脂質は、細胞の増殖・分化における調節作用(非特許文献1)、アポトーシス誘発(非特許文献2)等、生命現象において重要な役割を果たしていることが知られており、これらの現象にはサイトカインであるTNF(非特許文献3)、IL−1(非特許文献4)、及びFasリガンド(非特許文献5)が関与していることが明らかになっている。また、スフィンゴ脂質は、EGFレセプターの活性化調節(非特許文献6)、カルシウムイオンの細胞内の流動化(非特許文献7)、及びプロテインキナーゼCの活性抑制・活性化等に関与していることも知られている。
スフィンゴ糖脂質には、長鎖塩基と脂肪酸よりなるセラミドをアグリコンとし、このアグリコンの部分に、ガラクトースやグルコース等の単糖が結合したセレブロシド、乳糖が結合したラクトシルセラミド、糖(単糖又はオリゴ糖)と硫酸基が結合したスルファチド、オリゴ糖とシアル酸等が結合したガングリオシドなどが含まれる(非特許文献8)。その中でも、シアル酸を含むガングリオシドは、細胞間の相互認識(非特許文献9)、接着(非特許文献10)、増殖(非特許文献11)、又は分化誘導(非特許文献12)等、生体内での様々な重要な現象に関与していると言われている。また、この化合物は、虚血障害やパーキンソン病による脳障害の治療(非特許文献13)にも用いられている。
【0006】
海洋無脊椎動物である棘皮動物門に属する生物(例えば、ヒトデ類、クモヒトデ類、ウニ類、ナマコ類、ウミユリ類等)由来のスフィンゴ糖脂質の主要骨格は、ほとんどα−オキシ脂肪酸と、スフィンゴシン型長鎖塩基又はフィトスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されたセラミド部(アグリコン部)を有し、α位がオキシ化されていない脂肪酸(無置換脂肪酸)とスフィンゴシン型長鎖塩基から構成される哺乳類由来のスフィンゴ糖脂質とは構造的に異っている(非特許文献8、非特許文献14)。フィトスフィンゴシン骨格は、スフィンゴシン骨格中の4位と5位の二重結合部分が4位に水酸基、5位に水素がそれぞれ飽和された構造を取っており、この構造上の違いから、異なる作用を持つことが期待されている。
【0007】
前記棘皮動物由来のスフィンゴ糖脂質の中でも、ウミユリ類(とりわけ、ウミシダ類)から得られる糖脂質は、基本構造にイノシトールホスホセラミドを含むスフィンゴリン糖脂質である。このイノシトールホスホセラミドは、植物や前口動物から見出されているが、後口動物からは、この棘皮動物由来のものでしか発見されていない。セラミド部もこれまでの棘皮動物スフィンゴ糖脂質とは異なり、無置換脂肪酸とスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されることから、ウミシダ類のスフィンゴ糖脂質は他の棘皮動物のものとは相当異なったものと位置付けられている。フィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドを用いた技術としては、化粧品組成物(特許文献1)や、皮膚疾患に対する外用薬(特許文献2)等が開示されている。また、牛脳及び牛乳中由来のセラミド、スフィンゴミエリン、スフィンゴ糖脂質、ガングリオシドなどのスフィンゴシン骨格を有する化合物を有効成分とし、更に、カルシウム剤、ビタミンD及びビタミンKから選ばれる1種類以上の物質を加えた骨関節疾患の予防及び改善剤が開示されている(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−502961号公報
【特許文献2】
特開2001−39859号公報
【特許文献3】
特開2001−158736号公報
【非特許文献1】
フェブス・レター(FEBS Lett.)、第524巻、第103〜106ページ、2002年
【非特許文献2】
フェブス・レター(FEBS Lett.)、第526巻、第15〜20ページ、2002年
【非特許文献3】
イー・エム・ビー・オー ジャーナル(EMBO J. )、第19巻、第13号、第3304〜3313ページ、2000年
【非特許文献4】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第275巻、第45号、第35617〜35623ページ、2000年
【非特許文献5】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第276巻、第26号、第23954〜23961ページ、2001年
【非特許文献6】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第277巻、第12号、第10108〜10113ページ、2002年
【非特許文献7】
プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第98巻、第1号、第307〜312ページ、2001年
【非特許文献8】
伏谷伸宏・廣田洋監著、「天然有機化合物の構造解析」、シュプリンガー・フェアラーク東京、第81〜140ページ、1994年
【非特許文献9】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第264巻、第20159〜20162ページ、1989年
【非特許文献10】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第266巻、第17552〜17558ページ、1991年
【非特許文献11】
ブレイン・リサーチ(Brain Res.)、第284巻、第215〜221ページ、1983年
【非特許文献12】
プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第76巻、第3367〜3371ページ、1979年
【非特許文献13】
ニューロロジー(Neurology )、第50巻、第1630〜1636ページ、1998年
【非特許文献14】
ファルマシア、第38巻、第9号、第851〜855ページ、2002年
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
骨代謝疾患の一つである骨粗鬆症の治療には様々な薬剤が使用されているが、治療薬剤を選択するにあたっては患者の骨代謝状態を把握することが必要であり、骨代謝回転が高代謝回転型であるか、それとも低代謝回転型であるかによって適応する薬剤が決定される。高代謝回転型では破骨細胞による骨吸収の効果を阻害する骨吸収抑制剤が使用され、低代謝回転型では骨芽細胞を増加させる骨形成促進剤が使用される(松本俊夫編、「分子骨代謝学と骨粗鬆症」、メジカルビュー社、第293〜295ページ、1996年:これらを従来技術1と略記することがある。)。前記特許文献3に記載されたスフィンゴシン骨格を有する化合物は、哺乳動物固有の化合物であって、破骨細胞による骨吸収を阻害することによる、骨密度の増加を促す効果を発揮する骨吸収抑制剤であった。
【0010】
しかしながら、他の先行技術文献には、破骨細胞と骨芽細胞は互いに局所因子を分泌し、それぞれの分化や活性化に影響を及ぼしていることから、骨吸収抑制剤による破骨細胞活性化は、骨芽細胞の不活性化を引き起こし、骨代謝回転を鈍化させる可能性が高いと考えられる旨の記載がある(特開平10−29950号公報、第2欄、第18行:これらを従来技術2と略記することがある。)ことからも明らかなように、当該技術分野では、骨粗鬆症やその他の骨代謝疾患に有用な新規な骨形成促進剤の開発が待望されていた。
【0011】
本発明者等は、珊瑚を食餌とし、漁場の生態系を破壊することが懸念され、大量に捕獲されて廃棄されている、棘皮動物門に属するヒトデなどの有効利用法を検討する中で、これらから抽出精製される、α−オキシ脂肪酸、及びスフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、並びにスフィンゴリン糖脂質に骨芽細胞の増殖を促進する効果が有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、骨粗鬆症やその他の骨代謝疾患の治療及び/又は予防に有用な新規な医薬用の骨形成促進剤を提供することを目的とするものである。
他方、本発明は、水産業の現場において環境上の重大な社会問題として捉えられ、日本の沿岸域で大量に捕獲されるにもかかわらず未だ有効な利用方法が見出されていない棘皮動物を利用し、骨形成促進効果を有する上記成分を添加した飲食品組成物及び飼料組成物を製造することによって、環境問題を解決するだけでなく、水産業の発展に寄与する技術を提供することも可能とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の態様は、棘皮動物門に属する生物から精製された化合物である、α−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有する化4で表されるセラミド、及び化6で表されるセレブロシドより選択される1種又は複数種の混合物を有効成分とする医薬用の骨形成促進剤である。但し、R 2 −Cer1は、化1で表される構造式を示すものである。また、本発明は、該骨形成促進剤が、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、骨ページェット病、又は変形性関節炎の予防・治療剤であることも望ましい態様としている。
【0013】
前記課題を解決する本発明の第二の態様は、棘皮動物門に属する生物から精製された化合物である、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有する化5で表されるセラミド、化7で表されるセレブロシド、化10で表されるスルファチド、及び化11〜14で表されるガングリオシドの群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分とする医薬用の骨形成促進剤である。但し、R 2 −Cer2は、化2で表される構造式を示すものである。また、本発明は、該骨形成促進剤が、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、骨ページェット病、又は変形性関節炎の予防・治療剤であることも望ましい態様としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本発明の骨形成促進剤は、骨芽細胞の増殖を促進することによって、骨代謝疾患の治療のような骨強化を目的とした治療及び/又は予防に利用することが可能であり、骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、骨ページェット病、及び変形性関節炎等の治療薬剤として有用であると考えられる。従って、本発明の骨形成促進剤による骨芽細胞増殖促進効果は、前記特許文献3に記載された破骨細胞による骨吸収を抑制する効果に対して、骨代謝における正反対の関係に位置する作用効果であって、特許文献3に開示された技術からは予期することができない格別のものである。
【0016】
本発明の骨形成促進剤の有効成分は、棘皮動物門に属する生物から精製される。ここで、棘皮動物門に属する生物としては、分類上、具体的には、海星〔ヒトデ〕綱(例えば、ホシヒトデ、アオヒトデ、ヤツデスナヒトデ、オニヒトデ、ムラサキヒトデ等)、蛇尾〔クモヒトデ〕綱(例えば、スナクモヒトデ、ニホンクモヒトデ等)、海胆〔ウニ〕綱(例えば、ムラサキウニ、バフンウニ等)、海鼠〔ナマコ〕綱(例えば、クロナマコ、シロナマコ等)、及び海百合〔ウミユリ〕綱(例えば、トリノアシ、ニッポンウミシダ、コアシウミシダ、オオウミシダ等)が例示される。
【0017】
一般的に、スフィンゴ糖脂質とは、図1に示すように、スフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有する長鎖塩基と脂肪酸よりなるセラミドをアグリコンとし、このアグリコン部に、ガラクトースやグルコース等の中性単糖が結合したものをセレブロシド、乳糖が結合したものをラクトシルセラミド、単糖又はオリゴ糖と硫酸基が結合したものをスルファチド、及び中性糖とアミノ糖(含まれない場合もある)とシアル酸が結合したものをガングリオシド、等として分類している。尚、海洋無脊椎動物である棘皮動物門に属する生物由来のスフィンゴ糖脂質では、図1に示す脂肪酸部のα位がオキシ化されている化合物が存在する。
【0018】
本発明の骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質としては、具体的には、分子内の脂肪酸のα位がオキシ化されたスフィンゴシン骨格を有する、セラミド、セレブロシド、ラクトシルセラミド、スルファチド、及びガングリオシド等、若しくは、分子内の脂肪酸のα位がオキシ化されフィトスフィンゴシン骨格(即ち、スフィンゴシン骨格中の4位と5位の二重結合部分の4位に水酸基が、5位に水素がそれぞれ飽和された構造)を有する、セラミド、セレブロシド、ラクトシルセラミド、スルファチド、及びガングリオシド等、が例示される。α−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するセラミドの基本構造(R2−Cer1)を化1、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドの基本構造(R2−Cer2)を化2にそれぞれ示す。また、参考例の骨形成促進剤の有効成分には、基本構造にイノシトールホスホセラミドを含有するスフィンゴ糖脂質であるスフィンゴリン糖脂質も含まれ、スフィンゴリン糖脂質として、具体的には、イノシトールホスフォセラミド又はこれにシアル酸等が結合したシアロシルイノシトールホスフォセラミドが例示される。イノシトールホスフォセラミドの基本構造(R3−Phospho−Cer)を化3に示す。尚、本明細書において、特段の分類や説明がなされる場合を除いて、前記のα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、及びスフィンゴリン糖脂質を総称して、スフィンゴ糖脂質と記載する。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
ここで、「有効成分」とは、本発明の骨形成促進剤において、哺乳動物等の骨芽細胞を増殖する効果を有する成分を意味し、前記スフィンゴ糖脂質が本発明の骨形成促進剤の主成分である必要は無い。また、本発明の骨形成促進剤にはスフィンゴ糖脂質以外に骨芽細胞増殖効果又は骨形成促進効果を有する成分が含まれていても良い。本発明の骨形成促進剤の有効成分は、棘皮動物から抽出精製して製造することが可能であり、該成分としては、例えば、棘皮動物を抽出原料として得られる抽出物、該抽出物の希釈液又は濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、若しくはこれらの粗精製物又は精製物等が用いられる。棘皮動物としては、具体的に、海星〔ヒトデ〕綱(例えば、ホシヒトデ、アオヒトデ、ヤツデスナヒトデ、オニヒトデ、ムラサキヒトデ等)、蛇尾〔クモヒトデ〕綱(例えば、スナクモヒトデ、ニホンクモヒトデ等)、海胆〔ウニ〕綱(例えば、ムラサキウニ、バフンウニ等)、海鼠〔ナマコ〕綱(例えば、クロナマコ、シロナマコ等)、及び海百合〔ウミユリ〕綱(例えば、トリノアシ、ニッポンウミシダ、コアシウミシダ、オオウミシダ等)等が例示され、これらから前記有効成分を抽出精製することが可能である。
【0023】
本発明の骨形成促進剤の有効成分の製造方法の一例としては、好適には、図2に示すフローチャートに基づいた方法が例示され、その具体内容は、次に記載するとおりである。即ち、棘皮動物をミキサーにてホモジナイズし、次いで、クロロホルムとメタノールの混合液で抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮する。これに水を加えて懸濁した後、酢酸エチルとn−ブタノールの混合液を添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層(α)と水層(β)に分取し、それぞれ別々に抽出操作を続ける。酢酸エチル/n−ブタノール層(α)を、濃縮した後にアセトンを加えて混合し、アセトン可溶性画分とアセトン不溶性画分に分取する。次いで、各々の画分中に含まれる有機溶媒を揮発させてエキスA(アセトン可溶性画分)、エキスB(アセトン不溶性画分)を調製する。先に分取した水層(β)に水飽和n−ブタノールを添加して分配操作を行い、n−ブタノール層(γ)と水層(σ)に分取する。n−ブタノール層(γ)の有機溶媒を揮発させてエキスCとする。また、水層(σ)を濃縮した後に、60%メタノールに溶解する。成分の分離には溶出液であるメタノール溶液の濃度を60〜100%まで段階的に上昇させて溶出させるステップワイズグラジエント法により逆相カラムクロマトグラフィーを行い、100%メタノール溶出画分の有機溶媒を揮発させてエキスDを調製する。調製した各エキスを、それぞれ引き続き順相カラムクロマトグラフィー等による分離工程に供することによって、エキスAからセラミド、エキスBからセレブロシド、エキスCからラクトシルセラミド、及びエキスDからスルファチド、ガングリオシド、又はスフィンゴリン糖脂質、をそれぞれ精製することができる。
【0024】
本発明の骨形成促進剤の抽出精製の際に使用する溶媒は、特に限定されるものではないが、水、有機溶媒又はこれらの混合物を使用することが好ましい。抽出溶媒として使用し得る水には、水に各種処理(例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等)を施したもの、例えば、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。抽出溶媒として使用し得る有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、ヘプタン、ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪属炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ベンゼン、トルエンなどの芳香族化合物、ジエチルエーテル、t−ブチルエーテルなどのエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの低級脂肪族炭化水素化合物等が例示され、中でも、メタノール、n−ブタノール、クロロホルムを使用することが好ましい。尚、製造に使用する原料の棘皮動物の種類や、製造する有効成分(スフィンゴ糖脂質)の種類に応じて、有機溶媒を適宜選択し、濃度を調整することができる。また、数種の有機溶媒を混合して使用することもでき、その混合比等は適宜調整することが可能である。
【0025】
また、本発明の骨形成促進剤の有効成分の製造方法の中で使用される分離方法としては、好適には、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル充填のカラムクロマトグラフィー等を1種又は数種を組合わせて使用する方法が例示される。本発明の骨形成促進剤の有効成分は、前記製造方法によって棘皮動物から得られたものである。本発明の骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の中で、α−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有する化合物、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有する化合物は、それぞれ単独で使用することも、あるいは複数種の化合物を選択して混合物として使用することも可能である。本発明の組成物の形態は特に限定されるものではなく、本発明の骨形成促進剤の形態としては、医薬組成物としての適宜の形態が挙げられる。本発明の組成物は、棘皮動物から抽出精製されるスフィンゴ糖脂質それ自体であっても良いし、スフィンゴ糖脂質以外の成分を含有しても良い。スフィンゴ糖脂質以外の成分は、組成物の形態に応じて適宜選択することができる。
【0026】
医薬組成物は、例えば、スフィンゴ糖脂質を薬学的に許容され得る賦形剤、その他任意の添加剤を用いて製剤化することにより製造することができ、製剤化したスフィンゴ糖脂質は骨形成促進剤として使用することができる。製剤化する場合、製剤中のスフィンゴ糖脂質の含有量は、通常、0.000001〜0.1質量%、好ましくは0.0001〜0.01質量%である。製剤化にあたっては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射用溶剤等の添加剤を使用することが可能である。賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩誘導体;リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体が挙げられる。
【0027】
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;ホウ酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水ケイ酸、ケイ酸水和物等のケイ酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。注射用溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
【0028】
医薬組成物の投与経路としては、例えば、経口投与、経腸投与等の非経口投与が挙げられる。医薬組成物の投与剤形としては、例えば、注射剤、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、坐剤、軟膏、テープ剤等が挙げられる。また、医薬組成物は飲食品、又は飼料等に配合して投与することもできる。投与量及び投与回数は、目的とする作用効果、投与方法、治療期間、年齢、性別、体重等により異なるが、投与量は成人1日当たり、通常、0.001〜1000mg、好ましくは0.1〜100mgの範囲から適宜選択でき、投与回数は1日1回から数回の範囲から適宜選択できる。
【0029】
ここで、参考例として示す飲食品組成物は、例えば、本発明の骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質に、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、カゼイン、ホエー、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、グアガム、ジェランガム、アラビアガム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を配合することにより製造できる。飲食品組成物の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、餃子及びしゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、錠菓等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、調製粉乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;パン類;経腸栄養食;機能性食品等が例示される。尚、飲食品組成物を製造する際に添加する骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の含有量は、0.0001〜0.1質量%の範囲から適宜選択することができる。
【0030】
また、参考例として示す飼料組成物は、例えば、スフィンゴ糖脂質に、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等を配合することにより製造することができる。飼料組成物の形態としては、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が例示される。尚、飼料組成物を製造する際に添加する骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の含有量は、0.0001〜0.1質量%の範囲から適宜選択することができる。本発明の医薬組成物は、単独で使用しても良いが、その他の骨形成促進剤や骨疾患予防・治療剤等と併用しても良い。併用によって、骨形成や骨疾患の予防・治療効果を高めることができる。また、併用する骨形成促進剤や骨疾患予防・治療剤等は、本発明の組成物中に有効成分として含有させても良いし、本発明の組成物中には含有させずに別個の薬剤として組み合わせて製品として良い。
【0031】
次に、本発明の骨形成促進剤の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の製造例及び参考例として示すスフィンゴ糖脂質(スフィンゴリン糖脂質)の製造例を説明する。尚、各スフィンゴ糖脂質の構造は、マススペクトル法(MS)、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)等を利用して決定した。
製造例1
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドの製造)
ヤツデスナヒトデ(学名:Luidia maculata)1kgをミキサーにてホモジナイズし、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:2)の混合液2リットルで抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。該濃縮画分(41.4g)に水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層を分取した。このうち酢酸エチル/n−ブタノール層を濃縮し、この濃縮画分(9.9g)にアセトンを加えて混合し、アセトン可溶性画分を回収した後に有機溶媒を揮発させてエキスA約5.3gを得た。次いで、該エキスAをクロロホルム5mlに溶解して順相カラム(Silica gel 60:メルク社製)に添加し、溶出溶媒にクロロホルム/メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=100:0、98:2、95:5、9:1、85:15、7:3、及び6:4の各混合比)を使用し、メタノール濃度を段階的に上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出した。順相薄層クロマトグラフィーにて既存のセラミドと同様の挙動を示す画分を回収し、該画分について、更に、順相カラムに添加してクロロホルムメタノール混合液(クロロホルム:メタノール=97:3→95:5)で溶出させ、順相薄層クロマトグラフィーにて単一物質の挙動を示すLMCer−1(3mg)及びLMCer−2(4mg)の2種類のセラミドを各々製造した。LMCer−1の構造式を化4、及びLMCer−2の構造式を化5に各々示す。
【0032】
化4
H−Cer1
化5
H−Cer2
【0033】
製造例2
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセレブロシドの製造)
ヤツデスナヒトデ1kgをミキサーにてホモジナイズし、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:2)の混合液2リットルで抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。この濃縮画分に水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層を分取した。酢酸エチル/n−ブタノール層は、濃縮した後にアセトンを加えて混合して、アセトン不溶性画分を回収し、更に、有機溶媒を揮発させてエキスB約4.5gを得た。次いで、該エキスBをクロロホルム/メタノール/水(混合比=9:1:0.05)混合液5mlに溶解し、順相カラム(Silica gel 60 :メルク社製)に添加して、同混合液で溶出した。順相薄層クロマトグラフィーにて既存のセレブロシドと同様の挙動を示す画分について回収し、該画分を逆相カラム(Cosmosil 140 C18−PREP:ナカライ社製)に添加して、100%メタノールにて溶出した。次いで、順相薄層クロマトグラフィーにて既存のセレブロシドと同様の挙動を示す画分を、ゲル濾過カラム(Sephadex LH−20:ファルマシア社製)に添加して、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:1)混合液を溶出液としてカラムクロマトグラフィーを行い、順相薄層クロマトグラフィーにて単一物質の挙動を示すLMC−1(5mg)及びLMC−2(6mg)の2種類のセレブロシドを各々製造した。LMC−1の構造式を化6、及びLMC−2の構造式を化7に各々示す。
【0034】
化6
Glcβ1→1Cer1
(Glc:グルコース)
化7
Glcβ1→1Cer2
(Glc:グルコース)
【0035】
製造例3
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するラクトシルセラミドの製造)
ヤツデスナヒトデ1kgをミキサーにてホモジナイズし、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:2)の混合液2リットルで抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。これに水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層として分取した。ここで、分取した水層に更に水飽和n−ブタノールを添加して分配操作を行い、n−ブタノール層と水層として分取し、このうちn−ブタノール層について有機溶媒を揮発させてエキスCとした。エキスCの乾燥重量は約3.2gであった。次いで、該エキスCをクロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:1)混合液5mlに溶解し、逆相カラム(Cosmosil 140C18−PREP:ナカライ社製)に添加し、同混合液にて溶出した。次いで、順相薄層クロマトグラフィーにて既存のラクトシルセラミドと同様の挙動を示す画分を回収した。該画分を順相カラム(Silica gel 60:メルク社製)に添加し、混合比がクロロホルム:メタノール:水=9:1.5:0.5、8:2:0.2、及び6:4:1の各クロロホルム/メタノール/水混合液を使用して、メタノール濃度を段階的に上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出した。溶出画分のうち、順相薄層クロマトグラフィーにて単一物質の挙動を示すLMCDH−1(1.7mg)及びLMCDH−2(1.4mg)の2種類のラクトシルセラミドを各々製造した。LMCDH−1の構造式を化8、及びLMCDH−2の構造式を化9に各々示す。
【0036】
化8
Galβ1→4Glcβ1→1Cer1
(Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
化9
Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0037】
製造例4
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
ヤツデスナヒトデ1kgをミキサーにてホモジナイズし、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:2)の混合液2リットルで抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。これに水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層として分取した。ここで、分取した水層に更に水飽和n−ブタノールを添加して分配操作を行い、n−ブタノール層と水層として分取して、そのうちの水層を回収した。該水層を濃縮した後に、逆相カラム(Cosmosil 140 C18−PREP:ナカライ社製)を用いて分離を行った。成分の分離には溶出液であるメタノール溶液の濃度を60〜100%まで段階的に上昇させて溶出させるステップワイズグラジエント法により行った。メタノールの濃度が100%に達した時点の溶出画分の有機溶媒を揮発させてエキスD約0.18gを調製した。次いで、該エキスDをクロロホルム/メタノール/水(クロロホルム:メタノール:水=6:4:1)混合液に溶解し、順相カラム(Silica gel 60:メルク社製)に添加して同混合液で溶出した。次いで、ゲル濾過カラム(Sephadex LH−20:ファルマシア社製)に添加して脱塩し、順相薄層クロマトグラフィーにて単一物質の挙動を示すスルファチドLMG−1(0.67mg)及びガングリオシドLMG−2(2.4mg)を各々製造した。LMG−1の構造式を化10、LMG−2の構造式を化11に各々示す。
【0038】
化10
3−O−HSO3 Galβ1→4Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
化11
NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0039】
製造例5
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料として、アオヒトデ(学名:Linckia laevigata )18kgを用い、製造例4と同様の方法でガングリオシドLLG−3(58mg)及びLLG−5(70mg)を各々製造した。LLG−3の構造式を化12、LLG−5の構造式を化13に示す。
【0040】
化12
8−O−CH3 NeuAcα2→11NeuGcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
化13
8−O−CH3 NeuGcα2→11NeuGcα2→11NeuGcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0041】
製造例6
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料として、ムラサキヒトデ(学名:Asterias amurensis versicolor )65kgを用い、製造例4と同様の方法でガングリオシドGAA−7(86mg)を製造した。GAA−7の構造式を化14に示す。
【0042】
化14
8−O−CH3 NeuGcα2→6〔8−O−CH3 NeuGcα2→3〕GalNAcβ1→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、GalNAc:N−アセチルガラクトサミン、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0043】
製造例7
(スフィンゴリン糖脂質の製造)
出発原料として、ニッポンウミシダ(学名:Comanthus japonica)7.6kgを用い、製造例4と同様の方法でニッポンウミシダ由来のエキスDを製造した。該エキスDをクロロホルム/メタノール/水混合液(クロロホルム:メタノール:水=8:2:0.2)2mlに溶解し、順相カラム(Silica gel 60:メルク社製)に添加して、混合比がクロロホルム:メタノール:水=8:2:0.2及び6:4:1の各クロロホルム/メタノール/水混合液を使用して、メタノール濃度を上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出した。薄層クロマトグラフィー上でスフィンゴリン糖脂質CJP−1(92mg)、CJP−2(170.6mg)及びCJP−3(568.5mg)を製造した。CJP−1の構造式を化15、CJP−2の構造式を化16、CJP−3の構造式を化17に示す。
【0044】
化15
Ins1→Phospho−Cer
(Ins :イノシトール)
化16
9−OCH3 NeuGcα2→3Ins1→Phospho−Cer
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Ins:イノシトール)
化17
9−OCH3 NeuGcα2→11〔9−OCH3 〕NeuGcα2→3Ins1→Phospho−Cer
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Ins:イノシトール)
【0045】
尚、前記製造例1〜6において、本発明者等が棘皮動物から抽出精製したα−オキシ脂肪酸、及びスフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質は、哺乳類や植物から精製されるものとは異なり、棘皮動物特有の構造を有することが確認され、分子内の脂肪酸のα位がオキシ化されている点で、前記特許文献3に記載のスフィンゴシン骨格を有する化合物とは構造上異なる化合物であることが分かった。また、前記製造例7で製造したスフィンゴリン糖脂質は、ウミユリ類やウミシダ類に特有のスフィンゴリン糖脂質の構造を有していた。
【0046】
次に、試験例を示して本発明を詳細に説明する。
試験例1
本試験は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質の骨芽細胞増殖促進活性を測定するために行った。
(1)試料の調製
前記製造例1〜7で製造した各スフィンゴ糖脂質(LMCer−1、LMCer−2、LMC−1、LMC−2、LMCDH−1、LMCDH−2、LLG−3、LLG−5、GAA−7、CJP−1、CJP−2、CJP−3)をそれぞれ試験試料として使用した。また、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を持たない従来のスフィンゴ糖脂質の一種であるC2セラミド(N-Acetyl-D-sphingosine semisynthetic:シグマ社製、カタログNo.A7191)を対照試料として使用した。
【0047】
(2)試験方法
マウス骨芽細胞株MC3T3−E1(RCB1126:理研セルバンク)を、各々10%牛胎児血清を含むα−MEM培地(ギブコBRL社製)中で、1ウェル当たり5×104 個となるように96ウェルマイクロプレートに分注し、37℃、5%炭酸ガス存在下で18時間培養した。培養後に培地を除去し、改めて2%牛胎児血清を含むα−MEM培地を各ウェルに100μlずつ添加した。次いで、各ウェルに各試験試料及び対照試料を最終濃度が0.2μg/mlとなるように添加して更に2日間培養した。培養終了時間の6時間前に各ウェルに50nCi量となるようにトリチウムチミジンを添加した。培養終了後、各ウェルのDNA合成量を液体シンチレーションカウンター(LKB1219 RACK−BETA:LKB社製)を使用して測定した。
【0048】
(3)試験結果
本試験の結果を図3に示す。図3は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質による骨芽細胞の増殖促進活性を示す。その結果、各試験試料に使用した棘皮動物由来のスフィンゴ糖脂質は、対照試料のC2セラミドに対して高い骨芽細胞増殖促進効果を有することが明らかとなった。その中でもフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質(LMCer−2、LMC−2、LMCDH−2、LLG−3、LLG−5、GAA−7)はスフィンゴシン骨格を有するそれに比して、総じて活性が強いことが判明した。従って、棘皮動物に特異的な構造(例えば、α−オキシ脂肪酸、フィトスフィンゴシン骨格を有する等)を有するスフィンゴ糖脂質は従来のスフィンゴ糖脂質に比して、より強い骨芽細胞増殖促進効果を有することが明らかとなった。
【0049】
試験例2
本試験は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質を投与したマウスのex vivoにおける骨芽細胞増殖促進活性を測定するために行った。
(1)試料の調製
前記製造例で製造したスフィンゴ糖脂質のうち、LMCer−2、LMCDH−2、CJP−3、LGG−3をそれぞれ試験試料として使用した。また、陰性試料として生理食塩水を使用した。
【0050】
(2)試験方法
本試験においてマウスは、4週齢、雌性ddyマウス(日本エスエルシー社より購入)を使用した。前記マウスの卵巣を摘出した後、7週間低カルシウム食を給餌して作成した、骨粗鬆症モデルマウスを1群6匹に群分けした。生理食塩水にて10μg/mlに調製した各試験試料溶液を、該骨粗鬆症モデルマウスに各々200μlずつ、尾静脈より1日1回14日間静脈内投与した。投与完了後、大腿骨及び脛骨の骨髄細胞をRPMI1640培地(ギブコBRL社製)中に採取した。採取した骨芽細胞を1ウェル当たり1×106 個となるように6ウェルマイクロプレートに分注し、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地にて7日間培養した。培養終了後、アルカリフォスファターゼ染色(DIAGNOSTICS,No.85:シグマ社製)を行い、陽性のコロニーを骨芽細胞コロニーとしてカウントした。
【0051】
(3)試験結果
本試験の結果を図4に示す。図4は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質による骨粗鬆症モデルマウス骨髄細胞中の骨芽細胞の増殖促進活性を示す。その結果、何れの試験試料においても生体内の骨芽細胞を増殖させる作用を有することが判明した。
【0052】
試験例3
本試験は、棘皮動物から粗精製した中間精製物であるスフィンゴ糖脂質エキスを投与したマウスのex vivoにおける骨芽細胞増殖促進活性を測定するために行った。
(1) 試料の調製
前記製造例1で粗精製したエキスA(セラミド組成物)、製造例2で粗精製したエキスB(セレブロシド組成物)、製造例3で粗精製したエキスC(ラクトシルセラミド組成物)、製造例4で粗精製したエキスD(ガングリオシド組成物)を各々試験試料とし、生理食塩水で500μg/mlとなるように溶解して試験に供した。この時、エキスAはセラミドを1μg含有し、エキスBはセレブロシドを1.2μg含有し、エキスCはラクトシルセラミドを0.5μg含有し、エキスDはガングリオシドを8μg含有している。また、哺乳類由来のセラミド(和光純薬工業社製、カタログNo.031−18441)を生理食塩水で20μg/mlに調製した溶液を対照試料Aとし、セレブロシド(和光純薬工業社製、カタログNo.076−03963)を生理食塩水で20μg/mlに調製した溶液を対照試料Bとし、ガングリオシド混合物(和光純薬工業社製、カタログNo.074−03643)を生理食塩水で20μg/mlに調製した溶液を対照試料Dとし、更に、生理食塩水を陰性試料として各々試験に供した。
【0053】
(2)試験方法
本試験において、マウスは、6週齢、雄性db/dbマウス(日本クレア社より購入)を使用した。前記マウスを1群5匹に群分けし、エキスA、エキスB、エキスC、エキスD、対照試料A、対照試料B、対照試料D、及び陰性試料をマウスに各々500μlずつ、1日1回ゾンデを用いて36日間連続して強制経口投与した。投与完了後、大腿骨及び脛骨の骨髄細胞をRPMI1640培地(ギブコBRL社製)中に採取した。採取した骨芽細胞を1ウェル当たり1×106個となるように6ウェルマイクロプレートに分注し、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地にて7日間培養した。培養終了後、アルカリフォスファターゼ染色(DIAGNOSTICS,No.85:シグマ社製)を行い、陽性のコロニーを骨芽細胞コロニーとしてカウントし、1群5匹の平均値を算出した。
【0054】
(3)試験結果
本試験の結果を表1に示す。表1は、棘皮動物から粗精製した中間精製物であるスフィンゴ糖脂質エキスによる骨芽細胞の増殖促進活性を示す。その結果、エキスA、エキスB、エキスC、エキスD、対照試料A、対照試料B、及び対照試料Dは、いずれも陰性試料に対して骨芽細胞コロニー数が増加し、増殖促進活性が高いことが判明した。しかしながら、本発明のスフィンゴ糖脂質エキス(エキスA、エキスB、エキスC、エキスD)と、市販のセラミド(対照試料A)、セレブロシド(対照試料B)、ガングリオシド混合物(対照試料D)について、陰性試料に対する骨芽細胞コロニー数の増加の割合を比較したところ、対照試料A:3.2に対しエキスA(セラミド組成物):5.0、対照試料B:1.1に対しエキスB(セレブロシド組成物):2.4、対照試料D:1.3に対しエキスD(ガングリオシド組成物):7.6であったことから、棘皮動物由来のスフィンゴ糖脂質エキスは、従来の哺乳動物由来のスフィンゴ糖脂質に比して優れた骨芽細胞増殖促進効果を有することが判明した。
【0055】
【表1】
【0056】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
次の組成の注射剤を常法により製造した。
製造例1で製造したセラミド(LMCer−2) 0.01(%)
アクチノマイシンD(シグマ社製) 0.005
塩化ナトリウム(和光純薬社製) 0.9
マンニトール(関東化学社製) 1.0
注射用蒸留水(大塚製薬社製) 98.085
【0057】
参考例1
ホエー蛋白酵素分解物(森永乳業社製)10.8kg、デキストリン(昭和産業社製)36kg、及び少量の水溶性ビタミンとミネラルを水200kgに溶解し、水相をタンク内に調製した。これとは別に、大豆サラダ油(太陽油脂社製)3kg、パーム油(太陽油脂社製)8.5kg、サフラワー油(太陽油脂社製)2.5kg、レシチン(味の素社製)0.2kg、脂肪酸モノグリセリド(花王社製)0.2kg、及び少量の脂溶性ビタミンを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、更に、ホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約59kgを調製した。この中間製品粉末50kgに、蔗糖(ホクレン社製)6.8kg、アミノ酸混合粉末(味の素社製)167g、及び前記製造例7で製造したスフィンゴリン糖脂質(CJP−3
)60gを添加し、均一に混合して、スフィンゴリン糖脂質を含有する骨形成促進効果を有する経腸栄養食粉末約56kgを製造した。
【0058】
参考例2
前記製造例6で製造したガングリオシド(GAA−7)100g、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)110g、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)655g、脱脂粉乳(森永乳業社製)95g、ステビア甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1g、ヨーグルト・フレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)5g、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)34gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、錠剤1錠当り0.5gとし、12錠/分の打錠速度、9.8KPaの圧力で前記混合粉末を連続的に打錠し、ガングリオシド(GAA−7)含有タブレット1800錠(約900g)を製造した。
【0059】
参考例3
乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、90〜92℃で10分間加熱殺菌した。約42℃に冷却し、スターターとして市販のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii
subsp. bulgaricus )の牛乳カルチャーを各々100gずつ添加した。発酵タンク内で充分に攪拌し、42〜45℃で4時間静置して発酵させた。この発酵乳を攪拌しながら5〜8℃に冷却し、次いで、ホモゲナイザーで均質化することによって均質化発酵乳を調製した。次に、17%のグラニュウ糖(東洋精糖社製)液5kgにペクチン(三栄源FFI社製)60g及び前記製造例2で製造したセレブロシド(LMC−2)30gを添加して、90〜92℃で10分間殺菌した後、5〜8℃に冷却して糖液を調製した。これらの方法で調製した均質化発酵乳、糖液のそれぞれ全量をタンク内で十分に混合し、紙容器に120mlずつ充填した後、密封してドリンクヨーグルトを製造した。
【0060】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は、棘皮動物から抽出されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質を有効成分として含有する医薬用の骨形成促進剤に係るものであり、本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)哺乳動物等の骨芽細胞の増殖を促進する新規骨形成促進剤を提供することができる。
(2)本発明の骨形成促進剤は、骨粗鬆症やその他の骨代謝疾患の治療及び/又は予防に効果を有する。
(3)骨粗鬆症等の予防・治療用医薬組成物を提供することができる。
(4)水産業の現場において大量に捕獲される棘皮動物の有効な利用法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スフィンゴ糖脂質の基本構造を示す。
【図2】図2は、棘皮動物から、α−オキシ脂肪酸、及びスフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、並びにスフィンゴリン糖脂質を製造する方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質による骨芽細胞の増殖促進活性を示す。
【図4】図4は、棘皮動物から抽出精製したスフィンゴ糖脂質による骨粗鬆症モデルマウス骨髄細胞中の骨芽細胞の増殖促進活性を示す。
Claims (3)
- 医薬用の骨形成促進剤であって、棘皮動物門に属する生物から精製された化合物である、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有する下記の化5のセラミド、化7のセレブロシド、化10のスルファチド、及び化11〜14のガングリオシドの群より選択される1種又は複数種の混合物を有効成分とすることを特徴とする骨形成促進剤。
化5
H−Cer2
化7
Glcβ1→1Cer2
(Glc:グルコース)
化10
3−O−HSO3 Galβ1→4Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
化11
NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:
グルコース)
化12
8−O−CH3 NeuAcα2→11NeuGcα2→3Galβ1→4Gl
cβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、NeuGc:N−グリコリルノイ
ラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
化13
8−O−CH3 NeuGcα2→11NeuGcα2→11NeuGcα2→
3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc
:グルコース)
化14
8−O−CH3 NeuGcα2→6〔8−O−CH3 NeuGcα2→3〕G
alNAcβ1→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、GalNAc:N−アセチルガ
ラクトサミン、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
但し、R 2 −Cer2は、以下の化2で表される構造式を示す。
化2
- 骨粗鬆症、慢性関節リューマチ、骨ページェット病、又は変形性関節炎の予防・治療用医薬組成物である請求項1又は2に記載の骨形成促進剤。
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