JP4575014B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
また、内視鏡の先端部に複数の圧電振動子をアレイ状に配置し、電子的に超音波を送信する圧電振動子を切り替えることによってラジアル走査、コンベックス走査、リニア走査、あるいはセクタ走査を行い、超音波診断画像を描出する電子走査方式の体腔内超音波内視鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、内視鏡の鉗子孔にシース内に配置された細径超音波振動子を挿通させ、このシースを内視鏡の先端部で突出させ、生体表面に接触させながら機械的回転走査を行う超音波診断画像を描出する細径プローブ超音波内視鏡が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
なお、これらの体腔内超音波診断装置は、生体組織表面との良好な音響的接続を行わせるため、音響結合液を満たしたバルーンを経て超音波を送受して用いられる。
また、単一の振動子を機械的に回転走査させる機械走査式の体腔内超音波内視鏡では送受信感度が高く、グレーティングローブを原理的に発生させないことにより、良好なBモード診断画像が得られる。
一方、電子走査式の体腔内超音波内視鏡は、フレームレートを高くすることができ、ドップラー血流診断が可能である。また、発信する超音波ビームを多様に制御できるで、可変焦点、送受信分離などにより良好な画像構築が可能である。そして、A/D変換を施し、多様なアルゴリズムで画質改善が容易となる。
また、後者の細径プローブ超音波内視鏡は、総胆管、膵胆管等の細い管腔にも適用することができる。
図20に示す走査方法は、深部の画像劣化を防止するためのものであり、超音波の受信口径は一定としたまま、受信ビーム収束点を受信時刻と共に、Δy1、Δy2、…と深部に移動させ、受信用振動子群R1、R2、…の配列方向中心位置を送信用超音波振動子群T1から順次遠ざけることによって、受信ビーム偏向角をほぼ一定のθに保つようにしたものである。このような受信ビーム収束点と受信用振動子群R1、R2、…の配列方向中心位置の制御は、送受信切り替え用電子スイッチと、送信対応チャンネルとは異なるアレイ内領域受信対応チャンネルの受信遅延回路によって行われる。
この図20に示す走査方法によれば、受信ビームの偏向角をほぼ一定に保つことができるので、受信ビーム偏向角をあまり大きくならないように設定することによって、受信ビームにおけるサイドローブの発生を抑制し、超音波診断の深部における画像劣化を回避することができる。
また、2m以上の同軸ケーブルを使用するので、ケーブルの静電容量成分を変位電流が流れることによる電流ロス、同軸ケーブルの電磁シールド非完全性によるrf飛来ノイズの重畳という体腔内用ならではの本質的なS/N低下要因がある。さらに、電子走査式体腔内超音波内視鏡では、同軸ケーブルを束ねて使用するので、同軸ケーブル間のクロストークというS/N低下要因がある。
また、相関処理を行うことで、処理後の受信信号の周波数が2倍になる。これにより、超音波ビームのビーム幅が小さくなり、横方向分解能を向上させることができる。
本発明にかかる超音波診断装置は、前記受信信号処理手段が、前記超音波受信信号から高調波成分を抽出する高調波抽出手段と、前記超音波受信信号の周波数を逓倍する周波数逓倍手段との少なくともいずれかを有することが好ましい。
高調波抽出手段を用いて超音波受信信号から高調波成分を抽出する場合は、以下の効果を奏する。すなわち、振動子エレメントから照射された超音波受信信号には、生体組織などを通過することによって生体組織などの非線形性により高調波成分が含まれている。この高調波成分は、基本波成分に比べて近距離音場における音圧変動が少なく、超音波ビームのビーム幅やサイドローブレベルが小さい。したがって、超音波受信信号から高調波成分を抽出することによって、横方向分解能やコントラスト分解能を向上させることができる。
また、周波数逓倍手段を用いて超音波受信信号の周波数を逓倍する場合は、例えば周波数を2逓倍した場合、演算後の受信信号の周波数が2倍になる。したがって、超音波ビームのビーム幅が小さくなり、横方向の分解能が向上する。
本発明にかかる超音波診断装置は、前記高調波抽出手段と、前記周波数逓倍手段との両方を有してもよい。
この発明によれば、相関処理手段によって2つの超音波受信信号間で相関処理を行った際に発生する高周波成分を除去することができ、よりノイズ成分の少ない超音波診断像を得ることができる。
この発明によれば、n個の振動子エレメントで受信した超音波受信信号に対して、例えば、ガウス分布重み付けや、コサイン分布重み付けなどを行うことにより、グレーティングローブを低減することができる。
この発明によれば、S/N比が改善された細径超音波トランスデューサとすることができる。
この発明によれば、リング状振動子から送信した超音波を、このリング状振動子と円板状振動子で受信する。
この発明によれば、円板状振動子は、リング状振動子から送信した超音波のうち、第2高調波、第3高調波あるいは第4高調波成分を選択的に受信する。これにより、容易に高調波成分を抽出することができ、深さ方向の分解能向上させることができる。ここで、第5高調波以上の高調波を受信してもよいが、受信感度が小さすぎ、実質的効果がほとんどない。
この発明によれば、互いに隣接する2つの振動子エレメント間で相関処理を行うことにより、2つの超音波受信信号間の位相差を小さくし、横方向分解能の低下を抑制することができる。
この発明によれば、アレイ状に配列したN個の振動子エレメントのうち、m個の振動子エレメントから超音波を発信し、n個の振動子エレメントで超音波受信信号を受信する。
この発明によれば、機械的品質係数Qmが30以上であることによって、超音波信号を発信させたときにパルス信号の振幅が増加することが可能となる。また、300以下であることによって、不要振動が混入する割合を抑制することができる。すなわち、診断超音波信号に不要振動ノイズが重畳することを抑制する。
この発明によれば、超音波を発信する振動子エレメントに対して印加する駆動信号が台形波形であることで、パルス信号の残響時間の増加によって深さ方向分解能が悪化することを抑制できる。
この発明によれば、超音波診断像にドプラー診断像を合わせて表示することにより、より診断性能を向上させることができる。
この発明によれば、高調波信号を用いることによって、横方向分解能やコントラスト分解能を向上させたドプラー診断像を得ることができる。
この発明によれば、A/D変換器によって超音波受信信号をデジタル信号に変換することで、より劣化の少ない信号処理を行うことができる。
この発明によれば、受信信号処理手段が、A/D変換器によって変換されたデジタル信号に対して信号処理を行う。
この発明によれば、各振動子エレメントで受信した超音波受信信号の超音波伝播時間のバラツキ、すなわち、位相のバラツキを整合させ、サイドローブなどの不要応答成分をさらに抑制することができる。
また、異なる2つの圧電振動子で受信した一対の受信信号の間で相関処理を行うことで、同軸ケーブルに飛来した高周波ノイズを除去する。これによりS/N比のノイズレベルを小さくし、S/N比を向上させることができる。
本実施形態にかかる超音波診断装置は、例えば、内視鏡の鉗子孔に挿通可能な細径超音波プローブを用いた体腔内超音波診断装置である。
この体腔内超音波診断装置は、図1に示すように、一対の圧電振動子(振動子エレメント)11、12を有する細径超音波プローブ(超音波トランスデューサ)13と、一方の圧電振動子11に超音波送信用駆動電圧を印加するパルサ14と、一対の圧電振動子11、12で受信した超音波信号を処理する受信信号処理手段15と、受信信号処理手段15からの出力を増幅する対数増幅器21と、受信信号を包絡線検波する包絡線検波器22と、包絡線検波器22で検波した受信信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換器23と、受信信号を画像信号に変換する画像変換器24と、超音波診断像を表示するモニタ25とを備えている。
なお、圧電振動子11は、パルサ14により周波数fの超音波を発信するように構成されている。そして、一対の圧電振動子11、12は、周波数f及び周波数fの整数倍の超音波信号を受信する。
処理手段35は、RF信号処理部37と2乗検波部38と第2高調波抽出部39とで構成されている。
RF信号処理部37は、一対の圧電振動子11、12の超音波受信信号をそれぞれ最大値が1となるように正規化処理する一対の正規化処理手段41と、2つの超音波受信信号を相関処理する相関処理手段42と、相関処理した信号に対して高周波成分を除去するローバスフィルタ(以下、LPFと省略する)43とで構成されている。
2乗検波部38は、一対の圧電振動子11、12の超音波受信信号をそれぞれ2乗検波する一対の2乗検波手段(べき乗検波手段)45と、2乗検波した超音波受信信号をそれぞれ正規化処理する一対の正規化処理手段46と、2つの超音波受信信号を相関処理する相関処理手段47と、LPF48とで構成されている。
また、第2高調波抽出部39は、一対の圧電振動子11、12の超音波信号から第2高調波成分をそれぞれ抽出する一対のバンドパスフィルタである第2高調波抽出手段(高調波抽出手段)51と、第2高調波成分を抽出した超音波受信信号をそれぞれ正規化処理する一対の正規化処理手段52と、2つの超音波受信信号を相関処理する相関処理手段53と、LPF54とで構成されている。
ここで、矢印A1、B1、D1、E1、G1及びH1は一対の圧電振動子11、12による超音波受信信号を、矢印A2及びB2は正規化処理手段41で正規化処理された正規化信号を、矢印C1は相関処理手段42で相関処理された正規化相関信号を、矢印C2はLPF43よって高周波成分を除去した正規化相関信号を示している。また、矢印D2及びE2は2乗検波手段45による2乗検波信号を、矢印D3及びE3は正規化処理手段46による正規化2乗検波信号を、矢印F1は相関処理手段47による正規化2乗検波相関信号を、矢印F2はLPF48によって高周波成分を除去した正規化2乗検波相関信号を示している。また、矢印G2及びH2は第2高調波抽出手段51による第2高調波信号を、矢印G3及びH3は正規化処理手段52による正規化第2高調波信号を、矢印I1は相関処理手段53による正規化第2高調波相関信号を、矢印I2はLPF54によって高周波成分を除去した正規化第2高調波相関信号を示している。また、矢印N1及びN2は同軸ケーブル31、32に重畳した高周波ノイズであるrf飛来ノイズを示している。
図2に示すように、一対の圧電振動子11、12で受信したそれぞれの受信信号には、同軸ケーブル31、32においてrf飛来ノイズN1、N2が重畳されてそれぞれ超音波受信信号A1、B1となる。そして、正規化処理手段41によって最大値が1となった正規化信号A2、B2が得られる。
正規化信号A2、B2は、一対の圧電振動子11、12が近接して配置されているので、ほとんど同一波形信号である。それに対して、受信信号に重畳したrf飛来ノイズは、図3(a)及び(b)に示すように、わずかではあるが位相が異なっているので、正規化処理信号A2、B2の関係は、圧電振動子11、12の受信信号の波形が同じで同位相であり、rf飛来ノイズ成分がわずかにでも互いに異なる位相で重畳している。
ここで、相関をとるということは、両信号の積を取ることに相当する。これにより、互いに異なる位相で重畳しているrf飛来ノイズ成分は、相関をとることにより0となる。また、互いに同位相である受信信号の部分には、下記に示すように、周波数fの信号を周波数2fの信号に変換する。
図4(a)に示すように、回転方向の幅2a、挿入軸方向の長さ2b、所定の共振周波数に相当する厚さを有する圧電振動子61は、圧電振動子61の両面に形成された一対の電極62、63に同軸ケーブル64が接続されている。
この圧電振動子61が有する超音波ビームの指向性Deは、下記の式のようになる。
図4(c)に示すように、波数kが大きくなるにしたがって、すなわち、周波数fが高くなるにしたがって、超音波ビームの指向性が鋭くなっていることがわかる。
ここで、正規化処理手段41によって最大値を1とする正規化処理が行われた正規化信号A2及びB2の絶対値の波形は、図5(a)に示すようになり、その包絡線は、図5(b)に示すようになる。また、相関処理手段42による出力である正規化相関信号C1の包絡線は、図5(c)に示すようになる。
ここで、図5(b)に示す包絡線のピーク値よりも20dB低い値におけるパルス幅である、−20dBパルス幅W1よりも、図5(c)に示す相関処理手段42の出力である正規化相関信号C1の包絡線の−20dBパルス幅W2のほうが、パルス幅が狭くなっていることがわかる。
相関処理手段42によって発生した高周波成分は、LPF48により除去されて、高周波成分が除去された正規化相関信号C2が得られる。
なお、相関処理手段42において相関処理をする前に、正規化処理手段41によって正規化しておくことによって、ノイズ成分はより効率よく抑圧される。
図6(a)に示すように、2乗検波手段45は、一対の圧電振動子11、12で受信した超音波受信信号D1、E1に対して2乗検波を行う。
2乗検波手段45は、上述した式4と同様に、超音波受信信号D1、E1の周波数を2倍した2乗検波信号D2、E2に変換する。
すなわち、2乗検波手段45によって、超音波ビームのビーム幅が狭まり、横方向分解能を向上させることに寄与する。
図7(a)に示すように、第2高調波抽出手段51は、一対の圧電振動子11、12で受信した超音波受信信号G1及びH1から第2高調波成分を抽出する。
圧電振動子11から照射された超音波信号は、生体組織や造影剤に超音波信号が照射することによって、生体組織や造影剤の非線形性により高調波信号が誘起される。そのため、圧電振動子11、12で受信した超音波信号には、この誘起された高調波が含まれる。
ここで、超音波伝播距離と中心軸音場との関係を周波数f0の基本波、周波数2f0の基本波及び周波数2f0の高調波で最大音圧を一致させたものを図7(b)に示す。また、周波数f0の基本波、周波数2f0の基本波及び周波数2f0の高調波におけるビーム幅を図7(c)に示す。
また、図7(c)に示すように、超音波ビーム幅は、周波数f0の基本波がもっとも大きく、ついで周波数2f0の高調波、そして周波数2f0の基本波が最も小さく、周波数2f0の高調波のビーム幅は周波数f0の基本波の約1/√2倍である。さらに、サイドローブに関しては基本波である限り、周波数f0の基本波でも周波数2f0の基本波でも同レベルであるのに対し、周波数2f0の高調波のサイドローブレベルは基本波のサイドローブレベルと比較してはるかに小さいことがわかる。すなわち、第2高調波成分抽出手段51によって、サイドローブレベルが抑制されてコントラスト分解能を向上させることに寄与する。
包絡線検波器22は、対数増幅器21で増幅したこの加算処理信号を包絡線検波するように構成されている。
画像変換器24は、A/D変換器23でデジタル信号に変換した加算処理信号を超音波画像信号に変換し、モニタ25に超音波診断像を表示させるように構成されている。
図8(a)に示すように、一対の圧電振動子11、12には、それぞれ同軸ケーブル31、32が接続され、超音波受信信号J1、J2が伝送される。なお、超音波の送信は、一方の圧電振動子であっても、双方の圧電振動子11、12を用いて行ってもよい。
ここで、一対の圧電振動子11、12の受信信号をそれぞれJ1、J2とすると、一対の圧電振動子11、12における受信信号指向性は、J1とJ2とを加算した信号、すなわち、J1+J2となる。一対の圧電振動子11、12の中心間距離dに対する受信信号指向性を図8(b)に示す。これは、上述した式(4)に離間による指向性関数である下記の式を積算した結果を示している。
この一対の圧電振動子11、12を細径超音波プローブに用いる場合、圧電振動子11、12は細いシース位置に配置されているので、dを大きくすることができず、大きくてもd=1.2×2aであり、したがって、基本波の場合において最近接サイドローブレベルが、−13dB〜−10dBの間、最近接サイドローブの発生角度が0.15Rad(8.6°)〜0.13Rad(7.5°)の間になる。
また、一対の圧電振動子11、12で受信した超音波受信信号間に位相差φがあると、指向性Rresは、下記の式に示すようになる。この位相差θに対する指向性Rresを図8(c)に示す。
これは、図8(a)において、一対の圧電振動子11、12から点Pまでのそれぞれの距離r1とr2との差が大きいと、各圧電振動子11、12で受信する超音波信号の位相差が大きくなり横方向分解能が悪くなる。このことは両受信信号J1、J2に位相の遅延差を与え、点Pを観察しようとすると、点Pと中心線Tとの角度θが大きくなるにつれて、メインビームの分割が激しくなり、本来1点のものが分裂した2点になって見えるようになることを意味している。
実際には同じ点に対し、一対の圧電振動子11、12の離間距離dが大きくなるほど位相差が大きくなる。したがって一対の圧電振動子11、12を用いて1点を観察する時、一対の圧電振動子11、12の間隔はなるべく小さくすることが必要であることがわかる。
これにより、体内深部を診断するために感度を上げても、対数増幅器21などによって診断に十分有用な超音波診断が可能になる。
また、2乗検波手段45により、受信した信号の周波数を2倍にすることで、超音波ビームのビーム幅を小さくし、横方向分解能の改善に寄与するだけでなく、パルス幅を短くし、これによって深さ方向分解能を改善することも可能となる。
また、第2高調波抽出手段51により、受信した信号から第2高調波成分を抽出することで、超音波ビームのビーム幅を小さくし、横方向分解能の改善に寄与するだけでなく、パルス幅を短くし、これによって深さ方向分解能を改善することも可能となる。さらに、サイドローブレベルを抑制するので、コントラスト分解能を改善することも可能となる。
また、第2高調波抽出手段51は、受信信号から第2高調波成分を抽出するものであったが、これに限らず、第3高調波以上の高調波成分を抽出するものであってもよい。このようにすることで、超音波ビームのビーム幅がさらに小さくなり、サイドローブレベルを抑制することができ、よりコントラスト分解能を向上させることができる。
このようにすることで、例えば、コントラスト分解能を優先して超音波観察を行うときは、相関処理手段42及び2乗検波手段45による出力よりも第2高調波抽出手段51による出力の方に重み付けを大きくするによって、コントラスト分解能が優先された診断を行うことができる。
なお、この重み付けの係数は、コンピュータなどの制御装置(図示略)から所望の重み付けとなるように設定可能となっている。
この周波数2逓倍部72は、一対の圧電振動子11、12の超音波信号に対してそれぞれ周波数を2逓倍する一対の周波数2逓倍手段71と、周波数2逓倍した超音波受信信号をそれぞれ正規化処理する一対の正規化処理手段73と、2つの超音波受信信号を相関処理する相関処理手段74と、LPF75とを備えている。
また、矢印K1及びL1は一対の圧電振動子11、12による超音波受信信号を、矢印K2及びL2は周波数2逓倍手段71による周波数2逓倍信号を、矢印K3及びL3は正規化処理手段73による正規化周波数2逓倍信号を、矢印M1は相関処理手段74による正規化周波数2逓倍相関信号を、矢印M2はLPF75によって高周波成分を除去した正規化2逓倍相関信号を示している。
なお、周波数を2逓倍するものに限らず、3逓倍以上にするものであってもよい。このようにすることで、よりパルス幅を縮小することができる。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、上記第1の実施形態における体腔内超音波診断装置は、細径超音波プローブに適用したものであって、超音波トランスデューサが矩形板である一対の圧電振動子11、12を横に並列配置した構造であったが、第2の実施形態における体腔内超音波診断装置は、超音波トランスデューサ100がリング状振動子101及びリング状振動子101の内径部に配列された円板状振動子102とを有している点である。
円板状振動子102は、リング状振動子101のほぼ半分の厚さを有しており、これにより第2高調波を受信するような構成となっている。そして、同軸ケーブル32を介して受信信号処理手段103に接続されている。
なお、このリング状振動子101及び円板状振動子102は、それぞれの機械的品質係数Qmがそれぞれ30以上300以下となっている。
また、パルサ14が、リング状振動子101から台形波形を送信するような駆動信号を印加するため、リング状振動子101の電圧上昇時に対する圧電応答信号と電圧降下時に対する圧電応答信号とが重なるときに、数波を残して相殺し合うように台形の幅を設定することで、パルス信号の残響時間の増加によって深さ方向分解能が劣化することを抑制できる。
また、パルサ14がリング状振動子101から台形波形を送信するような構成となっていたが、台形波形に限らず、ダブル矩形波であってもよい。このとき、リング状振動子101の最初の矩形波での圧電応答が重なるときに数波を残して相殺しあうように2つの矩形パルスの間隔を設定しておくことによって、最大振幅を変えずにパルス幅のみを抑圧できる。
ただし、リング状振動子101と円板状振動子102との共振周波数の比が、1:5以上、すなわち、円板状振動子102の共振周波数がリング状振動子101の共振周波数の5倍以上であると、第5高調波以上の高調波は、超音波信号の基本波に対して50dB以上小さいため、高いS/N比を保ったまま増幅することが困難となる。
第3の実施形態と第1の実施形態とに異なる点は、第1の実施形態における体腔内超音波診断装置が超音波プローブであったのに対し、第3の実施形態における体腔内超音波診断装置が電子走査型のアレイ型振動子を用いた体腔内超音波スコープとなっている点である。
m個の駆動回路223は、電子スイッチ回路216を介して送信用のm個の圧電振動子に接続されている。
電子スイッチ回路216は、N個の圧電振動子201から超音波の送信を行うm個の圧電振動子11を選択するように構成されており、選択されたm個の圧電振動子201からリニア走査しながらマルチビーム収束するか、セクタ走査するか、あるいはその両方を行うように構成されている。
電子スイッチ回路241は、受信用の圧電振動子であるn個の圧電振動子201の超音波受信信号のうち、隣り合う2つの圧電振動子201からの超音波受信信号を1組として前置相関器242に入力するように構成されている。
前置相関器242は、図14に示すように、電子スイッチ回路241による受信用遅延回路231の超音波受信信号から第2高調波を抽出する第2高調波抽出手段251と、正規化手段252と、相関処理手段253とによって構成されている。この前置相関器242によって、横方向分解能が向上されると共にノイズが除去された信号をメモリ233に出力する。
スペクトル分析器267は、2つの差信号の間で直交検波を行い、周波数特性に変換することによりドップラーシフト量を算出するような構成となっている。この、スペクトル分析器267の出力は、画像変換器24に接続されており、モニタ25上にドップラー画像が重ね合わせて表示される。
いずれの場合においても、上述した第1の実施形態に説明したものと同様の効果を得ることができる。
第4の実施形態と第3の実施形態との異なる点は、第4の実施形態における体腔内超音波診断装置では、ドップラーシフト量分析部301が高調波ドップラー信号を用いてドップラーシフト量を分析する点である。
また、ドップラーシフト量分析部301が、圧電振動子201で受信する超音波受信信号の高調波信号の近傍の発振周波数を有するリファレンス信号を発信する局部発振器311を備えている。また、ドップラーシフト量分析部301は、局部発振器311からのリファレンス信号を直交変換するCos変換器312と、BPF302から分岐した超音波受信信号とリファレンス信号とをミキシングするミキサ313と、BPF302から分岐した超音波受信信号とCos変換器312によって直交変換されたリファレンス信号とをミキシングするミキサ314と、ミキシングした超音波受信信号の高周波成分を除去するLPF315と、超音波受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器316と、A/D変換器316の出力からドップラーシフト量を分析するスペクトル分析器317とを備えている。
また、本実施形態において、圧電振動子201で受信した超音波受信信号を適宜A/D変換を行うことによりデジタル信号にて処理してもよい。このようにすることで、ただし、局部発振器311が発振するリファレンス信号がアナログ信号であり、ミキサ313、314ではアナログ信号でミキシングするため、BPF302の出力がデジタル信号であった場合には、BPF302とミキサ313、314との間にD/A変換器を設けてデジタル信号をアナログ信号に変換する。
第5の実施形態と第3の実施形態との異なる点は、第5の実施形態における体腔内超音波診断装置では、N個の圧電振動子201からの超音波伝播時間の各圧電振動子間のバラツキ、すなわち、位相のバラツキを整合させる位相整合部351が設けられている点である。
直交検波手段362は、前置相関器392から分岐した超音波受信信号とタイミングコントロール器361からの基準信号とをミキシングする乗算器381と、前置相関器392から分岐した超音波受信信号とcos変換器382によって直交変換された基準信号とをミキシングする乗算器383と、ミキシングした超音波受信信号の高調波成分を除去する一対のLPF384とを備えている。
波面ローカスLUT365は、内部に記録されているアドレス情報により、画像化しようとする点を焦点とするような位置関係の波面ローカスに沿って波面メモリ363、364に記録されている波面データを位相補正回路369に出力するように構成されている。
位相補正回路369は、実成分位相補正メモリ367及び虚成分位相補正メモリ368に記録されている実成分及び虚成分の位相補正情報を参照して同位相となるように各圧電振動子の焦点との音響的距離によって決定される遅延時間を考慮したい相補性を行い、補正された各々の複素データの2乗和を取ることで合成処理をするように構成されている。この合成処理は、圧電振動子201による超音波走査領域内の表示したい領域である断層領域をカバーするように2次元領域に渡って行う。
処理手段390は、電子スイッチ241と、電子スイッチ241の出力端に接続され、n個の圧電振動子201で受信した超音波受信信号をA/D変換するn個のA/D変換器391と、このn個のA/D変換器391の出力から隣り合う2つの圧電振動子201からの超音波受信信号を1組として入力される前置相関器392とを備えている。
この前置相関器392によって相関処理された超音波受信信号は、直交検波手段362に出力される。
第6の実施形態と第3の実施形態との異なる点は、第3の実施形態における体腔内超音波診断装置では受信信号処理手段212が隣り合う2つの圧電振動子201による超音波受信信号に対して相関処理を行っているのに対して、第6の実施形態における体腔内超音波診断装置は、隣り合う3つの圧電振動子からの超音波受信信号に対応した受信信号処理手段401を備えている点である。
処理手段410は、電子スイッチ回路412と、n個の前置相関器413とを備えている。
電子スイッチ回路412は、受信用の圧電振動子であるn個の圧電振動子で受信した超音波信号のうち、隣り合う3つの圧電振動子からの超音波受信信号を1組として前置相関器413に入力するように構成されている。
この、RF手段414は、入力された超音波受信信号をそのまま通過させる機能を有している。
これらRF手段414、2乗検波手段415及び第2高調波抽出手段416を通過した3つの超音波受信信号は、それぞれA/D変換器418、対数増幅器419、包絡線検波器420及び正規化処理手段421を経て、加算処理手段417で加算処理されるように構成されている。
この前置相関器451は、図19に示すように、RF手段414と、2乗検波手段415と、第2高調波抽出手段416と、2乗検波手段415を通過した超音波受信信号及び第2高調波抽出手段416を通過した超音波受信信号の相関処理を行う相関処理手段452と、RF手段414を通過した超音波受信信号及び相関処理手段452を通過した超音波受信信号の相関処理を行う相関処理手段453とを備えている。
相関処理手段453の前段には、相関処理手段452と相関処理手段453との間でクロストーク現象が生じないようにバッファ454、455がそれぞれ設けられている。
このように構成された前置相関器451を用いても、上述と同様に、S/N比が良好で、空間分解能に優れた超音波診断像を得ることができる。
また、加算処理手段234には、上述した第3の実施形態と同様に、n個の超音波受信信号に重み付けする機能を用いることが可能である。
例えば、上述した実施形態において、体腔内超音波診断装置に適用したが、体外用の超音波診断装置に適用してもよい。
また、第3から第6の実施形態において、N個の圧電振動子201は、円周上に配置されたが、これに限らず、アレイ状に配置されてもよい。また、第4の実施形態におけるドップラーシフト量分析部213は、スペクトル分析器267が互いに直交する2つのリファレンス信号を用いてドップラーシフト量を分析したが、どちらか一方のリファレンス信号のみを用いてドップラーシフト量を分析してもよい。
13、100、202 超音波トランスデューサ
14、211 パルサ手段
15、103、116、212、352、401 受信信号処理手段
23、25、266、316、391、418 A/D変換器
25 モニタ(表示手段)
36、234 加算処理手段
42、47、53、74、114、253、273、277、283、287、452、453 相関処理手段
43、48、54、75、115、384 ローパスフィルタ(フィルタ手段)
45、111、271、415 2乗検波手段(べき乗検波手段)
51、112、251、416 第2高調波抽出手段(高調波抽出手段)
71、281 周波数逓倍手段
101 リング状振動子
102 円板状振動子
213、301 ドプラーシフト量分析部(ドプラー診断手段)
275 3乗検波手段(べき乗検波手段)
285 第3高調波抽出手段(高調波抽出手段)
362 直交検波手段
363、364 波面メモリ(複素データ格納手段)
365 波面ローカスルックアップテーブル(複素データ読み出し手段)
367 実成分位相補正メモリ(複素データ読み出し手段)
368 虚成分位相補性メモリ(複素データ読み出し手段)
369 位相補正回路(位相補正処理手段)
Claims (18)
- N個(N≧2)の振動子エレメントからなる超音波トランスデューサと、m個(m≦N)の前記振動子エレメントに電圧を印加して超音波を発信させるパルサ手段と、n個(n≦N)の前記振動子エレメントで受信した超音波受信信号を用いて信号処理する受信信号処理手段と、超音波診断像を表示する表示装置とを備え、
前記受信信号処理手段は、
前記n個の振動子エレメントのうち、1つの振動子エレメントで受信した前記超音波受信信号をべき乗してその絶対値を演算する、べき乗検波手段と、
前記べき乗検波手段で処理された前記超音波受信信号を正規化する正規化処理手段と、
前記正規化処理手段で処理された異なる2つ以上の前記超音波受信信号間で相関処理を行う相関処理手段と、を有することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記受信信号処理手段が、前記超音波受信信号から高調波成分を抽出する高調波抽出手段と、前記超音波受信信号の周波数を逓倍する周波数逓倍手段との少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記受信信号処理手段が、前記超音波受信信号から高調波成分を抽出する高調波抽出手段と、前記超音波受信信号の周波数を逓倍する周波数逓倍手段とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記信号処理手段が、前記相関処理手段によって生じる高周波を除去するフィルタ手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記信号処理手段が、前記n個の振動子エレメントで受信した超音波受信信号を加算処理する加算処理手段を有し、
該加算処理手段が、超音波受信信号に重み付けして加算処理することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記超音波トランスデューサが、2個の前記振動子エレメントで構成された細径超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波トランスデューサが、リング状振動子と、その内径部に配置した円板状振動子とからなり、
前記パルサ手段により、前記リング状振動子に電圧を印加して超音波を発信させると共に、該リング状圧電振動子及び前記円板状振動子で受信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記リング状振動子と前記円板状振動子との共振周波数の比が、1:k(k≧2)であることを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
- 前記相関処理手段が、互いに隣接する2つの前記振動子エレメントの超音波受信信号を相関処理することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波トランスデューサが、前記N個の振動子エレメントをアレイ状に配列していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波トランスデューサの機械的品質係数Qmが、30以上300以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記パルサ手段が、前記m個の振動子エレメントに対して台形波形あるいはダブル矩形波を駆動信号として印加することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記表示手段にドプラー診断像を表示させるドプラー診断手段を有していることを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。
- 前記表示手段に高調波のドプラー診断像を表示させる高調波信号のドプラー診断手段を有していることを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。
- 前記受信信号処理手段が、前記n個の振動子エレメントで受信した超音波受信信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換器を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記受信信号処理手段が、前記A/D変換器で変換された超音波受信信号を信号処理可能であることを特徴とする請求項15に記載の超音波診断装置。
- 前記受信信号処理手段で処理された超音波受信信号を受信複素データに変換する直交検波手段と、前記受信複素データを格納する複素データ格納手段と、該複素データ格納手段により前記n個の振動子エレメントと焦点との位置関係により決まるおよその位置の複素データを読み出す複素データ読み出し手段と、該複素データ読み出し手段により得られた前記複素データに対して前記n個の振動子エレメントと焦点との位置関係により決まる正確な遅延時間に対応して前記受信複素データの位相補正処理を行う位相補正処理手段とを備えていることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 体腔内の超音波診断に用いられる体腔内超音波診断装置であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
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