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JP4561325B2 - 三相巻線型誘導モータの異常検出方法及び装置 - Google Patents

三相巻線型誘導モータの異常検出方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、三相巻線型誘導モータの二次側における異常を検出する方法及び装置に関する。
速度制御を行う中・大型電動機として巻線型誘導モータが使用されている。例えば、三相のロータ側二次巻線をスリップリングで取り出し、その二次側の各相に二次抵抗(始動抵抗)を接続してその抵抗値を段階的又は連続的に変化させることにより、モータの始動や速度制御を行う巻線型誘導モータが一般に使用されている。
ところが、巻線型誘導モータでは、モータ自体の老朽化に伴ってロータの絶縁耐力が低下する場合や、二次側に抵抗に代えてセルビウス装置を設けて速度制御する場合で二次側に電流が流れ続ける場合等に、スリップリング周辺の絶縁が低下して相間短絡や地絡が生じることがある。二次抵抗に欠損が生じた場合、健全相に著しい不平衡電流が流れる一方、不平衡状態では所定のモータトルクが発生しないため、加減速性能が悪化して加減速に要する時間が増加する。全く加減速しない場合には健全相に著しい不平衡電流が流れて健全相に過負荷・異常発熱が発生し、焼損が生じるおそれもある。
モータの一次側には過電流・過電圧保護、不平衡保護、地絡検出等を目的として異常検出装置や保護装置が設けられるが、それらの装置により二次側の異常検出や保護を図ることは困難である。例えば、二次側で欠相が生じた場合、一次側と二次側とではそれらを流れる交流の周波数が異なるため、二次側に欠相が生じても一次側に生じる不平衡の程度や電流の増加はごく僅かであり、一次側の自己に対して調整された異常検出装置では感度が不足して二次側の欠相を検出することが難しい。
そこで、二次側の各相に流れる二次電流を各相に接続された電流検出装置にて検出し、検出された二次電流の差電流を求めることによって各相の二次電流の不平衡度合いを演算し、その演算値が予め設定した上限値を超えた場合に異常状態と判定するようにした異常検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8−163842号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の異常検出装置では、欠相、相間短絡のように比較的大きい不平衡電流が発生する異常については検出ができるものの、一相地絡のように比較的小さい不平衡電流しか生じない異常については検出が困難である。
そこで、本発明は三相巻線型誘導モータの二次側の異常を高精度に検出できる異常検出方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の三相巻線型誘導モータの異常検出方法は、三相巻線型誘導モータ(1)の二次側のそれぞれの相(R、S、T)に対して始動抵抗(2)とは別に抵抗(11)をスター接続して該抵抗間に中性点(12)を形成し、前記中性点を接地用抵抗(13)を介して接地し、前記接地用抵抗を流れる電流、又は前記中性点の対地電位の少なくともいずれか一方を検出し、その検出結果に基づいて前記二次側の異常を検出することにより、上述した課題を解決する。
また、本発明の三相巻線型誘導モータの異常検出装置は、三相巻線型誘導モータ(1)の二次側のそれぞれの相(R、S、T)に対して始動抵抗(2)とは別にスター接続された抵抗(11)と、前記抵抗間に形成される中性点(12)と接続された接地用抵抗(13)と、前記接地用抵抗を流れる電流、又は前記中性点の対地電位の少なくともいずれか一方を検出する検出手段(14、15)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
一相地絡のような異常が発生した場合、二次側の相間には不平衡電流が生じるため、この不平衡電流を何らかの制御された状態で取り出して検出すれば異常の有無を判別することができる。三相巻線型誘導モータの二次側に流れる交流電流は過渡的には大きさも周波数も変化するが、原理的には正常運転状態において三相平衡している。従って、それぞれの相に対して抵抗をスター接続してそれらの抵抗間に電圧的に安定な中性点を形成した場合には、不平衡電流の発生により中性点における電気的な平衡状態が崩れて中性点における対地電圧が正常値(原理的には0)から変化する。一相地絡のような不平衡電流が比較的小さい異常が発生した場合の2次回路の変動そのものは小さいが、接地用抵抗を設けることによりこれを増幅することができる。このため、接地用抵抗を流れる電流又は中性点の対地電圧の少なくともいずれか一方を検出すれば、一相地絡のような不平衡電流が比較的小さい異常であっても、これを容易かつ高精度に検出することができる。しかも、二次側の始動抵抗(2)とは別に、スター接続された抵抗(11)が設けられることにより、周波数の変動に伴う感度の変化を抑えて異常を高精度に検出することができる。
なお、本発明において、二次側の異常には欠相、相間短絡、一相地絡が含まれる。以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
以上に説明したように、本発明によれば、三相巻線型誘導モータの二次側の各相に対して始動抵抗とは別にスター接続された抵抗間の中性を接地用抵抗を介して接地させ、その接地用抵抗を流れる電流又は中性点の対地電位を検出するようにしたので、モータの二次側の異常を高精度に検出することができる。
[第1の形態]
図1は本発明の第1の形態を示している。三相巻線型誘導モータ(以下、モータと略称する。)1の一次側には一次側配線U、V、Wを介して三相交流電源(不図示)が接続され、二次側には二次側配線R、S、Tを介して可変抵抗としての始動抵抗(二次抵抗)2がそれぞれ接続されている。始動抵抗2はそれらの間に中性点3が形成されるようにスター接続されている。始動抵抗2の間には所定の間隔で短絡及び開放が可能な接触器4が設けられている。モータ1の始動時に中性点3側から接触器4を順次短絡させることにより始動抵抗2の抵抗値を徐々に減少させてモータ1を速やかに加速させることができる。また、速度制御時には上記の始動手順を途中で中止することにより、モータ1が所定トルク及び所定速度で駆動されるように始動抵抗2の抵抗値を設定することができる。
モータ1の二次側にはさらに異常検出装置10が設けられている。異常検出装置10は、始動抵抗2とは別に設けられてモータ1の二次側の各相、すなわち二次配線R、S、Tのそれぞれに対してスター接続された3つの抵抗11と、それらの抵抗11間に形成される中性点12と接続される接地用抵抗13と、接地用抵抗13を流れる電流及び中性点の対地電位をそれぞれ検出する検出手段としての電流計14及び電圧計15とを備えている。中性点12は始動抵抗2間に形成される中性点3とは異なり、二次側の異常検出を目的として設けられたものであり、いわば擬似的な中性点である。
以上の構成の異常検出装置10によれば、モータ1の二次側が正常な状態では中性点12が電気的に平衡に保たれる。その一方でモータ1の二次側に欠相、相間短絡、一相地絡等の異常が生じると中性点12の平衡が崩れ、それに伴って電流計14にて不平衡電流が検出され、電圧計15にて不平衡状態に応じた対地電圧の変化が検出される。従って、電流計14及び電圧計15の検出値を監視することにより、二次側の異常を精度よく検出することができる。また、本形態によれば、二次配線R、S、Tのそれぞれを始動抵抗2の手前で分岐して別の抵抗11等を接続しているので、始動抵抗2の抵抗値の変化に拘わりなく中性点12を電圧的に安定させ、それにより二次側の周波数の変動に伴う感度の変化を抑制して異常検出精度を向上させることができる。
参考例
図2は本発明の参考例を示している。なお、図1と共通する部分には同一符号を付してある。参考例の異常検出装置20では、図1の抵抗11に代えて、始動抵抗2をスター接続された抵抗として用いている。始動抵抗2間の中性点3が接地用抵抗13を介して接地され、その接地用抵抗13を流れる電流が電流計14で検出され、かつ中性点3の対地電位が電圧計15で検出される。
以上の構成によっても、第1の形態と同様に二次側に異常が発生した際に中性点3の平衡が崩れるため、電流計14又は電圧計15の検出値により異常の発生を検出することができる。また、この形態では図1のような抵抗11を別に設ける必要がないので、部品点数を削減できる利点がある。
上記の各形態では電流計14及び電圧計15の両者を設けているが、いずれか一方のみを利用して異常検出をしてもよい。また、電流計14による不平衡電流の検出と電圧計15による対地電圧の検出の両者を条件として異常発生として判断してもよい。電流計14及び電圧計15を処理装置に接続して、所定の条件が満たされたか否かにより異常発生の有無を自動的に判定し、異常発生と判断されたときに予め定められた処理(例えば警報の出力、モータの強制停止等)を自動的に実行するようにしてもよい。
[実施例1]
図1に示す異常検出装置10を利用して異常検出を行った。モータ1をAC100V、55KWとし、抵抗11は1kΩ、接地用抵抗13は50Ωとした。電圧計15の検出値が0.4V(電流換算で0.4mA)以内である場合に正常とし、検出値が0.5V以上を示した場合に異常と判定した。原理的には正常時の電圧指示は0Vとなるが、誤差等を考慮して電圧の検出値が0.4V以内であれば許容範囲とみなしている。なお、運用面(メンテナンス面)の都合からは接地抵抗が約500kΩまでを許容範囲と定めることができる。
[実施例2]
図2に示す異常検出装置20を利用して異常検出を行った。モータ1をAC100V、55KWとし、接地用抵抗13は100KΩとした。電圧計15の検出値が30V(0.3mA×100KΩ)程度で異常と判定した。
本発明の第1の形態に係る異常検出装置を含んだモータの駆動回路の構成を示す図。 本発明の参考例に係る異常検出装置を含んだモータの駆動回路の構成を示す図。
符号の説明
1 モータ
2 始動抵抗
3 始動抵抗間の中性点
4 接触器
10、20 異常検出装置
11 抵抗
12 中性点
13 接地用抵抗
14 電流計
15 電圧計

Claims (2)

  1. 三相巻線型誘導モータの二次側のそれぞれの相に対して始動抵抗とは別に抵抗をスター接続して該抵抗間に中性点を形成し、前記中性点を接地用抵抗を介して接地し、前記接地用抵抗を流れる電流、又は前記中性点の対地電位の少なくともいずれか一方を検出し、その検出結果に基づいて前記二次回路の異常を検出する三相巻線型誘導モータの異常検出方法。
  2. 三相巻線型誘導モータの二次側のそれぞれの相に対して始動抵抗とは別にスター接続された抵抗と、
    前記抵抗間に形成される中性点と接続された接地用抵抗と、
    前記接地用抵抗を流れる電流、又は前記中性点の対地電位の少なくともいずれか一方を検出する検出手段と、
    を備えたことを特徴とする三相巻線型誘導モータの異常検出装置。
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