JP4429979B2 - キャリア付き極薄銅箔及びキャリア付き極薄銅箔の製造方法 - Google Patents
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Description
この配線板は、各種電子部品の高度集積化に対応して、配線パターンも微細な線幅や線間ピッチ、いわゆるファインパターンプリント配線板としての要求が高まってきている。例えば、半導体パッケージに使用されるプリント配線板の場合は、線幅や線間ピッチがそれぞれ30μm前後という高密度極微細配線を有するプリント配線板の提供が要求されている。このようなファインパターンプリント配線板用の銅箔として、厚い銅箔を用いると、エッチングによる配線回路形成時のエッチング時間が長くなり、その結果、形成される配線パターンの側壁の垂直性が崩れ、形成する配線パターンの配線線幅が狭い場合には断線に結びつくこともある。従って、ファインパターン用途に使われる銅箔としては、厚さ9μm以下の銅箔が要望され、現在では、厚さが5μm程度の銅箔が最も多く使用され、更に薄箔化が求められている。
上述したように、現在多用されている5μm厚さの銅箔はキャリア付き極薄銅箔として提供されている。
キャリア付き極薄銅箔は、キャリア箔の片面に、剥離層と電気銅めっき層がこの順序で形成されたものであり、該電気銅めっき層の表面が粗化面に仕上げた粗化処理層が設けられている。
このように基板の厚さは薄くしたいが銅箔との接着強度は維持しなければならない、との要望がなされている。
上述したように、ファインパターン化及び優れた屈曲特性を得るためには、極薄銅箔表面の平滑化と粗化処理層の粒子の小径化を行うことが必要であるが、一方で、極薄銅箔と基板間の接着強度を低下させるという問題が発生する。
本発明は、このような問題を解決し、ポリイミドフィルム基板の厚さを薄くし、薄くした基板に極薄銅箔を強固に接着でき、基板の絶縁信頼性を損なわずに、プリント配線として狭ピッチ化、高密度実装化に対処できるキャリア付き極薄銅箔、該極薄銅箔を用いたポリイミド系フレキシブル銅張積層板、並びにポリイミド系フレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
また、前記表面処理層の表面にシランカップリング剤処理が施されていることが好ましい。
また、本発明のキャリア付き極薄銅箔の製造方法は、キャリア箔、剥離層、極薄銅箔をこの順に積層し、前記極薄銅箔表面をクロメート処理して、Cr量にして0.03〜1.0mg/dm 2 含有するクロメートからなる表面処理層を形成することを特徴とする。
さらに本発明のキャリア付き極薄銅箔の製造方法は、キャリア箔、剥離層、極薄銅箔をこの順に積層し、前記極薄銅箔表面に、Cr又は/Cr合金による表面処理を施し、Cr量にして0.03〜1.0mg/dm 2 含有するCr又は/Cr合金からなる表面処理層を形成することを特徴とする。
また、本発明は前記キャリア付き極薄銅箔を用い、狭ピッチ化、高密度実装化に対処できるフレキシブル銅張積層板、並びにポリイミド系フレキシブル銅張積層板を用いて作成した狭ピッチ、高密度実装フレキシブルプリント配線板を提供することができる。
また、キャリア箔の表面粗さRzは0.1μm〜3μmが好ましい。粗さRzが0.1μm以下では現実的に量産することは困難であり、また3μm以上では、後述するように該キャリア箔表面の粗さが極薄銅箔表面に転写されるためファインパターン化に適さないからである。
例えば、クロム合金としては、二元系合金としては、ニッケルークロム、コバルトークロム、クロム−タングステン、クロム−銅、クロム−鉄、クロムーチタンがあげられる。また、三元系合金としては、ニッケル−鉄−クロム、ニッケル−クロム−モリブデン、ニッケル−クロム−タングステン、ニッケル−クロム−銅、ニッケル−クロム−リン、コバルト−鉄−クロム、コバルト−クロム−モリブデン、コバルト−クロム−タングステン、コバルト−クロム−銅、コバルト−クロム−リン等があげられる。
これらの剥離層を形成する金属及びそれらの水和酸化物は電気めっきにより形成することが好ましい。なお、加熱プレス等高温使用環境における剥離性の安定化を図る上で、剥離層の下地にNi、Feまたはこれらの合金層を設けると効果的である。
なお、極薄銅箔の形成は、剥離層を安定に存在させるためにpH3〜12の間にある銅めっき浴を使用することが好ましい。これらのめっき浴を使用することで剥離層の剥離性を損なわずにめっきを行うことができる。
また、剥離層上へのめっきは、その剥離性ゆえに、均一なめっきを行うことが非常に難しいことから、めっき条件によっては形成される極薄銅箔にピンホールの数が多くなることがある。このような条件のもとでのめっきでは、先ず剥離層の上にストライク銅めっきを行い、ストライクめっき層の上に更に銅をめっきすることで剥離層上に均一なめっきを施すことができ、極薄銅箔のピンホールの数を著しく減少することができる。
なお、剥離層上に形成する極薄銅箔の表面は平滑であることが好ましいことから柱状結晶より粒状結晶の方が望ましい。
キャリア付き極薄銅箔表面に設けるNi層の被覆量としては、少なすぎると樹脂層の接着強度が低下し、多すぎるとパターン形成のエッチング時にファインパターンの形成が困難になるので、少なくとも金属Ni換算で0.03〜3.0mg/dm2、好ましくは0.05〜1.0mg/dm2である。
また、表面処理キャリア付き極薄銅箔に防錆処理を施こすと良い。防錆処理としてはZn処理又は/及びZn−クロメート処理、ベントリ処理などがある。
なお、以下の実施例は、本発明の一般的な説明をする目的で記載するものであり、何ら限定的意味を持つものではない。
(1)キャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔作製条件
めっき浴:
Cu :30〜130g/l
H2SO4 :80〜140g/l
電流密度 :10〜70a/dm2
浴温 :30〜60℃
めっき浴:
Cu :20〜35g/l
H2SO4 :110〜160g/l
電流密度 :10〜50a/dm2
浴温 :15〜35℃
NiSO4/7H2O :220〜360g/l
H3BO3 :20〜50g/l
電流密度 :1〜5a/dm2
浴温 :15〜35℃
CrO3 :10〜300g/l
H2SO4 :0.1〜3g/l
電流密度 :1〜10a/dm2
浴温 :15〜35℃
CrO3 :0.5〜3g/l
電流密度 :1〜4a/dm2
浴温 :15〜30℃
3-アミノプロピルトリエトキシシラン :0.1〜0.5%溶液を塗布
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.2mg/dm2のNiめっき処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして1.0mg/dm2のNiめっき処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Cr量にして0.1mg/dm2のクロメート処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Cr量にして0.5mg/dm2のクロメート処理を施した.
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Cr量にして0.5mg/dm2のCrめっき処理を施した.
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.2mg/dm2のNiめっき処理を施し、更に金属Cr量にして0.1mg/dm2のクロメート処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.2mg/dm2のNiめっき処理を施し、更に金属Cr量にして0.1mg/dm2のCrめっき処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.4mg/dm2のNiめっき処理、金属Cr量にして0.2mg/dm2のクロメート処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.4mg/dm2のNiめっき処理し、金属Cr量にして0.2mg/dm2のクロメ―ト処理を施し、更にシランカップリング剤処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、粗化銅粒量0.02g/dm2の粗化処理を施し、更にNi量にして0.4g/dm2のNiめっき処理、金属Cr量にして0.2mg/dm2のクロメート処理、シランカップリング剤処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、粗化銅粒量0.08g/dm2の粗化処理を施し、Ni量にして0.4mg/dm2のNiめっき処理、金属Cr量にして0.2mg/dm2のクロメート処理、シランカップリング剤処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、金属Cr量にして0.02mg/dm2のクロメート処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Ni量にして0.01mg/dm2のNiめっき処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Zn量にして0.1mg/dm2のZnめっき処理を施し、更に金属Cr量にして0.02mg/dm2のクロメート処理を施した。
キャリア銅箔付き極薄銅箔の表面(キャリア箔に接着している面と反対側の面)に、Zn量にして0.12mg/dm2のZnめっき処理を施し、更に金属Cr量にして0.02mg/dm2のクロメート処理を施した。
Ni量を0.2mg/dm2被覆した実施例1、Ni量を1.0mg/dm2被覆した実施例2、クロメート層を金属Cr量で0.1mg/dm2被覆した実施例3、クロメート層を金属Cr量として0.5mg/dm2被覆した実施例4、クロム層を金属Cr量として0.5mg/dm2被覆した実施例5、Ni量を0.2mg/dm2被覆し、更にクロメート層を金属Cr量として0.1mg/dm2被覆した実施例6、Ni量を0.2mg/dm2被覆し、更にCr層を金属Cr量として0.1mg/dm2被覆した実施例7は比較例1〜3に比較してピール強度が向上している。
なお、比較例においても実施例と同じ条件で配線ピッチL/S=25/25のファインパターンを形成したが、何れもピール強度が不足し、満足する配線板を作成することができなかった。
Claims (5)
- キャリア箔、剥離層、極薄銅箔がこの順に積層されているキャリア付き極薄銅箔の前記極薄銅箔表面に、Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層が形成され、該Ni層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr又は/及びCr合金からなるめっき層が形成されているキャリア付き極薄銅箔。
- 前記極薄銅箔表面を平均粒径1μm以下の銅粒により粗化処理層が形成され、該粗化処理層の表面に前記Ni層又は/及びNi合金層、その上に前記Cr又は/及びCr合金からなるめっき層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャリア付き極薄銅箔。
- 前記めっき層の表面にシランカップリング剤処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリア付き極薄銅箔。
- キャリア箔、剥離層、極薄銅箔をこの順に積層し、前記極薄銅箔表面にNi量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層を形成し、該Ni層又は/及びNi合金層の上に、Cr量にして0.03〜1.0mg/dm 2 含有するCr又はCr合金からなるめっき層を形成するキャリア付き極薄銅箔の製造方法。
- 前記めっき層の表面にシランカップリング剤処理を施す請求項4に記載のキャリア付き極薄銅箔の製造方法。
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