JP4427875B2 - 金属の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面欠陥の少ない鋳片を得る金属の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造において、溶融金属(溶湯)を鋳型に注入する際には、浸漬ノズルを用いる場合が多い。この場合、溶湯表面の流速が大きすぎると溶湯上部のモールドフラックスを巻き込んだり、また、溶湯表面の流速が小さすぎると、その位置で溶湯が淀んで偏析し、最終的に表面偏析となることがあった。かかる表面欠陥を軽減する手段として、鋳型内溶湯に静磁界および/または移動磁界(交流移動磁界)を印加して溶湯の流速を制御する方法が知られている。
【0003】
しかし、静磁界で溶湯流を制動(電磁ブレーキ)しようとする際には、特に、溶湯の淀み位置での偏析が、また、移動磁界で溶湯を攪拌(電磁攪拌)しようとする際には、流速が大きい位置でのモールドフラックスの巻き込み(フラックス巻き込み)が、それぞれ発生し易いという問題があった。
この問題に対処すべく、磁場のかけ方を工夫した提案が幾つかなされている。例えば、特開平9−182941号公報には、移動磁界による溶湯の攪拌方向を周期的に反転させて、攪拌部より下方への介在物の拡散を防ぐ方法が開示され、また、特開平8−187563号公報には、鋳型振動に応じて高周波電磁力の大きさを変化させてブレークアウトを防止する方法が開示され、また、特開平8−267197号公報には、電磁制動力切り換え時の磁束密度変化率に傾斜をもたせて溶鋼流動の変化を小さくし介在物欠陥を防止する方法が開示され、また、特開平8−155605号公報には、鋳型厚み方向に連続する低電気伝導層を介して10〜1000Hzの水平方向移動磁界を印加して溶湯にピンチ力を加えて鋳型と溶湯間の接触圧を低減する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、何れの方法においても、移動磁界により大きなマクロ溶湯流動が誘起され、あるいは、静磁界の小さいところで溶湯流速が大きくなり、フラックス巻き込みや表面偏析を十分に防止できるまでに至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の限界を打破し、フラックス巻き込みや表面偏析のほとんどない鋳片が得られる金属の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意実験、調査、検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
1)静磁界による溶湯流動制御は、フラックス巻き込み防止および介在物侵入防止に極めて有効であるが、磁場が強いときには、図1左半分に示すように、流速が小さくなり溶湯表面での凝固によって偏析を引き起こす。
【0007】
2)移動磁界による溶湯流動制御では、図1右半分に示すように、溶湯流速が大きくなるため、フラックス巻き込みが発生しやすい。
すなわち、溶湯表面で流速の小さな領域が発生し、そこで半凝固状態になると偏析が発生し、最終的に製品欠陥を引き起こすが、これを回避するために大きなマクロ流動を与えると、フラックス巻き込みが助長され、新たな欠陥が引き起こされる。
【0008】
3)フラックス巻き込みを抑制しつつ溶湯表面での半凝固を防止するためには、静磁界を間欠的に印加する方法が極めて効果的である。
本発明は、かかる知見を基になされたものである。
すなわち、本発明は、鋳造厚み方向に静磁界を印加しながら鋳造する金属の連続鋳造方法において、オン時間t1 =0.10〜30秒、オフ時間t0 =0.10〜30秒として前記静磁界を間欠印加することを特徴とする金属の連続鋳造方法である。ここに、間欠印加とは、印加(オン)と無印加(オフ)を交互に繰り返すことを意味する。
【0009】
前記静磁界は溶湯表面に印加するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、フラックス巻き込みを防止するために鋳型厚み方向に静磁界を作用させながら鋳造するが、従来のような定常的に一定磁場をかけ続ける(オン状態を保持する)ことは行わず、図2に示すように、磁場のオン/オフを交互に繰り返す間欠印加を行うものとする。ここに、オン時間をt1 、オフ時間をt0 と記す。
【0011】
かくすることにより、オン/オフ時に、磁場の作用領域で渦電流のベクトルが大きく変化し、当該領域で溶湯のミクロな流れが発生する。このミクロな流れによって、溶湯表面近くの半凝固を防止して表面偏析をほぼ完全になくすことができる。
このように、本発明によれば、フラックス巻き込みと表面偏析とを両方とも防止しうるのであるが、その効果の程は、オン時間t1 とオフ時間t0 のとり方によって変わる。すなわち、t1 およびt0 が短すぎると交流磁界を印加している状態に近づくため、溶湯表面流速を十分低減することができず、フラックス巻き込みが発生するようになり、また、t0 が長すぎると溶湯の流速が大きくなって、フラックス巻き込み防止効果が不十分となり、また、t1 が長すぎると溶鋼流速が小さくなりすぎて表面偏析が目立つようになる。
【0012】
そこで、フラックス巻き込みと表面偏析を両方とも十分に抑制できるt0 とt1 の範囲を実験により求めたところ、t0 =0.10〜30秒、t1 =0.10〜30秒という結果が得られた。すなわち、本発明では、t0 =0.10〜30秒、t1 =0.10〜30秒として間欠印加する。
また、本発明の効果は、静磁界を溶湯表面に印加した場合に最も顕著に現れるので、そのようにするのが好ましいが、溶湯内部に印加した場合でも、その影響力が内部溶湯流れを介して表面の溶湯流れに伝達される場合には、同様の効果が期待される。
【0013】
以上に述べたように、本発明によれば、表面偏析がなくフラックス巻き込みも少ない高品質の金属鋳片を鋳造することができるようになる。
【0014】
【実施例】
転炉−RH処理にて溶製した極低炭素Alキルド溶鋼(代表化学組成を表1に示す)約300tonを、連続鋳造機にて、図3に示すように、浸漬ノズル3を用いて鋳型1に鋳込み速度4〜5ton/min で鋳込み、幅1500〜1700mm、厚み220mm のスラブを鋳造するにあたり、鋳型1の溶湯表面2相当位置を含む部位に鋳型1を挟んで対設した電磁コイル4により鋳造厚み方向(紙面直交方向)に最大磁束密度0.3 Tの静磁界を種々の条件で印加しながら鋳造する実験を行った。
【0015】
【表1】
【0016】
この実験では、静磁界印加条件毎に、表面偏析、フラックス性表面欠陥、介在物量の3項目を以下の要領で調査した。
〔表面偏析〕スラブ研削後、エッチングを行い目視観察によって1m2 当たりの偏析個数をカウント
〔フラックス性表面欠陥〕冷間圧延後のコイルの表面欠陥を目視検査し、欠陥サンプルを採取後、欠陥部を分析することによってモールドフラックスの巻き込みによる欠陥個数をカウント
〔介在物量〕鋳片の1/4 厚み部位からスライム抽出法によって介在物を抽出し、その重量を測定
結果を静磁場印加条件と併せて表2に示す。なお、上記3項目の評価値は何れも指数(全条件中のワーストデータに対する比を10倍した数値)で表示した。
【0017】
【表2】
【0018】
表2より、静磁場を間欠印加した本発明の実施例では、表面偏析がなくなり、フラックス性表面欠陥と介在物量が低減した。なかでも、オフ時間t0 およびオン時間t1 を0.10〜30秒とした実施例1〜6では、フラックス性表面欠陥と介在物量がより一層低減した。また、静磁場を一定強さで印加する比較例では、静磁界の強さを増すとフラックス性表面欠陥および介在物量は減少するが表面偏析が増加するというジレンマに陥るのに対し、静磁場を間欠印加する本発明では、かかるジレンマはなく、表面偏析、フラックス性表面欠陥および介在物量を共に減少させうることがわかる。
【0019】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、表面偏析がなく、モールドフラックス起因の表面欠陥および内部介在物の少ない金属鋳片を鋳造でき、高品質の金属製品の製造が可能になるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラックス巻き込みと表面偏析の発生機構を示す模式図である。
【図2】本発明の骨子を示す模式図である。
【図3】静磁界印加鋳造実験要領を示す模式図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 溶湯表面
3 浸漬ノズル
4 電磁コイル
5 凝固シェル
Claims (2)
- 鋳造厚み方向に静磁界を印加しながら鋳造する金属の連続鋳造方法において、オン時間t1 =0.10〜30秒、オフ時間t0 =0.10〜30秒として前記静磁界を間欠印加することを特徴とする金属の連続鋳造方法。
- 前記静磁界は溶湯表面に印加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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