JP4495824B2 - 情報処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、主画像情報(人物の顔画像など)に別の付加的な副画像情報(セキュリティ情報など)を合成して記録媒体に記録したり、その記録された合成画像情報からその中に埋込まれた副画像情報を検知する情報処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報の電子化やインターネットの普及に伴って電子透かし、電子署名などの技術が重要視されるようになってきた。この技術は、主画像情報に副画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込み記録するもので、たとえば、顔画像が印刷された身分証明証や著作権情報を埋込んだ写真に対する不正コピー、偽造、改ざん対策に有効である。
【0003】
たとえば、「カラー濃度パターンによる画像へのテキストデータの合成符号化法」、画像電子学会誌、17−4(1988)、pp194〜198では、疑似階調表現されたデジタル画像に情報を重畳する方法が開示されている。
【0004】
また、特開平9−248935号公報では、カラー画像の中にモノクロ2値画像を色差を利用して埋込む方法について開示している。
【0005】
さらに、特開平6−40190号公報では、IDカードに特定の細線もしくは網点パターンを有する透明フィルムまたは特定の周波数を有するレンチキュラーフィルムを重ねると、異なったモアレが発生することにより、偽造、改ざんを防止する方法を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、「カラー濃度パターンによる画像へのテキストデータの合成符号化法」では、真偽判定のために埋込まれた副画像情報を復元するためには、高精細の読取手段を用いて画像情報を読取った後、画像処理により復元処理を行なう必要がある。
【0007】
また、特開平9−248935号公報では、シート状のマスクを画像情報の上に重ねることにより、埋込んだ副画像情報を復元することが可能ではあるが、両者を一致させるためには記録時および復元時において非常に高い精度が必要である。
【0008】
さらに、特開平6−40190号公報では、真偽判定のための副画像情報は人間の視覚で認知できる状態で作成されているため、容易に真偽判定のために重要な情報の格納場所が分かってしまい、著しくセキュリティ性が弱い。
【0009】
これらのように、真偽判定の容易さと真偽判定のセキュリティ性の両立を取ることは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、人間の肉眼で判読可能状態の主画像情報に対して、人間の肉眼で判読不可能状態で副画像情報を埋込むことができ、かつ、その副画像情報を簡易な方法で検知することができるため、真偽判定が簡単に行なうことが可能になる情報処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理方法は、人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、副画像情報となる複数の異なるパターン画像情報を作成するステップと、前記作成された主画像情報を複数の領域に分割するステップと、この主画像情報の分割された複数の領域と前記作成された複数のパターン画像情報とを対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記複数のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップと、前記作成された複数のパターン画像情報の中から1つのパターン画像情報を選択するステップと、前記記録媒体上に記録された合成画像情報の上に、前記選択されたパターン画像情報と同一パターンの光透過分布率を有するシート状のマスクを物理的に重ね合わせた後、両者を相対運動させることにより前記副画像情報を検知するステップとを具備している。
【0014】
また、本発明の情報処理方法は、人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、基準となる第1のパターン画像情報を作成するステップと、この作成された第1のパターン画像情報を所定の角度回転させて第2のパターン画像情報を作成するステップと、あらかじめ用意された副画像情報となる2値画像の背景部分と非背景部分に対応して前記作成された主画像情報を2つの領域に分割するステップと、前記2値画像の非背景部分に前記作成された第1のパターン画像情報を対応づけるとともに、前記2値画像の背景部分に前記作成された第2のパターン画像情報を対応づけるステップと、これら対応づけられた第1、第2のパターン画像情報と前記主画像情報の分割された2つの領域とをそれぞれ対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記第1、第2のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップとを具備している。
【0015】
また、本発明の情報処理方法は、人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、基準となる第1のパターン画像情報を作成するステップと、この作成された第1のパターン画像情報を所定の角度回転させて第2のパターン画像情報を作成するステップと、あらかじめ用意された副画像情報となる2値画像の背景部分と非背景部分に対応して前記作成された主画像情報を2つの領域に分割するステップと、前記2値画像の非背景部分に前記作成された第1のパターン画像情報を対応づけるとともに、前記2値画像の背景部分に前記作成された第2のパターン画像情報を対応づけるステップと、これら対応づけられた第1、第2のパターン画像情報と前記主画像情報の分割された2つの領域とをそれぞれ対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記第1、第2のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップと、前記作成された第1、第2のパターン画像情報のいずれか一方を選択するステップと、前記記録媒体上に記録された合成画像情報の上に、前記選択されたパターン画像情報と同一パターンの光透過分布率を有するシート状のマスクを物理的に重ね合わせた後、両者を相対運動させることにより前記副画像情報を検知するステップとを具備している。
【0018】
本発明によれば、人間の肉眼で判読可能状態の主画像情報に対して、人間の肉眼で判読不可能状態で副画像情報を埋込むことができ、かつ、その副画像情報を簡易な方法で検知することができる。したがって、人物の顔画像などの真偽判定が簡単に行なうことが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理方法の全体の流れを説明するための流れ図を示しており、以下、この流れ図を参照して情報処理方法の全体の流れを説明する。
【0022】
図1において、主画像情報101は、たとえば、身分証明書などに用いる人物の顔画像であり、あらかじめ撮影しておいた顔写真をスキャナ入力処理106により入力することにより作成するか、カメラ撮影処理107により人物の顔画像を直接撮影することにより作成したデジタルデータである。
【0023】
副画像情報となるパターン画像情報102は、パターン画像入力処理108またはパターン画像作成処理109により作成する。このパターン画像情報102は、本実施の形態では横4画素、縦2画素を基本サイズとした長方形の白と黒の周期的な繰り返しパターンを用いている。
【0024】
次に、合成処理110において、先に作成した主画像情報101とパターン画像情報102とを合成することにより、主画像情報101の中にパターン画像情報102を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報103を作成する。合成処理110の詳細な内容については後述する。
【0025】
次に、印刷処理111において、合成処理110で作成した合成画像情報103を、たとえば、昇華型熱転写プリンタなどの記録手段を用いて、記録媒体としての身分証明書105の顔画像印刷部に印刷(記録)することにより、身分証明書105上の合成画像104が作成される。この身分証明書105上の合成画像104が認証用の顔画像として使用される。この合成画像104は、人間の肉眼では主画像情報101と同一の画像に見える。
【0026】
このようにして作成された身分証明書105は、以下に説明する真偽判定処理112により真偽判定を行なうことができる。まず、あらかじめパターン画像情報102と同一パターンの光透過分布率を有するシート状のマスク(以下、マスクシートと称す)113を作成しておく。このマスクシート113を身分証明書105上の合成画像104上に重ね合わせて、両者を相対運動させる。
【0027】
そうすると、後述する原理により、モアレ縞が発生するので、このモアレ縞が発生した場合は身分証明書105が正しく、発生しない場合は偽造と判定できる。このときの相対運動は、上下や左右に直線的に往復させるか、どちらかを固定して他方を回転運動させる。
【0028】
次に、パターン画像情報102を作成する方法について説明する。パターン画像情報102はある一定の周期を持った格子パターンを用いる。本実施の形態では、図2に示すように、たとえば、横4画素、縦2画素のサイズを基本とした長方形の黒パターン201と白パターン202の繰り返しパターンを用いる(格子の周期は横8画素、縦4画素となる)。このパターン画像情報102の縦と横は相対的なものであるから、横のサイズが縦のサイズよりも大きい必要はなく、格子の横画素サイズと縦画素サイズとの比は、
a/b>1
a:パターン画像情報の格子の横サイズと縦サイズの大きい方の数値
b:パターン画像情報の格子の横サイズと縦サイズの小さい方の数値
であることが必要で、できれば「2〜8」くらいの比率が望ましい。
【0029】
次に、図3ないし図5を用いて合成処理110について説明する。主画像情報101は、たとえば、認証用顔画像などの自然画像の画像情報で、1画素当たり24ビット(RGB各8ビット、0〜255の範囲)の情報を持っている。
【0030】
主画像情報101の例を図4および図5に示す。ここでは説明を簡単にするために、主画像情報101は(R,G,B)=(127,127,127)の一様なグレーとし、その一部分を12×12画素のサイズに切り出している。なお、図4は主画像情報101の赤成分、図5は主画像情報101の緑成分を示しており、青成分は省略している。
【0031】
パターン画像情報102は、規則的な周期の格子パターンで構成されていて、主画像情報101の中に人間が肉眼で判読不可能状態で埋込まれている画像情報であり、1画素あたり1ビット(0〜255の範囲)の情報を持っている。
【0032】
パターン画像情報102の例を図6に示す。パターン画像情報102は、主画像情報101と同じく、その一部分を12×12画素のサイズに切り出している。パターン画像情報102は、横4画素×縦2画素の黒と白の長方形を周期的に繰り返した格子パターンで構成されていて、“1”が黒色を、“0”が白色を表現している。
【0033】
まず最初に、色差変調処理ステップ301において、下記式(a−1)〜(a−2)の規則にしたがい、パターン画像情報102に対して色差変調処理を行なうことにより、色差変調パターン画像情報を作成する。これは、あらかじめ色差変調量ΔV(0〜255の範囲)を設定しておく。そして、パターン画像情報102の各画素単位の値に応じて、黒画素を「1」に割り当て、白画素を「−1」に割当て、それぞれの値に対して色差変調量ΔVの値を掛けあわせる。これを全てのパターン画像情報102に対して行なう。ここに、色差変調処理結果の例を図7に示す。
【0034】
CDMP(i,j)=(+1)*ΔV……PAT(i,j)=黒の時 …… (a−1)
CDMP(i,j)=(-1)*ΔV……PAT(i,j)=白の時 …… (a−2)
CDMP(i,j):(x=i,y=j)位置の時の色差変調パターン画像情報の値
PAT(i,j):(x=i,y=j)位置の時のパターン画像情報の値
ΔV:色差変調量
色差変調量ΔVはあらかじめ設定してある「0〜255」の範囲の整数である。色差変調量ΔVが大きいほど真偽判定時の可視化のコントラストが高くなり、判定が容易ではあるが、あまり大きくしすぎると合成画像情報の乱れが多くなり、画質劣化が生じやすくなる。したがって、色差変調量ΔVは、「16〜96」くらいが望ましいが、ここではΔV=48を用いている。
【0035】
次に、重畳処理ステップ302において、上記のように処理して得られた色差変調パターン画像情報と先に作成された主画像情報101に対して、下記式(b−1)〜(b−2)で示される重畳処理を行なうことにより、合成画像情報103を作成する。
【0036】
DES-R(i,j)=SRC-R(i,j)+CDMP(i,j) …… (b−1)
DES-G(i,j)=SRC-G(i,j)-CDMP(i,j) …… (b−2)
DES-B(i,j)=SRC-B(i,j)-CDMP(i,j) …… (b−3)
DES-R(i,j):(x=i,y=j)位置の時の合成画像情報の値(赤成分)
DES-G(i,j):(x=i,y=j)位置の時の合成画像情報の値(緑成分)
DES-B(i,j):(x=i,y=j)位置の時の合成画像情報の値(青成分)
SRC-R(i,j):(x=i,y=j)位置の時の主画像情報の値(赤成分)
SRC-G(i,j):(x=i,y=j)位置の時の主画像情報の値(緑成分)
SRC-B(i,j):(x=i,y=j)位置の時の主画像情報の値(青成分)
なお、 DES-R(i,j)、DES-G(i,j)、DES-B(i,j)は、それぞれ「0〜255」の範囲の整数なので、計算結果が「0」以下の場合は「0」に設定し、「255」以上の場合は「255」に設定する。
【0037】
図8および図9に重畳処理の結果例を示す。図8は赤成分の結果、図9は緑成分の結果を示す。
【0038】
前記式(a−1)および(a−2)で示すように、パターン画像情報102の周期に対応して色差変調量ΔVに対する係数の符号が「+1」と「−1」の値を交互に取る。したがって、パターン画像情報102の1周期に対して積分すると、色差変調量は打ち消し合い、総和は零となるため、パターン画像情報102の格子の周期に関して、
ΣDES-R(i,j)=ΣSRC-R(i,j) …… (c−1)
ΣDES-G(i,j)=ΣSRC-G(i,j) …… (c−2)
ΣDES-B(i,j)=ΣSRC-B(i,j) …… (c−3)
となり、さらに、画像の全体領域に対しても上記式(c−1)〜(c−3)が成立するため、合成画像情報103において主画像情報101の全体の雰囲気は変化せず、保たれている。
【0039】
実際に、図8や図9の12×12画素のデータ値を平均すると「127」となり、主画像情報のデータ値の統計値(平均値)が保存されていることがわかる。したがって、重畳処理結果の画像情報(=合成画像情報)は、一見個々の画素のデータ値を見ると、主画像情報と異なっているが、画像情報の平均値などの統計値は保存されているため、マクロ的な視点、たとえば、12×12画素サイズでみると、両者は区別をつけるのが難しくなる。
【0040】
さらに、前記式(a−1)および(a−2)で示すように、パターン画像情報102の周期に対応して色差変調量ΔVに対する係数の符号が「+1」と「−1」の値を交互に取る。ここで、緑成分と青成分の符号は一致し、赤成分と他の2つの成分の符号は一致しないようにする。これは補色の関係を利用しているからである。本実施の形態では、赤−シアン色の補色をペアで使用している。赤成分の符号を正(+)にするときは、補色のシアン成分である緑成分と青成分の符号を負(−)にし、赤成分の符号を負(−)にするときは、シアン成分を構成する緑成分と青成分の符号を正(+)としている。
【0041】
このように、前記式(a−1)と(a−2)の符号を決めることにより、パターン画像情報102の値が黒のときは合成画像情報103の値は赤色が強調され、パターン画像情報102が白のときは合成画像情報103の値はシアン色が強調されるため、合成画像情報103はパターン画像情報102の格子の周期に対応するように赤色とシアン色の格子成分が埋込まれる。
【0042】
図8において、データ値=175の画素は赤色が強調されている画素、データ値=79の画素はシアン色が強調されている画素である。
【0043】
赤色成分の多い画素では緑色と青色が少なくなっていて、赤色の少ない画素では他の成分が多くなっている。赤色と(緑色、青色)=シアン色は補色の関係にあり、赤色とシアン色が隣り合っていても、人間の目には判別しにくく、無彩色に見える。パターン画像情報102の格子の周期単位で赤色リッチな画素とシアン色リッチな画素が繰り返し配置されているため、画素密度が細かくなっていくと、人間の目ではこれらの細かな色差の違いを識別できず、色差量はプラスマイナス「0」と判断してしまう。
【0044】
したがって、
合成画像情報≒主画像情報 …… (d)
と間違って判断してしまい、画像が埋込まれていることを区別できなくなる。したがって、この原理により、パターン画像情報102を不可視状態で主画像情報101に埋込んだ合成画像情報103を作成することが可能になる。
【0045】
この合成画像情報103を高精細な、たとえば、300dpiの昇華型熱転写プリンタで印刷記録すると、人間の肉眼では判別が難しく、両者の区別はつかない。
【0046】
合成画像情報103は、見かけ上は通常の画像情報となんら変わりがないので、たとえば、JPEGやTIFFなどの汎用画像フォーマットが使用でき、また、一般の画像情報を扱うことのできるアプリケーションで処理が可能なため、システム構築が比較的容易にできる。
【0047】
また、システム内で合成画像情報103の画像フォーマットを他のものに変換しても、埋込まれたパターン画像情報102はそのまま残り問題は生じない。
【0048】
合成画像情報103を昇華型熱転写プリンタのような高精細カラープリンタなどで印刷記録したものを身分証明書などに張り付けて使用するわけだが、そのときにシステム側では、使用された身分証明書の認証用顔画像の中に不可視状態で埋込まれた、副画像情報であるパターン画像情報102を検知することにより、身分証明書の真偽判定が可能になる。
【0049】
副画像情報であるパターン画像情報102の検知には、図6に示したパターン画像情報102を用いる。パターン画像情報102とカラープリンタなどで印刷された主画像情報の画素サイズや画素位置が1:1で対応するように、パターン画像情報102の値が黒(=1)の部分は光が透過しないように黒パターンにして、パターン画像情報102の値が白(=0)の部分は光が透過するように透明パターンにしたマスクシート113を作成する。そして、このマスクシート113を印刷された合成画像104の上に物理的に重ね合わせる。
【0050】
図10に、印刷された合成画像104を模式化した例を示す。前述のように一様なグレーの主画像情報101を用いて合成画像104を作成した場合、赤色とシアン色の周期的な格子が埋込まれる。図10において、文字Rを付した画素は赤色がリッチな画素であり、文字Cを付した画素はシアン色がリッチな画素を示している。
【0051】
図10の合成画像104に前述のマスクシート113を重ねた場合の結果を図11および図12に模式的に示す。図11は合成画像104とマスクシート113との位置がぴったり一致した場合であり、図12は合成画像104とマスクシート113とが格子の半周期だけずれた場合である。図11、図12において、斜線を付した画素はマスクシート113によりマスクされていることを示す。
【0052】
図11では、文字Rを付した画素の部分がマスクされて文字Cを付した画素のみが透過されて見える。したがって、この状態では黒のマスクの隙間にシアンの格子が見える。図12では、文字Cを付した画素の部分がマスクされて文字Rを付した画素のみが透過されて見える。したがって、この状態では黒のマスクの隙間に赤色の格子が見える。
【0053】
印刷された合成画像104の上にマスクシート113を重ねて見ると、図11もしくは図12もしくはそれらの中間の状態が見える。ここで、印刷された合成画像104を固定して、マスクシート113を上下もしくは左右に相対運動させると、図11と図12の状態が交互に現われることになり、黒いマスクの中にシアン色と赤色の格子が交互に見えるようになる。
【0054】
ここで、赤色とシアン色の格子が交互に見えるかどうかで、合成画像104の真偽判定を行なうことができる。
【0055】
なお、印刷された合成画像104とマスクシート113との相対運動は精密に行なう必要はなく、前述のような上下左右にきちんと動かす必要はなく、回転運動でも構わない。その場合は、マスクされたことにより見える赤色もしくはシアン色の格子とマスクシート113の黒い格子の微妙なずれによりモアレ縞が見えるため、このモアレ縞の有無により真偽判定を行なうことができる。
【0056】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0057】
第2の実施の形態では、副画像情報としてのパターン画像情報102として複数個(N個)のパターン画像情報を使用する。ここでは、N=2の場合について説明する。
【0058】
図13は、2種類のパターン画像情報を示している。第1のパターン画像情報102aは、第1の実施の形態で使用したパターン画像情報102と同じものである。第2のパターン画像情報102bは、第1のパターン画像情報102aを時計回り方向に90度回転させて作成したものである。
【0059】
なお、本実施の形態では、N=2の場合であるが、他の場合も上記と同様に、基本となるパターン画像情報を用意して、そのパターン画像情報を異なる角度だけ回転させて作成することができる。たとえば、N=3の場合は、基本となるパターン画像情報を45度、90度回転させて作成すればよい。
【0060】
次に、合成処理110の前の準備を行なう。図14に示すように、主画像情報101をN個に分割する。分割のしかたは作成者によって任意であるが、ここでは、図14(a)に示すように、左右に均等に2分割して領域A(左側半分)と領域B(右側半分)とにわける。そして、2つのパターン画像情報102a,102bを分割した主画像情報101の各領域A,Bに割り当てる。たとえば、図14(b)に示すように、第1のパターン画像情報102aを領域Aに、第2のパターン画像情報102bを領域Bに、それぞれ対応づける。
【0061】
合成処理110は、第1の実施の形態で説明した方法がそのまま使用できる。すなわち、主画像情報101の領域Aと第1のパターン画像情報102aとで合成処理を行なうことにより、第1の合成画像情報を作成し、主画像情報101の領域Bと第2のパターン画像情報102bとで合成処理を行なうことにより、第2の合成画像情報を作成し、これら2つの合成画像情報を1つに単純に合わせることにより、2つのパターン画像情報を埋込んだ合成画像が作成されるので、これを高精細なカラープリンタなどで印刷処理して、身分証明書などに用いることができる。
【0062】
第2の実施の形態での主画像情報101の例を図15および図16に示す。これは第1の実施の形態と同じもので、(R,G,B)=(127,127,127)の一様なグレーとし、その一部を12×12画素のサイズに切り出している。なお、図15は主画像情報101の赤成分、図16は主画像情報101の緑成分を示しており、青成分は省略している。
【0063】
図15、図16では、座標値x=0〜5までの領域を領域Aとし、座標値x=6〜11までの領域を領域Bとして、2分割している。領域A,Bの境界を一点鎖線で示している。
【0064】
パターン画像情報102a,102bの例を図17および図18に示している。図17の第1のパターン画像情報102aは、第1の実施の形態で使用したパターン画像情報102と同じパターンを6×12画素のサイズに切り出したもの、図18の第2のパターン画像情報102bは、第1の実施の形態で使用したパターン画像情報102を時計回り方向に90度回転させた後に、6×12画素のサイズに切り出したものである。
【0065】
前述したように、主画像情報101の領域A部分と第1のパターン画像情報102aを、主画像情報101の領域B部分と第2のパターン画像情報102bを、それぞれ第1の実施の形態で示したと同様な合成処理を行ない、これらの合成処理結果を単純に合わせて合成画像情報を作成したときの模式図を図19に示す。
【0066】
図19において、文字Rを付した画素は赤色がリッチな画素であり、文字Cを付した画素はシアン色がリッチな画素を示している。
【0067】
真偽判定を行なう場合は、第1のパターン画像情報102aから第1のマスクシート113aをあらかじめ作成しておく。そして、第1の実施の形態で説明したと同様に、そのマスクシート113aを印刷された合成画像104の上から重ね合わせる。第1のマスクシート113aを重ねた場合の結果を図20、図21、図22、図23にそれぞれ模式的に示す。
【0068】
図20は、合成画像104とマスクシート113aとの位置がぴったり一致した場合であり、図21は、合成画像104とマスクシート113aとが格子の半周期だけずれた場合である。図20、図21において、斜線を付した画素はマスクシート113aによりマスクされていることを示す。
【0069】
図22は合成画像104と90°回転したマスクシート113aとの位置がぴったり一致した場合であり、図23は合成画像104と90°回転したマスクシート113aとが格子の半周期だけずれた場合である。図22、図23において、斜線を付した画素はマスクシート113aによりマスクされていることを示す。
【0070】
図20では、領域Aおよび領域Aと領域Bとの境界の一部分が文字Cを付した画素のみが透過されて、領域Bでは文字Rを付した画素と文字Cを付した画素とが混在して見える。すなわち、領域Bでは赤色とシアン色が混合して見える。この2つの色(赤色、シアン色)は補色の関係のため、300dpiなどの高精細で画素が記録されている場合、人間の肉眼で判別しにくい状態になっている。したがって、この状態では黒のマスクの隙間に領域Aではシアン色の格子が見え、領域Bではぼやけて画像が見えない状態になる。
【0071】
図21では、領域Aおよび領域Aと領域Bとの境界の一部分が文字Rを付した画素のみが透過されて、領域Bでは文字Rを付した画素と文字Cを付した画素とが混在して見える。したがって、この状態では黒のマスクの隙間に領域Aでは赤色の格子が見え、領域Bではぼやけて画像が見えない状態になる。
【0072】
印刷された合成画像104の上にマスクシート113aを重ねて見ると、図20もしくは図21もしくはそれらの中間の状態が見える。ここで、印刷された合成画像104を固定して、マスクシート113aを上下もしくは左右に相対運動させると、図20と図21の状態が交互に現われることになり、領域Aのみ黒いマスクの中にシアン色と赤色の格子が交互に見え、領域Bでは画像がぼやけてパターンは見えない。
【0073】
図24に、真偽判定の様子を表わす模式図を示す。このように、マスクシート113aを相対運動させることにより、領域Aのみに赤色とシアン色の格子が交互に見えたり、モアレ縞が発生して、視認画像に変化が生じるため、その変化の有無で合成画像104の真偽判定を行なうことができる。
【0074】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0075】
第3の実施の形態では、第2の実施の形態で使用した第1、第2のパターン画像情報102a,102bを使用するが、副画像情報としては文字や記号などの2値(白黒)の画像情報を用いる。主画像情報101は、認証用の顔画像や風景などの写真のような自然画像を用いることができる。
【0076】
図25は、副画像情報として数字とアルファベット文字を使用した例を示す。ここでは、数字「0〜9」とアルファベット文字「A〜F」を使用する。なお、副画像情報として使用する2値画像情報のサイズは、埋込みたい領域と同じ大きさにする。
【0077】
副画像情報としての2値画像情報を適当なサイズl×mに分割する。ここでは、l=5、m=7とする。分割した小領域を文字の背景や非背景部分(文字の部分)と対応させて、背景部分は第1のパターン画像情報102aを、非背景部分は第2のパターン画像情報102bを割り当てる。
【0078】
それぞれの小領域に対して、第1の実施の形態で説明した合成処理を行なうことにより、合成画像情報を作成した後、これらを単純に合わせて元の画像サイズに戻す。元の画像サイズに戻った合成画像情報を、高精細な昇華型熱転写プリンタなどを用いて印刷処理を行ない、これを身分証明書などに用いることができる。
【0079】
真偽判定を行なう場合は、第2の実施の形態と同様に、第1のパターン画像情報102aからマスクシート113aをあらかじめ作成しておき、それを印刷された合成画像104の上から重ね合わせる。そして、印刷された合成画像104とマスクシート113aとを相対的に上下左右または回転運動させると、合成画像104の第1のパターン画像情報102aが埋込まれた部分と第2のパターン画像情報102bが埋込まれた部分とが、第2の実施の形態で説明した原理のために、コントラスト差が生じる。ここで、第2のパターン画像情報102bが埋込まれた領域は副画像情報である文字や記号の背景部分であり、第1のパターン画像情報102aが埋込まれた領域は非背景部分(文字や記号そのもの)なので、合成画像104の中に副画像情報である文字や背景が浮かび上がるように視認できる。
【0080】
このように、埋込んだ副画像情報が視認できるかどうかで、真偽判定を行なうことが可能である。
【0081】
以上説明したような情報処理方法によれば、セキュリティ性の高い認証用の顔画像などを使用する身分証明書などを発行することが可能になる。また、真偽判定のための情報は人間の肉眼で判読不可能な状態で埋込まれるため、主画像情報の品質を維持できる。さらに、真偽判定を複雑な装置を使用せずに簡単に判定可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、人間の肉眼で判読可能状態の主画像情報に対して、人間の肉眼で判読不可能状態で副画像情報を埋込むことができ、かつ、その副画像情報を簡易な方法で検知することができるため、真偽判定が簡単に行なうことが可能になる情報処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理方法の全体の流れを説明するための流れ図。
【図2】パターン画像情報を説明する模式図。
【図3】合成処理の流れを説明するための流れ図。
【図4】主画像情報の赤成分の例を示す図。
【図5】主画像情報の緑成分の例を示す図。
【図6】パターン画像情報の例を示す図。
【図7】色差変調結果例を示す図。
【図8】重畳処理結果の赤成分の例を示す図。
【図9】重畳処理結果の緑成分の例を示す図。
【図10】合成画像の例を示す模式図。
【図11】真偽判定の例を示す模式図。
【図12】真偽判定の例を示す模式図。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るパターン画像情報の模式図。
【図14】2種類のパターン画像情報を使用して合成処理を行なう説明図。
【図15】主画像情報の赤成分の例を示す図。
【図16】主画像情報の緑成分の例を示す図。
【図17】第1のパターン画像情報の例を示す図。
【図18】第2のパターン画像情報の例を示す図。
【図19】合成画像の例を示す模式図。
【図20】真偽判定の第1の例を示す模式図。
【図21】真偽判定の第1の例を示す模式図。
【図22】真偽判定の第2の例を示す模式図。
【図23】真偽判定の第2の例を示す模式図。
【図24】真偽判定を行なっている様子を説明する模式図。
【図25】本発明の第3の実施の形態に係る副画像情報を説明するための図。
【符号の説明】
101……主画像情報
102……パターン画像情報
103……合成画像情報
104……合成画像
105……身分証明書(記録媒体)
110……合成処理
111……印刷処理(記録処理)
112……真偽判定処理
113……マスクシート
301……色差変調処理ステップ
302……重畳処理ステップ
Claims (5)
- 人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、
副画像情報となる複数の異なるパターン画像情報を作成するステップと、
前記作成された主画像情報を複数の領域に分割するステップと、
この主画像情報の分割された複数の領域と前記作成された複数のパターン画像情報とを対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記複数のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、
この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップと、
前記作成された複数のパターン画像情報の中から1つのパターン画像情報を選択するステップと、
前記記録媒体上に記録された合成画像情報の上に、前記選択されたパターン画像情報と同一パターンの光透過分布率を有するシート状のマスクを物理的に重ね合わせた後、両者を相対運動させることにより前記副画像情報を検知するステップと、
を具備したことを特徴とする情報処理方法。 - 前記複数の異なるパターン画像情報の作成は、基準となる第1のパターン画像情報を所定の角度だけ回転させて第2以降のパターン画像情報を作成することを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
- 前記複数の異なるパターン画像情報の作成は、パターン画像情報の数が2であるとき、基準となる第1のパターン画像情報を90度の角度回転させて第2のパターン画像情報を作成することを特徴とする請求項2記載の情報処理方法。
- 人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、
基準となる第1のパターン画像情報を作成するステップと、
この作成された第1のパターン画像情報を所定の角度回転させて第2のパターン画像情報を作成するステップと、
あらかじめ用意された副画像情報となる2値画像の背景部分と非背景部分に対応して前記作成された主画像情報を2つの領域に分割するステップと、
前記2値画像の非背景部分に前記作成された第1のパターン画像情報を対応づけるとともに、前記2値画像の背景部分に前記作成された第2のパターン画像情報を対応づけるステップと、
これら対応づけられた第1、第2のパターン画像情報と前記主画像情報の分割された2つの領域とをそれぞれ対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記第1、第2のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、
この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップと、
を具備したことを特徴とする情報処理方法。 - 人物の顔画像などの自然画像からなる主画像情報を作成するステップと、
基準となる第1のパターン画像情報を作成するステップと、
この作成された第1のパターン画像情報を所定の角度回転させて第2のパターン画像情報を作成するステップと、
あらかじめ用意された副画像情報となる2値画像の背景部分と非背景部分に対応して前記作成された主画像情報を2つの領域に分割するステップと、
前記2値画像の非背景部分に前記作成された第1のパターン画像情報を対応づけるとともに、前記2値画像の背景部分に前記作成された第2のパターン画像情報を対応づけるステップと、
これら対応づけられた第1、第2のパターン画像情報と前記主画像情報の分割された2つの領域とをそれぞれ対応させて両者を合成することにより、前記主画像情報の中に前記第1、第2のパターン画像情報を人間の肉眼で判読不可能状態で埋込んだ合成画像情報を作成するステップと、
この作成された合成画像情報を記録媒体上に可視像として記録するステップと、
前記作成された第1、第2のパターン画像情報のいずれか一方を選択するステップと、
前記記録媒体上に記録された合成画像情報の上に、前記選択されたパターン画像情報と同一パターンの光透過分布率を有するシート状のマスクを物理的に重ね合わせた後、両者を相対運動させることにより前記副画像情報を検知するステップと、
を具備したことを特徴とする情報処理方法。
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