JP4494577B2 - 両面印刷機のシート状物案内装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状物の両面に印刷を施す両面印刷機のシート状物案内装置に係り、一層詳細には、印刷される前にシート状物が胴周面の画像に触れることにより、印刷が二重にだぶついたりシート状物が汚れたりすることを防止するシート状物案内装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この種装置として、従来、実公平２−２５９５号公報に開示されているものがある。これは、上部ゴム胴と下部ゴム胴との対接点でシート状物の両面に印刷する構成で、この対接点で印刷される前にシート状物が上部ゴム胴に接触しないように、▲１▼渡胴と上部ゴム胴との間に隙間を設け、▲２▼渡胴の周面にバキュームを作用させてシート状物を渡胴周面に吸引させ、▲３▼渡胴の周速を上部ゴム胴より僅かに大きくし、▲４▼シート状物を上部ゴム胴と下部ゴム胴の対接点に案内し、シート状物が上，下部ゴム胴に接触しないようにする紙ガイドが設けられている。
【０００３】
これにより、上部ゴム胴の紙くわえ装置にくわえられて前記対接点（印刷部）へ導かれるシート状物は、上部ゴム胴に触れることなく渡胴の周面へ密着しながらくわえ端よりもやや高速度で渡胴から繰り出されて垂下し、紙ガイド上に沿って移動するから、渡胴から上部ゴム胴へのくわえ替え点近傍並びに下部ゴム胴に対してシート状物が接触することがないことはもとより、印刷部の近傍においてシート状物が上部ゴム胴に接触することがなく、だぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができ、印刷物の品質が著しく向上すると共に、損紙の発生量が減少するのである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の装置は、上，下部ゴム胴が鉛直方向に並設されており、このような構成に、例えばゴム胴の周囲に多数の版胴が対接すると共に各版胴にそれぞれインキ装置が設けられる構成を組み込むと、印刷機が巨大化し、スペース、操作性の問題が生ずることになる。そのため、このような両面印刷機では、特許第２６１２５９４号公報（第１図）に示されるように、ゴム胴対が水平に並設されるのが一般的である。
【０００５】
ところが、特許第２６１２５９４号公報に示された両面印刷機では、シート状物がゴム胴対の対接点で印刷される前にゴム胴周面に接触し、だぶったり汚れたりしてしまう。そこで、この両面印刷機に実公平２−２５９５号公報に開示された前記▲１▼〜▲４▼の案内装置を適用することが考えられるが、この場合、紙ガイドを水平に配置すればシート状物は自重でガイド面に沿うことになるが、前記の両面印刷機ではガイド面は鉛直になるため、シート状物がこの紙ガイドに沿わずにあばれてしまい、同じようにだぶったり汚れたりしてしまうという問題がある。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、シート状物の両面に印刷を施す二つの印刷胴が略水平に並んだ両面印刷機において、印刷される前にシート状物が胴周面に触れることによるだぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができる両面印刷機のシート状物案内装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、シート状物を保持する保持装置を有しシート状物の一方の面に印刷する第１印刷胴と、この第１印刷胴に対接しシート状物の他方の面に印刷する第２印刷胴を備え、第１印刷胴と第２印刷胴とが略水平に配列されている両面印刷機において、前記第１印刷胴直前の搬送胴と前記第２印刷胴との間に、第１印刷胴により搬送されるシート状物を吸引して案内する吸引ガイドを設け、かつ前記搬送胴から第１印刷胴に受け渡されたシート状物と第１印刷胴周面との間にエアーを吹き込むと共に前記シート状物の後端側に対してはエアーの吹き込みを停止するエアー吹き手段を設けたことを特徴とする。
また、前記エアー吹き手段へ加圧エアー供給源からのエアーを供給するエアー配管途中に、前記シート状物の後端側に対するエアーの吹き込みを停止するためのロータリーバルブを介装したことを特徴とする。
【０００８】
また、前記吸引ガイドのガイド面と第１印刷胴周面との隙間は、シート状物の流れに沿って徐々に狭くなっていることを特徴とする。
【０００９】
また、前記吸引ガイドに、シート状物の搬送速度と略同速で走行する搬送ベルトを巻装したことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る両面印刷機のシート状物案内装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【００１１】
［第１実施例］
図１は本発明の第１実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図、図２は同じく全体側面図である。
【００１２】
図２に示すように、両面多色オフセット印刷機の印刷部１では、紙くわえ装置（保持装置）を備えているゴム圧胴（第１印刷胴）２と紙くわえ装置を備えていないゴム胴（第２印刷胴）３とが水平に支承されており、各々の周面が対接している。
【００１３】
そして、ゴム圧胴２の周面には４つの版胴４が配置され、またゴム胴３の周面にも４つの版胴５が配置されている。これらの版胴４，５に対し接近・離反できるようにインキユニット６，７が移動可能に設けられ、版胴４，５に接した状態でインクや水の供給を行えるようになっている。
【００１４】
排紙部８のデリバリ胴９はゴム圧胴２の下方に配置され、チェーン１０はゴム圧胴２とゴム胴３の周面が対接する位置の下方空間を横断することなくデリバリ胴９よりも図中左方に配置される。
【００１５】
また、紙くわえ装置を備えており、見当部１１からゴム圧胴２へ紙（シート状物）を渡す渡胴（搬送胴）１２〜１５が設けられると共に、紙くわえ装置を備えており、ゴム圧胴２からデリバリ胴９へ紙を渡す渡胴（搬送胴）１６が設けられる。
【００１６】
従って、給紙部１７から供給されて見当部１１によって位置決めされた紙は、図中矢印で示す経路、即ち、渡胴１２〜１５→ゴム圧胴２→渡胴１６→デリバリ胴９の各周面に沿い搬送され、ゴム圧胴２とゴム胴３の対接点を上方から下方に向い通過するときに印刷が施されることになる。
【００１７】
そして、本実施例では、図１に示すように、紙２０の案内装置として、前記渡胴１５が、ゴム圧胴２による紙２０のくわえ替えが可能な範囲で、ゴム圧胴２に対し僅かに離間されると共に、その周速がゴム圧胴２よりも僅かに速められている。
【００１８】
また、前記渡胴１５とゴム圧胴２とのくわえ替え点上流に位置して、紙２０とゴム圧胴２周面との間にエアーを吹き込むためのエアーノズル（エアー吹き手段）２１が設けられる。このエアーノズル２１と図示しない加圧エアー供給源（コンプレッサー等）とのエアー配管途中にはロータリーバルブ２２が介装され、紙尻に対してはエアー吹き込みを停止するようになっている。
【００１９】
また、前記渡胴１５とゴム胴３との間には、ゴム圧胴２周面に沿うようにして紙流れ方向に複数分割（図中では三分割）された吸引チャンバー（吸引ガイド）２３ａ〜２３ｃが設けられ、各々が図示しない負圧源（真空ポンプ等）に接続されている。前記吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃの円弧状多孔板からなるガイド面とゴム圧胴２周面との隙間は紙流れに従い徐々に狭くなっている。
【００２０】
このように構成されるため、紙２０が渡胴１５からゴム圧胴２にくわえ替えされてゴム圧胴２とゴム胴３との対接点（印刷点）へ搬送される際には、紙２０が吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃに吸引され、ガイド面を移動するため、ゴム圧胴２周面に触れずに印刷点まで搬送される。
【００２１】
また、前記くわえ替えされた紙２０に対し、エアーノズル２１より紙２０とゴム圧胴２周面との間にエアーが入り込むため、ゴム圧胴２周面に紙２０が触れない。また、エアーにより吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃのガイド面に紙２０が押し出されるので吸引しやすくなる。また、紙尻に対してはエアー吹き込みを停止するので、紙尻あばれの発生が回避される。
【００２２】
また、前記渡胴１５がゴム圧胴２に対し僅かに離間されているので、ゴム圧胴２周面に紙２０が触れないのはもちろんのこと、エアーが入りやすくなり前記吸引しやすさがさらに助長される。また、渡胴１５の周速がゴム圧胴２よりも僅かに速められているので、紙尻側に余裕が生じ、前記吸引しやすさがより一層助長される。尚、渡胴１５を吸引シリンダーで構成し、紙２０を渡胴１５周面に吸引できるようにすれば、ゴム圧胴２周面に紙２０が確実に触れないのはもちろんのこと、エアーが入りやすくなり前記吸引しやすさがより一層助長される。
【００２３】
また、前記吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃのガイド面とゴム圧胴２周面との隙間は紙流れに従い徐々に狭くなっているので、印刷点まで紙２０が脱落せず円滑に搬送される。
【００２４】
このようにして、本実施例では、紙２０がゴム圧胴２周面に触れることなく印刷されるため、紙２０の汚れ等が発生しない。また、紙尻のあばれも発生しないため、印刷品質が向上すると共に損紙発生率も減少する。
【００２５】
加えて、吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃが複数分割されるので、組付性向上が図れると共に個々の吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃの吸引力アップが図れる。
【００２６】
［第２実施例］
図３は本発明の第２実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【００２７】
これは、吸引チャンバー２３に複数のファン２４を取り付けてその円弧状多孔板からなるガイド面に紙２０を吸引するようにしたものである。その他の構成は第１実施例と同様である。
【００２８】
これによれば、紙２０を比較的弱い力で吸い付けることができ、ガイド面での紙流れがスムーズになる利点がある。
【００２９】
［第３実施例］
図４は本発明の第３実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【００３０】
これは、複数の吸引チャンバー２３ａ〜２３ｅにそれぞれ搬送（吸引）ベルト２５ａ〜２５ｄを巻装し、該搬送ベルト２５ａ〜２５ｄを駆動ベルト２６を介してモータ２７によりゴム圧胴２の周速（紙速度）と同速で回転させるようにしたものである。その他の構成は第１実施例と同様である。
【００３１】
これによれば、紙くわえ装置に保持された紙が、吸引されたガイドの吸引力によって（吸引力が強すぎることにより）、紙を落下させてしまうことがないので、確実に搬送することができる。
【００３２】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、保持装置として紙くわえ装置から吸引保持するものに変更するとか、吸引チャンバーが分割されていないものに変更する等各種変更が可能であることはいうまでもない。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シート状物を保持する保持装置を有しシート状物の一方の面に印刷する第１印刷胴と、この第１印刷胴に対接しシート状物の他方の面に印刷する第２印刷胴を備え、第１印刷胴と第２印刷胴とが略水平に配列されている両面印刷機において、前記第１印刷胴直前の搬送胴と前記第２印刷胴との間に、第１印刷胴により搬送されるシート状物を吸引して案内する吸引ガイドを設け、かつ前記搬送胴から第１印刷胴に受け渡されたシート状物と第１印刷胴周面との間にエアーを吹き込むと共に前記シート状物の後端側に対してはエアーの吹き込みを停止するエアー吹き手段を設けたことを特徴とするので、印圧がかかる前にシート状物が胴周面に触れることによるだぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができる。また、紙尻のあばれも発生しないため、印刷品質が向上すると共に損紙発生率も減少する。
【００３４】
前記吸引ガイドのガイド面と第１印刷胴周面との隙間は、シート状物の流れに沿って徐々に狭くなっていることを特徴とするので、対接点（印刷点）までシート状物が脱落せず円滑に搬送される。
【００３５】
前記吸引ガイドに、シート状物の搬送速度と略同速で走行する搬送ベルトを巻装したことを特徴とするので、ガイド面との間で、シート状物の擦れ、傷等を防止すると共に、確実に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【図２】同じく全体側面図である。
【図３】本発明の第２実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【図４】本発明の第３実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【符号の説明】
１ 印刷部
２ ゴム圧胴
３ ゴム胴
４ 版胴
５ 版胴
６ インキユニット
７ インキユニット
８ 排紙部
９ デリバリ胴
１０ チェーン
１１ 見当部
１２〜１５ 渡胴
１６ 渡胴
１７ 給紙部
２０ 紙
２１ エアーノズル
２２ ロータリーバルブ
２３ 吸引チャンバー
２３ａ〜２３ｅ 吸引チャンバー
２４ ファン
２５ａ〜２５ｄ 搬送ベルト
２６ 駆動ベルト
２７ モータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状物の両面に印刷を施す両面印刷機のシート状物案内装置に係り、一層詳細には、印刷される前にシート状物が胴周面の画像に触れることにより、印刷が二重にだぶついたりシート状物が汚れたりすることを防止するシート状物案内装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この種装置として、従来、実公平２−２５９５号公報に開示されているものがある。これは、上部ゴム胴と下部ゴム胴との対接点でシート状物の両面に印刷する構成で、この対接点で印刷される前にシート状物が上部ゴム胴に接触しないように、▲１▼渡胴と上部ゴム胴との間に隙間を設け、▲２▼渡胴の周面にバキュームを作用させてシート状物を渡胴周面に吸引させ、▲３▼渡胴の周速を上部ゴム胴より僅かに大きくし、▲４▼シート状物を上部ゴム胴と下部ゴム胴の対接点に案内し、シート状物が上，下部ゴム胴に接触しないようにする紙ガイドが設けられている。
【０００３】
これにより、上部ゴム胴の紙くわえ装置にくわえられて前記対接点（印刷部）へ導かれるシート状物は、上部ゴム胴に触れることなく渡胴の周面へ密着しながらくわえ端よりもやや高速度で渡胴から繰り出されて垂下し、紙ガイド上に沿って移動するから、渡胴から上部ゴム胴へのくわえ替え点近傍並びに下部ゴム胴に対してシート状物が接触することがないことはもとより、印刷部の近傍においてシート状物が上部ゴム胴に接触することがなく、だぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができ、印刷物の品質が著しく向上すると共に、損紙の発生量が減少するのである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の装置は、上，下部ゴム胴が鉛直方向に並設されており、このような構成に、例えばゴム胴の周囲に多数の版胴が対接すると共に各版胴にそれぞれインキ装置が設けられる構成を組み込むと、印刷機が巨大化し、スペース、操作性の問題が生ずることになる。そのため、このような両面印刷機では、特許第２６１２５９４号公報（第１図）に示されるように、ゴム胴対が水平に並設されるのが一般的である。
【０００５】
ところが、特許第２６１２５９４号公報に示された両面印刷機では、シート状物がゴム胴対の対接点で印刷される前にゴム胴周面に接触し、だぶったり汚れたりしてしまう。そこで、この両面印刷機に実公平２−２５９５号公報に開示された前記▲１▼〜▲４▼の案内装置を適用することが考えられるが、この場合、紙ガイドを水平に配置すればシート状物は自重でガイド面に沿うことになるが、前記の両面印刷機ではガイド面は鉛直になるため、シート状物がこの紙ガイドに沿わずにあばれてしまい、同じようにだぶったり汚れたりしてしまうという問題がある。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、シート状物の両面に印刷を施す二つの印刷胴が略水平に並んだ両面印刷機において、印刷される前にシート状物が胴周面に触れることによるだぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができる両面印刷機のシート状物案内装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、シート状物を保持する保持装置を有しシート状物の一方の面に印刷する第１印刷胴と、この第１印刷胴に対接しシート状物の他方の面に印刷する第２印刷胴を備え、第１印刷胴と第２印刷胴とが略水平に配列されている両面印刷機において、前記第１印刷胴直前の搬送胴と前記第２印刷胴との間に、第１印刷胴により搬送されるシート状物を吸引して案内する吸引ガイドを設け、かつ前記搬送胴から第１印刷胴に受け渡されたシート状物と第１印刷胴周面との間にエアーを吹き込むと共に前記シート状物の後端側に対してはエアーの吹き込みを停止するエアー吹き手段を設けたことを特徴とする。
また、前記エアー吹き手段へ加圧エアー供給源からのエアーを供給するエアー配管途中に、前記シート状物の後端側に対するエアーの吹き込みを停止するためのロータリーバルブを介装したことを特徴とする。
【０００８】
また、前記吸引ガイドのガイド面と第１印刷胴周面との隙間は、シート状物の流れに沿って徐々に狭くなっていることを特徴とする。
【０００９】
また、前記吸引ガイドに、シート状物の搬送速度と略同速で走行する搬送ベルトを巻装したことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る両面印刷機のシート状物案内装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【００１１】
［第１実施例］
図１は本発明の第１実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図、図２は同じく全体側面図である。
【００１２】
図２に示すように、両面多色オフセット印刷機の印刷部１では、紙くわえ装置（保持装置）を備えているゴム圧胴（第１印刷胴）２と紙くわえ装置を備えていないゴム胴（第２印刷胴）３とが水平に支承されており、各々の周面が対接している。
【００１３】
そして、ゴム圧胴２の周面には４つの版胴４が配置され、またゴム胴３の周面にも４つの版胴５が配置されている。これらの版胴４，５に対し接近・離反できるようにインキユニット６，７が移動可能に設けられ、版胴４，５に接した状態でインクや水の供給を行えるようになっている。
【００１４】
排紙部８のデリバリ胴９はゴム圧胴２の下方に配置され、チェーン１０はゴム圧胴２とゴム胴３の周面が対接する位置の下方空間を横断することなくデリバリ胴９よりも図中左方に配置される。
【００１５】
また、紙くわえ装置を備えており、見当部１１からゴム圧胴２へ紙（シート状物）を渡す渡胴（搬送胴）１２〜１５が設けられると共に、紙くわえ装置を備えており、ゴム圧胴２からデリバリ胴９へ紙を渡す渡胴（搬送胴）１６が設けられる。
【００１６】
従って、給紙部１７から供給されて見当部１１によって位置決めされた紙は、図中矢印で示す経路、即ち、渡胴１２〜１５→ゴム圧胴２→渡胴１６→デリバリ胴９の各周面に沿い搬送され、ゴム圧胴２とゴム胴３の対接点を上方から下方に向い通過するときに印刷が施されることになる。
【００１７】
そして、本実施例では、図１に示すように、紙２０の案内装置として、前記渡胴１５が、ゴム圧胴２による紙２０のくわえ替えが可能な範囲で、ゴム圧胴２に対し僅かに離間されると共に、その周速がゴム圧胴２よりも僅かに速められている。
【００１８】
また、前記渡胴１５とゴム圧胴２とのくわえ替え点上流に位置して、紙２０とゴム圧胴２周面との間にエアーを吹き込むためのエアーノズル（エアー吹き手段）２１が設けられる。このエアーノズル２１と図示しない加圧エアー供給源（コンプレッサー等）とのエアー配管途中にはロータリーバルブ２２が介装され、紙尻に対してはエアー吹き込みを停止するようになっている。
【００１９】
また、前記渡胴１５とゴム胴３との間には、ゴム圧胴２周面に沿うようにして紙流れ方向に複数分割（図中では三分割）された吸引チャンバー（吸引ガイド）２３ａ〜２３ｃが設けられ、各々が図示しない負圧源（真空ポンプ等）に接続されている。前記吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃの円弧状多孔板からなるガイド面とゴム圧胴２周面との隙間は紙流れに従い徐々に狭くなっている。
【００２０】
このように構成されるため、紙２０が渡胴１５からゴム圧胴２にくわえ替えされてゴム圧胴２とゴム胴３との対接点（印刷点）へ搬送される際には、紙２０が吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃに吸引され、ガイド面を移動するため、ゴム圧胴２周面に触れずに印刷点まで搬送される。
【００２１】
また、前記くわえ替えされた紙２０に対し、エアーノズル２１より紙２０とゴム圧胴２周面との間にエアーが入り込むため、ゴム圧胴２周面に紙２０が触れない。また、エアーにより吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃのガイド面に紙２０が押し出されるので吸引しやすくなる。また、紙尻に対してはエアー吹き込みを停止するので、紙尻あばれの発生が回避される。
【００２２】
また、前記渡胴１５がゴム圧胴２に対し僅かに離間されているので、ゴム圧胴２周面に紙２０が触れないのはもちろんのこと、エアーが入りやすくなり前記吸引しやすさがさらに助長される。また、渡胴１５の周速がゴム圧胴２よりも僅かに速められているので、紙尻側に余裕が生じ、前記吸引しやすさがより一層助長される。尚、渡胴１５を吸引シリンダーで構成し、紙２０を渡胴１５周面に吸引できるようにすれば、ゴム圧胴２周面に紙２０が確実に触れないのはもちろんのこと、エアーが入りやすくなり前記吸引しやすさがより一層助長される。
【００２３】
また、前記吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃのガイド面とゴム圧胴２周面との隙間は紙流れに従い徐々に狭くなっているので、印刷点まで紙２０が脱落せず円滑に搬送される。
【００２４】
このようにして、本実施例では、紙２０がゴム圧胴２周面に触れることなく印刷されるため、紙２０の汚れ等が発生しない。また、紙尻のあばれも発生しないため、印刷品質が向上すると共に損紙発生率も減少する。
【００２５】
加えて、吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃが複数分割されるので、組付性向上が図れると共に個々の吸引チャンバー２３ａ〜２３ｃの吸引力アップが図れる。
【００２６】
［第２実施例］
図３は本発明の第２実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【００２７】
これは、吸引チャンバー２３に複数のファン２４を取り付けてその円弧状多孔板からなるガイド面に紙２０を吸引するようにしたものである。その他の構成は第１実施例と同様である。
【００２８】
これによれば、紙２０を比較的弱い力で吸い付けることができ、ガイド面での紙流れがスムーズになる利点がある。
【００２９】
［第３実施例］
図４は本発明の第３実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【００３０】
これは、複数の吸引チャンバー２３ａ〜２３ｅにそれぞれ搬送（吸引）ベルト２５ａ〜２５ｄを巻装し、該搬送ベルト２５ａ〜２５ｄを駆動ベルト２６を介してモータ２７によりゴム圧胴２の周速（紙速度）と同速で回転させるようにしたものである。その他の構成は第１実施例と同様である。
【００３１】
これによれば、紙くわえ装置に保持された紙が、吸引されたガイドの吸引力によって（吸引力が強すぎることにより）、紙を落下させてしまうことがないので、確実に搬送することができる。
【００３２】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、保持装置として紙くわえ装置から吸引保持するものに変更するとか、吸引チャンバーが分割されていないものに変更する等各種変更が可能であることはいうまでもない。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シート状物を保持する保持装置を有しシート状物の一方の面に印刷する第１印刷胴と、この第１印刷胴に対接しシート状物の他方の面に印刷する第２印刷胴を備え、第１印刷胴と第２印刷胴とが略水平に配列されている両面印刷機において、前記第１印刷胴直前の搬送胴と前記第２印刷胴との間に、第１印刷胴により搬送されるシート状物を吸引して案内する吸引ガイドを設け、かつ前記搬送胴から第１印刷胴に受け渡されたシート状物と第１印刷胴周面との間にエアーを吹き込むと共に前記シート状物の後端側に対してはエアーの吹き込みを停止するエアー吹き手段を設けたことを特徴とするので、印圧がかかる前にシート状物が胴周面に触れることによるだぶり、汚れ等の印刷障害を防止することができる。また、紙尻のあばれも発生しないため、印刷品質が向上すると共に損紙発生率も減少する。
【００３４】
前記吸引ガイドのガイド面と第１印刷胴周面との隙間は、シート状物の流れに沿って徐々に狭くなっていることを特徴とするので、対接点（印刷点）までシート状物が脱落せず円滑に搬送される。
【００３５】
前記吸引ガイドに、シート状物の搬送速度と略同速で走行する搬送ベルトを巻装したことを特徴とするので、ガイド面との間で、シート状物の擦れ、傷等を防止すると共に、確実に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【図２】同じく全体側面図である。
【図３】本発明の第２実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【図４】本発明の第３実施例を示す両面多色オフセット印刷機の要部拡大図である。
【符号の説明】
１ 印刷部
２ ゴム圧胴
３ ゴム胴
４ 版胴
５ 版胴
６ インキユニット
７ インキユニット
８ 排紙部
９ デリバリ胴
１０ チェーン
１１ 見当部
１２〜１５ 渡胴
１６ 渡胴
１７ 給紙部
２０ 紙
２１ エアーノズル
２２ ロータリーバルブ
２３ 吸引チャンバー
２３ａ〜２３ｅ 吸引チャンバー
２４ ファン
２５ａ〜２５ｄ 搬送ベルト
２６ 駆動ベルト
２７ モータ
Claims (4)
- シート状物を保持する保持装置を有しシート状物の一方の面に印刷する第１印刷胴と、この第１印刷胴に対接しシート状物の他方の面に印刷する第２印刷胴を備え、第１印刷胴と第２印刷胴とが略水平に配列されている両面印刷機において、前記第１印刷胴直前の搬送胴と前記第２印刷胴との間に、第１印刷胴により搬送されるシート状物を吸引して案内する吸引ガイドを設け、かつ前記搬送胴から第１印刷胴に受け渡されたシート状物と第１印刷胴周面との間にエアーを吹き込むと共に前記シート状物の後端側に対してはエアーの吹き込みを停止するエアー吹き手段を設けたことを特徴とする両面印刷機のシート状物案内装置。
- 前記吸引ガイドのガイド面と第１印刷胴周面との隙間は、シート状物の流れに沿って徐々に狭くなっていることを特徴とする請求項１記載の両面印刷機のシート状物案内装置。
- 前記吸引ガイドに、シート状物の搬送速度と略同速で走行する搬送ベルトを巻装したことを特徴とする請求項１記載の両面印刷機のシート状物案内装置。
- 前記エアー吹き手段へ加圧エアー供給源からのエアーを供給するエアー配管途中に、前記シート状物の後端側に対するエアーの吹き込みを停止するためのロータリーバルブを介装したことを特徴とする請求項１記載の両面印刷機のシート状物案内装置。
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