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JP4465347B2 - フィルタ構造体、フィルタ構造体を備えたフィルタパネル及びフィルタ構造体を作製する方法 - Google Patents

フィルタ構造体、フィルタ構造体を備えたフィルタパネル及びフィルタ構造体を作製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、空気中の気体化合物を除去するための、プリーツ状のイオン交換吸着剤フィルタ構造体及びそのようなフィルタ構造体を生産するための方法に関する。
吸着フィルタは、気体又は液体混合物から望ましくない物質を除去するために使用される。本発明は、特に、空気濾過用のフィルタを取り扱う。活性炭などの吸着粒子は、フィルタを通過して運ばれる空気から望ましくない物質を除去する。吸着粒子は、しばしば支持枠上に固定される。近代工業が発達した結果、清浄空気に関する要求はますます厳しくなってきた。そのような工業の発達には、例えば、半導体及び超小型電子技術デバイスなどの高度に敏感な製品の生産がある。この種の生産は、微粒子清浄度に対する極めて高い要求を有するクリーンルームにおいて実施される。19世紀半ばには、小型化が進み、気体化学物質が歩留まりの損傷(yield damage)をもたらすレベルに達した。歩留まりの損傷を引き起こす化学物質は、空気に由来する分子汚染(AMC:airborne molecular contamination)として表示される。標準SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International:半導体製造装置材料協会)F21−951において、SEMIは、AMCガスの分類体系を与えている。この規格では、AMCを4種類に分類している:酸、塩基、凝縮可能物質及びドーパントである。イオン交換吸着剤は、酸性又は塩基性物質のあらゆる種類のものを濾過するために使用されうる。
HClなどの酸化合物又はアンモニアなどの塩基性化合物を除去するための、以前の吸着フィルタは、基板に緩やかに接着されている化学的含浸に頼ってきた。含浸は、ある種の環境下では汚染そのものを引き起こしうる。これらの化学的に含浸されたフィルタの能力は、いくつかの事例では、イオン交換吸着フィルタより遙かに低い。
イオン交換粒子を組み込んだ吸着フィルタの別の種類が最近開発され、これはイオン交換粒子を使用している。イオン交換粒子を含有するそのような吸着フィルタは、米国特許第6,402,819B1号に記載されている。このフィルタは、網目状ポリマー発泡体又は織物ウエブ(textile web)から作製された支持体に固定されたイオン交換ビーズを含む。
支持体として網目状ポリマー発泡体を使用した吸着フィルタにおいては、吸着剤のビーズは、網目状ポリマー発泡体の細孔構造に固定されている。網目状ポリマー発泡体の細孔構造は、その製造により細孔径が変動し、吸着剤の装填量の変動をもたらす。従って、イオン交換ビーズを発泡支持体中で、水平方向及び厚さ方向の両方向に一様に分布させることは困難である。又、吸着剤の装填量は、異なったそれぞれのフィルタ間でも変動する。フィルタの吸着剤装填量が一定でないために、最低限の吸着剤装填量、従って最低限の濾過能力のみが、使用者に保証されうる。吸着剤はしばしば非常に高価であるが、その一部が使用されていない可能性があり、これは重大な問題である。発泡支持体の開放構造は、圧力降下の点では有益であるが、フィルタ全体にわたる圧力損失を最小にするために必要な、空気とフィルタとの短い接触時間で、高い初期除去効率を達成することは不可能になる。さらに、発泡支持体の吸着剤装填量は細孔構造に影響されるので、吸着剤装填量−対効率−対圧力降下特性を微細に調整することができなくなる。
又、米国特許第6,402,819号において示唆されているイオン交換ビーズ支持体の別の種類は、織物ウエブである。織物ウエブ支持体は、プリーツ状にされうるという利点を有し、圧力降下に関しては有利である。しかし、そのような織物ウエブ構造体がフィルタエレメントに対してプリーツ状にされ、フィルタパネル枠内に搭載され、固定される場合は、濾過用途で使用される際にフィルタエレメントが歪むことになるので、問題が生じる。
従って、上述の欠点のない、改善されたフィルタ構造体を求める要求が存在する。
従って、本発明の目的は、改善されたフィルタ構造体を提供することである。このことは、プリーツ状にされうる、濾過用途において使用される際に歪まない、請求項1に記載のフィルタ構造体により達成される。
本発明は、繊維状骨格内部に分布されたイオン交換粒子を含み、フィルタパネルにおいて使用されるプリーツ状にされ得るフィルタ構造体に関する。フィルタ構造体は、フィルタ構造体のさらなる膨張を起こすことなく、乾燥しているイオン交換粒子と比較して、イオン交換粒子が膨潤すること又は膨潤された状態で存在することができる十分な空間を含むように、膨張されている。
本発明の好ましい実施形態においては、フィルタ構造体の繊維状骨格は、複合構造繊維及び複合熱可塑性繊維を含み、前記複合構造繊維は、第1の相対的に融点の高い成分及び第1の相対的に融点の低い成分を含み、前記第1の相対的に融点の高い成分は、前記第1の相対的に融点の低い成分より少なくとも20℃高い融点を有し、前記複合熱可塑性繊維は前記構造繊維より相対的に小さなデニールを有し、且つ第2の相対的に融点の高い成分及び第2の相対的に融点の低い成分を含み、その際に、前記複合構造繊維は熱的に接着された、繊維状の網目を形成し、その網目の中で、前記第1の相対的に融点の低い成分は、交差点で構造繊維を接着して繊維状の網目を安定化し、前記複合熱可塑性繊維は、繊維状の網目全体に分散され、加熱により繊維状の網目に接着されて動かないように固定され、その際に、イオン交換粒子は加熱によって、より小さなデニールの複合熱可塑性繊維に接着され、フィルタ構造体は、フィルタ構造体のさらなる膨張を起こすことなく、イオン交換粒子が、乾燥しているイオン交換粒子と比較して、膨潤すること又は膨潤された状態で存在することができる十分な空間を含むように膨張されている。
ある実施形態においては、好ましくは、膨張されたフィルタ構造体は、乾燥粒子と較べてイオン交換粒子の直径が少なくとも38%増大することができるのに十分な空間を含有している。
ある実施形態においては、フィルタ構造体は、乾燥粒子と較べてイオン交換粒子の直径が少なくとも47%増大することができるのに十分な空間を含有している。
ある実施形態においては、フィルタ構造体が湿った環境又は水に曝される方法により、フィルタ構造体の膨張が成し遂げられている。
ある実施形態においては、イオン交換粒子はマクロ多孔質ポリマーである。
ある実施形態においては、イオン交換粒子の装填量は、100〜2000g/m、好ましくは300〜1000g/m、最も好ましくは400〜700g/mである。
ある実施形態においては、イオン交換粒子は単一球であり、425〜525μmの直径を有する。
ある実施形態においては、繊維状骨格は、熱的に接着された繊維を含む。
ある実施形態においては、繊維状骨格は、粗い構造の熱可塑性繊維からなる、熱的に接着された繊維状の網目を含み、繊維状骨格全体に分散され、熱を加えることにより繊維状骨格に接着され、動かないように固定させられた、構造繊維より相対的に小さなデニールの、細い熱可塑性繊維を有し、その際、イオン交換粒子は、加熱によってよりデニールの小さな複合熱可塑性繊維に接着される。
本発明は、又、フィルタ構造体がプリーツ状にされ、フィルタパネル枠内に固定されているフィルタパネルに関する。
ある実施形態においては、プリーツ状にされたフィルタ構造体は、0〜25プリーツ/デシメートル(dm)、好ましくは5〜20プリーツ/dm、最も好ましくは8〜15プリーツ/dmのプリーツを有する。
ある実施形態においては、プリーツの高さは、10〜300mm、好ましくは15〜150mm及び最も好ましくは15〜100mmである。
ある実施形態においては、枠(frame)はステンレス鋼又はアルミニウムから作製される。
ある実施形態においては、プリーツ状にされたフィルタ構造体は、ポリウレタン接着剤を用いて枠に固定されており、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された、10μg/g未満の総ガス放出量を有する。
ある実施形態においては、空気がバイパスすることを避けるための外部の封着ストリップは、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された総ガス放出量が10μg/g未満であるポリマーから作製される。
本発明は、又、フィルタ構造体を作製する方法に関するものであり、その中で、プリーツ状にされうるフィルタ構造体は、繊維状骨格内に分布されたイオン交換粒子を含み、前記プリーツ状にされうる構造は、湿った又は水を含有する環境に曝される含水処理(moisture treatment)を受け、それによりイオン交換粒子が膨潤し、フィルタ構造体の永続的拡張がもたらされる。
ある実施形態においては、繊維状骨格内の繊維は、イオン交換粒子が膨潤した結果、引き伸ばされ、引き伸ばされたままの状態で留まっている。
ある実施形態においては、イオン交換粒子が、少なくとも20重量%の水分含有量に達するまで、フィルタ構造体をこの環境に曝す。
ある実施形態においては、イオン交換粒子が、少なくとも30重量%の水分含有量に達するまで、フィルタ構造体をこの環境に曝す。
ある実施形態においては、含水処理前のイオン交換粒子は、10%未満の水分含有量を有し、含水処理の間に直径が38%まで増大する。
ある実施形態においては、含水処理の際に用いられる湿度環境は、20℃の温度において、少なくとも70%の相対湿度に相当する絶対水分含有量を有する。
ある実施形態においては、含水処理の際に用いられる湿度環境は、30℃の温度において、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の相対湿度に相当する絶対水分含有量を有する。
ある実施形態においては、フィルタ構造体は、バッチ方式の含水処理を受ける。
ある実施形態においては、フィルタ構造体は、連続方式の含水処理を受ける。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明のイオン交換粒子は、イオン交換粒子が分布されている繊維状の支持体骨格を含む。この繊維状の支持体骨格は、引き伸ばされうる、弾性の小さい繊維を含有している限り、いかなる種類でもよい。このことは、繊維は引張力によって引っ張られうるが、引張力が解除されたとたん、元の状態に戻ることはないことを意味する。このような繊維は、天然繊維でも、又は合成繊維でもよい。一例として、骨格は、イオン交換粒子を動かないように固定する、塑性的に膨張しうる構造を含んでおり、その構造は、金属、ポリマー又は天然の繊維構造構成物から作製されうる。
イオン交換粒子の一般的な性質は、粒子が相対湿度に応じて膨潤及び収縮し、従って、直径の大きな変動を示すことである。この事実は、粒子が、互いに又はどのような種類のものであれ固定されている壁の間で堅く固定されている、すべての利用領域を複雑なものにする。膨潤効果により、鋼製の密閉容器が爆発されることさえ起こりうる。驚いたことに、このことが又、プリーツ状にされうる、可撓性の繊維又は骨格において粒子を使用することに影響を及ぼす。
本発明は、支持体構造内における制御された増湿、プリーツ状加工及び固定化により、その後の湿度が変動しても、骨格の形をゆがめることのない骨格を製造する、前膨張(pre−expansion)方法の開発に関する。
本発明は、骨格に適用することができ、最小径の粒子であっても最大径の粒子であっても収容することができるように、骨格が塑性的に膨張させられうるという条件のもとで、骨格の網目構造を70〜200℃の範囲の高温に短時間曝すことにより、骨格内でイオン交換粒子が接着されるか、又は温度と無関係に、骨格内でイオン交換粒子が乾燥した状態で添加される。
イオン交換粒子は、強酸性カチオン交換粒子、弱酸性カチオン交換粒子、強塩基性アニオン交換粒子又は弱塩基性アニオン交換粒子でありうる(図4〜7)。強カチオン交換粒子においては、化学基は、通常、硫酸基であり、一方、強アニオン交換粒子においては、第四級アンモニウム基を含有することができる。イオン交換粒子は、好ましくは、塩基性アニオン交換粒子又は酸性カチオン交換粒子の球形のビーズである。通常、これらは1ミリメートルまでの大きさの球の形をしている。これらの球は、大部分がスチレンベースのマクロ多孔質又はゲル型のポリマーからなっており、通常、所望の交換を可能にする、交換可能なイオン官能基を有する化学基を持ったスチレン/ジビニルベンゼンポリマーの形で橋かけ接着されている。マクロ多孔質ポリマーは、所望の多孔度を有し、水分含有量が変動した際の構造損傷に耐える能力が大きいので、好ましい。イオン交換粒子は、普通、水を含む。イオン交換粒子の含水率は、粒子が置かれている環境の相対空気湿度に影響される。相対空気湿度が高いほど、より多くの水がイオン交換粒子によって吸収される。イオン交換粒子が水を吸収するにつれて、粒子の大きさは増大し、乾燥時には収縮する。100%の相対湿度では、イオン交換粒子は約50重量%の水を含有し、50%の相対湿度では、イオン交換粒子は約20重量%の水を含有する。従って、相対空気湿度とイオン交換粒子の含水率、その結果としての粒子の大きさとの間には平衡が存在する。しかし、イオン交換粒子がどのようにして空気の湿度に曝されたかに応じて、イオン交換粒子の平衡含水率に到達するには、いくらか時間が掛かることがある。
フィルタクロス内のイオン交換粒子の含水率は、イオン交換粒子の初期含水率、すなわち、粒子をフィルタクロスに組み入れる前の含水率に、幾分か依存する。フィルタクロスの製造方法も又、最終のフィルタクロスのイオン交換粒子の含水率にかなりの影響を及ぼす。従って、いくつかのフィルタクロスは、含水率の非常に低いイオン交換粒子を有し、いくつかのフィルタクロスは含水率のより高いイオン交換粒子を有する。フィルタクロスを製造した直後のイオン交換粒子の含水率は、濾過に使用されている間、イオン交換粒子の平衡含水率より、事実上、常に低い(このことは、粒子の寸法がより小さいことを意味する)。フィルタクロスを製造するいくつかの方法においては、イオン交換粒子は事実上乾燥していることになる。すべての方法において、イオン交換粒子の湿度の程度は、意図されている用途における場合より低く、その結果得られたフィルタクロスは、繊維状骨格の膨張を成し遂げるように、本発明の方法によって予め処理されていなければ、固定されたプリーツ状構造へ首尾よく変換されることができない。
イオン交換粒子は化学的に活性な媒体を形成するので、フィルタクロスは、通常、保管される前に多少とも気密の包装に包まれる。従って、イオン交換粒子は、フィルタクロスが濾過用途で使用されるまで、製造工程後の状態のまま、すなわち、非常に乾燥した状態のまま留まっている。
フィルタクロスが、フィルタパネル内のフィルタエレメントとして使用されることになっている場合は、問題にしている空気速度(通常はパネルの全面に向かって0.3〜3m/sである)において、満足すべき吸着能力及び十分低い圧力降下を達成するために、フィルタクロスはプリーツ状にされなければならない。仮に、フィルタクロスの形成工程直後又は包装をほどいた直後にフィルタクロスがプリーツ状にされ、パネルの枠に固定された場合は、通常の空気湿度を有する空気、すなわち、約50%の相対湿度を有する空気に曝された場合、及び、さらに悪いことに、一定の濾過用途においてはよくあることだが、より高い相対湿度に暴露された場合は、フィルタクロスは激しく歪むことになる。この歪みは、湿度に曝された際に、フィルタ構造体のイオン交換ビーズが示す大きな膨潤によるものである。イオン交換粒子は、繊維状骨格中にかなり密に捕捉されているので、膨潤できる余地がなく、従って、膨潤により、フィルタ構造体の大きさが増大することになる。イオン交換粒子が周辺の環境に伝える圧力は相当なものであり、密閉容器内では、数百バールに達しうる。フィルタ構造体は、50%の相対空気湿度において、面積及び厚さが約20%増大しうる。従って、プリーツ状フィルタ構造体は、固定される枠内に収まりきれないほど大きくなりすぎ、そのために、歪まされる。そのような歪まされたフィルタパネルの例は、図9及び10に示されている。
イオン交換粒子の膨潤は、イオン交換粒子の含水率が周辺空気と平衡になるまで、徐々に進行する。包まれたフィルタ構造体は、イオン交換粒子の水分含有量及び周辺空気の間の平衡に到達することなしに、通常の空気湿度で長時間にわたり、保管されうる。50%の相対空気湿度において、イオン交換ビーズは、約25重量%の水分含有量を有することになる。イオン交換粒子の水分含有量が、初期の事実上乾燥した状態から25重量%に増加した場合は、80〜85%もの直径の増大が生じる可能性がある。これは、160体積%の膨潤に相当する。飽和されたイオン交換粒子は、水を約50重量%含有し、その直径は乾燥粒子と比較して47%増大している。
得られたフィルタパネル内のプリーツ状フィルタエレメントが歪むことを避けるために、フィルタ構造体は含水処理にかけられ、その際、プリーツ状加工に先立って、湿った又は水を含有する環境に曝される。この含水処理又は増湿段階は、一定の湿度を有する清浄空気、すなわち、フィルタ構造体が、完成したフィルタ内で濾過することになっている物質を含有していない空気に、巻いたフィルタ構造体を曝すこと、又はその清浄空気をウォータエーロゾル(water aerosol)と共に噴霧することにより、実施される。増湿処理は、チャンバ内においてバッチ方式で、又はフィルタ構造体のプリーツ状加工が実施される装置内に統合された連続工程の段階として実施される。増湿空気の相対湿度は、意図されている濾過用途の相対空気湿度を、好ましくは、バッチ方式処理の場合で20%又は連続処理の場合で20%を超える程度、上回るべきである。例えば、得られたフィルタパネルが、相対空気湿度が50%である用途で使用されることになっている場合は、増湿空気は70〜80%の相対空気湿度を有するべきである。増湿は、フィルタクロスのイオン交換粒子が、処理室の湿度と平衡になるか、又は連続処理操作における所定のレベルに達するまで、続けられる。本発明のフィルタ構造体の特に適した用途である、クリーンルームにおける空気の相対湿度は、通常、45〜55%である。
含水処理の有益な効果は、プリーツ状フィルタパネルの場合に最も明瞭であるが、平坦なフィルタパネル、すなわち、プリーツなしのパネルにおいても、明らかに有益な効果が認められるであろう。平坦なフィルタパネルは、プリーツ状のフィルタパネルと同じほどの大量の表面積当たりのイオン交換粒子を含有してはいないが、イオン交換粒子の膨張挙動は、それにも係わらず、平坦なフィルタパネルに同じように影響を及ぼす。従って、本発明の含水処理は、プリーツ状及びプリーツなしのフィルタパネルの両方に適用されうる。
増湿の間に、イオン交換粒子は湿った空気から湿度を吸着し、増湿空気の相対湿度に応じてある程度まで膨潤する。イオン交換粒子が膨潤すると、それらの粒子は、繊維状骨格の繊維を引き伸ばす。従って、イオン交換粒子が捕獲されている空間の大きさは、イオン交換粒子の大きさに従う。増湿は、繊維状骨格が所望の大きさに到達するまで続けられるが、このことは、現実の濾過用途においては、イオン交換粒子の膨潤は、イオン交換粒子の大きさより若干大きい大きさに達することを意味する。繊維状骨格は、空間が膨潤したイオン交換粒子を収容できる程度まで、膨張される。繊維状骨格の繊維は、相当に非弾性的な材料から作製される。繊維は、引き伸ばされていない最初の状態に戻ることはないので、繊維の引伸し、従って繊維状骨格の膨張は、その結果、事実上非可逆過程である。膨張されたフィルタ構造体は、直ちにプリーツ加工装置内で、直接プリーツ状にされ、切断され、フィルタパネルの枠内に固定されうる。又、膨張されたフィルタ構造体は、フィルタパネルを作製するのに必要になるまで保管される。そのような場合は、湿度を保持する包装を行うと、膨張されたフィルタ構造体は、縮小又は収縮しなくなることが確実であるので、そのような包装を行うことが最も有利である。完成されたフィルタパネルは、意図されている濾過用途の環境より低い相対湿度を有する環境に保管されうるが、イオン交換粒子は、次いで、より小さな大きさに収縮することになる。しかし、イオン交換粒子は、接着剤又は使用されているフィルタクロスの種類に応じた融解点により、繊維状骨格内にしっかりと固定されたまま留まる。イオン交換粒子が接着剤により骨格に固定されている場合は、接着剤が骨格構造の膨張特性を損なわないこと、及び接着剤が、フィルタ構造体に設定されたガス放出のいかなる要求にも応じることが重要である。イオン交換粒子を収容するフィルタクロス内のそれぞれの空間は、次いで、イオン交換粒子が収縮するにつれて、イオン交換粒子から離れて、空の空間を含有することになる。フィルタ構造体が、濾過用途においてより相対湿度の高い環境に再び曝された場合は、イオン交換粒子は、膨潤された状態に戻る。イオン交換粒子を収容する空間は、膨潤されたイオン交換粒子を収容するのに十分な大きさであるので、この膨潤により、繊維状骨格のいかなる膨張も引き起こされない。従って、プリーツ状にされ、フィルタパネル内に固定された、そのような膨張されたフィルタ構造体は、意図されている濾過用途の環境に曝された際に、歪むことはない。従って、本発明によるフィルタパネルは、所望の濾過用途において使用された場合に、歪むことはないはずであり、より乾燥した又は若干湿った環境にも耐えられるはずである。しかし、実際には、周辺空気中の化学成分からイオン交換粒子を保護するために、フィルタパネルは、いずれにしても包装されていなければならないので、実際に使用する前に空気湿度の大きな変動に曝されることはない。
従って、本発明は、繊維状骨格内部に分布されたイオン交換粒子を含有し、フィルタパネル内で使用するためのプリーツ状フィルタ構造体に関する。フィルタ構造体は、フィルタ構造体をさらに膨張させることなく、イオン交換粒子が、乾燥しているイオン交換粒子と比較して、膨潤すること又は膨潤された状態で存在することができる、十分な空間を含むように膨張されている。
本発明の好ましい実施形態においては、フィルタ構造体の繊維状骨格は、複合構造繊維1及び複合熱可塑性繊維4を含む。複合構造繊維1は、第1の相対的に融点の高い成分及び第1の相対的に融点の低い成分を含み、前記第1の相対的に融点の高い成分は前記第1の相対的に融点の低い成分より少なくとも20℃高い融点を有する。複合熱可塑性繊維4は、構造繊維1より相対的に小さいデニールを有し、第2の相対的に融点の高い成分及び第2の相対的に融点の低い成分を含む。複合構造繊維1は、熱的に接着された、繊維状の網目を形成し、その網目中で第1の相対的に融点の低い成分が、交差点2において構造繊維を接着して繊維状の網目を安定させている。複合熱可塑性繊維4は、繊維状の網目全体に分散され、加熱により繊維状の網目に接着されて、動かないように固定される。イオン交換粒子は、より小さなデニールの複合熱可塑性繊維4に、加熱により接着されており、フィルタ構造体は、フィルタ構造体をさらに膨張することなしに、イオン交換粒子が、乾燥しているイオン交換粒子と比較して膨潤すること又は膨潤された状態で存在することができる、十分な空間を含むように膨張されている。
膨張されたフィルタ構造体は、乾燥粒子と較べてイオン交換粒子の直径が、好ましくは、少なくとも38%、より好ましくは、少なくとも47%、増大することができるのに十分な空間を含有する。
ある実施形態においては、フィルタ構造体が湿った環境又は水に曝される方法により、フィルタ構造体の膨張が行われた。
イオン交換粒子は、マクロ多孔質ポリマーであることができ、イオン交換粒子の装填量は、適切には100〜2000g/m、好ましくは300〜1000g/m、及び最も好ましくは400〜700g/mである。イオン交換粒子は、好ましくは単一球であり、425〜525μmの直径を有する。
ある実施形態においては、繊維状骨格は、熱的に接着された繊維、好ましくは、粗い構造の熱可塑性繊維からなる、熱的に接着された繊維状の網目を含み、繊維状骨格全体に分散され、熱を加えることにより繊維状骨格に接着され、動かないように固定させられた、構造繊維より相対的に小さなデニールの、細い熱可塑性繊維を有し、その骨格中で、イオン交換粒子が、加熱によってよりデニールの小さな複合熱可塑性繊維に接着されている。
本発明は、又、フィルタ構造体がプリーツ状にされ、フィルタパネルの枠内に固定されているフィルタパネルに関する。プリーツ状にされたフィルタ構造体は、有利にも0〜25プリーツ/dm、好ましくは5〜20プリーツ/dm及び最も好ましくは8〜15プリーツ/dmのプリーツを有する。プリーツの高さは、10〜300mm、好ましくは15〜150mm及び最も好ましくは15〜100mmである。枠は、適切にもステンレス鋼又はアルミニウムから作製される。プリーツ状フィルタ構造体は、ポリウレタン接着剤を使用して、適切にも枠に固定される。好ましくは、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された総ガス放出量が10μg/g未満であるポリウレタン接着剤が使用される。空気がバイパスすることを避けるための外部の封着ストリップは、適切にもポリマーから作製され、このポリマーは、好ましくは、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認される、10μg/g未満の総ガス放出量を有する。
本発明は、又、フィルタ構造体を作製する方法に関するものであり、その際、プリーツ状にされうるフィルタ構造体は、繊維状骨格内に分布されたイオン交換粒子を含み、前記プリーツ状にされうる構造体は、湿った又は水を含有する環境に曝される含水処理を受け、それによりイオン交換粒子が膨潤し、フィルタ構造体の永続的な拡張がもたらされる。
ある実施形態においては、繊維状骨格内の繊維は、イオン交換粒子が膨潤した結果引き伸ばされ、引き伸ばされたままの状態で留まっている。イオン交換粒子が、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%の水分含有量に達するまで、フィルタ構造体はこの環境に曝される。
含水処理前のイオン交換粒子は、10%未満の水分含有量を有し、含水処理する間に直径が38%まで増大する。含水処理の際に用いられる湿度環境は、適切には20℃の温度において、少なくとも70%の相対湿度に相当する絶対水分含有量を有する。好ましくは、含水処理の際に用いられる湿度環境の絶対水分含有量は、30℃の温度において、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の相対湿度に相当する。
含水処理は、バッチ方式又は連続方式で実行されうる。
含水処理は、伸縮性があって、弾性の小さい繊維を含有している繊維状骨格を有する、すべてのイオン交換フィルタクロスに対して使用されうる。本用途にとって特に有利であるフィルタクロスは、参照により本明細書に組み込まれるEP 666 095 B1に記載されている。このフィルタクロスは、寸法安定性が高い。このフィルタクロスは、比較的大きなデニールの複合繊維からなる安定した骨格、骨格全体に分散され、骨格に接着された比較的小さなデニールの熱可塑性繊維、及び少なくとも、より小さなデニールの熱可塑性繊維に接着されたイオン交換粒子を含む。より大きなデニールの繊維は、実質的により小さなデニールの繊維及び粒子から形成されているフィルタ構造体の安定性及び透過性を維持する。より大きなデニールの繊維は、少なくとも約30dpf(denier per fiber)のデニールを有するべきであり、相対的に融点の高い成分及び相対的に融点の低い成分を含まなければならない。より融点の低い成分は、骨格の繊維を交差点で接着する。より小さなデニールの繊維は、約30dpf未満のデニールを有するべきであり、骨格全体に分散され、骨格に接着されて、熱可塑性繊維を動かないように固定し、イオン交換粒子が付着する表面を提供する。イオン交換粒子は、少なくとも、より小さなデニールの熱可塑性繊維に接着される。
このフィルタクロスは、イオン交換粒子が、接着剤を使用することなしにフィルタ構造体中に組み込まれているので、接着剤を含有する繊維状のフィルタクロスに対して有利である。接着剤の使用には、以下で考察されることになるような、一定の欠点がある。第1に、イオン交換粒子の表面積が、接着剤により部分的に覆われることになり、フィルタの吸着効果を実質的に減少させる。第2に、接着剤含有フィルタのさらなる望ましくない特性は、よく知られているガス放出の問題、つまり、使用中に、ガス状化合物がフィルタパネル自体から放出される問題である。イオン交換フィルタクロスの作製に通常使用される接着剤は、中及び高沸点の有機種、難燃剤、可塑剤及び有機リン酸エステルなどの、AMCを放出するという欠点を有する。
EP 666 095 B1に記載の複合フィルタクロスを使用することにより、空気の流れから、酸性又はアルカリ性の空気由来の分子化合物(AMC)を吸着するためのフィルタに使用でき、且つ、優れた除去効率、優れた能力、低い圧力低下を有し、吸着剤を固定するために接着剤を使用する必要のない、イオン交換吸着剤フィルタ構造体が提供される。
小さな及び大きなデニールの繊維は、同じ材料から形成され、ナイロンの鞘及びポリエステルの芯を有する鞘/芯構造のヘテロフィラメントとなりうる。そのようなより大きな及びより小さなデニールのヘテロフィラメントから形成され、約1.0mm〜250mmの厚さを有するフィルタ構造体が、作製されうる。イオン交換粒子は、骨格複合繊維及びより小さなデニールの熱可塑性繊維の選択に応じて、0.1μm〜5mmの有効粒径を有することができる。
適切なフィルタクロスは、30dpf又はそれより大きいデニールを有する比較的大きなデニールの複合繊維の骨格を調製すること、及びこれらの繊維を交差点で熱的に接着させることを含む方法により調製される。より小さなデニールの熱可塑性繊維は骨格中に分散され、これらの繊維は、約30未満のデニールを有する。より小さなデニールの繊維は、骨格上で動かないように固定され、粒子は骨格上に分散され、少なくともより小さなデニールの繊維に熱的に接着される。
より小さなデニールの繊維は、水流絡合(hydro−entanglement)又は空気絡合(air−entanglement)又は他の適切な方法により、骨格内に分散させられうる。別法としては、比較的小さなデニールの熱可塑性繊維のウエブが形成されることができ、より大きなデニールの繊維が、より小さなデニールのウエブ中に一体化されて寸法安定性をもたらすことができる。
図1は、本発明において使用されるフィルタ構造体の一部の断面を示す。フィルタ構造体は、交差点2において、熱的に接着された比較的大きなデニールの複合構造繊維1の安定した骨格を含む。「構造繊維」(“structural fibers”)という言葉により、フィルタ又は織物構造を支持するために使用されうる比較的大きなデニールの繊維が意味される。これらの構造繊維は、少なくとも約30dpfのデニールを有する。
構造繊維は、圧縮応力に対する抵抗力がある、別の言い方をすれば寸法安定性がある、骨格を提供するために望まれる剛性及び選択されるイオン交換粒子3の大きさに応じて、約30dpf〜10,000dpf又はそれより大きいデニールの範囲で変化しうる。複合繊維は、相対的により小さなデニールの繊維4が接着されうる構造を提供するのに十分な量で存在しなければならない。
複合繊維1は、融点がより高い成分と融点がより低い成分を有する。より融点の高い成分は、相対的に融点の低い成分より、少なくとも約20℃高い融点を有する。より融点の低い成分の融点より高く、より融点の高い成分の融点より低い温度に加熱された場合は、より高融点の成分によりもたらされている骨格の構造の完全な状態に影響を及ぼすことなしに、より融点の低い成分は、骨格の繊維を接着する。
本発明を実施する際に構造繊維として使用するのに適切な複合繊維は、融点のより高い及びより低い成分が並んで配列されている2成分繊維、又は高融点成分が芯を形成し、低融点成分が鞘を形成している、同心又は偏心の鞘/芯型配列を有するヘテロフィラメントの繊維を含む。本明細書において使用される「ヘテロフィラメント」(“heterofilaments”)という言葉は、別に明記されていない限り、ステープルファイバ及び連続フィラメントを指す。本明細書において使用される「繊維」という言葉は、別に明記されていない限り、切断された繊維及び連続フィラメントを指す。
より融点の低いナイロン成分及びより融点の高いポリエステル成分を有する複合繊維、例えば、融点が約175〜185℃であるナイロンの鞘及び融点が約240〜256℃であるポリエステルの芯を有する鞘/芯型ヘテロフィラメントは、繊維状骨格内で使用するのに有用であることが分かった。
図2は、ヘテロフィラメント5の断面を示す。ヘテロフィラメント繊維5は、骨格又はフィルタ構造体のイオン交換粒子3を付着するために使用されうる複合作製繊維の多数の種類の典型を示す。
図5は、鞘及び芯のそれぞれが繊維の断面積の約50%を含む、同心型鞘−芯ヘテロフィラメントとして示されている。鞘により占有される繊維の面積の範囲は、約20〜約80%の間であるように意図されている。繊維は、融点がより低いナイロンの鞘6及び融点がより高いポリエステルの芯7を有する。芯の完全な状態(integrity;完全性、整合性、保全性)に悪影響を及ぼすことなしに、繊維構造を強力に熱的に接着させるために、鞘は、芯の融点より少なくとも20℃低い融点を有するべきであり、繊維の断面積の約半分を占めるべきである。芯はフィルタ構造体に強度と完全性を与える。
本発明のフィルタ構造体の、相対的に大きなデニールの構造繊維1の骨格は、すべて、交差点2において構造を熱的に接着し、相対的により小さなデニールの繊維4を動かないように固定するために、より融点の低い成分を有する、上述のような複合作製繊維を含む。この実施形態のフィルタクロスにおいて使用するのに適した、融点の高い成分及び融点の低い成分を有する広範囲のさまざまな複合繊維があり、ナイロンの鞘及びポリエステルの芯を有するヘテロフィラメント繊維は、利用可能な、広範囲にわたる繊維のほんの一例である。複合繊維1は、又、捲縮された及び捲縮されない(crimped and non−crimped)切断ステープルファイバ(cut staple fibers)、ショートカットステープル(short cut staple)、連続フィラメント又はそれらのブレンドを含むさまざまな形態を取りうる。
フィルタ構造体のより小さなデニールの熱可塑性繊維4は、大きなデニールの繊維で動かないように固定されており、イオン交換粒子に加えて、液体及び気体を活性濾過する。又、これらのより小さなデニールの繊維によって、イオン交換粒子を動かないように固定するのに利用できる表面積が著しく増加する。これらのより小さなデニールの繊維は、約1〜30dpfのデニールの範囲で変動することができる。連続フィラメントも意図されてはいるが、より小さなデニールのステープルファイバ及びショートカットステープルは、フィルタ構造体内で使用するのに特に適している。繊維4は、粒子3を動かないように固定し、フィルタを通過する際の圧力降下が許容できる状態で所望の濾過を行うのに十分な量で存在しなければならない。
より小さなデニールの熱可塑性繊維は、加熱によってより大きなデニールの繊維の骨格内で動かないように固定されうる。より細いファイバを融解して、フィルタを通過する際の圧力降下に逆効果を与えうる又はフィルタ効率を低下させうる塊を造ってしまうことを避けるように、注意が払われなければならない。骨格を形成する複合構造繊維と同じ成分を有する、より小さなデニールの繊維を使用することは有用であることが分かった。
例えば、ナイロン及びポリエステルの鞘/芯型ヘテロフィラメントを使用して骨格を形成する場合は、より小さなデニールの繊維も、類似の融点を有するナイロン及びポリエステルの鞘/芯型ヘテロフィラメントであれば、構造を接着するため及びより小さなデニールの繊維及び粒子を動かないように固定するために役立つ。
図3は、それぞれ1及び4で示した大きなデニール及び小さなデニールの繊維の骨格内に動かないように固定されているイオン交換粒子3の、非常に大きな拡大図である。より小さなデニールの繊維は、数字8の点でより大きなデニールの繊維の骨格上で動かないように固定されている。粒子は、主としてよりデニールの小さな繊維に数字9の点で融着されており、10で示した大きなデニールの繊維にも接着されうる。図3から分かるように、フィルタ構造体はカゴに似た構造であり、イオン交換粒子はその中に捕獲され、実質的に移動することを妨げられている。個々の繊維への粒子の融着は、繊維が粒子の上に膜を形成しない又はフィルタ構造体を通過する液体又は気体の流れと接触するのに利用される粒子の表面積を実質的に減少させないという点で、望ましくは局所的である。
複合繊維フィルタクロスは、EP 066095 B1に記載されている、さまざまな代替方法により製造されうる。
本発明のフィルタ構造体を形成するようにフィルタクロスを膨張させるための方法は、バッチ方式で又は連続的に実行されうる。
バッチ方式で増湿する場合は、フィルタクロスは、増湿室内で湿った空気に曝される。増湿室内の空気の湿度は、好ましくは、70%であり、湿った空気にフィルタクロスを曝す時間は、4〜6時間である。
連続増湿方法においては、フィルタクロスは、増湿トンネルを通って移送され、トンネル内の増湿空気は、好ましくは、80〜100%の相対湿度を有する。温度は20〜60℃であり、暴露時間は1〜10分間である。
又、含水処理は、フィルタクロスにウォータエーロゾルを噴霧することにより実行されうる。
増湿段階の後で、フィルタ構造体をプリーツ状とし、それを所望の大きさに切断し、接着剤を用いてそれをパネルの枠に取り付ける。
ガス放出の少ない、すなわち、使用中に、フィルタパネル自体から放出される気体化合物の量が少ないフィルタパネルを得るために、接着剤は、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された総ガス放出量が10μg/g未満であるポリウレタン接着剤でなければならない。
図8及び9には、フィルタパネルの歪んだプリーツ部分の例が示されている。これらのフィルタパネルのフィルタ構造体は、本発明による含水処理を受けていず、従って、イオン交換粒子が膨潤することができる自由空間をまったく含有していない。従って、これらのプリーツ状フィルタ構造体が、濾過用途において湿った空気に曝されるとプリーツは変形されてしまう。
図10には、正しい増湿及び製作が行われた後の完成されたパネルが示されている。
フィルタパネルを作製するための装置配列は、図11に示されている。この装置配列は、巻き戻しスタンド(A)、増湿器(B)、プリーツ加工装置(C)及びプリーツの梱包処理テーブル(D)を備えている。
本発明のフィルタ構造体の断面を示す図である。 本発明の代表的な熱可塑性繊維の断面を示す図である。 フィルタ構造体中の繊維の接着及びイオン交換粒子をフィルタ構造体の繊維に接着させることを示す、図1のフィルタ構造体の一部を示す図である。 −SOH基を有する、強カチオンイオン交換粒子の構造を示す図である。 −CHCOOH基を有する、弱カチオンイオン交換粒子の構造を示す図である。 −CHN(CHOH基を有する、強アニオンイオン交換粒子の構造を示す図である。 −CHN:(CH基を有する、弱アニオンイオン交換粒子の構造を示す図である。 フィルタパネルの歪んだプリーツ部分の一例を示す図である。 フィルタパネルの歪んだプリーツ部分の別の例を示す図である。 正しい増湿及び製作を行った後の完成されたパネルを示す図である。 フィルタパネルを作製するための装置の配列を示す図である。

Claims (25)

  1. 引き伸ばされ得る繊維を含む繊維状骨格内部に分布されたイオン交換粒子を含有するプリーツ状に加工されてフィルタパネルにおいて使用するためのフィルタ構造体であって、
    前記フィルタ構造体は、前記フィルタ構造体のさらなる膨張を起こすことなく、乾燥しているイオン交換粒子と比較して、前記イオン交換粒子が膨潤すること又は膨潤した状態で存在することができる空間を含むように、不可逆的に前膨張されており(irreversibly pre-expanded)、
    前記フィルタ構造体の前膨張は、前記フィルタ構造体を湿った環境又は水に曝して、前記イオン交換粒子を膨潤し、前記フィルタ構造体の永続的拡張(permanent expansion)を引き起こすことによって達成されることを特徴とする、フィルタ構造体。
  2. 前記繊維状骨格が、複合構造繊維(1)及び複合熱可塑性繊維(4)を含み、前記複合構造繊維(1)は、第1の相対的に融点の高い成分及び第1の相対的に融点の低い成分を含み、前記第1の相対的に融点の高い成分は、前記第1の相対的に融点の低い成分より少なくとも20℃高い融点を有し、前記複合熱可塑性繊維(4)は前記構造繊維(1)より相対的に小さなデニールを有し、且つ第2の相対的に融点の高い成分及び第2の相対的に融点の低い成分を含み、
    前記複合構造繊維(1)は熱的に接着された、繊維状の網目を形成し、その中で、前記第1の相対的に融点の低い成分は、交差点(2)で前記構造繊維を接着して前記繊維状の網目を安定化し、前記複合熱可塑性繊維(4)は、前記繊維状の網目全体に分散され、加熱により前記繊維状の網目に接着されて動かないように固定され、且つ、前記イオン交換粒子は加熱によって、前記より小さなデニールの複合熱可塑性繊維(4)に接着され、前記フィルタ構造体は、前記フィルタ構造体のさらなる膨張を起こすことなく、前記イオン交換粒子(3)が、乾燥しているイオン交換粒子と比較して、膨潤すること又は膨潤された状態で存在することができる十分な空間を含むように膨張されている、請求項1に記載のフィルタ構造体。
  3. 前記膨張されたフィルタ構造体が、乾燥粒子と比較して少なくとも38%の前記イオン交換粒子の直径の増加を可能にする空間を含有する、請求項1又は2に記載のフィルタ構造体。
  4. 前記膨張されたフィルタ構造体が、乾燥粒子と比較して少なくとも47%の前記イオン交換粒子の直径の増加を可能にする空間を含有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  5. 前記イオン交換粒子がマクロ多孔質ポリマーである、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  6. 前記イオン交換粒子の装填量が、100〜2000g/m、好ましくは300〜1000g/m、最も好ましくは400〜700g/mである、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  7. 前記イオン交換粒子が、単球状であり、425〜525μmの直径を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  8. 前記繊維状骨格が熱的に接着された繊維を含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  9. 前記繊維状骨格が粗い構造熱可塑性繊維からなる熱的に接着された繊維状の網目を含み、前記繊維状骨格の全体に分散され、熱を加えることにより前記繊維状骨格に接着されて動かないように固定させられた前記構造繊維より相対的に小さなデニールの細い熱可塑性繊維を有し、前記イオン交換粒子は、加熱によって前記よりデニールの小さな複合熱可塑性繊維に接着されている、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体。
  10. 前記フィルタ構造体が、プリーツ状にされ、フィルタパネル内に固定されている、請求項1からまでのいずれか一項に記載のフィルタ構造体を含むフィルタパネル。
  11. 前記プリーツ状にされたフィルタ構造体が0〜25プリーツ/デシメートル、好ましくは5〜20プリーツ/デシメートル及び最も好ましくは8〜15プリーツ/デシメートルのプリーツを有する、請求項10に記載のフィルタパネル。
  12. 前記プリーツの高さが10〜300mm、好ましくは15〜150mm、及び最も好ましくは15〜100mmである、請求項10又は11に記載のフィルタパネル。
  13. 枠がステンレス鋼又はアルミニウムから作製されている、請求項10から12までのいずれか一項に記載のフィルタパネル。
  14. 前記プリーツ状にされたフィルタ構造体が、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された総ガス放出量が10μg/g未満であるポリウレタン接着剤を用いて枠に固定されている、請求項10から13までのいずれか一項に記載のフィルタパネル。
  15. 空気バイパスを避けるための外部シーリングストリップが、外部標準としてn−デカンを用い、50℃で30分間の熱脱離を行う、熱脱離ガスクロマトグラフィ質量分析(TD−GC−MS)により確認された総ガス放出量が10μg/g未満であるポリマーから作製されている、請求項10から14までのいずれか一項に記載のフィルタパネル。
  16. プリーツ状に加工されてフィルタパネルにおいて使用するためのフィルタ構造体を作製するための方法であって、
    引き伸ばされ得る繊維を含む繊維状骨格内部にイオン交換粒子が分布されたフィルタ構造体を、湿った又は水を含有する環境に曝す含水処理に供して、前記イオン交換粒子を膨潤することにより、前記フィルタ構造体の永続的拡張(permanent expansion)を引き起こすことを特徴とする上記方法。
  17. 前記イオン交換粒子が少なくとも20重量%の水分含有量に到達するまで、前記フィルタ構造体を前記環境に曝す、請求項16に記載の方法。
  18. 前記イオン交換粒子が少なくとも30重量%の水分含有量に到達するまで、前記フィルタ構造体を前記環境に曝す、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記イオン交換粒子が前記環境に曝す前に10%未満の水分含有量を有し、前記含水処理の間に直径が38%まで増大する、請求項16から18までのいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記含水処理に使用される前記湿った環境が、20℃の温度において少なくとも70%の相対湿度を有する、請求項16から19までのいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記含水処理に使用される前記湿った環境が、30℃の温度において少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の相対湿度を有する、請求項16から20までのいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記フィルタ構造体がバッチ方式の前記含水処理を受ける、請求項16から21までのいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記フィルタ構造体が連続方式の前記含水処理を受ける、請求項16から21までのいずれか一項に記載の方法。
  24. 請求項16から23のいずれか一項に記載の方法で得られたフィルタ構造体を、プリーツ状に加工する、フィルタ構造体の製造方法。
  25. 請求項16から23のいずれか一項に記載の方法で得られた、フィルタ構造体を、プリーツ状に加工し、フィルタパネル内に固定する、フィルタパネルの製造方法。
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