以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係るクリーニング装置を備えた本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、像担持体である感光体ドラム2の周囲には、帯電ローラ等で感光体ドラムの表面を帯電する帯電装置3、レーザー光等で感光体ドラム2の一様帯電処理面に潜像を形成する露光装置4、感光体ドラム2上において潜像に対し帯電したトナーを付着させることでトナー像を形成させる現像装置6、転写ベルトまたは転写ローラ、チャージャー等で感光体ドラム2上に形成されたトナー像を記録紙9に転写する転写装置7、転写後に感光体ドラム2上に残ったトナーを除去する本発明に係るクリーニング装置16、感光体ドラム2上の残留電位を除去する除電装置18が順に配置されている。
一方、給紙トレイなどに収納された記録紙9は給紙ローラ10によって1枚ずつ分離されて給紙され、搬送ローラ11などを通じて感光体ドラム2と転写装置7のローラ12aとの間で形成されるニップ部7aに送り込まれる。また、転写装置7は転写部を形成するローラ12aとローラ12bとの間に搬送ベルト12cが掛け渡され、転写が終了した記録紙9を搬送ベルト12cによって定着装置14に送り込み、定着装置14から送り出された記録紙9は排紙ローラ15によって図示しない排紙ストッカに排紙される。なお、転写装置7の搬送ベルト12cはクリーニング手段13によって表面をクリーニングされる。
このような構成において、帯電装置3の帯電ローラによって表面を一様に帯電された感光体ドラム2は、露光装置4によって出力画像に応じた静電潜像を形成され、現像装置6によって潜像にトナーが付着されて現像され、トナー像が形成される。このトナー像は転写装置7によって感光体ドラム2表面から、給紙トレイから搬送された記録紙9に転写される。その後、記録紙9は転写装置7で定着装置14に送られて記録紙9上のトナー像は定着装置14によって記録紙9に定着され、排紙ローラ15を通じて排紙される。
一方、転写されずに感光体ドラム2上に残った残留トナーはクリーニング装置16によって回収され、残留トナーを除去された感光体ドラム2は除電ランプ18で初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
そこで、先ず、像担持体である感光体ドラム2の層構成の異なる例について図2ないし図6を参照して説明する。
像担持体(感光体ドラム2)は、基本的に、図2に示すように、導電性基体(支持体)21及び粒子状物質23を含有した潜像担持層(感光層)22で構成される。この場合、図3に示すように、粒子状物質23を、潜像担持層22とは別の、潜像担持体層22上に設けた粒子状物質含有表面層23に含有させて、導電性基体21より最も離れた表面に設けても良い。
ここで、潜像担持層22としては帯電可能な電気絶縁性で有ることが必要であるが、非光導電性の誘電層又は光導電性を有した感光層が使用可能である。
また、露光によって光キャリアーが発生するいわゆる電子写真感光体としては、図4に示すように感光層22aが単層型のもの、図5に示すように電荷発生層22bと電荷輸送層22cに分離形成され、導電性基体21上に中間層25を介して電荷発生層22b及び電荷輸送層22cを順次積層した積層型のもの、図6に示すように電荷発生層22bと電荷輸送層22cに分離形成され、導電性基体21上に中間層25を介して電荷輸送層22c及び電荷発生層22bを順次積層した逆積層型のものなどを使用することができる。
ここで、粒子状物質含有表面層24の作製方法について説明すると、粒子状物質はバインダー樹脂、低分子電荷輸送物質、及び高分子電荷輸送物質と粉砕、分散し、塗工される。粒子状物質含有表面層24中の粒子状物質23の含有量は、5〜50重量%で、特に好ましくは10〜40重量%である。粒子状物質23の含有量が10重量%未満であると耐摩耗性はあるものの十分でなく、50重量%を越えると感光層の透明性が損なわれる。また、粒子状物質23は平均粒径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmに粉砕、分散するのが好ましい。粒径が大きいと、表面に頭出しクリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生する。
粒子状物質23としては、表面層24の構成樹脂より堅い粒子状物質であれば使用可能であり、無機物質、有機物質を用いることができる。例えば、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の金属酸化物が挙げられるが、特に良好なものとして酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
これら粒子状物質は分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。一般に、撥水性処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したもの、また、無機物処理としてはフィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものを使用することが好ましい。
バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等が挙げられるが、特に好ましいバインダー樹脂としては一般式2、及び3で示されるポリカーボネートである。
また、感光体表面電荷が負極性の場合の電荷輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾ−ル誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの低分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができ、粒子状物質含有層中の低分子輸送物質(D)、バインダー樹脂(R)及び粒子状物質(F)の含有量はD:R:F=10〜40:35〜55:5〜40重量%含有させる。
低分子電荷輸送物質が10重量%未満になると電荷移動性に起因すと考えられる明部電位上昇、40重量%を越えると膜強度低下が生じ易くなる。バインダー樹脂は低分子輸送物質、及び粒子状物質を固定させるためで35重量%未満であると粒子状物質層の脆化が発生し、55重量%を越えると低分子輸送物質、及び粒子状物質量とのバランスの点で電気特性、膜強度で好ましくない。粒子状物質量は5重量%未満であると、耐摩耗性の点で好ましくなく、40重量%を越えると膜の不透明化による地汚れなど画像劣化が発生する。特に一般式1で示される低分子輸送物質は移動度が速く上記バインダー樹脂との相溶性が良く好ましい。
分散溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用され、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いて分散、粉砕する。
粒子状物質の添加量は0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%である。粒子状物質の粒径は0.05〜1.0μmで好ましくは0.05〜0.8μmである。粒子状物質添加層を積層する場合の膜厚は0.5〜10μmで、好ましくは0.5〜5μmである。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
低分子輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層上に粒子状物質層を設ける場合、低分子電荷輸送層に用いられたバインダー樹脂と粒子状物質層に用いられるバインダー樹脂の構造が異なることが好ましい。これは、電荷輸送層との界面を構成し粒子状物質の電荷輸送層へ粒子状物質の拡散防止を測り電気特性の安定化を図るものである。
また、バインダー樹脂の同構造間でも使用する低分子輸送物質構造が違うことで低分子輸送物質の溶解性が異なることで粒子状物質の拡散防止が可能である。界面の形成は電気特性の安定化、及び粒子状物質の層内均一分布化であり、これによる高耐久化、高感度化、高安定化を維持するものである。
導電性基体としては、体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらをD.I.、I.I.、押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
感光層は、単層型及び積層型のいずれでもよい。まず、積層型について説明する。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料あるいは有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル‐ハロゲン、セレン-ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。
これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
このようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材とバインダー樹脂と伴に溶解、塗工し電荷輸送層とし使用できバインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層に使用される低分子電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ベンジジン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、アントラセン誘導体、スチリル誘導体、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体などを使用することができる。
また、電荷輸送層としては高分子電荷輸送物質を溶解、塗工して使用することができる。高分子電荷輸送物質の例としては一般式4〜13で示されるトリアリールアミンを主鎖、及び側鎖にもつもの、例えば特開平5−202135号記載のトリアリールアミン骨格をもつアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾールなどが用いられる。
次に、感光層が単層構成の場合について説明する。キャスティング法等で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と低分子ならびにバインダー樹脂よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質ならびに電荷輸送物質には、上述した材料を用いることができる。また、低分子電荷輸送物質とバインダー樹脂の代わりとして高分子電荷輸送物質を用いることができる。こちらも上述した材料を使用することができる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダ−樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
次に、本発明に係るクリーニング装置の第1実施形態について図7ないし図9を参照して説明する。なお、図7は同クリーニング装置の加振ブレードの要部拡大説明図、図8は同加振ブレードの正面説明図、図9は同加振ブレードを先端側から見た説明図である。
このクリーニング装置16の加振ブレード30は、ブレード部材31と、このブレード部材31を取り付けた振動伝達部材32と、この振動伝達部材32に取り付けられた加振手段33と、振動伝達部材32の一端部及び加振手段33の一端部を支持する支持部材34を備えている。
ブレード部材31は、例えばポリウレタンゴムを素材とした弾性体で、厚みは50〜1500μmの範囲内、好ましくは100〜500μmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、像担持体2表面及びブレード部材31自体のうねり等によってブレード部材31の像担持体2への押し付け量が確保しにくくなる。厚さが厚すぎると、振動伝達部材32からの振動を吸収し、ブレード部材31先端部へ振動が十分伝達されず、トナーのクリーニング性が低下する。ブレード部材31の厚さが厚い場合は、ブレード部材31の材料としてJISA硬度で85〜100°の範囲内の硬い部材を使用することで、振動の伝達効率を上げることができる。
ここで薄いウレタンブレードの製造方法によっては、ブレード部材31と振動伝達部材32との間に一層、または二層以上の他の部材を介在させた構成とすることもできる。例えば、薄いウレタンブレードを成型する時、ウレタンより硬度の高いPET等の既成樹脂フィルムに一体接合成型する。これによって、フレード部材のニップ部はシャープなエッジが必要であるが、そのための切断作業のハンドリング性が向上する。この場合は、PETとウレタンとを一体にしたものを切断加工した後、PFT側を振動伝達部材32に接合して取付けることになる。
振動伝達部材32は、振動が可能で弾性のブレード部材31よりも剛性の高い材料、例えば軟鋼板、SUS板、等の金属部材、またはカーボン、ガラス繊維を混合した樹脂成形部材、などから形成している。この振動伝達部材32は一端部側を支持部材34に固定し、他端部にブレード部材31を取り付けている。なお、支持部材34はクリーニング装置16の筐体等に固定する。
加振手段33は、振動伝達部材32に振動を与えるもので、ここでは電気機械変換素子としての積層型圧電素子を用いている。加振手段33として積層型圧電素子を用いることにより、低コストで変位量が容易に得られる加振手段を構成することができる。また、積層型圧電素子は、それ自体の固有振動数が50〜100kHzと高く、また発生変位力が非常に大きいので、積層型圧電素子を用いることで、振動伝達部材32の板厚を厚くしても高い振動数まで応答が可能な構成が容易となる。
ここでは、加振手段33を構成する積層型圧電素子は、例えば一層あたり100μmの圧電層33aと内部電極33b、33cとを交互に積層し、内部電極は交互に両端面に引き出して端面電極(外部電極)に接続したものであり、その積層方向の変位であるd33方向変位を利用する構成としている。
なお、積層型圧電素子を用いて複数層積層した積層方向に対して直角となる面方向の変位、即ちd31方向変位を利用する構成とすることもでき、この場合変位量が大きくとれ、低電圧化を図れ、ドライバ(駆動回路)コストの低減を図れる。
この加振手段33は、図8及び図9に示すように、像担持体2の軸方向(幅方向)に複数個配置した構成としている。なお、加振手段33は1個でもよいが、複数個を間隔をおいて配置することにより、振動伝達部材32の幅方向の振動の均一性を得られ易い。なお、1個の長尺の積層型圧電素子を設けることも考えられるが、製造上の歩留まりなどから長尺の積層型圧電素子を用いるよりも、複数個を間隔を置いて配置する方が好ましい。
この加振手段33は、振動伝達部材32の像担持体2側先端寄り、すなわちブレード部材31の取り付け面と反対面に設けている。振動伝達部材32の構成によっては、加振手段33は振動伝達部材22の固定端とブレード先端の間で振動伝達部材32を加振できる箇所であれば特に取り付け位置が限定されるものではない。
そして、図10に示すように、このクリーニング装置16においては、加振ブレード30の複数の加振手段33を構成する圧電素子に対して共通に駆動信号Pvを印加するための駆動回路38を備えている。このようにブレード部材の幅方向に複数の加振手段を設けた場合に共通の駆動回路で駆動することによって、ブレード部材の幅方向における振動の均一性を高めることができる。
なお、駆動回路38は画像形成装置の駆動制御部にて構成され、所定のタイミングで駆動信号Pvを加振手段33に与える。また、この実施形態では1つの加振ブレード30で像担持体11の幅方向全幅のクリーニングを行うようにしているが、複数の加振ブレード30を設けて幅方向全幅をカバーするように構成することもでき、この場合にも複数の加振ブレード30の各加振手段を共通の駆動回路で駆動することが好ましい。
また、振動伝達部材32として金属性部材(導電性部材)を用いて、複数の加振手段33を構成する圧電素子の一方の電極を振動伝達部材32に直接コンタクトして電気的に接続することによって、振動伝達部材32を介して複数の加振手段33の一方の電極を共通に接続することができる。これにより、駆動信号の印加を簡単な回路構成で行うことができる。なお、直接コンタクトは電極の接合面側を粗面に仕上げて、薄い接着層で振動伝達部材32に接合することで容易に得られるが、この他、導電性接着剤を用いて接合してもよい。
このように構成したクリーニング装置16において、複数の加振手段33に対して駆動回路38から所要周波数の駆動信号Pvを与えて、複数の加振手段33を構成する圧電素子にd33方向の変形を与えることで振動伝達部材32が振動し、この振動伝達部材32の振動がブレード部材31に伝播されてブレード部材31が微振動し、像担持体2の表面の粒子状物質22にブレード部材31が衝突する確率が低下して、像担持体2の粒子状物質22が欠落することによる耐久性の低下、ブレード部材31自体の損傷を低減することができる。
ここで、ブレードクリーニングの原理図について図11を参照して説明する。ブレード部材31は像担持体2の回転に伴って、接触摩擦力によって、同図に破線で示す様なブレードのめくれ状態となる。このめくれ部は、像担持体2の進行方向(矢示A方向)に変形(ずり変形又は圧縮変形という。)し、その応力に伴うクリーニングブレードエッジ部に蓄積されたエネルギーが復元力(反発弾性力)として働き元の状態に戻る、いわゆるステイック・スリップ運動が生じる。
そして、くさび形状部41に滞留しているトナーTはブレード部材31から像担持体2の進行方向とは逆方向に戻される力を受けクリーニングされる。このとき、ブレード部材31が像担持体2の表面に接触していると、像担持体2の表面に突出している粒子状物質23によって、ブレード部材31は局所的なストレスを受け、損傷が加速される。
そこで、本発明のクリーニング装置16においては、加振手段33で振動伝達部材32を介してブレード部材31に振動を加えることで、ブレード部材31のずり変形が大きくなる前に弛緩され、めくれ状態が極めて短時間で解消する。
これは実験的に、図12に示すように像担持体2と駆動モータ45との間にトルク検出器46を設け、ブレード部材31への加振の有無によってトルクが変化することで検証された。この加振の有無によるトルクの測定結果を図13に示している。なお、同図は横軸に感光体(像担持体)の回転速度(V1<V2等の関係にある。)を、縦軸にトルクを表している。
この図13の結果から、ブレード部材31の振動があるときはないときに比べて、トルクが大きく低減していることが分かる。これはブレード部材31のずり変形量が小さくなったことによりトルクが減少したためである。そして、像担持体2の回転速度が速いと、振動なしのときにはずり変形している時間が短くなるためトルクは低下して行くのに対し、振動ありのときにはずり変形量が大きくなるためにトルクは漸次上昇傾向となる。
このように、ブレード部材31に振動伝達部材32を介して加振手段33から振動を与えることにより、ブレード部材31のずり変形状態から短時間で復帰させることができ、像担持体2の表面に突出している粒子状物質23によるブレード部材31に対するストレス及びブレード部材31による像担持体2に対するダメージが低減する。これにより、ブレード部材の損傷、トナーの組成物である樹脂やワックスによるフィルミングが防止でき、ブレード及び像担持体の耐久性(寿命)が向上する。
ここで、ブレード部材31の変位量について説明すると、加振手段33である圧電素子によって振動伝達部材32を振動させてブレード部材31に振動を与えると、ブレード部材31の先端部は数μmの微振動をする。このとき、圧電素子(加振手段)の変位量は電圧に比例する関係にある。圧電素子の印加電圧とトルク減少率とは、図14に示すように、ほぼ線形的な関係にある。したがって、加振手段33である圧電素子に対する印加電圧、即ち変位を大きくすることによって、ブレード部材31のずり変形状態からブレード部材31を復帰(復元)させる量が大きくなり、トルク減少率は向上する。
これより、ブレード部材31の変位量(振幅)は少なくとも粒子状物質23が埋没していることから、粒子状物質23の平均径の1/5以上にすることが好ましい。例えば、粒子状物質23の平均径が0.05〜1.0μmのとき、0.01〜0.2μm以上にすることが好ましい。これによって、粒子状物質との衝突確率が低下してブレード部材の損傷をより確実に低減することができる。
次に、加振手段33の発生力について説明すると、クリーニングする際、ブレード部材31は像担持体2に押し付けられ圧縮変形している。この力は、振動伝達部材32による押し付け力、即ち、撓み量によって決められる。したがって、加振部材33による発生力をこの撓み力より大きくする、言い換えれば、ブレード部材31の押し付け力を加振部材33の発生力よりも小さくすることにより、ブレード部材31は活性的に動作してブレード部材31のめくれの復元力が得られる。また、この力関係によって、像担持体2とブレード部材31の間で僅かなギャップが形成される。さらに、駆動周波数が充分に高い場合はめくれが生じない状態が形成される。
次に、ブレード部材31の当接角度とクリーニング角度の関係について図15ないし図17を参照して説明する。
図15に示すように、ブレード部材31の端部のうち、像担持体2に接触する点を基準にして像担持体2の進行方向(矢示A方向)に対向側に向かう面(先端面)31aと像担持体2表面がなす角度をクリーニング角度θ1、像担持体2の進行方向(矢示A方向)と同じ側に向かう面(側面)31bと像担持体2表面がなす角度を当接角度θ2とする。
このとき、ブレード部材31が像担持体2と当接するときのクリーニング角度θ1はクリーニング性能に大きく影響する。即ち、クリーニング角度θ1はブレード部材31が復元するとき、トナーの跳ね返し力となる。このときの角度θ1は大きすぎると、トナーが上に舞い上がるだけとなるだけで、跳ね返し効率は悪い。
また、図16に示すように、クリーニング角度θ1を小さくすると、ブレード部材31が像担持体2に巻き込まれてエッジ部31eが像担持体面2から離れ(同図B部)、クリーニング不良が生じたり、鳴きやブレード部材31のビビリが生じる。
一方、当接角度θ2は像担持体2上に付着しているトナーをスクレイプする機能を持つ。したがって、この角度θ2が高いと、スクレーピング機能はなくなる。よって、図17に示すように、クリーニング角度θ1を大きくする(同義であるが、当接角度θ2を小さくする)と、ブレード部材31自身が腹あたり状態となって、ブレード部材31の先端面31aのめくれが生じなくなり(同図のC部)、この場合はトナーをせき止める力が弱くなるため、クリーニング不良となる。
これらの点から、ブレード部材31の設定角度は、クリーニング角度θ1>当接角度θ2として、かつクリーニング角度θ1は45°≦θ1≦80°することにより、最適なクリーニング性能が得られる。
次に、クリーニング装置16の第2実施形態について図18及び図19を参照して説明する。なお、図18は同クリーニング装置の加振ブレードの要部拡大説明図、図19は図18の要部拡大説明図である。
このクリーニング装置16の加振ブレード50は、ブレード部材31と、このブレード部材31を取り付けた振動伝達部材32と、この振動伝達部材32に取り付けられた加振手段53と、振動伝達部材32の一端部を支持する支持部材54を備えている。
この装置では、加振手段53として、電気機械変換素子としての圧電素子、特に板状(単板)圧電素子を用いている。加振手段53として板状圧電素子を用いることにより、低コストで変位量が容易に得られる加振手段を構成することができる。
この加振手段53は、振動伝達部材32の支持部材54側で、ブレード部材31の取り付け面とは反対面に設けているが、特に取り付け位置が限定されるものではない。
加振手段53を構成する単板圧電素子は、図19に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電層53aの両面、即ち、振動伝達部材32との接合面とその反対面に、印刷焼成したAgなどからなる電極33b、33cを有する。この電極33b、33cを用いて分極を行った厚さ0.3〜0.5mmの圧電素子(圧電層33a)に対して、100〜300Vの電圧を印加することで板面方向の縮み変形が発生し、その結果、振動伝達部材32を撓ませる変形振動を与えることができる。この撓み振動は、圧電素子(加振手段53)と振動伝達部材32の剛性がほぼ同じときに変形の効率がよく、例えば厚さ0.2〜0.4mmの金属振動伝達部材32、あるいは厚さ0.3〜1.0mmの樹脂製振動伝達部材を用いることが好ましい。
次に、クリーニング装置16の第3実施形態の異なる例について図20及び図21を参照して説明する。なお、各図は同クリーニング装置の加振ブレードの要部拡大説明図である。
このクリーニング装置16の加振ブレード60は、ブレード部材31と、このブレード部材31を取り付けた厚さの異なる部分を有する振動伝達部材62と、この振動伝達部材62に取り付けられた加振手段33と、振動伝達部材62の一端部及び加振手段33の一端部を支持する支持部材34を備えている。
振動伝達部材62は、図20の例では、単層部材の厚さを変化させて薄い部分62aと厚い部分62bとを形成し、図21の例では、厚い部分62bを薄い部分61aに別の部材62b1を積層した構造としている。ここで、振動伝達部材62の厚い部分62aにブレード部材31を取りつけている。
すなわち、厚さが略一定の板状の振動伝達部材にブレード部材31を接着剤で接合した場合、加振手段による振動の伝播性能が悪く、特に撓み振動するときは非効率である。
そこで、振動伝達部材62のように部分的に板厚を変えることで剛性を変えて、撓みやすい箇所(薄い部分62a)と撓みづらい箇所(厚い部分62b)を設ける。これにより、剛性の低い箇所(薄い部分62a)は振動の加振エネルギーをエネルギー化ができ、剛性の高い箇所(厚い部分62b)にブレード部材31を接合して、ブレード部材31のスクレーピング力を高めるとともに、像担持体2の幅方向の剛性も向上させて、幅方向に均一なクリーニング性を持たせることができる。
このような振動伝達部材62は、SECC等の鉄系軟鋼板を切削加工、エッチング加工、又は、鍛造加工することで製作することができる。また、上述した図22の例のように、薄い板と厚い板を張り合わせ接合して、剛性の大きい箇所と小さい箇所を作製すれば容易に製作できる。このとき、貼り合わせ接合はスポットで行うのではなく、全面で接合することが重要である。
次に、振動伝達部材からのブレード部材31の突き出し量について図22を参照して説明する。なお、符号は第1実施形態のものを用いて説明する。
ブレード部材31と振動伝達部材32は振動の伝播特性を維持するために全面で接合することが必要であり、接着剤としては、エポキシ系が好ましいが、ブレード部材31との接合にはプライマー塗布やブレード部材31側のイオンスパッタなどによる表面改質をすることにより、より接合性能を向上することができる。
この振動伝達部材32から伝播された振動を効率よくブレード部材31の先端部に伝播するには、ブレード部材31の振動伝達部材32からの距離が問題となる。ブレード部材31は本来弾性体であるため、距離が長くなるほど減衰が増加する。よって、ブレード部材31のうちの振動伝達部材32と接合されない自由端を有する場合には、自由端の長さ(突き出し量)が像担持体2への伝播特性にも大きな影響を与える
実験によると、図22に示すように、ブレード部材31の厚さをh、振動伝達部材32からの突き出し量をdとしたとき、ブレード部材31の振動伝達部材32端面からの突き出し量dは小さい方が伝播効率が良く、ブレード部材31の厚さhまで突き出しても顕著な性能低下は見られなかった。しかし、突き出し量dがブレード部材31の厚さhを越えると、伝播性能が漸次低下していくことが確認された。したがって、突き出し量dはブレード厚さhより小さくすることが好ましい。
次に、クリーニング装置16の第4実施形態について図23を参照して説明する。なお、同図は同クリーニング装置の加振ブレードの要部拡大説明図である。
ここでは、振動伝達部材32の自由端部側に振動伝達部材の形成材料よりも音響インピーダンスが小さい中間部材35を介してブレード部材31を取り付けている。例えば、振動伝達部材32を金属(例えば鉄)で形成し、中間部材35を樹脂で形成している。
すなわち、振動伝達部材32としては振動の伝播性と変位しやすさ(可撓性)を得るために金属材料を用いて形成することが好ましいが、ブレード部材31はゴム材料で形成することが好ましい。この場合、振動伝達部材32とブレード部材31との間では、固有音響抵抗(ρc)に大きな差が生じるため、音響抵抗の大きい方から小さい方に伝播する際に大幅な減衰が生じる。
例えば、材質と固有音響抵抗(g/s/cm2)の実験においては、振動伝達部材32を鉄(ρc:270×104)、ブレード部材31をゴム(ρc:1.4×104)としたとき、190倍のギャップが生じる。
そこで、中間部材35として振動伝達部材32とブレード部材31との間に樹脂材(ρc:44×104 )を介することにより、振動伝達部材32と中間部材35とのギャップは6倍と大幅に減少する。
このように、振動伝達部材とブレード材との間に異種部材(中間部材)を介在させて、音響インピーダンスが振動伝播方向に小さくなる構成とすることで、伝播効率の低減が防止できる。なお、ここでは、中間部材は一層であるが複層構造とすることもできる。また、振動伝達部材の音響インピーダンスを部分的に改変する(ブレード部材側を小さくする)ことによって、中間部材を介在させない構成とすることもできる。
次に、クリーニング装置16の第5実施形態について図24を参照して説明する。なお、同図は同クリーニング装置の加振ブレードの要部平面説明図である。
ここでは、振動伝達部材32は、複数の加振手段33の間には幅方向に複数箇所の抜き領域(肉抜き部)32dを設け、梁の断面係数を小さくすることによって撓み易くしている。
これにより、圧電素子(加振手段33)による振動伝達部材32の先端方向への撓み変形の効率がより向上し、より効率的にブレード部材31を振動させることができる。なお、肉抜き部32dは、プレス加工、エッチング加工などによって良いに且つ精度良く加工することができ、また、加振手段33を設けていない部分のすべてに設ける必要はなく、部分的に設けても良い。
次に、本発明に係るクリーニング装置を含む本発明に係るプロセスカ−トリッジについて図25を参照して説明する。なお、同図は同プロセスカートリッジの概略構成断面図である。
このプロセスカートリッジ100は、像担持体101、帯電手段102、現像手段103、本発明に係るクリーニング装置106等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
クリ−ニング装置106を着脱自在であるプロセスカ−トリッジ内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換が容易に行うことができるようになる。
次に、本発明に係るプロセスカートリッジを用いた本発明に係るカラー画像形成装置について図26を参照して説明する。
この画像形成装置は、水平に延在して周回する転写ベルト111に沿って、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色ごとの上述したプロセスカートリッジ100M、100C、100Y、100Kを配置されている。各プロセスカ−トリッジ100で現像された像担持体101上の現像トナーは、給紙カセット112から転写ベルト111上に給紙され、転写ベルト111で搬送される記録紙113に転写装置114M、114C、114Y、114Kで、順次転写され、定着装置115で定着処理された排紙ローラ116で排紙される。
なお、プロセスカ−トリッジ100は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
そこで、像担持体、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の構成要素をプロセスカ−トリッジ100として一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。なお、プロセスカ−トリッジを複数設ける構成はカラー画像形成装置に限るものではない。