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JP4443960B2 - 金属製薄板の切断装置 - Google Patents

金属製薄板の切断装置 Download PDF

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Description

本発明は、金属製薄板の切断装置に関し、特に金属製薄板により形成された円筒状のドラムを輪切り状に切断して複数の金属リングを形成する際に好適な金属製薄板の切断装置に関する。
例えば、無段変速機に採用される動力伝達用のベルトにおいては、環状に積層配列された複数のエレメントを一体に結束するために、複数の金属製リング部材を積層してなる積層リングが用いられる。この種の積層リングを構成する金属リングは、矩形状の金属製薄板の両端縁を溶接接合して形成された円筒状のドラムを所定幅で輪切り状に切断することによって形成される。
従来、円筒状のドラムを所定幅毎に切断して前記金属リングを形成する際には、ドラムの一端部をクランプして支持し、回転する砥石を前記ドラムの他端部の外側から押し当て、該砥石を該ドラムの周方向に移動させることによって切断することが知られている。しかし、砥石を用いて前記ドラムを切断する場合には、砥石の幅に相当する研削代が必要とされるため、1つのドラムから得られる金属リングの歩留まりが低くなる。また、砥石を用いて前記ドラムを切断する場合には、摩耗した砥石を研磨する際の排水の処理が繁雑であるという問題がある。
そこで、下記特許文献1に見られるように、前記砥石に代えて、押切り刃具を用いて前記ドラムを切断する方法が知られている。しかし、この場合には、前記金属リングの内周側のコーナーエッジ部にバリが生じない反面、外周側のコーナーエッジ部に比較的大きなバリが発生し、切断後に行なわれるバレル研磨等の整形処理時間が長時間となる不都合がある。また、特許文献1には、ドラムの内面側と外面側との両側に押切り刃具を押し当てて切断することによって内周側と外面側との両方のコーナーエッジ部にバリが生じない方法が示されているが、ドラムが切断された後に両刃具同士が接触して刃具が損傷するおそれがある。
特開2001−241512号公報
かかる不都合を解消して、本発明は、切断端縁の整形処理等の時間を短縮して製造効率を向上させることができ、しかも、金属製薄板を所定幅に歩留まり良く切断することができ、更に、刃具の寿命を長くすることができる金属製薄板の切断装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、金属製の薄板を所定幅に切断する金属製薄板の切断装置であって、前記薄板の表側面の所定位置に押し当てて該薄板を切断する押切り刃具と、該押切り刃具による切断位置に対向する溝部を備えて前記薄板の裏側面に当接する当接具とを備え、前記押切り刃具は、前記薄板より硬度の高い金属からなり50〜90°の範囲の刃角を備え、前記当接具の溝部は、断面視V字状に形成され、該溝部の互いに対向する内側壁の上縁の間隔寸法が前記薄板の板厚寸法の15〜30倍であり、且つ、該溝部の中央に位置する最深部の深さ寸法が前記薄板の板厚寸法の1〜3倍であり、更に、該溝部の両内側壁が前記薄板の板厚寸法の15〜50倍の曲率半径を有して該溝部内に張り出す湾曲面を備え、該溝部の最深部には、両内側壁間にわたって一定の深さとなるように平坦に形成された平坦部が設けられていることを特徴とする。
本発明によって金属製薄板が切断されるとき、先ず、押切り刃具が該薄板を押圧しながら切込む。このとき、刃具によって押圧された薄板が溝部の内側壁の湾曲面に沿って緩やかに撓む。刃具が切り込んだ部分では刃具から離反方向に肉流が生じる。それに伴って刃具先端に向かって未だ切断されていない側が引き伸ばされ、刃具先端が向かう部分の肉厚が局部的に薄くなり、刃具先端に向かって凹入変形したくびれが形成される。そして、くびれ形状を残した状態で、薄板が溝部の最深部に接触しないで切断される。このようなくびれが残余したことにより、切断端縁におけるバリの発生を減少させることができる。
前記刃具の刃角及び前記当接具の溝部の形状は、本発明者による各種の試験に基づくものである。具体的には、次に示すことが試験により知見された。即ち、押切り刃具の刃角が50〜90°であることについては、刃角が90°より大きいと、薄板に刃具が切り込んだ際に両側に押しのけられる肉流量が増大し、該薄板に反りや波打ちが発生する。刃角が50°より小さいと、刃具が鋭利過ぎ、刃こぼれの発生等により耐久性が低下する。
また、溝部の両内側壁の上縁間の間隔寸法が薄板の板厚寸法の15〜30倍であることについては、15倍より狭いと、薄板が刃具によって押圧されたとき、薄板が溝部の内側壁の湾曲面に沿って緩やかに撓むことができず、切断後には溝部の内側壁に沿ったバリが発生する。30倍より広いと、薄板が刃具によって押圧されたとき、薄板が切断される前に溝部の最深部に接触し、十分なくびれが発生しない。
また、溝部の中央に位置する最深部の深さ寸法が薄板の板厚寸法の1〜3倍であることについては、1倍より浅いと、薄板が刃具によって押圧されたとき、薄板が切断される前に溝部の最深部に接触し、十分なくびれが発生しない。3倍より深いと、薄板の板厚寸法の15〜50倍の曲率半径を有する前記湾曲面の形成が困難となる。
更に、前記湾曲面が薄板の板厚寸法の15〜50倍の曲率半径を有することについては、15倍より小さいと、薄板が刃具によって押圧されたとき、薄板が溝部の内側壁の湾曲面に沿って緩やかに撓むことができず、切断後には溝部の内側壁に沿ったバリが発生する。50倍より大きいと、薄板が刃具によって押圧されたとき、薄板が切断される前に溝部の最深部に接触し、十分なくびれが発生しない。
以上のような試験結果から、本発明においては前記押切り刃具の刃角を50〜90°の範囲とし、更に、前記当接具の溝部については、両内側壁の上縁の間隔寸法を薄板の板厚寸法の15〜30倍、最深部の深さ寸法を薄板の板厚寸法の1〜3倍、更に、前記湾曲面の曲率半径を薄板の板厚寸法の15〜50倍とした。
これによって、前述の刃具及び溝部の形状を採用することにより、薄板の切断位置にくびれを形成することができるので、切断端縁においてはバリが極めて少なく、バレル研磨或いはブラシ研磨等による整形処理が短時間で行なえ、製造効率を向上させることができる。また、金属製薄板を所定幅に歩留まり良く切断でき、更に、溝部の最深部への刃具先端の当接が極めて少ないので、刃具の寿命を延ばすことができる。
そして更に、本発明においては、前記溝部の最深部に前記平坦部を設けたことにより、切断後の薄板の切断端縁が溝部の平坦部に倣う形状となり、くびれを一層大きく形成することができる。
更に具体的には、薄板が前記押切り刃具により溝部に沿って切断されたときの該薄板の切断端縁においては、前記押切り刃具の刃面に倣って傾斜する第1切断傾斜面と、前記溝部の平坦部に倣って傾斜する第2切断傾斜面と、第1切断傾斜面の先端と第2切断傾斜面の先端とが交わる切断頂部とが形成される。そして、前記溝部の両内側壁間にわたる前記平坦部の幅寸法によって、薄板の切断端縁の第2切断傾斜面の形状を所望の形状とすることができる。
ところで、薄板の切断端縁に対するバレル研磨或いはブラシ研磨等による整形処理を一層短時間で行なうためには、薄板の切断端縁に形成される切断頂部を板厚の中央に位置させることが考えられる。即ち、切断頂部を板厚の中央に位置させることにより第1切断傾斜面と第2切断傾斜面とが近似する形状とされ、これによって研磨による整形量を小とすることが可能である。そして、前記薄板の切断頂部を板厚の中央に位置させるために必要となる前記第2切断傾斜面の起点から切断頂部にわたる幅寸法についても予め求めておくことが可能である。そこで、本発明においては、前記薄板の切断頂部を板厚の中央に位置させるべく前記第2切断傾斜面の起点から切断頂部にわたる幅寸法が予め設定されているとき、前記平坦部の前記溝部の両内側壁間にわたる幅寸法を、前記第2切断傾斜面の幅寸法の2倍とする。これによって、前記溝部において前記押切り刃具により薄板を切断したときに、設定された幅寸法の第2切断傾斜面を形成することができ、切断頂部が板厚の中央に位置されるので、バレル研磨或いはブラシ研磨等による整形処理を一層短時間で行なうことができる。
また、本発明の一態様として、前記金属製薄板は円筒状のドラムを形成しており、前記当接具は、前記ドラムの内部に挿入して該ドラムの内周面に当接可能な円筒状に形成され、前記溝部は、前記当接具の外周面に所定間隔を存して複数配設され、前記押切り刃具は周縁に切刃を備える円盤状に形成されて回転しつつドラムの外周面の各溝部に切り込み、該ドラムを周方向に所定幅に切断して無端帯状の金属リングを形成することが挙げられる。これによれば、金属製薄板によって形成されたドラムを歩留まり良く輪切りにして複数の金属リングを効率よく形成することができる。
そして、前記当接具においては、その軸線方向に延びる複数の割溝を備えて拡径自在に形成することが挙げられる。前記当接具が拡径自在とすることにより、ドラム内に挿入した後に拡径させて、ドラムに十分に密着させることができる。ドラムと当接具との密着が不十分であると、ドラムに反りや波打ちが発生して切断後の金属リングの幅寸法にばらつきが生じる。そこで、本発明においては、当接具を拡径させてドラムと当接具とを十分に密着させることで、ドラムの反りや波打ちを防止でき、金属リングの幅寸法のばらつきを防止することができる。なお、本発明においては、金属リングの幅寸法のばらつきが許容できるものであれば、拡径自在とされていない前記当接具を採用することを妨げるものではない。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態の装置を示す説明図、図2は刃具及び溝部を示す説明的断面図、図3は本実施形態におけるドラムの切断工程を示す説明図、図4は切断時のドラムの一部を拡大して示す説明的断面図、図5はドラムから切断された金属リングの一部を示す説明的断面図、図6は他の当接具を示す説明図、図7は図6の当接具を採用した場合の装置形態を示す説明的断面図である。
図1に示す本実施形態の切断装置1は、金属製のドラムWを所定幅毎に輪切り状に切断して図示しない無段変速機用ベルトの金属リングを製造するものである。前記ドラムWは、マルエージング鋼の矩形状の平坦な薄板を円筒状に成形した後、両端縁を互いに突き合わせて溶接接合することによって形成されたものである。
本実施形態の切断装置1は、図1に示すように、前記ドラムWを保持するドラム保持手段2と、ドラムWを切断する切断手段3とによって構成されている。
前記ドラム保持手段2は、図示しない回転駆動手段によって回転される支持軸4と、該支持軸4に連結されてその外周に前記ドラムWを保持し、該ドラムWの内面に当接する当接具5とを備えている。
前記当接具5は、図1に示すように、金属により円柱状に形成されており、その外周には、ドラムWの切断位置(後述する押切り刃具7の切り込み位置)に沿って複数の溝部8が所定間隔を存して形成されている。
該溝部8は、図2に示すように、断面視大略V字状に形成されている。該溝部8について更に詳しく説明すれば、本実施形態においては、溝部8の両側の内側壁9には溝部8の内方に張り出すように湾曲する湾曲面10が形成されている。なお、溝部8の両側の内側壁9の上縁9a,9bの間隔寸法aは、ドラムWの板厚寸法bの約20倍(15〜30倍であればよい)とされている。また、溝部8の最深部11の深さ寸法cはドラムWの板厚寸法bの約2倍(1〜3倍であればよい)とされ、更に、内側壁9の湾曲面10の曲率半径はドラムWの板厚寸法bの約30倍(15〜50倍であればよい)とされている。更に、最深部11は両側の内側壁9間にわたって平坦に形成されている。この平坦部11aの幅寸法dは、詳しくは後述するが、ドラムWが切断されたときの切断端縁の形状に応じて設定される。
前記切断手段3は、図1に示すように、回転軸12と、該回転軸12に一体的に支持された円盤状の押切り刃具7とを備えている。該切断手段3は、図示しないが、押切り刃具7をドラムWに向かって進退させると共に、ドラムWの軸線方向に移動させる進退移動手段を備えている。また、押切り刃具7は回転軸12によって回転自在に設けられている。押切り刃具7が回転自在であることにより、前記ドラム保持手段2により回転されるドラムWへの当接によって押切り刃具7が連れ回りし、押切り刃具7全周によるドラムWの押し切りが可能とされる。なお、押切り刃具7は回転軸12を介して図示しない回転駆動手段により回転駆動されてもよい。
押切り刃具7は、前記マルエージング鋼より硬度の高い金属、例えば超硬合金、高速度鋼等からなり、図2に示すように、刃物角θが60°(50〜90°であればよい)とされている。
以上の構成による装置1によってドラムWを輪切りにして金属リングを形成するときには、先ず、図1に示すように、当接具5に外挿保持されたドラムWがドラム保持手段2により回転され、次いで、前記切断手段3がドラムWに接近して押切り刃具7がドラムWに切り込む。このとき、ドラムWが回転していることにより、ドラムW全周にわたって押切り刃具7が切り込み、所定幅の金属リングが得られる。
ここで、押切り刃具7がドラムWに切り込む際の作動を説明する。先ず、図3(a)に示すように、押切り刃具7がドラムWに圧接されると、押切り刃具7がドラムWの外周面側に切り込み、これによって切断が開始される。同時に、押切り刃具7によって押圧されたドラムWが溝部8の内側壁9の湾曲面10に沿って撓む。また、このとき、ドラムWは溝部8の最深部11から離間した状態か、或いは最深部11に当接しても瞬時である。
次いで、図3(b)に示すように、押切り刃具7のドラムWへの切り込みが進行し、押切り刃具7の先端がドラムWの内周面側に近づくと、ドラムWの内周面側には、押切り刃具7の先端に向かって凹入変形したくびれXが形成される。該くびれXは、図4に示すように、押切り刃具7の切り込みによりドラムWの金属に押切り刃具7から離反方向に肉流が生じ、それに伴って未だ切断されていないドラムWの内周面側が引き伸ばされ、押切り刃具7の先端が向かう部分の肉厚が局部的に薄くなることによって形成される。従って、このときのドラムWの金属に肉流が発生するように、ドラムWを溝部8の内側壁9の湾曲面10に沿って撓ませ、前記くびれXが円滑に発生するように、ドラムWが溝部8の最深部11から離間させた状態となるように溝部8の各寸法が設定されている。即ち、発明者は、溝部8の各寸法と前記くびれXの発生との関係について各種の試験を行い、その結果から、図2に示すように、溝部8の両側の内側壁9の上縁9a,9bの間隔寸法aをドラムWの板厚寸法bの15〜30倍とし、溝部8の最深部11の深さ寸法cをドラムWの板厚寸法bの1〜3倍とし、更に、内側壁9の湾曲面10の曲率半径をドラムWの板厚寸法bの15〜50倍とすることで、前記くびれXを確実に発生させることができることを知見した。本実施形態は、これに基づいて溝部8の両側の内側壁9の上縁9a,9bの間隔寸法aをドラムWの板厚寸法bの約20倍、溝部8の最深部11の深さ寸法cをドラムWの板厚寸法bの約2倍、湾曲面10の曲率半径をドラムWの板厚寸法bの約30倍として、十分な前記くびれXを発生させている。
続いて、図3(c)に示すように、押切り刃具7がドラムWを切断する。このとき、ドラムWのくびれXは溝部8の最深部11から離間した状態で切断され、押切り刃具7が溝部8の最深部11に当接することなく切断が完了する。なお、押切り刃具7の刃角は、90°より大きいと、ドラムWに切り込んだ際に両側に押しのけられる肉流量が過剰に増大し、ドラムWに反りや波打ちが発生する。刃角が50°より小さいと、押切り刃具7の先端が鋭利過ぎ、刃こぼれの発生等により耐久性が低下する。そこで、押切り刃具7の刃角は50〜90°とすることが好ましく、本実施形態ではこれに基づいて押切り刃具7の刃角を60°とした。
そして、図3(d)に示すように、押切り刃具7が後退してドラムWから離反する。ドラムWの内周面側には前記くびれXが発生していたことにより、ドラムWは内周面側の角縁にくびれXによる湾曲形状を残して切断され、金属リングが形成される。
そして、図5に一部を示すが、このようにして形成された金属リングYは、内周面側の角縁に残るくびれXによってバリが生じることなく、後工程で行なわれるバレル研磨或いはブラシ研磨といった整形処理の時間を短縮させることができる。しかも、押切り刃具7による破断を採用したことによって、砥石を採用した場合に比べて切断端縁の削り取りもなく、ドラムWから得られる金属リングYの歩留まりを向上させることができる。
また、前記溝部8は、図2に示すように、該溝部8の最深部11に平坦部11aを設けておくことで、図5に示すように、切断頂部14の位置を板厚寸法bの中央に位置させることができる。
即ち、図4に示すように、押切り刃具7がドラムWを切断したとき、ドラムWのくびれXが溝部8の最深部11から離間した状態で切断されると共に、切断端縁の押切り刃具7に接する部分は、押切り刃具7による切り込み押圧を受けて押切り刃具7に倣う形状に傾斜する(第1切断傾斜面15)。一方、このとき、切断端縁の溝部8に接する部分は、平坦部11aに圧接されて変形し、平坦部11aに倣う形状に傾斜する(第2切断傾斜面16)。これによって、平坦部11aに倣って第2切断傾斜面16が形成された分、くびれXが延長されたような形状となり、切断頂部14の位置を板厚寸法bの中央側に寄せることができる。
そして、図5に示すように、切断頂部14の位置が板厚寸法bの中央に位置したときの第2切断傾斜面16の幅寸法eを予め定め、図2に示すように、平坦部11aの幅寸法dを第2切断傾斜面16の幅寸法eの2倍としておくことより、図5に示すように、精度良く切断頂部14の位置を板厚寸法bの中央に位置させることができる。なお、平坦部11aの幅寸法dを第2切断傾斜面16の幅寸法eの2倍とすることについては、図4に示すように、平坦部11aの中央に押切り刃具7が切り込んだとき、押切り刃具7の両側にドラムWが2つに分断されて一対の第2切断傾斜面16が形成されることによる。
こうして図5に示すように、切断頂部14の位置を板厚寸法bの中央に位置させることにより、金属リングYの切断頂部14を研磨するだけで切断端縁形状を良好に整えることができ、バレル研磨或いはブラシ研磨等による整形処理を一層短時間で行なうことができる。
なお、本実施形態においては、前記当接具5を円柱状に形成したが、他の例を挙げれば、図6に示すように、円筒状に形成され、その長手方向に沿って複数の割溝17が形成された当接具18を採用してもよい。該当接具18に形成された割溝17は、該当接具18の一端縁で開放されるものと、他端縁で開放されるものとが交互に配設されており、各割溝17の間隔の拡張によって該当接具18の外径が拡径自在となっている。該当接具18に形成されている溝部8は前述したものと同様な形状である。
このような当接具18を採用する場合には更に、図7に示すように、当接具18を拡径させる拡径手段19を備えるドラム保持手段20が採用される。該ドラム保持手段20の構成を簡単に説明すれば、図示しない回転駆動手段に連結された支持軸21に、拡径自在のコレット22を介して当接具18が着脱自在に装着されている。支持軸21の先端部にはコレット22を介して当接具18を拡径させる前記拡径手段19が設けられている。拡径手段19は、押圧ナット23の回転によってテーパ部材24を進退させ、コレット22を拡径させることによって当接具18を拡径させることができるようになっている。そして、ドラムWを保持した状態で当接具18を拡径させることにより、当接具18をドラムWの内周面に密着させる。これにより、当接具18とドラムWとの滑りを防止することができ、ドラムWから切断された各金属リングの幅寸法のばらつきを飛躍的に減少させて精度の高い金属リングを得ることができる。
なお、本実施形態においては、金属製の薄板により形成されたドラムWを切断する装置1を示したが、本発明はこれに限るものではなく、図示しないが平板状の薄板であっても、図2及び図4に示す前記溝部8の形状及び押切り刃具7を採用すれば同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態の装置を示す説明図。 刃具及び溝部を示す説明的断面図。 本実施形態におけるドラムの切断工程を示す説明図。 切断時のドラムの一部を拡大して示す説明的断面図。 ドラムから切断された金属リングの一部を示す説明的断面図。 他の当接具を示す説明図。 図6の当接具を採用した場合の装置形態を示す説明的断面図。
符号の説明
W…ドラム、Y…金属リング、1…金属製薄板ドラムの切断装置、7…押切り刃具、5,14…当接具、8…溝部、9…内側壁、10…湾曲面、11…最深部、13…平坦部、14…切断頂部、15…第1切断傾斜面、16…第2切断傾斜面。

Claims (4)

  1. 金属製の薄板を所定幅に切断する金属製薄板の切断装置であって、
    前記薄板の表側面の所定位置に押し当てて該薄板を切断する押切り刃具と、
    該押切り刃具による切断位置に対向する溝部を備えて前記薄板の裏側面に当接する当接具とを備え、
    前記押切り刃具は、前記薄板より硬度の高い金属からなり50〜90°の範囲の刃角を備え、
    前記当接具の溝部は、断面視V字状に形成され、該溝部の互いに対向する内側壁の上縁の間隔寸法が前記薄板の板厚寸法の15〜30倍であり、且つ、該溝部の中央に位置する最深部の深さ寸法が前記薄板の板厚寸法の1〜3倍であり、更に、該溝部の両内側壁が前記薄板の板厚寸法の15〜50倍の曲率半径を有して該溝部内に張り出す湾曲面を備え、
    該溝部の最深部には、両内側壁間にわたって一定の深さとなるように平坦に形成された平坦部が設けられていることを特徴とする金属製薄板の切断装置。
  2. 前記押切り刃具により切断されたとき、該薄板の切断端縁には、前記押切り刃具の刃面に倣って傾斜する第1切断傾斜面と、前記溝部の平坦部に倣って傾斜する第2切断傾斜面と、第1切断傾斜面の先端と第2切断傾斜面の先端とが交わる切断頂部とが形成され、
    前記薄板の切断頂部を板厚の中央に位置させるべく前記第2切断傾斜面の起点から切断頂部にわたる幅寸法が予め設定されているとき、前記平坦部は、その前記溝部の両内側壁間にわたる幅寸法が、前記第2切断傾斜面の幅寸法の2倍とされていることを特徴とする請求項1記載の金属製薄板の切断装置。
  3. 前記金属製薄板は円筒状のドラムを形成しており、
    前記当接具は、前記ドラムの内部に挿入して該ドラムの内周面に当接可能な円筒状に形成され、
    前記溝部は、前記当接具の外周面に所定間隔を存して複数配設され、
    前記押切り刃具は周縁に切刃を備える円盤状に形成されて回転しつつドラムの外周面の各溝部に切り込み、該ドラムを周方向に所定幅に切断して無端帯状の金属リングを形成することを特徴とする請求項1又は2記載の金属製薄板の切断装置。
  4. 前記当接具は、その軸線方向に延びる複数の割溝を備えて拡径自在に形成されていることを特徴とする請求項3記載の金属製薄板の切断装置。
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