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JP4335555B2 - 飲食品、医薬品、動脈硬化予防剤及びldl酸化変性抑制剤 - Google Patents

飲食品、医薬品、動脈硬化予防剤及びldl酸化変性抑制剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、血中の低比重リポ蛋白質(LDL;low density lipoprotein)の酸化変性を抑えることにより動脈硬化症等の予防又は治療に利用することができる飲食品、医薬品、動脈硬化予防剤及びLDL酸化変性抑制剤に関するものである。より詳しくは、インビボ(in vivo)及びインビトロ(in vitro)でLDLの酸化変性を迅速かつ効率的に抑える効果を奏するフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する飲食品(健康食品)、医薬品、動脈硬化予防剤及びLDL酸化変性抑制剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レモン果汁を健常人に摂取させることにより、LDLに対する高い抗酸化作用が発揮されることが報告されている(非特許文献1参照)。この報告は、健常人男性12名を対象に、一晩絶食後、ジューサーで圧搾したレモン果汁500ml、又はレモン果汁500ml分と同量のビタミンCを摂取させ、摂取前、摂取1,2,4時間後に採血、アゾ化合物を用いた共役ジエン法でLDLの抗酸化能が測定されている。その結果、レモン果汁では摂取後1時間でLDLに対する抗酸化能の上昇が有意に認められたが、ビタミンCでは有意差は認められなかった。さらに、インビトロの試験でもほぼ同様な結果が得られたことも報告されている。即ち、この報告は、レモン果汁中のビタミンCではなく、エリオシトリン等のレモン特有のフラボノイド(配糖体)が前記抗酸化能の上昇に大きく貢献していることが強く示唆されたというものである。一方、特許文献1には、エリオシトリン、エリオディクティオール、3,4−ジヒドロキシヒドロシナミックアシッド、フロログルシノールの少なくともひとつを有効成分としてなるアポトーシス誘導剤、並びに該アポトーシス誘導剤を含有する医薬組成物及び健康飲食品が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−199881号公報
【非特許文献1】
桜井智香ら、レモン果汁のヒトLDLに対する抗酸化能の検討、「第56回 日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集」、社団法人 日本栄養・食糧学会、平成14年6月20日、p.358。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記レモン果汁によるLDLの抗酸化効果は、統計学的に有意な上昇をみせたとはいえ、まだまだ不十分である。また、レモン果汁中の有効成分と考えられるエリオシトリン等のフラボノイドは配糖体の形で存在しており、体内吸収性の面からも、より効率的な手法が求められていた。一方、前記特許文献1に記載の医薬組成物及び健康飲食品は、前記有効成分がアポトーシスを誘導するという作用効果を奏するものである。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を効果的に抑えることができる飲食品、医薬品、動脈硬化予防剤及びLDL酸化変性抑制剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達するために、請求項1に記載の発明の飲食品は、レモン由来のフラボノイドアグリコンを含有する飲食品であって、前記フラボノイドアグリコンはレモン由来のフラボノイド配糖体をグリコシダーゼ処理する工程を経て得られたものであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の飲食品は、請求項1に記載の発明において、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の飲食品は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、レモン由来のフラボノイドアグリコンを添加する工程を経て製造されたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の飲食品は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記フラボノイドアグリコンは、エリオディクティオール及びジオスメチンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の医薬品は、レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する医薬品であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明の動脈硬化予防剤は、レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する動脈硬化予防剤であって、動脈硬化症の予防を目的として用いられることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載の発明のLDL酸化変性抑制剤は、レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有するLDL酸化変性抑制剤であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑制する作用を有することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
実施形態の飲食品(健康食品)は、レモン果実由来のフラボノイドアグリコン(以下、アグリコンと記載する)を有効成分として含有するものである。この飲食品は、血中LDLに対し特に高い抗酸化作用を発揮し、なおかつ体内吸収性に優れた前記有効成分が含有されていることから、摂取したヒトの血中LDLの酸化変性を抑えて動脈硬化症の予防を効果的に行うことができる。
【0014】
この飲食品は、主として、前記アグリコンを飲料品若しくは食料品に添加する工程を経て製造される第1の製造方法、又は前記アグリコンの配糖体(フラボノイド配糖体)を含む素材(レモン果実など)をアグリコン化処理(微生物発酵や酵素処理)する工程を経て製造される第2の製造方法により得られる。前記第1の製造方法において添加されるアグリコンとしては、市販品、有機合成されたもの、レモン果実又はその構成成分をアグリコン化処理したものから抽出、精製、単離することにより得られたもの等が挙げられるが、安価に大量生産が容易であることからレモン果実から得られたものであるのが最も好ましい。即ち、これら第1及び第2の製造方法では、いずれも意図的にアグリコンを含有させる工程が含まれている。
【0015】
なお、前記第1及び第2の製造方法では、前記各工程以外の別の加工工程が行われても構わない。例えば、希釈、濃縮、粉末化等の加工工程や、或いは前記第2の製造方法により得られた飲食品を別の飲料品又は食料品に添加することにより製造することも可能である。前記飲料品又は食料品としては、スポーツドリンク、茶類飲料、茶葉、ハーブ、牛乳やヨーグルト等の乳製品、ペクチンやカラギーナンなどのゲル化剤含有食品、乳糖やデキストリン等賦形剤、香料、甘味料、油脂等が挙げられる。また、製剤(健康食品)として利用する場合は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ、キャンディー等の形状が挙げられる。
【0016】
前記アグリコンとしては、エリオディクティオール(eriodictyol)、ジオスメチン(diosmetin)等が挙げられる。前記有効成分は、LDLの酸化変性を抑える働きをする成分であり、前記2種類のアグリコンのどちらか1種類又は両方が好適に用いられる。即ち、インビトロの試験でどちらのアグリコンも高い抗酸化作用を有することが確認されており、また、どちらのアグリコンも糖鎖がついた配糖体よりも体内吸収性が大幅に向上することも確認されていることから、どちらのアグリコンも有効成分としての機能を発揮し得る。さらに、これら2種類のアグリコンのうち、前記試験で最も高い抗酸化作用(α−トコフェロールと同程度)を発揮することが確認されているエリオディクティオールが有効成分として含有されていることがより好ましい。
【0017】
前記アグリコンは、レモン果実又はそのレモン果実の構成成分からなる原料に含まれるフラボノイド配糖体をアグリコン化処理することにより得られる。前記フラボノイド配糖体は、アグリコンと糖とがグリコシド結合で結合した構造を有する。即ち、前記アグリコンは、前記フラボノイド配糖体のグリコシド結合を切断する酵素反応(グリコシダーゼ反応)により生成(遊離)される。なおこのとき、前記酵素反応の副産物として糖も同時に生成(遊離)される。
【0018】
前記レモン果実の構成成分としては、果汁、果皮(アルベド、フラベド)、じょうのう膜、さのうが挙げられる。前記原料としては、製造に要する手間を省くとともにレモン果実の有効利用を容易に図ることができることから、レモン果実から果汁を搾汁した後の搾汁残渣を使用するのが最も好ましい。この搾汁残渣には、レモンの果皮(アルベド及びフラベド)と、じょうのう膜と、さのうの一部と、搾汁しきれなかった極少量のレモン果汁とが含まれている。
【0019】
前記フラボノイド配糖体としては、エリオディクティオールとルチノース(L−ラムノシル−D−グルコース)との配糖体であるエリオシトリン(eriocitrin)、ジオスメチンとルチノースとの配糖体であるジオスミン(diosmin)、ジオスメチンとグルコースとの配糖体である6,8−ジ−C−β−グルコシルジオスミン(6,8-di-C-β-glucosyldiosmin;DGD)、ジオスメチンとグルコースとの配糖体である6−C−β−グルコシルジオスミン(6-C-β-glucosyldiosmin;GD)等が挙げられる。これらフラボノイド配糖体は、レモン果実の構成成分のうち、特にレモン果実から果汁を搾汁した後の搾汁残渣中に多量に含有されている。また、前記エリオシトリンは、他の柑橘類と比較してレモン中に多量に含まれている。
【0020】
前記アグリコン化処理としては、グリコシダーゼ処理又はアスペルギルス(Aspergillus)属微生物による微生物発酵処理が挙げられる。
前記グリコシダーゼ処理は、前記原料にグリコシダーゼを作用させ、該原料中に含まれるフラボノイド配糖体のグリコシド結合を切断する酵素反応を行わせる処理である。このグリコシダーゼ処理としては、該処理の効率を高めるために、果汁以外のレモン果実の構成成分の抽出液、又はレモン果汁にグリコシダーゼを添加して酵素反応を行わせるのが好ましい。或いは、酵素活性を有するグリコシダーゼを固定化させた担体と、前記果汁又は抽出液とを接触させることにより前記酵素反応を行わせてもよい。前記グリコシダーゼとしては、配糖体加水分解酵素(ヘテロシダーゼ、β−グリコシダーゼ)が用いられる。なお、前記レモン果汁としては、その濃縮液又は希釈液を用いても構わない。また、前記グリコシダーゼを原料中に添加した場合には、グリコシダーゼ処理終了後に該グリコシダーゼを失活させるか、或いは取り除くとよい。
【0021】
このグリコシダーゼ処理終了後のアグリコンを含んだ溶液は、そのままの状態で飲食品として利用するか、或いは希釈、濃縮又は粉末化することにより飲食品として利用することができる(第2の製造方法)。また、前記アグリコンを含んだ溶液は、そのまま、又は希釈、濃縮若しくは乾燥等の加工工程を行った後に飲料品又は食料品に添加することにより飲食品として利用するか、或いはアグリコンを抽出、精製又は単離した後に前記飲料品又は食料品に添加することにより飲食品として利用することができる(第1の製造方法)。
【0022】
前記微生物発酵処理は、前記原料にアスペルギルス属微生物を接種し、該微生物を所定の発酵条件下で所定期間培養することにより行われる。この微生物発酵処理は、主として前記微生物の栄養菌糸が生産するグルコシダーゼ(β−グルコシダーゼ)によりフラボノイド配糖体からアグリコンを遊離させる。前記微生物としては、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)等の黒麹菌、又はアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーイエ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)等の黄麹菌が挙げられる。
【0023】
前記微生物を原料に接種する方法としては、該微生物の胞子を原料に直接振りかけて付着させることができる。また、予め前記微生物を含む培地を好気的条件で振盪培養する予備培養処理を行った後、その予備培養処理後の培地を原料全体に行き渡るように振りかけて付着させたり、前記予備培養後の培地中に原料を浸漬させることによって接種することも可能である。これらの接種方法のうち、微生物発酵処理が比較的均一に進むことから、予備培養処理後の培地を原料に振りかけて付着させるのが最も好ましい。
【0024】
前記予備培養処理は、微生物発酵処理に用いられる微生物を予め十分に増殖させるとともに活性化させることによって、微生物発酵処理を迅速かつ円滑に進行させるために行われる。この予備培養処理は、20〜40℃の好気的条件下で最低5日以上行われ、好ましくは前記微生物の菌糸体が培地表面を3分の1程度覆う状態となるまで行われる。前記培地としては、ポテトデキストロース含有培地やツァペック培地等の糸状菌用培地又はオカラ等の有機物を含有する種々の液体培地が好適に使用される。さらに、この予備培養処理では、前記微生物の生育を良好にするために、培養開始時点における培地のpHを3〜7に調整するのが好ましい。また、前記振盪培養する際の振盪速度としては、好ましくは50rpm以上、より好ましくは50〜200rpmである。この振盪速度が50rpm未満の場合には、前記微生物を含有した培地全体が好気的でないため菌糸の増殖が十分にできない。また、振盪速度が200rpmを越える場合には、培地の揺れが激しく前記微生物の菌体形成が抑制されるおそれがある。
【0025】
上記予備培養処理により活性化された微生物を原料に接種する場合の微生物発酵処理条件としては、微生物発酵処理を好気的条件で行うことが容易であることから、例えば有底筒状に形成された培養皿等の底部が広く深さが浅い培養容器が好適に用いられる。さらに、この培養容器の底面に万遍なく原料を広げるように載置するとよい。また、発酵温度としては、前記微生物の生育に好適な条件として、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜40℃で行われる。加えて、前記微生物の生育に好適な条件として、暗所で微生物発酵処理を行うのが好ましい。
【0026】
前記アグリコンを多量に得るための発酵期間としては、好ましくは2〜12日、より好ましくは2〜8日、さらに好ましくは3〜7日である。この発酵期間が2日未満の場合には、前記微生物による微生物発酵がほとんど進行していないことから十分な量のアグリコンが生成されていない。逆に12日を越える場合には、生成されたアグリコンの分解又はヒドロキシル化反応が進むおそれがある。
【0027】
上記微生物発酵処理により得られる発酵物は、発酵により繊維質の分解が進み非常にもろくて崩れやすい状態となる。この発酵物中には、発酵途中で繊維質の分解が不十分な未発酵原料や発酵中に形成された接種菌株の菌糸体等の固形分が存在しており、その固形分は微生物発酵処理前の原料と比較し、体積で約10分の1程度となる。
【0028】
この発酵物は、そのままの状態で飲食品として利用するか、或いは希釈、濃縮又は粉末化することにより飲食品として利用することができる(第2の製造方法)。また、同発酵物は、そのまま、又は希釈、濃縮若しくは乾燥等の加工工程を行った後に飲料品又は食料品に添加することにより飲食品として利用することができる(第1の製造方法)。また、同発酵物は、アグリコンを抽出、精製又は単離した後に飲料品又は食料品に添加することにより飲食品として利用することができる(第1の製造方法)。
【0029】
なお、前記発酵物中の有効成分を精製する際には、まず、接種菌体及び未発酵原料を主体とする固形分を取り除く固形分除去処理が行われる。この固形分除去処理は、前記固形分を含有する発酵物を極性溶媒中に浸漬させ、有効成分を溶媒中に移行させて抽出した後、ガーゼや粗メッシュ等で濾過又は2000×g、30分間程度の軽い遠心分離を行って固形分を取り除く処理である。なお、前記発酵物を極性溶媒中で抽出する際の抽出条件としては、常温で2時間以上抽出するのが抽出効率の面からも好ましい。
【0030】
前記極性溶媒としては、メタノール、エタノール、それらの水溶液又は水が好適に用いられる。また、ブタノールやイソプロパノール等の低級アルコール又はそれらの水溶液も使用可能である。さらに、この極性溶媒としては、大量の発酵物を処理する場合の経済的な観点から、好ましくはメタノール、その水溶液又は水が用いられ、精製コスト面から最も好ましくは水が用いられる。また、発酵物を健康食品用素材にそのまま添加する場合には、エタノール、その水溶液又は水を用いるのが好ましい。また、前記微生物を死滅させて微生物発酵を停止させるためには、メタノール、エタノール又はその高濃度(例えば20容量%以上)の水溶液を用いるのが好ましい。
【0031】
さらに、前記固形分除去処理後の発酵物中に含まれるペクチンを主体とする水溶性繊維成分を分離除去するための繊維分除去処理を行うことも可能である。この繊維分除去処理は、前記固形分除去処理後の発酵物を遠心分離して、水溶性繊維成分を(遠心管等の底部に)沈澱させることによって除去する処理である。なお、この繊維分除去処理は、前記極性溶媒としてメタノール又はエタノールを用いた場合には11000×g、20分間程度の遠心力で遠心分離すればよく、前記極性溶媒として水又は水溶液を用いた場合にはそれよりも強い遠心力で遠心分離される。
【0032】
飲食品としての飲料品中に含まれる有効成分(アグリコン)の濃度は、特に限定されないが、体内吸収速度が速くかつ飲みやすいことから、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であるとよい。飲食品としての食料品又は製剤に含まれる有効成分の含有量は、特に限定されないが、経口摂取しやすいことから、好ましくは0.1〜99重量%、より好ましくは0.5〜90重量%であるとよい。また、前記有効成分の摂取量としては、成人1日当たり好ましくは500〜5000mg、より好ましくは1000〜3000mgであるとよい。この有効成分の1日当たりの摂取量が500mg未満の場合には血中LDLの酸化変性を効果的に抑えることができないおそれがあり、逆に5000mgを越える場合には不経済である。さらに、この飲食品は、著しく即効性に優れていることから、1日数回(2〜3回又はそれ以上)に分けて服用するのが好ましく、特に激しい運動の前後、ストレス時、喫煙の前後等の酸化ストレスに晒されやすい状態のときに摂取するとよい。また、小人の場合は、主に体重に依存して摂取量が調整されるが、前記成人の摂取量の半量が目安となる。
【0033】
実施形態の医薬品は、上記有効成分を含有するものであり、精製度が高められたエリオディクティオール又はジオスメチンが含有されたものであることが好ましい。この医薬品は、注射や皮膚に塗布して投与することも可能であるが、主として経口摂取することにより投与され、血中LDLの酸化変性を抑えて動脈硬化症の治療に役立てることができる。なお、この医薬品中の有効成分の含有量又は濃度は、投与形態を問わず上記飲食品(好ましくは製剤)の場合と同様であればよく、また1日当たりの投与量等の用法及び用量も、上記飲食品の場合の摂取量と同様であればよい。
【0034】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
実施形態の飲食品は、レモン由来のアグリコン(エリオディクティオール又はジオスメチン)を意図的に含有させたものである。このため、この飲食品は、前記アグリコンを有効成分として高含有していることから、血中LDLの酸化変性を極めて迅速かつ効果的に抑えることができ、動脈硬化症を中心とする生活習慣病の予防に極めて高い効果を発揮することができる。さらに、この飲食品は、前記有効成分が体内吸収性に著しく優れていることから、血中LDLの酸化変性を極めて迅速に抑えることができる。
【0035】
また、この飲食品は、飲料品、食料品又は製剤の形態で経口摂取されるようになっていることから、著しく手軽に摂取することができて大変有用である。なお、前記アグリコンは通常、レモン果汁やレモン果実を搾汁したり抽出したりしただけで生成されることはほとんどあり得ないうえ、上記アグリコン化処理以外の加工工程で生成されることもほとんどあり得ない。一方、実施形態の医薬品は、レモン由来のアグリコン(エリオディクティオール又はジオスメチン)を有効成分として含有するものであることから、血中LDLの酸化変性を極めて迅速かつ効果的に抑えることができ、動脈硬化症を中心とする生活習慣病の治療に高い効果を発揮することができる。
【0036】
【実施例】
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
被験者(健常人男性)10名を対象に、一晩絶食後、試料を経口摂取させ、摂取前及び摂取0.5,1,2,4時間後の各時期に被験者より採血し、アゾ化合物を用いた共役ジエン法により血中LDLの抗酸化能を測定した。前記試料としては、レモン果皮より水抽出して得たレモンフラボノイド粉末4.5g(比較例1)、レモンフラボノイド粉末4.5g及びビタミンC粉末1.33g(比較例2)、又はレモンフラボノイド粉末4.5gをβ−グルコシダーゼ処理したアグリコン含有粉末(実施例1)を用いた。
【0037】
なお、前記ビタミンC粉末は、レモンフラボノイド粉末4.5gに含まれるビタミンC量をヒドラジン法にて定量した量と同じ量を用いた。また、前記アグリコン含有粉末は、レモンフラボノイド粉末4.5gを水に溶解した後、シグマ社製のβ−グルコシダーゼ1000ユニットを添加して37℃で60分間反応させた後に乾燥することにより得られた粉末であり、レモンフラボノイド配糖体がアグリコン化処理されたアグリコンが高含有されている。
【0038】
その結果、比較例1,2では、摂取0.5,1,2,4時間後のいずれの時期においても、摂取前と比べてLDLの抗酸化能の強さを示す指標であるラグタイムの有意な延長は認められなかった。一方、実施例1では、摂取前のラグタイムが47.1±5.3分(p<0.05)であったのが、摂取0.5時間後のラグタイムが50.0±5.7分(p<0.05)となり、その後のLDLの抗酸化能の測定においても同様にラグタイムの有意な延長が認められた。従って、アグリコン摂取後の被験者の血中LDLは、有意に高い抗酸化能を有しており、動脈硬化症に罹患しにくい状態になっていることが確認された。
【0039】
次に、この実施例1におけるラグタイムの有意な延長を考察すべく、比較例1のレモンフラボノイド粉末及び実施例1のアグリコン含有粉末の体内吸収量を、Miyake et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, Vol. 48, 3217-3224 (2000)の方法に従って測定した。即ち、比較例1及び実施例1にて採取した血清にβ-グルクロニダーゼ及びサルファターゼを加えて37℃でインキュベートし、その後、シュウ酸を加えて蛋白を除去した。Sep-Pak C18カラム(アドバンティック社製)にアプライし、水洗浄後にメタノールで溶出した後、この溶出液を減圧濃縮して分析試料を調製した。HPLCにてレモンフラボノイド代謝物であるエリオディクティオール、ホモエリオディクティオール及びヘスペレチンの量を定量することにより、体内吸収量を求めた。
【0040】
その結果、実施例1のアグリコン含有粉末を摂取した場合には、摂取0.5〜1時間と非常に早い段階で、体内へ高濃度にアグリコンが吸収されていることが確認され、かつ4時間後まで比較的高い濃度が維持されていることが確認された。このことから、アグリコンは配糖体と比較し、非常に早くかつ大量に体内へ吸収されることが確認され、この体内吸収性の向上が結果として上記のラグタイムの延長に結びついていると解釈することができる。
【0041】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 飲食品中に、レモン以外の柑橘類由来のアグリコンを有効成分として含有させてもよい。なお、前記アグリコンとしてはエリオディクティオール又はジオスメチンが挙げられる。また、前記レモン以外の柑橘類としてはライム又はスダチが好適に用いられる。このように構成した場合でも、上記実施形態と全く同様の効果が発揮され得る。
【0042】
本発明を応用した技術として、上記実施形態の有効成分を化粧品又は医薬部外品に含有させてもよい。なおこのとき、化粧品又は医薬部外品中の有効成分の含有量又は濃度は、上記飲食品の場合と同様であればよい。また、有効成分の1日当たりの使用量も上記飲食品の場合と同様であればよい。このように構成した場合、血中LDLの酸化変性を効果的に抑える機能を有する化粧品又は医薬部外品を提供することが可能である。
【0043】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ レモン由来のフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する医薬品であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とする医薬品。このように構成した場合、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を効果的に抑えることができる。
【0044】
レモン果汁又はレモン果皮よりも高濃度のフラボノイドアグリコンを含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の飲食品。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項4に記載の発明の飲食品、請求項5に記載の発明の医薬品、請求項6に記載の発明の動脈硬化予防剤、及び請求項7に記載の発明のLDL酸化変性抑制剤によれば、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を効果的に抑えることができる。

Claims (7)

  1. レモン由来のフラボノイドアグリコンを含有する飲食品であって、前記フラボノイドアグリコンはレモン由来のフラボノイド配糖体をグリコシダーゼ処理する工程を経て得られたものであることを特徴とする飲食品。
  2. 血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とする請求項1に記載の飲食品。
  3. レモン由来のフラボノイドアグリコンを添加する工程を経て製造されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲食品。
  4. 前記フラボノイドアグリコンは、エリオディクティオール及びジオスメチンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飲食品。
  5. レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する医薬品であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑える作用を有することを特徴とする医薬品。
  6. レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有する動脈硬化予防剤であって、動脈硬化症の予防を目的として用いられることを特徴とする動脈硬化予防剤。
  7. レモン由来のフラボノイド配糖体をアグリコン化処理する工程を経て得られたフラボノイドアグリコンを有効成分として含有するLDL酸化変性抑制剤であって、血液中の低比重リポ蛋白質の酸化変性を抑制する作用を有することを特徴とするLDL酸化変性抑制剤。
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