JP4333100B2 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤及び粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型粘着剤及び当該粘着剤から形成された粘着剤層を有する粘着シートに関するものであり、これらを使用する技術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粘着剤、特にアクリル系溶剤型粘着剤組成物は、保持力を向上させるために、主成分であるアクリル系重合体を架橋したものを用いることが多い。当該架橋のために用いられる架橋剤としては、常温で速やかに反応するポリイソシアネート化合物等が通常用いられている。又、当該粘着剤は、通常基材に塗布した後乾燥して粘着層を形成し、粘着シートとして使用されることが多い。
【0003】
しかしながら、従来の粘着剤は、架橋剤を配合した1液型の組成物では、架橋剤のポリイソシアネート化合物が常温で反応してしまい、保存安定性が低下するため、アクリル系重合体と架橋剤とを別々に使用する二液型の組成物として使用することが多い。しかしながら、二液型の組成物でも、可使時間に制限があったり、場合によっては使用前に一部架橋が進行してしまうため、塗工性を損なうという問題を有するものであった。
【0004】
一方、アクリルエマルション型粘着剤においても、用途によっては粘着剤の凝集力を向上させる目的で、水溶性のエポキシ樹脂等の架橋剤を併用して、二液型組成物とする場合があるが、この場合は、基材に塗布した後に、加熱又は長時間に渡る熟成工程を必要とするため、製造し難いものであった。
【0005】
従来の粘着剤組成物の問題を解決する組成物として、(メタ)アクリレートからなる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が知られている。当該粘着剤組成物は、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線の照射により架橋硬化するものであるため、1液型の組成物として使用可能なものである。
しかしながら、当該組成物は、その硬化物の臭気の問題を有するものであった。即ち、従来の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は硬化性が不充分なものが多く、硬化物中に残存する未反応モノマーのため臭気が発生することがあった。又、組成物を紫外線により硬化させる場合には、組成物に光重合開始剤を配合する必要があるが、当該紫外線硬化型の組成物は、硬化性に優れる組成物であっても、光重合開始剤の分解物が硬化物中に残存するため、その硬化物が臭気を有するものであった。
【0006】
本発明者らは、特定構造のイミド(メタ)アクリレートを構成単量体単位とする共重合体を含む組成物が、1液型での使用が可能で且つ保存安定性に優れ、その使用に際して光重合開始剤を配合しなくとも、又は光重合開始剤の配合割合が少なくとも、紫外線の照射により優れた硬化性を有し、その硬化物がほとんど臭気がない上、且つ、粘着剤としての性能にも優れていることを見出している(WO00/32710号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記粘着剤は、溶剤系の活性エネルギー線硬化型粘着剤として使用する場合、活性エネルギー線を照射する前に、加熱乾燥により有機溶剤を蒸発させる必要がある。
この粘着製品に加工する際に発散する有機溶剤の環境への影響が懸念されるため、有機溶剤を使用しない無溶剤型粘着剤が近年要求されるようになってきている。
しかしながら、前記粘着剤を無溶剤型のものにした場合、粘着剤中の共重合体としては重量平均分子量が10万以上の高分子量体であることが多く、粘着剤の粘度が高くなり過ぎ、塗工作業等の取り扱いが非常に困難になるという問題が生ずることがあった。
【0008】
本発明者らは、前記問題点を解決する、1液型での使用が可能で且つ保存安定性に優れ、光重合開始剤を配合しなくとも、又は光重合開始剤の配合割合が少なくとも、活性エネルギー線の照射により優れた硬化性を有し、その硬化物がほとんど臭気がなく、且つ、粘着剤としての性能に優れるうえ、塗工作業等の取り扱いが容易な無溶剤型の粘着剤を見出している(特願2002−177734号)。
【0009】
しかしながら、前記粘着剤は、さらに高い耐熱性を要求される場合には、不充分なものであった。
本発明者らは、前記問題点を解決するうえ、特に耐熱性にも優れる粘着剤及び粘着シートを見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、特定構造のイミド(メタ)アクリレートを特定量の構成単量体単位とし、さらに高温連続重合して得られる特定の重量平均分子量を有する共重合体を含む粘着剤が、上記課題を解決するものであることを見出し本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書では、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートといい、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸という。
【0011】
【発明の実施の形態】
1.イミド(メタ)アクリレート
本発明の粘着剤で使用する共重合体は、下記一般式(1)で表されるイミド(メタ)アクリレート〔以下単にイミド(メタ)アクリレートという〕を構成単量体単位とする共重合体である。
【0012】
【化3】
【0013】
〔但し、式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、又はそれぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。又、R3は炭素数1〜6のアルキレン基で、R4は水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の整数である。〕
【0014】
R1及びR2としては、エチレン性不飽和基含有単量体との共重合性に優れている点で、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基、又はそれぞれが一つとなって炭素環を形成する基が好ましい。さらにイミド(メタ)アクリレートの製造が容易で、収率に優れ、又得られる共重合体が耐水性に優れたものとなる点で、それぞれが一つとなって炭素環を形成する基が好ましく、より好ましくは基−CH2CH2CH2−又は基−CH2CH2CH2CH2−が好ましく、特に好ましくは基−CH2CH2CH2CH2−である。
【0015】
R3は炭素数1〜6のアルキレン基であり、好ましいものとしては、エチレン基及びプロピレン基等が挙げられる。
【0016】
上記式(1)において、得られる共重合体が硬化性に優れることから、nとしては、1〜2が好ましく、より好ましくは1である。
【0017】
イミド(メタ)アクリレートの好ましい例としては、下記式(3)及び式(4)で表される化合物等を挙げることができる。
【0018】
【化4】
【0019】
式(3)の化合物は、式(1)において、R1及びR2が一つとなって炭素環を構成する基−CH2CH2CH2CH2−であり、R3がエチレン基でR4が水素原子であり、nが1の化合物である。
【0020】
【化5】
【0021】
式(4)の化合物は、式(1)において、R1及びR2が一つとなって炭素環を構成する基−CH2CH2CH2CH2−であり、R3がエチレン基でR4がメチル基であり、nが1の化合物である。
【0022】
イミド(メタ)アクリレートは、いずれの方法で製造されたものでも良く、通常、以下の文献及び特許に記載のある方法により、酸無水物、アミノアルコール及び(メタ)アクリル酸より製造することができる。
・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),897,(1972)
・Javier de Abajoら、Polymer,vol33(5),(1992)
・特開昭56−53119号公報、特開平1−242569号公報
【0023】
2.共重合体
本発明で使用する共重合体は、イミド(メタ)アクリレート5〜30質量%及びエチレン性不飽和基含有単量体(以下不飽和単量体という)70〜95質量%を構成単量体単位とするものであり、好ましくはイミド(メタ)アクリレート10〜20質量%及び不飽和単量体80〜90質量%を構成単量体単位とするものである。
【0024】
本発明で使用する共重合体は、上記式(1)で示したマレイミド基を有するため、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有し、その架橋硬化物は粘着剤として優れた物性を有するものである。
【0025】
イミド(メタ)アクリレートの共重合割合が20〜30質量%と比較的多い場合には、弱粘着用途あるいは再剥離用途に使用することができる。イミド(メタ)アクリレートの共重合割合が5質量%未満であると、粘着剤の硬化物の架橋密度が少ないため凝集力が低下し、他方30質量%を超えると、粘着剤の硬化物の架橋密度が高くなりすぎ、硬化物が硬くなりすぎるため接着力が低下してしまう。
【0026】
不飽和単量体としては、イミド(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート;不飽和カルボン酸;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ビニルエステル;共役ジエン系単量体;(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル単量体;塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化エチレン性不飽和基含有化合物;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;アリルアルコール;並びにスチレン及びα−メチルスチレン等のエチレン性不飽和基含有芳香族化合物等が挙げられる。
【0027】
イミド(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i一ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート及びn−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体のモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;並びにグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ケイヒ酸及び無水マレイン酸等を挙げることができる。これらの中でも、安価であり、得られる粘着剤の性能が優れたものとなることから、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0029】
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でも、酢酸ビニルが好ましい。
【0030】
共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及びイソブチレン等が挙げられる。
【0031】
これら不飽和単量体は、2種以上を併用することもできる。共重合体における、イミド(メタ)アクリレートと不飽和単量体の好ましい組み合わせとしては、イミド(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートとからなる共重合体、イミド(メタ)アクリレート、エチレン及びビニルエステルとからなる共重合体、並びにイミド(メタ)アクリレートと共役ジエン系単量体とからなる共重合体等を挙げることができ、これらの中でもイミド(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートとからなる共重合体が、接着力に優れるため好ましい。
【0032】
本発明の粘着剤において、保持力及び粘着力に優れたものとなるため、共重合体としては、イミド(メタ)アクリレートと炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及び必要に応じてこれら単量体と共重合体可能な単量体(以下その他単量体という)を構成単量体単位とする共重合体が好ましく、さらに当該共重合体において、アルキル(メタ)アクリレートが炭素数4〜9のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであるものが、イミド(メタ)アクリレートとの共重合性に優れ、得られる粘着剤の粘着力に特に優れるためより好ましい。
【0033】
その他単量体の例としては、不飽和カルボン酸、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シアノ基含有ビニル単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、アリルアルコール、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。
これらの中でも、不飽和カルボン酸が、得られる粘着剤が、保持力に特に優れたものになる点で好ましい。
【0034】
当該共重合体の共重合割合としては、イミド(メタ)アクリレート5〜30質量%、炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート70〜95質量%及びその他単量体0〜25質量%が好ましい。イミド(メタ)アクリレートの共重合割合が5質量%未満であるか、又はアルキル(メタ)アクリレートが95質量%を超えると、得られる粘着剤の凝集力が低下して、保持力が低下する場合がある。イミド(メタ)アクリレートの共重合割合が30質量%を超えるか、又はアルキル(メタ)アクリレートが70質量%に満たないと、得られる粘着剤の粘着力、保持力及びタックのバランスをとることが困難となる場合がある。又、その他単量体の共重合割合が50質量%を超えると、粘着力が低下する場合がある。
【0035】
不飽和カルボン酸を共重合する場合の共重合割合としては、0.1〜10質量%が好ましい。不飽和カルボン酸の共重合体割合が0.1質量%未満であると、得られる粘着剤の保持力、接着力が不足する場合があり、10質量%を超えるとタック、接着力が低下する場合がある。
【0036】
共重合体の分子量は、重量平均分子量で1万〜5万でなければならない。好ましい重量平均分子量は、1万〜3万である。共重合体の重量平均分子量が1万に満たないと、硬化性及び接着力が低下してしまい、他方5万を超えると、粘着剤の硬化物の架橋密度が高くなり過ぎ、硬化物が硬くなりすぎるため接着力が低下したり、粘着剤の粘度が高くなり過ぎ、塗工性が低下してしまう。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
【0037】
又、本発明の粘着剤においては、上記共重合体のガラス転移温度は−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。共重合体のガラス転移温度が−20℃を超えると、粘着剤としてのタックが不足しやすくなる。
【0038】
3.共重合体の製造方法
本発明で使用する共重合体は、上記単量体を150〜350℃の温度で高温連続重合させて得られるものである。
【0039】
高温連続重合は、公知の方法で実施することができる(例えば、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報及び特開昭60−215007号公報等)。具体的には、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体、又は必要に応じて重合溶媒、重合開始剤とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
【0040】
重合溶媒を使用する場合において、反応開始時に反応器に仕込む溶媒と単量体混合物に混合する溶媒は同一であっても異なっていてもよい。これらの溶媒としては、脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、クメン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ブチルセロソルブ等のセロソルブ及びカルビトール等のグリコールエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグライム及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム等のエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート及びエチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、デカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール及びトルエンアルコール等の芳香族アルコール、並びにジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを挙げることができる。重合溶媒の使用割合としては、単量体混合物100質量部に対して200質量部以下であることが好ましい。
【0041】
又、単量体混合物には、必要に応じて、熱重合開始剤を添加することもでき、この場合に使用できる熱重合開始剤は、特に限定されないが、アゾニトリル系の開始剤及び過酸化物系の開始剤等が挙げられる。アゾニトリル系の開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2'−アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系の開始剤としては、過酸化水素、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。熱重合開始剤を単量体混合物に配合する場合の配合量としては、単量体混合物100質量部に対して0.001〜5質量部とすることが好ましい。
【0042】
重合温度は150〜350℃であり、好ましくは150〜300℃であり、特に好ましくは160〜250℃である。150℃に満たないときは、得られる重合体の分子量が大きくなりすぎたり、反応速度が遅くなってしまう等の問題が生じる場合があり、他方350℃を超えるときは、分解反応が発生して反応液が着色しやすいものとなる場合があるため注意が必要である。
【0043】
上記の温度で重合させることにより、重合開始剤の使用量を少なくすること及び連鎖移動剤を使用しないか少量の使用で分子量の制御された重合体を得ることができ、重合体が耐候性の優れたものになる。重合体の分子量を制御することは、組成物の粘度を制御するため、及び粘着物性を制御するために重要である。組成物に他の成分を配合する場合にはその添加剤と重合体の相溶性をよいものにするためにも重要な因子である。
【0044】
また、本発明の重合体は連続重合により得られるものであるため、分子量や組成がより均一なものとなり、組成物の粘度、粘着物性のバランスが良好なものとなる。重合体がラジカル重合で製造されるものである場合は、生産性が良好であり、多様な設計のための原料の入手が容易であるため好ましい。
【0045】
反応器内の圧力は反応に影響を及ぼさず、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。必要に応じて窒素などの不活性ガスにより加圧することもできる。
【0046】
単量体混合物の滞留時間は、2〜60分であることが好ましい。滞留時間が2分に満たない場合は、未反応単量体が多くなってしまい、重合体の収率が低下することがあり、他方滞留時間が60分を超えると、生産性の低下を招く場合がある。
【0047】
重合反応としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等、各種の方法を適用できるが、塊状重合及び溶液重合が反応の制御がしやすいために好ましい方法である。
【0048】
高温連続重合法で得られた共重合体には、その末端に二重結合を有する共重合体(以下不飽和共重合体という)が含まれる。不飽和共重合体が含まれることにより、粘着剤の粘着物性が向上し、特に耐熱性が向上する。
その理由は、活性エネルギー線の照射により、共重合体中のマレイミド基上にラジカルが発生し、これが末端二重結合に付加し、グラフト化するためと推測している。
全共重合体中における、不飽和共重合体の割合としては、20質量%以上が好ましい。
共重合体中の不飽和共重合体の割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより求められる平均分子量及び核磁気共鳴スペクトルにより求められる二重結合の濃度から算出することができる。このようにして算出された、共重合体1分子当たりが有する末端二重結合の平均個数(末端二重結合の総数を重合体の分子数で割ったもの)が、共重合体中の不飽和共重合体の割合を表し、これを以下末端二重結合指数という。末端二重結合指数としては、0.2以上が好ましい。
【0049】
4.活性エネルギー線硬化型粘着剤
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤の最も好ましい形態は、未反応単量体及溶剤等の揮発成分を除去した前記共重合体からなる、無溶剤型の粘着剤である。
【0050】
本発明の粘着剤は、必要に応じて水又は溶剤を含んだ組成物の形態で使用することもできる。この場合、組成物における共重合体の割合としては、組成物中の共重合体が30〜80質量%が好ましく、45〜80質量%がより好ましい。
【0051】
粘着剤の粘度としては、25℃におけるE型粘度計により測定された粘度が、50万mPa・s以下が好ましく、より好ましくは10万mPa・s以下であり、特に好ましくは3万mPa・s以下であり、この様な粘着剤は、塗工性に優れるため好ましい。
【0052】
本発明の粘着剤には、前記必須成分の共重合体以外にも、用途及び目的等に応じて、下記式(2)で表わされるマレイミド化合物(以下マレイミドAという)、エチレン性不飽和基を有する化合物、粘着付与剤及び光重合開始剤を配合することができる。
これら以外にも消泡剤、増粘剤、潤滑剤、成膜助剤、繊維助剤、洗浄剤、帯電防止剤、均染剤、湿潤剤及びレベリング改良剤等の一般的な添加剤を併用することができる。
以下、マレイミドA、エチレン性不飽和基を有する化合物、粘着付与剤及び光重合開始剤について説明する。
【0053】
4-1 .マレイミドA
本発明の粘着剤には、硬化物の粘着性能を高めるため、又は粘着剤の感度を高めるため、下記式(2)で表わされるマレイミドAを配合しても良い。
【0054】
【化6】
【0055】
マレイミドAとしては、種々の方法に従い製造されたものが使用でき、その製造方法としては、特開平11−124403号公報及び特開2000−319252号公報等に記載されている方法に従えば良い。
【0056】
上記一般式(2)において、l及びmは、各々独立した1〜5の整数であり、かつl+mが6以下であり、2〜6の整数となる化合物が好ましい。
【0057】
R5及びR6は、それぞれ独立した水素原子若しくは炭素数4以下のアルキル基、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、又はそれぞれが一つとなって炭素環を形成する基であり、前記R1及びR2で挙げたものと同様の基が挙げられる。R5及びR6としては、それぞれが水素原子であるマレイミド化合物が好ましい。
【0058】
X1及びX2は、各々独立して、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリールアルキレン基及びシクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる炭化水素結合を表わす。
【0059】
アルキレン基としては、直鎖状であっても、分岐状であっても良い。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基及びドデカメチレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチル−ペンタメチレン基及びネオペンチル基等の分岐アルキル基を有するアルキレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、主鎖又は分枝鎖にシクロアルキル基を有しても良い。シクロアルキレン基の具体例としては、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基等が挙げられる。シクロアルキル−アルキレン基としては、シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基及び2−シクロヘキシル−テトラエチレン基等の主鎖又は側鎖にシクロアルキル基を有するものが挙げられる。
アリールアルキレン基としては、主鎖又は分枝鎖にアリール基を有しても良い。アリールアルキレン基の具体例としては、ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基及び2−フェニル−テトラエチレン基等の主鎖又は側鎖にアリール基を有するものが挙げられる。
【0060】
R7は、ポリエーテル残基又はポリエステル残基である。
R7の具体例としては、ポリエーテルポリオール残基(a)、ポリエステルポリオール残基(b)、ポリエーテルポリオールと多塩基酸とのエステル化物である末端がポリカルボン酸の残基(c)、ポリエステルポリオールと多塩基酸とのエステル化物である末端がポリカルボン酸の残基(d)及びポリエポキシドを開環して得られる化合物の残基(e)が挙げられる。
これら、(a)〜(e)は、炭素原子数1〜24の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を含むものが好ましい。
又、(a)〜(e)の平均分子量としては、100〜100,000が好ましい。
【0061】
前記(a)を構成するポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリトール等のアルキレングリコールのアルキレンオキシド変性物及びテトラヒドロフラン変性物等が挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールの各種変性物が好ましい。
さらに、前記(a)を構成するポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物等が挙げられる。
【0062】
前記(b)を構成するポリエステルポリオールとしては、ポリオールと多塩基酸のエステル化反応物等が挙げられる。
当該ポリオールとしては、前記(a)で挙げたポリアルキレングリコール;前記(a)で挙げたアルキレングリコールの、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物及びメチルバレロラクトン変性物;並びにポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール及びポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物等が挙げられる。
多塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、フマル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、シトラコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、クエン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸及びシクロヘキサントリカルボン酸等が挙げられる。
又、グリセリン等の等の多価水酸基含有化合物と動物・植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリド等の多価水酸基含有化合物等が挙げられる。
【0063】
前記(c)を構成するポリエーテルポリオールと多塩基酸とのエステル化物において、ポリエーテルポリオールとしては、前記(a)で挙げたものと同様のものが挙げられ、多塩基酸としては、前記(b)で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0064】
前記(d)を構成するポリエステルポリオールと多塩基酸とのエステル化物において、ポリエステルポリオールとしては、前記(b)で挙げたものと同様のものが挙げられ、多塩基酸としては、前記(b)で挙げたものと同様のものが使用できる。
【0065】
前記(e)において、ポリエポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールAやビスフェノールF及びそのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から製造されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物等とから合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型のエポキシ樹脂及びエポキシノボラック樹脂;フェノール、ビフェノール等と(メチル)エピクロルヒドリンとの反応物;テレフタル酸、イソフタル酸又はピロメリット酸のグリシジルエステル等の芳香族エポキシ樹脂;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びネオペンチルグリコール等のグリコール、それらのアルキレンオキシド変性物のポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールや、それらのアルキレンオキシド変性物のグリシジルエーテル;アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸及びイタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル;多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクルレートやメチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0066】
マレイミドAとしては、前記式(2)において、l及びmが1であり、R5及びR6は、それぞれ独立した水素原子あり、X1及びX2が、各々独立して、アルキレン基であり、R7が、ポリエーテル残基又はポリエステル残基であるものが特に好ましい。
【0067】
マレイミドAの配合割合としては、共重合体100質量部に対して0.2〜50質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
【0068】
4-2 .エチレン性不飽和基を有する化合物
又、本発明の粘着剤には、硬化物の粘着性能を高めるため、又は粘着剤の感度を調整するため、エチレン性不飽和基を有する化合物を配合しても良い。
エチレン性不飽和基を有する化合物の例としては、(メタ)アクリル系モノマー、オリゴマー等が挙げられる。
【0069】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオール及びそのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0071】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0072】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0073】
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノールあるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加反応体等が挙げられる。
【0074】
エチレン性不飽和基を有する化合物の配合割合としては、共重合体100質量部に対して50質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。
【0075】
4-3 .粘着付与剤
本発明の粘着剤においては、その硬化物の粘着性能を高めるために、粘着付与剤を含有させることもできる。粘着付与剤としては種々のものが使用でき、低分子量(メタ)アクリル重合体、ロジン系樹脂やテルペン系樹脂等の天然樹脂及びその誘導体、並びに石油樹脂等の合成樹脂を挙げることができ、耐候性を付与できる点で低分子量(メタ)アクリル重合体が好ましい。
【0076】
低分子量(メタ)アクリル重合体としては、種々の方法で製造されたものが使用可能であり、従来の製造方法で(メタ)アクリロイル基を有する単量体を重合したものであれば良い。具体的には、溶液重合、懸濁重合、高温連続重合法等のラジカル重合法が適宜採用される。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種のものが使用される。
【0077】
これらの中でも、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を高温連続重合させて得られる低分子量(メタ)アクリル重合体が好ましい。当該重合体によれば、粘着剤に、粘着性効果を高めると共に、得られる粘着剤に耐熱性を付与することができる。
その理由としては、前記と同様に、高温連続重合で得られた低分子量(メタ)アクリル重合体には、その末端に二重結合を有する重合体〔以下不飽和(メタ)アクリル重合体という〕が含まれる。一方、活性エネルギー線の照射により、共重合体中のイミド基上にラジカルが発生し、これが不飽和(メタ)アクリル重合体の末端二重結合に付加するためと推測している。低分子量(メタ)アクリル重合体中における、不飽和(メタ)アクリル重合体の割合は、20質量%以上が好ましく、末端二重結合指数としては、0.2以上が好ましい。
【0078】
(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、前記したものと同様のものが例示できる。これらのうち、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する単量体は、粘着剤の耐熱性に優れ、高温時における粘着性の保持力を向上させることができる。又、環状の構造を有する単量体は、粘着剤の粘着力を高めることができる。環状の構造を有する単量体のうちでも脂環構造を有する単量体、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等は特に粘着力を高める効果が大きい。ビニル単量体を構成する全単量体単位中の脂環構造を有する単量体単位の割合は10〜100質量%が好ましく、20〜100質量%が特に好ましい。
【0079】
低分子量(メタ)アクリル重合体における(メタ)アクリロイル基を有する単量体単位の割合としては、全単量体の50〜100質量%であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する単量体単位の割合が50質量%未満の場合には、粘着剤に良好な耐候性を付与できないことがある。
【0080】
低分子量(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量としては、500〜50,000のものが好ましく、1,000〜18,000のものがさらに好ましい。重量平均分子量が500未満では軟らかすぎ、粘着剤が十分な保持力を発揮できない場合があり、50,000を超えると粘着付与剤として十分な粘着付与効果を発揮できない場合がある。
【0081】
粘着付与剤の配合割合としては、共重合体100質量部に対して100質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下である。
【0082】
4-4 .光重合開始剤
本発明の粘着剤は、活性エネルギー線の照射により架橋硬化させるものであり、前記した通り使用する共重合体がマレイミド基を有するため、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有するものである。
【0083】
光重合開始剤を配合する場合において、光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル、アセトフェノン、アントラキノン、チオキサントン、ケタール、ベンゾフェノン及びキサントン等が挙げられる。光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合割合としては、共重合体100質量部に対して、又、エチレン性不飽和基を有する化合物、マレイミドA又は粘着付与剤を配合する場合は、共重合体とエチレン性不飽和基を有する化合物、マレイミドA又は粘着付与剤を有する化合物の合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
【0084】
粘着剤の硬化性が不十分である場合、前記光重合開始剤の中でも、マレイミド基に対する光増感剤的効果が大きいチオキサントンを配合することが好ましい。チオキサントンとしては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
【0085】
5.粘着剤の使用方法
本発明の粘着剤の使用方法は、従来活性エネルギー線硬化型粘着剤で行われている方法に従えばよい。
例えば、紙、プラスチックフィルム又は金属箔等を基材又は支持体として、従来公知のロールコーティング、ダイコーティング及びナイフコーティング等の方法により、本発明の粘着剤を支持体表面に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が挙げられる。
【0086】
本発明の粘着剤の塗工量も、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましい塗工量としては5〜200g/m2であり、より好ましくは10〜100g/m2である。
【0087】
活性エネルギー線としては、紫外線、X線及び電子線等が挙げられ、安価な装置を使用できることから、紫外線を使用することが好ましい。紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々なものを使用することができ、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ及びカーボンアーク灯等が挙げられる。
【0088】
本発明の粘着剤の用途としては、優れた保持力を有するため、偏向板、液晶ディスプレイ、光学部品、時計部品、複合材、貼り合せガラス及び複層ガラス等で使用される基材の接着が挙げられる。
【0089】
本発明の粘着剤は、前記の通り、その硬化物が保持力及び粘着性に優れるため、粘着シートの製造に好適に使用することができる。
本発明の粘着剤を粘着シートに使用する場合の基材としては、紙、セロハン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリエーテルサルホン、エチレンビニルアルコール樹脂及びユリア・メラミン樹脂等が挙げられる。
【0090】
粘着シートの製造方法としては、常法に従えば良く、基材に対して粘着剤を塗布した後、活性エネルギー線を照射して製造できる。塗布方法、塗布量及び活性エネルギー線の照射条件等は、上記と同様の条件及び方法に従えば良い。
【0091】
粘着シートの種類としては、粘着ラベル、粘着テープ及び特殊粘着フィルム等に使用できる。
粘着ラベルの具体例としては、商標ラベル、品質表示ラベル、内容表示ラベル、リターナブルラベル、ネームプレート等の商品表示用、計量ラベル、ハンドラベル、値札・正札等の価格表示用、取扱説明ラベル、検査証ラベル、保証ラベル、改ざん防止用ラベル、配電図ラベル、目盛板ラベル、PL法警告ラベル等の説明・保証用、ステッカー(ウインドー用、車輌用、店頭用等)、マーク・装飾用ラベル、スタンプ、シール、ワッペン、ポスター、多層ラベル等の宣伝・販促用、帳票ラベル、電算機用ラベル、POS用ラベル、工程・在庫管理ラベル等の管理用、両面・片面荷札ラベル、宛名ラベル、宅配用伝票ラベル等の荷札・宛名用、封緘用シール、キャップシール等の封緘用、案内標識ラベル、交通標識ラベル、施設標識ラベル等の案内・標識用、トイレタリー関連ラベル、家電用ラベル、OA機器用ラベル等のリサイクル用、その他インデックスラベル(文具用、ビデオカセット用、フレキシブルディスク用等)用、カラーサンプルラベル用、玩具(シール)用及び教材用等がある。
【0092】
粘着テープとしては、ネームプレートテープ、金属建材用テープ、自動車用テープ等の表面保護用、半導体製造工程用テープ、電子部品の搬送用テープ、保護・マスキング用テープ、固定・接着用テープ、電気絶縁用テープ、結束・補修用テープ、導電性テープ等の電気・電子機器用、EPS(発泡ポリスチレンビーズ融着製品)ケース類への表示・封緘用、塗装マスキングテープ、養生マスキングテープ等の一般マスキング用、段ボール包装テープ等の封緘・包装用、事務用、その他自動車装飾用テープ、写真製版用テープ、スプライシングテープ等の用途、両面テープ及びセロハンテープ・OPPテープ等といった、一般的な結束・固定用途が挙げられる。
【0093】
特殊粘着フィルムとしては、屋外広告フィルム、自動車用ストライプ、マーキングフィルム等の屋外耐久用、ポスター、インテリアフィルム、内装材等の一般壁装用、エレベーター内装フィルム、カウンター装飾フィルム、家具装飾フィルム、車輌内装フィルム、自販機装飾フィルム、キャッシュコーナー装飾フィルム、テーブル装飾フィルム等の内装化粧用、ウインドディスプレイフィルム、ステッカー、マーキングフィルム等の短期装飾用、屋外耐久性フィルム等の内照看板用、建物用日射遮蔽及び飛散防止フィルム用、保安用反射フィルム(自動車用、靴用、ヘルメット用等)用、自動車用等に水又は石鹸水で濡らしながら貼るウインドウフィルムとしての用途、その他、プリズム、ホログラムフィルム、畜光フィルム及び発光フィルム等が挙げられる。
【0094】
【作用】
又、本発明の粘着剤は、活性エネルギー線の照射により、共重合体中のマレイミド基同士が分子間で架橋反応を起こし、その結果非常に優れた保持力を発現するものである。又、イミド(メタ)アクリレートの共重合体割合を目的に応じて変化させることにより、保持力と粘着力のバランスを容易に調整することができる。
さらに、本発明の粘着剤は、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有する。これは、マレイミド基が、光重合開始剤の配合がなくとも活性エネルギー線の照射により、マレイミド基同士が二量化して架橋反応を起こすためであり、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を発揮するのである。
さらに又、高温連続重合法で得られた共重合体には、前記した通り不飽和共重合体が含まれ、当該共重合体によれば、粘着剤の粘着物性が向上し、特に耐熱性が向上する。その理由は、活性エネルギー線の照射により、マレイミド基上にラジカルが発生し、これが末端二重結合に付加し、グラフトするためと推測している。
さらに又、本発明の粘着剤は、構成成分の共重合体が低分子量体であるため、塗工性に優れたものとなる。
【0095】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
又、使用した単量体の略号の意味は以下のとおりである。
HA;2−エチルヘキシルアクリレート
CHA;シクロヘキシルアクリレート
AA;アクリル酸
【0096】
○実施例1
1)粘着剤の製造
前記式(3)の化合物15部、HA85部、溶剤のメチルエチルケトン(以下MEKという)10部及び重合開始剤のビス(1,1−ジメチルブチル)パーオキサイド(以下BMBPという)0.15部を含むモノマー溶液を調製し、原料タンクに貯蔵した。
熱媒油による温度制御装置を備えた容量500mlの加圧式攪拌槽型反応器中を、3−エトキシプロピオン酸エチルで満たした。反応器内温度を165℃に維持し、圧力調節器により反応器内の圧力を1.0Mpaに調整した。
反応器の圧力を一定に保ちながら、モノマー溶液を原料タンクから反応器に連続的に供給した。このとき、モノマー溶液の反応器内での滞留時間が12分となるように供給速度を設定した。詳しくは、モノマー溶液は一定の供給速度(41g/分)で反応器に供給された。また、単量体混合物の供給体積と等しい体積の反応物を反応器の出口から連続的に抜き出した。
単量体混合物の供給開始直後に反応器内温度が一旦低下した。その後、重合熱により、反応器内温度が上昇した。ヒータの制御により、反応温度は170℃に保持された。反応温度が安定した時点から、反応液の回収を開始した(回収開始時)。回収開始時から49分間にわたって、反応を継続した。これにより、2000gの単量体混合液が供給され、反応器から抜き出された反応液を薄膜蒸発器に導入した。240℃、30kPaの雰囲気下で、反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。これにより、約1400gの液状の共重合体が得られた。
得られた液状の共重合体は、25℃における粘度が12万mPa・sであり、数平均分子量6,500、重量平均分子量23,000であった。また、末端二重結合指数は0.40であった。
得られた液状の共重合体を粘着剤とした。これを粘着剤a1という。
【0097】
2)粘着シートの製造
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、粘着剤層の厚さが20μmになるように粘着剤a1を塗布した。
次いで、80W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)下を10m/minのコンベアを通過することにより、粘着剤を塗工した側から紫外線を照射し、粘着シートを製造した。
得られた粘着シートを使用して、以下に従い、硬化性、粘着力、保持力、タック及び臭気の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
実施例1の粘着剤は、硬化性、保持力及び耐熱性に優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0098】
・硬化性
上記粘着シートをポリエチレンテレフタレートフィルムと貼り合わせ、そのフィルムを剥がしたとき、糊移りがなくなるまでのパス回数を測定した。
【0099】
・粘着力
上記粘着シート及び被着体としてステンレス板を用い、23℃、65%RHの条件において、JIS Z−0237に準じて180度剥離強度を測定した。
【0100】
・保持力
上記粘着シートを、ステンレス板に接着面積が25mm×25mmとなるように貼付け、40℃にて1kgの荷重をかけて剥がれ落ちるまでの時間を測定し、その保持時間を保持力とした。
40℃、48時間後にも保持されていた場合には、別途80℃にて1kgの荷重をかけて剥がれ落ちるまでの時間を測定し、その保持時間を保持力とした。80℃で48時間後にも保持されていた場合には、80℃保持時間48時間以上とし、初期貼付け位置からのずれ幅を測定した値を併記した。
【0101】
・SAFT(Shear Failure Adhesion Temperature)
上記粘着シートを、ステンレス板に接着面積が25mm×25mmとなるように貼付け、一日放置後に、試験片の端に500g荷重のおもりをかけて、0.4℃/分の昇温速度にて40℃〜200℃まで温度を変えて落下時間から落下温度を算出した。又、200℃で保持した場合はずれた距離を測定した。
【0102】
・タック
上記粘着シートを用い、JIS Z−0237の球転法に準じて23℃、65%RHの雰囲気下で測定した。
【0103】
・臭気
上記粘着シートのにおいをかぎ、残存モノマーの臭気を評価した。
○:臭気はまったく無い、△:わずかに臭う、×:臭気あり
【0104】
○実施例2〜同5
表1に示す組成の単量体を用いる以外は、実施例1と同様の方法により共重合体を製造し、得られた液状共重合体を粘着剤とした。
当該粘着剤を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
実施例2の粘着剤は、保持力及び耐熱性に優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
実施例3の粘着剤は、硬化性、保持力及び耐熱性に優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
実施例4及び同5の粘着剤は、硬化性、粘着力、保持力及び耐熱性のいずれにも優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0105】
【表1】
【0106】
○実施例6
実施例1で得られた液状共重合体100部に対し、マレイミドAに相当するポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル〔大日本インキ化学工業(株)製MIA200、以下MIA200という〕を5部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤a6という。
粘着剤a6を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
実施例6の粘着剤は、硬化性、保持力及び耐熱性に優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0107】
○実施例7
1)粘着付与剤の製造
実施例1と同様の方法で、BA100部、イソプロピルアルコール10部、及びジ−t−ブチルパーオキサイド(以下DTBPという)1部からなるモノマー溶液を、反応温度235℃で重合を行った。
得られた液状の共重合体は、25℃における粘度が1,000mPa・sであり、数平均分子量1500、重量平均分子量2900であった。また、末端二重結合指数は0.50であった。
得られたアクリル系共重合体を、粘着付与剤とした。これを粘着付与剤b1という。
【0108】
2)粘着剤組成物の製造
実施例1で得られた液状共重合体75部に対し、前記で得られた粘着付与剤b1を25部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤a7という。
粘着剤a7を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
実施例7の粘着剤は、保持力、耐熱性及びタックのいずれにも優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0109】
○実施例8
実施例3で得られた液状共重合体75部に対し、前記で得られた粘着付与剤b1を25部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤a8という。
粘着剤a8を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
実施例8の粘着剤は、粘着力、保持力、耐熱性及びタックのいずれにも優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0110】
○実施例9
実施例4で得られた液状共重合体100部に対し、2,4−ジエチルチオキサントンを0.5部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤a9という。
粘着剤a9を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
実施例9の粘着剤は、硬化性、保持力及び耐熱性に優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであった。
【0111】
【表2】
【0112】
○比較例1
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、MEK70部を仕込み、80℃に昇温した。別途MEK70部、前記式(3)の化合物15部、HA85部、AIBN2.4部からなる混合溶液を調整し、上記滴下ロートから3時間かけてフラスコ内に連続的に滴下して重合を行った。滴下終了後さらにAIBN0.2部を添加して、80℃で4時間30分熟成を行った。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。
得られた液状の共重合体は、25℃における粘度が12万mPa・sであり、数平均分子量6,500、重量平均分子量23,000であった。又、末端二重結合指数は0であった。
得られた液状の共重合体を粘着剤とした。これを粘着剤c1という。
粘着剤c1を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表4に示す。
比較例1の粘着剤は、保持力及びタックに優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであったが、耐熱性に劣るものであった。
【0113】
○比較例2〜3
表3に示す単量体を用いる以外は、実施例1と同様の方法により共重合体を製造し、得られた液状の共重合体を粘着剤とした。尚、いずれの共重合体も末端二重結合指数は0であった。
当該粘着剤を使用して、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表4に示す。
共重合体として、イミドアクリレートの共重合割合が本発明の下限に満たないものを使用した比較例1は、20パス以上、コンベアを通過させても硬化しなかった。
共重合体として、イミドアクリレートの共重合割合が本発明の上限を超えるものを使用した比較例2は、硬化性に非常に優れ、硬化塗膜の臭気はないが、粘着力及びタックの乏しいものであった。イミドアクリレートの効果により、フィルムの凝集力は高いものと考えられるが、ステンレス板への接着強度が低いために、荷重を掛けた直後に落下してしまい、保持力の測定値も低いものであった。
【0114】
【表3】
【0115】
○比較例4
比較例2で得られた液状共重合体100部に対し、MIA200を5部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤c4という。
粘着剤c4を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表4に示す。
比較例4の粘着剤組成物は、粘着力及びタックは優れるものの、保持力に乏しく、硬化性にも大幅な改善は見られなかった。
【0116】
○比較例5
1)粘着付与剤の製造
比較例1と同様のフラスコに、MEKの80部を仕込み、80℃に昇温した。別途MEK70部、BA90部、AIBN1部及び3−メルカプトプロピオン酸10部からなる混合溶液を調整し、上記滴下ロートから5時間かけてフラスコ内に連続的に滴下して重合を行った。滴下終了後さらにAIBN0.3部を添加して、80℃で3時間熟成を行った。
重合終了後、減圧下に反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。
得られた液状のアクリル系共重合体は、数平均分子量1,670、重量平均分子量2,870であった。また、末端二重結合指数は0であった。
得られたアクリル系共重合体を、粘着付与剤とした。これを粘着付与剤b2という。
【0117】
2)粘着剤組成物の製造
実施例1で得られた液状共重合体75部に対し、前記で得られた粘着付与剤b2を25部混合し、粘着剤組成物を製造した。これを粘着剤c5という。
粘着剤c5を使用し、実施例1と同様に粘着シートを製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表5に示す。
比較例5の粘着剤は、粘着力、保持力及びタックのいずれにも優れ、さらに硬化塗膜が臭気を有しないものであったが、耐熱性に劣るものであった。
【0118】
【表4】
【0119】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤は、従来の溶剤型粘着剤のように、常温で反応してしまうポリイソシアネート化合物を架橋剤として使用するものや、エマルション型粘着剤で、架橋剤を併用し、熟成工程を必要とする2液型の粘着剤とは異なり、構成成分の共重合体が常温暗所での反応性が無いため保存安定性に優れ、加熱等の熟成工程を必要としない、一液型の粘着剤として使用可能なものとなる。
又、本発明の粘着剤によれば、常温で液状であるため取り扱いが容易で塗工性に優れる。又、使用に際して有機溶剤を発散することがないため、環境への負荷を軽減できる。更には、その硬化物が、優れた粘着力及び保持力を有し、臭気がほとんど無いものであり、特に耐熱性に優れるため、従来の粘着剤では使用不可能であった、電子材料分野、自動車分野及び建築材料等、幅広い用途に極めて好適なものである。
Claims (7)
- 前記共重合体が、共重合体1分子当たりが有する末端二重結合の平均個数として0.2以上有するものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤。
- 前記共重合体が、上記一般式(1)で表されるイミド(メタ)アクリレート5〜30質量%、炭素数4〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート70〜95質量%及び必要に応じてこれら単量体と共重合可能な単量体0〜25質量%を構成単量体単位とするものである請求項1又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤。
- 下記一般式(2)で表わされるマレイミド化合物をさらに含有してなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤。
- (メタ)アクリロイル基を有する単量体単位を全単量体単位中の50質量%以上含有し、高温連続重合して得られる重量平均分子量が500〜50,000である重合体をさらに含有してなる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤。
- チオキサントンをさらに含有してなる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤。
- 基材と、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の粘着剤から形成された塗布層に活性エネルギー線を照射して架橋硬化させた粘着剤層とを有してなる粘着シート。
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