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JP4374838B2 - ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法とその触媒 - Google Patents

ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法とその触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法とその触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類は、医薬、香料、染料、有機合成中間体や樹脂原料等として重要な化合物であり(例えば特開2000−256342公報等)、その製造方法としては、ケトン類と過酢酸、過安息香酸等の有機過酸とを反応させる方法(いわゆるBayer−Villiger反応)が知られているが、有機過酸は比較的高価であり、反応後の後処理が面倒であるという問題があった。
【0003】
一方、酸化剤として、安価で、反応後には無害な水となる過酸化水素を酸化剤として、ケトン類からラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を製造する方法も報告されている。例えば、▲1▼モリブデン錯体触媒を用いる方法(J.Chem.Soc.Chem.Commun.,888(1978))、▲2▼メチルレニウムトリオキシド触媒を用いる方法(Euro.J.Org.Chem.,1767(1999))等が報告されているが、▲1▼の方法は、工業的には入手しにくく、また安全面でも問題のある90重量%という高濃度の過酸化水素水を用いなければならず、また▲2▼の方法は、触媒が高価であり、いずれも工業的な観点からは、十分満足し得るものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況のもと、本発明者らは、ケトン類と過酸化水素を反応させて、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を工業的に有利に製造する方法について、鋭意検討したところ、入手が容易で、安価なタングステン金属やホウ化タングステンやタングステン酸や酸化タングステン等のタングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物水溶液が、ケトン類と過酸化水素との反応において、良好な触媒活性を示すことを見いだし、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、タングステン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物、タングステンと第IVb族族元素とからなるタングステン化合物およびタングステンと第VIb族元素とからなるタングステン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のタングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物水溶液の存在下に、ケトン類と過酸化水素とを反応させることを特徴とするラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法とその触媒水溶液を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず最初に、本発明の触媒について説明する。触媒としては、タングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物水溶液が用いられる。
【0007】
タングステン化合物としては、例えばタングステン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物、第IVb族元素とからなるタングステン化合物および第VIb族元素とからなるタングステン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0008】
タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えばホウ化タングステン等が、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば炭化タングステン、ケイ化タングステン等が、タングステンと第VIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば酸化タングステン、タングステン酸、硫化タングステン等が挙げられる。
【0009】
かかるタングステン化合物の中でも、タングステン金属、ホウ化タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、タングステン酸、硫化タングステンが好ましい。かかるタングステン化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、粒径の小さいタングステン化合物を用いることが、触媒であるタングステン酸化物の調製をより容易にするという点で好ましい。
【0010】
かかるタングステン化合物と反応せしめる過酸化水素水中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なったものを用いればよい
【0011】
タングステン化合物と反応せしめる過酸化水素の使用量は、タングステン化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0012】
タングステン化合物と過酸化水素との反応は、通常水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。
【0013】
タングステン化合物と過酸化水素との反応は、通常その両者を混合、接触させることにより行われ、タングステン化合物と過酸化水素の接触効率を向上させるため、タングステン酸化物調製液中でタングステン化合物が十分分散するよう攪拌しながら反応を行うことが好ましい。またタングステン化合物と過酸化水素の接触効率を高め、タングステン酸化物調製時の制御をより容易にするという点で、例えば粉末状のタングステン化合物等粒径の小さなタングステン化合物を用いることが好ましい。
【0014】
タングステン酸化物の調製時の調製温度は、通常−10〜100℃である。
【0015】
タングステン化合物と過酸化水素とを水中もしくは有機溶媒中で反応させることにより、タングステン化合物の全部もしくは一部が溶解し、タングステン酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができるが、該タングステン酸化物を、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して、触媒として用いてもよいし、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。
【0016】
次に、上記タングステン酸化物を触媒とするケトン類と過酸化水素との反応について説明する。
【0017】
ケトン類としては、カルボニル基の両端に、例えば置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基等の炭素置換基が結合したものであれば特に制限されない。カルボニル基の両端に結合した炭素置換基は、同一であってもよいし、異なっていてもよく、また該炭素置換基が結合して環構造の一部を形成していてもよい。
【0018】
置換されていてもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基等およびかかるアルキル基を構成する一つまたは二つ以上の水素原子が、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等の置換基で置換した、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0019】
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等およびこれらフェニル基、ナフチル基等を構成する芳香環の水素原子が、例えば前記アルキル基、例えば前記アルコキシ基、例えば前記ハロゲン原子、例えばアセチル基、プロピオニル基等のアシル基等の置換基に置換した、例えば2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0020】
置換されていてもよいアラルキル基としては、前記アルキル基と前記アリール基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジル基、フェニルエチル基、4−フルオロベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−クロロベンジル基等が挙げられる。
【0021】
また、炭素置換基が一緒になって環構造の一部を形成している場合、かかる環構造としては、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ベンゼン環等が挙げられ、かかる環は、前記アルキル基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0022】
かかるケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルsec−ブチルケトン、メチルtert−ブチルケトン、2−オクタノン、ジエチルケトン、エチルイソプロピルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、メチルフェニルケトン、メチル(p−トリル)ケトン、メチル(2−ピリジル)ケトン、シクロヘキシルフェニルケトン、ジシクロヘキシルケトン、シクロプロパノン、シクロブタノン、3−メチルシクロブタノン、3−フェニルシクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、2−フェニルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2−フェニルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−フェニルシクロヘキサノン、4−クロロシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロドデカノン、1,4−シクロヘキサンジオン、アダマンタノン等の鎖状または環状ケトン類が挙げられる。
【0023】
本反応は、前記したタングステン酸化物触媒の存在下に、ケトン類と過酸化水素を反応させることで、対応するラクトン類、エステル類またはカルボン酸類が生成する。反応溶媒として、水を用いた場合には、カルボン酸類が得られやすい。鎖状ケトン類を用いた場合には、エステル類またはカルボン酸が得られ、環状ケトン類を用いた場合には、ラクトン類またはカルボン酸類が得られる。
【0024】
タングステン酸化物触媒の使用量は、金属として、ケトン類に対して、通常0.001〜0.95モル倍、好ましくは0.005〜0.1モル倍である。
【0025】
過酸化水素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なったものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いればよい。
【0026】
過酸化水素の使用量は、ケトン類に対して、通常0.8モル倍以上、好ましくは1モル倍以上である。その上限は特にないが、あまり多くなると経済的に不利になりやすいので、実用的には10モル倍以下である。なお、触媒としてタングステン酸化物を含む調製液を用いる場合には、該調製液中に含まれる過酸化水素の量を考慮して、過酸化水素の使用量を設定してもよい。
【0027】
ケトン類と過酸化水素との反応は、無溶媒で行ってもよいし、水溶媒中、有機溶媒中もしくは水と有機溶媒との混合溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。
【0028】
本反応は、通常タングステン酸化物水溶液、ケトン類および過酸化水素を接触、混合させることにより行われる。
【0029】
反応温度は、通常50〜130℃であり、通常常圧条件下で実施されるが、減圧あるいは加圧条件下で実施してもよい。
【0030】
反応の進行と共に、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類が生成するが、かかる反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
【0031】
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する過酸化水素を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を取り出すこともできる。取り出したラクトン類、エステル類またはカルボン酸類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ、再結晶等通常の精製方法によりさらに精製してもよい。
【0032】
ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を晶析処理により取り出した後の濾液や反応液を抽出処理し、有機層を取り出した後の水層は、本反応のタングステン酸化物触媒を含んでおり、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に再使用することができる。
【0033】
かくして得られるラクトン類としては、例えばβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、β−フェニル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−バレロラクトン、α−フェニル−δ−バレロラクトン、δ−フェニル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン、α−フェニル−ε−カプロラクトン、ε−フェニル−ε−カプロラクトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソプロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸フェニル、酢酸(4−メチル)フェニル、酢酸(2−ピリジル)、シクロヘキサンカルボン酸フェニル、安息香酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸シクロヘキシル等が挙げられる。カルボン酸類としては、例えばグルタル酸、5−オキソヘキサン酸、1−フェニル−1−オキソペンタン酸、アジピン酸、6−オキソヘプタン酸、3−メチルアジピン酸、ヘプタン−1,7−ジカルボン酸、スベリン酸等が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.044gおよび30重量%過酸化水素水4.8gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、内温10℃で、シクロブタノン0.56gを15分かけて滴下し、同温度で2時間攪拌、保持し、反応させた。得られた反応液に、エタノール50mLを加え、十分に振とうした後、ガスクロマトグラフィにより分析したところ、γ−ブチロラクトンが、収率92%で生成していた(シクロブタノン基準)。
【0036】
実施例2
還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.15gおよび30重量%過酸化水素水5.8gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、2−メチルシクロペンタノン3.9gを仕込み、内温60℃で6時間攪拌、保持し、反応させた。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうした後、ガスクロマトグラフィにより分析したところ、δ−カプロラクトンおよび5−オキソヘキサン酸が生成していた。δ−カプロラクトンの収率は、18%、5−オキソヘキサン酸の収率は、33%であった(いずれも2−メチルシクロペンタノン基準)。
【0037】
実施例3
還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.15gおよび30重量%過酸化水素水5.8gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、2−メチルシクロヘキサノン4.5gを仕込み、内温60℃で6時間攪拌、保持し、反応させた。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうした後、ガスクロマトグラフィにより分析したところ、メチル−ε−カプロラクトンおよび6−オキソヘプタン酸が生成していた。メチル−ε−カプロラクトンの収率は、3%であり、6−オキソヘプタン酸の収率は、68%であった(いずれも2−メチルシクロヘキサノン基準)。
【0038】
実施例4
還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.15gおよび30重量%過酸化水素水11.5gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、シクロペンタノン3.4gを仕込み、内温60℃で6時間攪拌、保持し、反応させた。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうした後、ガスクロマトグラフィにより分析したところ、δ−バレロラクトンが、収率28%で生成していた(シクロペンタノン基準)。
【0039】
実施例5
還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.037gおよび30重量%過酸化水素水2.7gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物水溶液を調製した。該水溶液に、シクロヘキサノン2gを仕込み、内温70℃で6時間攪拌、保持し、反応させた。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうした後、ガスクロマトグラフィにより分析したところ、ε−カプロラクトンが、収率12%で生成していた(シクロヘキサノン基準)。
【0040】
実施例6
実施例4において、タングステン金属に代えて、ホウ化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例4と同様に実施して、δ−バレロラクトンを、収率27%で得た(シクロペンタノン基準)。
【0041】
実施例7
実施例4において、タングステン金属に代えて、炭化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例4と同様に実施して、δ−バレロラクトンを、収率32%で得た(シクロペンタノン基準)。
【0042】
実施例8
実施例4において、タングステン金属に代えて、硫化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例4と同様に実施して、δ−バレロラクトンを、収率37%で得た(シクロペンタノン基準)。
【0045】
実施例11
実施例3において、タングステン金属に代えて、ホウ化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例3と同様に実施して、6−オキソヘプタン酸を、収率66%で得た(2−メチルシクロヘキサノン基準)。
【0046】
実施例12
実施例3において、タングステン金属に代えて、炭化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例3と同様に実施して、6−オキソヘプタン酸を、収率56%で得た(2−メチルシクロヘキサノン基準)。
【0047】
実施例13
実施例3において、タングステン金属に代えて、硫化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例3と同様に実施して、6−オキソヘプタン酸を、収率45%で得た(2−メチルシクロヘキサノン基準)。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、入手が容易タングステン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物と過酸化水素とから、容易に調製できるタングステン酸化物触媒の存在下に、ケトン類と過酸化水素とを反応させることにより、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類が得られるため、工業的に有利である。

Claims (6)

  1. タングステン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物およびタングステンと第VIb族元素とからなるタングステン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のタングステン化合物と過酸化水素水とを予め反応せしめてなるタングステン酸化物水溶液の存在下に、ケトン類と過酸化水素とを反応させることを特徴とするラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法。
  2. タングステン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物およびタングステンと第VIb族元素とからなるタングステン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のタングステン化合物と過酸化水素水とを反応させてタングステン酸化物水溶液を調製し、次いで、該水溶液の存在下に、ケトン類と過酸化水素とを反応させることを特徴とするラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法。
  3. 第IIIb族元素が、ホウ素である請求項1または2に記載のラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法。
  4. 第IVb族元素が、炭素である請求項1または2に記載のラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法。
  5. 第VIb族元素が、酸素または硫黄である請求項1または2に記載のラクトン類、エステル類またはカルボン酸類の製造方法。
  6. タングステン金属、タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物およびタングステンと第VIb族元素とからなるタングステン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のタングステン化合物と過酸化水素水とを反応せしめてなる、ケトン類と過酸化水素とを反応させて、ラクトン類、エステル類またはカルボン酸類を製造するためのタングステン酸化物水溶液。
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