特許文献1に開示されたようなマルチギャップ構造は、透過表示領域と反射表示領域の電気光学特性(透過率−電圧特性、及び反射率−電圧特性)を揃える上で有効な手段である。何故ならば、透過表示領域では光が液晶層を1回のみ通過するのに対し、反射表示領域では光が液晶層を2回通過するからである。
ところでJisakiらが採用した配向分割の方法は、突起とマルチギャップの段差を利用した大変巧妙な方法である。しかしながら、この方法には2つの大きな問題がある。1つは、マルチギャップの段差による配向制御力が弱いことである。なぜならば、マルチギャップの段差部において、液晶分子は段差部の傾斜と垂直に斜め方向に配向するが、これにかかる電界も同じように傾斜に垂直な方向にかかるため、液晶を一方向に倒す力が弱まるからである。従って、透過表示領域中央に設けた突起とマルチギャップの段差部との距離が一定以上離れると、電圧を印加したときに液晶分子が所定の方向に倒れなくなるため、透過表示領域の八角形を十分小さくしなければならず、開口率が低くなるという問題が生じる。もう1つは、反射表示領域の液晶の倒れる方向が十分に制御されていないということである。液晶が無秩序な方向に倒れると、異なる液晶配向領域の境界にディスクリネーションが現れ、残像等の原因となる。また、液晶の各々の配向領域は異なる視角特性を有するため、斜め方向から液晶装置をみたときに、ざらざらとしたしみ状のむらとして見えるという問題が生じる場合もある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、半透過反射型液晶表示装置において、透過表示及び反射表示の双方について残像やしみ状のむら等の表示不良発生を抑え、さらには明るく広視野角の表示を実現可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液晶表示装置は、一面側に電極を有する一対の基板と、前記一対の基板間に前記電極を介して挟持された液晶層とを備え、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、前記液晶層は、誘電異方性が負の液晶を含み、前記反射表示領域の液晶層厚が前記透過表示領域の液晶層厚より薄く形成された層厚を有し、前記一対の基板の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記ドット領域内において、複数の島状部と、隣接する前記島状部を互いに電気的に接続する連結部と、を有し、前記複数の島状部は、前記透過表示領域と前記反射表示領域とに各々整数個ずつ配置され、前記反射表示領域に配置された島状部は、前記透過表示領域に配置された島状部より大きい面積を有し、前記一方の電極に電気的に接続されるスイッチング素子が前記反射表示領域に配置されることを特徴とする。
本発明は、上記課題を解決するために、一面側に電極を有する一対の基板と、前記一対の基板間に前記電極を介して挟持された液晶層とを備え、1つのドット領域内に、透過表示を行う透過表示領域と、反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する液晶を含み、前記透過表示領域と反射表示領域とで異なる層厚に形成されており、前記一対の基板の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記ドット領域内で複数の島状部と、隣接する前記島状部を互いに電気的に接続する連結部とを有しており、前記複数の島状部は、前記透過表示領域と反射表示領域とに各々整数個ずつ配置され、前記透過表示領域と反射表示領域との間で前記液晶層厚を異ならせるべく基板内面に設けられた境界段差領域と、前記電極の連結部とが平面的に重なって配置されていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
すなわち、本発明の液晶表示装置は、マルチギャップ構造を備えた半透過反射型、垂直配向モード液晶表示装置であって、ドット領域内の電極が、複数の島状部と、該複数の島状部を電気的に連結する連結部とを有するものである。
このようにドット領域内の電極が複数の島状部を有する構成とすることで、電圧印加時に島状部の辺端で生じる斜め電界により、垂直配向液晶の傾倒方向が島状部中央側へ規制されるようになり、その結果、各島状部の平面領域内で放射状の配向状態を有する液晶ドメインが形成される。このように平面放射状の配向状態を有する液晶ドメインがドット領域内に複数形成されることで、各液晶ドメインによりあらゆる方向で均一な視角特性が得られ、かつ前記液晶ドメインの境界は、隣接する島状部の境界領域に固定されるため、パネル斜視時にしみ状のムラを生じることもなく、良好な表示を得ることができる。
さらに、本発明では、上記島状部を、反射表示領域と透過表示領域とにそれぞれ整数個を配置するようになっているため、前記各領域に配置された島状部の形成領域内で、液晶層厚が均一であり、反射表示と透過表示の双方で、液晶の配向状態が適切に制御された高品質の表示を得ることができるようになっている。
またさらに、反射表示領域と透過表示領域とで液晶層厚を異ならせるべくドット領域内に設けられる境界段差領域(マルチギャップ段差領域)が、隣接する島状部間を電気的に接続するために設けられた連結部と平面的に重なるように配置されているため、マルチギャップ構造に起因する表示品質の低下も効果的に抑制できるようになっている。より詳細には、上記境界段差領域では、その傾斜面に沿って液晶分子が配向されるため、この境界段差領域に電極が設けられていると、電圧印加時に斜め電界が生じ、液晶分子の配向を乱すおそれがある。そこで、本発明では、上記構成によって、境界段差領域から電極を可能な限り排除し、境界段差領域による表示品質の低下を効果的に防止するようになっている。
このように、本発明の液晶表示装置によれば、反射表示、透過表示の双方で広視野角、かつ高コントラストの表示が得られ、かつパネル斜視時にもしみ状のムラ等が生じない高品質の表示を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記島状部は、前記反射表示領域及び透過表示領域のそれぞれの領域内で、平面視略同一形状に形成されている構成とすることができる。この構成によれば、反射表示領域、及び透過表示領域の双方で、ドット領域内に形成される液晶ドメインの形状、及び大きさを揃えることができるので、反射表示と透過表示の視角特性を均一化することができ、表示モードの切替によらず均一な視角特性の表示を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記島状部の平面領域内に、電界印加時の液晶の配向状態を制御する配向制御手段が設けられていることが好ましい。この構成によれば、島状部の辺端にて生じる斜め電界による配向規制作用とともに、上記配向制御手段による配向規制作用によって、さらに良好に島状部の平面領域内(すなわち表示領域内)の液晶の配向状態を制御することが可能になり、島状部の平面積を比較的大きくした場合にも、配向の乱れが生じ難く、良好な表示を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記配向制御手段は、前記島状部の平面領域の略中央部に設けられていることが好ましい。この構成によれば、上記島状部の形成領域に形成される液晶ドメインにおいて、島状部の中心に対して対称な放射状に液晶を配向させることが可能になり、液晶表示装置の視角特性をパネル正面(基板法線方向)に対して対称なものとすることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記ドット領域内の各島状部に対応して前記配向制御手段が設けられ、前記反射表示領域に配置された島状部に対応する配向制御手段は、前記透過表示領域の配向制御手段より小さい平面積を有して形成されている構成とすることができる。
マルチギャップ構造を有する本発明の液晶表示装置では、液晶層厚が相対的に薄くされた反射表示領域において、島状部辺端の斜め電界、及び配向制御手段による配向規制作用が、液晶層厚の厚い透過表示領域に比して大きくなる。そこで本構成では、透過表示領域の配向制御手段に比して、反射表示領域の配向制御手段の平面積を小さくし、上記液晶層厚による配向規制作用の違いを利用して透過表示領域と同等の配向規制作用を得つつ、上記平面積等の縮小による開口率の向上効果を得るようにした。従って本構成によれば、反射表示のコントラスト等を低下させることなく、明るさを向上させることが可能である。
本発明の液晶表示装置では、前記配向制御手段は、前記島状部と液晶層を介して対向する電極に設けられた開口部、又は該電極上に設けられた絶縁材料からなる突起部である構成とすることができる。本発明に係る液晶表示装置では、上記配向制御手段として、これらの開口部や突起部を用いることができ、いずれの構成を適用した場合にも、電圧印加時の垂直配向液晶の傾倒方向を良好に制御することが可能である。
本発明の液晶表示装置では、前記島状部は、平面視において概略円形状、又は概略正多角形状であることが好ましい。本発明において、上記島状部は、その辺端にて生じる斜め電界により同平面領域内に放射状の液晶配向を得るために設けられる。そこで、上記各形状を適用すれば、容易に上記放射状の配向状態を有する液晶ドメインが形成できる。視角特性の均一化の点では、島状部は、その面中心に対して回転対称性を有する形状であることが好ましく、円形、ないし正多角形状の平面形状とすることが好ましい。
本発明の液晶表示装置では、前記島状部と連結部との接続領域における電極の平面形状は、前記島状部側から連結部側へ向かう先窄まり状であることが好ましい。このような構成とすることで、上記接続領域において、上記連結部に向かって両側から液晶分子が配向されるようになるため、上記接続領域の近傍においてディスクリネーションが生じた場合に、ディスクリネーションを連結部側に集めることができるようになり、係るディスクリネーションによる表示品質の低下を最小限に抑えて、良好な表示を得ることができるようになる。
本発明の液晶表示装置では、前記連結部は、平面視において前記島状部の角部又は外側に凸なる辺端から延出されていることが好ましい。このような構成とすることで、液晶層を挟持する基板の組ずれに対するマージンを実質的に大きくする効果を得ることができる。例えば、一方の基板に上記島状部及び連結部を有する電極が設けられており、他方の基板にマルチギャップ構造による境界段差領域が形成されている場合、上記連結部と境界段差領域とを重ねるべく基板の位置合わせが行われる。その際、基板間の組ずれにより境界段差領域と島状部とが重なった場合、境界段差領域の影響により表示コントラストの低下等が生じる。この場合において、本構成では島状部と境界段差領域との重なりを小さくできるため、組ずれによる表示品質の低下を最小限に抑えることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記ドット領域内に、前記反射表示領域を含んで部分的に設けられた反射膜を備え、前記反射膜は、前記透過表示領域を除く前記ドット領域内を覆って形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、反射表示領域以外の領域に設けられた反射膜を遮光膜として機能させることができ、透過表示領域の外側における光漏れを効果的に遮断し、透過表示のコントラストを向上させることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記反射膜は、前記透過表示領域に配置された島状部の平面領域を除くドット領域に設けられていることが好ましい。前記島状部を連結している連結部の領域についても、前記反射膜により遮光する構成とすることができ、特に、前記境界段差領域と重なって配置された連結部の領域に前記反射膜を設けておくことで、液晶の配向乱れが生じ易い境界段差領域における漏れ光を遮断し、コントラストの向上を図ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記ドット領域毎に異なる色を呈する複数の色種のカラーフィルタが設けられており、前記島状部を除くドット領域内に、2色以上の前記カラーフィルタが積層されている構成とすることもできる。この構成によれば、各ドット領域内の非表示領域について、カラーフィルタを積層することにより透過率を低下させ、遮光手段として機能させることができるので、非表示領域の光漏れを低減して透過表示のコントラストを高めることができる。また、透過表示領域を除く領域にまで反射膜を延設している場合、係る反射膜により反射された光が、入射側へ戻るのを防止できるため、反射表示のコントラストを向上させることができる。
本発明の液晶表示装置では、少なくとも一方の前記基板の液晶層側にカラーフィルタが設けられており、前記カラーフィルタは、前記反射表示領域に配置された島状部の平面領域内に開口領域を有し、前記開口領域は、前記境界段差領域及び前記島状部の周縁領域から平面的に離間されて配置されている構成とすることができる。
この構成によれば、反射表示領域のカラーフィルタに開口領域を設けることで、反射表示の輝度を向上させることともに、反射表示と透過表示の色度のバランスの調和を得ることができ、高輝度、高画質のカラー表示を得ることができる。さらに、上記反射表示領域にて開口領域を配置するに際して、開口領域と島状部の辺端、ないし境界段差領域とを離間しているので、島状部の辺端領域や境界段差領域で配向の乱れが生じた場合にも、係る領域にはカラーフィルタが形成されていて反射率が低いため、使用者に視認され難いという利点が得られるようになっている。
本発明の液晶表示装置では、前記反射表示領域に配置された島状部は、前記透過表示領域に配置された島状部より大きい平面積を有している構成とすることができる。先に記載のように、マルチギャップ構造を有する本発明の液晶表示装置では、反射表示領域における島状部辺端による配向規制作用が、透過表示領域における配向規制作用より大きくなる。従って、反射表示領域の島状部を、透過表示領域の島状部より大きく形成したとしても、同等の配向規制作用を得ることができる。これにより、使用目的に応じて反射表示と、透過表示と輝度バランスを調整する場合に、上記両領域の島状部の平面積による調整が可能になる。
本発明の液晶表示装置では、前記ドット領域の電極に電気信号を供給する信号配線が、前記ドット領域の辺端部に延在しており、前記透過表示領域に配置された島状部は、前記反射表示領域に配置された島状部に比して、前記信号配線から平面的に離間されている構成とすることもできる。
上記信号配線の近傍では、その電位により不要な斜め電界が生じ、液晶の配向に乱れを生じる場合がある。そのため、信号配線と上記島状部とはある程度離して配置しておくことが好ましいが、両者の距離を大きくするとドット領域の開口率が低下するという問題がある。そこで、本構成では、反射表示領域よりも島状部辺端における配向規制力が弱く、上記信号配線による電界の影響を受けやすい透過表示領域において、島状部と信号配線とをより大きく離して配置することとした。これにより、反射表示領域と透過表示領域の双方で、信号配線と島状部との距離を最適化することができ、上記信号配線の近傍で生じる斜め電界による配向の乱れに起因する表示品質の低下を抑制しつつ、反射表示領域、透過表示領域の双方で最適な開口率を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、いずれかの前記基板の液晶層側面に、ドット領域に対応して前記信号配線及び前記電極と電気的に接続された二端子型非線形素子が設けられており、前記信号配線は、前記ドット領域の短辺に沿って設けられている構成とすることができる。
二端子型非線形素子をスイッチング素子とする液晶表示装置では、一方の基板に設けられる信号配線は1方向のみとなる。本構成では、係る信号配線を、ドット領域の短辺に沿って配置することで、信号配線の電位により生じる斜め電界が作用する領域をドット領域に対して狭くするようにした。このような構成とすることで、信号配線がドット領域長辺に沿って配置されている場合に比して、信号配線の電界の影響を避けるべく配線と島状部とを離して配置しても、ドット領域全体の開口率の低下を小さくでき、透過表示と反射表示の双方で明るい表示を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記島状部及び連結部を有する電極と電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記反射膜は、前記スイッチング素子の形成領域まで延設されている構成とすることができる。この構成によれば、スイッチング素子の電界により素子近傍で液晶配向に乱れが生じたとしても、前記反射膜が遮光手段として機能し、光漏れを防止することができる。これにより、高コントラストの表示を得ることができる。
本発明の液晶表示装置では、前記反射膜が形成された基板の液晶層側に、反射光を散乱させる光散乱付与手段が設けられ、前記光散乱付与手段は、前記反射表示領域に配置された島状部の平面領域に設けられている構成とすることが好ましい。係る構成によれば、明るい反射表示を得られるとともに、非表示領域にて反射した不要な光が使用者に到達するのを防止でき、優れた視認性を向上させることができる。
次に、本発明は、上記課題を解決するために、一面側に電極を有する一対の基板と、前記一対の基板間に前記電極を介して挟持された液晶層とを備え、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する液晶を含み、前記透過表示領域と反射表示領域とで異なる層厚に形成されており、前記一対の基板の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記ドット領域内で複数の島状部と、隣接する前記島状部を互いに電気的に接続する連結部とを有し、前記複数の島状部は、前記透過表示領域と反射表示領域とに各々整数個ずつ配置され、前記反射表示領域に配置された島状部は、前記透過表示領域に配置された島状部より大きい平面積を有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
この構成の液晶表示装置も、先の液晶表示装置と同様、マルチギャップ構造を備えた半透過反射型垂直配向モードの液晶表示装置であり、ドット領域内の電極が、複数の島状部と、該複数の島状部を電気的に連結する連結部とを有するものである。このようにドット領域内に複数の島状部を有する電極を設けた構成とすることで、電圧印加時に島状部辺端で生じる斜め電界により垂直配向液晶の傾倒方向を島状部中央側へ向かう方向とすることができ、その結果、島状部の平面領域にて平面放射状の配向状態を有する液晶ドメインを複数形成できる。これにより、各液晶ドメインによりあらゆる方向で均一な視角特性が得られるとともに、液晶ドメイン境界が隣接する島状部の境界領域に固定されるため、パネル斜視時にしみ状のムラを生じることもなく、良好な表示を得ることができる。
そして、本構成では、反射表示領域に配置された島状部が、透過表示領域に配置された島状部より平面的に大きく形成されている。マルチギャップ構造のドット領域内では、透過表示領域に比して反射表示領域の方が液晶層厚を薄く形成されるため、島状部辺端で生じる斜め電界による配向規制力が大きくなり、透過表示領域に比して広い領域内の液晶分子の配向制御を行うことが可能になる。そこで、本構成では、反射表示領域の島状部を、透過表示領域の島状部に比して大きく形成することで、反射表示領域の開口率を向上させ、これにより明るい反射表示を得られるようにしている。また、半透過反射型液晶表示装置では、実装される電子機器等の特性に合わせて透過表示と反射表示の輝度バランスを変更する場合があるが、本構成を適用するならば、反射表示領域の島状部を大きくすることで輝度バランスの調整が可能である。
従って、本構成の液晶表示によれば、反射表示、透過表示の双方でしみ状のムラや焼き付きを生じることなく、高コントラストの表示が可能であるとともに、特に反射表示で明るい表示が得られ、かつ広範な用途に、容易に適用できる液晶表示装置を提供することができる。
次に、本発明は、一面側に電極を有する一対の基板と、前記一対の基板間に前記電極を介して挟持された液晶層とを備え、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する液晶を含み、前記透過表示領域と反射表示領域とで異なる層厚に形成されており、前記一対の基板の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記ドット領域内で複数の島状部と、隣接する前記島状部を互いに電気的に接続する連結部とを有し、前記複数の島状部は、前記透過表示領域と反射表示領域とに各々整数個ずつ配置され、前記各島状部の平面領域内の前記電極に、電界印加時の液晶の配向状態を制御する配向制御手段が設けられており、前記反射表示領域に配置された前記配向制御手段は、前記透過表示領域に配置された前記配向制御手段より小さい平面積を有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
この構成の液晶表示装置も、先の液晶表示装置と同様、マルチギャップ構造を備えた半透過反射型垂直配向モードの液晶表示装置であり、ドット領域内の電極が、複数の島状部と、該複数の島状部を電気的に連結する連結部とを有するものである。このようにドット領域内に複数の島状部を有する電極を設けた構成とすることで、電圧印加時に島状部辺端で生じる斜め電界により垂直配向液晶の傾倒方向を島状部中央側へ向かう方向とすることができ、その結果、島状部の平面領域にて平面放射状の配向状態を有する液晶ドメインを複数形成できる。これにより、各液晶ドメインによりあらゆる方向で均一な視角特性が得られるとともに、液晶ドメイン境界が隣接する島状部の境界領域に固定されるため、パネル斜視時にしみ状のムラを生じることもなく、良好な表示を得ることができる。
そして本構成では、反射表示領域の配向制御手段を、透過表示領域の配向制御手段より小さく形成している。これにより、反射表示領域の開口率を向上させ、明るい反射表示が得られるようになっている。マルチギャップ構造のドット領域内では、透過表示領域に比して反射表示領域の方が液晶層厚を薄く形成されるため、島状部辺端で生じる斜め電界による配向規制力が大きくなるとともに、電極に設けられた配向制御手段による配向規制力も大きくなる。従って、本構成のように配向制御手段を小さくしたとしても、透過表示領域と同等の配向制御作用を得ることができ、しみ状のむらや焼き付きが効果的に防止された高画質の反射表示をえることができる。
次に、本発明は、画素電極と、該画素電極の辺端部に沿って延びる信号配線とを有する素子基板と、一面側に対向電極を有する対向基板と、前記素子基板と対向基板との間に挟持された液晶層とを備え、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する液晶を含み、前記透過表示領域と反射表示領域とで異なる層厚に形成されており、前記反射表示領域における前記画素電極と信号配線との距離が、前記透過表示領域における前記距離より短いことを特徴とする液晶表示装置を提供する。
この構成は、マルチギャップ構造の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置において、画素電極と信号配線との配置を規定したものである。液晶表示装置は、各ドット領域の画素電極に電圧を供給するために、各画素電極と電気的に接続された信号配線を有している。そして、これらの信号配線は、画素電極に供給する電圧によっては、周辺に斜め電界を生じさせる場合があり、係る斜め電界が表示領域の液晶に作用すると、配向乱れを生じて表示品質を低下させるおそれがある。従って、画素電極と信号配線とは、ある程度離して配置することが好ましいが、両者の距離を大きくすると、ドット領域の開口率が低下して表示が暗くなる。そこで本構成では、マルチギャップ構造を備えた垂直配向モードの液晶表示装置において、液晶層厚の薄い反射表示領域では、電極辺端や配向制御手段による配向規制力が透過表示領域に比して大きくなることを利用し、画素電極と信号配線との距離を、反射表示領域より透過表示領域で大きくすることとした。このような構成とすることで、ドット領域の開口率低下を最小限に抑えつつ、透過表示と反射表示の双方で、しみ状のムラや焼き付きが防止された高画質の表示を得ることができるようになる。
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。係る構成によれば、透過モード及び反射モードの双方による表示が可能であって、各表示モードともに広視野角、かつ高コントラストの表示が得られる表示部を備えた電子機器が提供される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下で参照する各図において、積層膜や部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎の縮尺は適宜異ならせて表示している。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である液晶表示装置の回路構成図、図2は、同、1画素領域を示す平面構成図、図3は、同、画素領域を拡大して示す平面構成図(a図)、及び断面構成図(b図)である。これらの図に示す液晶表示装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin film diode)素子(二端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式のカラー液晶表示装置である。また、本実施形態に係る液晶表示装置は、初期配向が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなる液晶層を備えている。
本実施形態の液晶表示装置は、図1に示すように、走査信号駆動回路110及びデータ信号駆動回路120を含んでいる。液晶表示装置100には、信号線、すなわち複数の走査線13と、これらの走査線13と交差する複数のデータ線9とが設けられ、走査線13は走査信号駆動回路110により、データ線9はデータ信号駆動回路120により駆動される。そして、各画素領域150において、走査線13とデータ線9との間にTFD素子40と液晶表示要素160(液晶層)とが直列に接続されている。なお、図1では、TFD素子40が走査線13側に接続され、液晶表示要素160がデータ線9側に接続されているが、これとは逆にTFD素子40をデータ線9側に、液晶表示要素160を走査線13側に設ける構成としても良い。
次に、図2に基づいて、本実施の形態の液晶表示装置に具備された電極の平面構造について説明する。図2に示すように、本実施の形態の液晶表示装置では、走査線13にTFD素子40を介して接続された平面視矩形状の画素電極31がマトリクス状に配列されており、これらの画素電極31と紙面垂直方向に対向して共通電極9が平面視短冊状(ストライプ状)に配列されている。共通電極9は図1に示すデータ線を成し、走査線13と交差する形のストライプ形状を有している。本実施の形態において、各画素電極31が形成された個々の領域が1つのドット領域を成しており、マトリクス状に配置された各ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。
ここでTFD素子40は走査線13と画素電極31とを接続するスイッチング素子である。TFD素子40は、例えば、Taを主成分とする第1導電膜と、第1導電膜の表面に形成され、Ta2O3を主成分とする絶縁膜と、絶縁膜の表面に形成され、Crを主成分とする第2導電膜とを含むMIM構造を具備して構成されている。そして、TFD素子40の第1導電膜は走査線13に接続され、第2導電膜は画素電極31に接続される。
次に、図3に基づき本実施形態の液晶表示装置100の画素構成について説明する。図3(a)は、液晶表示装置100の1画素領域を示す平面構成図、図3(b)は、図3(a)のA−A’線に沿う断面構成図である。本実施形態の液晶表示装置100は、図2に示したようにデータ線9及び走査線13等にて囲まれた領域の内側に画素電極31を備えてなるドット領域を有している。このドット領域には、図3(a)に示すように1つのドット領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタが形成され、3つのドット領域(D1,D2,D3)で、3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bを含む画素を形成している。
画素電極31は、図3(a)に示す如く3つの島状部31a〜31cと、隣接配置された島状部間を電気的に接続する連結部31d、31eとを有して構成されている。より詳細には、平面視正八角形状を成す島状部31a〜31cが、ドット領域の辺端に沿って延びる走査線13の延在方向に配列されており、島状部31a、31b間、及び島状部31b、31c間に、それぞれ走査線13と略平行に延びる前記連結部31d、31eが設けられている。そして、島状部31aとTFD素子40とが電気的に接続されている。
島状部31aは、各ドット領域内に部分的に設けられた反射膜20の形成領域内に配置されており、残る島状部31b、31cは、反射膜20の非形成領域に配置されている。反射膜20の形成領域内に配置された島状部31a(及び連結部31dの一部)の平面領域が、本液晶表示装置100における反射表示領域Rとされ、島状部31b、31c、連結部31dの一部、及び連結部31eの平面領域が、透過表示領域Tとされている。
一方、図3(b)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置100は、上基板(素子基板)25とこれに対向配置された下基板(対向基板)10との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、すなわち誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。下基板10の外側には、透過表示用の光源であるバックライト(照明装置)15が設けられている。
このように本実施の形態の液晶表示装置は、垂直配向型の液晶層50を備える垂直配向型液晶表示装置であって、反射表示及び透過表示を可能にした半透過反射型の液晶表示装置である。
下基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aの表面にアルミニウム、銀等の反射率の高い金属膜からなる反射膜20が絶縁膜24を介して部分的に形成されている。この反射膜20の形成領域に反射表示領域Rが設けられている。
基板本体10A上に形成された絶縁膜24は、その表面に凹凸形状を備えており、係る凹凸形状に倣って反射膜20の表面は凹凸部を有する。このような凹凸により反射光が散乱されるため、外部からの映り込みが防止され、良好な視認性を得ることができる。
ドット領域内の反射膜20上、及び基板本体10A上には、反射表示領域R、及び透過表示領域Tに跨って赤色のカラーフィルタ22Rが設けられている。平面的には、図3(a)に示すように、3色のカラーフィルタ22R(赤),22G(緑),22B(青)が配列されており、隣接するカラーフィルタの境界領域と平面的に重なって走査線13が延在している。
カラーフィルタ22R上には、反射膜20の上方に位置するように絶縁膜26が選択的に形成されている。このようにドット領域内に部分的に形成された絶縁膜26により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと、透過表示領域Tとで異ならされている。絶縁膜26は、例えば膜厚が0.5〜2.5μm程度のアクリル樹脂等の有機材料膜からなり、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近において、自身の膜厚が連続的に変化する傾斜面からなる境界段差領域Nを構成している。透過表示領域Tにおける液晶層50の層厚は、2〜7μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層厚は、透過表示領域Tにおける液晶層厚の半分程度である。
このように絶縁膜26は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとの液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能するものである。また、本実施形態の場合、絶縁膜26の上部の平坦面の縁と、上基板25側の画素電極31を構成する島状部31aの縁とが略一致しており、絶縁膜26により形成される境界段差領域Nは、島状部31a、31b間の連結部31dと平面視で重なる位置に配置されている。
そして、絶縁膜26の表面を含む下基板10表面には、ITO等の透明導電材料からなる共通電極9が形成されている。共通電極9は、紙面垂直方向に延びる平面視ストライプ状に形成されており、この紙面垂直方向に並設されている複数のドット領域の共通の電極として機能する。また、共通電極9には、各ドット領域に対応して、その一部を切り欠いて形状の開口部9a〜9cが形成されている。開口部9a〜9cは、図3(a)に示すように、画素電極31の島状部31a〜31cにそれぞれ対応して設けられており、島状部31a〜31cそれぞれの平面領域のほぼ中央部に配置されている。
尚、図示は省略したが、共通電極9を覆って、ポリイミド等からなる垂直配向膜が形成されている。この垂直配向膜は、液晶分子を膜面に対して垂直に配向させる配向膜であり、本実施形態では、ラビング等の配向処理を施していないものを用いることが好ましい。
また、本実施形態では、反射膜20と、共通電極9とを別個に設けて積層した構成としているが、反射表示領域Rにおいては、金属材料からなる反射膜を、共通電極の一部として用いることもできる。
次に、上基板25側においては、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体25Aの液晶層50側に、ITO等の透明導電材料からなり、図3(a)に示す平面形状を有する画素電極31が形成され、この画素電極31に対応して設けられたTFD素子40と、走査線13とが設けられている。また、図示は省略したが、画素電極31を覆ってポリイミド等からなる垂直配向膜が設けられている。
下基板10の外面側には、基板本体10A側から位相差板18と偏光板19とを積層した円偏光板が設けられており、上基板25の外面側には、基板本体25A側から位相差板16と偏光板17とを積層した円偏光板が設けられている。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置100では、液晶層50に対して円偏光を入射させて表示を行うようになっている。このような構成とすることで、液晶層50に直線偏光を入射させる場合のように電圧印加時の液晶分子の配向方向に依存してドット領域内の透過率が不均一になることがなくなり、ドット領域の開口率を実質的に向上させ、もって液晶表示装置の表示輝度を向上させることができる。
上記円偏光板の構成としては、偏光板とλ/4位相差板を組み合わせた円偏光板、偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板とを組み合わせた広帯域円偏光板、あるいは、偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板と負のCプレートと組み合わせ、視角補償機能を備えた円偏光板を採用することができる。尚、「Cプレート」とは、膜厚方向に光軸を有する位相差板である。
上記構成を備えた本実施形態の液晶表示装置では、画素電極31が正八角形状の島状部31a〜31cを、連結部31d、31eにより電気的に連結した構成とされ、かつ島状部31a〜31cのそれぞれに対応して共通電極9に開口部9a〜9cが設けられた構成となっていることで、電界印加時の液晶分子の傾倒方向が適切に制御され、視角特性に優れる表示を行うことができる。この配向制御作用について以下に説明する。
まず、共通電極9と画素電極31との間に電界が印加されていない状態(電圧無印加時)では、液晶層50の液晶分子は基板面に対して垂直に配向されている。そして、電極9,31に電圧を印加すると、島状部31aの平面領域内に配置された液晶分子は、島状部31aの辺端部に生じる斜め電界により、係る辺端と面方向で垂直な方向(島状部31aの面中心方向)に倒れ、その周囲の液晶分子は島状部31a辺端部における配向状態と整合するべく同方向に倒れる。その結果、島状部31aの平面領域に配置された液晶分子は、電界印加時に、正八角形状の島状部31aの中心に向いて配向される。
また、本実施形態の場合、島状部31aの平面領域のほぼ中心に位置して平面円形状の開口部9aが設けられているので、共通電極9側においても、上記島状部31aの辺端部と同様の配向制御作用が生じ、開口部9aを中心として平面視放射状に液晶分子が配向される。
このようにして、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時に、島状部31aの周端部及び開口部9aの周端部において生じる斜め電界により、島状部31aの平面領域で平面視放射状に液晶分子が配向された液晶ドメインが形成される。また、島状部31b、31cの平面領域においても、島状部31aと同様の配向制御作用により、平面視放射状の液晶ドメインが生じる。
以上の作用により、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時にドット領域D1〜D3に、平面視放射状の配向状態を有する液晶ドメインが配列された構造となり、個々の液晶ドメインにより全方位に対して均一な視角特性が得られるとともに、上記液晶ドメインの中心部に生じるディスクリネーションが島状部31a〜31cの位置に固定されていることで、パネルを斜視した際のざらざらとしたしみ状のムラを生じることもない。従って、本実施形態の液晶表示装置100では、極めて広い視角範囲で高品質の表示を得ることができる。
また、上述したように、島状部31a〜31cの辺端部と、島状部31a〜31cに対応して設けられた共通電極9の開口部9a〜9cとにより、各島状部の形成領域における液晶の配向状態を制御するようになっているので、ドット領域内に形成する島状部31a〜31cの平面積を大きくした場合にも、良好に液晶の配向状態を制御することができるようになっている。具体的には、本実施形態の構成によれば、40〜50μmφ程度の比較的大きい島状部31a〜31cを形成したとしても、配向を安定させることができる。
本実施の形態では、島状部31a〜31cの平面形状を、正八角形状としているが、島状部31a〜31cの平面形状は、係る形状に限定されず、例えば円形や楕円形、多角形状等のいずれも適用が可能である。すなわち、島状部31a〜31cは、その平面領域内で、電圧印加時に略放射状の配向状態をとる液晶ドメインを形成し得る形状であれば問題なく適用することができる。
前記島状部31a〜31cに対して、連結部31d、31eは細く形成することが好ましい。島状部31a〜31cは、それらの辺端部に生じる斜め電界により液晶分子の傾倒方向を制御する機能を有するので、係る配向規制力を安定に得るためには、連結部31d、31eを細くして島状部の面中心を包囲する辺端の割合を大きくすることが好ましい。また、係る構成により、液晶の応答速度を向上させる効果も得られる。
本実施形態の液晶表示装置100では、反射表示領域Rに設けられた絶縁膜26によって反射表示領域Rにおける液晶層50の層厚を透過表示領域Tにおける液晶層厚の半分程度とすることができるので、反射表示領域Rにおける液晶層のリタデーションと透過表示領域Tにおける液晶層のリタデーションとをほぼ等しくすることができる。これにより前記両領域における電気光学特性を揃えることができ、表示コントラストを向上させることができる。
さらに、上記マルチギャップ構造を採用することでドット領域内に生じる境界段差領域Nが、反射表示領域Rの島状部31aと、透過表示領域Tの島状部31bとの間の領域に延在している連結2品質の低下を効果的に抑制できるようになっている。すなわち、境界段差領域Nに電極が形成されていると、液晶分子が基板面に対して傾斜配向されるために、電圧印加時に液晶分子に対して弱い配向規制力が作用する。この弱い配向規制力を無視して画素構造を設計すると、液晶配向に乱れが生じるおそれがある。先に紹介した非特許文献1のJisakiらは、この弱い配向規制力を積極的に利用して配向制御を行っていた。本実施形態の液晶表示装置においては、境界段差領域N上に配置される電極を極力除くようにして、この弱い配向規制力を取り除き、逆に島状部31a、31bの辺縁で生じる斜め電界による強い配向規制力が支配的になるようにすることで、反射表示領域Rと透過表示領域Tの双方で良好な表示を得ることができる。
このように、本実施形態の液晶表示装置は、上基板25側の画素電極31の形状と共通電極9に設けられた開口部9a〜9cとにより、垂直配向モードの液晶層における液晶分子の傾倒方向を適切に制御する構成を備えることともに、マルチギャップ構造により生じる境界段差領域Nによる表示品質の低下を効果的に防止できるようになっていることで、ざらざらとしたしみ状のムラ、焼き付き等の表示品質上の問題が生じず、広視野角、高コントラストの反射表示及び透過表示を得ることができるものとなっている。
尚、上記実施形態では、各ドット領域D1〜D3において、3つの島状部31a〜31cが直線的に配列された構成について説明したが、ドットピッチを大きくした場合には、画素電極31を構成する島状部の数を増やす方がよい場合もある。その場合にも、本発明に係る液晶表示装置では、整数個の島状部によりそれぞれ反射表示領域と透過表示領域を構成し、液晶層厚の異なる領域の境界に形成される境界段差領域Nが、島状部の間に配置されるようにする。例えば、ドット領域内に6×2個(12個)の島状部を配列する場合の一例を挙げると、6個の島状部を反射表示領域に割り振り、残る6個の島状部を透過表示領域に割り振る。そして、上記反射表示領域に配置される島状部と、透過表示領域に配置される島状部との間の領域と、前記境界段差領域Nとが平面的に重なるように配置する。
また、上記実施の形態では、配向制御手段として、略円形状の開口部9a〜9cを共通電極9に設けた構成としたが、係る配向制御手段としては、共通電極9上に誘電体突起を形成した構成も適用できる。この場合にも、開口部9a〜9cとは作用は異なるものの、電界印加時の液晶分子の傾倒方向を制御する効果を得ることができる。あるいは、ドット領域内で、上記開口部と誘電体突起とを混在させてもよい。一般に平面積が同じならば開口部よりも誘電体突起の方が配向規制力が大きいので、例えば液晶層厚が薄い反射表示領域Rには開口部を設け、液晶層厚が厚い透過表示領域Tには誘電体突起を設ける構造が好ましい。さらには、開口部9a〜9cの内側に、誘電体突起を設けても良い。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置200は、平面形状の異なる画素電極32を備えた以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図4において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の液晶表示装置200では、図3に示した先の液晶表示装置100とは平面形状の異なる画素電極32が、各ドット領域D1〜D3に設けられている。
画素電極32は、ITO等の透明導電材料から形成され、ドット領域内で走査線13の延在方向に配列された平面視正八角形状の島状部32a〜32cと、これらの島状部32a〜32c間を導電接続するべく走査線13方向に延びる連結部32d、32eとを備えている。各連結部32d、32eは、正八角形状の島状部32a〜32cの角部同士を接続している。また、境界段差領域Nは、反射表示領域Rに配置された島状部32aと透過表示領域Tに配置された島状部32bとを接続している連結部32dと平面的に重なるように配置されている。
上記構成を備えた本実施形態の液晶表示装置200では、島状部32a〜32cの角部から連結部32d、32eを延出して島状部間を導電接続するとともに、連結部32dと境界段差領域Nとを平面的に重畳配置していることで、パネル組み立て時の基板10,25の組ずれによる表示品質の低下を抑制することができ、製造の容易性を高める工夫が成されたものとなっている。すなわち、設計上は境界段差領域N上に連結部32dが配置されるようになっており、係る設計通りにパネルの組み立てが成された場合には、先の第1実施形態と同様の表示品質となるが、パネル組み立て工程において、例えば図示左右方向に基板10と基板25との組位置がずれ、島状部32a、又は32bの一部が境界段差領域Nと重なった場合に、液晶表示装置200では、正八角形状の角部が境界段差領域Nと重なるため、第1実施形態の液晶表示装置100に比して、境界段差領域Nと島状部との重なり部分を狭くでき、境界段差領域Nに起因する島状部32a、32b内の配向の乱れを小さくすることができる。
さらに本実施形態の液晶表示装置200では、島状部32a〜32cと、連結部32d、32eとの接続領域において、配向の乱れ、ディスクリネーションが生じた場合にも、係る配向乱れによる表示品質への影響を少なくすることができるようになっている。すなわち、島状部32a、32bの連結部32d側の辺端部は、連結部32dへ向かう先窄まり状であるため、電圧印加時の斜め電界の配向規制力により、液晶分子が上記角部と開口部9a、9bを結ぶ線に向かって両側から倒れて配向する。従って、連結部32dと島状部32a、32bとの接続領域近傍において上記ディスクリネーションが生じたとしても、上記の配向作用により、ディスクリネーションが島状部32a、32bから連結部32dまたは開口部9a、9b側へとスムースに移動し、島状部32a、32bでは良好な配向を維持できるようになっている。
本実施の形態では、平面視多角形状の島状部32a〜32cの角部から連結部32d、32eを延出した構成としたが、平面視多角形状以外の任意の形状の島状部を形成した場合においても、島状部と連結部とが接続される領域において、島状部側から連結部に向かって略先窄まり状に電極を形成しておけば、パネル組み立て工程で組ずれを生じたとしても、島状部の平面領域と境界段差領域Nとが重なるのを極力抑えることができ、境界段差領域Nに起因する表示品質の低下を効果的に抑制することができる。また仮に、ディスクリネーションが生じた場合にも、島状部の平面形状によってディスクリネーションを連結部または開口部へ移動させることができ、表示への影響を少なくできる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置300は、反射表示を行うための反射膜の形成領域が主として異なる以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図5において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置300では、図3に示した先の液晶表示装置100とは平面形状の異なる反射膜220が、各ドット領域D1〜D3に設けられている。
反射膜220は、アルミニウムや銀等の金属膜からなり、画素電極31を構成する島状部31a〜31c、及び連結部31d、31eのうち、透過表示領域Tを成す島状部31b、31cを除くドット領域内に設けられている。尚、図面を見易くするために島状部31aと重なる位置の反射膜220は図示を省略している。このように反射膜を透過表示領域Tの外側のドット領域に延在させることで、反射膜220を遮光膜として機能させることができるため、透過表示のコントラストを向上させることができるという効果が得られる。
本発明に係る液晶表示装置は、垂直配向モードの液晶表示装置であるため、電圧無印加状態を黒表示とする(ノーマリブラック)場合には、液晶層を挟んで対向する電極が設けられていない領域で、液晶分子は電圧印加状態に依らず基板に対して垂直配向した状態を維持するので、本来ならば、こうした遮光膜として機能する反射膜220は不要である。しかしながら、実際には、境界段差領域Nにおいて液晶分子が傾斜配向されたり、島状部31a〜31c辺端部での斜め電界や、電極が形成されていない領域での電荷の蓄積により液晶配向が乱れ、光漏れを生じる場合がある。そこで、本実施形態の如く、非表示領域に遮光膜として機能する反射膜220を設けておくことで、これらの光漏れを遮断し、高コントラストの透過表示を得ることができるようになる。
尚、島状部31aの平面領域(すなわち反射表示領域R)以外の領域には、反射膜に凹凸形状を付与するための絶縁膜24は形成されていないため、島状部31a〜31c以外の領域(非表示領域)に形成された反射膜220で外光が反射されたとしても、この光が観察者側へ反射されることはないため、反射表示の品質に影響することはほとんどない。本実施形態では、カラーフィルタ22B,22G,22Rを各ドット領域D1〜D3に設けているが、さらに反射膜220の形成領域のうち、島状部31aの平面領域を除く領域(すなわちドット領域内の非表示領域)に、当該ドット領域の表示色以外のカラーフィルタを重ねて形成することもできる。このような構成とすれば、ドット領域D1〜D3の非表示領域に入射した光が、重畳配置されたカラーフィルタにより吸収されるとともに、反射膜220により反射された後にも吸収されるため、係る非表示領域に入射した光はほとんど入射側へ戻らず、さらに高いコントラストの反射表示が得られる。また、係るカラーフィルタの重畳配置は、各ドット領域毎にカラーフィルタ22R,22G,22Bをパターン形成する際に比較的容易に実現できるため、工数の増加等の製造工程上の不都合はほとんど生じない。
また、本実施形態では、連結部31d、31eの平面領域にも反射膜220を設けているが、連結部31d、31eについて反射膜220を設けない構成とすることもできる。但し、連結部31dを反射膜220により遮光する構成とすれば、境界段差領域Nと重なる連結部31dにおける配向乱れに起因する表示不良部を遮光することができ、高コントラストの表示を得ることが可能になるとともに、反射膜220のパターニングの容易性の点でも有利である。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置400は、平面形状の異なる画素電極33を備えた以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図6において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置300では、図3に示した先の液晶表示装置100とは平面形状の異なる画素電極33が、各ドット領域D1〜D3に設けられている。
画素電極33は、ITO等の透明導電材料から形成され、ドット領域内で走査線13の延在方向に配列された平面視八角形状の島状部33a〜33cと、これらの島状部33a〜33c間を導電接続するべく走査線13方向に延びる連結部33d、33eとを備えている。各連結部33d、33eは、八角形状の島状部33a〜33cの互いに隣接する辺端から延出されて島状部33a〜33cを連結している。また、境界段差領域Nは、反射表示領域Rに配置された島状部33aと透過表示領域Tに配置された島状部33bとを接続している連結部33dと平面的に重なるように配置されている。
そして、図6に示すように、反射表示領域Rを成す島状部33aは、透過表示領域Tを成して配列された島状部33b、33cより大きい平面領域を有して形成されている。また、島状部33a〜33cに対応して共通電極9側にそれぞれ設けられた開口部9a〜9cは、同一の平面形状と大きさを有して形成されている。
半透過反射型液晶表示装置では、実装される電子機器の用途等により要求される表示特性が異なることがある。このような場合に、本実施形態の液晶表示装置400のように、反射表示領域Rの島状部33aを相対的に大きく形成することで、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの表示面積を調整し、反射表示と透過表示の表示特性の調整を行うがことができるようになっている。
反射表示領域Rでは、マルチギャップ構造により液晶層50の層厚が相対的に小さくなっているため、島状部33aの辺端部による配向規制力が、透過表示領域Tの島状部33b、33cに比して大きくなる。従って、島状部33aの平面領域を比較的大きくした場合にも、島状部辺端による配向規制作用により良好に液晶の配向状態を制御でき、また液晶分子の応答が透過表示領域Tに比して遅くなることもないため、ざらざらとしたしみ状のムラや、焼き付きの生じない、高画質の表示を得ることができる。
従って、本実施形態の液晶表示装置400によれば、表示品質を低下させることなく、用途に合わせた反射表示と透過表示との調整が可能であり、種々の電子機器の表示部として広く適用することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図7は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置500は、ドット領域毎に設けられたカラーフィルタの構成が主として異なる以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図7において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の液晶表示装置500では、図3に示した先の液晶表示装置100とは平面形状の異なるカラーフィルタ222B,222G,222Rが、各ドット領域D1〜D3のそれぞれに設けられている。尚、図面を見易くするため、反射表示領域R(島状部31aの平面領域)の反射膜20、及び同領域の反射膜20に付与された凹凸形状は、その図示を省略している。
カラーフィルタ222R,222G,222Bは、それぞれ画素電極31の島状部31aの平面領域内に配置される平面視円形状の開口領域22r,22g,22bを有している。また、これらの開口領域22r,22g,22bは、共通電極9に設けられた開口部9a…と同心位置に配置されている。
上記構成を備えた液晶表示装置500によれば、反射表示領域Rの一部に、カラーフィルタが設けられていない領域(開口領域22r,22g,22b)を設けたことで、透過表示領域Tとの色度の調和を図るとともに、反射表示の明るさを向上させることができ、反射表示、透過表示の双方で輝度及び色度のバランスのとれた、高画質の表示が可能になっている。
また、図7に示すように、開口領域22r,22g,22bの周端部は、島状部31aの辺端部から離間して配置されるとともに、境界段差領域Nからも離間されている。島状部31aの辺端部、及び境界段差領域Nでは、電圧印加時の斜め電界等により配向乱れが生じ易くなるため、これらの領域に、カラーフィルタ222R,222G,222Bが配置されていることで、上記配向乱れに起因する表示コントラストの低下や焼き付きを視認され難くなり、実質的な表示品質を低下を伴うことなく上記反射表示領域Rの明るさ向上を実現することができる。
さらに図7に示すように、開口領域22r,22g,22bは、カラーフィルタ222R,222G,222B毎に異なる平面領域を有して形成されている。具体的には、各表示色の視感度に応じて異なる大きさに形成されており、緑色のカラーフィルタ222Gの開口領域22gが最も大きく形成され、青色のカラーフィルタ222Rの開口領域22rが最も小さく形成されている。このように開口領域22r,22g,22bの大きさを色ごとに変えることで、反射表示の色バランスを、透過表示と独立に、かつ容易に調整することができ、さらなる表示品質の向上を図ることができる。
尚、本実施形態では、カラーフィルタの開口領域22r,22g,22bを平面視円形状としたが、開口領域22r,22g,22bの平面形状は、これに限定されず、例えば、開口部9aと重なる領域にカラーフィルタを残したリング状の開口領域とすることもでき、島状部31aの外形状に合わせた正八角形状に形成することもできる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図8は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置600は、共通電極9に設けられて配向制御手段を成す開口部の構成が主として異なる以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図8において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の液晶表示装置600では、図3に示した先の液晶表示装置100とは大きさの異なる開口部19aが共通電極9に形成されている。これらの開口部19a、9b、9cは、島状部31a〜31cのほぼ中心に対応する位置において共通電極9を円形状に切り欠いて設けられているが、同位置に誘電体材料からなる突起を設けてもよい。
尚、画素電極31を構成する島状部31a〜31cの大きさ及び形状は、反射表示領域Rと透過表示領域Tとでほぼ同一である。
先の第4の実施形態において説明したように、本発明の液晶表示装置では、マルチギャップ構造が採用されており、反射表示領域Rにおける液晶層50の層厚が、透過表示領域Tにおける層厚より薄くなっているため、反射表示領域Rでは斜め電界による液晶の配向規制力が透過表示領域Tより大きくなる。従って、共通電極9側に設けた開口部においても、同一の大きさであれば、透過表示領域Tに設けた開口部9b、9cより大きい配向規制力を有することとなる。そこで、本実施形態では、反射表示領域Rに、透過表示領域Tの開口部9b、9cより小さい開口部19aを設けることで、透過表示領域Tと同程度の配向規制力を得つつ、反射表示領域Rの開口率を向上させ、明るい反射表示を得ることができるようにした。
尚、上記開口部19a、9b、9cに代えて、先の誘電体突起を配向制御手段として用いる場合にも同様であり、その場合には、反射表示領域Rに配置する誘電体突起の大きさ及び/又は高さを、透過表示領域Tの誘電体突起の大きさ及び/又は高さに比して小さく形成する。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図9は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置700は、平面形状の異なる画素電極34を備えた以外は、図3に示した液晶表示装置100と同様の構成を備えたマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。従って、図9において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の液晶表示装置700では、図3に示した先の液晶表示装置100とは平面形状の異なる画素電極34が、各ドット領域D1〜D3に設けられている。
画素電極34は、ITO等の透明導電材料から形成され、ドット領域内で走査線13の延在方向に配列された平面視八角形状の島状部34a〜34cと、これらの島状部34a〜34c間を導電接続するべく走査線13方向に延びる連結部34d、34eとを備えている。各連結部34d、34eは、八角形状の島状部34a〜34cの互いに隣接する辺端から延出されて島状部34a〜34cを連結している。また、境界段差領域Nは、反射表示領域Rに配置された島状部34aと透過表示領域Tに配置された島状部34bとを接続している連結部34dと平面的に重なるように配置されている。
そして、本実施形態の液晶表示装置700は、各ドット領域D1〜D3の長辺端に沿って延在する走査線13と、島状部34a〜34cとの平面距離が、反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異なっている点に特徴を有している。すなわち、反射表示領域Rの島状部34aと走査線13との距離drは、透過表示領域Tの島状部34b、34cと走査線13との距離dtより短くなっている。
ドット領域D1〜D3の辺端部に沿って延在する走査線13(信号配線)は、その電位によっては、近傍に斜め電界を生じて、垂直配向液晶の傾倒方向に乱れを生じさせる場合がある。従って、上記画素電極34の島状部34a〜34cは、走査線13からある程度離して配置することが望ましい。しかし、走査線13と画素電極34との距離を大きくすると、ドット領域D1〜D3の開口率が低下し、表示が暗くなるという不都合が生じる。
そこで、本実施形態では、先の第4実施形態でも述べたように、液晶層厚が厚いために島状部辺端部における配向規制力が相対的に弱くなり、走査線13で生じる斜め電界の影響を受けやすい透過表示領域Tでは、島状部34b、34cと走査線13との距離を大きくし、逆に、液晶層厚が薄く、島状部34aの辺端部に生じる斜め電界による配向規制力が強くなる反射表示領域Rでは、島状部34aと走査線13との距離を小さくした。
このような構成とすることで、反射表示領域R、透過表示領域Tの双方で、走査線13と島状部との距離を最適化することができ、走査線13にて生じる斜め電界の表示への影響を抑えつつ、ドット領域の開口率を最大限確保することができる。従って、本実施形態の液晶表示装置700によれば、明るく、かつしみ状のムラや焼き付きが生じない、高画質の表示を得ることができる。
本実施形態では、画素のスイッチング素子がTFD素子である場合について説明したが、画素スイッチング素子としてTFT(薄膜トランジスタ)素子を備えた液晶表示装置に上記構成を適用する場合、互いに交差して延在する走査線、及びデータ線の双方に対して、透過表示領域Tの島状部34b、34cを、反射表示領域Rの島状部34aより離間して配置すればよい。
また、本実施形態では、画素電極34が、複数の島状部34a〜34cを、連結部34d、34eにより連結した平面形状である場合について説明したが、本実施形態の特徴とするところである画素電極と信号配線との配置関係については、画素電極の形状によらず効果を奏する。すなわち、平面視略矩形状の画素電極を備えた液晶表示装置においても、透過表示領域Tの画素電極と信号配線(走査線13)との平面距離が、反射表示領域Rの画素電極と信号配線との距離より大きくなるように、画素電極の平面形状、ないし信号配線の引き回しを変更することで、上記実施形態の作用効果を得ることができ、反射表示領域と透過表示領域の双方で、配向乱れによるしみ状のムラや明るさの低下を生じない、高画質の表示を得ることができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しつつ説明する。図10は、本実施形態の液晶表示装置について、画素領域の平面構造を示す図であって、第1の実施形態の図3(a)に相当する図面である。本実施形態の液晶表示装置800では、画素電極31に対する共通電極9及び走査線13の延在方向が、図3に示した先の液晶表示装置100とは異なっている点に特徴を有するマルチギャップ方式の半透過反射型垂直配向モード液晶表示装置である。尚、図10において、図3に示した符号と同一の符号が付されたものについては、同様の構成部材として説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態の液晶表示装置800の各ドット領域D1〜D3には、ドット領域の長辺方向に配列された複数の島状部31a〜31cと、これらを連結する連結部31d、31eとからなる画素電極31が設けられ、各画素電極31には、ドット領域短辺方向(図示上下方向)に延在する走査線130と接続されたTFD素子40が接続されている。また、ドット領域D1〜D3の長辺方向に延びる共通電極9が、平面視ストライプ状に配列形成されている。共通電極9には開口部9a〜9cが設けられており、各開口部9a〜9cは、それぞれ画素電極31の各島状部31a〜31cの面中心と対応する位置に配置されている。
上記構成を備えた液晶表示装置800では、走査線13がドット領域D1〜D3の短辺に沿って配置されているので、走査線13の近傍に生じる斜め電界の領域を、ドット領域D1〜D3に対して狭くすることができる。これにより、走査線13と、走査線13に隣接する島状部31a、31cとの距離を十分に広く取ったとしても、ドット領域D1〜D3の開口率をさほど低下させることがなく、反射表示領域R、透過表示領域Tの双方で高い開口率を得ることができる。従って、本実施形態の液晶表示装置800によれば、走査線13による配向乱れに起因するしみ状のムラや焼き付き等を防止でき、かつ明るい表示が得られる。
以上、本発明の実施の形態について、本発明の技術範囲はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施の形態では、マルチギャップ構造を実現するための絶縁膜26を下基板10側に設けた構成としたが、上基板25の液晶層50側に絶縁膜26を設けた構成も適用でき、さらには、下基板10と上基板25との対向する位置にそれぞれ絶縁膜を設けて反射表示領域の液晶層厚を調整することもできる。
また、上記実施の形態では、上基板25側の画素電極31に、島状部31a〜31cを電気的に連結した構成を適用したが、係る構成を共通電極9に適用することもできる。この場合、ドット領域内の共通電極に、互いに電気的に連結された複数の島状部が設けられるとともに、ドット領域を跨って前記島状部同士が電気的に連結された構成となる。
上記各実施形態の液晶表示装置において、液晶層50にはカイラル剤を添加した垂直配向液晶を用いることができる。この場合、電圧印加時に島状部31a〜31cの平面領域において、それぞれ開口部9a〜9cを中心とする平面視渦巻き状の放射状に液晶分子が配向された液晶ドメインが形成される。このように液晶分子が渦巻き状に配向された液晶ドメインを形成することで、液晶層50に対して直線偏光を入射させて表示を行う場合にも、ドット領域内で輝度の不均一が生じ難くなり、明るい表示を得ることができるようになる。
(電子機器)
図11は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の透過/反射表示が可能になっている。
9…共通電極(データ線)、13…走査線(信号配線)、20,220…反射膜、24…絶縁膜(光散乱付与手段)、26…絶縁膜(液晶層厚調整層)、31〜34…画素電極、50…液晶層、R…反射表示領域、T…透過表示領域